ミュージカル「レベッカ」

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    2023年10月5日 19時30分〜22時10分

    Raimund Theater

    REBECCA
    Das Musical
    basierend auf dem Roman von Daphne du Maurier

    脚本・歌詞 Michael Kunze
    音楽・オーケストラアレンジ Sylvester Levay
    舞台 Peter J. Davison
    衣装 Birgit Hutter
    照明デザイン Mark Mccullough
    サウンドデザイン Thomas Strebel
    ビデオデザイン S. Katy Tucker
    演出助手 Robert Wann
    サウンドデザイン助手 Tim Ferns
    ビデオデザイン助手 Blake Manns
    プロダクション Johannes Fiala
    技術 Martin Kindermann
    エグゼクティブ・プロデューサー Ulf Maschek
    キャスティング・ダイレクター Dominik Penner
    振付 Simon Eichenberger
    演出 Francesca Zambello

    指揮 Herbert Pichler

    „Ich“: Nienke Latten
    Maxim de Winter: Mark Seibert
    Mrs. Danvers: Annemieke van Dam
    Jack Favell: Boris Pfeifer
    Mrs. Van Hopper: Annemarie Lauretta
    Beatrice: Silke Braas-Wolter
    Frank Crawley: James Park
    Ben: Aris Sas

    Oberst Julyan: Wolfgang Postlbauer
    Gilde: Florian Fetterle
    Clarice: Rebecca Soumagné
    Horridge: Philipp Dietrich
    Frith: Maximilian Klakow
    Robert: Tommie Luyben

    Ensemble:
    Marcella Adema, Arvid Assarsson, Marja Hennicke,
    Shane Landers, Lilian Maandag, Robert David Marx,
    Sophie Mefan, Shari Lynn Stewen (Dance Captain),
    Ariane Swoboda, Timo Verse, Lucius Wolter,
    Livia Wrede, Anna Zagler

    Swings:
    Denise Jastraunig, Kaj-Louis Lucke

    Orchester der Vereinigten Bühnen Wien

    いやいやいや😅
    ミュージカルというのは
    私のレパートリーにはほとんど存在しないのだが
    (一応、ちょくちょくは観てますけど💦)

    今回は
    お知らせメールで
    50%割引🈹 という
    とんでもないオファーが来たので
    即、その日にチケット購入。

    普通だったら絶対に行けない
    80ユーロ近くの席を半額でゲット 🎉

    プログラムは10ユーロ(チップ込み)したけど(笑)

    若い人が多い(特別割引がある)
    それだけに
    周囲のおしゃべりも多い。

    しかもマイクを使っての大音響なので
    容赦なく、あちこちでお喋りしているのが
    ほら、人間の聴覚って
    コソコソ声のお喋りの周波数には敏感だし

    コソコソどころか普通の声で喋ってるし
    (だから突然、音楽の音量が少なくなると
     あちこちのお喋りが全部聞こえてくる)
    最初は、うわ〜、なんだこれ?!と思ったのだが

    後半は隣のよく喋る母娘(と推察する)が
    もっと真ん中の良い席に移ったので
    周囲の雑音がなくなって集中して聴けた、バンザイ。

    それはともかくとして
    ミュージカルってスゴイ・・・
    ウィーン劇場がミュージカル作品を
    世界中に売って儲けているのは知っているが
    さもありなん、と、納得する。

    まずは1分弱のトレイラーをどうぞ ここ

    ともかくまず音楽が最高 ♡
    メロディの各所のリピートの巧みな事 💐
    しかも、レベッカのライトモチーフが
    レベッカ、という単語の発音とピッタリ合っている。

    他の言語に翻訳する場合は
    音楽とドイツ語が合っていても
    他言語でどうなるかはわからないが
    少なくとも「レベッカ」という単語の発音だけは
    どの言語でも変わらないから、これは見事。

    リズムやメロディも単純っぽく見せておいて
    これ、分析したら面白いだろうなぁ、という部分が満杯。
    すごいわ、エリザベートの時も思ったけど
    シルヴェスター・リーヴァイって、やっぱり天才。

    脚本のミヒャエル・クンツェも凄い。
    私の語彙が足りなくて悔しいけれど

    この物語、エリザベートと同じく
    女性が主人公で
    しかもエリザベートと同じく
    自我に目覚めて強くなる女性が主人公だから

    昨今の社会状況の中で
    ウケないわけがない。

    登場する男は、全員アホである(すみません)

    マクシム・ド・ウィンターは
    見た目はカッコ良くないと話にならないが
    (あ〜、すみませんルッキズムで)
    ストーリーの中では
    最初の突然のプロポーズ以外
    結局、何もしてない(笑)

    ジャック・ファヴェルなんか
    手が手を洗うってナンバー
    最高に良い(しかも巧いし・・・)
    けど、めちゃイヤなキャラクター(笑)

    それに比べると
    女性のキャラクターの強烈な事と言ったら
    クンツェの才能、爆発だわ。

    ミセス・ホッパーのダンスと歌のナンバーも
    最高で、キャラクター大爆発だし(ここは踊りも良い)

    何と言っても
    ダンヴァース夫人が
    もうもうもう、圧倒的で
    存在感が超弩級


    前半は
    これ、主人公は、名もない「わたし」じゃなくて
    ダンヴァース夫人だろ、と思わせる。

    それだけに
    後半の主人公チェンジが実に印象的。

    死んでいるから、もちろん登場しない
    タイトルのレベッカが
    また強烈なキャラクターで(笑)

    よほど、自己承認の必要性に駆られた人だったんだろうなぁ。
    どういう育ち方をしたんだか・・・
    (って、出て来ない人の心理を慮ってどうする?)

    1月まで上演している演目なので
    当然の事ながら
    掛けている金額が違うのはわかるんだけど

    ビデオの効果が素晴らしいし
    舞台がものすごく美しくて
    衣装も素晴らしくて
    しかも衣装替えを、その短時間でどうやったら?
    というくらい凄い替え方をするし

    最後のシーンの屋敷が焼け落ちるところ
    もちろんビデオを多用しているんだけど

    同時にダンヴァース夫人が
    本当に火のついた松明を持って
    ビデオ背景の後ろの
    本当の舞台のところで
    行ったり来たりしていて

    まぁ、本当の火を使うのは
    こちらの舞台では時々あるので
    やってるな、としか思わなかったんだけど

    階段が燃え出したのには
    ちょっと度肝を抜かれた。

    派手、と言って良いのかはわからないが
    ともかく、ものすご〜く良く出来ている舞台なのだ。
    これだけ
    ビデオ、舞台装置、衣装などの
    視覚関係が完璧な舞台に慣れてしまうと

    そりゃ、現代演出家が
    ワケのわからん舞台や
    ファスト・ファッションですか、予算なかったんですか
    って感じの普通の衣装を着てウロウロする
    昨今のオペラなんか
    つまらなくて見ていられない・・・

    かもしれないのは、納得できる。
    (オペラはオペラで、オペラの良さがあるから
     一方的に決めつけるのは不公平だけど)

    マイクをバリバリに使った
    ミュージカルの発声法なので
    ベルカント唱法が頭にある古い世代としては
    無理やりっぽく聴こえる発声が
    多少、気にならないわけではないけれど

    それはそれで、その発声法で良いのだから
    観客が「声をダメにするんじゃないの」とか
    心配する必要はない。

    語り手で
    主人公のはずの「わたし」は
    最初から最後まで
    名前がない。

    愛するマクシムに
    名前を呼ばれるシーンも、もちろん、ない。

    それを深読みすると
    この「わたし」も
    実は存在しない存在ではないのか、とか

    愛だの恋だの
    ひたすら歌って
    愛してるチュッチュっていうシーンは多いけれど
    実は「わたし」の中での妄想かもしれない・・・

    とか、まぁ、色々と考えて
    いつもの通り、妄想爆発💥になっちゃうのだが。

    女性が強いのは
    古今東西、最近では流行りだし
    でも、流行りとか言う前に
    もともと女性は強い、と言う事実もあるし。

    (あっ、男性の皆さまから反発を喰らいそう。
     でも、このミュージカル見たら
     女性の強さを実感しますよ?)

    ミュージカルがエンターテイメントだから
    とは言われるけれど
    ただのエンターテイメントで片付けるには
    あまりに作品(演出・舞台含め)が
    素晴らし過ぎる。

    100年後に残る音楽って言ったら
    現代音楽じゃなくて
    ビートルズとかクィーンとか
    サザン・オールスターズとか(好きなんだもん)
    こういうミュージカルじゃないのか・・・

    とは、昔から思っていたけれど
    今回でますますその確信を強めた私に
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    100年後に残るか残らないかは
    もうその時代は私は生きていないので
    私には全く関係のない話だし

    現代音楽を含めた多様性があるのは
    素晴らしい事だとは思うものの

    こういう
    いわゆるエンターテイメント作品は
    意識高い系のゲイジュツカの皆さまも
    ぜひぜひ、鑑賞してみるべきだと思う。

    ルル @ ミュージアム・クォーター(ウィーン劇場)

    0
      2023年6月2日 19時〜21時50分

      Museumsquartier Halle E
      Musiktheater an der Wien
      Wiener Festwochen

      LULU
      Musik von Alban Berg
      Oper nach den Tragödien
      Erdgeist und Die Büchse der Pandora von Frank Wedekind
      in zwei Akten
      mit den Sätzen Variationen und Adagio aus der Lulu-Suite

      指揮 Maxime Pascal
      演出・振付・衣装 Marlene Monteiro Freitas
      舞台 Yannick Fouassier, Marlene Monteiro Freitas
      演出・振付・衣装助手 Andreas Merk, Hsin-Yi Hsiang
      照明 Yannik Fouassier
      ドラマツルギー Armin Kerber
      音楽アドバイザー Cláudio da Silva
      リサーチ João Figueira

      ルル Vera-Lotte Boecker
      シェーン博士 Bo Skovhus
      アルヴァ Edgaras Montvidas
      画家 Cameron Becker
      ゲシュヴィッツ伯爵令嬢 Anne Sofie Otter
      シゴルヒ Kurt Rydl
      劇場作業員・ギムナジウムの学生 Katrin Wundsam
      猛獣使い・力技師 Martin Summer
      公爵・従僕 Paul Kaufmann
      劇場支配人 Andreas Jankowitsch
      医事顧問官 Franz Tscherne

      パーフォーマー
      Francisco Rolo, Henri „Cookie“ Lesguillier, Ina Wojdyła,
      Joãozinho da Costa, Kyle Scheurich, Nina Van der Pyl,
      Rui Paixão, Tomás Moital

      オーケストラ ORF Radio-Symphonieorchester Wien

      リサボンの P. OR. K (Marlene Monteiro Freitas Production) と
      ウィーン芸術週間、ウィーン劇場の共同プロダクション。

      初演の後に
      新聞批評では、かなり叩かれていたのだが
      一番安いチケットで48ユーロ・・・

      もともと、ウィーン劇場(修築中なので MQ で上演中)のチケットは高いが
      次のカテゴリーが68ユーロで
      一番お高い席が148ユーロというのもちょっとなぁ・・・
      (で、この間の「魔弾の射手」は本当に酷かったらしいし)

      まぁ、それは私の個人的な経済的状況なので 😅

      そんなチケットの高さにもかかわらず
      会場はほとんど満席。
      ルルなんて、そんなに人気のオペラだったっけ?(笑)

      私は国立オペラ座で観た事があって
      ワケのわからん悪女?の話だけど
      ルル役のソプラノが凄くて
      演出も良かったので、割りにポジティブな記憶がある。

      さて、ウィーン芸術週間だから
      一筋縄ではいかない作品になっている。

      オーケストラは舞台の上。
      文字通り、舞台の「上」で
      舞台の後ろに、もう一段、高い場所を作り
      オーケストラはそこで演奏。

      指揮者は演技スペースの真ん中あたりに
      飛行機へのタラップ(大昔の話だから知らない人がいる?)みたいな
      階段で登る台が置いてあって
      そこで指揮をする。

      指揮者の立っているスペースに
      時々、歌手も登って来て歌う。
      上の方のオーケストラのところや
      その左右の階段のところにも
      歌手やダンサーが居て、踊ったり、歌ったり。

      公式サイトからの写真を貼っておくので
      想像して下さい。



      あ、はい、ダンサーというか
      パーフォーマーというか・・・

      舞台そのものは非常にシンプルで
      基本的には、中央にある、高い高い高い指揮台だけ。
      あとは、周囲に椅子が置かれたり
      ボックスが置かれて
      そのボックスが並べられるとベッドみたいになったりする。

      字幕は左右にあって
      左(下手(しもて)方向)がドイツ語
      右(上手(かみて)方向)が英語
      文字は比較的大きくて、読みやすい。

      パーフォーマーが舞台で活躍するんだけど
      え〜っと、あの、その・・・
      動きに意味がない、というか
      ナンセンスな不思議な動きを
      集団でするし

      奇妙な小道具を使って
      キテレツな格好になったり
      (シャツを頭から被って
       両手に青いコップを持って上げていたり)
      集団で頭だけ動かしたり
      ロボットみたいな動きをしたり

      しかも、それが、音楽と合っているので
      ナンセンスなんだけど
      なんだか面白い・・・というより
      目が離せなくなる(笑)

      ただ、問題は
      場面変換も舞台装置もないので
      ストーリーが全くわからん・・・
      いや、ストーリー、もちろん事前に読んでは来ているが
      背景なし、そのシーンの場所を教示するもの一切なしで
      ダンサーが、よくわからない動きだけをしていて

      ついでに歌手もダンサーと合わせて
      不思議な動きをしながら踊って?いる。

      さすがにアルヴァが求愛するところとか
      (それもベッタリじゃない)
      人が死ぬところとか(横たわるから)
      ある程度はわかるものの
      五里霧中って、こういう感じ?(違!)

      リアルなのかファンタジーなのか
      パーフォーマーのロボット的動きに象徴される
      すべてがプログラムされた未来社会なのか
      ルルのオリジナル・ストーリーに囚われず
      様々な妄想が出来る舞台。

      歌手は全員、マイクロマイク(って言うの?)装着。
      耳のすぐ前あたりに
      本当に小さいマイクを着けているのだが

      今のマイク技術って、すごくない???👍

      指向性マイク(?)って言うのか
      スピーカーは全く見えず
      方向も、ちゃんと歌って(あるいは喋って)いる
      歌手の方から聴こえて来るので
      全く違和感がない。

      しかも、ドイツ語がめちゃクリアで
      ストレス・フリーだし

      歌手ごとの声量もバランスが良い。

      会場になったMQはオペラに適していない
      とか新聞評には書いてあったけれど
      適していないホールで
      最高のパーフォーマンスが出来るように
      最新技術を駆使しているじゃないの。

      オペラ座(もちろんマイクなし)で
      歌手の声量の差にイライラするより
      こんな素晴らしいマイクロフォン技術で聴けるなら
      そっちの方が良いような気がして来た。
      (基本的にマイク使ったパーフォーマンスは
       私は「ナマ」の音に拘るので好きじゃなかったのだが)

      ベルクの音楽も好き 🎵
      もちろん、12音技法で、様々な音列の仕掛けがある事は
      常識として知ってはいるけれど
      12音音列を記憶できる程の能力はない。

      それでも、こういう音楽、ものすごく好きだ。
      耳障りが良いというか(どうせヘンですワタシ)
      ヴォツェックもそうなんだけど
      すごくドイツ語という言語に沿っている感じがする。

      48ユーロって高い、と思ってはいたけれど
      あれだけ舞台がちゃんと見えて
      歌手が揃っていて
      不思議なパーフォーマンスがあって
      オーケストラも見えて(笑)
      指揮者も見えて(笑)
      ストレスフリーにドイツ語がわかって
      (わかるけどストーリーはワケわからん)
      これなら、大満足 ♡

      出演人数が多くて
      費用もかなりかかっているだろうから
      再演はまず見込めないだろうし
      私の夜のカレンダーは詰まっているので
      2回目の鑑賞が出来ないのが
      非常に残念 😭

      新聞評よりも
      やっぱり自分の目で見て
      自分の耳で聴かないと
      実際はわからない、という事を
      改めて実感している私に
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      利口な牝狐の物語

      0
        2022年10月17日 19時〜21時15分

        Museumsquartier Halle E
        Musiktheater an der Wien

        DAS SCHLAUE FÜCHSLEIN
        利口な牝狐の物語
        Musik und Libretto von Leoš Janáčk
        Oper in drei Akten

        指揮 Giedrė Šlekytė
        演出 Stefan Herheim
        舞台 Silke Bauer
        衣装 Doris Maria Aigner
        照明 Pausl Grilj & Stefan Herheim
        振付 Beater Vollack
        ドラマツルギー Kai Weßler

        女狐ビストロウシュカ Mélissa Petit
        森番 Milan Siljanov
        森番の妻・雌鳥・フクロウ・パーセクの妻 Alžběta Vomáčková
        雄狐 Jana Kurucová
        校長・蚊・犬・雄鶏・キツツキ Ya-Chung Huang
        司祭・穴熊 Levente Páll
        ハラシュタ Marcell Bakonyi
        パーセク Zacharias Galaviz *
        フランツ・リス商人 Anna Kufta *
        ゼップ Petra Kukkamäki *
        カエル Stephen Ralph *
        雌鳥・コオロギ Liliya Namisnyk *
        イナゴ Carina Kellner *
        小狐 Anna Büchel *
        若いカエル Frederick Derwein/Johannes Hurnaus/Tobias Pointner
        バレエ・ダンサー
        Lara Almonem, Martina Consoli, Sophie Melem
        Filip Löbl, Yannik Neuffer, Florent Operto

        Wiener Symphoniker
        Arnold Schoenberg Chor

        * Arnold Schoenberg Chor のメンバー
        若いカエルはサンクト・フローリアン少年合唱団のソリスト
        (日によって、誰が出るか変わる)

        あと数日待っていたら
        20%だか30%だかの割引があったのに
        急いでチケットを購入したので
        一番安い席で48ユーロって
        いつもながらウィーン劇場のプロダクションの値付けは
        強気ではある。

        ただ、行ってみて思ったのだが
        その価値はある(きっぱり)

        場所は変わったけれど
        (ウィーン劇場そのものは、最低2年の修築工事中)
        このプロダクション
        如何にもウィーン劇場らしい香りがする。

        それ程大きくない舞台を充分に使って
        とてもカラフルな舞台装置と衣装
        舞台裏と森や居酒屋のシーンを見事に使い分け
        ビデオの嫌味のない使い方が効果的。

        歌手も揃っていて
        (これはウィーン劇場はいつもである。
         プロダクションごとにオーディションするんだろうか。
         ともかく、歌手陣、みんな素晴らしい)
        字幕は上にドイツ語と英語で
        非常に読み易く、クリアに表示されるのは有難い。

        もともとが動物の物語で
        みんなが着ぐるみで登場するワケではないので
        一部、ちょっとわかりにくいところもあるけれど
        それは、私が疲れていたから
        理解力が衰えていた可能性が大いにある(ごめんなさい)

        バレエ・ダンサーが出て来たのには感激した(笑)
        本当にクラシックのバレエが使われていて
        (白鳥の湖っぽいチュチュと王子さまが何故か登場する)
        短いシーンの幾つかで
        久し振りにクラシック・バレエの美しい動きも堪能。

        正直言うと、ヤナーチェクの音楽は
        あまり得意ではなくて
        カーチャ・カヴァノヴァーとか
        イェヌーファとか
        死の家から、とか
        今まで鑑賞したオペラが、いやに暗くて・・・

        この物語だって
        もともとの話の結婚式の後に
        (あ、狐の一目惚れシーンの演出が
         むちゃくちゃキュートで可愛いんです)
        ビストロウシュカが、夫、子供を守るために
        森番に銃で撃たれて殺されるシーンもあるから
        決して、ハッピー・エンドにはなっていない。

        チェコのメンタリティって、もともと暗いんですか?
        (・・・って失礼な。
         だったら、人がどんどん死ぬイタリア・オペラは何なんだ)

        でも、最後のシーン(森番の思い出シーン)の音楽は
        あまりに美し過ぎる・・・
        ああいう、センチメンタルな気分は苦手なんだけど
        (ワタシの場合は家族も子供もいませんので・・・悪しからず)
        それに付随する音楽そのものの美しさは否定できないわ。

        休憩挟んで2時間ちょっとの作品だし
        舞台も歌手も振付も素晴らしいし
        チケットがもうちょっと安かったら
        もう1回くらい、観たいな・・・とは思うのだが

        ちょっと今学期は詰めすぎた上に
        夏休みの間に実施する筈だった実験が
        今週・来週にずれ込んでいて
        悲鳴を挙げそうになっているので無理そう(涙)

        まぁ、自業自得だよね、うん。
        忙しくて睡眠不足でも
        それも人生、楽しいじゃん、と思う
        楽観的な私に
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        昨日のハイドンの「四季」もすごく良くて
        記事を書きたいんだけど
        (註 10月22日にアップ。記事はもう一つ下)
        アップの時間は変えてるけど
        もう夜中の3時に近い(涙)
        実験の時間の割り当てとか
        水曜日に必要な文献読んだりしていたら
        アイロンをかける時間もない・・・アセアセ💦

        アルチーナ島からのルッジェーロの救出

        0
          2022年10月10日 19時〜21時45分

          Theater an der Wien in der Kammeroper

          La liberazione di Ruggiero dall’isola d’Alchina

          Balletto in einem Prolog und drei Szenen
          Libretto von Ferdinando Saracinelli
          Musik von Francesca Caccini

          指揮 Clemens Flick
          演出 Ilaria Lanzino
          舞台 Martin Hickmann
          衣装 Venessa Rust
          照明 Franz Tscheck
          ドラマツルギー Christian Schröder

          Alcina: Sara Gouzy
          Melissa: Luciana Mancini
          Ruggiero: Krešmir Straźanac
          Damigella/Sirena: Jerilyn Chou
          Damigella/Sirena: Milana Prodanović
          Damigella/Sirena: Bernada Klinar
          Oreste/Mostro/Canto: Benjamin Lyko
          Mostro/Alto: Thomas Lichtenecker
          Mostro/Tenore: Anle Gou
          Pastore/Nostro/Quinto: Matúš Šimko
          Mostro/Basso: Jubin Amiri
          Kinder: Georg Benner, David Chen, Maximilian Chen,
          Valentin Hasenburger, Thomas Kern, Christoph Lackner-Zinner,
          Nio Le, Emil Petersson, Damjan Savic

          La Folia Barockorchester

          フィレンツェで1625年に初演された
          世界で最古の女性作曲家と言われている
          フランチェスカ・カッチーニのオペラの
          ウィーンでの初演。
          (註 音楽史に詳しい方
           確かに最古の女性作曲家は
           ヒルデガルト・フォン・ビンゲンと言われる向きもあるでしょうが
           正確に言えば、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンは
           職業作曲家とは違うので、そこらへん、どうぞご理解下さい)

          このオペラの作曲依頼をしたのは
          トスカーナ大公コジモ2世・デ・メディチに嫁いだ
          マリーア・マッダレーナ・ダウストリア。

          名前が示す通り、ハプスブルク家の公女で
          君主としての資質に欠けるコジモ2世の代わりに
          トスカナ公国の国政に力を振るった人。

          ポーランド王ヴワディスワフ4世の訪問の歓迎のために
          作曲されて上演されたオペラだそうで
          ミソジニーと戦わねばならなかったマリーア・マグダレーナは
          女性は強い、というのを前面に出したオペラを意図していたらしい。

          まぁ、主人公はアルチーナとメリッサだもんね。
          ルッジェーロは、2人の魔女の間でウロウロする
          優柔不断オトコでしかないし(爆笑)

          ウィーン劇場は2年の予定で修復中なので
          今シーズンの公演は
          このカンマー・オーパーとミュージアム・クォーターを
          会場として使っている。

          10月24日までの購入に限り
          全部の公演のチケットが15%割引になるので
          行きたい人は、今がチャンス。サイトはこちら

          この割引に釣られて
          行く予定でもなかった、このオペラのチケットを
          購入してしまった・・・

          結果・・・

          興味深いし、狭い舞台ながら
          考えられた現代にも繋がる深い演出をしている。
          歌手はみんな巧い。
          舞台上での動きが、様々なものを人間の動きで象徴していて
          踊りではないけれど
          一つ一つのポーズに深い意味が籠められていて
          しかも、それを歌手が器用に、ダンサーのようにこなしている。
          古楽器アンサンブルもすごく良い。
          上演時間、休憩なしで1時間40分というのも助かる。

          しかしながら
          私はポーランド王でもないし
          1600年代に生きてないし
          イタリア語はわからないし
          近視なので
          上に出てくる字幕の細かいドイツ語が読めない。
          (貧民席だから後ろの方なので、ますます読みにくい)

          最初はちょっとカラフルな衣装もあるけれど
          途中から、白い肌着に黒のズボンという衣装になってしまって
          誰が誰だか全くわからず
          舞台が暗いので
          何処で歌っているのかもよくわからず
          最初から最後まで、よくわからないままで終わってしまった。

          アルチーナはバロック・オペラではよく取り上げられる題材だし
          事前に調べたり、プログラムを読んだりして
          少なくとも私が理解したストーリーとしては

          悪い魔女のアルチーナは
          本来であれば、戦争に行かねばならない男性たちを
          誘惑して、自分の島に閉じ込めて
          その男性に飽きたら
          魔法の力で植物にしてしまい
          また、新しいオトコを拐って来るという
          誠に羨ましい生活をしているが

          そこに、良い魔女のメリッサが来て
          甘い愛の生活に溺れているルッジェーロを奪還し
          ついでに植物になっている男性も
          もとの男性の姿に返して
          全員、兵士として持って行っちゃって

          悪い魔女のアルチーナは怒りのあまり
          自分の宮殿を焼いて、自分も死んでしまう。

          ・・・というような話だったはず。

          何故にアルチーナが「悪い」魔女なのか
          理解に苦しむところ。

          戦争に行くべき男性を救い
          飽きたら、植物という
          生きながら保存できる、という理想形態にして
          (植物の生活は食べ物も飲み物もふんだんに周囲にあるから
           狩りをしたり、農業を営んで、汗を流して仕事しなくて良い)
          戦死させるより、よほど人助けをしていると思うんだけどなぁ。

          演出が、なんとなく私が考えた事に沿っているような・・・

          メリッサが、ズボンを履いて、スーツを着て
          血だらけの手で登場して
          舞台で行われているゴタゴタを
          ずっと脇からシニカルに観察しているのだ。

          メリッサに「戦争に行かなきゃダメよ」と言われて
          あ、そうか、とホイホイ話に乗って
          アルチーナに別れを告げるルッジェーロに
          アルチーナが、行かないで、と縋り付くところなんか
          ちょっと日本の演歌みたいで
          ウエットで、アルチーナに同情しちゃうんですけど。

          モンテヴェルディの影響が強い音楽だけど
          歌手もアンサンブルも
          感触としては、比較的楽譜に忠実に歌っていて
          恣意的なアフェクトを入れたりはしていないようなので
          ちょっと物足りないような気がする。

          まぁ、それは解釈上の問題でもあって
          何せ、我々は1625年には生きていないので
          現代に寄り添った解釈や舞台になるのは仕方がない。

          きっと、1625年のポーランド王歓迎パーティの時には
          もっと、ド派手な衣装で、ド派手な舞台装置で
          度肝を抜くような公演だったんだろうな。
          (オペラの後、20分にわたって
           馬によるバレエ(!)公演があったらしい)

          退屈・・・と言うよりは
          何をやっているんだろう、という
          雰囲気の不思議さに捉われてしまったような時間だった。

          Vimeo とウィーン劇場のウエブ・サイト
          トレイラーがある。
          (Vimeo は登録が必要。無料)

          あの不思議な雰囲気はよく出ている動画だと思うので
          ご興味ある方はどうぞ。

          10月21日まで、あと、何回か公演があるけれど
          残念ながら、私は他の日は全部埋まっているので
          今日が1回キリの鑑賞になる。

          時間があったとしても
          2回目を観るかどうかは微妙な演目だが
          少なくとも17世紀前半の音楽を
          実際に聴くチャンスは見逃さなくて良かったと
          楽観的に思っている私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。


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          イェーヌファ ウィーン劇場

          0
            2022年2月28日 19時〜21時45分

            Theater an der Wien

            JENŮFA
            Její Pastorkyňa
            (Ihre Stieftochter)
            Oper in drei Akten (Brünner Fassung, 1908)
            Musik von Leoš Janáček
            Libretto von Leoš Janáček nach dem Schauspiel
            Její Pastorkyňa von Gabriela Preissová

            指揮 Mark Albrecht
            演出 Lotte de Beer
            舞台 Christof Hetzer
            衣装 Jorine van Beek
            振付 Gail Skrela
            照明 Alex Brok
            ビデオデザイン Paul Sturminger
            ドラマツルギー Peter te Nuyl

            コステルニチカ Nina Stemme
            イェーヌファ Svetlana Aksenova
            シュテヴァ・ブリヤ Pavol Breslik
            ラツァ・クレメニュ Pavel Černoch
            ブリヤ家のおばあさん Hanna Schwarz
            製粉所の親方 Zoltán Nagy
            村長 Alexander Teliga
            村長夫人 Václava Krejcí Housková
            カロルカ Valentina Petraeva
            牧童ヤノ Anita Giovanna Rosati
            羊飼いの女 Natalia Kawalek
            バレナ Juliette Mars
            年配の女 Liliya Namisnyk

            ORF Radio-Symphonieorchester Wien
            Arnold Schoenberg Chor
            Statisterie des Theater an der Wien

            ウィーン劇場 Theater an der Wien は
            本日の公演を以て
            これから最低でも2年間の修築工事に入るのでクローズとなる。

            ベートーベン時代の建物だし
            今日、私が座った貧民席(舞台脇の上の方)なんて
            手すりが歪んでいて
            高所恐怖症の人は絶対に無理、と言う恐ろしい席。
            (現在、立見席がないので、一番安い席でも25ユーロ!)

            しっかり改築工事をして
            多少なりとも便利な建物になってくれれば喜ばしい。
            まぁ、歴史的な建築物に、あまり手は加えられないだろうが。

            公演前に芸術監督のローランド・ガイヤーが舞台に登場。
            すわ、直前の歌手の変更かキャンセルか代役か、と
            ドッキリしたけれど
            今日が芸術監督としての最後の公演になります、のご挨拶。

            ウィーン劇場は
            バロック・オペラや近代・現代オペラを中心に
            非常に面白いプロダクションを作って来た。

            建物はボロボロで
            トイレは少ないし(改装で少し増えたが)
            クロークはむちゃ混みだし(無料になってから少し緩和された)
            中程度のチケット買っても、舞台は見えないし
            高いチケット買っても、椅子が酷かったりと
            ハード面では色々と難はあったけれど
            その分、ソフト面が良すぎて
            歌手も抜群、演出も抜群
            ともかく、催し物の水準の高さでは群を抜いていた。

            さて、今回の千秋楽のイェーヌファ。
            来シーズンからフォルクス・オーパーの芸術監督に就任が決まっている
            ロッテ・デ・ベーアの演出。
            オーストリア国営放送ラジオで
            2月26日に19時からライブでの放送もあった。
            (私はサンクト・ペルテンからの帰りのドライブで
             最後のところだけラジオで聴いたけれど
             もちろん、すべてチェコ語なので、さっぱりわからなかった)

            舞台は灰色中心の2階建て建物が
            回り舞台で2面がシーンによって使われる。
            2階の端っこのところには
            壁がなくて
            ちょっと間違えたら落ちそう・・・
            (ウィーン劇場の舞台は高所恐怖症の歌手は無理な所以)

            チェコ語だが
            ドイツ語の字幕が、舞台の左右に映される。

            今回はケチして
            舞台キワキワの席だったので
            乗り出しても、舞台の奥は全く見えず
            その代わり(笑)指揮者とオーケストラが
            真上から見える。
            ドイツ語のテキストも問題なく読めるので
            この席、意外に狙い目かも。

            オーケストラの音は真上なのでバランス良く聴こえてくるが
            歌手が舞台の奥の
            私の座っている側に入ると
            声が全く飛んで来ないのは、ちょっと残念。

            ストーリーはご存知の方が多いと思うので省略するが
            継母による、未婚の娘の乳幼児殺人事件。
            まぁ、継母が乳幼児を殺害した後に
            良心の呵責に耐えかねるとか
            (宗教的なシンボルが舞台に登場する)
            乳幼児の父親は、村長の娘と婚約してしまう不実な男で
            プログラムに書いてある系図によれば、いとこ同士。

            ここに、同じくいとこではあるが
            腹違いなので血の繋がりはない恋人が
            未婚の母(というか、もう子供は死んでいるが)と結婚する。

            何だかワケのわからん話だが
            当時の社会的状況や、村社会の掟とか
            宗教上の問題とか
            色々と示唆に富んでいるストーリーなのだと思う。

            ウィーン劇場だから
            ともかく、歌手は優秀な人が揃っていて
            どの歌手を取っても、抜群の歌唱力に演技力で
            ついでに見た目も立ち姿も美しい♡
            (かと言って、アルコール中毒のシュテヴァを
             カッコイイとは思わないけど
             でも、イェーヌファは惚れてるんだよね)

            誠実な恋人として描かれているラツァは
            垢抜けない田舎者っぽい役柄で
            イェーヌファは嫌がっているのはよくわかるんだが。

            だって、やっぱり女性としては
            見た目って重要だよね?
            生理的に受け付けない男性っていうのも居るんじゃないの?
            ・・・って違うか。

            独身で居るという自由がない場合には
            どこかで妥協するしかないから
            好きじゃない男性でも
            惚れてもらって
            他の男性(しかも家族の中では元カレの異母兄弟)に嫁げば
            生活安泰ってことかな(違うかもしれない)

            しかし、このオペラの主人公って
            コステルニチカじゃないのか・・・

            第2幕の長い長いモノローグがあまりに素晴らし過ぎる。
            悩み苦しみ、苦渋の判断を下し
            その後、第3幕で良心の呵責に苛まれるところの
            ニーナ・シュテンメが圧倒的な存在感。
            さすがワーグナーの歌い手だった事もあって
            強靭な声の安定感と激しい感情の表現力が群を抜いている。

            舞台は見えにくい代わりに
            指揮者の動きが良く見えて
            マルク・アルブレヒトが
            長丁場なのに
            全身使って、激しく踊って、あ、いや、指揮していて
            うわ〜、指揮者って体力が必要なんだなぁ、と
            ヘンなところに感銘してしまった。

            ヤナーチェックの音楽は
            正直、あまり好みとは言いかねるのだが
            (響きが鋭いんですよね・・・)
            ただ、チェコ語に合わせて作曲されているのだろうから
            チェコ語がわからないと
            理解や共感は出来にくいんじゃないかと思う。

            しかしチェコ語って
            子音の嵐の言語なのに
            母音なしの子音続きで、よく歌えるもんだ・・・

            チェコ語を習っていた時に
            最初に躓いたのが
            Zmrzlina という単語で
            何故に子音が5つも続くんだ?と
            絶望的な気持ちになった事を思い出した私に
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            カーテンコールで
            コーラスが出て来た時に
            真ん中のメンバーの1人が
            ウクライナの国旗を広げていた。
            きっと、ウクライナ出身の歌手なんだろうなぁ。
            (ウィーンには多い)
            一刻も早い停戦を祈るばかりである。

            あ、ちなみに
            Zmrzlina というのは
            アイスクリームの事です。

            モンテヴェルディ ロルフェオ(コンサート形式上演)

            0
              2022年2月22日 19時〜21時30分

              Theater an der Wien

              L’ORFEO
              Favola in musica in einem Prolog und fünf Akten (1607)
              Musik von Claudio Monteverdi
              Libretto von Alessandro Striggio
              Konzertante Aufführung in italienischer Sprache

              指揮とバイオリン Fabio Biondi
              Orfeo: Ian Bostridge
              Euridice / La Musica: Monica Piccinini
              Messaggiera / La Speranza: Marina de Liso
              Caronte: Ogo Guagliardfo
              Proserpina / Ninfa: Roberta Invernizzi
              Plutone: Fabrizio Beggi
              Apollo: Francersco Marsiglia
              Pastore II / Spirito II: Valentino Buzza
              Pastore I / Spirito I: Filippo Mineccia
              Pastore III / Eco: Matheus Pompeu

              Europa Garante
              Rias Kammerchor

              昔はモンテヴェルディなんて
              全くの関心外だったのだが
              何せ、エウローパ・ガランテと
              イアン・ボストリッジという名前を聞いたら
              これに行かない選択肢はない。

              ウィーン劇場でのコンサート式上演。
              1回だけの公演なので
              字幕はない。

              薄暗くなった会場で
              必死に手元のイタリア語と、そのドイツ語訳を見ながら
              たまに、あまり見えない舞台をチラチラ見て、という
              かなり忙しい2時間半だったが

              いや〜、行って良かった。
              ものすごく面白かったし、楽しかった。

              イタリア語がわかれば、もっと、もっと楽しいのだろうなぁ。
              だって、イタリア語って
              歌で聴いていても、本当によく聞き取れる言語だし
              一般的に、イタリア語のオペラは
              ロッシーニでもヴェルディでもプッチーニでも
              イタリア語は字幕なしでも理解できるらしい。

              ドイツ語は無理です。
              あれは歌にする言語じゃない(断言)
              でも、ワーグナーみたいに
              字幕でドイツ語を一緒に読んでいても
              さっぱり内容が理解できないというオペラもある。

              古楽器小編成オーケストラのエウローパ・ガランテの素晴らしい音。
              ウィーン劇場の音響にもピッタリ合って
              とことんクリアに響いてくる上に
              ちょっと特殊に聴こえる部分の音もばっちり。
              チェンバロやテオルベなどの音も
              しっかり聴こえて来る。

              天井桟敷の一番後ろの席で
              舞台の上の合唱団(20人くらい)は見える。
              ソリストは、ちょっと乗り出せば
              腰の上あたりからは見える。

              オーケストラ・ピットに入っている
              エウローパ・ガランテは
              どうやっても見えない。

              このモンテヴェルディのロルフェオ
              インストルメンタルも入るけれど
              言ってみれば
              音楽付きの演劇という感じが強い。

              しかも、その音楽の効果が抜群。
              ボストリッジ博士のオルフェオ役の見事さは
              ただ、美しいリリック・テノールを聴かせるというのではなく

              オルフェオの感情を
              時には、え?そんな声、出せるんですか?というような
              「美しくない」声域と、声まで使って

              ただ、あくまでも音楽的な処理をしながら
              特に悲劇的な最後を迎えるオルフェオの感情を
              声だけで描き切ったところにある。

              モンテヴェルディの音楽も楽しいの♡
              特に、地獄への船の船頭のカロンの描き方が楽しい。
              だって、チャーミングなんだもん。
              プルートとか
              最後にリリックな美しいテノールを聴かせるアポロンも良いけれど
              私は、もう、すっかりカロンの虜(何ですかそれは)

              初期バロックだから
              装飾的な声の技術もかなり要求されるけれど

              ベッリーニやドニゼッティや
              場合によってはロッシーニなどが
              ただただ、技巧を聴かせるためのシーンを作ったのとは違い

              登場人物の感情を描くために
              必要な技法、という事で使っているのがよくわかる。

              だってね
              オルフェオは啜り泣くわけですよ。
              慟哭するわけですよ。
              泣いている間に、息を喘がせるところってあるじゃないですか。
              あれを、声の技巧で
              実にリアルに表現してしまう、という
              モンテヴェルディならではの聴かせどころに
              背筋がゾクゾクしっぱなし。

              バロック・オペラは長い作品も多いので
              昔、ウィーン劇場でのバロック・オペラに行った時は
              会社でギリギリまで仕事して
              劇場に駆けつけて
              終演時間が22時30分とかプログラムに書いてあるのを見て
              びっくり仰天して

              21時過ぎくらいからは
              オペラ鑑賞というよりは
              うわあああ、お腹空いた・・・という事にしか
              頭が回らなかった(自爆)けれど

              引退したので、仕事はないし
              今回の公演前に
              おやつ時間に友人宅に伺って
              3時間ほど、ケーキをモリモリ食して
              お喋りしたので
              オペラにじっくり集中する事が出来た。

              それに、コンサート式上演で
              休憩1回あって、2時間30分なら、全然長くない。

              引退してから
              やっと、ワーグナーとかも行けるようになったし(笑)

              モンテヴェルディの歌曲は
              以前、大学のゼミでキャシー・バーベリアンで卒業論文書いた時に
              バーベリアンの、あの特殊な歌い方で聴いたし
              (アーノンクール絶賛のCDである)
              美しく歌う、とか言う規範を超えて
              演劇的に音楽が構築されているのは
              聴いていて、とても楽しい。

              空腹に耐える事なく
              オペラが見られるのは
              引退して、一番良かった点かもしれない、と
              ついつい、余計な事を考えてしまう私に
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              いや、こういうのを聴くと
              イタリア語を勉強したら面白いだろうなぁ、と
              本気で思うのだが
              カルチャー・センターの午前中の授業を
              1学期だけ受けてみたけれど
              年配の方ばかりで(まぁ、それはそうだろう(笑)
              しかも、進み具合が非常に遅い(まぁ、それはそうだろう)

              大学の同僚に言わせると
              大学で開催している語学コース(1学期3万円以上する)が
              本格的で非常に良いらしい。
              同僚は1年やって、既にイタリア語の論文を読んでいる・・・

              1学期に3万円という費用にビビっているけれど
              もう少し落ち着いたら
              やっても良いかも。
              支払いしたら、モトを取ろうと必死になるハズだ(笑)
              確かコンピュータ・プログラム講座も3万円くらいしたよね・・・

              トスカ ウィーン劇場

              0
                2022年1月30日 19時〜21時15分

                Theater an der Wien

                TOSCA
                Oper in drei Akten
                Musik von Giacomo Puccini
                Libretto von Giuseppe Giacosa und Luigi Illica
                Nach dem Drama La Tosca von Victorien Sardou

                指揮 Michael Zlabinger
                演出 Martin Kušej
                舞台 Annette Murschetz
                衣装 Su Sigmund
                照明 Richard Traub
                ドラマツルギー Regula Rapp

                フローリア・トスカ Kristine Opolais
                マリオ・カヴァラドッシ Johanthan Tetelman
                スカルピア Gábor Bretz
                シャローネ Rafał Pawnuk
                チェザーレ・アンジェロッティ Ivan Zinoviev
                スポレッタ Andrew Morstein
                アタヴァンティ伯爵夫人 Sophie Aujesky

                ORF Radio-Symphonieorchester Wien
                Arnold Schoenberg Chor
                Statisterie des Theater an der Wien

                Neuproduktion des Theater an der Wien

                1月28日にテレビ放映もあったのだが
                (1週間はテレビテークで見られる。
                 ただ、オーストリア以外からはブロックがかかっているらしい)
                私は見ていない、悪しからず。

                舞台は一面の雪。
                第一幕は雪が絶え間なく降っているように見えるが
                よく見れば、舞台の前に薄い幕があって
                そこにビデオで投影しているようだ。

                後ろにキャンピングカーがあって
                真ん中の木には
                マリアのイコンが架かった十字架の横に
                手足をもぎ取られた人間の身体が括りつけてあって
                その横の枝には、切り取られた手がぶら下がり
                更にその上には足が吊り下がっている。

                アンジェロッティが(音楽なしに)登場する場面で
                もう一本の足が舞台に投げられて
                それを犬が追いかけて咥えて行く場面もある。

                犬の鳴き声も入るし
                音楽の前には、風の音が微かに聞こえて来る。

                うわあああ、テロ国家だ。
                真っ黒な衣装をつけて、銃を持ったテロリストが登場するし
                教会の番人は、テロリストの手先らしい。
                (かなりぶっ飛んだ人物設定になっている)

                マリオが描いているアタヴァンティ伯爵夫人も
                舞台に登場する(アンジェロッティの妹だしね)
                途中でテロリストに捉えられて
                私が正しく理解していれば(定かではない)
                最後にテロリストの一員として(イヤイヤながらかもしれない)
                大変な役割を果たす事になる。

                ・・・いやぁ、千秋楽に行って良かった。
                これ、まだ上演中なら
                こんなに詳しくネタバレ書いたら
                ウィーン在住で、見に行こうと思っている人の反感を買ったかも。

                アンジェロッティは、ほとんど裸に近い格好で
                トスカが登場する時には
                木の後ろに隠れている。

                この困ったちゃんトスカが
                なかなか帰ろうとせず
                カヴァラドッシが必死になって機嫌を取りながら
                早く帰れ、とやっている場面で
                焦りながら木の後ろを見つからないように
                あちこちに位置を変えるのが非常に惨め。

                あ〜、もう、こういうワケのわからん恋人がいると
                えらく迷惑だな、と、ついつい思ってしまう。

                スカルピアの登場が、ものすごく印象的。
                それまで、ほとんど裸で駆け回っていた村人たちが
                一瞬、写真のように静止画になる。

                スカルピアがトスカの嫉妬心を掻き立てて
                トスカの帰り際にスカルピアと見つめ合う場面が
                うわああああ
                これ、正に映画じゃないのか?

                音楽がアマアマで
                それが現代的舞台で演奏されて
                美男美女が見つめあって立ち尽くすところ
                50年代か60年代の映画そっくり・・・

                プッチーニのアマアマ音楽って
                映画音楽になってしまうんだわ(驚愕)

                休憩なしで続けて第二幕(少しだけ舞台変換の時間はある)
                後ろにあったキャンピングカーの横の面が外されて
                真ん中に移動。
                そこがスカルピアの邸宅になっていて
                舞台の下手(しもて)では、焚き火が燃えている。

                死体付きの木は後ろに位置し
                雪の中に裸の死体が半分埋まっている。

                最初からナイフが椅子の上に置いてあり
                これが、不気味な雰囲気を醸し出す。
                (スカルピアが、ずっとナイフを弄んでいる)

                教会の番人がスカルピアの部下のシャローネで
                ここでも、優秀な部下として活躍する。
                なかなか冷血でぶっ飛んでいるサディストっぽくて
                長髪を上で結んで異様な雰囲気を出す。
                (このシャローネは、不気味であちこちに出現する)

                カヴァラドッシを捕まえて連れて来るのも
                真っ黒な衣装を着たテロリストの一団。

                スポレッタは偉ぶっているけど
                間抜けな部下なのだが
                その横にシャローネがニヤニヤ笑いしながら
                立っているのが何とも気味が悪い。

                トスカがミニスカートとブーツで登場。
                おみ足が美しい・・・・

                で、拷問シーンの時にも
                既にトスカは、身を投げ出す気、満々なのだ。

                上着は脱いでしまい
                美しい網ストッキングの足を丸出しにして
                足を広げてスカルピアの前に寝転んだりする。

                かの有名なアリアは
                歌いながら、脱いでいって
                キャミソールになって
                座っているスカルピアの太ももの上に
                足を開いて跨いで乗って
                ほとんどスカルピアとキスするか、という感じ。

                異様に色っぽいんだけど
                それをまた、冷静に見ているスカルピアの
                底なしの不気味さ、冷血さにゾクゾクする。

                こいつ、ここまでやられても
                根っからの変態のサドで
                女性が自分から身を投げ出しても
                興奮しないのだろうか・・・・とか
                あ〜、すみません、とんでもない妄想に駆られてますが。

                スカルピアがカッコ良すぎなの♡
                プログラムでクジェイが
                羊の沈黙以降、レクター博士のような人物が
                魅力的と思える土壌が社会にある・・・
                みたいな事を言ってたけど

                暴力沙汰と全く関係ない
                平和ボケ家族や友人に恵まれたので
                その影響で
                隠れサドならぬ、口だけサドになってしまったワタクシは
                こういう、本物のヘンタイに惹かれるのである。
                (実際にこういう人物に当たった事がないのが幸い。
                 現実に居たら、絶対に無理。妄想バンザイ)

                これに比べると
                カヴァラドッシとトスカのカップルは
                笑い者にしか見えないわ。
                おままごとのキレイな世界で
                勝手にやってなさい、という気分になるし

                最終シーンで
                カヴァラドッシが
                ああ、トスカの手を、僕のために
                殺人で汚してしまった、とか
                甘い声で歌うと
                何言ってんだ、こいつは、と感じてしまう。
                既に演出家の魔法にかかってしまっている(笑)

                ナイフを持って刺そうとするトスカにも
                (その前にカヴァラドッシが
                 やはりナイフを持って刺そうとするが
                 スカルピアが、笑いながら
                 ナイフを取り上げてしまう)
                スカルピアはニヤニヤ笑いをしながら
                おお、お嬢さまが何やってんの?って感じで動じない。

                トスカがナイフを持ったままの状態で
                後ろのドアが開いて
                血だらけになったアタヴァンティ伯爵夫人がドアの向こうに居て
                スカルピアが、アタヴァンティ伯爵夫人にキスしている間に
                トスカは気を取り直して
                やっとスカルピアを刺す。
                (ちゃんと盛大に血が出る)

                スカルピアが死んだ後
                血だらけになった白いフィッシャーマンス・セーターを脱がせ
                キャミソールの上にそれを着て
                ドアの十字架を投げつけて出ていくトスカ。

                最後の幕の子供のソロはなし。
                この子供のソロは
                雪の中に血だらけで倒れているカヴァラドッシが歌う。
                後ろに男性が膝立ちしているが
                現れたシャローネが
                こともなく、ピストルで殺してしまう。

                シャローネはその後
                カヴァラドッシが
                「愛する人に手紙を書きたい。
                 これが僕の持っている唯一の金目のものだ」
                と指輪を差し出すと
                指輪を強引に取ってしまって
                もちろん、紙とかペンは持って来ない。
                (ほら、ぶっ飛んだ冷血な人だし
                 いつもニヤニヤ笑いしているから)

                トスカ登場で
                笑っちゃえるようなラブシーンの後
                銃殺も、テロリストは山ほどやって来るが
                最後はシャローネが
                カヴァラドッシの頭を
                ピストルで撃つ。

                カヴァラドッシは
                ここで頭を前に垂れるだけで
                倒れはしないのだが

                トスカがにじり寄って
                身体に手を触れると、倒れてしまう。
                (いいね、これ、非常にリアル)

                だいたい、最後のシーンが
                やはり雪の中で
                サンタンジェロ城もないし
                どうやってトスカが身を投げて死ぬのか
                不思議に思っていた。
                (大昔のフォルクス・オーパーの
                 ドイツ語版のトスカでは
                 ふくよかなトスカが
                 何故か舞台中を走り回る、という
                 もう失笑以外の何物でもない終わり方をしていた)

                なんと、なんと、なんと
                ここに現われるのは
                囚われの身になっていた(と思われる)
                アタヴァンティ伯爵夫人なのである。
                (血だらけの薄着になっている)

                で、このアヴァンティ伯爵夫人が
                雪の山の上から
                トスカをピストルで何回か撃って殺す。

                うわあああ、こういう終わり方に持っていったか・・・

                映画っぽいところが(音楽含め)山ほどあって
                スカルピアの異様なサドぶりの魅力的な描き方に
                何役かを兼ねて動く
                ぶっ飛んだ冷血なシャローネの存在が素晴らしい。

                テロリストが山ほど登場するが
                これ、ものすごくリアルで
                現代のテロリスト国家のような不気味さがある。
                (あ〜、こういう事って、たぶん、まだ現代に存在する。
                 そこから逃げてくる難民も多いんだけど
                 ともかく、私が育った社会、今いる社会が
                 こういう社会でなくて良かった・・・)

                有名なアリアの後も
                そのまま音楽を続けて
                観客に拍手する間を与えなかったのも素晴らしい。

                いつも、最後のカヴァラドッシのアリアの後の拍手には
                ちょっとウンザリするのだ。
                (歌に生き、恋に行きのアリアの後の拍手にもウンザリする)
                ドラマツルギー的には
                あそこで拍手で緊張感を途切れさせて欲しくない。

                その意味では
                休憩なしに続けての2時間15分、
                途中のアリアの後の拍手もなし、というのは
                とても集中できる舞台になっていたのは間違いない。

                ただの、おとぎ話ラブストーリーではなくて
                (音楽だけ、おとぎ話の映画になっていたのは笑えたが)
                テロ国家の背景を踏まえて
                実に魅力的なレクター博士ならぬスカルピアと
                冷血ぶっ飛びシャローネの描き方に
                えらく感心してしまった。

                あ、カヴァラドッシ役テノールの
                ヨナサン・テテルマンは
                声量もあって(ウィーン劇場狭いのでものすごく響く)
                アリアでのニュアンスも素晴らしく
                見た目も美しく、すごく良かった
                (けど、演出上、アホみたいな役割だから・・・)

                スカルピア役のガボール・ブレッツは
                役にハマっていて
                堂々として、細かい演技も実に巧み。
                厚みのある声は、スカルピア役にピッタリだったし
                バランスの取れた美しい筋肉質の身体で
                とてもとても(♡)魅力的なスカルピア。

                クリスティーネ・オポライスは
                数年前まで、指揮者のアンドリス・ネルソンスと結婚していたので
                名前はよく知っていたけれど
                実際に聴くのは初めてかもしれない。

                ただのお人形っぽいトスカではなく
                色っぽくて
                時には汚れ役になって
                スカルピアを殺した時には
                完全に目がイッちゃっているトスカを
                強靭な声で演じていて、圧巻だった。
                (おとぎ話のトスカと、テロ国家の現実的なトスカを
                 うまく行き来しながら演じていた才能には驚いた)

                いや〜、楽しかったわ。
                これ見たら
                国立オペラ座の
                伝統的な演出のトスカは
                ちょっと見られなくなりそうだな。

                というわけで
                当分、オペラ座のトスカには
                行かないような気がする私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                魂と肉体の劇@ウィーン劇場

                0
                  2021年9月19日 19時〜20時40分
                  Theater an der Wien

                  RAPPRESENTATIONE DE ANIMA ET DI CORPO
                  Rappresentatione per recitar cantando in drei Akten (1600)
                  Prolog von Robert Carsen
                  Musik von Emilio De’Cavalieri
                  Libretto von Agostino Manni

                  指揮 Giovanni Antonini
                  演出 Robert Carsen
                  舞台 Robert Carsen & Luis Carvalho
                  衣装 Luis Carvalho
                  振付 Lorena Randi
                  照明 Robert Carsen & Peter van Praet
                  ドラマツルギー Ian Burton

                  Tempo(時間)Georg Nigl
                  Intelletto (理性)Cyril Auvity
                  Anima (魂) Anett Fritsch
                  Corpo (肉体)Daniel Schmutzhard
                  Consiglio (良き忠告)Florian Boesch
                  Piacere (快楽)Margherita Maria Sala
                  Compagni die Piacere (快楽の道連れ)Michael Marhold, Matúš Šimko
                  Angelo Custode (守護天使)Carlo Vistoli
                  Mondo (世界)Georg Nigl
                  Vita Mondana (世俗の生)Giuseppina Bridelli
                  Anima Dannata (不幸な魂)Georg Nigl
                  Anima Beata (幸福な魂)Giuseppina Bridelli
                  ダンサー Alessandra Bareggi, Kenia Bernal Gonzalez, Nikolina Flaata,
                  Lea Karnutsch, Yukie Koji, Ivana Orsolic, Anna Possarnig,
                  Betiana Pujol Cajal; Alberto Aymar, Marcin Denkiewicz, Martin Dvořák,
                  Johann Ebert, Michael Gross, Philippe Mesia, Joni Österlund,
                  Anderson Pinheiro da Silva

                  Il Giardiono Armico
                  Arnold Schoenberg Chor (指導 Erwin Ortner)

                  Intermezzi
                  Giovanni de Macque: Seconda Stravaganza
                  Anonymus: La morte della Ragione (Pavana)
                  Giovanni Gabrieli: Sonata XII a otto voci
                  Giovan Pietro del Buono: Sonata VII Stravagante sull’ Ave Maris Stella
                  Dario Castello: Sonata decimaquarta a quattro voci

                  エミリオ・デ・カヴァリエーリの「魂と肉体の劇」を
                  ウィーン劇場で上演する・・・のは知っていたが
                  最初に食指が動かなかったのは
                  ウィーン劇場のチケットは高い上
                  席は良くないし
                  (作り付けじゃなくて置いてある椅子がひどいし
                   安めの上の席だと、前の手すりが歪んでいて怖い)
                  トイレは少ないし
                  (ただ、先回の時には少し増えていた)
                  クロークはもたもたしているし
                  (ただ、先回の時には名目上無料になって
                   少しは処理が早くはなっていた)
                  良い演目を上演するのは知っているけれど
                  それだけで、お高いチケットを買うだけの余裕はないから。

                  ・・・なんだけど
                  ここ3学期くらい
                  中世音楽とかルネサンス音楽に
                  目覚めてしまった私としては
                  やっぱりルネサンスからモノディに変わった辺りの
                  モンテヴェルディ以前の初期バロックに興味津々で
                  え〜い、1回くらい、贅沢してしまおう、と
                  清水の舞台から飛び降りて、48ユーロの席を確保。

                  席を選ぶシステムが機能していなかったので
                  一番マシなチケットお任せ機能を使ったら
                  平土間の8列目が出て来て
                  えっ?と思ったのだが

                  ウィーン劇場の平土間は
                  パルケット(前半)とパルテーレ(後半)に分かれていて
                  平土間の一番最後の列だった。

                  上にバルコンやギャラリーが重なっているので
                  音響的にどうかと思ったけれど
                  たぶん、あの最後尾の列、音響はパルケットの真ん中より良い。
                  (パルケットは音が全部上に飛ぶのは経験済み)
                  やっぱり高めの席なので、舞台は全部見える。バンザイ。

                  *** これから鑑賞する予定の皆さま
                    以下の記述は、大いにネタバレを含みますので
                    ネタバレがイヤな方は、どうぞここにてお引き取り下さいませ。





                  さて、開演前から
                  出演者が、トランクや台本を持って
                  普通の衣装で舞台上にわさわさ居て
                  お喋りしたり打ち合わせしたりしていて
                  いったい、どうやって始まるんだろう?と思っていたら

                  「このオペラって、プロローグはあるの?」
                  「いや、プロローグってないでしょ?」
                  「でも、プロローグがないのは良くないんじゃないの?」
                  という会話から始まり
                  「このオペラは、魂と肉体と人生についてらしいよ」
                  「え?じゃぁ、終わりがないじゃん。
                   今日の公演って、永遠に続くわけ?」
                  本気だか冗談だかわからないプロローグから
                  実に自然にオペラに入って行く。
                  (途中でコーラス・メンバーが様々な言語で語るのだが
                   途中に日本語もある(笑)
                   だんだん、イタリア語に落ち着いて来て
                   そこからオペラ開始)

                  脇で寝転んでいた「時」のモノローグから開始。
                  その後に、魂と肉体のカップルが登場して
                  このカップルを中心にストーリーが進んで行く。

                  ストーリーというよりは
                  道徳が出て来て、偉そうな事を言ったり
                  快楽が出て来て
                  世の中、快楽なくして何ぞ?という誘惑をしたり
                  宗教家みたいな人が出て来て説教したり
                  理性が出て来て、戦いだ、勇気だ、と喚いたり
                  天使のカウンター・テノールが活躍したり

                  舞台はシンプルなのだが
                  衣装替えがかなり多く(魂と肉体のカップルの衣装替えはない)
                  その衣装が、すごくカラフルで、視覚的な飽きが来ない。

                  音楽は途中にインテルメッツォの器楽曲が挟まる。
                  いや、聴いている時には
                  え?当時のオペラに、こんなに器楽曲ってなかったよね?
                  と不思議に思ったが
                  後でプログラムを確認したら
                  やっぱり別途に器楽曲を入れていた。
                  (これもなかなか面白い。
                   カントゥス・フィルムスにメリスマだな、という構成が
                   割りによくわかる曲もあったし)

                  現代の我々の感覚からすると
                  オペラ、というより、オラトリオかもしれない。
                  だいたい、バロックのオペラは非常に長いので
                  約1時間半というのは、オラトリオと思えば納得が行く。
                  (実は、この短さも、じゃぁ行ってみよう、という動機になった)

                  演出が巧みで
                  舞台の変換や照明、衣装で、舞台運びが早く感じるし
                  魂と肉体のカップルが
                  声も見た目も、すごくステキ。

                  快楽は真っ赤な衣装で登場(舞台がちょっと上がってキャバレーっぽくなる)
                  でも、世界が、キンキラキンの衣装で登場して
                  この世は金だ、金だ、と歌うのには笑える。
                  もちろん、その後、金があっても老いや死はやってくる、と言われて
                  衣装を脱ぐと、シワシワのお爺ちゃん、お婆ちゃんになるのは
                  何だか異様にリアルなんだが(笑)

                  ウィーン劇場のプロダクションの最も優れているところと言うと
                  やっぱり出演者が素晴らしい事だと思う。
                  歌手はすべて粒揃いで、歌も演技もダンスも抜群。
                  (フローリアン・ベッシュのピルエットとジャンプ
                   初めて見たぞ・・・ちょっと驚いた)
                  超有名歌手以外のテノールもバリトンもメゾもソプラノも素晴らしく
                  カウンター・テノールも、すごく声が出ていて魅力的。

                  もちろん、アルノルト・シェーンベルク合唱団のメンバーも
                  歌えて踊れるメンバーばかりで
                  見応えも聴き応えもたっぷり。
                  (跪いたままでの歌唱、お疲れさまです・・・)

                  天国と地獄(死)を対比させる部分では
                  ダンサーが宙吊りになって登場して
                  上に行く時には天使になり
                  下に動かされる時には、苦しみに悶えるという
                  ダンサーは、ほとんど裸体だったけれど
                  その分、天使っぽい上昇の動きと
                  苦しみ悶える人間の下降の動きの対比が素晴らしい。

                  最後は、すべてが統一化されて
                  客席へのアピールがあって
                  みんなでダンスを踊って
                  魂と肉体が一緒になってハッピー・エンド。

                  演劇的なプロダクションとしての完成度は非常に高い。
                  けれど、ワタクシ的に、自分でちょっと驚いたのは
                  自分の音楽の聴き方が変わった実感があった事。

                  カントゥス・フィルムスやメリスマ、モノディの概念や
                  中世のダンス音楽(世俗音楽)の取り入れ方などが
                  かなりはっきりと聴こえて来て
                  あ〜、なるほどね、と納得する部分が多かったのは収穫だ。

                  ノテーション授業や、音楽史 II や
                  グレゴリオ聖歌から、ルネサンス音楽や中世音楽と
                  数学期にわたって、そこそこ真剣に取り組んでみた甲斐はあった。

                  今回は聴きながら
                  コーラスの4度や5度のハーモニーに
                  あ〜、やっぱり3度って避けられているのかしら
                  でも、オーケストラは古楽器だけど
                  合わせは純正律でやってるのかなぁ、とか
                  色々と考えるところもあって面白かった。
                  こういうのは、本当は実際に演奏家から話を聞いてみたいものだ。

                  たぶん、その知識がなかった頃だったら
                  チッ、退屈な音楽だぜ、とか思っていた可能性はある。

                  でも、そんな知識はなくても
                  充分に楽しめる作品に仕上がっている。
                  (しかも短いし(笑))
                  今日がプレミエ(初演)だったので
                  明日あたり、新聞評が出ると思うけれど
                  9月21日・23日・25日・27日・29日に公演がある。
                  (詳しい情報は こちら から)

                  実はもう1回、観に行きたいと切望しているのだが
                  ちょっと予定が立たず(私が原因ではない)
                  数日、待たねばならないので
                  その間に、狙っている席が売り切れたらどうしよう・・・と
                  かなり心配している私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                  サロメ@ウィーン劇場

                  0
                    Theater an der Wien 2020年1月20日 19時〜21時

                    SALOME
                    Musikdrama in einem Aufzug (1905)
                    Musik von Richard Strauss
                    Libretto nach Oscar Wildes gleichnamiger Dichtung
                    in deutscher Übersetzung von Hedwig Lachmann
                    in der reduzierten Orchesterfassung von Eberhard Kloke

                    指揮 Leo Hussain
                    演出・人形デザイン Nikolaus Habjan
                    舞台 Julius Theodor Semmelmann
                    振付 Esther Balfe
                    照明 Paul Grilj
                    ドラマツルギー Olaf A. Schmitt

                    サロメ Marlis Petersen
                    ヨカナーン Johan Reuter
                    ヘロデ John Daszak
                    ヘロディアス Michaela Schuster
                    ナラボート Martin Mitterrutzner
                          Nikolaus Habjan/Paul Schweinester
                    ヘロディアスの小姓 Tatiana Kuryatnikova
                    ユダヤ人 Paul Schweinester, Johannes Bamberger,
                    Quentin Desgeorges, Andrew Owens, Dumitru Madarasan
                    ナザレ人 Kristján Jóhanesson, Ivan Zinoviev

                    ORF Radio-Symphonieorchester Wien
                    Statisterie des Theater an der Wien

                    歩いて5分の国立オペラ座でも
                    今日は、サロメを上演しているのだが
                    ウィーン劇場は新しいプロダクションで
                    国立オペラ座に挑戦(笑)

                    初演の新聞評がかなり良かったし
                    ニコラウス・ハビヤンの人形と演出となれば
                    ウィーンの劇場オタたちはクオリティの高さは知っている。

                    ただ、ウィーン劇場のチケットって高いんだよね(ため息)
                    バルコンの正面の後ろ3列目で48ユーロ。
                    ここは比較的舞台が良く見えたのだが
                    上が被っているので
                    音響は最悪である。
                    やっぱり、ギャラリーの天井桟敷に逃げるべきだったかもしれない。

                    始まる前に、またもやマイクを持って舞台に支配人が登場。
                    あ〜、今度は誰がキャンセル?

                     ナラボートを歌う予定だった歌手が
                     今日、声が出なくなって
                     ユダヤ人役のテノールがジャンプ・インしてくれる事になりました。
                     何故ユダヤ人かと言うと
                     ユダヤ人が登場する時には、ナラボートは既に死んでいるので・・・

                     テノール歌手が、ピアノ譜(笑)と格闘する事3時間。
                     歌うのは問題ないとは言え
                     演出の動きまでは無理との事で
                     ナラボート役の舞台での動きは
                     演出監督のニコラウス・ハビヤン自身が出演し
                     舞台の脇では、代役がテノールを歌います。

                     同じ料金で2人のナラボートをお楽しみ下さい。
                     (↑本当にこう言った(笑))

                    ウィーン劇場って、ブロックで同じ演目を上演するので
                    歌手の代えがいないのだ。
                    今までだって、口パクは経験しているから
                    驚きはしないが
                    名前だけよく知っているニコラウス・ハビヤンを
                    まさか舞台の上で見られるとは思わなかった(得した気分)

                    ジャンプ・インした優秀なテノールの名前が
                    今一つ聞き取れなかったので・・・ごめんなさい。
                    たぶん、Paul Schweinester だと思うのだが・・・
                    (註 後で発表されていました。やっぱり Paul Schweinester でした)

                    さて、全体的な印象から書いてしまえば
                    小さな舞台と小さくしたオーケストラで
                    あんなに視覚効果の凄いサロメは初めて観た。

                    灰色に統一された舞台で、舞台変換はないが
                    真ん中の丸いところが途中で上がって
                    その下がヨカナーンの地下牢。
                    上の方の奥にはヘロデの贅沢な食卓の部屋がある。

                    ユーゲント様式の国立オペラ座のような華やかさは全くなく
                    即物的でドライな舞台だが

                    サロメは人形で出てくる。
                    というより、人形と人間が一体化して登場して
                    ソプラノが人形を操りながら歌う。

                    この人形が、巧く出来てるというか
                    不気味なのに、泣いているような不思議な表情があって
                    歌う時に口を開けるのも(操っている)ヘンにリアル。

                    人形はヨカナーンでも使われるが
                    ヨカナーンの人形は鎖に縛り付けられているだけなので動きはない。
                    ヨカナーン役のバリトンは全身真っ黒に塗られて
                    地下牢が引っ込んでからも、舞台に真っ黒なまま残って歌う。

                    ナラボート役のハビヤン(歌は口パク)が
                    さすがというか
                    ちゃんと歌に合わせて、セリフの口が動いているので
                    歌手が袖から歌っているのが、全然不自然じゃない。

                    サロメに誘惑される時のナラボートの
                    あの恍惚とした表情は
                    う〜ん・・・さすが俳優さんというか

                    真に迫っているなんて中途半端なもんじゃなくて
                    この人、本当に舞台の上でイッちゃってるんじゃないの
                    と思わせるリアリティ(うわ〜、ある意味、コワイ)

                    人形とサロメ(歌手)は一体化しつつ
                    だんだん、分断されていく。
                    最後は人形は打ち捨てられてしまう。
                    分断が完璧になるのが
                    サロメの7つのヴェールの踊りの前くらいか。

                    サロメを歌うマルリス・ペーターゼンが突出している。

                    歌もそうなんだけど
                    それ以上に、人形の扱い方も
                    演技も

                    ついでに、この人、バレエ習ってただろ。
                    身体が柔らかくて、動きが美しい。

                    例の7つのヴェールの踊りの部分は
                    かねてから私は
                    あの部分だけはソプラノ歌手じゃなくて
                    バレエ・ダンサーに踊らせろ!と思っていたのだが

                    バレエとは言わない妖しい振付で
                    (ちょっとかなり背徳的過ぎて、ナニの趣味があると
                     このシーンは萌えます・・・)
                    ヘロデのペドフェリアがかった獣欲と
                    それに拮抗するサロメの肉欲のパーソナリティが
                    ものすごくリアルで迫力がある、というか、あり過ぎる。
                    ある意味、理想的な視覚的刺激ではある。

                    全体的に、視覚的刺激が強過ぎて
                    オーケストラの音楽が霞んだ。

                    そりゃ無理だわ、縮小したオーケストラで
                    あのサロメの響きは出せないし
                    リヒャルト・シュトラウスの輝くような
                    厚みのあるオーケストレーションを楽しめるものでもなく
                    かなり、すっきりした感じの
                    色気のない音楽になってしまっていて
                    やっぱりオペラ座のオーケストラ・ボックスに
                    ぎっしり詰まったオーケストラ・プレイヤーが
                    力一杯演奏する国立オペラ座管弦楽団(ウィーン・フィル)の響きとは
                    全く違う。

                    その分、ペーターゼンの存在感と
                    演技と演出で補っていた、という感じ。

                    最後のヨカナーンの首と戯れるシーンは
                    銀の皿はなかったけれど
                    あれは、サロメが乗っている円盤を銀の皿に見立てた、と考えよう。

                    その銀の円盤の上で
                    血塗れになってヨカナーンの首と戯れるサロメ。
                    いや、すごいシーンなんだけど
                    そこまでやるか、という
                    ちょっとやり過ぎという印象を持たないでもない。

                    ヨカナーン役のヨハン・ロイターの声は素晴らしい。
                    ただ、このヨカナーン役、ずっと舞台の上に出ずっぱり。

                    本来は地下から響かねばならない声が
                    普通に舞台から響いてくる、というのは
                    マイク嫌いの私は、悪くないと思ったが
                    終演後に会ったクラオタは、あれは違う、と怒っていた。
                    (人により意見は様々、それが面白い)

                    ヘロデのジョン・ダスザックのテノールは
                    ドイツ語のディクションが明確。
                    バイロイトでローゲを歌っているようで
                    確かにワーグナー向きのヘルデン・テノールだが
                    ヘルデン・テノールに有りがちな
                    声のニュアンスの乏しさはある。
                    サロメの要求に怯えてしまう部分なんかでも
                    同じような声の色で歌っている印象を受ける。
                    (演技はちゃんとしている)

                    ヘロディアスのメゾ・ソプラノ、ミヒャエラ・シュスターは
                    特色のある声を持っているので
                    好き嫌いが分かれそう。
                    やっぱり、たぶん、ワーグナー向けの声で
                    あるいは、現代オペラとかに合いそうな感じ。

                    ワタクシ的には、あれだけ個性の強い声だと
                    ヘロディアスの奇妙な個性の存在感が際立つが
                    美しいメゾを聴きたい、という向きには不評かも。
                    エレクトラのクリュテムネストラとか
                    むちゃくちゃ合ってそうだなぁ。
                    ヘンにひっかかりのない美声で歌われるより
                    劇的で面白い。

                    いやしかし、この舞台
                    マルリス・ペーターゼンがいなかったら成立しないわ(断言)

                    オーケストラ音楽の色気には欠けるけれど
                    聴覚よりも視覚的刺激の方が圧倒的に強過ぎて
                    あそこまでやって良いの?という
                    ちょっとやり過ぎ辟易、という感じは受けるが

                    オペラ座のサロメなんて、もう何回も観たわ、という人には
                    趣向が変わって面白いかもしれない。
                    (まぁ、血みどろサロメは、あちこちで観ているので
                     そんなにショッキングなものではないけれど
                     血みどろキライという人にはお勧めしません)

                    帰路にバッタリ会ったクラオタ仲間は
                    24日に口直しにオペラ座のサロメに行く(笑)と言っていたが
                    私は24日は別のプログラムを予定しているので
                    サロメは当分、観るチャンスはございません。

                    昨日のローエングリンと
                    今日のサロメと
                    チケットの値段はほとんど変わりなくて
                    時給で考えると、その差は激しいのだが
                    2時間で、あの濃い時間は
                    それはそれで、やっぱり捨てがたいと思ってしまう私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    ウィーン劇場のウエブ・サイトに
                    いくつか写真がアップされているので
                    興味のある方は ここ からどうぞ
                    FOTOS のところをクリックすると写真サイトが見られます。

                    ウィーン劇場 エリヤ(メンデルスゾーン)

                    0
                      Theater an der Wien 2019年2月23日 19時〜21時30分

                      ELIAS
                      Oratorium in zwei Teilen (1846)
                      Musik von Felix Mendelssohn Bartholdy
                      Text nach Worten des alten Testaments

                      指揮 Jukka-Pekka Saraste
                      演出 Calixto Bieito
                      舞台 Rebecca Ringst
                      衣装 Ingo Krügler
                      照明 Michael Bauer
                      ビデオ Sarah Derendinger
                      ドラマツルギー Bettina Auer

                      エリヤ Christian Gerhaher
                      未亡人 Maria Bengstsson
                      天使 Kai Rüütel
                      オバデヤ Maximilian Schmitt
                      王女 Ann-Beth Solvang
                      サラフ Carolina Lippo
                      失踪人 Florian Köfler
                      待つ人 Anna Marshania
                      アハブ Michael J. Scott
                      求める人 Antonio Gonzales
                      祈る人 Marcell Krokovay
                      若者 ウィーン少年合唱団メンバー

                      ORF Radio-Symphonieorchester Wien
                      Arnold Schoenberg Chor

                      ウィーン劇場のプロダクションに
                      クリスティアン・ゲルハーヘルが出演というので
                      慌ててチケットを買って
                      安い席とは言え、舞台が(一部)見えると50ユーロ近い。

                      ただ、演目がメンデルスゾーンのオラトリオの「エリヤ」・・・
                      いや、ウィーン劇場、以前はヘンデルのメシアで
                      見事なオペラのプロダクションを作った事もあるから
                      今回もオペラ仕立てのエリヤがどうなるのか、ちょっと楽しみ。

                      結果・・・ 惨敗(爆)

                      いや、だいたい内容的にツッコミどころが多すぎて
                      それはまぁ、旧約聖書の話ですし
                      (偽)神道信者の私としては、どちらかと言えば
                      多神教のバールの方に共感してしまうので
                      何故にエリヤが1人で怒って独り相撲しているのか
                      ちょっとワケわからん、と言うのもあるんだけど

                      ただ、それよりも何よりも
                      これ、オラトリオだよね(しかも長い・・・)
                      少年を生き返らせるとか
                      雨を降らせる(本当に上から水を振りまいた)とか
                      その程度の事はあったとしても
                      それ以外の、いわゆるストーリー的なものって・・・???

                      舞台には、何故か床に敷く金属の格子のプレート。
                      これが2重構造になっていて、上のプレートが上がったり
                      上からプレート落ちて来たり
                      舞台の真ん中で壁になったりするんだけど

                      ただの工事現場にしか見えませんが・・・
                      どこに山があって海があるのだ、どこにもないじゃないか。

                      しかも、第2部で神が現れ云々というシーンで
                      後ろの壁に投影されるビデオで、飛んでいるのは
                      大型の鳥(ワシ?)で、これ、神さまなんですか?

                      エリヤの衣装も、どこの労働者が舞台に上がったのかしら的な
                      中流階級以下の肉体労働者が着るような服で
                      (違うのだろうが、そう見える)
                      コーラスのメンバーも、それぞれに、様々な日常着で登場。

                      まぁ、昔のイスラエルの衣装を再現するワケには行かないだろうし
                      あまり予算もないのだろう(公演は売り切れだった)

                      始まって30分くらいで、突然、幕が下りて
                      「技術的問題発生のため中断します」と20分くらい待たされたのだが
                      金属格子のプレートが、どこかに引っかかったんだろうなぁ、きっと。
                      怪我人が出なくて幸いです。

                      ウィーン劇場のサイトから写真拝借。


                      @Werner Kmetitsch
                      クリックで拡大します。

                      ダンボールと木枠で出来ている教会をぶっ壊したり
                      (このダンボールを民衆が色々と使う)
                      ゲルハーヘル演じるエリヤが
                      コーラス(バール教の異教徒ですね)の首を切っていったり
                      (一応倒れるが、それでは歌えないため、すぐに生き返る)
                      天使が羽つきで出て来て、色々と歌ったり
                      (この天使、ものすごい美人だった、スタイルも抜群だったし)
                      雨が降ったり
                      真っ青な顔で身体中に怪我をしている子供が生き返ったり
                      そこらへんで、民衆が倒れていたり
                      倒れた民をエリヤが蹴っ飛ばしたり

                      最後はエリヤにガソリンを撒いて
                      (もちろん中身はガソリンではないが、ゲルハーヘルずぶ濡れである)
                      エリヤがオイル・ライターを持って
                      更には、それに火をつけて、身体のあちこちを恍惚として照らすという

                      全然ワケわかりませんが・・・

                      後ろのスクリーンにはゲルハーヘルの白目剥いた写真の投影もあったようだが
                      天井桟敷貧民席からは、後ろのビデオは見えませんでした。
                      ある意味、見えなくて幸いだったと(以下省略)

                      実はこんなに悪口書いているプロダクションだが
                      音楽的には最高だったのだ。
                      まぁ、ゲルハーヘル目当てで来ている人がほとんどと思うけれど
                      ゲルハーヘルの節度を保った滑らかで深いエリヤの声に加えて
                      出演しているソロの歌手が、全員、むちゃくちゃ巧い。

                      これはウィーン劇場の規模にもよるが
                      大型の国立オペラ座とは違い
                      小規模なので、あまり声を張り上げる必要がなくて
                      その分、ドイツ語のディクションやニュアンス
                      音楽のダイナミックスを表現できる幅が広いのだ。

                      ウィーン劇場、チケット高いしインフラ最悪だが
                      (ただトイレは改装されて、1階の女性トイレの個室が3つ増えていた\(^^)/)
                      ただ、ここに出演する歌手って
                      いつでも本当に優秀で、ビックリする。
                      演目ごとにオーディションでもやっているのだろうか。
                      テノールもメゾもソプラノも
                      役柄を(演技と声と両方で)しっかり手中にしていて
                      見た目も美しく、スタイルも良い。
                      (まぁ、衣装が衣装なので、一部、薄汚れた労働者にしか見えないが(笑))

                      ウィーン放送交響楽団が、これまた優秀。
                      いや、オーケストラが巧いのは知っているけれど
                      芯の通った、かっちりと構築された音楽を
                      歌手の声とのバランスも絶妙に取って、素晴らしい。
                      これは、たぶん、指揮者のバランス感覚も優れているのだ。

                      アーノルド・シェーンベルク合唱団は、相変わらずバカウマである(褒めてます)
                      演技もできるし、コーラスとしての声の質の高さは
                      やっぱりプロの合唱団。

                      ウィーン少年合唱団のソプラノ君の美しく伸びる声には聞き惚れた。
                      (この役も、かなりの演技力が必要だが、巧い。
                       ああいう子も一種のアンファン・テリブルだわね。将来が楽しみ)

                      だからこそ、と言ったら、本当に失礼なのだが
                      あんな、ともかくヘンな無理やりオペラにせずに
                      普通にコンサート形式でオラトリオとして聴きたかったわ。

                      もっともコンサートだったら、全部で6回も公演する事はあり得ないから
                      その意味では、何とかカレンダーの空きがあって
                      (本当は白鳥の湖に行こうかとも考えてはいた)
                      ゲルハーヘルの美声を堪能する事が出来たので
                      いちおう、よしとしておこう。

                      日刊プレッセの評は、かなり好意的。
                      ゲルハーヘルと合唱団、及びオーケストラを絶賛。

                      オペラ仕立てにする事によって
                      エリヤの奇蹟を目に見える表現にしようとする努力はわかるが
                      音楽を超えて、あるいは音楽と相まって
                      感動を伝える・・・という感じになっていなかったのは残念。

                      あ〜、もっとも、それって
                      ただ、私が異教徒だから、という理由かもしれない、と
                      30年以上、ウィーンに暮らしながら
                      同化されていない、けしからん私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                      午後にウィーン・フィルの定期公演にも行ったけれど
                      これはまとめて日曜日の定期の後に書く予定。

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