ウルティマ・ヴェス Go Figure Out Yourself

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    Im Puls Tanz
    Vienna International Dance Festival

    mumok Hofstallung 2019年8月7日 19時〜20時30分

    Wim Vandekeybus / Ultima Vez (BE)
    Go Figure Out Yourself

    演出・振付 Wim Vandekeybus
    ドラマツルギー Aïda Gabriëls
    照明デザイン Davy Deschepper, Wim Vandekeybus
    衣装デザイン Isabelle Lhoas
    シーン Ultima Vez
    ダンサー Sadé Alleyne, Maria Kologova, Hugh Stanier,
    Kit King, Tim Bogaerts

    ウルティマ・ヴェスのダンサーたちは
    とんでもなく踊れるダンサーなのは知っているのだが
    今回のパーフォーマンスは
    私が最も苦手とする

    観客参加型

    ホールには椅子はない。
    (持ち込み用の椅子はあったらしく
     年配の女性数人が持って入って来たが
     壁際に置くしかなく
     そうすると、その前に立っている人の壁が出来て
     結局、何も見られない)

    かなりの人数が会場に入ったあと
    背の高い男性が
    何だかわからないけれど
    英語で哲学的に聞こえる
    詩的で論理や前後の繋がりのない感じのスピーチ。

    あ〜、こういう英語でのスピーチって好きじゃないわ。
    英語圏のショーを見に来ている訳ではなく
    私は、ダンスを見に来ているんだけど・・・

    会場広くて、マイクを付けていてもあまり音響は良くないし
    周囲のおしゃべりなんかもあって、よくわからんのだが
    (自分の英語能力のなさは当然ながら最も大きな理由だけど)
    みんなで会場を移動しましょう・・・とか言われて
    100人以上がゾロゾロ歩いて移動するのも何かなぁ・・・

    ダンサーは男性3名に女性2名。
    背の高い英語で何だかおしゃべりしていた男性が
    まずは踊り出し
    そこに、女性ダンサーが、他のところで踊り出して
    小柄な男性ダンサーのアクロバットみたいな回転技が入って

    その度に、大人数の観客が
    場所を開けたり、あっちに行ったりこっちに行ったり
    油断していると、前の方に出ている観客のギリギリのところに
    すごい勢いで飛んで来たダンサーがぶつかりそうになる。

    すぐそこの足元で
    ダンサーがブレイク・ダンスをしているのを見る、という体験も
    滅多にないのだけれど
    あまり近いと、ダンサーの汗で濡れた床が滑りそうだし
    あまりに近すぎる床で踊っているダンサーって
    ちょっと、その存在がコワイ。

    ライティングが変わったとたん
    ダンサー全員が「獣」と化して
    唸ったり叫んだりしながら会場の床を駆け回り
    転げまわり、ダンサー同士で動物の喧嘩みたいに絡んだり
    ・・・まぁ、これは、ダンサーがすっ飛んで来た時に
    ぶつからないように注意すればそれで良い。

    でも、ダンサーごとの小グループに分かれて
    一人一人の目をじっと覗き込まれて
    ワケのわからん内容の英語を話されても
    どう反応して良いのか、戸惑っちゃうんですが。

    しかも床に座れとか言われても
    私、坐骨神経痛がひどくて・・・(以下省略、結構辛かった)

    その後も、ダンサー1人が高い台に登って
    上から、またもや哲学的・詩的な英語のスピーチをしたり
    (意味不明・・・)
    はい、みんな、前に来て、手を上げて〜・・・って

    こういう、ちいちいぱっぱ、幼稚園の頃から好きじゃないんですワタシ。
    団体行動苦手だし(って関係ないか)

    踊っている時には
    素晴らしい身体能力と、身体の形を見せてくれるので
    ダンスという面では見応えがあるんだけど

    この演目を、何故に「観客参加型」にする必要があったのか
    さっぱりわからん。
    だって、普通に舞台の上で
    英語のスピーチして
    5人のソロと、何人かの絡みで
    普通に踊ったら、それで充分、見応えのある公演になりそうなのに。

    観客参加型で、観客がゾロゾロ動くのもあるけれど
    それに加えて
    ダンサーが観客の手を引いて
    無理やりダンサーと踊らせたり
    ダンサーの踊っている中に立たせたり

    だいたい、こういうパーフォーマンスに来ている観客のうち
    90%くらいは、自分たちもダンサーなので(内輪の集まりみたいなもんだ)
    嬉々として、ダンサーに手を取られて出ていって
    そこで、ダンサー顔負けのダンスしちゃう人もいる(笑)

    かと思うと
    どう見ても、ど素人の初老のオジサンが
    ダンサーの前にただ立っていれば良いのに
    ヘンに身体をクネクネさせて
    踊るダンサーが困惑・・・はしていないが(プロだから)
    踊りにくそうだったのは、ちょっと微笑ましかった。

    でもまぁ、基本的に
    男性ダンサーが、手を取って連れてくるのは
    若くて美人の女性ばかりでしたが(爆笑)

    私の顔をじ〜っと見て、目を合わせながら
    「僕のお母さんは云々」と喋ったダンサー。
    あ〜、良いんですけど
    こんな場所で年齢を意識させられるとは思わなかったわ。

    でも、その後、私の隣の女性に
    「僕のお婆ちゃんは云々」と言ったダンサーも居たし
    (あとで小声で謝っていた、隣だから聞こえちゃった)
    お婆ちゃんと称された隣の女性は
    たぶん、私と同年代か、少し下かもって感じだったので
    「お母さん」に擬えられたという事は
    多少なりとも若く見られたんだろう、と
    自分の小さなプライドを必死で慰めてたりして。
    (自分ながらいじましい・・・)

    あと、あの狭いホールで
    全員で叫ぼうアワーというのがあって
    いやはや、鼓膜が破れるかと思った。
    音響とデシベルを考えて欲しいわ(苦笑)
    ダンス好きでディスコに入り浸っていたりする人なら
    この程度の瞬間的音量は、あまり気にならないのかもしれないが。

    観客参加型で、観客がダンサーであれば
    違う意味で楽しめたのかもしれないが
    ここまでダンサーとの距離が近いと
    私は返って緊張してしまう。

    ダンサーはやっぱり「人間」というよりは
    動く彫刻(すみません)みたいなもので
    観客席とは離れた場所にある
    舞台という、別世界の上で
    触れる事もできない神聖なフィギュアとして
    鑑賞している方が
    程よい縄張り感が明快にあって気楽。

    パーフォーマーと観客の間が遊動的というのが
    ヴィム・ヴァンデケイビュスの目指すところだったのだろうし
    その目的はある程度は果たされてはいるものの

    観客参加型パーフォーマンスなんて
    今さら、目新しいものではないし
    あれだけ踊れてしまうダンサーが
    圧倒的なダンスやソロを披露している時に
    観客がパーフォーマンスの一部って、かえって邪魔くさい。

    しかしまぁ、相変わらずベルギーのコンテンポラリーってスゴイわ。
    ネザーランドも負けてないけれど
    あの地域のコンテンポラリー・ダンスの優位性って
    いったい、どこから出てくるんだろう。

    約1時間半くらいの
    観客巻き込み型パーフォーマンスで
    この1時間半に、21ユーロ(年配割引適用)の価値があったか、と
    考えると微妙ではあるのだが
    イム・プルス・タンツの最後のパーフォーマンスだし
    ダンスとしては見応え充分だったので
    ま、良いか、という気分の私に
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    リクイッド・ロフト スタンド・アローン(ポリフォニー)

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      Im Puls Tanz
      Vienna International Dance Festival

      Leopoldsmuseum 2019年8月1日 21時〜22時30分
      Liquid Loft
      STAND-ALONES [polyphony]

      ダンス・振付
      Luke Baio, Stephanie Cumming, Dong Uk Kim,
      Katharina Meves, Dante Murillo, Anna Maria Nowak,
      Arttu Palmio, Hannah Timbrell
      芸術監督・振付 Chris Haring
      音楽・サウンド Thomas Jelinek
      理論・テキスト Stefan Grissemann

      オーストリアのコレオグラーフ、クリス・ハーリング率いる
      リクイッド・ロフトは
      コンテンポラリーだから当たり外れはあるけれど
      比較的面白い作品が多い。

      今回の会場はエゴン・シーレのコレクションで名高い
      レオポルド美術館。
      MUMOK という隣の近代美術館での公演がよくあるので
      間違えてそちらに行ってしまい
      美術館が違うよ、と言われて焦ったが
      建物はすぐ近くだし
      21時開演とか言っても、21時に開場だったので
      充分間に合った。

      題名が示す通り、今回のテーマは、ポリフォニー。
      レオポルド美術館の地下のスタジオの
      各ルームに、それぞれダンサーが1人づつ居て
      観客は、あちこちのルームに移動しながら鑑賞する方式。

      昨年の作品「バビロン」と同じく
      各ダンサーは小さなコンピュータ端末とブルートゥースのスピーカーを持つ。

      それぞれのルームで、それぞれのダンサーが
      背後に、微かに鳴っている音楽と重ねて
      別のセリフや音楽や雑音などに合わせて

      「踊る」と言って良いのか、判断がつかない。
      「身体のカタチを見せる」と言った方が良いかもしれない。

      もちろん、激しい動きもあるけれど
      基本的に1スケッチについては同じ場所に居る。
      ただ、居る場所での「身体の歪み」がスゴイ。

      プログラムにはゴシック様式の巨匠による
      絵画の歪みについての言及があったけれど

      確かにダンサーの顔や身体を自由自在に使って
      ゴシック的?な、歪んだ彫刻だか絵画だかを見ている気分になる。
      まぁ、あの歪み方は近代絵画かもしれないが。

      普通の表情で普通に立っていれば
      国立バレエ団のナターシャのお姉さんかな、と思われる美女が

      手で顔の皮膚を引っ張って
      白目剥いて
      歪んだ状態で立ちつつ
      スピーカーから流れる男性の声の口パクしているところなんて
      ものすごい迫力なのだが
      そう書いたら、読者諸氏にも想像できるだろうか。

      壁にもたれ掛かりながら
      手が何処に行ってるのよ、という、身体の歪み方だったり

      完全な裸になって
      ほとんど手足逆さみたいな状態で
      部屋の角にへばり付いていたり

      ともかく、不思議な物体が
      その時々に位置やカタチを変えて、その部屋に居る。

      観客は、気の向くままに、ルームからルームへと移動したり
      あるいは、ダンサーの近くや遠くの床に座り込んで見ている人も多い。

      隅々までコントロールの効いた身体が
      徹底的なオフ・バランスで作り出す歪んだカタチ。
      まるで、ダリの世界を見ているような気分になる。

      裸の男性が壁に向かって立って
      お尻のお肉だけを細かく揺らすって
      いったい、どうやったんだろう?
      いや、尻の肉量に関しては
      絶対に私の方が優っているに違いないのだが
      あんなに細かくは揺らせないぞ・・・

      もちろん、ダンサーはみんな、ひたすら真面目なのだが
      しかし、その歪みに、何とも滑稽なユーモアのセンスが見える。
      こういうところ、ハーリングの面目躍如かもしれない。
      (ハーリングの振付って、何となく「笑える」部分があって楽しい)

      部屋を移動しながら、5人のダンサーそれぞれの
      不思議な肉体の動きを鑑賞して
      最後は大ホールに全員集まってフィナーレ。

      約80分の公演だが
      むちゃくちゃ面白かった。
      こういうのは、実際に見てみないと
      その面白さは伝えられないのが残念。

      動くゴシック絵画を見たい、とか言う趣味の方には
      絶対に気に入ると思う。
      明日、明後日と公演があるが
      明日は既にチケット売り切れみたい。

      さすがに2時間近く、立ったままで移動しながら鑑賞するのは
      膝が痛くてツライので、続けての鑑賞はしないけれど
      かなり見応えのある公演だったので
      満足している私に
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      今日の朝は5時に起きて(2時間半しか寝てない)
      ホテルから駅までバスの停車場3つの距離を歩き
      始発の列車でウィーンに帰って
      コンツェルトハウスのチケット取りと
      オペラ座のオープン・ハウスのチケット取りをした(炎天下待ち時間1時間)
      自分ながら呆れる根性が
      勉学に全く活かされないのは何故なのだろう・・・

      ユダヤ・コネクション Im Puls Tanz / MonkeyMind Company (BE)

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        IM PULS TANZ
        Vienna International Dance Festival

        Volkstheater 2019年7月28日 21時〜22時10分
        THE JEWISH CONNECTION PROJECT
        Lisi Estaras & Ido Batash / MonkeyMind Company (BE)
        コンセプト・振付 Lisi Estaras & Ido Batash
        ダンサー Yohan Vallée, Tamar Honig, Avidan Ben Giat, Ido Batash, Lisi Estaras
        共演 Julie Goldsteinas, Samuel Bloch, Marine de Mazoncourt, Ido Tamir,
        Natalie Assa, Elisabeth Sedlak
        ソプラノ Maribeth Diggle
        音楽 Richard Wagner
        音響 Ido Batash & Bart Uyttersprot
        ドラマツルギー Hildegard De Vuyst
        衣装 Nicole Petit
        照明 Helmut Van Den Meersschaut

        あ〜、何ですかこれ・・・

        イムプルスタンツの演目は玉石混合だから
        時々は、あ〜あ〜、というものに当たるのは仕方がない。
        第一、この演目、行かないつもりだったら
        ギリギリで割引が出て来て
        割引とかラスト・チャンスに弱い私は
        まんまと引っかかった。

        さて、タイトルが示す通り
        ユダヤ人コネクションというものが、現代にあるのか
        どこまでユダヤ人というアイデンティティが人を繋ぐか
        などのテーマを
        あちこちから集めたユダヤ人ダンサーと踊る
        ・・・という事らしい。
        (誤解があったらごめんなさい)

        ダンス・カンパニーの名前が Monkeymind という事からわかるように
        活動的な猿が、野性的な動きを無秩序に、本能的にする
        というのを基本に置いたカンパニーなのだが
        うううううん・・・ これはダンスなのか
        それとも、ただの「動き」なのか、よくわからんぞ。

        最初にソプラノ歌手がマイクの前で
        ユダヤ人とは何だろうとか
        たぶん、哲学的・詩的なテキストなのだろうが
        英語で、ず〜っと喋っていて
        その横で約10人の男女が
        ・・・立っているというのか、動いているというのか
        ダンサーでなさそうな人も半分くらい居るし
        (だって動きが全然違う)
        何なんだろう、これは。

        その後、ダンサーでない人は退場して
        ダンサーだけでのストーリーのない(と思われる)
        ダンス・シーンが続くのだが
        そこそこダンサーとして踊れているとは言え
        動きが野性的で次のステップの想像もつかない。
        (「猿」だからそれが正しいのかもしれない)
        揃うかと思えばバラバラになる。

        ここら辺で数人が観客席から退場。
        いや〜、私も帰ろうかと思った。

        その後、何故かワーグナーのトリスタンとイゾルデの
        愛の死の音楽がテープで流れてくる。
        ソプラノが・・・歌っているのか、口パクなのか
        どちらかと言えば口パクだと思うんだけど
        (この曲のオーケストラ伴奏だけのマイナス・ワンがあったら
         私も歌ってみたい(無謀))
        ともかく、ワーグナーである。
        イスラエルでは演奏してはいけない音楽である。

        ユダヤ人問題と言えば
        私のような者が口一つ挟めるものではないので
        現代のユダヤ人も、日々、自分のアイデンティティと戦っているのか
        ・・・とか、ちらっと考える位だが
        そこにワーグナーの音楽を流して良いんだろうか。
        いや、それが新しい試みなのかもしれない、うん。

        すみません、私、ボーッと生きているので
        あまり、こういう人種問題に縁がなくて
        ウィーンにあるユダヤ博物館には何回か行ったけれど
        周囲にユダヤ人の友人もいないし
        (いるのかもしれないが、わざわざ、あなたユダヤ人?とは聞かないから)
        ユダヤ博物館のガイドさんに
        結構、突っ込んだ質問はした事があるが
        スルッと躱されてしまったし(ごめんなさい)

        こういう抽象的な形で語られる問題について
        何も自分で感じるところがない、というのも
        政治・歴史意識に欠ける自分の頭の悪さがちょっと悲しい。

        しかし、この演目を見て
        感激した、という人が
        ホールの聴衆の中に何人居るんだろう・・・と
        しょうもない事を考えてしまった私に
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        Steven Cohen: put your heart under your feet ... and walk !

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          Im Puls Tanz Vienna International Dance Festival

          Odeon 2019年7月20日 21時〜22時10分
          Steven Cohen
          put your heart under your feet … and walk !

          パーフォーマンス・舞台・衣装 Steven Cohen
          舞台・照明 Yvan Labasse
          サウンド・ビデオ Baptise Evrard

          もともと行く予定にはなかったのだが
          ちょっと見たら、一番安い席で、しかも端っこの1席が残っていたので
          ついつい買ってしまった私は
          最後の超貧民席1枚が残っているシチュエーションに
          むちゃくちゃ弱い(汗)

          ウエブ・サイトを見た時に
          血だらけの写真があったので
          いつもの肉食系か、というのは覚悟していった。

          オーストリアには
          ウィーン・アクショニスムという伝統がある。
          これが現代芸術で唯一、ウィーンが書籍に載る項目なのだが
          (自慢にならん・・・)
          ヘルマン・ニッチュなどは
          動物を解体する血だらけパーフォーマンスやってるし
          ブルク劇場でのその記録は今でも映画で残っている。
          (見た事はあるが途中で気持ち悪くなってやめた)

          オデオンの舞台の向こう側に大規模スクリーンがあり
          最初に映ったのは
          タトゥーを入れているシーンの大写し。

          題名になっている英語のセンテンスをタトゥーしているのだが
          あのジリジリという機械の音が気持ち悪い・・・

          プログラム記載の作品の背景によると
          言葉に尽きぬほどに愛し合っていた
          パートナー(♂)が亡くなってしまい
          96歳になる仮のお母さん(どういう関係だかは謎)に
          辛いと言ったら
          put your heart under your feet … and walk !
          と言われたとの事。
          愛するパートナーを失った悲しみを
          このパーフォーマンスで表現して
          悲しみを乗り越えて歩き出すのだ、という作品なのだそうだ(たぶん)

          スクリーンには続けて
          パーフォーマーが見事に美しい厚塗りの化粧で
          (いや、これが実にユニークで
           コスプレなんてものを遥かに超えている)
          白いチュチュ様のドレスに、30センチくらいに見える
          すごいヒールで
          どこかの公園を歩いているシーン。

          背景に小さな音量で聴こえてくる
          なんだか私には懐かしいメロディー・・・

          うわ、これ、サザン・オールスターズの「栞のテーマ」
          (「彼女が髪を指で分けただけ、それがシビれるしぐさ」
           ・・・って曲で、もうまさにサザンの名曲中の名曲だと思う)

          あれ?と思って、画面をマジマジ観察すると
          「血の池地獄」とか書いてある・・・という事は
          ここって別府地獄じゃないか。
          20代の若い頃にドイツ人のグループ連れて
          ガイディングした事あるぞ(笑)

          しかし、こんなところで
          こんなすごい格好したパーフォーマーの撮影
          よく許可が出たな・・・

          歩くだけで大変だろうと思われる、すごいヒールだが
          歩く以外に、ほとんど何もしないし
          メイク・アップのズームとかが多い。
          メイク・アップはクリエイティヴで
          まつげの蝶々とかキレイなんだけど(以下省略)

          映像だけでパーフォーマーなしって事はないよね、と
          舞台を見ていたら
          舞台の上には、たくさんのバレエ・シューズが四角に並べられて
          下手(しもて)にはレコード・プレイヤーを4つ結んだオブジェクト
          上手(かみて)にはロウソク立ての並んだ祭壇っぽいものがあって
          上手(かみて)から
          柱(としか言えない、それとも暮石か?)に乗ったパーフォーマーが
          杖をついて登場。

          柱の上の靴は、かかとなしで
          しかも、かかとがあったら、これも30センチくらい、という傾斜。
          (しかもその下は柱?である。これが、1メートル近くある)
          その柱の上に乗って
          超長い杖で支えながら
          靴と靴の間を、ゆっくり移動していって

          その間、私の頭の中は
          あの靴(と柱)、いったい、どうやって脱ぐんだろう?
          という疑問だけで占められていた(すみません)
          (下手(しもて)の横に腰掛ける高さの舞台装置があって
           次のビデオの間に腰掛けて脱いでいた模様)

          さて、次のビデオだが
          あ〜、出た出た、血のパーフォーマンス。
          屠殺場のシーンで
          牛が上から吊られていて
          後ろに内蔵を出しているシーンが見えるので
          腸がどろどろ出てくるところも写っている。

          血抜きしているところで
          血を身体に擦り付けたり
          血抜き場所の下で、どろどろの血に塗れたり

          あ〜、そこ位までは、私も
          こういうパーフォーマンスって有り勝ちだよなぁ
          (ニッチュで慣れている(笑))
          と思って見ながら

          この白いチュチュ(金かかってそう)
          これだけ血まみれになったら
          シミ抜きにかなり費用がかかるんじゃないだろうか
          ・・・という、超現実的な問題解決シミュレーションしていて

          その後に生きた牛が映ったところで
          ・・・はい、ご引退。
          会場を出たのではなく、目を瞑っただけですが。

          何が悲しゅうて、入場料払って見に来たパーフォーマンスで
          ビデオで牛の屠殺場面なんか見なきゃいけないんですか。

          それが芸術というのだから、別に私は反対しないけれど
          見る自由も、見ない自由もある。
          (時計じかけのオレンジじゃないし(笑))

          このシーン、かなり長かったんじゃないかと思う。
          途中でチラッと目を開けたら
          牛の死体の内蔵にナイフを入れている生々しいシーンだったので
          また慌てて目を閉じて
          まぶたに光が当たらず、屠殺場の音が聴こえなくなるまで我慢。

          このシーンの前だか後だかにも
          他のビデオがあって
          その間に、柱と靴を脱いだアーティストが
          腹巻き(にしか見えない衣装)だけで出て来て
          レコード・プレイヤー4つを腰に巻いて歩く、というシーンもあった。

          ・・・よくわからん。

          屠殺場ビデオの後に
          また腹巻きだけ(その下は何もなし)のアーティスト登場。
          上手(かみて)の祭壇っぽいところに行って
          ロウソクに点灯して
          ロウソクの前に立って
          小声の英語で
          これはすべて現実です
          ・・・とか何とか

          アーティストの人生観だか、宗教の勧誘だか
          まさか政治的発言ではないと思うけれど
          この不思議なパーフォーマーの人生観を共有しようとは思わないので
          ボソボソと説教されても・・・

          その後、舞台に煙が出て来て
          煙の中で、バランス的には難しい逆立ちで
          器用に足を動かしていたから
          ダンスする気があれば、踊れるパーフォーマーだとは思う。
          (だって、あの不自然な靴でバランスを取りながら歩けるだけでもすごい)

          失った恋人に捧げる作品、という事を念頭に置くなら
          最後の煙と、後ろに出て来た写真は
          たぶん、故彼氏の写真だと思うので
          レクイエムっぽい解釈で間違っていないと思う。

          だいたい、最後、パーフォーマーが見えなくなってから
          ずっと煙+スクリーン(写真)のままで
          いったい、いつ、終わりになるんだろう、と
          全員がイライラし始めていて
          誰かがちょっと拍手したのを機に
          観客も帰り出したのだが

          あれはレクイエムという意味で受け取れば
          そのまま、静かに拍手せずに帰る、というのが
          正解だったのではないか、とチラッと思った。

          まぁ、個人的ストーリーを芸術(?)に昇華する、と考えれば
          日本だって私小説という立派なジャンルがあるわけで
          アーティストが、自分の悲しみを乗り越えるために
          何をやっても、私は反対しませんし、個人の自由です。

          それが観客の共感を呼ぶか、という問題はあるけれど
          別に共感を呼ばなくても、アーティストとしては
          ギャラを貰えれば、それで第一の目的は果たしたわけだし
          (あ〜、すみません、私の感想がスーパー・ドライになってまして)

          ダンスとは言いたくない演目だが
          まぁ、あの柱付き不自然な靴で、よく歩いたものだ。
          だからと言って、見ている側としては感激するわけではないが。

          武士は食わねど高楊枝とか
          やせ我慢バンザイという日本人的美学を
          勝手に標榜する身としては
          こういう個人的感情を作品に乗せて
          多くの人に鑑賞させる、という発想は出て来ないが
          まぁ、悲しみの克服には、様々な手段がある、という事で納得。

          しかし悲しみの克服に
          屠殺場で牛の血や内蔵にまみれる、という選択肢は
          草食民族日本人の私にはないなぁ
          (というより、肉食民族だって、あまりないような気がするが)
          と、つくづく思った私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          なお、インターネットで Steven Cohen を探索すると
          投資家の億万長者がヒットするが
          全く別の人物なので念の為。
          今回のパーフォーマーは南アフリカ生まれ、現在はフランスに在住。

          ヴッパータール舞踏団ピナ・バウシュ

          0
            Im Puls Tanz Vienna International Dance Festival
            Burgtheater 2019年7月19日 21時〜23時45分

            MASURCA FOGO
            Tanztheater Wuppertal Pina Bausch

            演出・振付 Pina Bausch
            舞台 Peter Pabst
            衣装 Marion Cito
            音楽制作 Matthias Burkert, Andreas Eisenschneider
            音楽 Amália Rodrigues, Nicolette, The Alexander Balanescu Quartett,
            Ben Webster, Lisa Ekdahl, Duke Ellington, Leon Parker, Mecca Bodega,
            Vince Guaraldi, Tupi Nago, Marcos Suzano, Baden Powell, Radamés Gnattali,
            Gidon Kremer, Rui Junior, Alfredo Marceneiro u.a.
            ダンサー Pablo Aran Gimeno, Ruth Amarante, Emma Barrowman, Rainer Behr,
            Andrey Berezin, Çagdas Ermis, Jonathan Fredrickson, Ditta Miranda Jasjfi,
            Milan Nowoitnick Kampfer, Daphnis Kokkionos, Cristiana Morgant,
            Breanna O’Mara, Nazareth Panadero, Azusa Seyama, Julie Shanahan,
            Blanca Noguerol Ramïrez, Oleg Stepanov, Julian Stierle, Michael Strecker,
            Fernando Suels Mendoza, Aida Vainieri

            イム・プルス・タンツの今回の大目玉
            ヴッパータール舞踏団ピナ・バウシュの公演。

            ヴッパータール舞踏団って、前から「ピナ・バウシュ」の名前、ついてたっけ?
            確かに、ヴッパタールと言えばピナ・バウシュなんだけど
            ただ、本当に残念な事に
            ピナ・バウシュは2009年に68歳で亡くなっている。

            タンツ・テアーター(ダンス演劇)の名前の通り
            休憩入れて2時間以上のプログラムだが
            観客を全く退屈させない。

            演劇とは言っても、1つのストーリーを語るというのではなく
            短いスケッチがあちこちに散りばめられていて
            洗練されたコラージュ的雰囲気がチャーミング。

            何と表現して良いのか戸惑うばかりだが
            見事なソロ・ダンスの合間に
            セリフを伴う、クスッと笑わせるスケッチと
            ダンサーの身体の表現によるジョークと
            アクロバティックなリフトや
            意図的に「運動会」にしている部分が入る。

            ピナ・バウシュの実家がカフェ・レストランという事に
            こじつけたくはないのだが
            ピナ・バウシュの演目って
            どこかカフェの雰囲気を纏っている。

            何時間いても大丈夫という心地よさに
            人生の重いテーマとか生きる意味とか政治とか
            そういうものを、ちょっと脇に置いて
            つかの間の楽しいお喋りを楽しみましょうよ
            ・・・という印象がある。
            (ピナ・バウシュの演目が軽いとか
             芸術的内容がないとかは言ってませんので誤解なきよう)

            舞台は後ろに黒の岩が山のようになっている以外は
            何の舞台装置もないけれど
            ビデオ投影が時々、ものすごく効果的に使われていた。

            ビデオそのものは、アフリカの民族音楽とか、列車での移動とか
            景色とか、浜辺とか海の中とか
            それが、舞台全体に投影される(床含む)ので
            上から見ていると
            ダンサーが映像に紛れ込むように見える。
            まるで、リアルなティンカー・ベルみたい。
            (映像の人間は大きいが、ダンサーは映像の中で小さく見えるのだ)

            ビデオなしの舞台で踊るソロ・ダンサーたちの
            存在感がすごい。
            ダンサーが、広い舞台を完璧にコントロールしていて
            ものすごく大きく見える。
            持っている個性やオーラが舞台を越えて観客まで直撃する。

            誤解を招きそうな発言だが
            こういう突出した個性のオーラって
            クラシック・バレエのダンサーには(ほとんど)ない。
            失礼を承知で言っちゃうと
            (個人的な印象です、どうぞお許しあれ)
            舞台の上に
            ミーシャとエノが、もっと強力になった個性の塊がいる
            って感じ。

            ソロ・ダンスはかなり入っているのだけれど
            振付も動きも見事で
            持っているオーラの放出が素晴らしくて
            ダンサーから目が離せない。

            ダンサーなのか俳優さんなのか
            ちょっと微妙・・・っていう出演者も
            体型とお歳からして(失礼!)俳優さん?という人が
            突然、見事なモダン・ダンスを踊りだしたりするので
            本当に油断がならん(笑)

            各所のスケッチが、不条理演劇みたいで
            なのに、ちゃんとジョークになっている。
            りんごを使ったスケッチや
            小柄な男性ダンサーと、すごく上背のある女性ダンサーの
            男性ダンサーを他のダンサーが持ち上げてのキスシーンとか
            コーヒーをオーダーしたらシュガーがなくて
            買い物袋から1キロの砂糖を出してコーヒーに入れて飲んだり
            シャンパンをグラスに満たして乾杯してから
            お互いに掛け合うカップルとか
            ビニールに水を入れてプールにしちゃったりとか

            ええ、わかってますとも
            こんな事を書いても、全然面白くない。
            あの舞台でのおかしみは、本当に舞台を観てもらう他に
            伝える方法はない。

            全身に風船をつけた女性が
            男性ダンサーのタバコに火をつけながら
            子供の頃の学校の女性の先生の
            下唇がすごく厚くて
            キスしなさい、とか言われても
            ・・・という話をしていくスケッチ
            すごくスリルがあって、最後もびっくりだったのだが
            そう書いても、これを読んでいる人には
            全くわからないだろう、というのは承知してます、すみません。

            ビニールを使った岸辺の海水浴シーンの後に
            舞台上に忽然と現れるアザラシとか(爆笑)

            スイカを割ったところに
            ニワトリを連れて来て、ついばませるとか
            この舞踏団、専属のニワトリも連れて来ているんだろうか?
            (ニワトリは後半では、無理やり飛ばされそうになるシーンがある)

            普段、クラシック・バレエを中心に鑑賞していると
            モダンを中心にした舞踏団の
            ダンサーの多様性が印象的。

            もちろん、ダンサーだから、鍛えられた身体なのだが
            大柄なダンサーから小柄なダンサーまで
            体型もそれぞれで、その個性がダンスとか演技で光る。

            いや〜、本当に楽しかった。

            この公演、全部で4回あって
            数年前の私なら、ガツガツと2回か3回は行っていたような気がするが
            年金生活者なので、ちょっと出費も抑えねば
            (というよりパーフォーマンス・カードなくなったので
             モトを取らねば、と必死になる必要がない)
            というわけで、今回は最終公演のみ。

            ただ、こういう印象的なスケッチは
            何回も見るよりも、1回目で驚いてわっはっは、という方が
            きっと良いんだろうなぁ、と
            悔し紛れに考えている私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            ↑バナーですが、こういう海辺のシーンが
            この演目にたくさんあったのでついつい・・・

            休憩の時に市庁舎のスクリーンが上から見えたが
            何と国立バレエ団の「シルヴィア」の2幕目を上演していて
            私は遠目に食い入るように観てしまったが
            モダン・ダンスが好きな人は全く興味がないのか
            窓の脇にいる人たち、誰も見ていなかった。
            どうせ私は節操がないですよ、ダンス・バレエなら何でも好き(笑)

            マクベス@フォルクス・テアーター

            0
              Volkstheater 2019年7月11日 21時〜23時

              Im Puls Tanz Vienna International Dance Festival
              MACBETH
              振付・演出 Johann Kresnik
              音楽 Kurt Schwerstik
              舞台・衣装 Gottfried Helnwein
              ドラマツルギー Katharina John, Dietrich von Oertzen
              マクベス Pavel Povraznik
              マクベス夫人 Andressa Miyazato
              バンクォー Filip Löbl/Edward Nunes
              ダンカン Jonatan Salgado Romero
              3人の魔女 Kayla May Corbin, Tura Gómez Coll, Rutsuki Kanazawa
              マクダフ Velerio Iurato
              マクダフ夫人 Mireia Gonzáles Fernández
              その他のダンサーたち
              Lara Bonnel Almonem, Julie Endo, Urko Fernandez Marzana,
              Nüria Giménez Villarroya, Yu-Teng Huang, Hodei Iriarte Kaperotxipi,
              Alessia Rizzi, Lorenzo Ruta, Andrea Schuler, Kasija Vrbanac
              ピアニスト Bela Fischer jr., Stefanos Vasileiadis

              2018年10月にハンブルク市立劇場で初演された
              ヨハン・クレスニックの「マクベス」が
              今年の Vienna International Dance Festival のオープニングとなった。

              今年のこのフェスティバル
              パーフォーマンス・カードがなくなって
              (55歳以上で25ユーロくらい払うと
               1公演につき、2枚まで15%割引になって
               プログラムとクロークが無料という有難いカードだった)
              55歳以上は最初から15%の割引になる・・・代わりに
              プログラムとクロークは有料で
              プログラムが4ユーロ50セント(チップ入れて5ユーロ、高い!)
              クロークがチップ入れて1ユーロ50セント。

              あ〜、パーフォーマンス・カードだった時には
              モトを取るために、かなりチケット買ったんだけど
              モトを取る必要がなくてプログラムもクロークも有料なら
              パーフォーマンスの選択はしっかりとしてから行こう。

              もちろん超貧民席だが、比較的見える席を発売と同時に買ったものの
              そういう日に限ってオペラ・グラス(望遠鏡)を忘れて
              遠い舞台をオペラ・グラスなしに見ていたので
              ダンサーの表情とかは全くわからないまま。

              この作品、マクベスを題材にしているが
              ストーリーを忠実に追うわけではなくて
              マクベスの中からのシーンを様々に抽出して
              コラージュのような感じの舞台構成。

              バスタブが並ぶ中に包帯で巻かれた人間が入っていたり
              舞台の正面に大きなドアがあって
              そこから出たり入ったりする黒いシルクハットのローブの男性が
              殺人が起こると、バケツに赤いインクと何か(洋服?)を持って来て
              オーケストラ・ピットのプール(?)のようなところに落とし込む。

              音楽はオーケストラ・ピットの下手(しもて)にグランド・ピアノが1台。
              ここにピアニストが2人居て
              ピアノの中の弦をかき鳴らしたり、ピアノを叩いたり
              あるいは、普通に4手でのピアノを弾いたりする。

              最初はバスタブだけのシーンが
              一瞬映されて、また幕が閉じて
              また一瞬、別のシーンになっていて、また幕が閉じて
              という繰り返しがあって
              絵柄としては面白いのだろうが
              あまり動きがなくて、ちょっと退屈だったけれど
              どんどん舞台に引き込まれて行く。

              ダンスももちろんだが
              不気味な象徴主義の絵柄の中で語られるストーリーが
              現実なのか幻想なのか
              奇妙なバランスの中に立っていて
              観客の感情に、搦め手から触ってくるという感じ。

              ナイフを両手で持ったままのダンスとか
              ちょっとでも振付間違えたら流血騒ぎだろう・・・と
              ドキドキするシーンがかなり多い。

              ダンサーは声は出さないけれど
              最初から最後まで、叫んでいるような感じがする。
              音楽はかなり繊細にストーリーに入り込んでくるのに
              ドアの開け閉めの、まるで運命の打撃のような大音響と
              ダンサーの持つナイフが打ち合わされる
              鋭い金属音の連続が
              かなり耳に残る。
              (帰宅した時に、まだ耳鳴りがしていた)

              リアルなストーリーではないものの
              ダンカンの殺人、バンクォーの殺人、従者の殺人などが
              次々と舞台で起こって(これは抽象的表現もある)
              後ろのドアから黒い男性が
              血と臓物(にしか見えなくなる)をオーケストラ・ピットにぶち撒けて
              だんだん不気味な雰囲気が強くなってくる。

              マクベス夫人が恐怖に駆られて
              手を洗い続けるところが
              赤いドレスを巧く使って表現していたのには唸った。
              赤のドレスが次々にドレスから外されていって
              下は白いドレスになっているのだが
              なかなか、赤い部分が落ちないので
              マクベス夫人がパニックになって行くのだ。

              しかも、マグダフ家族の虐殺シーンに至っては
              突然、舞台の真ん中に
              巨大な食事用テーブルと巨大な椅子が置かれ
              その巨大テーブルの上には
              やはり巨大なティーポットとティー・カップ。

              子供達が登場して、巨大テーブルと椅子のところで遊ぶ。
              もちろん大人のダンサーだが
              テーブルと椅子が巨大なので、幼い子供たちに見える。
              椅子だって、かなりの高さがあるのに
              そこに登って、更にテーブルの上(舞台の床から5メートルくらい?)に登り
              しかもそのテーブルに引き出しがあって
              引き出しの中にも子供が入ったり

              不思議の国のアリスか
              巨人の世界に迷い込んだガリヴァー旅行記みたいな
              不条理な感じはするものの
              最初は子供たちが遊ぶ、かなり平和な世界なのだが

              そこに刺客が入って来て
              子供たちを虐殺するのである。
              逃げ回る子供たちを、どこまでも追いかけて
              隠れる子供も容赦なく引きずり出して
              柱に縛り付けて殺したり
              巨大テーブルの上で殺したり
              引き出しで殺した子供は引き出しから半身を乗り出して死んでいるし
              巨大椅子の脚に押し潰されて殺された子供もいたり

              最初のシーンが不思議の国のアリス的なメルヒェンちっくなシーンなだけに
              その後の残虐性が半端ではない。かなりコワイ。

              時々に登場する3人の魔女の使い方も絶妙。
              フライト・アテンダントっぽい制服の衣装で
              中腰で踊る不気味なダンスはとても雄弁。

              特殊奏法は煩雑に使われるが
              普通に演奏される時のシュヴェルツィックのトナールな音楽は
              メルヒェンっぽくて平和に響く。
              それだけに、その中の不気味さが強調される。

              最後の森は、ムーミンに出てくるニョロニョロの黒いようなものが
              舞台に出て来て、マクベスは倒されるのだが
              それが森・・・なんだろうな、きっと、うん。

              イメージが湧かない、という方のために
              (だいたいワタシ、文章下手くそなのに表現しようとしちゃうから(汗))
              下にオフィシャル・クリップを貼っておきます。

              ただし、かなり、いや、半端じゃなく不気味なので
              神経質な方、精神的に参っていたり、不気味さが嫌いな方は
              ご覧にならない方が良いかと・・・・



              久し振りのナイト・ライフだったけれど
              ともかく見応えのある見事な舞台だった。

              ImPulsTanz のパーフォーマンス
              今見たら、結構売り切れの公演もあるようで
              (ポルノだの体位だのというモロな公演は全部売り切れ(笑))
              コンテンポラリーのダンサーたちが集まる
              国際的フェスティバルなんだなぁ、と
              ついつい当たり前の事を考えてしまった私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。


              シャハー・ビンヤミニ オハッド・ナハリン

              0
                Festspielhaus St. Pölten 2019年5月18日 19時30分〜21時15分

                Shahar Binyamini, Ohad Naharin

                Today I will Do What I Want
                振付 Shahar Binyamini
                衣装 Diego Andrés Rojas Ortiz
                ダンサー(アマチュア)
                Lisa Dička, Lino Eckenstein, Annemarie Fressner, Gabi Gleiss
                Beatrix Lientscher, Friederike Meyer, Ulrike Moser-Weinberger,
                Lasusa Obermayer, Margarete Spornberger, Michael Waldeck

                Ballroom
                振付 Shahar Binyamini
                衣装 Diego Andrés Rojas Ortiz
                照明デザイン Gabriel Chan
                サウンドデザイン Daniel Grossman
                写真 Andreas Waldschütz
                ダンサー
                Amie/Blaire Chartier, Kai Shun Chuang, Laura Cornejo, Carmela Di Constanzo,
                Josianne Fleming, Elena Francalanci, Times Laza, Seung Ju Lee,
                Panos Malactos, hugo Olagnon, Mateusz Piekarski, Hanna Röckner,
                Maro Stavinou, Emma Farnell-Watson

                Decadance
                振付 Ohad Naharin
                衣装 Diego Andrés Rojas Ortiz
                ダンサー
                Desi Bonato, Amie-Blaire Chartier, Kai Chun Chuang, Laura Cornejo,
                Clara Cozzolino, Carmela Di Costanzo, Josianne Fleming,
                Elena Francalanci, Andrea Givanovitch, Camille Jackson, Gabriel Lawton,
                Timea Laza, Seung Ju Lee, Panos Malactos, Chiara Mocci, Hugo Olagnon,
                Mateusz Piekarski, Serena Pomer, Hanna Röckner, Maro Stavrinou,
                Jade Stenhuis, Jack Thomson, Emma Farnell-Watson

                シャハー・ビンヤミニの GAGA と
                オハッド・ナハリンと言って
                あっ、バットシェバ舞踊団ね、とわかる人は
                このブログの読者でも少ないかもしれない。

                こういうものを持ってくるのがサンクト・ペルテンの良いところ。
                しかも、今日の公演は
                事前にサンクト・ペルテン祝祭劇場から電話がかかってきて
                上のギャラリーは閉めるので
                平土間の席をご用意します。
                公演前にチケットを代えて下さい、との事で
                何と平土間で鑑賞!!!!

                しかし、なんだか、いつもの客層と違うぞ。
                若い人が多いし
                ジモッティも多いけれど
                外国語をずっと話している観客がむちゃくちゃ多い。

                サンクト・ペルテンは田舎の(失礼)劇場なので
                ウィーンか、あるいは低地オーストリア州の
                地元の観客がほとんどなんだけど・・・

                プログラムを買ったら
                ちょっとだけ謎が解けたかも。

                最初の演目のダンスは
                アマチュアで GAGA のコース受講者が踊っているのだ。
                スタイルそこそこだし、綺麗なキラキラのドレスを着ているけれど
                プログラムの写真を拝見すると
                1人、若い子を除いて
                (この若い子はダンスのレベルが全く違った!!!)
                どう見ても私より、ずっとお歳を召した方々・・・

                もちろん、若い頃はダンサーでした、という
                経歴があるのかもしれないが
                (だって、そこそこ踊ってはいたのである)
                この人たち、きっと
                舞台で踊る、と言うので
                親戚一同、友人一同を引き連れて来たに違いない(邪推)

                加えて、本来のダンサーたちの国籍が
                カナダ、ブラジル、イタリア、台湾、アメリカ合衆国
                フランス、オーストラリア、ハンガリー
                韓国、キプロスにポーランドという多様性。

                で、たぶん、このダンサーたちの
                親戚やご友人やダンス仲間が大挙して来ているに違いない(邪推)

                公演開始の5分くらい前から
                アマチュア・ダンサーが舞台の上で踊っている。
                (ほとんどの観客は眼中に入っていない(笑))
                舞台が暗くなってから、腹の底に響く低周波でのダンス。

                いや正直、最初は
                えっ?!アマチュア・ダンサーの演目かよ?と
                げっそりしたのだが

                次の Ballroom が凄かった。
                照明は暗いし、衣装も暗いので
                一人一人のダンサーはあまり見えないのだが

                集団で動く、その動きの見事さ。
                フォーメーションの素晴らしさ。

                Ballroom って何なんだろう、と思っていたら
                ダンサー全員が両手にボールを持って踊るのだ。
                普通 Ballroom って舞踏会会場だと思っていたので
                ダンサーのボールには驚いた。

                これ、ワールド・プレミエだそうで
                ビデオ・クリップがないのが残念。
                (サンクト・ペルテンのビデオ・クリップは
                 不気味なだけで、全然、その良さがわからない)

                グループにまとまったダンサーが
                細かい動きで描いていく方式は
                ノイマイヤーの「春の祭典」のイソギンチャクもあったけれど
                シャハー・ビンヤミニの振付は
                もっと細かくて、精密で
                その分、多数のダンサーになった時の迫力は半端じゃない。

                ストーリーがある訳ではないけれど
                グループとしての動き、ソロの動きだけで魅了される。

                幕間の後
                ダンサーが舞台に揃っていて
                ひな壇みたいに並んでいる前に
                メンバーが1人出て来て
                携帯電話を消して下さい、というのを
                訥々と英語で話す。
                (そりゃ、スマホのあの光は、周囲にも迷惑だし
                 舞台の人にも迷惑だ。)
                これから40分は、どうぞスマホは忘れて
                電源を切って、バッグかポケットに入れて下さい。
                ・・・とまで言ったのに
                途中で携帯鳴らした人がいた。
                (けど、もう、あれはどうしようもないわ)

                ナハリンの作品で
                ダンサーの衣装はカラフル。
                同じく、ダンサーの集団での動きの面白さで魅了する。

                同時にダンスのソロも入って
                これが、ものすごくユーモアに満ちているスケッチ。

                途中で短い休憩が入って
                同じく英語で訥々と説明が入って
                最後の20分。

                いや、でも、このダンスって
                どう言語で記述して良いのか、よくわからん。

                と思ったら、パリ・オペラ座のクリップがあったので
                下に貼っておく。
                オープニングの3分だけだが
                言語で記述が難しいのはわかって頂けると思うので。



                公演前に作品解説をしてくれた人が
                現在、GAGA ダンス言語について、ドクター論文を書いている
                ザルツブルクの大学生で
                何回もテルアビブのバットシェバ舞踏団にも行っているとの事。

                ・・・ところで、学生の発表って
                何故、みんな、途中の合いの手に Genau って何回も言うんだろう?
                (いや、ウィーン大学で、学生の発表を聞いていると
                 みんな必ず合いの手に Genau って言うので
                 不思議だなぁ、と思っていたら
                 ウィーンだけじゃなくて、ザルツブルクでも同じなのか)
                それとも、この Genau というのは
                大学生言語じゃなくて、若い人たちの流行り言葉なのかしら、と
                くだらない事が気になった私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                ハングリー・シャークス #fomo - the fear of missing out

                0
                  Festspielhaus St. Pölten 2018年11月2日 19時30分〜20時30分

                  Hungry Sharks
                  #fomo - the fear of missing out

                  振付 Valentin Alfery
                  振付助手 Frague Moser-Kindler
                  プロダクション・衣装 Duśana Baltić
                  照明デザイン Joe Albrecht

                  ダンサー Farah Deen, Olivia Mitterhuemer, Moritz Steinwender,
                  Patrick Gutensohn, Valentin Alfery
                  使用音楽 Darkside, Nicolas Jaar, Tipper, Old Boy OST

                  オーストリアのアーバン・ダンス・カンパニー
                  ハングリー・シャークスの公演。

                  アーバン・ダンスは、もともとストリート・ダンスで
                  ブレイク・ダンスやヒップホップなど。
                  今回のプロダクションは4年前に作られたもので
                  テーマは、タイトルが示す通り fomo = the fear of missing out

                  5人のダンサーが
                  電気ケーブルやスマホを使い
                  スマホ照明を客席に当てたり
                  歩きスマホをしたり(その後ろには電気ケーブルに繋がれたダンサーがいる)

                  ただ、その具体性は
                  表現としてのダンスの優位性を浸潤するものではなく
                  ダンスはダンスとして
                  ものすごく水準の高いところで、しっかり魅せてくれる ♡

                  (常日頃から言っている通り
                   私は「健全な青年の主張」を芸術でやる事は
                   あまり好きじゃないので
                   やっぱり芸術は芸術として鑑賞したい)

                  いやもう、アーバン・ダンスの踊り手って
                  クラシックやモダン、コンテンポラリーとはまた違って
                  身体のバランス感覚の良さには舌を巻く。

                  オーストリアのカンパニーなので
                  (まぁ、ダンサーは国際的・・・とは言っても
                   やっぱりオーストリア(笑))
                  ヘンにワイルド過ぎず、そこそこ良い感じに上品。

                  プログラムに、このカンパニーの創設者で
                  振付師のヴァレンティン・アルフェリーのインタビューが載っていたが
                  もともと、舞台芸術の出身で
                  アーバン・ダンス(ストリート・ダンス)の特色は
                  街路で行なうために
                  つまらなければ観てくれる人がいない事
                  というような内容が書いてあり

                  う〜ん、確かに、その意味では
                  美しい劇場に着飾った男女が集うような枠組みがないだけに
                  水準が低ければ、そのまま消えていく芸術なんだろうなぁ。

                  ブレイク・ダンス、ヒップホップ、ストリート・ダンスについては
                  読者の皆さまもご存知なので、何も言わないけれど
                  他のダンスとはまた違う特色と表現があって
                  ともかく、カッコいい(語彙が貧弱だから、それしか言えない)

                  ところでこの公演
                  まとめて今シーズンのダンス公演のチケットを買った時に
                  公演一つだけ、ギャラリーが閉鎖されるので
                  平土間の席にするわね、と言われた公演である。

                  いや、平土間なんて良い(=高い)席に座った事がないので
                  ドキドキしていたのだが
                  前の男性が、身体が大きくて
                  舞台の3分の1くらい(しかも真ん中あたり)が見えないじゃないの(涙)

                  この劇場、平土間でも比較的傾斜はあるのだが
                  それでも前に大柄な人が座ったらオシマイなのか・・・
                  だったら、ギャラリー最後の列の貧民席の方が
                  舞台全体は見えただろう。

                  何故平土間になったか、よくわからなかったのだが
                  会場見て納得。
                  平土間の後ろの方もガラガラ。
                  (上は全部クローズ)

                  人気がないから、というよりは
                  11月1日(木曜日)が祝日だったので
                  地元の人は一斉に2日に休みを取って4連休にしてしまうため
                  なか日に、わざわざ劇場に足を運ぶ人が少ない、という理由だったのか。

                  公演後に、ダンサーと振付師、プロダクション担当が舞台に出て
                  劇場の担当者からのインタビューと
                  観客からの質問の時間が設けられた。
                  私も残って、21時まで話を聞いてから
                  ウィーンまでのドライブの間のラジオで

                  今日、このダンス公演のために諦めた
                  楽友協会でのウィーン・モデルン現代音楽祭のコンサートの
                  ライブ中継を聴いていた。

                  ・・・ううう、最後にスクリャービンの法悦の詩を演奏したのか。
                  ウィーン放送交響楽団の金管、巧いなぁ。
                  楽友協会の、あの芳醇な音響で
                  しかもベストのシートで聴けていたら
                  (このコンサートは自由席である)
                  それはそれで、すごい体験だったに違いない。

                  身体が2つないのが
                  本当に残念な気がしている欲張りな私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  今回のテーマで扱われた fomo だが
                  私は世代が違う(笑)← ものすごく重い初期の携帯電話を使っていた世代

                  SNSも、チャット・ルームの初期から
                  色々と経験して来たので
                  それなりの良さ・悪さは、ある程度は理解しているのではないかと思う。
                  よって、fomo 的なものはございません。
                  (それでなくても、やりたい事、楽しい事は山ほどあって
                   自分で自分の首を絞めている傾向にある・・・(^_^;))

                  Xavier Le Roy "Le sacre du printemps [2018]"

                  0
                    MuseumsQuartier - Halle G 2018年8月12日 18時〜19時
                    IM PULS TANZ - Vienna International Dance Festival 2018

                    Xavier Le Roy
                    Le sacre du printemps [2018]

                    コンセプト Xavier Le Roy
                    パーフォーマンス Alexandre Achour, Salka Ardal Rosengren, Scarlet Yu
                    音楽 Igor Stravinsky
                    サウンド・デザイン Peter Boehm
                    録音 Berliner Philharmoniker dirigiert von Sir Simon Rattle

                    コンテンポラリー・ダンスの分野では
                    ぶっとんだケッタイなダンサーがものすごく多いのだが
                    というより、そういう人しかいないような気もするが
                    ザビエル・ル・ロイのケッタイさというのは
                    かなりユニークでワタクシ好み。

                    この分子生物学者からダンサーに転向した
                    ケッタイなフランス人を発見したのは
                    2007年の、この「春の祭典」(ソロ・ダンス)だった。

                    残念ながら、その頃のブログは跡形もなく消失したのだが
                    その時の印象は鮮やかに残っている。

                    サイモン・ラトルが「春の祭典」を指揮するのを見て
                    インスピレーションを得て
                    指揮法を勉強し、ラトルのところにも押しかけて
                    指揮姿をダンスとして作品にした最初のバージョンが2007年だった。

                    だいたい、これ観に行った時
                    ラトルもウィーンでコンサートしてたんだもん(偶然の一致)

                    指揮者の指揮姿って、時々、本気でダンスっぽくなる事があって
                    あの動きをダンサーが振付したら面白いだろうなぁ、と思っていたら
                    ル・ロイがやった、という感じか。

                    まぁ、誰もが考えそうなアイデアだが(と言うと身も蓋もないけれど)
                    誰もが考えるだけで実現しないという意味ではやはりユニーク。

                    当時2007年のパーフォーマンスでは
                    ル・ロイが一人で、「春の祭典」の最初から最後まで
                    向こうむいて立ったり、こっち向いて立ったりで
                    ラトルの指揮姿の模倣?をやってくれたのだが

                    アインザッツが指揮者っぽく直前に出るのではなく
                    音楽と同時に出ているのが
                    ダンスと言えばダンス。

                    名だたる大物指揮者の正面からの指揮姿を観まくっている私には
                    その微妙なズレのなさが、ちょっと気持ち悪かった。
                    (あのタイミングではオーケストラは演奏できません・・・たぶん)

                    さて、ル・ロイは怪我をしたそうで
                    (本人、今年55歳・・・ みんな歳を取る ← ワタシもだが。
                     コンテンポラリー・ダンサーは平気で高齢でも踊るけど)
                    今回は「春の祭典」2018年バージョン(のオーストリア初演)

                    女性ダンサー2名と男性ダンサー1名
                    総計3人のダンサーで、曲のパートを割り振り
                    時々、一緒に踊る。

                    細かい部分での振付の手は入れているのだろうが
                    基本的に2007年のル・ロイの振付を忠実に踊っていて

                    あ〜、わっはっは
                    ラトル、その動き、するよね・・・

                    という部分が見受けられ
                    ラトルの指揮姿を知っていると、ちょっと笑える。

                    ただ、今回は「指揮姿の模倣」というよりも
                    もっと「コンテンポラリー・ダンス」になっていたような気がする。
                    指揮姿をそのまま、ではなく
                    そこから、音楽と一致したダンス表現を刻み出した、という印象。

                    しかも世相を反映してか
                    今回は女性ダンサーが2名。
                    女性の指揮者も増えて来たので、あまり違和感はない。

                    音楽とぴったり一致した動きで
                    最初のアジア系女性ダンサーの
                    キビキビした動きは見事だった。

                    男性ダンサーは表情が豊か。
                    さすがに男性の体型なので、振りが派手に見えるが
                    しっかりとリズムに乗っていて
                    ちゃんと4拍子とか振ってるし(笑)

                    もう一人の女性ダンサーは
                    そういう振付だったのかもしれないが
                    リズム感の欠如? か何かわからないけれど
                    左手リズムが音楽と微妙にズレて遅れるところがあって
                    ちょっと気になった。
                    でも、そういう意図的な振付かもしれない。
                    (ラトルだって、リズムに完璧に乗らず、遅れる事もある)

                    音楽は途中で切って
                    ダンサーが入れ替わり
                    切った直前のところから、別ダンサーで踊るという趣向。
                    ほんの一部、音楽なしのダンス表現だけというシーンと
                    音楽だけでダンスなし、という場面も。

                    指揮姿を知っていると
                    ツッコミどころ(だって指揮じゃないもん、ダンスだもん)が一杯あって
                    結構、ニヤニヤできる。

                    ダンス表現としても面白いのだが
                    どうしても指揮という、大元の動きが上半身だけなので
                    (ジャンプする指揮者も居るけど)
                    脚のステップが欠けているのが
                    ダンス・ファンとしてはちょっと悲しい。
                    (3人揃ってジャンプする場面はあるけれど)

                    これにて、今年の IM PULS TANZ の公演は終わり。
                    今年はあまり数多くは行かなかったのだが
                    割に的を絞って行けたと思う。

                    来週は少しナイト・ライフはお休みで
                    その後は、グラーフェネック音楽祭が始まって
                    せっせと車で通う予定の私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                    ルイーズ・レカヴァリエ バトル・グラウンド

                    0
                      ODEON 2018年8月7日 19時30分〜20時40分
                      IM PULS TANZ - Vienna International Dance Festival 2018

                      Louise Lecavalier / Fou glorieux
                      BATTLEGROUND

                      コンセプト・振付 Louise Lecavalier
                      パーフォーマンス Louise Lecavalier, Robert Abudo
                      照明デザイン Alain Lortie
                      音楽 Antoine Berthiaume, Steve Roach
                      衣装デザイン Yso

                      ルイーズ・レカヴァリエのダンス・パーフォーマンスは
                      2013年に観ていて
                      この時もひっくり返ったけれど
                      (おヒマな方は、当時の記録は ここ です)

                      今年は2018年
                      ルイーズ・レカヴァリエは59歳・・・

                      いや、信じられん。
                      だって、1時間のパーフォーマンス
                      しかもデュエットあるけど、出ずっぱりで
                      更にはオデオンの中は、むちゃくちゃ暑い。

                      座っているだけで、汗がジワジワ出てくるくらいで
                      40度くらいあるんじゃないの、という会場で

                      黒い長袖の、ピッタリしたパンタロンを履いて
                      ず〜っと激しい動きをしているという
                      人間とは思えないわ。

                      しかも私とあまり歳違わないし・・・

                      タイトルからは暴力的な感じがするけれど
                      (なにせバトル・グラウンドだから、ケンカの場って感じ?)
                      バトルを非常に抽象的に描いたもので
                      ダンスとしての完成度が高く
                      過激なところは、ほとんど気にならない。

                      最初のソロから激しい動き。
                      会場を目一杯に使いながら
                      身体の細かい部分まで完璧にコントロールされて
                      手足の激しい表現をしているのに
                      体幹が全く揺らがない。

                      すごい体幹してるわ、このダンサー。

                      男性ダンサーが入って来てからの絡みも
                      アクロバット的なリフトの連続技もあれば
                      会場の後ろの壁にへばりついて
                      ほとんど逆立ち状態でのダンスもある。

                      これこそコンテンポラリー・ダンスの醍醐味。
                      ともかくダンスとしての難易度、完成度
                      バリエーションの多さに
                      動きの面白さや、身体のカタチで
                      最初から最後まで
                      息もつかせずに観客を自分の世界にひっぱり込んで来る。

                      その身体能力の凄さと言ったら・・・

                      いや、シルヴィ・ギエムなんかは50歳で引退しちゃったけれど
                      59歳で、これだけ見事な
                      全く衰えを見せないダンサーって・・・絶句だわ、感嘆するわ。

                      あまりに会場が暑いのには参ったけれど
                      このダンスはすごい。

                      クリップ見つけたので貼っておく。



                      この激しい動きが1時間続くのだ。
                      クリップだけでは想像できまい。

                      日々の底知れない努力というのはあるにせよ
                      天才というのは、本当に居るんだなぁ。

                      ライブ・ギターの入った音楽も面白かったし
                      (リズミックな繰り返しが多いが
                       シーンに非常に合った音楽構成で見事だった)
                      こういうダンスこそ
                      コンテンポラリー・ダンスの理想型じゃないだろうか

                      と、かなりコンサバな考えに囚われている私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                      ここ数日、本当に猛暑で
                      木曜日は38℃の予想。
                      もっとも、数年前に40℃を記録した猛暑があるが
                      そこまでは行かないようだ。

                      ただ、ウィーンって・・・冷房ないですから(涙)
                      市電も新型の一部のみに冷房があって
                      通常の車両は、入ったらサウナ状態と化しています。
                      (レストラン、カフェにもほとんど冷房なし。
                       みんな、外に出てカフェしてる・・・)

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