イワン雷帝 映画と音楽 ウィーン放送交響楽団

0
    Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年6月23日 18時30分〜22時30分

    ORF Radio-Symhonieorchester Wien
    Wiener Singakademie
    メゾソプラノ Marina Prudenskaya
    バス Aleander Vingradov
    アルト Dietlinde Gattinger, Christa Schwarz, Andrea Zimmermann
    指揮 Frank Strobel

    Sergej Eisenstein (1898-1948)
    “Iwan der Schreckliche I/II” (UdSSR 1944/1958)
    Sergej Prokofjew (1891-1953)
    Musik zu “Iwan der Schreckliche” op. 116 (1942-45/61/2016)

    コンツェルトハウスの大ホールでの「映画と音楽」シリーズは
    今回はセルゲイ・エイゼンシュタインの最後の作品
    「イワン雷帝」の一部(103分)と二部(88分)に
    オーケストラとソリストとコーラスを付けちゃうという
    まぁ、贅沢というか長丁場というか(笑)

    映画に造詣が全くない私でも
    エイゼンシュタインの名前(だけ)は知っている。
    戦艦ポチョムキンとか言う作品があるのも知っているし
    (見た事はない(恥))
    イワン雷帝という映画があるのも知っていた。
    (見た事はなかった(恥))

    開始時間が18時30分と言う事で
    仕事していたら諦めるところだが
    いやもう、リタイアしちゃったからね。
    (ちょっとだけ仕事してるが)

    最貧民席でも20ユーロを超えるチケットだけど
    舞台には大規模オーケストラがずらり真っ黒の衣装で揃って
    大規模コーラスが、またずらり真っ黒の衣装で揃って
    大スクリーンの映画にはドイツ語の字幕もしっかり出てくる。

    映画のテクニカルな事はま〜ったくわからないけれど
    (モンタージュ技法とか、そういう事については完璧無知)
    顔の大写しアップがかなり多くて
    第二部では、まるで歌舞伎のメイクみたいなイワン皇帝が
    ミエを切ったりしていて
    なんか歌舞伎に似てるなぁ、と思ったら
    エイゼンシュタインは歌舞伎のファンだったそうで(爆笑)

    最初の話は
    イワンが皇帝になって
    貴族の反発にもめげず、民衆を味方につけて
    あちこちを征服して行くのだが
    最愛の妻を毒殺され
    いじけて田舎に引っ込んだら
    大衆からモスクワに呼び戻されるという

    まぁ、スターリンのプロパガンダ映画と思えば
    当時のソビエト連邦の感覚だと
    こういう、民衆を味方につけて云々はウケるだろうなぁ。

    でも映像がキレイ、というより
    カメラワークが面白い。
    陰謀している貴族の顔のアップや
    それに対するイワン皇帝のアップが
    その時の感情を、ものすごい印象で伝えて来るし
    白黒ではあるのだけれど(第二部は一部カラーもある)
    衣装やセットがものすごく凝っていて美しい。

    イワン皇帝の人物像も、かなり複雑な表現になっていて
    主人公なのに悪人だか優れた政治家だか、よくわからん。
    第二部では子供時代に他の貴族から
    母親を殺されて、貴族を信用してはいけない、と言われた追想が出てくるし
    第一部の終わりから第二部にかけて
    たった一人で、誰も信頼できず
    友情に飢えた、孤立した人間像も現れてくる。

    イワン雷帝を演じた俳優さんは
    主人公なのに、全然イケメンじゃなくて
    ヒゲをはやしたりして、ますますヘンで
    クルプスキーの方が、ずっとイケメンだったし
    妃のアナスタシアは、すごい美人。

    第二部で
    皇帝の地位を狙うエフロシニアの息子のウラジミールに
    ツァーの衣装を着せ
    エフロシニアの刺客は、イワンだと思ってウラジミールを殺してしまう。
    その後に吐くイワンのセリフが
    「殺人は無罪。この刺客が殺したのは、ただのツァーという名前だ。
     ただのビーバーの毛皮を纏った象徴だったのだ」
    ・・・って、何だかむちゃくちゃ深いんですけど。

    みんなから嫌われている事を自覚して
    なら、本当に The terrible (der schreckliche) になってやる、と
    開き直るシーンも印象的。

    一部カラーで撮っている部分の色彩は
    白黒でずっと見ていた目には、ギラギラしてすごい。
    本当に歌舞伎の世界だわ。

    この頃の俳優さんの「目」のちからも圧倒的。
    信じられないクローズ・アップをしているから
    ますます凄い印象を与える。

    音楽はプロコフィエフ作曲で
    イワン雷帝のテーマが繰り返し現れ
    教会のシーンでは、コーラスのミサ曲が印象的。

    しかしまぁ、名画を鑑賞して
    ナマの迫力たっぷりな演奏を聴いて、というのは
    実に贅沢な時間だなぁ。

    来シーズンは
    オーストリアのローベルト・ラントの無声映画
    ロッテ・ライニガーのアシュメッドの冒険
    ムルナウのタルチュフにトーンキュンストラーというのは食指を唆るし
    カリガリ博士の監督のロベルト・ヴィーネの「薔薇の騎士」も行きたい。
    アベル・ガンスの「私は弾劾する」なんていうのもある。

    まだまだお楽しみはいくらでもあるなぁ、と
    ウハウハしている単純な私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    calendar
        123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930 
    << June 2017 >>
    PR
    ★コンタクト・メイル★
    メイルはこちらへ
    ブログランキングに1クリックお願いします
    selected entries
    categories
    archives
    recent comment
    recommend
    links
    profile
    search this site.
    others
    mobile
    qrcode
    powered
    無料ブログ作成サービス JUGEM