ウィーン放送交響楽団 + マルクス・ボッシュ

0
    Musikverein Großer Saal 2019年4月6日 19時30分〜21時40分

    ORF Radio-Symphonie Orchester Wien
    指揮 Marcus Bosch
    バイオリン Arabella Steinbacher

    Sergej Prokofjew (1891-1953)
     Russische Ouvertüre, op. 72 (Fassung 1937)
    Aram Chatschaturjan (1903-1978)
     Konzert für Violine und Orchester d-Moll
    Kurt Schwertsik (*1935)
     Herr K. entdeckt Amerika. Sonatine für Orchester, op. 101
    Gerge Gershwin (1898-1937)
     Porgy and Bess. A Symphonic Picture
      (Arrangement von Robert Russel Bennett)

    ウィーン放送交響楽団のコンサート
    プログラム見て一目瞭然のように
    トナールなんだけど、伝統的トナールじゃなくて
    ちょっと外れたものの組み合わせのバランスが抜群。

    プロコフィエフがソビエト連邦に帰った直後に作曲された
    ロシア序曲は、演奏時間約15分弱の曲で
    あまり全体的なフォームのまとまりはないのだが
    プロコフィエフが、ロシアちっくなものを
    全部注ぎ込みました!!!という感じがする。

    私の好きな交響曲第5番の和音進行も出てくるし
    ロメオとジュリエット張りのロマンティックなフレーズもあり
    詰め込み過ぎて、作曲家自身も
    ワケわかんなくなって来てるんじゃないの?という
    ちょっとカオスな曲だが
    色彩感に溢れて、メロディの断片もあちこちに出現して
    聴いていて非常に楽しい。

    ハチャトリアンのバイオリン協奏曲なんて
    すみません、初聴きです(汗)
    よくコンサートで見かける大学の同僚(お達者倶楽部修士過程)も
    ここ20年くらい、ナマで演奏されたのを聴いていない、と言っていたから
    演奏頻度は少ないのだろう。

    民族音楽的なモチーフがたくさん使われていて
    モチーフの繰り返しが多いなぁ、と思っていたら
    一転して、かなり目まぐるしい曲想の変化もある。

    シュタインバッハーのバイオリンの音は
    大きくはないけれど、かなり澄んだ音がするし
    音程の安定感は抜群。

    このバイオリニストも、もう中堅の歳の筈だが
    いつまでもスタイル良いし、ドレス素敵だし
    若々しいなぁ。
    (私の席からは長髪に隠された美しいお背中しか見えないが(笑))

    後半はオーストリアの作曲家
    クルト・シュヴェルツィック・・・と読むんだろうと思うのだが
    本当のところはどうなんだかイマイチ謎の作曲家の作品。

    実はシュヴェルツィック、私、ちょっと好きだったりする。
    (誤解のないよう念の為だが、個人的には全く知らない)
    ウィーン音楽大学で教鞭を取っていらっしゃったりして
    ウィーン・モデルン現代音楽祭や
    ウィーンの現代音楽集団のコンサートでは聴く機会も多い。

    シュヴェルツィックは、もともとトーンキュンストラーでホルンを吹いていて
    作曲に目覚めて、ダルムシュタットの講習会に出て
    セリエル方式での作曲をして
    チェルハ教授とともにアンサンブル die reihe を設立。
    カールハインツ・シュトックハウゼン、マウリツィオ・カーゲルやジョン・ケージに師事。

    ただ、セリエル方式から、1962年以降、トナールに戻って来て
    1968年からはウィーン交響楽団でホルン奏者として仕事しながら作曲し
    その後、ウィーンのコンセルヴァトワール(現在ではウィーン私立音楽大学)で
    作曲を教えて、その後、ウィーン音楽大学で教鞭を取るという経歴の持ち主。

    今回の曲は、カフカの「アメリカ」をテーマにしたもので
    ザルツブルクのモーツァルテウム・オーケストラの
    ジュニア・プログラムのために作曲したものが元になっていて
    リンツの音楽劇場のバレエのために作曲されたもの。
    (プログラムの記述によるが、私の読解力が足りないので違うかもしれない(汗))

    カフカの小説は、ハッピー・エンドにはならないのだが
    シュヴェルツィックの音楽には、ユーモアの要素が外せない。
    これはご本人もおっしゃっている事なので確実。
    音楽を聴いてみれば、一目(一聴?)瞭然で
    聴いていて、なんとも不思議なユーモアがあって
    おとぎ話を耳で抽象的に聴いているような気分になる。

    さすがにバレエの振付は頭の妄想にも出て来なかったが
    きっと、リンツでやっただろうなぁ。
    (リンツの州立劇場では、今シーズンはシュヴェルツィックの音楽で
     マクベスのダンスがあったようだ・・・ちっ、見に行けば良かった・・・)

    演奏後、ご本人も舞台に登場して
    盛大な拍手喝采を浴びていた。
    きっと、教え子のファンも多いんだろうなぁ。

    最後はガーシュウィンの名作「ポギーとベス」からの抜粋。
    いや〜ん、これがまたすごくチャーミング。
    多用されるジャズのモチーフ
    むちゃくちゃ巧い金管楽器のソロに
    もう身悶えしちゃう妙なるサクソフォーンのソロ ♡

    ハリウッド的なゴージャス・サウンドに
    繊細なサマータイムのメロディもあって
    一瞬たりとも聴衆を飽きさせず
    次から次へと推進力がすごい。

    このオーケストラ、やっぱり器用だ。
    現代音楽から、こういう映画っぽいハリウッド系のサウンドまで
    余裕綽々でこなしてしまう。

    指揮者のマルクス・ボッシュは舞台で初めて見るが
    ドイツの小劇場でオペラを通じて
    比較的伝統的なマイスター修行をして来たタイプらしい。
    派手さはないものの職人的な堅実さがあって好感が持てる。

    最近、ちょっとベートーベンに食傷気味だったので
    こういう、トナールなのにちょっと変わってますよ〜というコンサート
    とても新鮮に響いて楽しかった。

    実は本日の同時刻
    コンツェルトハウスではクルレンツィスとムジカエテルナが
    ヴェルディのレクイエムを演奏していたのだが
    ヴェルディのレクイエム、どうしても苦手なので
    チケット返して楽友協会に来たのだが
    それだけの価値のあるコンサートだった。

    ヴェルディのレクイエムだけは本当にアレルギーで
    以前もヤンソンスのチケットを返した事もあるし
    まぁ、人間、身体は一つだし
    時間も限られているから、何もかも全部というワケには行かない
    ・・・と自分を納得させている私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


    ウィーン・フィル + アンドリス・ネルソンス

    0
      Musikverein Großer Saal 2019年4月6日 15時30分〜17時55分

      Wiener Philharmoniker
      指揮 Andris Nelsons
      ピアノ Rudolf Buchbinder
      バイオリン Albena Danailova
      チェロ Tamás Varga

      Ludwig van Beethoven (1770-1827)
       Symphonie Nr. 1 C-Dur, op. 21
       Konzert für Klavier, Violine Violoncello und Orchester C-Dur, op 56
        „Tripelkonzert“
       Symphonie Nr. 2 D-Dur, op 36

      ウィーン・フィルとネルソンスのベートーベン・シリーズ
      第2弾はウィーン・フィルの定期ではなく
      楽友協会主催のコンサートとなった。
      (時間は同じで土曜日15時30分と日曜日11時)

      2ヶ月前に張り切って超貧民席を買った時には
      ネルソンスのベートーベン4番・5番で
      既にぐったりするとは思ってもみなかった。
      (2月だったから大学休みでのんびり体力・気力を養っていた時か・・・)

      今回のネルソンスは
      元気路線でベートーベンを演奏するつもりなのか
      ともかく、1番も2番も、むちゃくちゃ元気。
      元気過ぎて、時々「滑る」感じがするのだが
      明日のコンサートでは良くなっているかもしれない。

      この間、楽曲分析の先生が
      ベートーベンの初期交響曲は
      当時はトニカで始まるのが普通だったのに
      ドミナントで始まって
      聴いている人たちは、さぞギョッとしただろう
      みたいな話をチラッとしていて

      わっはっは
      確かに1番の出だしなんか
      ドミナントどころか、ダブル・ドミナントで始まってるじゃないの。
      そりゃ驚くわ。
      現代でも、確かに笑える出だしである。

      続く第1楽章、ともかくオーケストラを鳴らす事と言ったら
      隣のクラオタらしきご夫妻が
      音量が大き過ぎる、と第1楽章の後にブツブツ言っていたが
      いわゆるピリオド奏法の小編成オーケストラに耳が慣れてしまうと
      比較的大編成のモダン・オーケストラで
      しかも楽友協会だから、響くわ響くわ。

      もっとも、システム音楽学で
      当時のベートーベンの交響曲を
      初演されたホールで、できるだけオリジナルに近い楽器で演奏してみたら
      楽友協会やコンツェルトハウスで聴くより
      ずっと大音量だった、という実験結果も出ているので
      当時の音量と比べて、今日の結構うるさいベートーベンが
      果たして本当にうるさいのか
      意外にオーセンティックなのかはわからない。

      ネルソンス、ともかく元気だわ。
      1人むちゃくちゃノッてる感じ。
      音量が大きいのと元気なのが重なって
      時々、音が濁って聴こえてしまうのはご愛嬌と思う事にする。

      音楽批評をするつもりは全くないし
      (第一できない(笑))
      記憶力ゼロに近い私の個人メモなので良し悪しは言えないが
      ここまで徹底的に元気に演奏されると
      それはそれで良いんじゃないの、と主観的には思う。

      トリプル・コンツェルトは、実はちょっと苦手。
      よくコンサートでは演奏されるんだけど
      そう盛り上がりがある、とか言う曲じゃないし
      割に(個人的印象では)ダラダラ続く曲で、しかも長い。

      ソリストのダナイローヴァとヴァルガは
      ご存知ウィーン・フィルのメンバー。
      ピアニストにブッフビンダーが登場。
      もともとウィーン・フィルと仲良いピアニストだし
      ベートーベン得意だから良い人選。
      (しかもブフビンダーいると、無駄なアンコールはない筈(笑))

      ヴァルガさんのチェロ、随分響くようになったと思う。
      ただ、お人柄のせいか、マジメで出しゃばらず
      オーケストラと他のソリストとのバランスに混じって
      癖がない、というか、完璧なんだけどそれを逸脱する面白みはない。
      ウィーン・フィルのメンバーにこんな事を書いちゃうと
      夜道でグッサリ、あるいは
      来シーズンの会員権剥奪とか(笑)あるかもしれないが
      マジメに地味。

      ダナイローヴァ女史のバイオリンは
      実は私、割に苦手(ダナイローヴァ・ファンの皆様、ごめんなさい)
      だって、最初から、音が上ずっていて
      微妙に周波数が高い(と思う、というか、そう聴こえる)

      私の耳は所詮シロウトなので
      微妙な音の違いを聴き分けるまでの能力はないけれど
      それでも、時々、シロウトにも聴こえる程
      音程が不安定になる(違っていたらすみません)
      音は透明に出ているのだが、音そのものが細い。

      明日、もう1回聴いたら、また違って聴こえるんだろうか。

      ともかく明日はスコア持ち込みで1番・2番を聴くつもり。
      以前から、スコア持ち込みでベートーベンの交響曲を聴くのは
      よくやっていたけれど(ベートーベンはスコアが追い易い)
      その前に和声分析してから聴いたら
      もっと面白いかもしれない・・・・

      その前に宿題やりなさい!という声も聞こえて来るけれど
      これから、夜のコンサートに向かう私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      calendar
       123456
      78910111213
      14151617181920
      21222324252627
      282930    
      << April 2019 >>
      PR
      ★コンタクト・メイル★
      メイルはこちらへ
      ブログランキングに1クリックお願いします
      selected entries
      categories
      archives
      recent comment
      recommend
      links
      profile
      search this site.
      others
      mobile
      qrcode
      powered
      無料ブログ作成サービス JUGEM