Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年4月7日 18時〜21時30分
Collegium 1704
Collegium Vocale 1704
テノール(エファンゲリスト) Eric Stoklossa
バス(イエズス)Jan Martiník
指揮 Václav Luks
Johann Sebastian Bach (1685-1750)
Matthäuspassion BWV 244
音楽ファンのこの時期の季節ものと言えば
ワーグナーのパルジファルである事は重々承知だが
オペラ座のパルジファルのチケットは
超貧民の私には、高すぎて買えない(汗)
この時期のもう一つの季節モノは
言わずと知れたバッハの受難曲。
その年によって、ヨハネだったりマタイだったりするけれど
今年はマタイ受難曲をコンツェルトハウスで鑑賞する事にした。
下らない話で有名だと思うんだけど
受難曲はドイツ語で Passion と書くのだが
ヨハネ受難曲を、ヨハネの情熱、と訳した人が、昔はいた。
閑話休題。
コレギウム1704というグループは私は初聴きだが
プラハの古楽器オーケストラとコーラスで
ドイツとも関係が強いらしい。
(まぁ、1700年代って、プラハはドイツ語圏ではあったのだ)
途中で会ったお達者倶楽部の大学の同僚が
僕の若い頃は大編成オーケストラと大編成コーラスだったので
古楽器オーケストラが楽しみ、と言っていたけれど
オーケストラ35名+指揮者
コーラス28名
エファンゲリストとイエズス以外のソロは
すべてコーラス・メンバーでカバーという
バッハの初演時とほとんど変わりない人数での編成。
コンツェルトハウスの大ホールだと
聴き映えがしないんじゃないか、と思っていたら
これがとんでもないアンサンブルだった。
いやもう、巧いの ♡
昔、楽友協会のコンツェントゥス・ムジクスと
アーノンクールでのマタイ受難曲聴いた事があるけれど
あの時のコンツェントゥス・ムジクスの
不安定感(まぁ、それはそれで良かったんだけど)と違って
古楽器なのに、ばっちり安定感があって
大ホールなのに、澄んだ音できっちりと響く。
各楽器のソロも抜群に巧い。
そして、エファンゲリストのエリック・ストクロッサ(と読むのか
それともシュトクロッサかしら)
ドイツ語圏には珍しいハイテノール。
時々、カウンター・テノールかと思わせる程の音色で
高音のピアニッシモを歌わせると、背筋がゾクゾクする甘い声。
以前聴いた、若い頃のミヒャエル・シャーデのような
表現力の幅はないけれど
実に甘いハイテノールで
しかもドイツ語のディクションが非常に美しい。
(もともとドレスデン聖十字架合唱団メンバー)
語り手として最初から最後まで
一点の乱れもなく
どの音域も透明感のある甘いテノールで歌いきって
過不足なく語ってくれて
むちゃくちゃ魅力的。
イエズス役のテノールも
淡々と美しい声で、イエズスらしい威厳があって素晴らしい。
普通はソリストを呼んでくる他の役
アルトやバス、テノール、ユダやピラトゥス役は
コーラスのメンバーが舞台の前に降りて来て歌うのだが
これがまた、コーラス・メンバーとは思えない巧さ。
ばっちりプロのメンバーのコーラスだから
この人数でコンツェルトハウスで歌っても
音量的にも音楽的にも、全く問題はないのか。
コーラスの歌詞のドイツ語のクリアさは
今一つだったけれど
不満と言えばそれだけ。
休憩1回含めて、3時間30分の
密度の濃い時間。
午前中にモダン・オーケストラの
あまりに元気過ぎるベートーベンに
ちょっと辟易していた耳には
小編成の受難曲の、端正で淡々として
なのに、深いところで深いエモーションが見え隠れする
古楽器オーケストラの音色が心地良い。
というより、バッハのマタイ受難曲って
やっぱりスゴイ(まぁ、今更なんですが・・・f^_^;)
旋律の美しさ、現代的なドラマツルギー
複雑な和声の絡みに
様々な楽器の特性を活かした、それぞれのソロ曲の伴奏。
宗教曲は苦手なのだが
(ミサ曲とか、どうしても好きになれない)
こと受難曲に関しては
プロテスタントのオペラ・・・としか私には思えない。
(誤解があるのは承知です、ごめんなさい)
イエス・キリストの受難の様を
系列的に描いていくところがストーリーを追えて面白いし
その間のピラトスやユダ、ユダヤ人の反応とかが
音楽的に(すごいドラマチック!)描かれると同時に
プロテスタントらしいコラールが
美しくその間に響いて来て
もう胸が一杯になってしまう。
(私はキリスト教信者ではございません。念の為。
ただし基本的に多神教(節操がない、とも言う)なので
キリストもありかとは思っている)
バッハの凄さというのは
本当に音楽的に、しっかり研究した人でないと
わからないのだろうが
音楽ド・シロートの私でも
感激しちゃうくらいで
だいたい、1729年初演って
今から300年近く前の
平賀源内とかが生まれた頃の曲に
全く時代の違う我々が感激できちゃうというのもスゴイ。
楽友協会でのマタイ受難曲は
4月9日火曜日にヴィーナー・アカデミーとハーゼルベックで演奏される。
(17時45分からの曲目解説は私が尊敬する教授が担当する・・・)
けれど、この日は実は他の予定が入っていて・・・(汗)
季節モノなので、1回聴いたら来年までナシという位が
ちょうど良いと思う(言い訳)
何だか自分でも思いがけない程感激して
涙と鼻水が途中で出て来て
バッグからティッシュ・ペーパーを取り出すタイミングに
えらく苦労した私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。
コンツェルトハウスって
超貧民席だと、このクラスのパーフォーマンスが
20ユーロ以下で聴けちゃうというのもありがたい。
(天井桟敷は音響抜群で、席を選べば舞台もある程度は見える)
Collegium 1704
Collegium Vocale 1704
テノール(エファンゲリスト) Eric Stoklossa
バス(イエズス)Jan Martiník
指揮 Václav Luks
Johann Sebastian Bach (1685-1750)
Matthäuspassion BWV 244
音楽ファンのこの時期の季節ものと言えば
ワーグナーのパルジファルである事は重々承知だが
オペラ座のパルジファルのチケットは
超貧民の私には、高すぎて買えない(汗)
この時期のもう一つの季節モノは
言わずと知れたバッハの受難曲。
その年によって、ヨハネだったりマタイだったりするけれど
今年はマタイ受難曲をコンツェルトハウスで鑑賞する事にした。
下らない話で有名だと思うんだけど
受難曲はドイツ語で Passion と書くのだが
ヨハネ受難曲を、ヨハネの情熱、と訳した人が、昔はいた。
閑話休題。
コレギウム1704というグループは私は初聴きだが
プラハの古楽器オーケストラとコーラスで
ドイツとも関係が強いらしい。
(まぁ、1700年代って、プラハはドイツ語圏ではあったのだ)
途中で会ったお達者倶楽部の大学の同僚が
僕の若い頃は大編成オーケストラと大編成コーラスだったので
古楽器オーケストラが楽しみ、と言っていたけれど
オーケストラ35名+指揮者
コーラス28名
エファンゲリストとイエズス以外のソロは
すべてコーラス・メンバーでカバーという
バッハの初演時とほとんど変わりない人数での編成。
コンツェルトハウスの大ホールだと
聴き映えがしないんじゃないか、と思っていたら
これがとんでもないアンサンブルだった。
いやもう、巧いの ♡
昔、楽友協会のコンツェントゥス・ムジクスと
アーノンクールでのマタイ受難曲聴いた事があるけれど
あの時のコンツェントゥス・ムジクスの
不安定感(まぁ、それはそれで良かったんだけど)と違って
古楽器なのに、ばっちり安定感があって
大ホールなのに、澄んだ音できっちりと響く。
各楽器のソロも抜群に巧い。
そして、エファンゲリストのエリック・ストクロッサ(と読むのか
それともシュトクロッサかしら)
ドイツ語圏には珍しいハイテノール。
時々、カウンター・テノールかと思わせる程の音色で
高音のピアニッシモを歌わせると、背筋がゾクゾクする甘い声。
以前聴いた、若い頃のミヒャエル・シャーデのような
表現力の幅はないけれど
実に甘いハイテノールで
しかもドイツ語のディクションが非常に美しい。
(もともとドレスデン聖十字架合唱団メンバー)
語り手として最初から最後まで
一点の乱れもなく
どの音域も透明感のある甘いテノールで歌いきって
過不足なく語ってくれて
むちゃくちゃ魅力的。
イエズス役のテノールも
淡々と美しい声で、イエズスらしい威厳があって素晴らしい。
普通はソリストを呼んでくる他の役
アルトやバス、テノール、ユダやピラトゥス役は
コーラスのメンバーが舞台の前に降りて来て歌うのだが
これがまた、コーラス・メンバーとは思えない巧さ。
ばっちりプロのメンバーのコーラスだから
この人数でコンツェルトハウスで歌っても
音量的にも音楽的にも、全く問題はないのか。
コーラスの歌詞のドイツ語のクリアさは
今一つだったけれど
不満と言えばそれだけ。
休憩1回含めて、3時間30分の
密度の濃い時間。
午前中にモダン・オーケストラの
あまりに元気過ぎるベートーベンに
ちょっと辟易していた耳には
小編成の受難曲の、端正で淡々として
なのに、深いところで深いエモーションが見え隠れする
古楽器オーケストラの音色が心地良い。
というより、バッハのマタイ受難曲って
やっぱりスゴイ(まぁ、今更なんですが・・・f^_^;)
旋律の美しさ、現代的なドラマツルギー
複雑な和声の絡みに
様々な楽器の特性を活かした、それぞれのソロ曲の伴奏。
宗教曲は苦手なのだが
(ミサ曲とか、どうしても好きになれない)
こと受難曲に関しては
プロテスタントのオペラ・・・としか私には思えない。
(誤解があるのは承知です、ごめんなさい)
イエス・キリストの受難の様を
系列的に描いていくところがストーリーを追えて面白いし
その間のピラトスやユダ、ユダヤ人の反応とかが
音楽的に(すごいドラマチック!)描かれると同時に
プロテスタントらしいコラールが
美しくその間に響いて来て
もう胸が一杯になってしまう。
(私はキリスト教信者ではございません。念の為。
ただし基本的に多神教(節操がない、とも言う)なので
キリストもありかとは思っている)
バッハの凄さというのは
本当に音楽的に、しっかり研究した人でないと
わからないのだろうが
音楽ド・シロートの私でも
感激しちゃうくらいで
だいたい、1729年初演って
今から300年近く前の
平賀源内とかが生まれた頃の曲に
全く時代の違う我々が感激できちゃうというのもスゴイ。
楽友協会でのマタイ受難曲は
4月9日火曜日にヴィーナー・アカデミーとハーゼルベックで演奏される。
(17時45分からの曲目解説は私が尊敬する教授が担当する・・・)
けれど、この日は実は他の予定が入っていて・・・(汗)
季節モノなので、1回聴いたら来年までナシという位が
ちょうど良いと思う(言い訳)
何だか自分でも思いがけない程感激して
涙と鼻水が途中で出て来て
バッグからティッシュ・ペーパーを取り出すタイミングに
えらく苦労した私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。
コンツェルトハウスって
超貧民席だと、このクラスのパーフォーマンスが
20ユーロ以下で聴けちゃうというのもありがたい。
(天井桟敷は音響抜群で、席を選べば舞台もある程度は見える)