ヘンゼルとグレーテル@フォルクス・オーパー

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    Volksoper Wien 2020年1月6日 17時〜19時15分

    Hänsel und Gretel
    Märchenspiel in drei Bildern von Adelheid Wette
    Musik von Engelbert Humperdinck

    指揮 Christof Prick
    演出 Karl Dönch
    舞台・衣装 Toni Businger
    コーラス指導 Lucio Golino

    ペーター Morten Frank Larsen
    ゲルトルード Elisabeth Flechl
    ヘンゼル Elvira Soukop
    グレーテル Anita Götz
    魔女 Ulrike Steinsky
    砂の妖精 Ghazal Kazemi
    雫の妖精 Lauren Urquhart
    レープクーヘンの子供たち Jugendchor der Volksoper Wien

    Orchester der Volksoper Wien
    Kinderkomparserie der Volksoper Wien

    季節ものと言えばヘンゼルとグレーテルは
    クリスマス時の定番で
    国立オペラ座でも、フォルクス・オーパーでも
    毎年上演されるのだが
    実は私は行った事がなかった。

    前置きが長くなるけれど
    グリム童話に収録されている、この話について
    以下の理由から、私はどうしても嫌悪感が否めない。

    子供の養育義務を放棄する親。
    (まぁ、飢饉の時だ、仕方がないと言えばそうなのだが)
    ヘンゼルとグレーテルによる、魔女の家の器物破損。
    魔女の目が不自由な事を利用して行われる詐欺。

    でも一番イヤなのは
    飢えている子供に、目的はどうあれ
    ベッドと食料を提供した魔女を焼き殺すという・・・

    だったら、ビール飲ませてマッサージして
    和牛を喜んで食す我々はどうなんだ、という話。
    (註 私はベジタリアンではありません。和牛も好きです)

    だいたい、人間を焼き殺すというのは
    何故か知らないが、私のトラウマみたいになっていて
    最初の悪夢として4歳頃の記憶に今でも鮮明に残っている。
    そういう動機があったワケではないので偶然だと思うが。

    そんなワケで、
    今までず〜〜〜っと意図的に避けていた演目なのだが
    何故、今日、この演目に行ったかと言うと

    昨日、フォルクス・オーパーに行って
    あっ、この貧民席、もしかしたら舞台が良く見えるかも
    ・・・という席を見つけ

    夜にチケットの状況を見たら
    たまたま、その席が空いていた、という
    かなり単純な理由による。

    夕方5時からの公演で
    もちろん会場は子供と家族連れだらけ。

    プログラム買ったら
    立体カード3枚(1幕ごとのストーリーで1枚)になっている。

    しかも中の筋書きが手書きという
    ストーリー知ってるから良いけれど
    後で見るには楽しいプログラムだが
    その場で読むには最悪(笑)

    2幕のプログラム(カード)の下のところに
    グレーテルは対等である (gleichberechtigt)ヘンゼルも同様
    ・・・という文が書いてあるのは何だかよくわからない(笑)

    フンパーディンクのこの演目
    演出上なのか、フンパーディンクのオペラがそうなのかは不明だが
    ストーリーはかなり変えてあって
    飢餓のための子捨てではなく
    木苺を積みに行かせたら、迷ってしまう、という話になっている。
    (お父さんが慌てて子供を探しにお母さんと森に入る)

    お菓子の家、と言えば
    私のイメージは白や赤などの華やかな家だが
    こちらはレープクーヘンの家だ。

    パッと見た目は、全部茶色で、木造りの家とほとんど変わらない。
    貧民席からオペラ・グラスで見ると
    レープクーヘンらしい模様があるので、あ〜、そうか、とわかるが
    全体的に地味。
    まぁ、ここオーストリアだしな(笑)

    音楽は素敵 ♡
    厚めのオーケストラで、ちょっとワーグナーっぽいところと
    民謡を多用していて、耳障りの良いチャーミングなメロディのテンコ盛り。
    しかも、かなり歌いっぱなし。

    昨日と同じく
    出演者が、全員、ともかく芸達者。
    みんな、身体が軽くて踊れるし
    見た目もキレイだし
    ドイツ語のディクションが明確なので
    上のドイツ語の字幕がなくてもわかる。

    第一幕の台所は
    プログラムによれば
    モーツァルトの生家の台所がモデルらしい。
    こういう台所、都市部ではないかも知れないけれど
    40年以上前の留学時代に
    田舎の家に遊びに行った時には、確かにあった。
    (私が懐かしんでどうする??)

    モルテン・フランク・ラルセンは
    多少くたびれてワイルドなお父ちゃん役で
    ギョロっと目を見開いたりするけれど
    やっぱり、イイ男である。
    多少、ふくよかになったような気がするが
    堂々とした体格でよろしい。うん。

    ヘンゼル役のエルヴィラ・ソウコップが素晴らしかった。
    演技も巧くて、男の子に見えるし
    やんちゃ振りもなかなか堂に入っている。
    グレーテルのアニータ・ゲッツは
    体型から言えば、女の子とは言いにくいかもしれないが
    その分、動きの演技と、キュートな声で
    全く不自然さがなかったのはスゴイ。

    だいたい、あれだけ動いて踊って
    それで声が出るというのがスゴイわ。
    普通だったら、息切れして声なんか出ないと思うんだけど・・・

    魔女は、あまり声は出ていなかったけれど
    途中からマイクでの演技になるし
    (このマイクの使い方がまた絶妙で巧い)
    特殊メイクと演技で、薄気味悪い魔女そのものだった。

    子供たちのコーラスも可愛い。
    見た目も演技も、コーラスも抜群に良い。

    魔女をかまどに入れて焼き殺すところは
    やはり私の理由のないトラウマを触発するらしく
    ちょっと気分が悪くなったけれど
    その後、魔女がレープクーヘンになって出てくるので
    ちょっと気が逸れた感じになった。
    (でも、それでも人間を火にくべるというのは気分が悪い)

    しかし、これ、ここで魔女を焼き殺さずに
    人権問題として
    魔女を説得してベジタリアンにする、とかになったら
    全く話が違うからなぁ。
    (だいたい、そういう事を言い出したら
     昔のオペラとか演劇とかバレエは上演できなくなるわ)

    ドイツ語学科で必須の読書として
    マックスとモーリッツというコミックがあるのだが
    あれだって、子供の悪戯とは言えない残虐さがあって
    これ、間違いなく傷害罪や殺人罪だろ、というのが
    子供のコミックとして読まれている事が
    私には信じられないので
    まぁ、そういうヨーロッパの社会背景と思うしかない。

    というワケで
    やっと一応「観た」演目になった。
    ごめんなさい、本当に申し訳ないが
    音楽はステキなんだけど
    正直、二度と観たくない。
    魔女をかまどに入れるところなんか
    場合によっては、悪夢で出て来そうで、かなり怖い。

    実は臆病な私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


    人参の王さま@フォルクス・オーパー

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      今年最初の日曜日のダブル・ヘッダーです(笑)
      時系列で読みたい方は、まず こちら からどうぞ。
      下は夜のフォルクス・オーパーでの公演の個人的感想メモです。

      Volksoper Wien 2020年1月5日 19時〜21時45分

      König Karotte
      Komische Zauberoper in vier Akten
      Text von Victoria Sardou
      Deutsche Übersetzung von Jean Abel
      Musik von Jaques Offenbach
      Koproduktion mit der Staatsoper Hannover

      指揮 Guide Mancusi
      演出 Matthias Davids
      舞台とプロジェクション Mathias Fischer-Dieskau
      衣装 Susanne Hubrich
      振付 Kati Farkas
      照明 Michael Grundner

      フリドリン24世 Carsten Süss
      ロビン Manuela Leonhartsberger
      ロゼ・デュ・ソワール Elisabeth Schwarz
      王女クニグンデ Julia Koci
      人参の王さま Sebastian Reinthaller
      魔女カルバス・魔法使いキリビヒ Christian Graf
      ピーパートルンク Marco Di Sapia
      黒魔術士トルック Yasushi Hirano
      男爵コフレ Boris Eder
      トラック将軍 Jakob Semotan
      公爵ショップ Josef Luftensteiner
      学生ダゴベール Daniel Ohlenschläger
      トラック将軍夫人 Renate Pitscheider
      ピーパートルンク夫人 Sulie Girardi
      ショップ夫人 Elvira Soukop
      コフレ男爵夫人・学生クリスティアーネ Martina Dorak
      ヘロルド・クルクリオン・商人 Gernot Kranner
      Christian Drescher, Franz Suhrada, Klaudia Nagy
      Stefanie Mayer, Susanne Litschauer
      猿 Konstantin Oberlik
      小さな魔法使い Jonas Voill

      Orchester und Chor der Volksoper Wien
      Bühnenorchester der Wiener Staatsoper

      オッフェンバックの珍しい作品「人参の王さま」が
      ものすごく評判が良くて
      大学のオペレッタのプロゼミ・クラスも観にいって
      かなり楽しんだようなので
      ともかく夜の時間のない私は、ここだ!と即断して行って来た。

      明日は祝日なので3連休なのだが
      このフォルクス・オーパーの公演、チケット売り切れだったそうだ。
      確かに、いつもは空席の目立つ天井桟敷も
      ぎっしりと端まで観客で埋まっていたのが印象的。

      私も中央の席が取れず、横の方だったけれど
      通常なら舞台は充分に見える筈・・・だが
      またもや、前に乗り出している人が居るし

      後ろは子供で、ずっと私の背もたれを足で蹴っていて
      椅子がすごく揺れる・・・けれど
      まぁ、子供の事だし、親も注意しないから、仕方がない。

      でもそんな事も気にならない程の見事な出来のオペレッタ。
      評判が良いのは納得できる。

      主要な歌手はマイクを付けての登場だが
      フォルクス・オーパーのマイク技術ってすごくて
      マイクを使っている事をほとんど感じさせない程に精度が上がっている。
      マイクの不自然ささえ感じなければ
      セリフも歌もはっきり聴こえるし、このマイクの使い方には大賛成。

      ストーリーは政治風刺である。
      フリドリン24世が継ぐ国を
      悪い魔法使いのカルバスが革命でひっくり返し
      菜園から、人参だのカブだの、ネギなんかを取って来て
      人参を王さまに据えてしまうのを
      フリドリンと、その仲間が、また奪い返すという話だが

      そんな簡単なストーリーなのに
      魔法使いはわんさか登場するし
      ポンペイの廃墟から、ポンペイの栄えた時代
      アリの帝国に、猿の王国という
      ほとんどSFの世界。
      コーラスのメンバーも
      舞台から溢れるほどの人数を使っている。

      衣装にも工夫が凝らされて
      特殊メイクの技術が見事。
      (だって、人参さん、ちゃんと口が動くんです)

      それに、出演している歌手が
      コーラス含めて
      全員、ちゃんと踊れる!!!!というのがスゴイ。

      芸達者揃いの見事な舞台で
      平野さんが、ずっと日本語を喋っているとか
      マルコ・ディ・サピアの「おフランス語訛り」の
      嫌味ったらしいセリフ回しなんか、聞き惚れちゃうし
      クニグンデは王女さまというよりは
      成金の派手な娘を演じ切っているし
      (しかも、金と権力に弱い(笑))
      ロゼの健気で一途な献身には、ちょっとクラクラくる。
      (塔に閉じ込められたロゼの最初のシーンのキュートさ!)

      魔女カルバスは男性の女装だが
      いやもう、この人、凄いオーラ(語彙が圧倒的に足りない(汗))
      オネエっぽいカルバスの嫌味な役作りも素晴らしいが
      二役で歳取った魔法使いキリビヒを演じる時の
      居丈高な存在感も圧倒的。

      肉食民族ではなかった日本の文化を背負う身としては
      キリビヒが、望みを叶える条件として
      自分を殺して火にくべてくれ、という時に

      まずは左手を折って、引きちぎって
      両足を、それぞれ引きちぎって
      右手を引きちぎって
      それぞれに火にくべるのだが

      小道具さんの作った手足が、むちゃくちゃリアルで
      そんな引きちぎった断面まで正確に再現しなくても(冷汗)

      まぁ、サロメがレギュラーなレパートリーとして
      上演される国だし
      肉屋に行くと、豚の頭が置いてあったりするところなので・・・

      頭を引きちぎった後に
      平野さんが、頭を持って
      「わはは、まだ喋ってやがる」って
      うわ、そのセリフ、コワイです(日本語だから特に・・・)

      まぁ、この残虐な場面は
      火に焼べられたキリビヒが
      火から不死鳥のように、子供になって登場して
      うははは、若くなったぞ、女のところに行くぞ、と
      いそいそと退場するところで終わるので
      ハッピー・エンドと言えばそうなんだけど。

      前半の最後の方で
      おフランス語訛りのピーパートルンクが
      人参王に追従するところで

      権力のある方に付くのが
      正しい政治のあり方よ〜(うっふん・・・とは言わないがそういう感じ)

      という
      政治的に日和見主義の、節操のないマキャベリスト振りを歌うのだが
      (しかもこいつは警察の総監で、公安局のボスである(笑))

      これ、クープレである。
      ・・・という事は

      わははははは、出たっ!
      プロンプター・ボックスから紙が渡されて
      そこでアドリブのクープレ。

      今日、オーストリア新国民党と緑の党が
      行政プランでやっと一致を見て
      緑の党の93%がそれに賛同して
      やっと政府が定まった状態だもんね。

      ここで出てくるのは、当然
      若き新国民党党首、以前の首相、セバスティアン・クルツでしょう。

      だいたい、このクープレ、その前の歌詞からして
      ドナルドの友人は〜、というのがあって
      おいおいおい(爆笑)

      選挙があっても解散させられて
      (自由党との連立を例のイビサ問題で中止した後に
       自由党と社会党が内閣不信任案を出して
       その後、9月後半に新選挙があって新国民党が圧勝した)
      でも、その後に気をつけろ
      蘇ってくるぞ、あいつは
      その名をメシアと言うが
      メシアにしては、ちょっと短い

      ・・・いや、確かにクルツ=短いという意味があるので
      この人、史上最も短い内閣とか言われて
      散々、虐められていたもんなぁ。
      クルツ支持の人も、そうでない人も
      うまくまとめた巧妙なギャグになっていて
      こういうのがフォルクス・オーパーの良いところ。

      ついでに、こういうのがわかるようになると
      オーストリア人化も、かなり末期症状・・・

      舞台は、後ろのビデオ投影と
      小物を非常に巧く使っていて
      SFっぽい場面の転換も多いのだが
      舞台転換が素早くてうまい。

      猿はバレエ・ダンサーが演じていたが
      いや、本当に猿に見える。最高だわ。

      人参王がだんだん枯れて来て
      ベッドに横たわっている時も
      寝返った魔法使いたちが
      こいつは支えていないと左に倒れる
      (もちろん左=左派の事です(笑))
      とか、もう、本当に細かい部分でのセリフが光る。

      音楽はゴキゲンだし(さすがオッフェンバック)
      コロラチューラ・ソプラノの聴かせどころも多いし
      ストーリーの運びのテンポも良くて
      結構、長いオペレッタなのに全然退屈しない。
      衣装も舞台も派手で
      芸達者の出演者たちの動きも楽しい。

      いやこれ、むちゃ楽しいじゃん
      もう1回くらい観ても良いかも・・・・と
      次の公演のチケットの状況を見てみたら
      ・・・立ち見席と舞台が全く見えない席以外
      全部売り切れじゃないの!!!(冷汗)

      フォルクス・オーパーで
      しかもオペレッタで売り切れって
      滅多にある事ではないので
      ひっくり返った(汗)
      甘く見ていた、くそっ・・・
      これ以外に行ける日がない・・・

      政治風刺という、かなり難しいテーマを扱いながら
      コミカルに、しかも、ちょっとした苦さも添えて
      テンポ良く、舞台や衣装は豪華に
      芸達者の歌手たちが踊りながら、楽しい舞台に仕上がって
      確かにこれは、ウィーンっ子が好きそうな演目だ。

      こういうマイナーな
      しかもフォルクス・オーパーにしては長い演目を取り上げて
      これだけの人気作品に仕立てたフォルクス・オーパーは
      見事だと思う。

      明日はオーストリアの祝日
      3人の王さまがイエス・キリストの生誕を祝いに行く日。
      火曜日からはまた大学で
      何もしないまま(本当に何もしなかった(汗))
      冬休みが過ぎて
      かなりヤバイ状態の私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      あと2回の公演で今シーズンの上演は終わるが
      この演目、評判が良いので、来シーズンにも取り上げられるような気がする。
      そしたら、また観に行こう・・・

      ドン・ジョバンニ@フォルクス・オーパー

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        Volksoper 2019年12月17日 19時〜22時20分

        DON GIOVANNI
        Drama giocoso in zwei Akten
        Text von Lorenzo Da Ponte
        Musik von Wolfgang Amadeus Mozart

        指揮 Alfred Eschwé
        演出・舞台・照明・衣装 Achim Freyer
        演出助手 Sebastian Bauer
        舞台・衣装アシスタント Petra Weikert

        ドン・ジョバンニ Günter Haumer
        騎士団長 Andreas Mitschke
        ドンナ・アンナ Kristiane Kaiser
        ドン・オッターヴィオ JunHo You
        ドンナ・エルヴィラ Manuela Leonhartsberger
        レッポレロ Yasushi Hirano
        マゼット Daniel Ohlenschläger
        ツェルリーナ Theresa Dax

        Orchester und Chor der Volksoper Wien
        Bühnenorchester der Wiener Staatsoper
        Komparserie der Volksoper Wien

        まずはフォルクス・オーパーの公式ウエブ・サイトの
        写真を1枚、ご覧あれ。



        モーツァルト苦手だし
        オペラは長いからイヤだし、というワタシが
        2015年11月の初演から
        ず〜〜〜〜〜っと4年間、気になっていたのに
        どうしても時間が合わずに
        今まで行けなかったドン・ジョバンニである。

        何故、気になっていたかと言うと
        奇抜な写真やビデオ・クリップもそうなんだけど

        2015年12月に仕事で大型団体を扱った際に
        この演目のチケットを大量に購入して
        バス数台口でグループに観に行ってもらった事があり

        詳しく書くと、当時の悪夢が戻ってくるので省略するが
        ともかく、終演後に迎えたグループの全員が
        狐につままれたような顔をして

        誰も感想を言わず
        私から「如何でした?」と聞いても
        むにゃむにゃしか返って来なかったという
        稀なる体験をしているから。
        (普通は、どんなにお世辞でも
         さすが音楽の都ですね、とか何とか
         建前の返事は返ってくるものなのだ)

        一人だけ、ボソッと
        「最後がソーセージでした」という感想を漏らした方がいらして

        ソーセージ?????

        やっと、このドン・ジョバンニが観られる!!!
        大学は本日が今年の最後の授業で
        2週間の冬休みに入るので
        明日までの予習とか宿題もない(バンザイ \(^^)/)

        舞台は既にオープンになっていて
        スタッフが舞台上を小道具持って歩いたりしているんだけど
        開演時間になったら
        総裁のローベルト・マイヤーが登場。

        「本日の公演は、レッポレロ役のステファン・チェルニーが
         午前中に声の問題を起こしてキャンセルし
         平野和がジャンプ・インを快諾してくれました」

        うわあああ
        ワタシは平野さんの隠れファンである。
        美声だしチャーミングだし
        イケメンだし背が高くて身体が柔らかくて
        舞台映えするのだ、このバリトンは。

        で、ご本人のツィッターに



        さて、演出だが
        フォルクス・オーパーの公式ウエブに載っている
        ビデオ・クリップで
        演出家が言っている通り
        「グループでの動きを振付して
         その意味については、観客が考えねばならない」
        という、不思議な、意味全く不明の動きをするのと同時に

        歌詞もレチタティーヴォも
        ドイツ語とイタリア語が混じり合っていて
        加えて、そのチェンジが、歌詞の途中だったり
        レチタティーヴォの途中だったり
        目まぐるしく(耳ぐるしく?)変わるという

        ある意味、とんでもない演出である。
        ギャラリーにイタリア語を話す若い人たちのグループが居たが
        イタリア語とドイツ語のミックスで
        戸惑っただろうなぁ(余計なお世話だが)

        聴いている方も混乱するが
        歌っている方はもっと大変で
        まぁ、あの急な切り替えを
        自然に聴こえるように、よくぞここまでこなしたものだ・・・

        イタリア語とドイツ語のミックスという事を除くと
        音楽的には、かなりマトモで
        歌手の水準も高く
        まぁ、国立オペラ座ではないけれど
        フォルクス・オーパーの歌手の芸達者振りが
        非常に発揮されている。
        (オペラ座の歌手では、あのミックスは絶対に歌えない(断言))

        奇妙で派手な衣装は目を引くが
        舞台装置も、むちゃくちゃヘンで
        細かい部分も不思議なところが多い。
        (後ろで釣りしている男性とか・・・)

        演出家がクリップで話している通り
        歌いながらの歌手の動きも
        ワケのわからない部分が多い・・・というより
        最初から最後まで
        ワケのわからない事だらけである。

        そりゃ、これ、お客さまが感想を言えないワケだよ。
        私も、帰宅してから
        どうやって、この奇妙な舞台を文字にするのか
        頭を抱えているくらいだから・・・

        奇を衒った演出・・・で終わりにしてしまっても
        別に構わないとは思うのだが

        メルヒェンか、と思うとそうでもなくて
        現実離れしている舞台装置と衣装なのに
        時々、とんでもない残虐性を感じさせるところがあって
        それが現実と乖離しているところで起こるのに
        何故だか現実そのもののような印象になる事があって
        ゾッとする。

        人の動きもかなり多い。
        歌手たちの動き以外に
        舞台装置(特に小物)を持って移動するスタッフが
        ジャグリングをしていたり
        とんぼ返りをしたり

        机は絶え間なく動いているし
        舞台装置も、絵のパネルなどの位置が
        どんどんスタッフによって変えられている。

        よって、良い意味で言えば
        一瞬たりとも退屈する事がなく
        悪く解釈するのであれば
        ともかく落ち着かず、バタバタしっぱなし。

        与えられる情報量が半端ではないので
        (歌手以外にも、色々な登場人物や小物や
         舞台の変換やテーブルの上とか、脇とか後ろとか・・・)
        確かに、しっかり鑑賞しようとするなら
        観客も、脳を酷使する事になる(たぶん演出家の目的)

        主人公ドン・ジョバンニ役は
        堂々としていて、演技もこなれていて
        あまりアクはないけれど、魅力的。
        最後の方はちょっとお疲れだった印象があるが
        もしかしたら、舞台の奥の、音響の悪いところから
        歌わされたせいかもしれない。

        女性陣は、みんな優秀で
        飛び抜けてという人はいない代わりに
        安心して聴いていられる。

        オッターヴィオ役のテノールは
        ハイテノールの美声で
        モーツァルト向きの声ではあるのだが
        アジリタが技術的に追いついていない。
        (アジリタって難しいのだよ。
         私も全く出来ないので
         これは生来のものなんだろうなぁ)

        騎士団長は、通常は(少なくとも私の印象では)
        もう少し、声の低い、ドスの効いたバスが歌うはずだが
        比較的高めのバリトンが歌っていたので
        あまり迫力はない。
        その分、奇妙な衣装とメイクでカバーしているので
        その意味、このヘンな舞台の長所が活かされた感じ。

        4年間、気になっていたソーセージの謎が
        やっと解けた。

        ドン・ジョバンニの地獄落ちの後
        (地獄落ちのシーンは、はっきり言うと
         あまり迫力はない。
         これだけ奇妙にやって来て
         それは何?という肩透かしだった)
        全員が集まっての最後のシーンで

        突然、舞台が
        リストランテ・ドン・ジョバンニと化し
        歌手が客席から何人かを舞台に上げて

        本当に茹でソーセージを供するのである。
        (歌手も観客も、舞台上でソーセージを食べている)

        脇には、立て看板が出て
        ドン・ジョバンニはソーセージだ、と書いてある。

        ご存知の通り
        オーストリアでは、何とかはソーセージ、と言うと
        (何とかはヴルスト、あるいは方言ならヴルシュト)
        そんなの、ど〜でも良い、というニュアンスになる。

        ふ〜ん・・・・
        そうなのか、ドン・ジョバンニはどうでも良いのか(違)

        いつもの天井桟敷じゃなくて
        ロジェのチケットを買ったのだが
        周囲にお喋りしたりするマナーの悪い観客がいなくて
        舞台に集中できるという利点はあるが

        舞台の視覚がかなり欠けるし
        あと、舞台に近いとは言え
        残念ながら、あまり音響が良くない。
        (まぁ、オペラ座でもロジェの音響は悪い)

        しかし、この奇妙なプロダクション
        なんだかんだで4年も続いているのはスゴイ。
        もちろん、演目が演目なので
        観光客を呼びやすい、という理由もあるだろうが
        演目だけで来た観光客は
        みんな、驚くだろうなぁ・・・

        フォルクス・オーパーの演出って
        国立オペラ座とかでは出来ないような
        奇妙な演出が多く
        (オペラ座も、かなり奇妙ではあるが)

        虫版トゥーランドットや
        最後に死なない蝶々夫人とか
        (これは残念ながら既に上演されてない。私は好きだった)

        白黒の舞台と衣装で
        バレエ・ダンサーを贅沢に投入した椿姫は
        かなり長い間上演されていて、もう一度観たいものの一つ。
        (椿姫って涙頂戴のベタベタのラブシーンが多いけれど
         この演出だと、比較的さっぱりなので、シラけない)

        しかし、あれだけイタリア語とドイツ語を混ぜるなら
        できれば、ドイツ語だけでやってもらった方が
        理解上からしても助かったのに、と
        (フォルクス・オーパーの歌い手はみんな芸達者だし
         ドイツ語のディクションがしっかりしているので
         聴いていて、よくわかる)
        勝手な事を考えている私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        平野さんは数年前に一度だけ
        とある催物の際にお言葉を頂いた事があるのだが
        本当に丁寧でノーブルで気遣いも出来ていらして
        こちらが恐縮してしまうくらい、人間が出来た方だった。
        才能(芸術的才能+見た目も含む)に絶え間ない努力
        加えて、あのお人柄という稀な方で
        プリンス・チャーミングです(と勝手に決める(笑))

        いやホントに私の周囲には
        才能に溢れているのに、奢らず、努力をする
        ステキな芸術家ばかりで
        類は友を呼ぶ(違!)

        カンターヴィレの幽霊@フォルクス・オーパー(プレミエ)

        0
          Volksoper 2019年10月18日 19時〜21時20分

          DAS GESPENST VON CANTERVILLE
          Familienoper in zwei Akten
          nach der Erzählung von Oscar Wilde
          und einem Libretto von Michael Frowin
          Musik von Marius Felix Lange

          指揮 Gerrit Preißnitz
          演出 Philipp M. Krenn
          舞台・衣装 Walter Schütze
          ビデオ Roman Hansi
          コーラス指導 Thomas Böttcher

          サー・サイモン、カンターヴィレの幽霊 Morten Frank Larsen
          ゲオルク・ケーニヒ、不動産会社社長 Reinhard Mayr
          バージニア、ケーニヒの娘 Anita Götz
          レオン、ノエル 息子たち Lukas Karzel, Stefan Bleiberschnig
          ミセス・アムニー 城の家政婦 Reguna Rosin
          ダヴィッド・アムニー その息子 Paul Schweinester
          フラウケ=ベーケ・ハンゼン ケーニヒの助手 Rebecca Nelsen
          バージニアの亡くなった母の声 Birgid Steinberger

          Orchester und Chor der Volksoper Wien
          Komparserie und Kinderkomparserie der Volksoper Wien

          オスカー・ワイルド原作の台本で
          幽霊の話で
          しかも「死」を取り扱っているという事で
          かなり重いテーマだと思うのだが
          フォルクス・オーパーは
          これを「ファミリー・オペラ」としてプロモーションしたいらしい。

          劇場の前には、幽霊の骨だけの手が2本
          ど〜んと立っている。



          プレミエだったけれど
          天井桟敷の席は半分くらいしか埋まっていない。
          もちろん子供も多い。
          (フォルクス・オーパーは子供の席が安いのである。
           まぁ、国立オペラ座も子供は一律15ユーロだが)

          始まる前に登場した総裁のローベルト・マイヤー曰く
          もともと歌うはずだった歌手が病気で
          セカンド・キャストが1週間前に病気になり
          歌った事のある歌手を急いで呼んで、1週間で練習させたとの事。
          あ〜、幽霊に祟られたんですかね。
          ちゃんとお祓いしました?
          (大学で雅楽のコースを取っているのでついつい💦)

          舞台はビデオを多用して
          このビデオが、まぁ、実に巧く出来ている。

          幽霊が普段は上の階の写真に入っているのだが
          時々、暖炉から出てくる時には写真から居なくなるし
          戻ると、戻ったままの服装で
          慌てていたり、焦っていたり、やれやれという様子が
          ちゃんと撮られている。

          ただ、初めて観ると
          ともかくこの作品、セリフが多い。

          そのセリフを上の字幕でドイツ語(そのまま)で出してくれるのは
          理解するのに有難いけれど

          上の字幕ばっかり見ているハメになって
          下の舞台で繰り広げられている劇に、なかなか目が行かない。
          (歌ではなく本当にセリフのところは字幕なし)

          セリフが多くて、それに音楽がついている、というのは
          言ってみれば
          ず〜〜〜〜〜っとレチタティーヴォを聴いているような気分。

          コンサートでは寝落ちする私も
          オペラとかバレエだと、寝落ちする事はないのだが
          ちょっとこのプロダクション、むちゃくちゃ眠くなるんですけど(汗)
          (月曜日から木曜日はむちゃくちゃなカリキュラムだが
           金曜日は15時からの授業しかないので
           今日は朝、冬タイヤに換えた車をピック・アップして
           オフィスで仕事して帰宅して大学行って
           その後、図書館で勉強してから来たので
           そんなに疲れている訳ではないはず・・・)

          よって、中間部が全く記憶にない。
          (あ〜21ユーロ、もったいない・・・)

          ビデオの効果的な使い方で
          かなりユーモアに満ちた演出になっていたのは確かである。

          モルテン・フランク・ラルセンは
          すごいメイクなので、イケメンのお顔が拝見できなくて残念だが
          あんなお化けのメイクをしていても
          やっぱりイケメンって、どういう事?(笑)

          ものすごくカッコいいのである。
          だから、夜に出て来た時に
          不動産会社の社長から
          「キミ、キミ、歯磨き粉がないから
           明日までに用意しておくようにね」とか言われて
          ものすごく怒るのもよくわかる。

          不動産屋ケーニヒの息子二人は
          水鉄砲で遊んだり、落ち着きのないヤンチャな
          男の子という設定なんだけど
          「男の子」にしては、ちょっと歳を取りすぎで
          昨今の若い男性、背が高いから
          あの歳で水鉄砲で遊びまくるって、なんだか異様にヘンな感じ。

          バージニアが、亡くなった母親を慕って
          幽霊に文句つけて
          でも、幽霊を慰めてくれる子供が居れば
          幽霊も昇天できる、というので
          優しいバージニアは幽霊を昇天させ

          不動産屋がホテルに改造する、という直前で
          家政婦の息子のダヴィッドが正当なお城の相続人という事がわかり
          バージニアとダヴィッドが恋仲になってハッピー・エンド。

          不動産屋と、その秘書、実は愛人とが
          幽霊の存在を全く信じなくて

          更に、幽霊が出るなら
          ハロウィーン・ホテルとしてプロモーションしよう、と
          「幽霊付きの古城ホテル」として売り出そうとしているところなんかは
          まぁ、旅行業界が長かった身としては
          そりゃそうだ、と納得できてしまうのだが
          そういう世俗的な考え方はイカンのである(たぶん)

          フォルクス・オーパーとしては力を入れている演目だし
          いくら音楽がレチタティーヴォ続きで
          しかも上の字幕ばかり見てしまったために
          寝落ちした、という恥ずかしい状態なので
          もう1回くらい、観に行った方が良いんだろうなぁ。
          (その時にはストーリーはわかっているので
           上の字幕は見るのを止めよう)

          プログラムはピーターパンと同じように
          子供を対象とした作りになっていて
          紙を切り取ってお面にする事も出来る。
          ハロウィーン・パーティにはうってつけかもしれない。

          そう言えば、フォルクス・オーパーから
          10月23日から11月22日まで
          2公演限定で、チケット50%割引というオファーが来てたな。

          10月終わりからウィーン・モデルン現代音楽祭も始まるし
          もう私の夜のカレンダーは満杯なんですが(涙)

          夏休みの間は金曜日にナイス・ウィークエンドと言われても
          へっ?という感じだったが
          金曜日にナイス・ウィークエンドと言われると
          むちゃくちゃ嬉しい学期真っ只中の私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。


          ミュージカル「キャバレー」ゲネプロ

          0
            Volksoper 2019年9月11日 10時〜12時30分

            Generalprobe
            CABARET
            Musical in zwei Akten
            Buch von Joe Masteroff nach dem Berlin-Stories
            von Christopher Isherwood und dem Stück
            Ich bin eine Kamera von John van Druten
            Gesangstexte von Fred Ebb
            Übersetzung von Robert Gilbert
            Musik von John Kander

            指揮 Lorenz C. Aichner
            演出 Gil Mehmert
            振付 Melissa King
            舞台 Heike Meixner
            衣装 Falk Bauer
            照明 Michael Grundner

            MC(司会)Ruth Brauer-Kvam
            サリー・ボウルズ Bettina Mönch
            クリフォード・ブラッドショー Jörn-Felix Alt
            シュナイダー夫人 Dagmar Hellberg
            シュルツ Robert Meyer
            コスト Johanna Arrouas
            エルンスト・ルードヴィッヒ Peter Lesiak
            マックス Jakob Semotan
            ピッコロ Matthias Trattner
            キットカット・ガールス Marianne Curn, Paulina Plucinski,
            Anja Štruc, Katharina Wollmann, Eva Zamostny
            キットカット・ボーイス Jurriaan Bles, Martin Enenkel,
            Maximilian Klakow, Kevin Perry
            キットカット・バンド Andreas Wild, Julia Schreitl-Angerer
            Daniel Stratzing

            Orchester und Kinderkomparserie der Volksoper Wien

            9月14日が初演(プレミエ)になる
            フォルクス・オーパーの新プロダクション
            ミュージカル「キャバレー」の
            最終リハーサルがあった。

            これ、関係者とかだけじゃなくて
            実は一般発売されている。
            その上、どの席でも一律15ユーロなので
            (本公演は最安席でも15ユーロでは買えない)
            ゲネラル・プローベがウエブ上で販売になると同時に
            あっという間に、良いチケットは掃けてしまう。

            もっとも、平日なので、行ける客層は限られている。
            はい、読者ご推察の通り
            一部の関係者を除けば、お達者クラブ勢揃い。
            ほんとにウィーンって年配だらけなんだなぁ、と
            つくづく思う。
            自分もその一員になってしまったが(汗)

            比較的早めにこの公演を見つけたけれど
            既に平土間やロジェの1列目は
            目ざとい観客に既に抑えられていて
            何とかバルコンの最後の列を1枚確保。
            (一律料金なので、早いもの勝ち)

            総じて非常に良く出来たプロダクション。
            回転舞台を上手く使って
            キャバレーの舞台(全体が巨大なピアノになっている)と
            下宿屋の舞台展開や繋ぎに全く無駄がない。

            よって、時間のロスもないし
            不自然さもない上
            出演者も2つの世界を行き来している感じが巧い。

            列車での移動も無駄な装置を使わずに対処しているし
            シュルツの果物屋も、背景と多少の大道具だけで
            リアルに表現している。

            衣装も素晴らしい。
            もちろん、背徳的なキャバレーの、すごい衣装もある。
            (子供には見せられないわ(笑)しかも男性が着用していたりするし
             半身づつ、女性のラメ・ドレスと男性用のタキシードというのもあった)
            一部、特殊マスクもあり(猿の花嫁とか←つま先まであって芸が細かい)
            このプロダクション、予算があったんだなぁ・・・というより
            ロング・ランになるよう力を入れている、という感じか。

            出演者も粒揃い。
            ミュージカルだから、ほとんど歌わず、演技という役柄も多いが
            それぞれの役割に非常に合ったキャスト。

            MC(司会)のアクの強いキャラクターは
            目の周り真っ黒の、これまた強烈なメイクが活きている。

            この役、歌ったり(かなり高いキーまで)踊ったり
            大きな手の道具で舞台の巨大ピアノを弾いたり
            動きが激しい役だが
            歌は巧いし表現力が凄いし
            役柄に要求される演技を完璧にこなして
            その上、舞台上での存在感もすごい。
            全体を引き締める役として
            共感できる役どころではないのに強烈。

            マイヤーのシュッツは
            ・・・あぁ、これをやりたかったのね(笑)

            ちょっと控え目で、恥ずかしがり屋の
            中年の果物屋さんのご主人。
            ドイツ生まれ、ドイツ育ちで
            自分がユダヤ人という意識はあまりないタイプ。

            下宿屋のシュナイダー夫人は
            見た目、実にパッとしない
            そこらへんの中流階級のオバサンだが
            この人、歌はむちゃくちゃ上手。

            ナチスの脅威が迫ってくる時代に
            政治のことなんか、別に関係ないし
            そこまで酷くはならないだろう、と
            楽観していて、最後に突然逮捕して連行されるという

            政治意識は大事です(断言)
            高校生が政治について、昼休みに話していると
            それは適切ではない、とか言い出す大臣が居る国は
            果たして大丈夫なんだろうか。

            中年(老年?)の恋は大いに結構だが
            自分がゴリゴリの独身主義者なので
            「恋人で良いじゃない」というシュナイダー夫人に対して
            愛があれば結婚すべき、という主張はわからん。
            (しかも、僕がユダヤ人だから、という理由づけをするなんて
             ちょっと卑怯だわ、うん。すみません偏見で)

            しかも、それに対してクリフォードが
            結婚すれば、あなたは独りじゃない、とか言うセリフ
            本当に止めてくれ。どの時代の道徳観なんだよ。
            (1966年の道徳観である。現代は変化している!)

            キャバレー場面に登場するキットカットの男女が
            踊れて歌えて
            あの退廃的でエロチックな衣装を見事に着こなして
            (男性ダンサーのカンカン!!!)
            バレエ・ダンサーではないけれど
            ダンスとして見ると、見事なシーンがたくさんあった。

            ただ、このプロダクションで一番光っていて
            強烈な個性と、舞台上の存在感で
            このプロダクションの芸術的水準を
            ぐっと引き上げていたのは

            サリー・ボールス役のベッティーナ・メンヒ!!!!!!

            この歌手、「ローマで起こった奇妙な出来事」の中でも
            存在感、スタイルの良さ、演技力、歌唱力で
            ピッカピカに光っていて
            アクセルでも、むちゃくちゃチャーミングな女優役を
            飛び散るオーラで圧倒的に演じたが
            このプロダクションでも
            特に後半になってから見せるオーラの凄まじさは
            歌の表現力と相まって
            ほとんど、この人の一人舞台みたいな印象まで引き起こす。

            もちろん、こんな優秀な出演者が居て
            それでも他の出演者が見劣りしない、というのは
            そこまで優秀なキャストを揃えた、という証拠。

            全体的に実によく出来たプロダクションではあるのだが
            ストーリーが暗い。

            前半の終わりがナチスの登場で
            ナチスの十文字が舞台上に一杯出て来て終わると
            観客の雰囲気もやっぱり暗くなるし
            最後も別れのシーンで、しんみりと終わるので
            愉快に、あ〜気持ち良かった、という
            カタルシスは全くない。

            こういう作品、まさか子供に見せる訳にはいかないから
            (だいたい衣装が背徳的である)
            大人を狙ったプロダクションなのだろう。

            まぁ、普通に結婚して家庭作って
            年配になってから、二人で仲良くミュージカルを観に行くという
            普通の年配ご夫婦なら
            しんみりして
            そう言えば、うちの親たち(戦中世代)が
            この時代の話をしていたよね、と話題に出来るのかもしれない。

            という訳で
            音楽的には抜群で
            歌手も舞台も衣装も
            ベストに近い状態で揃えた優秀なプロダクションなので
            ミュージカル好きな人には良いと思う。

            しかしミュージカルって
            観て楽しくて、ウキウキ気分で帰宅するものと思っていたら
            そうでもないものもあるんだわ、と
            今更ながら考えてしまった私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            個人的な問題なのだが
            だいたい、恋愛モノって私は一般的にダメなのよ。
            恋する中年とか、よくわからんし(反対はしません)
            どちらかと言えば
            彼氏を捨てて
            自分のキャリアを積もうとするサリー・ボウルスに共感する(自爆)

            回転木馬 ミュージカル@フォルクス・オーパー

            0
              Volksoper Wien 2019年6月4日 19時〜22時

              CAROUSEL
              Musical in zwei Akten
              Liedtexte und Buch von Oscar Hammerstein II.
              Nach dem Bühnenstück Liliom von Ference Molnár
              Deutsche Fassung von Henry Mason
              Musik von Richard Rodgers

              指揮 David Charles Abell
              演出 Henry Mason
              振付 Francesc Abós
              舞台・衣装 Jan Meier
              照明 Guido Petzold

              ビリー・ビゲロフ Daniel Schmutzhard
              ジュリー・ジョーダン Johanna Arrouas
              キャリー・ピッパリッジ Juliette Khalil
              ネッティー・フォーラー Stephanie Houtzeeel
              イノック・スノー Jeffrey Treganza
              ジガー・クレイガン Christian Graf
              ルイーザ・ビゲロフ Mila Schmidt
              ミセス・ムーラン Regula Rosin
              ダヴィッド・バスコンブ Nicolaus Hagg
              アンサンブル Lorna Dawson, Eva Prenner, Victoria Demuth, Jil Clesse
              Thomas Huber, Maximilian Klakow, Oliver Liebl, Lukas Strasser
              ルイーズの彼氏 Gleb Shilov
              ミス・スノー Marie-Sarah Drugowitsch

              Orchester und Chor der Wiener Volksoper
              Jugendchor und Kinderchor der Volksoper Wien
              Emparserie der Volksoper Wien
              Wiener Staatsballett

              一世を風靡したロジャース&ハマースタインの
              1945年に作曲されたミュージカル「回転木馬」

              昨年3月にフォルクス・オーパーでプレミエがあって
              ミュージカルに(あまり)興味のない私は
              上演時間3時間に恐れをなして(長いの苦手)行かなかったのだが

              先週だか、フォルクス・オーパーのニュースレターで
              「回転木馬」のチケット50%割引
              ・・・すみません、こういうのに私、弱いんです f^_^;

              だからと言って高額な席は買わずに
              超貧民席26ユーロを13ユーロで買って
              ウハウハしている貧乏人ですが・・・

              確かにギャラリーはガラガラで
              若い人たちが立ち見席にいたのだが
              みんな、開演直後に、全員、空いたところに座った。
              別にそれは良いのだが
              (ちっ、立ち見50%引きで買って入れば良かったとか思ってません)
              結構、小声で喋るわ、前の席を蹴るわ(たぶん、膝を組む時に当たる)
              マナーの悪さがちょっと気になったが
              まぁ、若い方々でしたし(大人の引率はなし)

              簡単に感想を書くと

              舞台が綺麗で巧く作ってあって
              序曲の時から、舞台ではサーカスや(ダンサーがやってる)
              回転木馬や、遊園地の余興(ただし1945年風味)や
              狭い舞台に溢れんばかりに
              ダンサー、俳優、歌手、コーラス、児童合唱団等が乗って
              フォルクス・オーパーらしい、サービス精神爆発シーンになっている。
              (超貧民席からだと、オペラ・グラスでどこを見るかが難しい(笑))

              派手なオープニング・シーンの後
              芝生の場面では
              遥か向こうに、ちゃんとサーカスの明かりが灯っていて
              回転木馬も見える(芸が細かい)

              舞台の展開も早い。
              後ろの出窓を巧妙に使っていて
              数多くあるシーンを、全く遅れる事なく
              かなりリアルに出してくれるので
              ストーリーを追うのに不自然さがゼロ。

              衣装が素敵。
              予算をケチってない(それかい!)
              登場人物が多いのだが
              それぞれにオールド・スタイルの良い感じの衣装で
              色も揃っていて(これがセンスある!)統一感がある。

              歌手が素晴らしい!!!!
              いや、実は何が驚いたかと言うと
              ジュリー役のアロウアスで
              アロウアスはフォルクス・オーパーのベテランだが
              どちらかと言うと
              キャピキャピした役で
              ちょっとヒステリックなくらいの声と演技が特徴だった(はず)
              この演目でも、昨年はアロウアスはキャリー役になっていた。

              今回のキャリー役は
              この間、ピノキオで見たピノキオ役の小柄なクハリル。
              この歌手も、演技巧いし、コミカルな役どころに合っていて
              キャピキャピ役を充分に魅せてくれた。

              アロウアスのジュリー!!!
              いつの間に、こんなしっとりした役が出来るようになったの?!

              以前の印象からは考えられない程に
              芯の通った、落ち着いた、しっとりした
              (1945年当時に)女性らしい(暴力男性への)理解を持って
              演技だけではなくて
              歌が、また、もう、涙なしでは聴けないほどに素晴らしいのである。

              いやもう、驚いた。
              アロウアスってヒステリックなソプラノというイメージだったのに
              このメロディー豊かなロジャースの美しい曲想を
              しっとり、美しく、豊かに歌い上げてくれて
              あ〜、やっぱりミュージカル(マイク付き)でも
              クラシックの素養がある人が歌うと巧いなぁ。
              恐れ入りました。
              今までヒステリックなキャンキャン乙女とか思っていてごめんなさい。

              シュムッツハルトはオペラでは声量あって
              なかなかの美声の歌手なのだが
              今回はマイク付きだから声量関係ないし

              だいたい、役どころが・・・
              無精髭はやして
              カッコ付けの女たらしのカンチガイ男の役だし
              しかも失業して女性に暴力振るうし
              何故、あの賢明な(賢明に見える)ジュリーが惚れるのか
              さっぱりわからん。

              ビリーを悪の道に誘導する
              これこそ悪の権化というジガー役のグラーフは
              クラシック歌手が揃った中で
              唯一、最初からミュージカル畑とわかる人だった。
              その分、役に馴染んで演技も巧いし
              如何にもミュージカル、という感じがして、すごく良かった。

              ビリーは後半で死んでしまい
              天国から、自分の娘が
              父なし子で虐められているのを見る。

              娘のルイーズ役のミラ・シュミットはバレエ・ダンサー。
              このシーンは、虐める役や
              ルイーズに惚れさせて手酷く振る役もダンサーで
              バレエ・ファンには、かなり見応えのあるシーン。

              昔のミュージカルなので
              かなり冗長なストーリー運びだし
              ちょっと救いのない
              あまりに古臭い劇的なラブストーリーなのだが

              それを退屈させないように
              舞台と衣装と
              振付の巧みさで処理したのは見事。

              モブシーンも多いのだが
              コーラスが歌う時でも
              必ず、コーラス・メンバーが踊るので
              舞台上の絵にしっかり動きがあって退屈しない。

              その意味で、暗い話だし
              こちらが赤面するほどの純愛物語(1945年だ!)だし
              ストーリー的な好みとしては
              私は辟易するのだが
              その辟易ぶりを補うだけのドラマツルギーの見事さには唸った。

              まぁ、何回も観たい、という演目ではないが・・・

              ご興味ある向きは
              フォルクス・オーパーのサイトに
              いくつか動画がアップされているのでご覧下さいませ。

              ピーターパンの3回目鑑賞記とか
              ブッフビンダーがピアノ弾いて指揮した
              ウィーン交響楽団のコンサートとか
              書いていない演目がたくさんあるのだが

              なんだかバタバタしていて時間がない ^^;
              という私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              先週まで雨続きで、10℃とかの気温だったのに
              今日は31℃とかになってしまった。
              最近、本当に「春」がなくて、冬から突然、盛夏になるので油断ならん。

              地獄のオルフォイス @フォルクス・オーパー

              0
                Volksoper Wien 2019年6月2日 19時〜21時50分

                ORPHEUS IN DER UNTERWELT
                Operette in einem Prolog und drei Akten
                Text von Hector Crémieux und Ludovic Halévy
                Deutsche Fassung von Peter Lund
                Musik von Jacques Offenbach

                指揮 Guido Mancusi
                演出 Helmut Baumann
                新演出 Karin Schnyol-Korbay
                舞台 Mathias Fischer-Diskau
                衣装 Uta Loher, Conny Lüders
                振付 Roswitha Stadlmann

                プルート Vincent Schirrmacher *
                ジュピター Martin Winkler *
                オルフォイス Carsten Süss *
                ハンス・スティックス Robert Mayer
                メルキュール Gernot Kranner
                マルス Daniel Ohlenschläger *
                エウリディーケ Rebecca Nelsen *
                ディアナ Birgid Steinberger *
                世論 Regula Rosin *
                ヴィーナス Annely Peebo *
                キューピッド Jakob Semotan *
                ジュノー Christian Graf *
                ミネルヴァ Elvira Soukop *
                オルフォイスの生徒 Una Stanic

                ジャック・オッフェンバックの「地獄のオルフォイス」
                2007年9月にプレミエだった演出の再演初日。

                ・・・記憶によれば
                大昔に一度観た事がある。
                とは言え、このブログには記載がないから
                本当に2007年の秋だったかもしれない。
                (記録は消えました・・・くすん)

                しかしまぁ、舞台が派手。
                舞台装置も大掛かりだけど
                衣装も凝っていて
                (というより、衣装係がむちゃくちゃ遊んでいる?(笑))
                登場する人数が多い。
                コーラスが舞台に居るのに加えて
                バレエ・ダンサーが舞台前方でジュテしてたりする。

                ドイツ語ですが、フォルクス・オーパーの動画を貼っておきます。



                え〜っと、ともかく、しっちゃかめっちゃかである(爆笑)
                オルフォイスとエウリディーケの話は有名だが
                ここでは、オルフォイス(バイオリンの先生で「芸術家」)と
                エウリディーケの夫婦仲は冷めきっている。

                こんなのも〜、やだ、とエウリディーケがヒステリーを起こしていると
                地獄のプルートがやって来る。
                もう死んだ方がマシ、と言うエウリディーケに
                では死にましょう、と地獄に連れて行く。

                それを知ったオルフォイスは
                あ〜、私の妻が死んでしまった(涙・涙・涙)
                ・・・うっしっしっ、やったぞ(嬉し涙)

                というところに「世論」がやって来て
                それは世間が納得しません!!!!
                地獄に妻を迎えに行くのです(断言)

                さて場所変わって天国では
                ジュピターとジュノーの夫婦仲も冷めきっている。
                (どういう設定だ?(笑))
                子供たちのキューピッドやマルスも
                天国にもっとデモクラシーを!と喚いている。

                このジュピターとジュノーのキャラ立ちが最高 (^○^)
                天国全員で地獄に出張するのだが
                そこで、退屈しているエウリディーケに
                ハエになって迫るところの(あ〜、もうこれ、ヤバイです)
                コミカルなエロっぽさが・・・
                ジュノーは男性が女性役なのだが
                実に迫力あり過ぎで、ものすごく魅力的。

                こういうオペレッタって
                途中のクープレで、何かの時事ネタを取り上げるので
                今回もハッハッハと笑って天国のみんなが
                代わる代わる歌う有節の歌で
                キューピッドが替え歌やった。
                いやもう、笑えましたわ。
                (すみません、これはドイツ語が必須だけど・・・)

                登場する人物のキャラが、みんな立ちまくりで
                歌は上手いし(エウリディーケ素晴らしいソプラノ!)
                演技はコミカルで、ものすごく楽しい。
                時々、ほとんど捨て身のような演技で
                いや、もう、本当に芸達者な役者+歌手の見事なコンビネーション。

                こういうのが出来るアーティストが居るというのは
                フォルクス・オーパーの強みだわ。

                世論も地獄で酔っ払って
                だんだん、ワケわからん事になって来るし
                一応、世間を納得させるために
                エウリディーケをオルフォイスが地獄から連れ出し
                でも、振り向いてはダメ、というのを
                もちろん、バッチリ振り向いて
                おお、万歳、めでたしめでたし・・・(爆笑)

                友人と話していたら
                ウィーンのオペレッタは
                夫婦なり恋人なりが、元の鞘に収まってめでたし・めでたしだが
                (まぁ、モーツァルトのコシ・ファン・トゥッテはかなり微妙)
                オッフェンバックは、夫婦はみんな冷めていて
                で、別れて万歳みたいなものが多いね、という話になった。

                当時のパリの状況ももちろんあるから
                政治的メッセージがそこに籠められているかもしれないけれど
                まぁ、それはわかりません。
                (オペレッタに詳しくないので・・・← 言い訳)

                久し振りのオペレッタで
                オトナのためのオペレッタで(笑)
                絶対に子供向けのプログラムではないし
                かなり「アク」は強いけれど
                (だってキャラ立ってるからね(笑))
                楽しい演目である。

                ・・・というか、これ
                冷めきった夫婦が見に行ったら
                どういう感情を抱くんだろう???(余計なお世話)

                最近、ファミリー向けのプロダクションが多かったけれど
                こういう「オトナ向け」の楽しめるプロダクションも
                再演してくれる、というフォルクス・オーパーのサービス精神
                たいしたものだ。

                とは言え、チケット持ってる公演について
                直前に「はい、チケット割引開始!」って言うメールが来ると
                ちょっと複雑な気分ではあるが(笑)

                まだ、土曜日のウィーン交響楽団の記録を書いていないで
                焦ってはいるのだけれど
                気温10℃の雨が続いた後に
                突然30℃近くの真夏がやって来たウィーンで
                夏服を出しながらゼイゼイ言っている私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                いや冗談じゃなく、マジに暑いんですが。
                まだ建物は熱くなっていないので(時間がかかる。でも冷房はない)
                図書館閉じ籠りで
                勉強せずに、こういうメモを書いている私は(以下省略)

                パウダー・ハー・フェイス 3回目

                0
                  Kasino am Schwarzenbergplatz (Volksoper)
                  2019年4月22日 20時〜22時20分

                  Thomas Adès (*1971)
                  Powder Her Face
                  Kammeroper in zwei Akten
                  Libretto von Philip Hensher

                  指揮 Wolfram-Maria Märtig
                  演出 Martin G. Berger
                  舞台 Sarah/Katharina Karl
                  衣装 Alexander Djurkov Hotter
                  ビデオ Anna Hirschmann
                  振付 Florian Hurtler
                  ドラマツルギー Magdalena Hoisbauer

                  Die Herzogin: Ursula Pfitzner
                  Zimmermädchen, Vertraute, Kellnerin, Geliebte,
                  Gafferin, Gesellschaftsjournalistin> Morgane Heyse
                  Elektriker, Salonlöwe, Kellner, Gaffer, Lieferjunge: David Sitka
                  Hotelmanager, der Herzog, Menschen im Hotel, Richter: Bart Driessen
                  Statisterie: Robin Koppensteiner, Bernadette Leitner,
                  Anna Barbara Banatto, Irina Mocnik, Katharina Schmirl

                  Orchester der Volksoper Wien
                  コンサート・ミストレス Vesna Stanković, Anne Harvey-Nagl
                  第二バイオリン Ursula Greif, Natalija Isakovic
                  ビオラ Aurore Nozomi Cany, Peter Sagaischek
                  チェロ Roland Lindenthal
                  コントラバス Gerhard Muthspiel
                  クラリネット・サクソフォン Barbara Brunner, Harald Haslinger, Hadi Nabavi
                  ホルン Raphael Stöffelmayr, Michael Stückler
                  トランペット Lorenz Raab, Michael Schwaighofer, Daniel Neumann,
                  Raphael Pouget
                  トロンボーン Christian Masser, Christian Eisenhut
                  パーカッション Manfred Redner, Lucal Salaun
                  ハープ Gabriela Mossyrsch
                  アコーデオン Ingrid Eder
                  ピアノ Chie Ishimoto

                  笑って下さって結構です。
                  3回目ですよ、3回目。

                  もっとも、この演目全部で10回あるから
                  凝り性の私としては皆勤賞を狙っても良かったかも
                  ・・・という感じなのだが

                  別にそれは私がセッ◯スが好きとか
                  女性が惜しげもなくさらす醜態が好きとか
                  そういうワケではございません(たぶん)

                  しかしまぁ、本当に良く出来た舞台だ。
                  何回目かになるのだろうけれど
                  オーケストラの音楽も
                  指揮も、歌手も、全く緩む事がなくて
                  ベストの状態で、素晴らしい舞台を見せてくれる。

                  歌手がむちゃくちゃ張り切っている感じで
                  もともとホールが小さいから音は響くのだが
                  すごい音量で、力一杯歌うので
                  ちょっと辟易したほどの力強さ。

                  オーケストラの音楽は
                  力強すぎて、少し平坦に聴こえた歌手とはまた違って
                  16人で出しているとは思えないフルの音響から
                  ピアニッシモの徹底的に繊細な音色まで描き出す。

                  歌手の捨て身の演技も素晴らしいし
                  背景のビデオも好き。
                  (特に花の咲く場面のエロチックさがたまらん。
                   直裁的な表現じゃなくて、ああいう奥ゆかしい?表現って好みだわ)

                  加えて、場面転換での素早い衣装替え
                  次から次に出てくる小道具の手配など
                  小道具・大道具、衣装係やメイク・アップの係などの
                  密な連携プレイがバッチリ決まっているのにも感嘆する。

                  新聞評では
                  やり過ぎ、みたいな事が書いてあったけれど
                  3回目を見ると
                  その「やり過ぎ」感が
                  リアリティとパロディの見事な融合を目指しているのがわかる。

                  あそこまでリアルにセッ◯スの餓えや
                  堕ちていく伯爵夫人の絶望的な孤独感を描きながら
                  どこかしらリアルではないパロディの世界を感じさせて
                  あまり生臭くなり過ぎない。

                  (今日なんか、裁判官の場面や
                   歳取った伯爵夫人のインタビュー・シーンで
                   結構、客席から笑いが出ていた。
                   ここら辺の演出をリアルにやり過ぎてしまうと
                   あの笑いは出て来ないし、シリアスになり過ぎる。)

                  だから、3回見ても、全く辟易しないし、飽きない。
                  この演目を何回か見る人って少ないかもしれないけれど
                  アホな私は、同じ演目を何回か見て
                  やっと納得したり、自分の中で消化できたりするので
                  その意味では
                  1回目は面白いけれど
                  2回目・3回目で飽きが来たり、げっそりしたりするものと違って
                  この演目が如何に見事に構築されているのかがわかる。

                  アデスのドラマツルギーが素晴らしいと思ったのは
                  最後のシーン。

                  ホテルを追い出される惨めな老婦人が倒れる
                  という場面で終わってしまっても、違和感はないのだが
                  その後の短いエピローグで
                  最初の場面に戻って来て(音楽も)
                  今回の演出では、本当に最初の4人で絡まる場面に戻り
                  そこに俳優さん4人がかぶさるという
                  見事なラスト・シーンになっている。

                  倒れたままの終わりだと
                  どうしても、どんより暗くなって
                  気分も落ち込んだままだが
                  最初のシーンのフラッシュ・バックで
                  とことん堕ちても不死鳥のように蘇る伯爵夫人
                  (本当かどうかは知らん)
                  という、原始的な生命力を感じさせるのだ。

                  しかしまぁ、アデスの音楽的パロディの迫力。
                  タンゴやジャズや
                  1930年代・1950年代・1970年代の
                  それぞれの時代のポピュラー音楽の引用も素晴らしいが
                  リヒャルト・シュトラウスの引用が
                  私の耳には一番目立って入ってくるのが楽しい。

                  ・・・ところで、何故にリヒャルト・シュトラウスなんだろう?
                  (たぶん調べたらアデス自身が何か言ってると思うのだが)

                  もともとオペラは苦手なのに
                  現代オペラって良いなぁ・・・
                  (オペラが苦手なのはストーリーが荒唐無稽な事が多いのと
                   上演時間が長いのと
                   主人公がなかなか死なず、ずっと死ぬ、死ぬと
                   すごい声量で力一杯歌っているのに疲れるからである)

                  アリベルト・ライマンのメデアも良かったし
                  アデスのテンペストはなかなかチケットが入手できず
                  1回きりしか観ていないのが本当に残念。
                  (ザルツブルク音楽祭も行きたかったのだが
                   チケット高過ぎ+入手不可能の二重苦だった・・・
                   無理しても行けば良かった(涙))

                  その分、今回は3回も行けて
                  本当にラッキー ♡

                  24・25・27・28日と、あと4回の公演がある。
                  後半戦は色々あって私は参加できないけれど
                  最後まで素晴らしい公演になるよう祈りつつ
                  気分良くイースター・マンディを楽しんだ私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  新聞評はいくつか読んだけれど
                  その中に、指揮者はテンポを取っているだけ、みたいな書き方があったのを見て
                  あのオペラでテンポ取って、歌手にキュー出しできるって
                  どれだけの才能と習熟が必要か
                  この記者、わかってないだろ・・・と
                  ついつい思ってしまったのはワタクシです。

                  ラルフ・ベナツキー「妹と私」オペレッタ

                  0
                    Volksoper 2019年4月18日 19時〜21時45分

                    Meine Schwester und ich
                    Musikalische Komödie in zwei Akten mit Vor- und Nachspiel
                    Text von Robert Blum und Ralph Benatzky
                    nach Ma soeur et moi von Georges Berr und Louis Veneuil
                    Musik von Ralph Benatzky
                    Musikalische Einrichtung von Guido Mancusi

                    指揮 Guido Mancusi
                    演出 Robert Mayer
                    舞台・衣装 Christof Cremer
                    振付 Andrea Heil

                    ドリー サン・ラビッシュの城主 Lisa Habermann
                    ロジェ・フルリオ博士 Lukas Perman
                    レイシ・ド・ナジファルディ伯爵 Carsten Süss
                    (アテレコ Robert Mayer)
                    アンリエッテ Julia Koci
                    執事・裁判官 Nicolaus Hagg
                    イルマ 靴屋の売り子 Johanna Arrouas
                    フィロセル 靴屋のオーナー Herbert Steinböck
                    ムシュー・カマンベール 靴屋の客 Georg Wacks
                    陪審・召使い・レビューのダンサー Mitglieder des Jugendchores der Volksoper

                    今シーズンのフォルクス・オーパーの新プロダクション
                    ラルフ・ベナツキーのオペレッタ
                    タイトルは訳すとすれば「妹と私」って感じなのかなぁ。

                    滅多にオペレッタとか行かない私が誘惑されたのは
                    例のイースター時期のキャンペーン
                    4枚買えば50%割引(こういうのに弱い)に釣られたのだが
                    これ、確かに明るくて楽しい出来になっている。

                    踊れて、歌えて、演技ができる
                    見目麗しい役者(=歌手)が揃っている
                    フォルクス・オーパーならではの作品。

                    上演前に、貧民席からは見えないものの
                    よくご存知、フォルクス・オーパーの支配人の
                    ローベルト・マイヤーが登場。

                     公演前に誰かが出てくると、公演のキャスト変更で
                     今回も例外ではありません。
                     残念ながら、カルステン・ズュースが咽喉炎で
                     医者から、話す事も歌う事も禁止されました。

                     ただ、カルステン・ズュースは舞台に登場します。
                     皆さまはズュースを舞台で見る事ができますが、聞く事はできません。

                     私が譜面台を持って横に立ち、
                     合わせて喋ったり歌ったりします。

                     どうか、舞台では私を見ずに、ズュースを見て下さいね。
                     観客から見られると非常に緊張するので(ここで観客から爆笑)

                    さすがマイヤーというか、まぁ見事にアナウンスをキメてくれた。

                    しかも、カルステン・ズュースは、ちゃんと演技はしているので
                    口は動かしているのである。
                    そのセリフの口の動きと、ほとんどズレなく
                    喋って歌ったマイヤーって、スゴイ。
                    口パクで全く声を出さず、あの迫真の演技をしたズュースもスゴイ。

                    演技達者というか、芸達者というか、さすがプロというか
                    いやもう、あんなに違和感のない口パクのアテレコ、初めて見た(聞いた)。

                    さて、前半では離婚裁判のシーンから始まり
                    個人の図書館で司書として雇われたロジェが
                    仕事が終わらない、とバタバタしているのだが

                    邪魔が入るたびに
                    本を放り出す演出って何なんだ!!!(怒)

                    数冊持ってハシゴを上がったとたんに
                    何かの邪魔が入って、本を床に数冊、すごい勢いで落とす
                    ・・・というのが、何回かあって

                    本が投げ出されるというのは
                    私は、ものすご〜〜〜〜〜〜くイヤなの!!!!

                    ページが捲れたり、綴じが取れたり、背表紙が傷んだり
                    学生時代、図書館に閉じこもって
                    本を大事に読んでいた私は
                    あんなに無神経に本を投げる、落とす、というシーンが続くと
                    いたたまれない・・・というより、精神的な苦痛が大き過ぎる。

                    ドリーはロジェに惚れているので
                    せっかくロジェが片付けた本をめちゃくちゃにしたりしている。

                    ロジェはロジェで
                    2ヶ月前にナンシーでの教職が決定して
                    今日の夜の列車でナンシーに向かう予定なのに
                    司書を辞める事をドリーに言う事ができず
                    しかも、仕事が終わっていないので
                    ギャラを貰えないんじゃないか、と悩んでいる。

                    2ヶ月前に転職が決まっていて
                    それを、辞めるその日まで雇い主に言う勇気がないって
                    それ、社会人として失格でしょうが!!!!(怒)
                    (しかも設定が音楽学の博士なのよ。
                     ウィーン大学の音楽学の博士号を持った教授の中には
                     こんな社会人失格で、ウジウジしたワケのわからんタイプは居ない!)

                    メイドのアンリエッテが、大丈夫よ、ギャラは5000フラン
                    ちゃんと貰えるわよ、と歌い
                    それにデュエットして、5000フランなんて大金、スゴイぞ、と
                    大喜びするロジェに

                    ドリーが無造作に小切手を切るのは
                    5000フランどころか10000フラン。

                    ロジェも、こんなに頂けません、とか口先では言うくせに
                    ダンス・シーンでダンサーたちの間を小切手が飛び交い
                    (これもワタクシ的には許せないシーンで
                     現金と同じ価値の小切手を、あんなに乱暴に扱うなんて!!!)
                    最後はメイドが胸の合間に入れたのを
                    結局、ロジェが取り戻して、ちゃっかり貰ってしまう。

                    後半の靴屋さんのシーンでも
                    靴の箱の取り落としが何回もあって、心が痛む。

                    モノは大切に扱いましょうって
                    家庭で躾されませんでした?(涙)

                    さて、そのロジェだが、ドリーは惚れているのだが
                    ロジェはプリンセスというだけで萎縮しまくりで
                    前半では、嫌がっている男性に
                    しつこく纏わり付く女性という
                    何だか、あまり共感が持てない。

                    ナンシーに行く、と聞いて
                    シャンパンとキャビアで、ロジェの労をいたわりつつ
                    ナンシーには、文学者と結婚して離婚して
                    靴屋で働く妹が居るから、そこに荷物を届けて欲しいと
                    ウソをつくドリー。

                    ドリー役のリザ・ハーバーマンは見た目が美しく
                    スタイル抜群で、プリンセスの気品もある。
                    表情がかなりせわしく変化して、演技も巧い。
                    (表情がくるくる変わるのが、時々、大げさ過ぎるけれど)

                    声は細いけれど、澄んだ高音も出すしスープレットだし
                    マイクはつけているから声量関係なく
                    ハマり役ではある。

                    ロジェは張り切って、明日、その靴屋に行きます、と言いだすので
                    慌てるドリー。

                    後半は、その靴屋さんでのシーン。
                    イルマ役のヨハンナ・アロウアスは
                    歌って踊れるフォルクス・オーパーの看板歌手の1人だから
                    歌も巧いけれど、ともかく動きが見事。
                    多少はしたない動きも、見事に見せてしまう。
                    キャピキャピした、舞台に憧れる若い浮ついた女性役にぴったり。

                    ドリーは突然現れて雇ってくれ、と迫るが
                    断られそうになって
                    雇ってくれたら、1日につき1000フラン払うわ、と
                    カネにモノを言わせて無理やり雇ってもらう。
                    (前金ね、はい10000フラン、と渡すので
                     フィロセルは大喜びである)

                    イルマに、あなたの着ている服を頂戴、と言って断られると
                    またもや、じゃぁ、あなたの服に3000フラン払うわ、と
                    これまた、すべてお金で解決。

                    アメリカあたりの資本主義をおちょくっているのかもしれないが
                    そういう毒は全く感じられない演出で
                    そこまでやって、ロジェをモノにしたいのか、っていう感じ。

                    やって来た客の扱いも、あまりに酷いし・・・(苦笑)
                    カネをもらった靴屋のオーナーのフィロセルは
                    ドリーの失敗も何のその、庇って甘やかせて、という
                    あ〜、世の中、金があれば何でもありかよ・・・(唖然)

                    やって来たロジェが、ドリーの妹(と偽っている)に
                    一目惚れするのも、何だかなぁ。
                    まぁ、このシーンは演技もダンスも歌もなかなか良くて
                    ちゃんと、恋におちた2人、というハッピー・シーンで
                    見ていて、可愛いし、リアルにも見える。

                    もともとドリーに惚れていて
                    追いかけて来たナジファルディ伯爵は
                    ハンガリーの男は惚れっぽい、という役割で
                    イルマに惚れてしまい
                    イルマはイルマで、お金持ってるオトコ、大好き!と
                    すぐにお金になびいてしまうという

                    ・・・やっぱりこれ、ラブよりはマネーというオペレッタなのか?

                    ハッピー・エンドで終わるかと思いきや
                    最初の離婚裁判のシーンに戻り
                    ロジェが、結婚はしてみたものの
                    貴族の生活に耐えられない・・・と延々と語る。

                    このドリーってお姫さまもアホだね。
                    研究者なんて、贅沢な生活よりは
                    豊富な研究資料と共に
                    図書館に閉じ込めておけば
                    ハッピーな生活が出来るタイプなのに。

                    あ〜、でも、このプリンセス
                    研究者の、一瞬でもヒマがあったら論文読みたい
                    みたいな欲求を理解できるタイプではなさそうだ(独断・偏見)

                    その意味では、身分違いの恋というより
                    人生観が違うって感じで、歩み寄れないとは思うのだが
                    それは、私があまりにリアリストだから、という理由もある(すみません)

                    舞台は明るいし
                    衣装も、明るい原色を多用したカラフルな洒落た衣装だし
                    歌って踊れて、という芸達者の出演者が
                    本当に歌って、踊ってを繰り広げてくれるので
                    音楽的に深いとか言うものではないけれど
                    カネの事とか、モノの粗末な扱い方とか
                    研究者とプリンセスとか、考えなければ
                    まぁ、ラブコメとして見るなら、水準はかなり高い。

                    何回も繰り返し出てくる
                    フロイライン、ワインを一杯、飲みに行きませんか、というメロディは
                    後々まで記憶に残るので
                    若い(あるいは中年の)カップルは
                    この後、少なくとも、ちょっと気が効いた男性なら
                    連れの女性を、あのソングを歌って
                    ワイン一杯に誘うんじゃないかなぁ。

                    色々と心が痛む場面(本の放り出しや、世の中なんでもカネ)もあるけれど
                    まぁ、オペレッタだから・・・と納得すべきであろう、きっと。

                    作品としての出来は非常に良いので
                    あまり深く考えずに楽しめるのであれば
                    見て損はない、と思う私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                    パウダー・ハー・フェイス 2回目

                    0
                      Kasino am Schwarzenbergplatz (Volksoper) 2019年4月16日
                      20時〜22時20分

                      Thomas Adès (*1971)
                      Powder Her Face
                      Kammeroper in zwei Akten
                      Libretto von Philip Hensher

                      指揮 Wolfram-Maria Märtig
                      演出 Martin G. Berger
                      舞台 Sarah/Katharina Karl
                      衣装 Alexander Djurkov Hotter
                      ビデオ Anna Hirschmann
                      振付 Florian Hurtler
                      ドラマツルギー Magdalena Hoisbauer

                      Die Herzogin: Ursula Pfitzner
                      Zimmermädchen, Vertraute, Kellnerin, Geliebte,
                      Gafferin, Gesellschaftsjournalistin> Morgane Heyse
                      Elektriker, Salonlöwe, Kellner, Gaffer, Lieferjunge: David Sitka
                      Hotelmanager, der Herzog, Menschen im Hotel, Richter: Bart Driessen
                      Statisterie: Robin Koppensteiner, Bernadette Leitner,
                      Anna Barbara Banatto, Irina Mocnik, Katharina Schmirl

                      Orchester der Volksoper Wien
                      コンサート・ミストレス Vesna Stanković, Anne Harvey-Nagl
                      第二バイオリン Ursula Greif, Natalija Isakovic
                      ビオラ Aurore Nozomi Cany, Peter Sagaischek
                      チェロ Roland Lindenthal
                      コントラバス Gerhard Muthspiel
                      クラリネット・サクソフォン Barbara Brunner, Harald Haslinger, Hadi Nabavi
                      ホルン Raphael Stöffelmayr, Michael Stückler
                      トランペット Lorenz Raab, Michael Schwaighofer, Daniel Neumann,
                      Raphael Pouget
                      トロンボーン Christian Masser, Christian Eisenhut
                      パーカッション Manfred Redner, Lucal Salaun
                      ハープ Gabriela Mossyrsch
                      アコーデオン Ingrid Eder
                      ピアノ Chie Ishimoto

                      土曜日の初演で色々な意味で(笑)興奮したプロダクションの
                      2回目の鑑賞。

                      19時30分から作品解説があるのだが
                      会場の前でマイクで話すので
                      既に土曜日に聞いた同じ内容をもう1度、聞く羽目になったが
                      周囲を見渡せば、フォルクス・オーパーのオペレッタ常連っぽい
                      気品ある、お洒落した、優雅な老婦人(たいてい独り)が多い。

                      私も老婦人ではあるのだが
                      ここまで洗練されたお洒落は出来ない・・・・ってそうじゃなくて
                      こういう層って、現代オペラでは滅多に見かけないんだけど
                      やっぱりイースター割引4枚一括購入で50%割引に釣られた人かしら。
                      (自分がそうだから、人まで同じに考える悪い癖)

                      土曜日のプレミエでは
                      ストーリーと演技と、その直裁的な演出にばかり目が行って
                      あれよあれよという間に興奮して終わってしまったのだが

                      2回目になると、演出はわかっているので
                      その分、音楽がよく聴こえてくるようになって

                      うわあああ、音楽すごい!!!

                      24歳でこの才能・・・というか
                      音楽関係って早熟の天才が多いので
                      全く才能というものがない私から見ると
                      ああ、天才の方がこの世に居て下さってありがとう!!!って感じ。

                      更に、よく聴けば
                      この音楽、構成も音楽的な流れも
                      あちこちに散乱する過去の音楽からの引用も
                      ともかく良く出来ていて
                      たぶん、その分、演奏する方は・・・大変だろうな、これ。

                      オーケストラ(16人!)の演奏も大変だろうけれど
                      歌手も・・・いったい、どれだけ才能があったら
                      こんな歌を歌えるんだろう???

                      歌えるだけでは足りなくて
                      身体の柔らかさや動きの軽さ
                      複雑な振付や動きを覚えるだけの能力も必要だし
                      役に入り込んで、臆するところなく
                      すごい場面を再現しなければならない。

                      この間書いた通り、主人公の公爵夫人の
                      あまりにあからさまな乱れ方の美しさの凄まじさというのは
                      身体表現能力がなければ
                      ただの薄汚い(すみません)ポルノちっくなシーンになってしまうのだが
                      それを、しっかり「見せる」というのはすごい。

                      加えて、何ですか、あのバスの声域の広さは!(驚愕)
                      後半第二幕の最初に、バスだけの長いアリア(裁判官役)があるのだが
                      オクターブの跳躍が次々とあって
                      しかも、上の音はファルセットで
                      下はもっと低い音域までって

                      人間技ですか、これが!!!

                      考えてみれば、トーマス・アデスの
                      国立オペラ座でのテンペストの時も
                      アデスの作曲した、超絶技巧の超人的なコロラチューラというのがあった。

                      プログラムで読んだ記憶があるけれど
                      アデスは作曲する時に
                      こんなパートを歌える歌手はいない、と言われて
                      いや、それは歌手の問題で
                      僕はこういう風に作曲したいのだから、と書いちゃったらしい。

                      ゼンメリンク鉄道の線路を敷いてしまった当時の市長さんみたいな人なのね。
                      (当時、その勾配を登れる列車はなかったけれど
                       線路敷いておけば、そのうち出来るだろうという・・・(笑))

                      もっとも、技術の進歩は時とともにあるだろうが
                      人間の身体が進歩するとは、あまり思えないんだけど
                      それでも、天才というのは、この世に存在するわけで

                      さらにグローバル化によって
                      天才が地域を限定せず、世界中で活躍できるので
                      アデスのオペラも上演される、という

                      聴衆にとっては喜ばしい事だが
                      プロの音楽家って、昨今、どれだけの技術を要求されるんだか・・・

                      しかも、昔みたいにプロンプターとか居ないし
                      (いないよね、あの会場で・・・
                       国立オペラ座やフォルクス・オーパーはプロンプター・ボックスがあるが
                       ウィーン劇場や、こういう小劇場でのプロンプター・ボックス見た事ないし)
                      全部の(しかもほとんどがアトナールの)音楽とセリフを
                      すべて暗記しないと(含む振付+演技)上演できない・・・(絶句)

                      いわゆるヴィルトゥーゾについては
                      音楽史上、色々と論争があるわけで
                      先日も講義の間に、ヴィルトゥーゾについての意見を
                      教授から求められたのだが
                      (今すごいよ、インターネットのフォーラムがあって
                       教授が5分くれるので、そこに自分の意見を書き込むの)

                      パガニーニやリスト時代の
                      ヴィルトゥーゾにきゃ〜っと言って
                      失神したご婦人たちの世界とは違うけれど

                      今や、プロの音楽家全員が
                      ヴィルトゥーゾでないと作品が上演できないという
                      (含むオーケストラ。
                       フォルクス・オーパー・オーケストラのメンバー
                       あんな高度な音楽が演奏できるなんて(失礼すみません))

                      この間も大学の学生とランチした時に
                      ハイドンやモーツァルトの時代の音楽家の演奏って
                      もっと間違いも多くてボロボロだったんだよねぇ
                      って話になって

                      こんなに贅沢なヴィルトゥオーゾ性を
                      日常的に(その経済力だけあれば)楽しめるような
                      そんな世界になって来た事が
                      プロを目指す人にとっては怖いというか

                      でも聴衆には有難い(笑)
                      スゴイものを見せてもらえるって
                      (しかも、何とか捻出できる料金で!)
                      本当に贅沢な事だと、つくづく思う。

                      だからと言って
                      個人的感想、偏見・独断で
                      何だかんだとブチブチ言う楽しみも止められませんが(こらこらこら!)

                      上品でお洒落な老婦人が多かったのに
                      さすがに現代オペラを進んで聴きにくる聴衆だな、と思ったのは
                      (前半で帰った人も何人か居たけど)
                      咳き込みが非常に少なかった事。
                      そう言えば、ウィーン・モデルン現代音楽祭だって
                      年配の聴衆は多いよね・・・

                      TPOで着ているお洋服やアクセサリーが違っていても
                      ここに居る多くの「上品でハイソっぽい年配の方々」は
                      意外にウィーン・モデルン現代音楽祭に
                      ものすご〜くカジュアルな普段着で来る人たちなのではないか・・・
                      (ウィーン・モデルンで、この手のお洒落したらモロに浮く)

                      そう考えると、ウィーンの聴衆って
                      演奏している方にとっても、気の抜けない相手なのかもしれない
                      ・・・と余計な事を考えてしまう私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                      昨日はフォルクス・オーパーで
                      バレエのロメオとジュリエット(ベルリオーズ、振付ボンバーナ)を観たのだが
                      ものすごく踊るプログラムなのに
                      あまりハイライト・シーンみたいなものがなくて、ダラダラと続くし
                      後半でコーラスとオーケストラのかなりのズレがあって・・・
                      リアル・カップルのロメジュリは、とてもリアルでした、うふ ♡

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