クラング・フォールム + エミーリオ・ポマリコ

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    日曜日のトリプル・ヘッダー(アホかワタシは)
    時系列に読みたい方、午前中のウィーン・フィルは ここ
    午後のバイエルン放送響とラトルは こちら

    下は夜のコンサートの個人メモです。

    2024年3月17日 19時〜20時45分

    Wiener Konzerthaus - Mozart Saal
    Klangforum Wien
    オーボエ Markus Deuter
    ビオラ Paul Beckett
    指揮 Emilio Pomàrico

    „Quadro italiano“

    Luciano Berio (1925-2003)
     Chemins II (su Sequenza VI)
     für Viola und neun Instrumente (1967)

    Niccolò Castiglioni (1932-1996)
     Morceaux lyriques für Oboe und Orchester (1982)
     (Bearbeitung für Oboe und Ensemble von Emilio Pomàrico, 2023)

    Emilio Pomàrico (*1954)
     Konzert für 24 Instrumente
     Paralipomena a „Caractères“ (1964) di N. Castiglioni (2023)

    クラング・フォールムのチクルスは
    ご存知、今シーズンは売り切れで
    でも、ちょくちょくキャンセルのチケットは出るので
    今回も狙って狙って
    出て来たキャンセル・チケット(結構お高い席)を確保。

    来シーズンは何とか席を確保したい、と
    コンツェルトハウスに申し込みはしているのだが
    チクルスのお客さまが戻さないと出て来ないので
    現在、キャンセル待ち。

    ちっ、まさかウィーン・フィルの定期公演以外で
    キャンセル待ちでないと取れないチクルスが
    現代音楽である、という時代が来るなんて
    誰も思っても見なかっただろう。

    現代音楽ファンとしては嬉しいが
    チクルスで来ている全体の80%を占める
    ご年配のお客さまたちって
    やっぱり自分で若い頃に
    ダルムシュタットとか行っていた人たちなんだろうなぁ。

    「現代音楽」と銘打っても
    ブーレーズもシュトックハウゼンもケージも
    最近ではバートウィッスルやツェルハ
    ついこの間はアリベルト・ライマンも亡くなって
    「現代音楽」というより
    既にクラシック的な作品も多いと思う。

    さて、今回のコンサートは
    イタリアのキャンバスと銘打って
    ルチアーノ・ベリオとニッコロ・カスティリオーニ
    そして指揮者のポマリコが
    カスティリオーニのモチーフで作曲したパラフレーズ。

    ベリオの Chemins II (su Sequenza VI) は
    自分の作曲したセクエンツァを
    自分で分析し、拡大し、解釈したもの。

    もともとセクエンツァが
    とんでもない超絶技巧の曲なのだが
    それを更に超絶技巧にしたような感じ。
    ビオラのプレイヤーの
    目にも止まらぬ速さのボーゲンの扱いに
    絡んでくる他の9つの楽器。

    きゃ〜、もう、目が点。
    これ、セクエンツァと一緒に聴いたら
    面白いだろうなぁ。
    後でセクエンツァも聴いてみよう。

    さて次の曲のニッコロ・カスティリオーニ
    私は無教養なので知らなかった。
    指揮者のポマリコと仲が良かったらしく
    ぜひ作品を紹介したい、という意向だったらしい。

    で、え? なに、この曲???
    ちょっと言葉にならない・・・

    最初のオーボエのソロだけ聴くと
    あ、12音技法を継承した人か、と思うんだけど
    オーボエのソロに絡まってくるピアノ
    その後に他の楽器で繰り返されるモチーフ

    オーボエと他の楽器とのアンサンブルが
    12音技法を越えて
    トナールな技法になりながら
    ものすごい自由度を持った完成形になっていて

    「音楽」として純粋で
    しかも
    むちゃくちゃ親しみ易いんですよこれ💡

    すごいユーモアあって
    なんですか、この楽しさは・・・
    オーボエのプレイヤーは
    クラング・フォールムのメンバーだが
    ものすごい技術 😳

    いやビックリ、驚き、楽しさ満杯。
    女の子っぽく言っちゃうと
    ひたすらカワイイのだ、この曲。

    他のプレイヤーだが
    Spotify で見つけたので貼っておく。
    20分ほどの曲。

    レジスターが高いので
    現代音楽聴き慣れていない人には
    ちょっと金切り声に聞こえるかもしれないが
    途中からトナールのメロディが
    ユーモアたっぷりに入ってくるし

    最後から2曲目の
    超絶技巧オーボエ・ソロはひたすら凄くて
    その後は
    トナールのオーボエ猫が遊んでいると
    そこに一緒に遊びたくて
    入ってくる犬がキャンキャン吠える
    (ように聴こえる)

    この録音では強調されていないけれど
    最後の1音がライブで聴くと非常に印象的。



    いや〜、ナニこれ、楽しい 😀

    破天荒なラヴェルと
    ひたすら正統的で真面目なブルックナーに
    嵐のような感情に振り回されたマーラーの後に
    一服の清涼剤って感じ ❤️

    休憩の後は
    指揮者のポマリコが
    友人だったカスティリオーニのモチーフを使って
    それを発展させたりして作曲したもの。

    指揮者として、作曲活動に専念できなかったポマリコが
    2020年からのコロナでのロックダウンの時期を利用して
    作曲したものだそうで
    本日が初演である。

    カスティリオーニのモチーフを使っているとは言え
    もともとのモチーフ、私は知らないし
    どういう方法で、ポマリコがモチーフを弄ったかも
    作曲技法に知識がないのでわからないが

    音響のバリエーションが素晴らしい。
    聴いていて、夢中になるくらい
    音の力と色彩の嵐。

    30分の曲なんだけど
    終わった時に
    え?これでもう終わり?って
    客席で呟いてしまったほどに
    まだまだ、このバリエーションを
    聴いていたい、と思わせる作品になっていた。

    というワケで
    1日トリプルのコンサートのハシゴは
    これにて終わり。

    バリエーションが豊かで
    面白い1日にはなったものの

    まだ済んでいない大学の宿題が 😱
    (コンサートとコンサートの合間に
     国立図書館に行ってはいたのだが
     学生多過ぎて席が全くなくて・・・)

    仕事だったら
    とっくにクビになっているだろうが
    仕事は引退したから良いんだもん
    ・・・とか
    謎の理由で自分を正当化する
    卑怯者の私に
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    クラング・フォールム + ベアート・フラー

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      2024年1月17日 19時〜21時

      Wiener Konzerthaus - Mozart Saal
      Klangforum Wien
      Beat Furrer
      „Leuchtturm“

      Klangforum Wien
      ソプラノ Elīna Vilma-Helling
      バリトン Matias Bocchio
      ピアノ Johnnes Piirto, Florian Müller
      指揮 Beat Furrer

      Beat Furrer (*1954)

      in mia vita da vuolp
       für Sopran und Saxophone (2019)

      Nuun
       für zwei Klaviere und Ensemble (1995-1996)

      Studie 2 - à un moment de terre perdue
       für Ensemble (1990)

      La bianca notte
       für Sopran, Bariton und Ensemble (2013)

      クラング・フォールムは
      現代では最も知られている現代音楽のアンサンブルだが
      1985年にベアート・フラーが
      Sociéte de l’Art Acoustique という名称で設立し
      1989年からクラング・フォールムという名前で活動している。

      そのベアート・フラーも、今年で70歳。
      誕生日は12月だから、まだ69歳だが、ともかく、めでたい、という事で
      今回はフラー自身が指揮台に立って
      プログラムはすべてフラーの作品。

      このブログに引っ越した2008年から
      既にフラー鑑賞については記載があるし
      私の悪い記憶力でも
      FAMA の初演(2013年にも再演に立ち会っている)も
      聴いたような記憶があるので
      この作曲家も、15年以上、追っかけてるような気がする。

      いやでも、最初のブログ(既に消滅)では
      細かい音に異様に拘る不思議なおじさん、とか書いた覚えがある。
      今でも印象は変わっていないけれど(ごめんなさい)

      当時のメモを読み返してみると
      サルヴァトール・シャリーノとフラーの音楽の
      様式的な区別もつかなかったんだもんなぁ。
      その意味では
      少しは私にも経験がもたらす変化があったのだろうか。

      最初の曲は
      サクソフォンとソプラノで
      テキストはエンガディン在住の詩人。
      テキストとその翻訳はプログラムに記載されているのだが
      いったい、これ、何語?という素朴な疑問の回答が
      プログラムには載っていない。
      たぶん、エンガディン地方ならレート・ロマンシュ語だろう。

      会場の照明を暗くされてしまったので
      手元のテキストも翻訳も読めないんですが 😱
      (通常、コンツェルトハウスはそのあたりは
       気が利いているはずなんだけど
       今日は後半のソプラノ・バリトンの時も
       照明が暗くてテキストが読めなかった(涙))

      でもテキストが理解できなくても
      サクソフォンの響き(呼吸音含む)と
      ソプラノが合わさる事によっての
      音色の凄さに圧倒される。

      ユニソノで被さったり
      リズムや音がずれて重なったり
      でも、これ
      サクソフォンの伴奏付きソプラノのリートというより
      ソプラノの伴奏付きサクソフォンのソロ
      って言う印象が強い。

      と言うより、ソプラノとサクソフォンが
      時に一体化し(その音響のスペクトラムが!!!)
      時に反発しあい、同化して、分離して
      最後には和声を描き出すという
      音色の変化とドラマツルギーが素晴らしい。

      2番目に演奏された「ヌン」(と読むんだろうな、ヌーンかもしれないが)は
      しっかり音源があるので
      事前に聴いてみた。
      最初が超高速のアンサンブルとピアノで
      中間部で区切りがあって
      その後はフラグメント的な浮遊感のある曲。

      昔の音楽って
      (註 ここで「昔」と言うのは
         日本的感覚で、バッハ以降からウィーン楽派
         ロマン主義中期くらいまでとご理解下さい)
      最後がどど〜んと盛り上がって終わる
      ドラマツルギーが多かったと思うのだが
      アンチ・クライマックスとか
      リヒャルト・シュトラウスの交響詩あたりから?

      でも、この Nuun って曲
      出だしの超高速で度肝を抜かれるが
      後半のフラグメントになっても
      思いがけない音が突然出てくるので
      予想不可能の音楽がエキサイティング。

      後半最初の曲は
      フラーらしいフラグメントの連続。
      (細かい音に異様に拘る不思議なおじさんのイメージ)
      でもこれ
      途中でメトロノームの拍を数えるような音響や
      何かの機械がハレーション起こしているような
      高周波の音が使われていて
      集中して聴かないと
      会場の雑音なのか
      舞台で演奏されている音楽なのか
      わからなくなるし
      途中で、自分の時間軸が
      ズレていくような不思議な気分になる。

      アンサンブルのトゥッティで
      パーカッションが入って盛り上がって
      あっ、この曲、クライマックスあるんだ
      ・・・と思ったら
      その後に
      空気の振動・・・としか聴こえないような
      不思議なオーロラっぽいパートがあって
      ピアニッシモで終わる。

      聴衆のコンヴェンショナルな期待を
      ことごとく破壊していくような曲だわ(笑)
      ・・・現代音楽って、それが面白いんだけど。

      最後は
      ソプラノとバリトンがアンサンブルに加わって
      歌詞が入るラブソング?

      歌詞はイタリア語で
      プログラムにテキストとそのドイツ語訳が載っているのに
      会場の照明が暗すぎて読めない(怒)

      最初のインストルメンタルは序曲っぽい。
      その後、ソプラノが入り
      バリトンが入り
      bianca notte とかアモーレとか言っているので
      きっと、ロマンティックな
      イタリアン・オペラの現代版かな?

      バリトンが途中、歌う、と言うより
      話す感じのレチタティーヴォになっていて
      月だの教会だのと言う単語は聴こえるので
      (だってイタリア語わかんないんだもん)
      ラブソング・・・というより
      ドラマチックな構成を聴くと
      ちょっとしたオペラを鑑賞した気分。

      フラーの多様でありながら
      統一感もある曲を4曲
      本人の指揮で聴けて
      ものすごく満足した私に
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      Nuun だけど
      実はスコアも図書館のデジタル版があって
      DLしてみたんだけど・・・

      スコアが大きすぎて(しかも手書き)
      私のノートブックPCの小さな画面では
      全体の表示が不可能で
      (小さくすれば見られるけど
       そうすると今度は音符が全く見えない(意味がない))
      pdf に落としてみたら
      1ページに1枚が収まらず・・・という
      悲惨な状況になった。
      現代音楽あるあるって事か。

      大学の大きなスクリーンのPCで呼び出して
      見てみる以外に方法はなさそう。
      (オリジナル買うとか
       もっと大きい画面のPCを買う余裕はない・・・)

      サウンド・エクスチェンジ @ Wien Modern

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        2023年11月13日 19時30分〜21時40分

        Reaktor
        SOUND EXCHANGE

        between feathers
        パーカッション Hannes Schöggl
        アコーディオン Maria Mogas Gensana
        フルート Audrey G. Perreault
        ソプラノ Elīna Viluma-Helling
        Trio Tempesto
        チェロ Urban Megušar
        アコーディオン Sanja Mlinarič
        クラリネット(客演)Urška Zupan

        Katharina Roth
         Verwobene Linien - gesponnene Fäden
         für Akkordeon und Violoncello (2021/2022EA)

        Vili Polajnar
         Crimes of Love für Sopran, Klarinette und Schlagzeug
         (Neue Fassung) (2023UA)

        Víctor Morató Ribera
         im kopf für Klarinette, Schlagwerk, Akkordeon
         und Viloencello (2022)

        Jeeyoung Yoo
         Le mura di gerico für Sopran und Violoncello
          (Neue Fassung) (2021/2023UA)

        Uroš Rojko
         Odetekanja časa (Running out of time) IV für
         Bassflöte, Bassklarinette und Samples von zwei Smartphones
         (2022UA)

        Emre Sihan Kaleli
         I am a Diptych für Klarinette, Akkordeon und
         Violoncello (2021EA)

        UA は世界初演
        EA はオーストリアでの初演

        ウィーンのイベント会場には
        独特の雰囲気を備えた場所が多いが
        この、レアクターというところは
        住宅地のど真ん中にあって
        隠れ家っぽく、秘密な雰囲気が妖しい♡

        コンクリート打ちっぱなしの
        素晴らしい音響の小ホールで
        若い作曲家たちの室内楽の夕べ。

        編成は2人か3人のものが多い。
        細かい感想については省略するけれど

        いや〜、環境音楽というか
        キラキラした音が
        コンクリートの会場に散らばっていく感じ。

        現代音楽のコアなオタク観客しか来ないので
        (年配のオタッキーか、作曲家の知り合い・お友達の若人)
        会場は実に静かで
        音に集中できるし
        最高だわ、これ。
        マジにゴキゲン。

        オーケストラとは違う音響で
        すべてがクリアなラインを描き
        空気を裂いていくような感じ。

        ただ、曲によって、様々な細かい工夫はあるのだけれど
        どの曲でも、何となく同じように聴こえてしまうのは
        私の感受性のなさがなせる技である(ごめんなさい)

        ちょっと私生活がバタバタしているので
        (彼氏が出来た、とかではない(笑))
        短いメモにて失礼・・・という私に
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        作曲家も全員同席して
        演奏の後に拍手を浴びていたけれど
        作曲家として、聴衆の反応を直に見られるのは
        楽しいだろうなぁ。
        (しかも、バリバリの現代音楽オタクで
         喝采はあれど、ブーは絶対にないというコンサートだし)

        ポルヴェクセル30

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          2023年11月2日 19時〜21時20分

          Atelierhaus der Akademie der bildenden Künste (ehem. Semperdepot)
          POLWECHSEL 30
          チェロ Michael Moser
          コントラバス Werner Defeldecker
          パーカッション Burkhard Beins
          打楽器 Martin Brandlmayr
          テノール・ソプラノサクソフォン John Butcher (Gast)
          ピアノ Magda Mayas (Gast)
          照明 Goran Peranović

          Martin Brandlmayr
           Chains and Grain für Violoncello, Kontragass und zwei
           Schlagwerke (2022 UA)

          Peter Albinger
           Orakelstücke für vier Instrumente, Sprache, Objekte und
           Mikrofonierung (2022 UA)

          Michael Moser
           Partial Intersect für Saxophon, Klavier, Violoncello,
           Kontrabass und zwei Schlagwerke (2022 UA)

          Werner Dafeldecker
           Jupiter Storm für Saxophon, Klavier, Violoncello,
           Kontrabass und zwei Schlagwerke (2022 UA)

          ところで、全然意識せずに書いちゃってるけれど
          UA は Uraufführung = 初演で
          ÖEA はオーストリアでの初演の略。

          私の大好きなセンパー・デポでのコンサート。
          いつもは遠い入り口から入るようになっているのだが
          今回はオペラ座に近い方の入り口が開いていて助かった。

          Polwechsel と言う
          訳すなら「極のチェンジ」?とかになるのか
          現代音楽ばっかりやってる人たちのグループ。

          会場で会ったクラスメートが
          幕間に
          プレイヤーたちって
          こう言う音楽やってて楽しいんだろうか、と言っていたが

          いやいや、楽しいに決まっている。
          だって、初演の4曲のうち
          3曲は、プレイヤーのメンバーの作品だもん(笑)

          で、このコンサート
          聴いていても、全然楽しくないし
          如何にも「現代音楽ですっ!」と
          必死になって主張している
          音響の塊、と言う作品が多くて

          その意味では、かなり面白かった
          (どうせヘン⚪︎イですワタシ)

          コンサート終わったら
          すっかり記憶から抜け落ちそうだが

          最初の曲は
          マジにただの音響・・・なんだけど
          マイクを色々な方向に翳して
          ループ?じゃなくて
          あれは、わざとハレーションを起こさせているのか?

          37分間にわたって
          脈絡のない「音響」のみの面白さで
          聴かせてしまう曲。

          ペーター・アルビンガーは有名だが
          2曲めの19分の作品は
          ワタクシ的には非常に面白かった。

          3部構成で
          最初は、私の見えないところで
          床?をハンマーで叩いている
          あんたはマーラーか、って音に続いて

          パラパラと弦楽器の音が入り
          中間部では
          チェロとコントラバスが
          半音階のスケールを弾いて
          パーカッショニスト2人と共に
          時々、手元の貝?か何かわからないけれど
          シャカシャカ擦る。

          しかもプレイヤー4人ともに
          他のプレイヤー見ながら
          何か喋っている。

          喋っているのは聞こえないけれど
          少なくとも、喋っている口もとで
          プレイヤーのコミュニケーションらしきものをしている
          ・・・ように見える。

          これって、もしかしたら偶然性で書かれてる?

          このプレイヤーが、これを演奏したら
          他の人は貝や、木材を擦って
          シャカシャカ音を立てるべし・・・とか

          パーカッションのプレイヤーが
          チェロに向かって喋ったら
          チェロが半音階で下降スケールを弾くとか?

          何か秘密の暗号が隠されているみたいで
          その謎解きが出来ないものか、と
          ずーっとプレイヤーを見ているうちに

          最終楽章?に入って
          またもや、パーカッショニストが
          床?をドカンドカンと叩いて終わり。

          深読み過ぎかもしれないけれど
          ワケのわからない興味を唆る作品ではあった。

          幕間の後に
          メンバー作曲の2曲の初演。

          最初の作品は
          やっぱり、音楽、と言うよりは「音響」
          1音を様々な楽器(数は少ない)で組み合わせて
          特殊奏法も入れての20分だが
          よくわからん。
          と言うより、あまりに音響寄りで
          最初の曲と区別がつかない。
          (どうせ感受性ゼロだし、音楽性ゼロですワタシ)

          最後の作品も
          楽器編成は同じで
          音響だけか、と思っていたら
          ほんの少しだけ
          音の進行(要はメロディっぽいモチーフ)が
          後半になって
          時々、チラッと聴こえて
          しかも、それが
          ちょっとジャズ系?

          メロディと言う音の連なりが
          フォームと和声を伴って音楽になる
          と言う、伝統的な音楽概念は
          とっくに崩壊しているけれど
          その前段階の原始状態みたいなカオスを連想させて
          面白く聴けた18分。

          このホール、柱があちこちにあって
          (昔の倉庫である)
          その柱の上に色付きの照明が付いていて
          舞台の背景色も
          曲によって
          赤になったり青になったり
          柱も、場合によっては演奏中に
          赤い照明が柱を移動して行ったりした。
          (どの曲で、どういう照明になっていたかは
           コンサート終了時点で
           しっかりと忘れている・・・)

          難しい、と言うより
          ワケわからないし
          この4曲を現代音楽史に位置付けしろ
          と言われたら
          私はちょっと混乱する。
          (別にスペクトル楽派を継いでいるワケでもないし
           あれかな、サウンド・スケープ?
           いや、でも妄想的にはちょっと違う・・・)

          いわゆる、ワケのわからん「現代音楽」と言われる
          ジャンルには、最も適した例かもしれない。

          来ている人たちもガチガチの
          「ワケわからん現代音楽が聴きたい」と言う
          (まぁ、途中で帰った人も居たけど)
          それなりの服装の年配の方々が多くて(すみません)

          実は私もそのガチガチ層の一人かも
          と、少し不安になったワタクシに
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          ゲオルク・フリードリヒ・ハース 11.000 Saiten

          0
            2023年11月1日 19時30分〜20時40分

            Wiener Konzerthaus - Großer Saal
            Georg Friedrich Haas
            11.000 Saiten
            Klangforum Wien
            50 Studierende des Ludwig van Beethoven Institutes
            für Klavier in der Musikpädagogik der mdw -
            Universität für Musik und darstellende Kunst Wien
            ピアノ・コーディネーション Albert Sassmann, Clara Sophia Murnig,
            Johannes Marian
            指揮 Tim Anderson
            プロジェクト Kira David, Gerda Sakio | Wien Modern


            Georg Friedrich Haas
             11.000 Saiten für 50 im Raum verteilte Klaviere im
             Hundertsteltonabstand und Kammerorchester (2020 ÖEA)

            ウィーン・モデルン現代音楽祭2日目は
            マスコミでもかなり派手に取り上げられたプロジェクト。
            チケットは売り切れだし
            ホールも満杯の状態だった。

            コンツェルトハウス大ホールの平土間は
            椅子は取り外され
            舞台上と、平土間のエストラーダ席(取り外し不可)の前に
            ズラッと並ぶ50台のピアノ。
            (グランド・ピアノではない。
             12トンの重さがあったそうで
             調律の人たちも大変だったようだ)

            18時30分からのプレトークに集まった人たちで
            バルコンのフォワイエも満杯。

            ハースは
            平土間に立って真ん中で聴くのが良いと言っていたけれど
            ウィーン・モデルンのインテンダントの
            ベルンハルト・ギュンターは
            ゲネプロの時に
            ギャラリーで聴いたら、素晴らしかった
            と言っていたので

            裏階段登って
            さっさといつも愛用している
            超貧民席に移動(身についた貧乏)

            後から見たら
            平土間(みんな立っている)は
            オペラ座舞踏会か、ってくらい
            観客が密集した状態。

            平土間に居たクラスメートに後で聞いてみたら
            動くと人にぶつかるので
            みんな、静かに身動きせずに立ち続けていたらしい。

            さて、普通は出演者の名前を
            全部書き出す事にしているけれど
            今回は・・・無理。
            クラング・フォールム24名に
            ピアニスト50人・・・

            ちょっと想像し難いと思うので
            世界初演の時の動画を貼っておく。
            10分弱で作曲家自身や
            クラング・フォーラムのCEOの話(英語)もある。
            すごい音が出るので
            ヘッドフォンでお聴き下さい。



            面白いな〜、と思ったのは
            この曲、すごく「聴きやすい」

            もちろん、マイクロトナールは使っているものの
            僅かな周波数の差なので
            人間の聴覚のカテゴリー認識で
            一つの音と認識する閾値と
            多少の唸りが生じるか生じないかのところで
            非常に巧みに処理されている。

            しかも、尖った不愉快な不協和音的な
            ヘンに不安感を煽る部分がない。
            (もちろん、私が不協和音を聴き慣れてしまっていて
             ちょっとやそっとじゃ驚かないから、という可能性もある)

            だって、クラスターでさえない、というか
            コーウェルのクラスターは
            もともとが2度の重複を使ったものなのに
            2度の重複を感じさせるというよりは

            リゲティがアトモスフェールとか
            ロンターノで使った
            「音響の雲」みたいな印象で
            すべてが混ざり合った
            かなり美しいバランスの取れた
            音響空間を生み出している。
            (出だしなんて、長調の3和音の重なりだよ・・・)

            超貧民席の音響だけ良い場所に居たから
            平土間で演奏されている
            すべてのピアノと、その他の楽器が
            うまく混じって
            統一の取れた音響の塊となって
            上に登って来た、という理由もあるだろう。

            平土間で聴いていたら
            もっと、各楽器の飛び出した音が強調されて
            先鋭的に聴こえて来たのかもしれない。

            しかも、この曲、かなりドラマツルギーが入っていて
            非常にナラティブで、語る力が強い。
            宇宙だの、都市の景観や
            最後の密林か何かの
            動物の叫び声や
            人智を越えた嵐の凄まじさとか

            妄想を喚起するのだが
            喚起される妄想が
            かなりリアル、というのも珍しい。

            ゲオルク・フリードリヒ・ハースって
            本当に大昔に
            前の奥さんと結婚していた頃から
            マイクロトナール使いの作曲家という事で
            ずっと追い掛けていたんだけど
            (途中で今の奥さんとの
             かなりヤバイ個人的なストーリーを
             おおやけに話し出した時代もあるし)

            以前より
            ずっと音楽が「丸く」なったような気がする。
            尖ってなくて
            素直で
            ああ、今、この人
            作曲家としても名前が売れて
            経済的にも、私生活でも
            幸せなんだろうな、と妄想してしまうくらい。

            不幸でなければ
            芸術作品は出来ない、とか
            野暮な事を言うつもりはない。

            尖っていたものが
            丸くなる事は
            喜ばしい事であっても
            悲しむべき事ではないし
            年齢と共に
            自分を受け入れて
            出てくる芸術が明るいものになるのは歓迎する。

            昨今、暗い出来事が多くて
            (戦争、難民、エネルギー危機、環境保護問題などなど)
            世界状況を見れば
            滅入る事も多いのだが
            ワタシも歳を取ったので
            若い頃のような
            人生に対する悩みがなくなってしまった(汗)
            ・・・もともと能天気な人間なんだけど
            ますます楽観主義に徹して来た傾向が強い。

            今回のコンサートでの「音響」は
            確かに、50台のピアノ(調律がそれぞれ違う)と
            クラング・フォールムのアンサンブルの演奏が重なって

            でも、その大編成の音響が
            濁ることなく
            汚くなったり不快感を与えることなく
            ドラマチックな物語を紡いで行く有様は
            ある意味、奇跡と言っても良いかもしれない。

            これから、他の場所でもコンサートが予定されているらしいが
            この曲、大掛かりなスペクタルという側面だけではなくて
            音楽的、音響的な面からも
            ウケるような気がする(悪い意味ではありません)

            地下のホールで
            コンサート後にパーティもあったらしいのだが
            ともかく、すごい人の数で
            (行こうとしたんだけど、階段のところで身動き取れない有様)
            諦めて帰宅したチキンな私に
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            グシュテットナー「ファンファーレ」& ヤコーバー「Saitenraum(弦の空間)II」

            0
              2023年10月31日 18時〜18時50分

              Stadtpark Wien
              Maria Gstättner
              FANFARE
              Ein Spaziergang im Park mit 100 Mitwirkenden

              Maria Gstättner
              Fanfare allez ensemble für zwei Blasorchester, Punkband,
              Pop-Duo, Bläserensemble, Drum-Line, E-Gitarre,
              Synthesizer, Solo-Bass-Posaune, Choreographie und
              lichtbasierte künstlerische Intervention (2023 UA)

              Interkreative Komposition unter Einbeziehung von
              David Christopher Panzl
              A Bridge to Tradition. Wien Modern Drumline (2023)
              Schapka | Laura Gstättner, Dora de Goederen,
              Marie Luise Lehner, Lilian Kaufmann:
              Auszüge aus No No No | How is it to make music as a woman |
              USQQ (vom Album: Wir sind Propaganda, 2017) und Uni brennt (2022-23)
              Carsten Busse, Francesca Centoze, Victoria Coeln,
              Olaf Osten, Margot Pilz, Deborah Sengl, Gabriela Stötzer:
              Lichtinterventionen mit Lichtgrafiken (2023)

              2023年10月31日 19時30分〜20時30分

              Wiener Konzerthaus
              Großer Saal | Mozart-Saal Schubert-Saal
              Eröffnungskonzert Wien Modern

              Peter Jakober
              Saitenraum II für Streichorchester
              in drei verbundenen Räumen (2022/2023 UA)

              Wiener Symphoniker
              リハーサル指導 Jaime Wolfson
              リハーサル助手 Peter Joyce, Aron Ludwig
              技術・時間計測 Winfried Ritsch, Atelier Algorythmics
              機械 Zlata Zhidkova, Anton Tkachuk, Lars Tuchel
              プロジェクト・リーダー Gerda Saiko, Kira David, Wien Modern
              プロジェクト助手 Fiore Streit

              ウィーン・モデルン現代音楽祭オープン。
              冬時間になって、暗くなった市立公園の
              夜間照明に照らされたヨハン・シュトラウス像のあたりで
              ウロウロしていたら
              人が集まっているところがあって

              この時間に観光客の団体?
              と思ったら
              そこでウィーン・モデルンの担当者が
              プログラムを配っていた(笑)

              あちこちに
              オーストリアの民族衣装を着た
              木管楽器、金管楽器のプレイヤーたちが
              それぞれに音を鳴らしながら歩いていて
              大勢の観客も
              同じ方向に歩いて行く。

              無料の催物ではあるのだが
              知らないで来ている人たちは
              ほとんど居ないと思う。
              (もちろん観光客もゼロだと思う)

              いくつか止まって演奏する場所があり
              最初の場所での木管・金管とドラムの
              トゥッティの、名の通りのファンファーレは
              真ん中にある像に
              ユートピアと描いた看板がつけられている。

              これが、音響的に
              うおおおお
              金管楽器のフォルマントが強調されて聞こえて
              まるで大人数のコーラスのように響く。

              次のステーション
              パーカッションの洒落たソロの後に
              エレキギターと
              女性のパンクのシャウト 😁
              これ、ノリノリで楽しい。
              もちろん
              社会の偏見や不公平や
              戦争についてのシャウトだろうと思うけれど
              (内容はよくわからん)
              こういうポップ要素が入っているのは興味深い。

              一緒に居たクラスメートの意見だと
              ポップとクラシックの対比が目立っていたとの事で
              ああ、そういう見方もあるのか、と納得。

              その後の移動は
              オーストリア特有の「埋葬行進」
              マーラーがよく使っていたし
              フラヌイなんかも、スピーチで
              ブラスバンドの一番演奏頻度が多いのは
              お葬式の時、と言っているので
              これはよくわかる。

              最後にウィーン川のところで
              女性のシャウト+エレキギターの
              ノリノリの演奏の間に
              ブラスバンドは川の向こう岸に渡り
              最後にファンファーレで終わり。

              プロジェクトや作曲家が
              平和を祈って・・・というコンセプトは
              とてもよくわかる。
              こう言う大掛かりなプロジェクト
              平和でなければ不可能だろう。
              芸術家が、現代の戦争に対して
              声をあげるメソッドの
              一つの模範的例かもしれない。

              *********

              移動して近くのコンツェルトハウスで
              コートやリュックを預け
              大ホールとモーツァルト・ホール
              シューベルト・ホールを
              すべて開放した状態でのコンサート。

              各ホールに弦楽プレイヤーが位置していて
              観客は、いつ、どう動いても構わない。
              どういう編成だか貼っておく。
              (クリックで大きくなります)



              観客数は非常に多い。
              非常に多い・・・のだが
              常連、ないしは関係者と
              現代音楽ファンばかりで
              移動も非常に静か。
              (時々、床が軋むのは仕方ないが
               ハイヒールとかの靴音を出す人は誰もいなくて
               もちろん、お喋りもなく
               ここらへんは、さすが、慣れた聴衆だと思う)

              この曲、面白いのは
              各ホールによって、弦楽の編成も
              プレイヤーの位置も違うのだが
              比較的、類似しているリズムやモチーフが
              それぞれのホールで、ある程度のリピートで
              演奏されているので
              ルームごとの「色合い」の違いが際立つこと。

              音響は、とても美しく、繊細で
              ホールの残響と混じり合って
              まるで、音による絵画を体験している気分。
              時間の経過があるので
              絵画というよりはビデオかもしれないけれど
              聴覚情報が、そのまま視覚に影響して来る。

              大ホール内の演奏が
              彩り豊かな大画面の絵画で
              シューベルト・ホールのバイオリンだけの演奏は
              同じモチーフの細密画のような印象。
              モーツァルト・ホールは
              ビオラ、チェロ、コントラバスの編成なので
              ちょっと茶色系統の落ち着いた音がする。

              観客数が多いので
              ホールを移動するのにも非常に時間がかかるのだが
              (入り口狭いし、みんなゆっくりゾロゾロ歩く。
               それでも割り込みとか喧嘩はない・・・)
              3つのホールで
              色彩豊かな音の絵画(ビデオ?)が楽しめる。

              こういう大掛かりなプロジェクトをしてくれるのも
              ウィーン・モデルン音楽祭の良いところだなぁ。
              コンツェルトハウスの総裁も来ていて
              音楽を聴きながら
              他の聴衆と混ざって、あちこちホールを移動していたが
              コンツェルトハウスの、このフレクシブルな対応があってこそ
              現代音楽のコンサートが出来るのだ、ありがたい。

              今年のウィーン・モデルン
              最初から大掛かりな仕掛けで
              これからが楽しみ。

              というわけで
              2つの催物で、個人メモが長くなってしまったけれど
              これから続くのがワタクシ的には楽しみな私に
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              クラングフォールム + メッツマッハー

              0
                2023年9月24日 19時〜21時

                Wiener Konzerthaus - Mozart Saal

                Klangforum Wien
                ソプラノ Laura Aikin
                指揮 Ingo Metzmacher
                »Leuchtende Horizonte«

                Edgard Varèse (1883-1965)
                 Intégrales
                  für 11 Blasinstrumente und Schlagwerk (1923-1925)

                Anton Webern (1883-1945)
                 Fünf Stücke für Orchester op. 10 (1911-1913)
                 Zwei Lieder für Gesang und acht Instrumente
                  nach Gedichten von Rainer Maria Rilke op. 8 (1910)
                 Fünf geistliche Lieder für Gesang
                  und fünf Instrumente op. 15 (1917-1922)
                 Vier Lieder für Gesang und Orchester op. 13 (1914-1922)

                *** Pause ***

                Luigi Dallapiccola (1904-1975)
                 Commiato für Sopran und Kammerensemble (1972)

                Helmut Lachenmann (*1935)
                 Mouvement ( - for der Erstarrung)
                  für Ensemble (1982-1984)

                クラングフォールムのチクルスは
                昨年まで、18時からと20時からの2回あったのだが
                今シーズンから、1回のみになった途端

                チクルス完全に売り切れ状態 😱

                実は大学の先生から
                特別価格で学生10人にチクルス提供の話が来ていて
                わ〜っと思ったのだが

                他のコンサートとかち合う日がいくつかあって
                全部のコンサートに行けなかったら失礼だから
                行けるコンサートだけバラ買いすれば良い
                と思っていたら

                一般発売初日にチケット全て売り切れ 😰
                コンツェルトハウスに問い合わせるも
                キャンセルが出るかもしれないから
                毎日、サイトをチェックしてね、と言う返事で

                幸い、数日したら、安い席が1枚出て来たので
                チケットは確保できたものの

                何故に現代音楽がそんなに人気なの?

                満杯とは言え、何故かバラバラと空き席はあった。
                私の隣の女性の二人連れは
                幕間の後はいなくなってしまった。
                でも、ほとんど満杯のホールを埋め尽くすのは
                年配のお客さまばかり・・・
                (年配=私と同じか、私より年上)

                もともと私は現代音楽が理解できず
                あまりにわからないので
                引退後、大学に入って音楽学とかやってるワケだが

                これだけの数の年配のお客さまって
                みんな、音楽理論の基礎があって
                12音技法の分析も出来て
                音響分析の基礎知識もあって
                音楽史も現代までカバーしているんだろうか。

                ワタシはこの7年間で
                全部やって来たけど
                やっとこさ
                演奏されている音楽が
                音楽史上、どこらへんに位置して
                どの人の影響を受けていて
                どういう新しい事をしているか
                ・・・くらいの
                うす〜い、カゲロウのような知識で
                それでも
                わかんな〜い 😣 と時々、無力感に駆られるのだが。

                今回のプログラムは
                ヴァレーズからウェーベルン
                12音繋がりでダラピッコラの晩年の作品に
                ヘルムート・ラッヘンマンの中期の名作。

                ヴァレーズのインテグラーレスは
                電子音楽を目指した作品で
                現代の耳で聴いてみると
                当時のエネルギッシュな潮流が面白い。

                ちょうどヴァレーズが自分のスタイルを確立した頃の作品で
                Octandre や Ionisation と共に
                音響の解放と並行して
                水平的な集中度を分散させる事によって
                音響の動きの型を作った作品でもある。

                けど、それ知ったからと言って
                やっぱり、こういう作品って
                聴く前に
                楽譜の分析しないと、本当の意味ではわからないんじゃないだろうか。

                ・・・いや、ただの音響として聴いていても
                面白いんだけどさ、ものすごいエネルギーの発散があるし。
                でも、そこに秘められた構造は
                私のような平凡な耳と頭では
                聴いて理解するだけの能力はない。
                自分の才能のなさを嘆いても仕方ないが(汗)

                ウェーベルンの作品は
                音楽分析で
                比較的集中的に扱った事はあるから
                どういう構造になっているかは推測できる。
                (12音の音列とその反列とクレプスを聴き取るのは
                 ワタシには無理である、悪しからず)

                音列は聴き取れないけれど
                ウェーベルンの凄さって
                12音技法で
                あれだけの精密さのある作品でも
                ちゃんと「美しい音楽」に聴こえてくるという事。

                ベルクが音列で協和音の並びを使ったり
                シェーンベルクの一部の作品が
                数学的すぎて人工的に聴こえてくるのと対比すると
                ウェーベルンのあの音楽性は凄いと思う。

                オーケストラ曲の繊細さも突出していて
                聴いていて純粋に美しい。
                世紀末の美学かこれは。

                ソプラノが入ると、これまた面白いというか
                シェーンベルクが
                Sprechgesang に移行するのとは違って
                本当にクラシックの伝統的な発声で
                とことん透明感のある音響を出して来るところ
                ウェーベルンの作曲技法のマトリックスとか知らなくても
                音響として充分に楽しめる作品ではある。

                ・・・そんな事言ってるけど
                本当にワタシは音楽をわかっているのか(いやわかってない)

                後半の最初のダラピッコラは
                晩年に人生に別れを告げる作品だそうで
                最初にソプラノがあ〜っ!と叫んで
                人生の痛みを表現している、とプログラムにあった。

                う〜ん、確かにあ〜っ、と
                叫んでいる・・・のではなく
                歌っている(悩)

                この間、ディーター・シュネーベルと格闘していて
                ヴォルフソンの発声法とかを聴いていたせいか
                ソプラノの美しいクラシックの発声で
                あ〜、とか言う声を聴いても
                痛み・・・までは感じない。

                それやるなら
                それこそ Sprechgesang じゃないけど
                本当のシャウトとかの方が効果的なんじゃないだろうか。
                (そこまで行くと
                 今度はポピュラー音楽における
                 声の使い方の研究まで範囲を広げる必要がありそう・・・)

                面白かったのが
                5部に分かれているそうだが
                テキストの歌唱が入った後の部で
                インストルメンタルが
                歌唱をそのまま引き継ぐところ。

                うわ、フルートが歌ってるぞ・・・
                って、器楽と声楽の混合というか
                不思議な世界が突如として現れて
                聴いている方を混乱の世界に誘い込む。

                ダラピッコラと言えば
                今の観点からなら、ほとんど古典作品だろうが
                思いがけない発見があって
                こういうのが現代音楽(近代音楽?)の醍醐味。

                最後のラッヘンマンの作品だが
                ラッヘンマンは、音素を徹底的に分析して
                カテゴライズして
                再構築しているので
                (もちろん、デリダ言うところの脱構築も含む)

                ただ聴いているだけで
                きっと、その面白さは私には絶対にわからない。
                特殊奏法の音響はもちろん使われているけれど
                楽音も聴こえてくるし
                これこそ
                事前にラッヘンマンの音楽理論と
                その構築を分析しないと
                ただ聴くだけでは
                全く作品の意味はわからないと思う。

                ・・・って言うか
                本当にわからなかったんです(涙)

                ダメだ、本当に現代音楽(近代音楽?)って
                事前の知識がないと
                全く見当違いのところで
                ウロウロする羽目になってしまう。

                その意味で
                こういう音楽を聴く聴衆って
                そういう基礎的な知識や
                事前の分析が出来ている
                あるいは
                分析や基礎知識がよしんばなかったにせよ
                それでも、こういう音楽を理解できるだけの
                もともとの耳と頭の良さを持った人たちなのか・・・

                と考えると
                ど〜んと落ち込んでしまう(涙)

                いやいや
                その知識を補うために
                大学に行ってるんだよね?

                というワケで
                10月に始まる新学期からは
                もっと勉学に励まねば、と
                新たに決心する健気な(どこが?)私に
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                実はコンサート開始を19時30分だとばかり思っていて
                18時15分頃に気がついて
                慌ててノーメイクでマイカーに飛び乗って
                会場まで車を飛ばしたのだが
                (車を停めるところで苦労すると思っていたが
                 超ラッキーで近くに一箇所だけ見つかった!
                 神さま、ありがとうございます🙏)

                何せノーメイクの犯罪者かお前は、という顔だったので
                知り合いとか先生とか
                会場でチラッと見たけれど
                下向いたまま避けて
                コンサート後の交流会にも行かず
                帰って来たアホなワタシ・・・(涙)

                クラング・フォールム + ウィガーズ 「バベルの塔」

                0
                  2023年6月18日 19時30分〜21時30分

                  Wiener Konzerthaus - Großer Saal

                  Klangforum Wien
                  Cantando Admont
                  パーカッション Björn Wilker
                  指揮 Bas Wiegers

                  „THE TOWER OF BABEL“

                  Age Veeroos (*1973)
                   „ich sehe Federn wachsen im Sand der Wüsten …“
                   für Ensemble (2021-2022)

                  Valery Voronov (*1970)
                   Gigantomania
                   für Tamtam solo (2016)

                  Alexey Sysoev (*1972)
                   Col Pugno
                   für Ensemble (2013)

                  Jamilia Jazylbekova (*1971)
                   Les illusions de l’âme
                   für Ensemble (2022)

                  Alexander Khubeev (*1986)
                   The Codex of Thoughtcrimes
                   für Ensemble, 4 Vokalsolist:innen und 4 Performer:innen
                   (Revidierte Fassung, 2023) UA

                  日曜日なので
                  朝7時30分から、たっぷりサウナで汗をかき
                  11時からのウィーン・フィルの定期公演に行き
                  国立図書館に行って
                  席がなくて泣く泣くロビーで
                  コーヒーとサンドイッチで書類見ながらランチして
                  16時からの楽友協会の
                  ティーレマンとドレスデン響のマーラー交響曲3番を聴いて

                  ・・・そこで帰宅する、という選択肢もあった。

                  ティーレマンとドレスデン響のマーラー交響曲3番だが
                  昨日と同じく
                  ポリフォニーがよく聴こえるので
                  ともかく受け手に入ってくる情報量が半端じゃないし

                  最終楽章は失神できる程に美しく
                  縦線も揃っていてオーケストラ巧いし
                  最後の音、確かにフェルマータついている上に
                  「長く」とマーラーが書いているように
                  ものすご〜く引き伸ばした後

                  指揮者が前で腕を交差して
                  ずっと静かに立っているのに
                  (ティーレマンの演奏後の「静寂」は長い(笑))

                  すぐに拍手し出した観客が居て
                  ティーレマン激怒 😡
                  (あ〜、もう何だこれっ!と
                   やけっぱちで観客席を振り返ったけど
                   かなり怒っていた)

                  ・・・まぁ、観光客の多いウィーンあるあるですから(苦笑)

                  モーツァルトの「英雄」(昨日の個人メモ参照のこと)と
                  リヒャルト・シュトラウスの英雄
                  マーラーの交響曲3番という
                  コッテリしたプログラムを楽しんだので

                  現代音楽で脳のマッサージ(笑)

                  今日と明日、クラングフォールムの連続コンサートで
                  「バベルの塔」というタイトルの1日目。
                  コンサート前にはパネル・ディスカッションもあり
                  ソビエト亡き後の音楽と文化のアイデンティティというテーマ。

                  エストニア出身の Age Veeroos
                  モスクワ生まれの Valery Voronov と Alexey Sysoev
                  カザフスタン出身の Jamilla Jazylbekova
                  シベリア地方のペルムで生まれた Alexander Khubeev

                  ・・・でも、みんな、ドイツ語圏で学んでいるんですが?
                  (全員、会場に居たから
                   まぁ、地理的にドイツ語圏の作曲家でまとめた
                   というのも仕方ないし、納得できる)

                  最初の曲は7分ほど。
                  タイトルが
                  「私は砂漠の砂の中で育つ羽根を見る」

                  ・・・わかりません(芸術性欠如のワタシ)

                  ものすごく小さな音の特殊奏法続きで
                  サルヴァトーレ・シャリーノにも師事しているのが
                  よくわかる(笑)

                  次がタムタムのソロ。
                  「地球を手で創造し、マレットで星を創り
                   そこに人間がやってくる」

                  ・・・わかりません。

                  タムタムの特殊奏法で
                  倍音たっぷりに出てくる音響は面白い。

                  その後、アンサンブルの曲になって
                  ソビエト連邦の1920年代の
                  プロレタリア文化と
                  工業化と、個人を抑圧する独裁を
                  テーマにして
                  工場のサイレンの交響曲という
                  Arseni Awraamow の曲に捧げたものだそうだ。

                  これはリズムも和声も
                  ダイナミクスもかなりはっきりしていて
                  後半に使われるサイレンもなかなか効果的。

                  後半の最初の曲は
                  水面の光と影を描いたものだそうで
                  儚い一瞬の動きに
                  人間が存在する前の古代からの自然を感じ
                  水面が伝える
                  絶え間ない新しさをテーマにしたとの事。

                  この曲が面白かった。

                  ただの現代音楽技法(もちろん無調)バリバリだけではなく
                  比較的大胆に調性のあるメロディも取り入れて
                  昔?の音楽と、現代音楽が
                  うまく混じっているのと
                  楽章構成になっていて
                  バリエーションが多くて
                  聴いていて、飽きが来なくて楽しい。

                  最後の曲には、アンサンブルに加えて
                  ボーカルとパーフォーマが登場。

                  ジョージ・オーウェルの小説「1984年」に登場する
                  「思想における犯罪」をテーマに
                  歴史上、その思想のために投獄されたり死刑にされた
                  ソクラテスやガリレオ・ガリレイから
                  近代の思想犯
                  現在、ツィッター上で反ロシア思想を囁いたことで
                  投獄中のロシア人女性などからの
                  テキストを取り上げているのだが

                  テキストそのものは、電子音に分解されて
                  聴衆は聞く事はできない。

                  ただ、ボーカルの人たちが
                  筒を持って
                  そこに息を吹き込む・・・あるいは
                  小声でテキストを話している・・・のかもしれないが
                  もちろん、聴いている方は
                  なんだか、喋っているようだ
                  ・・・程度の認識しか出来ない。

                  ああ、でも、これって
                  今、読んでいる美学の本の
                  現代美学における認識のあり方に
                  バッチリ書いてあった事じゃないの。

                  与えられた事実だけを見るのではなく
                  その裏に隠された芸術的意図を知らないと
                  その作品に対する美学にはならない
                  ・・・とか言う主張だったと思うが。

                  なるほど・・・

                  でもでもでも
                  思想犯の悲惨さを表現したい、と言う意図であれば
                  そのテキストを
                  そのまま提示したらダメなんですか?

                  いや、それを直裁的に提示せず
                  芸術的に表現するのが
                  現代芸術作品である
                  ・・・と言われれば
                  そうなんですね、と納得するしかないけど

                  あ〜、めんどくさい(あっ💦 ごめんなさい🙇)

                  しかし、現代音楽って
                  楽器の特殊奏法も出尽くした感があるし
                  サウンド・スケープの音響も
                  使い尽くされた印象があるし
                  新しい音、あるいは新しい聴覚体験って
                  もうこれ以上は勘弁・・・って感じもするし

                  いったい、現代音楽はどの方向に行くのだろう?

                  私が作曲家だったら

                   携帯電話の呼び出し音と
                   人間の咳き込みや
                   小声でのお喋りを録音して
                   それをマテリアルにして

                   エレクトロ・アコースティックで
                   その音のメルクマールを使って
                   楽音(あるいは雑音)を作って

                   場合によってはアコースティック楽器の
                   特殊奏法で、ちゃんと指揮者も付けて演奏させて

                   その演奏中に
                   同じメルクマールの携帯電話の呼び出し音とか
                   咳き込みとか
                   小声でのお喋りとかを
                   会場から(もちろんパーフォーマーが)出して

                   指揮者が怒って会場に乱入する・・・

                  マウリツィオ・カーゲルあたりが
                  生きていたらやりそうなんだけど
                  (オペラ演出のコンヴィチュニーとかも)

                  でも、このアイデアって
                  ただのお笑い演劇にしかならないか・・・
                  (どうせ、ワタシの考える事なので
                   ついついエンターテイメントになっちゃう)

                  どうせぶっ飛ぶなら
                  その位の事をして欲しいな

                  ついつい考えてしまうアホな私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。

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                  現代音楽の作曲家って
                  みんな大学で、難しい音楽理論や作曲技法を身につけて
                  頭の良い人ばかりだし
                  難しい事ばかりしたがる傾向があって
                  聴衆を「楽しませよう」とか
                  たぶん、全く考えていないのではないだろうか
                  ・・・と
                  根拠のない疑いを抱く今日この頃。

                  アンサンブル・フェース + ラース・ムレクッシュ

                  0
                    2023年5月29日 19時30分〜22時

                    Wiener Konzerthaus - Mozart Saal
                    PHACE
                    Neue Vocalsolisten
                    ハイソプラノ Johanna Vargas
                    メゾソプラノ Truike van der Poel
                    バリトン Guillermo Anzorena
                    指揮 Lars Mlekusch

                    „Nouvelles Avantures“

                    Andreas Trobollowitsch (*1980)
                     hybrid #1 - ⚪︎18
                     für mechanische Turntables, rotierte Flöten, Ballone
                     und Performer:innen (2022-2023)

                    Hristina Šušak (*1996)
                     Anima II
                     für Sopran, Mozzosopran, Flöte, Klarinette, Schlagzeug,
                     Klavier, Violine und Viola (2022-2023)

                    Pierluigi Billone (*1960)
                     Δiχη Wall
                     für Schlagzeug und 6 Instrumente (2012)

                    György Ligeti (1923-2006)
                     Aventures & Nouvelles Avantures
                     Musikalisch-dramatische Aktion in 14 Bildern
                     für 3 Stimmen und 7 Instrumente (1962-1965)

                    本日は祝日で大学もお店も図書館も休み。

                    お昼はウィーン・フィルとジョルダンの
                    楽しい楽しいコンサートを聴いて
                    (印象はほとんど同じなので書かない。
                     昨日分、オーストリア・ラジオ1番で
                     ライブ放送があって、1週間聴けるので
                     ご自分で聴きたい方は こちら からどうぞ。
                     ツィートして下さった@Octavian_KV488さま、ありがとうございました)

                    夜にまたコンツェルトハウスに出掛けた。
                    19時30分開始と書いてあるけれど
                    全席、自由席だから
                    早めに行かないと良い席がなくなってしまう

                    ・・・と思ったのは、私だけではなかったようで
                    しかも2階が閉鎖されていて
                    1階の入口のところに
                    大人数がワヤワヤと集まっている。

                    19時30分にやっとホールのドアが開いて
                    みんな、我先にと席取りに急いで
                    良い席は元気なご年配の方々が・・・
                    (以下省略、私も元気な筈なのだが
                     あのエネルギーには勝てませんでした(笑))

                    ところが
                    何とか観客が入ったところに係員登場。

                    「私のミスでした、まだ開場してはいけなかったので
                     全員、外に出て下さい」

                    うわ〜、自由席確保のためのスカーフ
                    持って来ていて良かった。

                    (擦れた現代音楽自由席コンサートの観客は
                     みんな、同じように不要な上着とかスカーフを
                     座席の上に置いて、外に出る(笑))

                    さて、またドアが開いたら
                    中のあちこちに白い巨大風船が
                    2つづつ、水平に回っていて
                    どうも、そこでレコードを鳴らしているらしい。

                    バルコニーにはあちこちに
                    様々な楽器(チェロ、ホルン、フルートなど)のプレイヤー
                    舞台にはバイオリンとビオラ
                    舞台の上にも、一段と大きな白い風船2個が
                    軸の左右に固定されて回っている。

                    レコードの奏でる周波数の団子(?)の中で
                    時々鳴る楽器の音や
                    チェロが楽器そのものを叩く音

                    だんだん、風船の回転数が減って来ているものもあり
                    時々、プレイヤーが
                    風船から空気を抜いて
                    回転を止めたりする。

                    終わるまで約20分。

                    ・・・で、だから???

                    いや、そりゃインスタレーションだし
                    最初に見るとギョッとするし

                    レコードの回転でもたらされる
                    一定の幅のあるクラスターとか
                    雑音好きには大好物だし

                    クラスターに馴染む弦楽器の音とか
                    クラスターと馴染まずに自己主張する管楽器とか

                    でも、面白いと言えるのは
                    せいぜい最初の5分くらい(断言)

                    こういうホール全体を使う
                    サウンド・インスタレーションするんだったら
                    もう少し、ぶっ飛んで

                    観客の数人に
                    客席からおしゃべりさせるとか

                    ホールをプレイヤーが歩いて来て
                    (あるいは踊るとか)
                    足音なり、その空気の音を混じらせるとか

                    もっと、ハプニング的な仕掛けがあっても良いと思う。

                    ワタシの好みだけど
                    あそこで、観客数人(のサクラ)が
                    客席で小声で喋ったら
                    すごく良い感じに音響が混じったと思うんですよね。

                    周囲から
                    シッ 🤫 って怒られる可能性も高いと思うんだけど
                    そのシッっていう呼吸音に近い音響も
                    あのホールの音に混ざったら・・・むちゃ面白い

                    ・・・と思うのはワタシだけかもしれない。
                    (少なくとも作曲家はそうは思わなかったらしい。つまらん)

                    次の曲についての作曲家のコメントが
                    「笑う と 泣く 二元論か一元論か」
                    ・・・う〜ん 🧐

                    心理学的・哲学的な問題を提起している?
                    いや、両方ともに、似たような感情だし(泣き笑い?)

                    ソプラノ歌手が笑って
                    メゾソプラノ歌手が泣いてる?

                    いや、ソプラノは顔の表情がわかりやすいのだが
                    メゾソプラノの表情が泣いているんだか怒っているんだか
                    今ひとつわからん・・・笑っている?のかもしれない。

                    楽器による演奏は、楽音というよりは雑音?
                    バイオリンが細くて高い音を出したりはするけれど
                    木管楽器は息だけだし
                    anima ってラテン語では、
                    息とか、命とか、魂とか、そんな意味なので
                    「息」と考えれば、楽音の不在はそれで良いのかもしれないが

                    ・・・退屈(すみません)

                    終わったら、指揮者が挨拶している間に
                    ものすごく派手な服装の(察して下さい)
                    スタイルの良い若い女性が
                    舞台に駆け上がって(作曲家である)

                    一刻も早く挨拶したがっているのがミエミエなのに
                    指揮者もプレイヤーも気付いていなくて
                    ちょっと居た堪れませんでした 😅
                    (ちゃんと後で前に立って挨拶した。
                     衣装が衣装なので、お辞儀すると谷間が(以下省略))

                    さてアンサンブル・フェース
                    全員、黒い上下なのに
                    パーカッショニストだけが青いシャツで何故?
                    と思っていたら

                    次の曲のソリストでした 😆

                    お腹のところに丸い銅板?を下げて、指揮者と登場。
                    この銅板を擦ったり叩いたり
                    あるいは手に持った2つの金属を打ち合わせたり
                    金属プレートを叩いたりの大活躍。

                    視覚的にも、お腹の前の銅板さすり?は面白いが
                    でも、これ、さすがに25分続くとね・・・

                    音量の変化はあるけれど
                    メロディないし(やっぱり雑音系)
                    リズムないし(パーカッションとは言え、擦るのが中心)
                    あまりに単調で
                    ついつい眠気が・・・🥱

                    ところで前半の曲のタイトルだが
                    最初の hybrid #1 の数字18の前の⚪︎は
                    ⚪︎ではなくて、矢印が丸まっているもので
                    上の微かに右側に矢印の頭が見える(↑ この形をぐるっと丸めた感じ)

                    けど、そんなフォント、私のコンピュータの
                    何処にも見つからないわよ 💢

                    3曲目のパーカッション曲の題名も
                    ギリシャ語らしいので
                    ギリシャ語フォントを入れて出してみたけど
                    2番目の i ってギリシャ語フォントにないんですが 😤

                    変わった題名で目を引こうというのは理解できるし
                    芸術的な高尚なお考えもおありかと思いますが
                    こういうの、ものすごく迷惑。

                    幕間の後は
                    楽しみにしていたリゲティの
                    アヴァンチュール (1962) と
                    新アヴァンチュール (1965)

                    シニフィアンのなき言語?のシニフィエを
                    音楽が表現できるか・・・って言ったら良いのか
                    通常、オペラにおける言語で表現されるべき内容を
                    音楽ですべてが表現できるか?

                    いやいや、それナンセンスだし
                    テキストに音楽を付けるのがオペラであるなら
                    その反対をやっちまえ、という
                    アンチ・オペラでもあるし

                    感情が音楽で表現されて
                    しかも、それが出演歌手3名の関係性の中で
                    音楽も歌手もアンサンブルも
                    それぞれが疎外し合う。

                    書いていて、自分でもワケがわからないので
                    プログラムに記載されていたリゲティの言及を
                    今や、世界中で持て囃されているAI使用の DeepL に
                    日本語に翻訳してもらった(イェーイ✌️)

                     人間の行動を疎外的に描くことは、
                     それ自体が社会批判を意味するものではない。
                     もし「社会」の側面が、再構成のプロセスを通じて皮肉られ、
                     戯画化され、悪魔化されるとしても、
                     それは何の傾向もなく起こることである。
                     深い意味」[sic] や「イデオロギー」から遠ざかることこそが、
                     私にとってあらゆる種類のコミットメントされた芸術を
                     不可能にしているのである。
                     私の作曲作品にとって、社会の行動規範は、
                     芸術的な形成と再形成のための材料でしかない。
                     作品の社会への逆投影は、不意に生じるかもしれないが、
                     私の芸術的考察の対象では決してなかった。

                    ・・・わかりません 🤯
                    (いくらAIが進んでも、やっぱり人間の翻訳家の需要はありそう)

                    作品についての
                    哲学的、社会学的考察は、一旦置いておくとして

                    ソプラノ歌手、メゾソプラノ歌手とバリトン歌手
                    ピアノ、ピアノの内部を擦るパーカッショニスト1名
                    フルート、ホルン、バイオリン、チェロ
                    パーカッション1名に指揮者。

                    このバリトン歌手が芸達者で 🤣
                    テノールみたいな高音域からファルセット
                    低音の度肝を抜くような音も出すし
                    大袈裟じゃないのに表情が面白くて
                    (ひげを蓄えた中年のおじさんなのだが)

                    たぶん、リゲティの譜の中の
                    バリトンの役どころも良いんだろうなぁ、と思うが

                    おじさん、目立ちまくりで
                    観客からも笑い声が出る。

                    (ナンセンスだから解説できないけど
                     ともかく、なんだか可笑しいのである)

                    3人の関係性も、何となく見える・・・ような気はするが
                    ナンセンス内容なので
                    (時々、言語らしき理解不可能なテキストは入る)
                    歌手の身体の向きとか動きとか
                    表情とか、見つめ合う感じとかによって
                    やっと推測(ないしは観客の妄想)がつく感じ。

                    リゲティは、この作品はオペラ仕立てにしなくても良い
                    とは言っているけれど
                    内容・・・かもしれない妄想を起こす要素として
                    舞台上の歌手の表情は欠かせないだろう、これ。

                    音源だけで聴いても
                    たぶん、ワケわかんないと思う。
                    いや、舞台での歌手の表情見ていてもワケわからんが(自爆)

                    ただもう、皮肉というかナンセンスというか
                    いや、全体的な音楽作りが
                    一環して、ナンセンスに満ち溢れて
                    ともかく・・・楽しいのだ、この作品。

                    楽章に分かれているけれど
                    各楽章の最後で
                    舞台の全員が固まったり(写真ポーズ、指揮者も含む)

                    内容も、繰り返しとかの冗長性が一切なくて
                    緊張感に溢れ
                    (区切りはパーカッションの「ドン!」という音が入る)
                    バリエーション多くて
                    25分が、あっという間(前半の25分に比べて、何という差!)

                    リゲティがすごいな、と思うのは
                    この作品の中に
                    ダダイズムのクルト・シュヴィッタースも
                    マウリシオ・カーゲルのパーフォーマンスも

                    音楽史上のエポック・メイキングな作曲家や作品を
                    研究して噛み砕いて
                    自分の世界にがっちり取り入れている事。

                    リゲティってオケゲムの研究までしていたし
                    まだハンガリーがソ連の支配下にあった頃
                    大学で音楽理論を講義していて
                    その後、ハンガリーを去ってから
                    貪欲に、セリエや電子音楽などの
                    当時、西洋と呼ばれていたヨーロッパの
                    現代音楽の潮流を学び
                    正に自分のものにして取り入れて来た人だからなぁ。

                    現代のアカデミックな作曲家だって
                    みんな、ものすごく優秀だと思うけれど
                    (あんな作曲技法や理論、ワタシには無理)
                    あまりにグローバル化が進んでしまって
                    学ぶべき事が多すぎて噛み砕けない側面があるのと

                    偏見である事は充分に承知しているが
                    ハングリー精神が・・・
                    (そりゃ、実家が太くないと作曲だの指揮だのは
                     たぶん無理ですよ、現代では・・・)

                    いや、リゲティの社会的側面はともかくとして
                    リゲティの作品一つが演奏されると
                    それだけが、ピカピカに目立ってしまって
                    他の現代作品が劣って聴こえてしまうのは

                    きっとワタシの耳が
                    伝統的音楽に慣れすぎているのであろう。
                    (クルト・シュヴィッタースの Ursonaten は
                     伝統的音楽に含めて良いよね?)

                    来シーズン11月には
                    ウィーンの国立オペラ座で
                    グランド・マカーブルが
                    私の大好きなニード・カンパニーとの協力作品として
                    上演されるのが待ちきれない私に
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                    会場には、現代音楽ファンの
                    若い学友2名が来ていて
                    どうも、先生も居たらしい(先生とは会ってない)

                    仲間が居るって、ちょっと嬉しかったりして ☺️

                    アンサンブル・フェース ダラピッコラ「監獄からの歌」

                    0
                      2023年5月26日 20時30分〜22時

                      Jugendstiltheater am Steinhof

                      CANTI DI PRIGIONIA
                      Gesänge aus der Gefangenschaft

                      コンセプト Matija Ferlin, Goran Ferčec
                      演出・振付・衣装 Matija Ferlin
                      ドラマツルギー・テキスト Goran Ferčec
                      音楽 Luigi Dallapiccola
                      指揮 Coudula Bürgi
                      舞台 Mauricio Ferlin
                      照明 Georg Veit
                      俳優 Dušan Gojić, Rok Juričić, Lana Meniga,
                      Tanja Smoje, Dijana Vidušin
                      合唱 Vokalensemble Fantado Admont
                       ソプラノ Elina Viluma-Helling, Friederike Kühl
                           Mara Maria Möritz, Anna Piroli
                       メゾソプラノ Cosima Büsing, Elisaberth Irvine
                       アルト Cornelia Sonnleithner, Hanna Hagel
                       テノール Bernd Lambauer, Martin Mairinger,
                           Hugo Paulsson-Stove, Angelo Testori
                       バス Matias Bocchio, Christoph Brunner,
                          Karl Söderström, Ulfried Staber
                      アンサンブル PHACE
                       ピアノ Mathilde Hoursiangou, Jan Satler
                       ハープ Tina Žerdin, Marie Zimmer
                       パーカッション Maria Chlebus, Harry Demmer, Igor Gross,
                       Christian Pollheimer, Hannes Schöggl, Berndt Thurner

                      上演言語 クロアチア語、イタリア語、ドイツ語、ラテン語
                      (字幕 ドイツ語・英語)

                      ウィーン芸術週間のプロダクションで
                      ルイージ・ダラピッコラの演奏があると聞いて
                      慌てて夜のアポイントメントを変更してもらい
                      最終日に駆け込んだ。

                      プログラムをご覧になりたい方は こちら から。

                      先に簡単にメモしておくと

                      音楽だけ聴いていた方が良かった・・・
                      ダンスとか演劇とか要らん。


                      アンサンブル・フェース
                      この3曲、別途にコンサートで取り上げないかなぁ・・・

                      ルイージ・ダラピッコラの「囚人の歌」3部作は
                      個人の力ではファシズムに対抗できない事を
                      よく知っていたダラピッコラが
                      音楽によって表現しようとしたもので
                      以下のテーマで作曲されている(コーラス+アンサンブル)

                      1曲目はマリア・スチュワート (1542-1587)
                      2曲目はボエティウス (480-524/525?) が獄中で書いた「哲学の慰め」
                      3曲目はサヴォナローラ (1452-1498)

                      舞台の後ろにアンサンブル・フェース。
                      開演前に、演劇スタッフっぽく見える俳優さん達が
                      椅子を積んだり、並べたり
                      説教台(飛行機のタラップっぽい木の台、色は青)の上には
                      年配男性の俳優さんが立っていて(後ろを向いている)
                      色々な有名人(あるいは無名人?)の名前を呼んで
                      スタッフ(というか俳優さんかミュージシャン?)が
                      ハイ、と答えている。
                      後ろに既に字幕は出ていて、誰が呼ばれたか視覚でも確認できる。

                      コーラスがピンクの衣装とマントで
                      俳優さん(黒い服)に連れられて個々に登場する際にも
                      俳優さんが、ずっと喋っているんだけど
                      どうもクロアチア語で、さっぱりわからん。

                      後ろに英語とドイツ語の字幕はあるけれど
                      テキストの量が多すぎて
                      (私の読む速度が遅いからかもしれない)
                      舞台見てる時間がない。

                      舞台では、俳優さんたちが
                      身体を動かしていたり(ダンサーかもしれない)
                      移動していたり
                      死体のように横たわったり

                      何だか色々なパーフォーマンスをしているけれど
                      字幕読むのが大変で(汗)

                      しかも、字幕は読めても
                      なんだか、何を主張しているんだか

                      詩?みたいなものなので
                      主張というのはないのか(感受性ないから文学理解不可能)
                      全然記憶に残らない。

                      テキストと全く関係なさそうな
                      身体の動きをする、というのは
                      この間のチェルフィッチュでもそうだったんだけど
                      あれは、何かの流行?

                      え〜い、音楽はいつ始まるんじゃ!(怒)

                      マントを俳優さんたちが脱がせ
                      ハンガーに掛けて舞台から運び出し
                      コーラスの前に立って
                      手を上げたり下げたり伸ばしたり

                      それに従って
                      コーラスのメンバーが
                      やっと歌い出して
                      同じように手を上げたり下げたり

                      歌っている間は
                      歌詞の字幕はない・・・
                      それも本末転倒な気がしないでもないが。

                      終わると指揮者は出て行ってしまって
                      (2曲目の前にまたこっそり登場する。
                       2曲目の後、3曲目の始まりまでは
                       アンサンブルの前の椅子に座っていて
                       3曲目演奏の後、終演まではずっと指揮台に立っている)
                      コーラスはそのまま舞台に残り
                      俳優さんたちが、色々と喋りながら(字幕は出る)
                      色々とダンス?らしき動きをする。

                      字幕が出るから
                      一つ一つのセンテンスの意味はわかるのだが

                      物語になっているワケでもなく
                      動きとの関連性も
                      ワタシには、さっぱりわからない(涙)

                      全然わからないパーフォーマンスを見るって
                      こんな苦痛だったとは・・・

                      こういうのが延々と90分続く。
                      パーフォーマンス、本当にワケがわからない。
                      テキストも理解不可能。

                      時々、別の俳優さんが英語で話したり
                      ドイツ語で何か言ったり

                      上半身の贅肉を露わにした年配男性の俳優さんが
                      例の飛行機タラップみたいなものの
                      一番上に立って
                      裸のまま、何かクロアチア語で喋ったりしてた。

                      音楽は面白い。
                      というより
                      ダラピッコラって12音技法の作曲家だよね?
                      12音技法を使っている筈なのに
                      (プレトークでも指揮者が12音技法とは言っていた)
                      シェーンベルクとか
                      後のセリエの作曲家よりも
                      ずっと情熱的で激しくて
                      ものすごくエモーショナルに聴こえるのは
                      いったい何故なんだ?!
                      (どちらかと言えば、ベルクに近いのかもしれない)

                      ボエティウスのピアノ2台の呼応も見事だったが
                      特に最後のサヴォナローラで使われる
                      パーカッションの効果が素晴らしい。

                      コーラスが俳優さんの指示?に従って
                      歌いながら動いているのが
                      かえって邪魔(視覚が邪魔して聴覚に専念できない)

                      途中でコーラスのメンバーが倒れる演出とか
                      (異様にリアルにやるのだが
                       まぁ、擦れた観客は、だいたい想像はつく)
                      それって必要?って言うのが多過ぎる上
                      このパーフォーマンスが目指すメッセージが謎。
                      (はい、私の知性と感受性の欠如が原因です)

                      で、最後にドイツ語と英語で
                      コーラス・グループに
                      「続けてもう1曲演奏する?それとも止める?」
                      と聞いてから

                      突然ライトが落ちて終演。
                      ・・・なんですかこれ?

                      でも、終演後に
                      他の観客の人たち(複数)も
                      「音楽だけの方が良かったよね」
                      と言っていたから
                      私だけじゃなかったんだろうな、きっと。

                      この間のウィーン芸術週間の
                      チェルフィッチュと藤倉大のパーフォーマンスで
                      後で大学の先生が
                      「セリフの字幕を読むのが大変だった」
                      と言っていたけれど(あれは日本語だったから私には楽)

                      今回のクロアチア語の
                      かなり長いセリフを
                      パーフォーマンス見つつ
                      ドイツ語で字幕を追いかけたのが
                      えらく面倒で

                      先生の「セリフの字幕云々」の感想が
                      よ〜くわかった私に
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                      ダラピッコラで「現代音楽」のカテゴリーに入れるのは
                      ちょっと戸惑いがあるんだけど
                      ダンスでもないし演劇でもないし
                      ましてやオペラでもないし

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                      クロスオーバーとかが必要になるのかなぁ。

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