フィルハーモニック・ファイブ

0
    Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2017年9月17日 19時30分〜21時50分

    Philharmonic Five
    バイオリン Tibor Kováč, Ekaterina Frolova
    ビオラ Gerhard Marschner
    チェロ Peter Somodari
    ピアノ Christopher Hinterhuber

    Antonín Dvořák (1841-1904)
     Klavierquintett A-Dur op. 81 (1887)

    " Mission Possible "
    John Williams (*1943)
     Hedwigs Thema (Aus dem Harry Potter-Filmen)
    Sergej Prokofjew (1891-1953)
     Romeo und Julia. Ballett op. 64 (1935-36)
      (Teilaufführung in Bearbeitung von Tibor Kováč)
    Chick Crea (*1941)
     Greensleeves (Bearbeitung : Tibor Kováč)
    Tibor Kováč (*1967)
     Eléazar, Mazel Tov !
    Georges Bizet (1838-1875)
     Le fleur que tu m’avais jetée (Blumenarie des Don José aus “Carmen”) (1873-74)
      (Bearbeitung : Tibor Kováč)
    Camille Saint-Saëns (1835-1921)
     Danse macabre. Symphonische Dichtung g-moll, op. 40 (1874)
      (Bearbeitung : Tibor Kováč)

    アンコール
    Lalo Schifrin : Thema aus der Fernsehserie “Mission Impossible”
    Dmitri Schostakowitsch : Walzer Nr. 2 (Suite Nr. 2 für Jazzorchester)
    (Bearbeitung : Tibor Kováč)

    読者の皆さまはよくご存知の通り
    ザ・フィルハーモニックスは2つに分裂してしまって
    コンツェルトハウスのチクルス、どうするんだろう、と思っていたら

    ティボール・コヴァーチ率いる新グループ
    フィルハーモニック・ファイブ

    旧メンバーの第一バイオリンに
    ベルリン・フィルのコンサート・マスターを持って来た
    フィルハーモニックス(ただし綴りは Philharmonix)

    両方のチクルスが出来ていた。

    コヴァーチのグループは
    伝統的なピアノ五重奏。
    プログラムは
    Mission Possible とうたってはいるが

    最初はシリアスに
    ドボルジャークのピアノ五重奏曲。

    いやそりゃ巧い(笑)
    ビオラの背の高いハンサム君も
    ハンガリーのプリンス、チェロのショモダリさんも
    ウィーン・フィルのメンバーだし
    なんかもう、イヤミっぽい程に整った演奏なのに
    割に熱く演奏してくれるのがチャーミング。

    で・・・

    楽章間拍手が
    全楽章の後にかなり盛大にあったというのは

    クラシック音楽のコンサートに
    普段行かない聴衆がかなり居るようだ。
    (しかも周囲にシッと大声で叱るジジババもいないようで・・・)

    いや、ウィーンでそれ、意外にスゴイ事かもしれない。
    (スポンサーの招待客が多かったんだろう、というのは
     後半で判明した)

    昔のフィルハーモニックスとは違って
    最初に伝統的なクラシックの室内楽をかまして
    後半にお喋りコンサートという志向なのね。

    ハリー・ポッターのテーマの後
    コヴァーチが挨拶。

    ついでに近い未来に出る予定の CD の宣伝と
    スポンサーの銀行への御礼。
    (で、スポンサーの銀行からの招待客が多かったのね、きっと)

    で、その銀行、私、口座に貯金通帳も持ってるんですけど・・・
    いや、この銀行、この時勢で実はメセナが好きで
    現代音楽のスポンサーになっていたりするのは知っていたが
    このグループの支援までしてるのか。

    そういう事する前にもう少し利子を寄越せ
    ・・・というのはついつい正直な感想なのだが
    音楽へのメセナ活動は高く評価する(建前)

    プロコフィエフのロメオとジュリアの抜粋。
    くそ、こういうのは巧いよなぁ。
    やっぱりオペラ座のバレエで演奏し慣れているだけあって
    (それに私、この曲、すごく好きなの)
    バレエのシーンが目に浮かぶような
    ウィーン・フィルの音だよ、これは。

    グリーン・スリーヴスとチック・コレアを組み合わせた曲の後に
    アレヴィのオペラ「ユダヤの女」

    エレアザールのアリアで
    コヴァーチ曰く
    ニール・シコフが歌うと、あまりに悲壮で
    バイオリン引っ掴んで会場出て行って
    ウエディングの曲でも弾かないと鬱になりそうなので
    ウエディングの曲とくっつけました・・・という事らしい(笑)

    そしてご存知ビゼーのカルメンからドン・ホセのアリア。

    さすがにオペラからの曲なので
    ともかく非常にオペラチックというか
    ウィーン・フィルの音がバリバリ聴こえて来る。

    サンサーンスの曲で一旦閉めて
    アンコールに
    タイトルと絡めて
    パーカッション入れてミッション・インポッシブルのテーマ。
    子供の頃に「スパイ大作戦」を夢中になって見ていたから
    なんだか非常に懐かしい。

    ショスタコーヴィッチのジャズ組曲からのワルツには
    ちょっと大笑いした。
    クレスマ的なものと、ジプシー的なものに加えて
    ウィーンっぽいワルツがミックスされた演奏。
    こういうのは自家薬籠の物って言うんだろうなぁ (^o^)

    フィルハーモニックスと違って
    あれもこれも、ではなく
    あくまでも自分たちのレパートリーの中での
    クラシック的なものを
    高いレベルで噛み砕いて提供する、と言う感じかもしれない。

    残りのメンバーのフィルハーモニックス(綴りは違う)のチクルスは
    このフィルハーモニック・ファイブとは違って
    大ホールで行われるので
    こちらも行ってみたいのだが
    最初のコンサートが
    ウィーン交響楽団とオロスコ=エストラーダのコンサートと
    バッティングしちゃうのだ(涙)

    コンサートのバッティングで頭を抱えながら
    やっとナイト・ライフの時期が始まったと思うと
    ちょっと嬉しい私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    ヨーロッパは急に寒くなって
    気温が10℃前後で
    夏から冬に突然チェンジ。
    秋という季節はなくなってしまったのね(ため息)

    マルカンドレ・アムラン ピアノ・リサイタル

    0
      Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2017年6月22日 19時30分〜21時30分

      ピアノ Marc-André Hamelin

      Joseph Haydn (1732-1809)
       Sonate C-Dur Hob. XVI/48 (ca. 1789)
      Samuel Feinberg (1890-1962)
       Sonate Nr. 2 op. 2 (1915)
       Sonate Nr. 1 op. 1 (1915)
      Ludwig van Beethoven (1770-1827)
       Sonate f-moll op. 57 “Appassionata”
      Franz Liszt (1811-1886)
       Nuages gris S 199 (1881)
       Sonate h-moll S 178 (1852-53)

      マルカンドレ・アムランというカナダ出身のピアニストは
      日本ではかなり有名らしいが
      こちらではマスコミに大々的に取り上げられる事もなく
      比較的知られていない。

      ・・・というより
      日本で大騒ぎされたのは
      昨年のショパン・コンクールで2位になった
      シャルル・リシャール・アムランだったのかしら。

      まぁ、別にどうでも良いけど(笑+開き直り)

      ミーハーな私は
      日本でそんなに人気なのか、と
      普段行かないピアノ・リサイタルに足を運んだ。

      ハイドンのピアノ・ソナタ。
      第一楽章は技術的には簡単な感じだが
      これを徹底的に音に拘って、丁寧に丁寧に弾いているのを聴くと

      今、ポピュラー・ピアノで BGM で演奏されるような曲が
      100年後には、こんなに
      「楽譜に忠実で神経質そうに音の一つ一つに拘って」
      弾かれるようになるんだろうか、という妄想がふつふつと湧いて来る。

      第二楽章は結構な超絶技巧で、すごい速さで
      楽しく弾いてくれたから
      あぁ、当時もピアノ(いやピアノはなかっただろうが)が巧い人が
      きっと、ほら見ろ、ほら聴け、うっしっし、すごいだろ
      ・・・とは言わなかっただろうが
      そういう感じで弾いていたのかなぁ。

      次の曲の作曲家、サムイル・フェインベルクって
      勉強不足で知らなかったが
      ロシア(当時はソビエト連邦)のピアニストで作曲家だそうで

      この初期のピアノ・ソナタ
      ロマン派の香りがして超絶技巧で
      ピアノの音の重なりがちょっとスクリャービン風で
      さっきのハイドンと全く違った響き。

      こういうロマン派の音楽の方が
      このピアニストには合っているような気がする。
      すごく活き活きした美しいピアノの和声がホールに響いて来る。

      ベートーベンの「熱情」ソナタだけど
      実はこの間、ウィーンで行われた
      ベートーベン・ピアノ・コンクールの課題曲で
      インターネットの配信があったので
      結構、それで聴いてて、ちょっと今、食傷気味で・・・
      (すみません)

      でも私が楽しみにしていたのは
      後半のフランツ・リストである。

      最初の Nuages Gris は5分ほどの作品。
      ご存知の通り、晩年のピアノ・スケッチ。

      ・・・これ、とんでもない曲じゃん (・_・;

      ほとんど無調で、まるで現代曲。
      あまりにぶっ飛びすぎ。
      これ、ホントに1881年の作品???

      こういう曲を聴いてしまうと
      リストって、作曲家として天才だったんだなぁ、と
      しみじみ思う。
      ド派手な曲はよく演奏されるけれど
      (愛の夢3番とか(笑))
      実はリストの巡礼の年なんか、私、ものすごく好き。

      さてぶっ飛んだ曲に続けてロ短調ソナタに突入。
      ロ短調ソナタは、ああいう出だしなので違和感はない。

      で、これが、これが、これが・・・
      すごくすご〜く良かったのだ(感涙)

      実に不思議な曲で
      感情任せの超絶技巧の部分があるかと思うと
      それこそ、クルタークのお得意とする
      「一音に世界を見る」という部分もあって

      こういう曲って
      ある程度、人生を味わって来た年配の方が
      楽しめるような気がする(独断です)

      アムランのピアノは決して乱暴にならない。
      (ピアニストによっては時々、叩きつけるような印象になる)
      体幹がほとんど動かず
      柔らかい肘と手首だけで
      とんでもない色彩をホール全体に弾けさせる。

      ペダルは多様するけれど
      音がクリアで、音響に色彩感があって
      派手な「聴かせる」部分では
      乱暴ではないのに激しく
      歌う部分は充分に歌わせて
      低音の一音・一音が深くて静寂を漂わせている。

      酸いも甘いも嚙み分けた・・・って感じ。
      ああいう「味」は
      やっぱりある程度の年齢にならないと
      (弾いている方も聴いている方も)
      出て来ないような気がする。

      あまりピアノ・リサイタルに行かない私は
      このリストのソナタも、多分、ナマでは初聴きだと思うが
      CD とかで聴くのと全く印象が違う。

      小ホールで親密な空間で
      緊張感持って集中して聴くって気持ち良いなぁ。
      (まぁ、あの静寂の中でプログラム捲ったり(響くんですこれが)
       身体の位置を変えて(足を組むとか・・・そのタイミングでやるか?(怒))
       椅子をギシギシというのも多少はあったけれど
       楽友協会に比べたら、遥かにマシ)

      実は今日は、ちょっとタイヘンな事があって
      (仕事の話ではありません(笑))
      ちょっと凹んでいたのだけれど
      このロ短調ソナタで
      精神的落ち込みからは即立ち直った
      単純な私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      コンサート終わった後も、まだ33℃。
      湿気が30%くらいなので、そんなに感じないが。

      それよりも最近、ウィーン市の道路事情が最悪で
      まだ休みが始まっていないのに道路工事が始まったりしているので
      交通渋滞が半端じゃなくスゴイ。
      本日、会社に行くのに、普通は30分のところを1時間半かかったわよ(怒)

      ウィーン・ピアノ・トリオとマーク・パドモア

      0
        Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2017年6月20日 19時30分〜21時50分

        Wiener Klaviertrio
        バイオリン David McCaroll
        チェロ Matthias Gredler
        ピアノ Stefan Mendl

        テノール Mark Padmore

        Richard Rodney Bennetto (1936-2012)
         Tom O’Bedlam’s Song
        Franz Schubert (1797-1828)
         Harfenspieler I D 478 “Wer sich der Einsamkeit ergibt” (1816/22)
         Harfenspieler III D 480 “Wer nie sein Brot mit Tränen aß” (1816/22)
         Harfenspieler II D 479 “An die Türen will ich schleichen” (1816/22)
        Thomas Larcher (“1963)
         A Padmore Cycle.
          Lieder (Fassung für Tenor und Klaviertrio) (2010-11/2017)
        Franz Schubert
         Herbst D 945 (1828)
         Auf dem Strom D 943 (1828)
        Ludwig van Beethoven (1770-1827)
         Klaviertrio B-Dur op. 97 “Erzherzog Trio” (1811)

        日中の気温が30℃を越えた真夏日の夕方
        隣の大ホールではルドルフ・ブフビンダーのピアノ・リサイタル。

        もちろんチケットは持っていたし
        ブフビンダーは好きなので
        普通だったら、隣のホールの室内楽には行かないのだが

        ええええええっ?!
        何故にこんな目立たないところに
        テノールのマーク・パドモアの名前が・・・ (*_*)

        目がテンになって慌ててチケットを購入。
        だって、マーク・パドモアって
        滅多にウィーンに来ないし歌ってくれないし

        今回のコンサート、貧民席含めて
        結構、席が空いていた、というのは、どういう事なんだろ?
        同じテノールでもヨナスなんとか(商人)という
        チケットが全く手に入らない人もいるのに(関係ないか)
        オペラとかで華々しく歌わないからかな。

        パドモアのナマの声は
        2011年6月9日に初めて聴いて、えらくショックを受け
        その後、2014年11月27日にリサイタル聴いて
        もちろん、CD のマタイ受難曲も即購入してある。
        実際に聴く機会がないのは本当に残念だが。

        今回のコンサートは、現代音楽もテーマになっていて
        最初はリチャード・ロドニー・ベネットの歌(英語)
        1600年頃の無名の詩人の歌詞で
        精神的な患いを持っている乞食の語りかけという内容。

        伴奏は(珍しい事に)チェロのみ。
        最初から激しいチェロに
        声量最大限のテノールが入って来て
        僕が食物や餌や飲み物や服を乞うて歌っている時に
        どうぞ逃げないでおくれ
        哀れなトムは貴女がたに何もしないから
        というのがリフレインで入ってくる。

        どんなに声量が大きくなっても
        英語のテキストのクリアさに影響がなく
        はっきりと聞こえる上に
        リフレインの静かな語りかけが
        この上なく甘くて優しくて

        ああ、もう、本当にホロッとしちゃうんですけど
        しかも現代音楽で・・・

        チェロの響きが、また豊かで
        小さいホールの良さって、本当に素晴らしい。
        こういう曲って、大ホールで聴いたら台無しだと思う。

        シューベルトの「竪琴弾きの歌」は有名だけど
        ものすご〜く久し振りにナマで聴いたような気分。
        聴いてみれば歌詞もメロディも頭の中に入ってはいるのだが
        (子供の頃に聴いたものって、本当に忘れない、不思議な感じ)

        英語で現代曲を歌っていたパドモアが
        突然、完璧なドイツ語で歌い出すと
        イメージが全く違ってビックリする。

        しかしこの人のテキストって
        何てクリアで美しいのだろう。
        ドイツ語の発音の一つ一つが実に見事で美しく
        それが音楽として成り立っていて
        しかも正統派ドイツ・リートの抑制が効いていて
        端正で理性的で、感情任せにならないのに
        時折のぞかせる、その限りない甘い優しさって何なんですか。

        クール・ビューティで理性的でインテリジェンスを感じさせるのに
        それが冷たくならず
        信じられない程の温かみと人間の体温が伝わってきて
        抑えられた悲しみが大袈裟にならず
        心の深いところに、しっとりと届く。

        マーク・パドモアの声の質はハイ・テノールなのだが
        本当にこの人、何という美声なんだろう。
        低い部分もテノールの色のまま
        高音になると、何とも言えない甘さが加わって
        体感的にジンジンして来てしまう。

        ・・・こういう声を女殺しと言うんじゃないか(違!)

        しっとりして哀愁を帯びたシューベルトの後は
        オーストリアの作曲家、トーマス・ラルヒャーが
        オーストリアの詩人 ハンス・アッシェンヴァルトと
        アロイス・ホルシュニックのテキストに作曲したもの。
        (詩人は二人とも 1959年生まれ)
        パドモアの声と芸術性を視野に入れていて
        今回が初演になる。

        ピアノ・トリオとテノールの組み合わせで
        テキストは非常にフラグメンタルだけど

        うわあああ、こういう音響、好きですワタシ (*^^*)
        Sprechstimme と
        ピアノの弦を叩いたところが
        ぴったりと音響的に一致する部分には
        鳥肌がたった。

        アトナールとトナールの組み合わせが絶妙で
        テキスト(ドイツ語)の内容は
        ものすごく抽象的なんだけど
        単語の一つ一つが「立って」いて
        音響のバリエーションが豊かで
        演奏時間25分が、あっという間だった。

        ピアノの弦のいくつかを
        持続的に鳴らしてたけど
        あれはどうやったんだろう?

        途中で弦に貼ったテープを剥がすというのもあったけれど
        残念ながら、これはさすがに音が小さ過ぎて
        隣の年配ご婦人お二人が
        大きな音を立ててプログラムのページを捲っていた音に
        かき消されました(涙)

        最後にシューベルトの「秋」と
        ピアノ三重奏の伴奏での「流れの上で」
        これがまた何ともロマンチックで
        でもロマンチックになり過ぎない抑制があって

        あぁ、もう、このパドモアの歌って
        ツンデレからツンツンにはなるわ
        デレデレにもなるわ
        相反する要素を全て含めていて
        インテリジェンス溢れているのに甘くて切ない ♡

        前半のマーク・パドモアがお目当てで来たので
        後半のベートーベンのピアノ三重奏曲「大公」なんて
        何の期待もしていなかったのだが

        実はこれがむちゃくちゃ面白かった(笑)

        すご〜くマジメでシリアスで神経質そうで
        ちょっとおちょくったら、怒らせると恐そうな男性3人が
        恐るべきマジメさで演奏するのだが

        室内楽って、こんなに楽しかったっけ?
        というよりは
        ベートーベンの室内楽って
        こんなにぶっ飛んでるんかいっ?!

        オーケストラとバレエの追っかけをしている身としては
        室内楽まで手が回らないし
        室内楽って、オーケストラのような色彩感もないし、と思っていたけれど

        やっぱり音楽ってナマで聴かないとわからないですね。
        だってもう、何だかこのぶっ飛びベートーベン
        異様に可笑しいんですもん(ちょっと違うかもしれない)

        交響曲では整合性に命をかけているベートーベンが
        室内楽で、むちゃくちゃ遊んでいるのがわかる。
        おい、それやるか?みたいな部分が次から次に出てくるし
        ここでいっちょう、観客を驚かせたれ、としか思えないフレーズがあるし
        (第3楽章からアタッカの第4楽章。隣の老婦人は思わず笑ってた)

        とことんマジメに見える男性3人が
        それぞれに視線と体の動きでコンタクトしながら
        ひたすらマジメに演奏しているのが、また楽しくて
        いや、演奏している方々は、そりゃシリアスに演奏しているのはわかるけれど
        見ている側としては、そのシリアスさが
        まるで演劇のような感じになっていて、目が釘付け (・_・

        前半終わった後で帰らなくて良かった。
        室内楽のファンじゃないのに
        室内楽って、こんなに楽しいのか、と
        ちょっとビックリしてしまった。

        とは言え
        これ以上のコンサートに行くだけの
        お金も時間も体力もないので
        室内楽にハマるのは避けなければ、と
        今の時点では決心している私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。


        キャメロン・カーペンター カリガリ博士

        0
          Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年5月20日 19時30分〜21時15分

          Robert Wiene (1873-1938)
          “Das Cabinet des Dr. Caligari” (D 1920)
          Restaurierte Fassung 2014
          Musik zu “Das Cabinet des Dr. Caligari” (EA)
          von Cameron Carpenter
          International Touring Organ : Cameron Carpenter

          名前だけは誰でも聞いた事はあるだろうけれど
          映画に疎い私は、まだ見た事のなかった
          ドイツの無声映画の最高傑作と呼び名の高い「カリガリ博士」に
          トサカ頭の天才オルガニスト、キャメロン・カーペンターが
          名高い自分のツーリング・オルガンで演奏するとなったら

          もちろん会場は満杯。
          少なくとも貧民席には空きはなかったし
          バルコンの横あたり(貧民席のギャラリーから見える部分)も一杯だった。

          この「映画と音楽」の催物がステキなのは
          スクリーンが大きいので
          貧民席からの方が見やすい事(笑)
          平土間だと、かなり見上げる形になるけれど
          ギャラリーからなら、ちょうど目線と同じか少し低い位で
          ほとんど映画館での鑑賞のノリ。

          舞台の真ん中には、鍵盤が5段あって
          もちろん足の部分にも黒鍵含めての足用鍵盤があって
          左右に複雑怪奇な調整ボタンのある
          かの有名なツーリング・オルガンが置いてあって
          周囲には、ものすごい数のスピーカー。

          さて映画「カリガリ博士」は
          著作権切れとかで、インターネットで探せば見られるけれど
          大スクリーンで見ると、やっぱり凄い迫力。

          無声映画だから、時々、ドイツ語のセリフが
          テキストで出てくるのだが
          その書体まで凝っている。

          しかもこのセット、わざと狂っていて
          これ、キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」あたりにも
          かなり影響しているんだろうなぁ。
          ヒッチコックあたりも、ずいぶん手法を取り入れているような気がする。

          1920年の映画なのだけれど
          実にアヴァンギャルドで斬新で
          ダダイズムがかなり入っていて
          映像が・・・美しい。
          いや、美しいとか言ったらイケナイのかもしれないが
          衣装や背景が、時々、ゾッとする程に
          現実と幻想の狭間にあって、背筋がゾクゾクする美しさがある。

          カリガリ博士になれ、というシーンでは
          画面に入れ込みの文字が、脅すように出ては消え
          これがまた、凄い効果を出す。

          さて、無声映画にカーペンターが付けたメロディは
          ちゃんとカリガリ博士のライト・モティーフがある (o^^o)
          最初に提示されるので、これはわかりやすい。

          しかも、場面のそれぞれでバリエーションが多くて
          まるで本当に、映画に合わせて作曲された劇伴のようで
          (まぁ、そういう作曲をカーペンターはしているのだが)
          あくまでも現代音楽なのに
          アトナールとトナールを巧みに組み合わせて
          映画と一緒に全く飽きさせない。

          約70分強の映画が終わった後
          鳴り止まぬ拍手に応えてアンコール。
          バッハのフランス組曲5番からジーグ。

          立ってカーペンターの弾くところを見ていたら
          靴がキラキラ(笑)

          そのキラキラが凄い速度で移動して
          ・・・まるでサーカス。

          ほえええええ、っと感心して拍手していたら
          何と今度はバーンスタインのキャンディードの序曲。

          ううううう、これ、オーケストラより凄いわ。
          オルガンという楽器の複雑さと多彩な音色を
          これ程までに見事に聴かせてくれると
          ただもう唖然とするしかない。

          で最後のアンコールがバッハのパッサカリアって
          凄い体力・・・

          いや〜、楽しかったです (^^)

          以前にキャメロン・カーペンターを
          楽友協会でオーケストラと聴いた時には
          真面目な優等生のオルガニストになったかと思ったけれど

          やっぱりこの人、ぶっ飛んでいて
          時々、むちゃくちゃ過激・・・だけど
          やっぱり天才って凄いわ 💘

          映画とオルガン、両方ともに
          天才的な作品を、一緒に鑑賞できて
          満喫している私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。


          ブーレーズ・アンサンブル + バレンボイム

          0
            Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年5月7日 15時30分〜17時30分

            “Structures I” & “sur Incises”

            Pierre Boulez (1925-2016)
             Structures pour deux pianos. Premier livre (1952) - 1
            Arnold Schönberg (1874-1951)
             Verklärte Nacht. Streichsextett d-moll, op. 4 (1899) - 2
            Pierre Boulez
             sur Incises pour trois pianos, trois harpes, trois percussions (1996-98/2006) - 3
              Moment I
              Moment II

            Boulez Ensemble
            ピアノ Denis Kozhikhin (1&3)
            ピアノ Karim Said (3)
            ピアノ Michael Wendeberg (1&3)
            ハープ Aline Khouri, Susanne Kabalan, Stephen Fritzpatrick (3)
            (パーカッション Lev Loftus, Pedro Torrejón González, Dominic Oelze (3)
            バイオリン Michael Barenboim, Krzysztof Specjal (2)
            ビオラ Felix Schwarz, Yulia Deynenka (2)
            チェロ Kian Soltani, Sennu Laine (2)
            指揮 Daniel Barenboim (3)

            ピエール・ブーレーズの記念コンサート・シリーズが
            コンツェルトハウスである、というので
            トーンキュンストラーのコンサートは袖にして
            (誰もチケットを引き取ってくれなかった(涙))
            コンツェルトハウスのチケットを買った。

            市内で何かまたマラソンとかあるのは知っていたものの
            午後のコンサートだし
            閉じているとしてもリング通りだけだろうし
            第一、大雨だよ、車で行こう・・・と思ったのが大間違いで

            あちこちが道路閉鎖で市内がとんでもない事になっていて
            全く車が進まない。
            渋滞を避けても次の渋滞にひっかかる有り様で(冷汗)

            自由席だから、現代音楽の音響にウルサイ人たちが
            会場開いたら我さきに入るだろうと
            かなり早めに自宅から出発したのだが
            結局、どうやってもたどり着けず
            目の前で一台車が出て、停めるところが出来たので
            遥か離れた場所に車を停めて
            地下鉄に走ったのはワタシです(大汗)

            更に腹の立つ事に
            会場で知り合いにあったら
            え? コンツェルトハウスから、1人2枚限定で
            無料のチケットのご招待が来てたわよ

            ・・・・って、ワタシ、大枚25ユーロ払ってますが????(超怒)

            それを聞いて、今回の聴衆の層がわかった。
            だって、大ホールのギャラリーは閉じられているとしても
            平土間・バルコン、ほとんど満杯で
            しかも、途中で退場する人がかなり居る。

            ブーレーズわかって来てる人じゃない人がいるっ!!!!(怒)
            いや、良いんですよ、招待券で無料でコンサートに来ても。
            でも、お金払って来ている人が集中して聴いているのに
            ピアニッシモのところで音を立てて席を立って
            ドアまで移動してドアを音を立てて開け閉めするのだけは勘弁。

            まぁ、マナーについて怒ってばかり居ても
            自分の気分が悪くなるだけなので(と言いつつ書いてるが)

            さて、ブーレーズ好きなんだけど
            どこが好きとか、何が好きとか言われても・・・(シロウト)
            一応、CD でブーレーズ全作品というのは持ってはいるものの
            ブーレーズの場合は作品が Work in progress だから
            ご存知のノタシオンだってとんでもない数のバリエーションあるし。

            最初は2台のピアノのためのストリュクチュール。
            20分弱の作品だが
            ああああ、これがブーレーズの響き ♡

            ものすごく緊密に、ストイックに、極限まで絞った音が
            和音などを注意深く避けて
            音の粒として
            たぶん(私の感覚だと)マイナス30℃くらいの空気の中を
            音速で飛んでいく(当たり前だが・・・汗)

            クリアな構造の
            まるでコルビジェあたりから始まった
            近代建築の骨組みを見るような作品。
            メロディとかは感じられないけれど(あるんだけど、きっと)
            たぶん、厳密なセリエ技法で作曲されているんだろう。

            こういう響き、すごく好き。
            余計な感情の入り込む隙間を与えないから
            音楽に感情的な感動を期待しているとビックリするかもしれないが
            頭の中で理性的に分析的に(まだ分析できません(汗))
            知的好奇心をとことん刺激されるわ。

            で、ブーレーズ作品のコンサートの筈なのに
            なぜ、その後、アルノルト・シェーンベルクの
            いや、シェーンベルクでも良いんだけど
            何故に「浄夜」の弦楽6重奏版が演奏されるんですか???

            演奏はあくまでも繊細で
            すごく細かい部分までしっかり考えられていて
            オーケストラ編成を聴き慣れた耳にも
            非常に美しく、過不足なく響くのだが

            途中、ちょっとあまりに演歌になり過ぎ。
            ブーレーズの作品と比べると
            ちょっと色気あり過ぎのエロっぽくて生臭い。
            まぁ、そういう曲なんだけど
            息子可愛さで無理やり入れた可能性はあるし(すみません邪推で)
            演奏水準は高くて、解釈も音響も素晴らしかったが
            プログラムの一貫性からするとちょっと・・・

            後半のスュル・アンシーズ。
            ちゃんと予習はして来たけれど
            (わはは、予習して来ても全然覚えられない現代音楽)
            ナマで聴くと、すごい迫力・・・というか

            CD で聴いていた時は
            ハープなのか、ピアノの弦を引っ掻いてるのかわからなくて(笑)
            ピアノ3台、ハープ3台、パーカッション3人だったのね。

            これはまた豪華な音響。
            (この曲で出ていった観客多かったんだけど)
            前半のピアノのストイックさと正反対で
            ほとんどスペクトル楽派に近いほどの多重性を持って
            音の重なりも素晴らしい。

            バレンボイムが適切なキューを出すのに呼応して
            各プレイヤーが素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれる。
            こういう曲を演奏できる音楽家が居るって
            現代の我々って、本当に幸せだなぁ、と思える時間 ♡

            ある意味、ブーレーズの曲って
            別にナマで聴かなくても
            CD で充分、という気もしないではないが
            でも、ナマで聴く機会があれば
            それはそれで嬉しい(聴衆が静かに聴いてくれればだが)

            実は5月14日にバレンボイムが
            ウィーン・フィルとノタシオンを演奏するのだが
            ちょっと事情があってキャンセルしました(汗)
            (ついでだが、ノタシオンだけではなくて
             スメタナの「我が祖国」も演奏する。
             たぶん、こちら目当ての観客は前半は・・・(以下省略))

            さて、今日の夜はどちらに行くか
            散々迷ったけれど
            引き取り手のあったコンサートには行かず
            引き取り手のなかった(笑)夜のコンサートに行く
            というワタシに
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            イアン・ボストリッジ + ラルス・フォークト

            0
              Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2017年5月4日 19時30分〜21時30分

              テノール Ian Bostridge
              ピアノ Lars Vogt

              Franz Schubert (1797-1828)
              Liebesbotschaft D 957/1 (Schwanengesang, 1. Buch) (1828)
              Kriegers Ahnung D 957/2
              Frühlingssehnsucht D 957/3
              Ständchen D 957/4
              Aufenthalt D 957/5
              In der Ferne D 957/6
              Abschied D 957/7
              Einsamkeit D 620
              Der Atlas D 957/8 (Schwanengesang 2. Buch)
              Ihr Bild D 957/9
              Das Fischermädchen D 957/10
              Die Stadt D 957/11
              Am Meer D 957/12
              Der Doppelgänger D 957/13
              Die Taubenpost D 957/14

              アンコール
              Ludwig van Beethoven
              An die ferne Geliebte op. 98
              Franz Schubert
              Nacht und Träume D 827

              イアン・ボストリッジ博士のこのリサイタル
              実は見逃していて
              ハッと気がついた時には完全に売り切れ。

              それでも諦めきれず
              毎日、毎日、チェックしていたら
              パッと第一カテゴリー(!)に1枚出てきて
              清水の舞台から飛び降りた。
              平土間3列目(前はサークルだから実質6列目)の
              むちゃくちゃ良い席で
              こんな贅沢、一生に数回しか出来ない。

              しかも
              贅沢しても、行って良かった!!!!(感涙)

              私の記憶違いかもしれないが
              最初のプログラムは確か「冬の旅」になっていて
              ゲッ、あのボストリッジのハイテノールで冬の旅の暗い色調
              絶対合わんだろ、と思っていたのだが

              会場に到着してプログラム買ったら
              「白鳥の歌」になっていた。

              ところが、ところが、ところが
              この「白鳥の歌」がタダモノではなかった。

              普通、シューベルトのリートって
              美しく端的に、淡々と節度を持って
              キレイに歌われる事が多い・・・というより
              一世代前までは、そういうのが主流だったと思うのだが

              数年前から
              やっとディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウの影響から
              見事に逃れた若手の歌い手たちが
              ドイツ・リートに新鮮な風を吹き込んでくれるようになった。
              (それが良いか悪いかは好みの問題でもある)

              最初の「愛の使い」からして
              極限にドラマチック。
              声量のレンジが幅広くて
              愛を歌っているのに、何故か悲劇的な暗さを感じさせる。

              これが次の「兵士の予感」になったら
              うわあああああ
              これ、暗いっ!!!というより
              死に囲まれた絶望的な状況の中で
              叫ぶように恋人に語りかける様子に背筋がゾッとする。

              「春の憧れ」も
              信じられないくらいドラマチックな作りになっている。
              いや、あの最後の
              Wohin ? Wohin ? とか
              und Du ? und Du ? とかの部分って
              本当に聴衆の肩をガシッと抱いて
              振り回して問いつめているような印象(ちょっとコワイ)

              全体的にハイテノールとは思えない程に
              色調が暗くて
              下の音もしっかり出ていて
              高音は叫ぶ事も躊躇せず
              ドイツ・リートというよりは
              演劇作品を聴いているような感じ。

              ドイツ・リートに要求される(はずと普通の人が思っている)
              抑制を一切取り払ってしまい
              まるでオペラか何かのように
              激情をそのままぶつけて来て
              怒りや焦燥感がストレートに伝わって来て
              聴衆を否が応でも感情の嵐に引きずり込んでいく。

              人によっては「やり過ぎ」と思うかもしれない。
              マッチョで強くて、暗くて劇的で
              命を削られるような切なさが溢れて来る。

              ううううう、たまらない。
              こちらも聴いていて苦しくなる位。

              ボストリッジのドイツ語のディクションは完璧。
              テキスト見なくても一語一語がしっかり聴こえてきて
              ドイツ語の単語一つに表情が付いていてスゴイ。

              セレナーデなんかは
              軽めに歌う部分は
              ハイテノールの甘い声の持ち味が活きてチャーミングなんだけど

              甘い声だ、ステキ、と酔わせてくれない。
              あまりにドラマチック過ぎて
              感情ダダ漏れで、聴いている方が辛くなる位。

              「別れ」の後に幕間が入って
              その後
              Einsamkeit (D 620) と言うバラードを一曲。
              これがまた、むちゃくちゃ劇的な語り口で
              ピアノとフォルテが唐突に現れるので
              次の想像が付かず、そのドラマに引きずり回される。

              アトラスの悲痛な叫び。
              途中の自嘲・・・あぁ、もうこの人、どういう表現するんですか。

              ちょっとホッとしたのが「漁夫の娘」ではあるのだが
              それでも優美でありながら、やっぱり重苦しい不思議な雰囲気。
              陰鬱と言えば、こんな陰鬱な表現聴いた事ないわ、という「街」と
              「海辺にて」の後の

              「影法師」が・・・・
              はい、ご想像通り。
              本気で鳥肌が立ちました。
              ほんの少し声の音程をずり下がり気味に
              深い声で歌われたドッペルゲンガーの気味悪さと言ったら・・・

              これだけドラマチックに
              冬の旅なんか目じゃない、という暗さを次々に聴いてきて

              最後の「鳩の便り」で
              すみません、私、泣きました。

              ものすごい緊張感のリサイタル。
              歌っている方も命を削っているような感じだが
              (歌いながら、ボストリッジ博士、結構動くし
               時々、前に出てくるし、俯くし、上を見るし
               ああ、ベストの平土間席で良かった。全部聴こえてきたし)

              聴いてる方も、激情の嵐に巻き込まれてしまう。
              こんな「白鳥の歌」聴いた事ないよ。
              (註 今、ゲルハーヘルの「白鳥の歌」を聴いているんだけど
                 全然表現が違う。
                 ゲルハーヘル、まだ表現に抑制があってドイツ・リートになってる)

              もう全身鳥肌たって、背筋が凍ったままの状態で
              ボストリッジ博士も疲労困憊みたいに見えたのに

              「シューベルトの Einsamkeit は
               ベートーベンの「遥かな恋人へ」への返答だと思います」

              と美しいドイツ語で挨拶してから

              わああああ
              「遥かな恋人へ」を全部歌ってくれた!!!

              しかも、これが全く違う表現方法で
              いったい、この歌手、いくつ引き出し持ってるのよ。

              鳴り止まない拍手に出て来た博士が
              「シューベルトは1827年に「冬の旅」という曲を書きました」
              とか言い出したもんだから
              会場大騒ぎ(笑)

              いや、そりゃ、アンコールに「冬の旅」全曲歌ってくれるなら
              我々、何時まででもお付き合いしますよ(爆笑)

              ボストリッジ、何か他に言いたかったんだろうけど
              結局「夜と夢」を歌います、という事で落ち着いた。

              これがもう、何と美しい ♡
              白鳥の歌が荒々しくドラマチックだった後に
              端正に歌われたベートーベンに
              この美しい「夜と夢」で
              あの背筋が凍るような「白鳥の歌」の暗さから回復しました。

              ロマン派詩人の曲とは言え
              ボストリッジは、一切の甘い感傷を許さず
              ストイックにドラマチックに
              やるせなさ、焦燥感、怒り、重苦しさを前面に出していて
              普通のシューベルトと全く違った味がした。

              こういう歌手がドイツ・リートを歌ってくれるのは
              すごく嬉しい。
              生半可な覚悟では聴けない表現だったけれど
              高いチケット買っても行って良かった。

              もともと私の音楽のルーツはドイツ・リートなので
              最近、またドイツ・リートを歌う優秀な歌手が増えて来たのが
              すごく嬉しい私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。


              (なんだこのバナーは、と思われるかもしれないけれど
               本当にある意味、鬼気迫った恐ろしい闇を見たコンサートだったので)

              このコンツェルトハウスのリートのチクルスって
              来シーズンには
              ミヒャエル・シャーデが「冬の旅」(!!!!ホントか?!)
              ゲルハーヘルがブラームスの「美しきマゲローネ」(きゃ〜〜〜っ)
              女性歌手は避けたいのでチクルスでは買わないのだが
              発売日をチェックしておかねば、と堅く決心中。




              フラヌイ + フローリアン・ベッシュ

              0
                Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2017年4月25日 19時30分〜20時50分

                “Alles wieder gut” (初演)
                Komposition/musikalische Bearbeitung :
                Andrea Schett & Markus Kraler
                舞台・ビデオ Jonas Dahlberg

                Franz Schubert (1797-1828)
                Die Vögel D 691
                Heidenröslein D 257
                Trok’ne Blumen (“Die schöne Müllerin” D 795 Nr. 18)

                Gustav Mahler (1860-1911)
                Die zwei blauen Augen (“Lieder eines fahrenden Gesellen”)

                Robert Schumann (1810-1856)
                Es file ein Reif (“Tragödie” op. 64 Nr. 3/2)

                Gustav Mahler
                Ging heut morgen übers Feld (“Lieder eines fahrenden Gesellen”)

                Johannes Brahms (1833-1897)
                Die Sonne scheint nicht mehr
                (49 deutsche Volkslieder für eine Singstimme mit Klavierbegleitung WoO 33 Nr. 10)

                Robert Schumann
                In der Fremde (“Liederkreis” op. 39, Nr. 1)

                Gustav Mahler
                Wenn mein Schatz Hochzeit macht (“Lieder eines fahrenden Gesellen”)

                Robert Schumann
                Der arme Peter op. 53

                Franz Schubert
                Du bis die Ruh’ D 776

                Johannes Brahms
                Da unten im Tale
                (49 deutsche Volkslieder für eine Singstimme mit Klavierbegleitung WoO 33 Nr. 6)

                Franz Schubert
                Abendstern D 806

                Johannes Brahms
                Über die Heide
                (Sechs Lieder für eine tiefere Stimme mit Begleitung des Pianoforte op. 86 Nr. 4)

                Franz Schubert
                Litenai auf das Fest Allerseelen D 343

                Gustav Mahler
                Ich hab ein glühend’ Messer (“Lieder eines fahrenden Gesellen”)
                Ich bin der Welt abhanden gekommen
                (Fünf Lieder nach Texten von Friedrich Rückert Nr. 3)

                Henry Purcell (1659-1695)
                When I am laid (“Dido und Aeneas” Z. 626, 3. Akt)

                Musikbanda Franui
                クラリネット・バスクラリネット Johannes Eder
                チューバ Andreas Fuetsch
                ソプラノとアルト・サクソフォン、クラリネット Romed Hopfgartner
                コントラバス、アコーディオン Markus Kraler
                ハープ、ツィター、歌 Angelika Rainer
                ハックブレット、歌 Bettina Rainer
                トランペット、歌 Markus Rainer
                トロンボーン、歌 Martin Senfter
                バイオリン Nikolai Tunkowitsch
                トランペット、歌、指揮 Andreas Schett

                バスバリトン Florian Boesch

                東チロルの山奥のインナフィールグラーテンという
                本当の田舎町で
                若い音楽家たちが集まって作った
                不思議なバンド・フラヌイについては
                何回かこのブログでも書いて来たけれど

                この不思議なバンドについて
                言葉で何か表現できるだけの力は
                私にはない(断言)

                現代音楽レーベルのコル・レーニョから出ている
                マーラーの CD 聴いて
                ひっくり返って腰を抜かしてから
                ウィーンでコンサートがある時には
                できるだけ行くようにしている。
                (ついでに CD もブラームスもマーラーもシューベルトも買った)

                何せこのグループ
                他に本職を持っている人ばかりなので
                (しかもインナフィールグラーテン出身だけど
                 今やオーストリアやドイツに散らばっているという)
                定期的なコンサートと言うのはないのである。

                このフラヌイが
                今回はバスバリトンのフローリアン・ベッシュとの共同プロジェクト。
                今まで、自分たちで歌ったりはしていたけれど
                歌手との共同作業は初めてのはず。

                しかもベッシュのあの深くて強い声と
                フラヌイの不思議な響きはとても合いそう。

                コンサートは満杯状態。
                うはははは、ウィーンにもフラヌイのファンは居る♡
                (何となく嬉しい)

                コンツェルトハウスのモーツァルト・ホールの
                舞台の向こうにはビデオの投影があって
                どこかの寝室が写っている。

                プログラムは休憩なしで
                リートとリートの間もアタッカ。
                ベッシュ、ほとんど歌いっぱなし。

                しかもあのむくつけきマッチョな大男が
                時々、身体クネクネさせながら歌うのが・・・可愛らしい(爆笑)

                思っていた通り
                フラヌイの金管とベッシュのバスは、ものすごく合う。
                バランス最高だし
                ベッシュもひたすら楽しんで歌ってる。

                耳慣れたシューベルトやマーラーが
                ものすごく不思議な響きで入って来て
                リートの連続も、とても自然。

                しかも組み方が巧いので
                様々な音楽が次々に
                メロディに加えて音色のバラエティまで精密に計算されていて
                あっという間の70分。

                更に、後ろのビデオ投影の寝室が
                微妙に微妙に、本当に微妙に変化していくのである。

                横に置いてある椅子の形が変わったと思ったら
                だんだん崩れて床に溶け込んで行くし
                横の棚が、どんどん崩れていって床に溶けこんで
                ナイト・テーブルがグニャっと崩壊して
                ベッドの形が微妙に微妙に変化していって

                コンサートが終わる頃には
                ベッドもなくなって、何もない部屋になっているという。

                しかも、これが本当にゆっくりと変わって行くので
                音楽に耳が集中している間に
                意識しないところで、あれ?という
                画面が音楽への集中を妨げず
                なのに、ちゃんと視覚芸術としても成り立っている。

                フラヌイの響きの面白さというのは
                クラシックなリートでありながら
                例えば埋葬行進曲みたいな暗い色調のものが
                暗いんだけど、何となく可笑しいという
                なんとも生存本能的にゾクゾクしてしまうところにある。

                はい、ワケのわからん事を書いているのは知ってます。
                が、あの不思議な響きを、どう表現しろと言うのだ。

                へぇ、そんなに不思議なのか?と
                興味津々の皆さま。

                コル・レーニョのサイトのフラヌイ紹介(英語)は こちら

                私がひっくり返ったマーラーの CD も
                何と無料で視聴できるので
                (もちろん全部じゃないのでお気に召した方は
                 有料ダウンロードか CD をお求め下さい)
                ご興味のある方は ここ から聴いてみて下さい。

                ただ、これ本当に不思議な曲なので
                伝統的クラシックの盲目的信者の方には向きません(断言)

                田舎のインナフィールグラーテンでも
                当初は色々な嫌がらせなどがあったようだし
                今でも拒否反応は強い。

                が、拒否反応が強いもの、というのは
                逆らい難く魅力的なのである。

                ドイツ語のわかる方には
                オーストリア国営放送が2013年(結成20年)に作った
                25分の番組があるので、ぜひどうぞ。
                (ビデオでは様々なフラヌイの音楽も聴けます)



                別にフラヌイの回し者ではないのだけれど
                クラシックでも、こんな世界があると言う
                稀有な例だと思う。

                5月のコンツェルトハウスの
                Gemischter Satz という
                様々な音楽ジャンルのお祭りにも参加するようなので
                行こうかどうしようか迷っている私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                フィルハーモニックス 「愛と結婚について」

                0
                  Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年4月20日 19時30分〜21時40分

                  “Liebesg’schichten und Heiratssachen”
                  Philharmonix in Love

                  Philharmonix
                  バイオリン Noah Bendix-Balgley, Sebastian Gürtler
                  ビオラ Thilo Fechner
                  チェロ Stephan Koncz
                  コントラバス Ödön Rácz
                  クラリネット Daniel Ottensamer
                  ピアノ Christoph Traxler

                  Johannes Brahms (1833-1897)
                   Ungarischer Tanz Nr. 1 g-moll (1868) (Bearbeitung : Stephan Koncz)
                  Edvard Grieg (1843-1907)
                   Romanza (Bearbeitung : Daniel Ottensamer)
                  José Feliciano (*1945)
                   Feliz Navidad (Bearbeitung : Sebastian Gürtler)
                  Freddie Mercury (1946-1991)
                   Bohemian Rhapsody (1975) (Bearbeitung : Sebastian Gürtler)
                  Henri Winiawski (1835-1880)
                   Scherzo-tarantella g-moll op. 16 (1856) (Bearbeitung : Stephan Koncz)
                  Sebastian Gürtler (*1971)
                   Tristans Tango (2013)
                  Erik Satie (1866-1925)
                   Gnossienne Nr. 1 (1889/90) (Bearbeitung : Stephan Gürtler)
                  Stephan Koncz (*1984)
                   Russische Ouvertüre nach Themen von Peter Iljitsch Tschaikowsky
                  Max Bruch (1838-1920)
                   Kol Nidre. Adagio über hebräische Melodien op. 47 (1881)
                    (Bearbeitung : Stephan Koncz)
                  Sebastian Gürtler
                   Babarababa
                  Stephan Koncz
                   A New Satiesfaction (feat. Première Gymnopédie)
                  Franz Liszt (1811-1886)
                   Ungarische Rhapsodie Nr. 2 cis-moll S 244/2 (1846-51)
                    (Bearbeitung : Matthias Fletzberger)
                  Artie Shaw (1919-2004)
                   Swing (Bearbeitung : Daniel Ottensamer, Nobuo Watanabe)
                  Stephan Koncz
                   Balkan Party

                  もともとは The Philharmonics という名で活動していたグループが
                  内部の分裂か喧嘩別れか
                  あるいは平和的解決なのか
                  ともかく内部関係者ではないので理由はわからないけれど
                  メンバー入れ替わりで
                  新しく Philharmonix という名称で再出発。

                  もともと室内楽はあまり聴かない私だが
                  一度行ってみたら
                  冗談音楽みたいで、えらく楽しかったので
                  すぐに今回のチケットを買った。

                  いやもう、正しく冗談音楽なのだが
                  それがまた、えらく高い水準でバッチリ決まる。
                  今回のテーマは
                  「愛と結婚」なのだが
                  きっと、前のグループの時に既に決まっていたタイトルで
                  多少なりとも辻褄合わせに苦労したんだろうなぁ。

                  「愛」は何とか辻褄合っていたが
                  (トリスタンとイゾルデのタンゴ!!!(爆笑))
                  結局、最後の最後まで「結婚」は出ませんでした。

                  新しくメンバーに加わった
                  第一バイオリンは、ベルリン・フィルのメンバーとの事だが
                  この人、えらくテクニカルでメカニックで
                  しかも音が大きくて
                  (最初、え?マイク?とか思ったくらい)
                  正確無比な音程で
                  目を剥く超絶技巧を、バリバリ演奏する。

                  いや、巧いわ、凄いわ。
                  さすがドイツ人、とか思ったのは
                  私の偏見によるものだろうが
                  でも確かにあのバイオリン奏法は
                  あまりウィーンでは聴く事がないような気がする。

                  クィーンの永遠の名作
                  ボヘミアン・ラプソディをバッハの平均律に乗せちゃったり
                  トリスタンとイゾルデをタンゴにしちゃったり
                  サティをポピュラー音楽に料理したり

                  いつもながらの
                  クラシック・ミックスで楽しませてくれる。

                  実はワタシ、このメンバーの中の
                  セバスティアン・ギュルトラーのファンで
                  すみません、ああいうメガネ男子に弱い、と言うのはあるが
                  あの芸達者なところと
                  (作曲、アレンジメント、ウィーン・リートなんでも来い)
                  何とも紙一重の不安定さが魅力的。

                  もちろん、個人的には存じ上げませんが
                  (ついでに存知あげたいという気も全くないが)
                  関係者各所から、時々、変人エピソードを聞くたびに
                  何となく悶えるのである。
                  あぁ、私も変人になりたい・・・けれど
                  ああいう天才だから、変人が似合うのである。

                  さて、コンツェルトハウスはえらく太っ腹で
                  このコンサート、全部をライブ・ストリーミングで
                  Youtube で配信している。

                  聴いてみたいわ、という方は
                  Youtube の Wiener Konzerthaus のチャンネルからどうぞ。
                  長いので、ここには嵌め込みません。

                  トリスタンとイゾルデのタンゴは、第一部の36分15秒くらいから。
                  セバスティアンの歌は第二部の説明が19分38秒くらいから。

                  プレイヤーも観客も
                  高い水準のジョークを
                  文句なしに楽しめるコンサートで
                  良い気分でコンサート・ホールを後にした私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  ウィーンは本日も雪がチラチラ。
                  明日の最低予想気温がマイナス1度と出ているのは
                  冗談だと思いたい・・・・

                  フローリアン・ベッシュ + マルコルム・マルチヌー

                  0
                    Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2017年2月28日 19時30分〜21時15分

                    バリトン Florian Boesch
                    ピアノ Malcolm Martineau

                    Franz Schubert (1797-1828)
                     Die schöne Müllerin D 795 (1823)

                    この間の日曜日から
                    ほとんど日を空けずに
                    またバリトンでの「美しき水車小屋の娘」

                    フローリアン・ベッシュについては
                    何回か書いてもいるし
                    この深いバリトンの
                    ゾッとするようなシューベルトの「冬の旅」は
                    ナマでも何回か聴いた。

                    けど、今度は水車小屋の娘?
                    なんか、あのバリトンの声質のイメージに合わないんだけど・・・

                    登場したベッシュ
                    歌う前に突然

                    今日は自殺はないです

                    って・・・わっはっは、そういう解釈か。
                    歌った後に、この解釈についての解説があるとの事で
                    その説明は聞かずに
                    まずはベッシュがあの声で
                    美しき水車小屋の娘を、どう落とすか(こらっ)お手並み拝見。

                    最初から、えらく元気な青年(というかガキだな)登場(笑)

                    でも、すでに Das Wandern で
                    節ごとの表現が素晴らしい。
                    どの歌手も、どのピアニストもやるけれど
                    ピアノの音の重さとタッチを変えて自在に音を操るピアニストと
                    元気な声から、しっとりしたところまで
                    これも変幻自在のバリトンの表現に心を奪われる。

                    落ち着いた色調のリートの後
                    Am Feierabend で登場した親方が
                    どう見てもベテランの落語家にしか聞こえず(すみませんっ!)
                    いや、堂々としていて、実に良いのであるが
                    その後の娘のセリフ
                    最初を本当に(バリトンかお前は!)ソット・ヴォーチェでやった後
                    繰り返しを力強く歌ったので

                    あっ、この2回目の Allen eine gute Nacht の繰り返し
                    この若者の心の中のリピートで
                    なにぃ、みんなに良い夜をだって?!
                    ボクだけじゃないのか、ふざけるな(妄想)

                    Ungeduld あたりは
                    何か、怒っているように聴こえる程のエネルギーで
                    そんなコワイような声で
                    ボクの心はキミのもの、とか叫ばれても
                    ・・・ちょっと困惑するだろ、これは(汗)

                    Des Müllers Blumen あたりは甘い声でゾクゾク。
                    その後の Tränenregen は後の解説で大きな役割を果たす事になる。

                    Der Jäger から Eifersucht und Stolz を
                    ドラマチックに歌い上げた後の
                    Die liebe Farbe の空虚さの対比に鳥肌が立つ。

                    しかもピアノがまたドラマチックで惚れるわ ♡
                    バリトンだからかもしれないけれど
                    低音がバッチリ効いていて(低音好き)

                    さて、最後の子守唄
                    自殺じゃない、と最初から言ってたから
                    もっと明るく歌うのかな?と思っていたけれど
                    ドラマチックではあっても、別にむちゃ明るい訳ではなくて
                    割に普通に歌った、という印象だった。

                    しかしまぁ、一風変わった水車小屋の娘ではある。
                    我々がディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウあたりで
                    聴き慣れた「キレイな」リーダー・クライスと全く違って

                    オペラ・・・とは言わない
                    オペラちっくな表現はない
                    けれど
                    ドイツ・リートの持っている劇的な部分を
                    これでもか、これでもか、とばかりに聴かせてくれた感じ。

                    さて、解説の時間です(笑)

                    ベッシュ曰く
                    「僕は、この「美しき水車小屋の娘」が
                     どうしてもわかりませんでした」

                    私の乏しいドイツ語理解力で分かった、という部分だけだし
                    何らかの私の偏見や誤解が入っているかもしれないが

                    これは青年と小川の対話です。
                    で、私は、小川というのは、いったい何だ?と
                    ずっと疑問に思って来ました。

                    ・・・で、どっか一ヶ所に
                    小川が語りかける部分が、という話があったのだが
                    いったい何処だったっけ?(記憶力ゼロ(恥))

                    その深い小川の哲学的語りかけに応えたのが
                    最後の曲だそうで
                    自殺ではなく、もっと心理的に深い部分に入っていく象徴
                    ・・・とか何とか(もう混乱しているワタシ)

                    ただ、面白かったのが
                    観客からの質問で

                    あなたの歌は、愛してる、と歌いながら
                    怒っているように聴こえたのですが

                    これ、かなり鋭い質問で
                    ベッシュも、おお、よくぞ聞いてくれた、とばかりに

                    Tränenregen の話になった。

                    この「涙の雨」という曲
                    確かに、このチクルスの中で
                    唯一、青年と娘が会話する曲なんだけど

                    ご存知の通り
                    2人で小川のほとりで、小川に2人が写っていて
                    青年の涙が小川に落ちると
                    娘が、あら、雨だわ、私、帰るね・・・という曲で

                    ベッシュ曰く
                    小川に2人が写っていると言う状況は
                    こうやって座って、乗り出して
                    2人で小川の上に顔を出している状態で

                    そこに落ちた涙を
                    雨と思って、じゃぁ、帰るね、という
                    この娘は、青年の感受性を全く理解できていない。

                    ・・・まぁ、女性ってそういうモンでしょう。
                    男性が女性に期待し過ぎだ(爆笑)
                    ベッシュは、ここで
                    ずいぶん娘をバカにした振りをしていたけれど
                    プラグマチズムの強い女性は、だいたい、そんな感じだと思うよ?

                    その後の Mein ! で怒っているように聴こえるのは
                    そういう感受性を理解しない
                    要は世界観として、全く青年と別個な世界に生きている
                    俗物の女性を愛している、という状況に
                    青年が自分で自分を強制的に追い込んでいるから

                    ・・・何となくわかるぞ、これ。

                    そうなんだよね
                    この「美しき水車小屋の娘」というチクルス聴いていると
                    私には、どうしても、この娘が
                    一時でも、この青年を愛したとは思えず

                    せいぜい、感受性の強いインテリな男の子が
                    何か、必死に縋ってくるから
                    ちょっと、手を出しちゃおうかなぁ
                    程度にしか聴こえない。

                    だいたい小川のほとりで2人で居る時に
                    小川の上に乗り出して、2人で小川に写る自分たちを見てるか?
                    普通だったら、小川見るんじゃなくて
                    お互いに見合ってイチャイチャだろう!!!

                    だから、確かにこのストーリーは
                    ラブストーリーでも、失恋物語でもなく
                    世界観が違う男女がくっつくのは無理・・・じゃなくて(冷汗)
                    見た目の美しさに夢中になって
                    知能程度の低い女性にひっかかっちゃダメよ・・・じゃなくて(冷汗)

                    何なんだ、このストーリー???
                    よく考えてみれば
                    最初から最後まで、青年の空回りだよね?

                    ベッシュに言わせると
                    この曲はロマンチックにキレイに歌おうとすれば
                    それなりに歌えてしまうし
                    今まで、ずっと、そのように歌われて来たけれど
                    実は違うんじゃないか。

                    15年前だったら、こういう歌い方は出来なかった
                    と言っていたけれど

                    それだけ、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウの
                    呪いというものは強力だったのだ。

                    本当にや〜っとここ数年
                    その呪縛から解放された才能ある歌手たちが
                    あの世代の歌手には思いもかけなかったような
                    新鮮な切り口でドイツ・リートを歌うようになってきて

                    オバサンの私も、やっと呪縛から解放されたような気がする。

                    もちろん、ベッシュが強調して言っていたけれど
                    歌い手にも聴き手にも
                    それぞれの解釈があって
                    ベッシュの解釈が唯一正しいものではない。

                    ただ、音楽的なアプローチではなく
                    テキストからの分析、という意味では
                    非常に面白い30分だった。

                    こういう実力のある歌手が
                    心理的に深い部分での考察や分析を重ねて
                    全く違う世界を聴かせてくれた時間は
                    睡眠不足だろうが
                    仕事が溜っていようが
                    行って良かった!!!と思わせる
                    充実した時間だった。

                    と、感覚的にも理性的にも
                    充分に満足して
                    オフィスに残業しに帰った私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    いや、でも去年の2月・3月に比べたら
                    地獄と天国くらいの差はある(と思わないとやって行けない(笑))
                    何とか3月が過ぎてしまえば(え〜い、無事に過ぎろ!)
                    その後は、ぐっと楽になる(はず)

                    マティアス・ヘルム + デュオ・ハザード

                    0
                      Gemäldegalerie / Akademie der bildenden Künste Wien
                      2017年2月26日 11時〜12時20分

                      バリトン Matthias Helm
                      ギター Duo Hasard / Stephan Buchegger, Guntram Zauner

                      Franz Schubert (1797-1828)
                       Die schöne Müllerin D 795 op. 25

                      名だたる歌手のコンサートに出掛けている私なので
                      このバリトンはいったい誰だ?と思う人もいるだろう。

                      オーストリアのバリトンで
                      公式ウエブ・サイトは ここ

                      ツィッターで私をフォローしている人は
                      記憶にあるかもしれないけれど

                      ブラームスの「4つの厳粛な歌」を
                      現代曲にしてオーケストラにしたという作品を
                      ウィーン・フィルが演奏した時に
                      オリジナルを Youtube で探していて

                      その中で見つけたクリップが
                      あまりに巧かったので
                      いったいこれ誰?と調べたのが
                      この歌手だった。

                      よろしければ、私が一発で参った当該の曲をどうぞ ♡



                      公式サイトにこのコンサートの告知があったのだが
                      会場になる造形美術アカデミーには何も記載がない。
                      電話して、このコンサート、あるんですか?と確かめて
                      更にメールで1枚チケットを予約した。

                      チケット30ユーロというのは
                      ワタクシ的には、かなり高い 😓
                      でも美術館が会場だし、客席もそんなにないだろうし・・・

                      で、いくら Youtube でスゴイとか思っても
                      実際に聴いてみたら、声量がないとか
                      これだけ歌える人が、中央舞台に飛び出して来ないのには
                      何か理由があるかもしれないし。

                      こんなプロモーションされていないコンサート
                      集まって来るのは関係者ばかりじゃないか、と
                      ちょっとドキドキしていたのだが

                      会場に到着してみれば
                      結構な数の人が来ていて、ほとんど空き席のない状態。
                      (とは言え、窓口でダレダレさんがどうのこうのと
                       料金払わずにチケットもらった人もいたから
                       やっぱり半分以上は関係者だろうという疑惑はある)

                      会場は造形美術アカデミー・ギャラリーのイタリア絵画の部屋。
                      かなり狭いし、狭いだけに音が響く。
                      最初の担当者のスピーチの時に
                      うっ、これ、響き過ぎでヤバイかも、という懸念はあった。

                      ギター伴奏の「美しき水車小屋の娘」と言えば
                      私の世代だと、ペーター・シュライヤーを思い出す。
                      楽友協会のブラームス・ホールでナマでも聴いた。
                      (確かピアノとチェンバロとギターで
                       続けざまにリサイタルした時だ。何年前かは忘れたが)

                      今回はギター2本。
                      ギターの音量は、こういう小さいホールだとキレイに聴こえる。
                      が、やっぱり歌手の声がデカイ。
                      響き過ぎるのだが
                      だからと言って、声楽で出せる声を抑えるというのは
                      大変な腹筋が必要なので(あ、話がズレる・・・)

                      時々、音が飛ぶ時の音程が不安定に聴こえて来たり
                      ほんの少し、下から上にポルタメントがかかったりするが
                      (でもこれ、他の歌手でもよくあるので、そういう曲なのか?)

                      ドイツ語は明確に聴こえてくるし
                      リート内容の表情も、かなり出ている。

                      Am Feierabend の、娘さんの挨拶は
                      やっぱりバリトンだとちょっと無理がある(笑)

                      音程が本当に不安定なのかは
                      Der Jäger を聴けば一発でわかるはず。

                      で、その Der Jäger が

                      ドラマチック ♡ むちゃくちゃ良いっ!!!

                      ナニこの人、凄いじゃないの。
                      それ以前は、ちょっとぬるま湯的な緩さがあったのに
                      ライバルが出現してからの劇的な変貌と
                      その怒りの語り口が実にリアル。

                      怒りから悲しみになり
                      慟哭から諦観に至る後半の部分が
                      切々と心に迫ってくる。

                      若かりし頃の私は
                      前半の恋にウキウキの方が好きで
                      後半はちっ、軟弱者め、とか思っていたのだが
                      歳取ると、後半の方が響いてくるのか(いや違うかも)

                      嫉妬と怒りの部分の声量は大きいけれど
                      そろそろホールの音響に耳慣れもしてくるし

                      その後の、声を張り上げない悲しみの部分は
                      ギターの音色と相まって
                      内省的で親密で、しっとりしていて

                      うわああああ、参った、参りました。
                      これこそシューベルトだわ。

                      ギター伴奏は2本なので
                      ピアノ伴奏の取り残しの音符はない。
                      ほんの少しの傷はあったけれど
                      それは想定内。

                      加えてドイツ語が美しい 😍
                         ↑これ重要!!!

                      ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウで育った私は
                      ドイツ・リートの美しさというのは
                      80%以上がドイツ語の美しさだと確信しているから
                      これだけ美しい明確なドイツ語が聴こえてくると
                      それだけでメロメロになる。

                      あの Der Jäger にしてからが
                      あのテンポの、どう考えても歌手苛めのドイツ語早口言葉を
                      目にもつかぬ速さで、しかも一言も疎かにせずに歌い切った 👏

                      シューベルト時代のホーム・コンサートというか
                      (まぁ、ホーム・コンサートと言い切るには
                       バリトンの声量がプロだから(笑))
                      良いよね、こういう、何ともファミリー的な雰囲気 ♡

                      コンサートの後、アンコール1曲あって
                      外でシャンパンやオレンジ・ジュースが用意されていた。

                      知り合いとかと行けば
                      そこでしっかり料金のモトを取るのだが(こらっ)
                      1人でシャンパン飲んでも面白くないし(イジイジ)

                      朝8時からのサウナの後だし
                      最近また偏頭痛がチラチラ顔を出しているので

                      久し振りに造形美術アカデミーの絵画ギャラリーを廻って
                      レンブラントにドキドキして
                      ボッシュの祭壇画にドキドキして
                      入り口のシャンパンが供されている場所に戻ったら

                      まだ、ほとんどの人が残っていてシャンパン飲んでる(笑)

                      更にチラッと見たら
                      ギタリスト2人と歌手も混じってる(笑)

                      入場券売り場に CD がある、と言うので買って
                      チラッとバリトンと目があったら

                      歌手の方から、こんにちは!と声をかけて握手して来た(驚愕)

                      な、な、何なんですか、この気取らない雰囲気???
                      (どこかのオーケストラが友の会のリハーサル後に
                       やっぱりシャンパン供するけど
                       私、オーケストラのメンバーに挨拶なんかされた事ないよ?)

                      邪推=歌手とギタリストの知り合いばかりなのに
                      知り合いではないアジア人の女性が来てるけど、これ誰?

                      CD にサインしてもらって
                      実はね、Youtube のブラームスで見つけたので
                      ・・・と言ったら、うわ〜、そういうプロモーションの効果が
                      と歌手自身が驚いていたみたい。

                      でも、このマティアス・ヘルム
                      またドイツ・リートのリサイタルをやるのなら
                      追い掛けてみたい。
                      できれば、もう少し広めのホールで
                      リートに適した音響のところで。

                      まだまだ知られていない
                      才能豊かなドイツ・リートの歌い手を発見して
                      ちょっと嬉しい私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                      calendar
                      1234567
                      891011121314
                      15161718192021
                      22232425262728
                      293031    
                      << October 2017 >>
                      PR
                      ★コンタクト・メイル★
                      メイルはこちらへ
                      ブログランキングに1クリックお願いします
                      selected entries
                      categories
                      archives
                      recent comment
                      recommend
                      links
                      profile
                      search this site.
                      others
                      mobile
                      qrcode
                      powered
                      無料ブログ作成サービス JUGEM