真夏の夜の夢 ベンジャミン・ブリテン

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    Wiener Staatsoper 2019年10月13日 19時〜22時

    Benjamin Britten
    A MIDSUMMER NIGHT’S DREAM
    Oper in drei Akten / Text von Benjamin Britten, Peter Pears

    指揮 Simone Young
    演出 Irina Brook
    舞台 Noëlle Ginafri-Corbel
    衣装 Magali Castellan
    照明 Jean Kalman
    振付 Martin Buczko, Théo Touvet
    児童合唱指導 Johannes Mertl

    Oberon: Laurence Zazzo
    Tytania: Erin Morley
    Puck: Théo Touvet
    Theseus: Peter Kellner
    Hippolyta: Szilvia Vörös
    Lysander: Josh Lovell
    Demetrius: Rafael Fingerlos
    Hermia: Rachel Frenkel
    Helena: Valentina Nafornitā
    Bottom: Peter Rose
    Quince: Wolfgang Bankl
    Flute: Benjamin Hulett
    Snout: Thomas Ebbenstein
    Sung: William Thomas
    Starveling: Clemens Unterreiner
    Cobweg: Emil Lang
    Peaseblossom: Niklas Rudner
    Mustardseed: Mihail Savenkov
    Moth: Fabio Ringer
    Exotic Child: Ramtin Geretschläger
    Blockflötenensemble: Linus Kölpl, Laurenz Zoglauer, Anna Barnas,
    Karin Hageneder, Fabian Lucas Holzer, Stefan Tokár

    Orchester der Wiener Staatsoper
    Bühnenorchester der Wiener Staatsoper
    Opernschule der Wiener Staatsoper
    Wiener Staatsballett

    今シーズンの新プロダクション、ベンジャミン・ブリテンの
    「真夏の夜の夢」 今回で4回目の上演だが
    新聞評もベタ褒めだったし
    初演に行った大学の同僚(お達者倶楽部)が
    「すごく良かった」と絶賛していたので
    期待して行って(しかも、かなりお高い席を奮発)

    いや〜〜〜、むちゃくちゃ良かったです !!!!

    舞台がともかく楽しい。
    歌手としての能力だけではなくて
    ちゃんと歌って演技できて、見た目もハマった歌手を揃えていて
    舞台芸術としての完成度が非常に高い。

    プログラム買ったら
    普通、後ろに日本語のあらすじが記載されているのだが
    今回のプログラムはあらすじの記載は全くなし
    ・・・と思ったら
    あら、もしかしたら、ドイツ語版と英語版のプログラムがあるのね?
    (プログラム表紙下のところに「ドイツ語」って書いてある)

    まぁ、シェークスピアの「真夏の夜の夢」だから
    話は誰でも知っているので、別にあらすじ、不要だけど(笑)

    オーケストラ編成はとても小さい。
    出てくる音楽も、とても室内楽的な繊細な音楽なのだが
    いや〜、ベンジャミン・ブリテン、凄いわ。

    ブリテンの音楽って、ある程度、耳に慣れるまでに
    かなりかかったのだが(イアン・ボストリッジに感謝)
    オペラ音楽としては
    確かウィーン劇場でのルクレチアの陵辱にはハマって
    数回、観に行った事があったっけ。

    で、室内楽的なオーケストラなんだけど
    音楽がむちゃくちゃ楽しい。
    音楽による情景の描写とかが、いちいちハマっている上に

    演出家と指揮者が良いのだろうと思うけれど
    歌手の仕草が、音楽にピッタリ合っているのだ。
    これは驚いた。歌手が歌いながらする仕草と
    音楽の情景が完璧に一致する、という経験は初めてである。

    オベロンはカウンター・テノール。
    立派な体格の髭もじゃ男性が、高いテノールで歌うと
    最初はギョッとするが
    カウンター・テノールなのに堂々としていて
    オペロンの風格があるんだよね〜。ちょっと惚れてしまうかも。

    タイタニアのキュートさも素晴らしいし
    その存在感で目立ちまくっていた
    ボトム(ピーター・ローゼだ!)も魅力的。

    パック役は歌手ではなく、俳優さんだと思うんだけど
    新聞評では「アクロバット」と書いていたけれど
    アクロバットよりは、アクロバット・ダンサーだろう。

    パック役にしては、身長が高いのだが
    その大柄さを全く感じさせず
    舞台でトンボ飛んだり、すごいジャンプをしたり

    しかも、声がものすごく通るし、英語がクリアで
    舞台の端や、ソファを動かしたりしているシーンでも
    存在感が大きくて
    でも、やっぱり妖精で(笑)

    ああいう芸達者な役者さんが1人居ると
    演技が下手くそな歌手が居ると悪目立ちするのだが
    今回の配役、どの歌手も、むちゃくちゃ演技が出来て
    木偶の坊が一人も居なかったのには舌を巻いた。

    プロモーション・ビデオの出来が良いので
    下に貼っておく。



    惜しむらくは、このオペラ、音楽があれだけ室内楽的だと
    ウィーン国立オペラ座は会場としては、少し大き過ぎる印象を持つ事と

    日本語の字幕が・・・
    調子悪かったのかもしれないが
    時々、出なくなったりする上に
    何だかすごく省略されていて、あの日本語字幕だと、よくわからないシーンが多い。
    (まぁ、喋られたり歌われたりしているのは英語だから
     それでもある程度はわかるのだが)

    ちょっと今、仕事も勉強も発表も
    突然、何から何まで、どっさりと降って来て
    こんなブログ書いてる時間もない、という状態なので
    役の名前とか、日本語にしていないけれど
    どうぞお許し下さい。

    そんな時間がない(冷汗)という時に限って
    来週は毎日ナイト・ライフを入れているワタシって
    いったい何なんだろう、と
    自分で呆れている私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    なにせ今学期は朝8時からの授業が週3回(6時起床)
    1日3コマとか4コマとか入れているので
    自分でもワケわからなくなっている状態・・・(冷汗)
    なのに、再来週には先学期の講義の試験が(以下省略)

    今日の午前11時にはウィーン・フィルとティーレマンで
    またブルックナー8番聴いて来たけれど
    それについて、何か書いてる時間がない・・・
    (まぁ、3回目なので、もう読者も飽きてるだろう・・・)

    ナクソス島のアリアドネ 国立オペラ座

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      Wiener Staatsoper 2019年10月8日 19時30分〜22時15分

      ARIADNE AUF NAXOS
      Oper in einem Akt nebst einem Vorspiel
      Musik : Richard Strauss
      Text : Hugo von Hofmannsthal

      指揮 Michael Boder
      演出 Sven-Eric Bechtolf
      舞台 Rolf Glittenberg
      衣装 Marianne Glittenberg
      照明 Jürgen Hoffmann

      プロローグの登場人物
      執事 Hans Peter Kammerer
      音楽教師 Jochen Schmeckenbecher
      作曲家 Kate Lindsey
      テノール Stephen Gould
      兵士 Oleg Zalytskiy
      ダンス教師 Thomas Ebenstein
      カツラ職人 Wolfgang Igor Derntl
      召使い Marcus Pelz
      ツェルビネッタ Hila Fahima
      プリマドンナ Adrianne Pieczonka
      ハーレキン Samuel Hasselhorn
      スカラムーチョ Carlos Osuna
      トラファルディン Peter Kellner
      ブリゲッラ Leonardo Navarro

      オペラの登場人物
      アリアドネ Adrianna Pieczonka
      バッカス Stephen Gould
      ナヤーデ Maria Nazarova
      ドリアーデ Svetlina Stoyanova
      エコー Ileana Tonca
      ツェルビネッタ Hila Fahima
      ハーレキン Samuel Hsselhorn
      スカラムーチョ Carlos Osuna
      トラファルディン Peter Keller
      ブリゲッラ Leonardo Navarro

      Orchester der Wiener Staatsoper

      好きなものは好きなので
      年に1回くらいは、どうしても観たくなるオペラが
      普通にスタンダード・レパートリーとして上演される
      国立オペラ座って、好き ❤
      (本当はカプリッチオの方がもっと好きなのだが
       さすがにこれはスタンダード・レパートリーは無理(笑))

      安定のクオリティというか
      いわゆる「スター歌手」というのではないし
      ヴェルディやプッチーニと比べると
      「普通の」観光客にウケの良い演目でもないので
      チケットが比較的入手し易かったのか
      周囲がみんな観光客で

      それは良いんだけど
      ちょっと辟易する事もあって

      オペラ・パートの最初の、あの繊細な室内楽的メロディに
      レジ袋のガサガサ音と「何買ったの?」とか言う(外国語なので理解不能)
      年配の女性同士のお喋り声が混じったら
      どんな気分か、想像してくれ。

      この年配カップル、女性の方がずっと喋っていて
      何回注意しても無理なので、もう諦めて
      最後の方で、あら少し静かになったか、と思ったら
      男性のイビキが聞こえて来た。
      ・・・お疲れだったんでしょうね(ため息)

      隣の若いお兄ちゃんとお姉ちゃんが
      オペラの間に盛大なラブシーンを繰り広げていても
      スマホでずっとビデオを撮っていても
      気にし出したら
      せっかく30ユーロ以上の席を奮発したのに
      もったいない。

      この演出(2012年〜13年のシーズンから)での上演は28回目。
      私は、この演出でオペラ座で観るのは9回目(しつこい)

      ヒラ・ファヒマは、すっかりツェルビネッタの役をモノにしたようだ。
      オペラ・パートのアリアでは
      いつも通り、音符と音符の解像度はあまりないけれど
      こちらも聴いているうちに、ファヒマの歌唱に慣れて来ちゃった(笑)

      最初の頃は声量がない、とか書いているが
      このオペラ、別に声量なくても
      いわゆる、伝統的オペラというか
      コロラチューラの超絶技巧をバロック的に楽しんでも良いと思うので
      オーケストラは音量を抑えて(もともと室内楽編成だし)
      すごく楽しく聴いた。(この歌手、ドイツ語もハッキリしているし)

      作曲家のケイト・リンジーが素晴らしかった。
      まだ39歳だし、これからも伸びるだろうが
      演技も巧いし、見た目も美しくて男性役ピッタリだし
      声量もある、ドイツ語もちゃんと発音している。

      シュメッケンベッヒャーの教師役も何回も聴いたが
      この人も堂々とした声量があって
      教師役にハマっているが

      この大声量のシュメッケンベッヒャーと対峙して
      ケイト・リンジーの作曲家役、全く聴き劣りしないし
      ツェルビネッタに惚れるところとか
      何だかすごくリアルだし
      最後のシーンでは、本当にキスしてる(ように見える)(笑)
      見た目のバランス(背の高さ)とかも絵になっていて素敵。

      テノール+バッカス役のステフェン・グールドが抜群。
      いや、本当にこの人、ヘルデン・テノールそのものって感じ。
      あれだけ長いシーンで
      堂々と会場中に響き渡る美声・・・
      アリアドネが惚れちゃうのもわかるわ。

      侍従長は、今まではずっとペーター・マティッチだったが
      残念ながら、あんなにお元気だったのに
      突然亡くなってしまったので
      今回はハンス・ペーター・カンマーラー。

      美しいバリトンの声で
      ほんの少しだけウィーン風の洗練さ(=いやらしさ(笑))もある。
      マティッチと比べたらいかんのだが
      堂々としていて
      嫌味ったらしくて(褒めてます)
      存在感は抜群だった。
      (後半では、舞台の後ろで動いているのだが
       バッカスが横で歌い出して、ひっくり返るところを
       本当にひっくり返っていた(痛かったんじゃないのか・・・))

      オーケストラはホーネックさんがコンマス。
      あ〜、もう、本当に
      これだけ熟知しているオーケストラの紡ぎ出す
      リヒャルト・シュトラウスの音楽は
      天上の響きで
      何でこのオーケストラ、こういう曲を演奏させると
      実に艶っぽい響きになるんだろう?

      このオペラって
      モーツァルトで始まってワーグナー(のパロディ)で終わる、と
      私の好み的に理解しているんだけど
      最初の序幕部分の音楽構成の巧みさは
      何回聴いても驚くし
      私はこの序曲が始まると、反射的にウキウキして来て
      何かが起こる、という期待感がたまらない。

      全然「感想文」になっていないのだが
      本当に本当に楽しかった。
      この演出、後半の後ろ部分での演技が多すぎて
      ちょっと、くどい部分はあるのだが
      (何回も書いているが、このオペラを観るのであれば
       ちゃんと舞台の後ろの方までバッチリ観える席でないと
       半分以上、損をするぞ。あの舞台の奥のドタバタは楽しい)
      そこらへんは、何回も見て
      ここで何が行われるか的な事は把握しているから大丈夫。

      あと1回くらい観に行っても良いかなぁ、と
      真剣に考えている私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      本当にもう一度行くなら、立ち見席でも良いかなぁ。
      今日の立ち見席、途中で帰る人も多く
      平土間の立ち見席なんか、最後は3分の1も埋まってなかったし
      ギャラリーとか、かなり空いていた感じだった。
      (音はギャラリーの方が良い。舞台は知ってるから別に見なくても・・・)

      影のない女@国立オペラ座

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        Wiener Staatsoper 2019年6月10日 17時30分〜22時

        DIE FRAU OHNE SCHATTEN
        Musik von Richard Strauss
        Oper in drei Aufzügen / Text von Hugo von Hofmannsthal

        指揮 Christian Thielemann
        演出 Vincent Huguet
        舞台 Aurélie Maestre
        衣装 Clémence Pernould
        照明とビデオ Bertrand Couderc
        ドラマツルギー Louis Geisler

        皇帝 Stephan Gould
        皇后 Camilla Nylund
        乳母 Evelyn Herlitzius
        魔界の使者 Wolfgang Bankl
        魔界の守り主 Maria Nazarova
        若人の声 Benjamin Bruns
        鷹の声 Maria Nazarova
        上からの声 Monika Bohinec
        バラク Wolfgang Koch
        バラクの妻 Nina Stemme
        片目の男 Samuel Hasselhorn
        片腕の男 Marcus Pelz
        せむし Thomas Ebenstein
        召使い Ileana Tonca, Mariam Battistelli, Szilvia Vörös
        生まれていない者たちの声 Ileana Tonca, Mariam Battistelli, Virginie Verrez,
        Szilvia Vörös, Bongiwe Nakani
        ソロ Ileana Tonca, Mariam Battistelli, Virginie Verrez, Szilvia Vörös,
        Bongiwe Nakani, Zoryana Kushpler

        Orchester der Wiener Staatsoper
        Chor der Wiener Staatsoper
        Bühnenorchester der Wiener Staatsoper
        Opernschule der Wiener Staatsoper
        Komparserie der Wiener Staatsoper

        ウィーンにティーレマンがご降臨になると
        はなからチケットは全て売り切れである(断定)

        コンサートに関しては
        以前ほどではないけれど
        さすがオペラ、しかもリヒャルト・シュトラウスとなれば
        (ワーグナーとリヒャルト・シュトラウスしか振らないが)
        何公演あっても、すべて売り切れ。

        たまたま良き友人が、チケットあるけど行けない、というのを聞きつけて
        きゃ〜っ、チケット、譲って下さい!!!という
        ラッキー・チャンス。
        本当に有り難うございました ❤

        清水から3段跳びくらいでジャンプした価格で
        こんな良い席でオペラを観た事はありません、というお席 (^^)

        座ったままで、舞台全部見えるし
        オーケストラ全部見えるし
        ティーレマンも見えるし
        ティーレマンの前のスコアまで(オペラ・グラス使うと)ばっちり見える。

        (いつも、どんな貧民席なんだよ、とツッコミ入りそうだが
         良いんです、身分相応というものはわかっておりますので)

        しかしプログラムを見て、どっひゃーん!!!
        17時30分開始で22時まで。
        月曜日、授業が17時30分まであるじゃん、どうしよう?と思っていたら
        本日は聖霊降臨祭の月曜日で祝日だった \(^^)/

        さて「影のない女」
        すごい大昔にオペラ座で一度観た事はあるが
        いったい、何だこりゃ?と、ま〜ったく理解できず
        (当時は字幕がドイツ語と英語しかなかった)
        皇帝?皇后?そこに染物屋のオヤジとオバンに
        鷹が出て来たりとか
        メルヘン?のようだが、ともかく理解不可能、という印象しかない。

        30分前に行われる作品解説を聞いてみた。
        解説者によると、このオペラは何でもアリなんだそうで
        エレクトラとかバラの騎士とかナクソス島のアリアドネとか
        ともかく何でも入っているらしい。

        演出の意図は、やっぱりこれはメルヘンで
        心理劇とか、隠された意図は、観て聴けばわかる(らしい・・・)
        各登場人物が、それぞれの課題をこなす事によって
        新しい段階に進む、というのが中心テーマらしい。

        ふ〜ん・・・

        さて舞台だが
        メルヘン? どこがメルヘン???

        最初は湖か何かの上に浮いたパヴィリオンで
        その後は、後ろが岩っぽい舞台設定で
        最初から最後までモノトーンで暗い。

        皇后の衣装は真っ赤
        バラクの妻の衣装は真っ青

        ・・・これって、もしかしたら聖母マリアの隠喩か(?)

        ストーリーは皆さまご存知だと思うので
        くどくどは書かないけれど

        何ですかこれは!
        正しい家族計画物語なのか
        不妊の物語なのか
        産めよ殖やせよのテーマなのか

        うわあああ
        結婚したら子供を産め、という
        どこかの国の政治家のメッセージみたいな話じゃないの。
        (誤解があるとは思いますが、個人印象記なのでご勘弁を)

        適齢期で結婚して
        正しく子供を産んで
        健全な家庭を築いている方々は
        何も問題なく鑑賞できるだろうが

        私みたいに
        モテず、結婚も出来ず、子供も出来ずの人生を過ごしてしまうと
        これは、これは、これは

        精神的に異常にキツイ。

        というより、何だよ、この時代錯誤な
        しかも女性蔑視(女性は子供を産む機械かっ!)の世界は!!!(怒)

        こんなオペラがいまだに上演されている事が信じられない。
        信じられないのだが

        いや、ちょっと、これ
        音楽がものすごく素晴らしいじゃないの。

        題材は嫌悪すべき物であるとしても
        それにくっついた音楽が
        確かに解説の時間で言われた通り
        リヒャルト・シュトラウスらしいモチーフが
        見事なオーケストレーションで演奏されてしまうと
        音楽だけで、ノックアウトされそう。

        バラクの妻のニナ・シュテメが、実に素晴らしかった。
        共感を呼ぶような役ではないのだが
        (だってさ、専業主婦で甘えるんじゃねえ!とか言いたくなっちゃうので)
        皇后のカミーラ・ニュルンドと共に
        第二幕での歌合戦(じゃないけど(笑))
        お互いに譲らず、ドラマチック・ソプラノのプライドを賭けてのシーンは
        本当にタンホイザーの歌合戦・・・あっ、違う(汗)

        ヘルリツィウスの乳母も、声は低音域まで伸びるし
        ドイツ語はちゃんとドイツ語に聞こえる。演技も巧い。
        (ニュルンドとシュテメはドイツ語にはあまり聞こえなかったけど
         まぁ、あれだけ周波数の高い領域では無理というものだ)

        ステファン・グールドの皇帝は、歌う部分は少ないが
        この人も声量あるし、声は伸びるし
        堂々としていて皇帝の風格があるし、素晴らしい。

        バラク役のヴォルフガング・コッホは
        圧倒的な声量はないのだが
        バラクって、そういう役どころだし
        何とも優しそうな役作りで共感できる。

        ・・・いや、だからストーリーはまた別で
        バラクだって
        「若い妻を守って、子供が出来たら、何人でも飢えさせないように
         頑張って仕事するのが僕の責任」って
        そりゃ、理想的なお父さん像ではあろう。

        だけどね、良い人だから愛する、という単純構造には
        現実はなってませんから(断言)

        真面目に仕事して良い人だけど
        退屈で生理的にも受け付けない。
        だけど、その収入で生きてる(専業主婦)私にも自己嫌悪
        ・・・というのがバラクの妻の初期状態である。

        現代だったら、女性の自立⇨離婚の道まっしぐら。

        それが、途中で、バラクの人の良さに打たれて
        やっぱりこの人の子供が欲しい、となってしまう
        バラクの妻って、何なんだこれは。

        あ〜、すみません。
        ストーリーについて書き出すと
        怒りで指が震えて、とんでもない事まで書いちゃいそうなので止めます。

        音楽の素晴らしさについつい耳が行っちゃうので
        ほとんど退屈しないけれど

        短二度で繰り返される「鷹」って何の象徴なんだろう?
        途中のシーンで出てくる多数の戦死者が横たわっているシーンって
        演出家は何を考えていたんだろう?
        乳母は、母親の悪口を子供に吹き込む姑の象徴かな、とか
        (あ〜、すみません・・・)
        考えてみれば、カイコバートという名前は煩雑に出てくるものの
        カイコバートそのものはオペラには登場しないのは何故なんだろう、とか

        まぁ、様々な謎のあるオペラで
        だからこそ、飽きが来ないのかもしれない。

        そういう不思議な謎がなかったら
        「夫婦は愛し合って、たくさん子供を作りましょう。
         でも、人の犠牲まで強要しての不妊治療は止めましょう」
        っていう、非常に不愉快で、かなり単純で
        異様に生々しい時代錯誤の女性蔑視だけになってしまうからな、きっと。

        歌手は揃ってるし
        音楽は、ともかく素晴らしい(思い切り強調)
        オーケストラのメンバー、誰一人、手抜きしてないし
        いや〜、こういう音楽だと
        国立オペラ座管弦楽団=ウィーン・フィルというのも納得できる。
        (すみません、普段、バレエしか行かないので(以下省略))
        弦の響きの豊かさ
        シュトイデさんのバイオリンのソロの泣きたくなる位の美しさ。
        チェロのソロは、スキャンダルから不死鳥のように生還したノイジさん。
        金管も木管も、パーカッション(比較的出入りは激しい)も抜群。

        ティーレマンの熱心な信奉者が多いので
        登場するたびにブラボー・コールが飛ぶ。
        (お隣の男性が大声で叫ぶので、耳が痛くなった(笑))

        ティーレマンも音楽にはご満悦だったようで
        終演後、コンマスと握手かと思いきや
        抱き寄せてハグしていた(迷惑そうだった(笑))

        こんな(売れ残り子ナシの)女性にとって
        失礼で不愉快な話はない訳で
        (まぁ、1914年〜17年の話だ、100年前の話なのだ!
         時代が違う! って言うか、100年前に生まれていなくて良かった)
        もう二度と行く気はないけれど

        あんなに良い席でオペラを観る事も
        たぶん、二度とないだろう、という私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        ただ、考えてみれば、4時間30分というオペラなので
        時間単位で割ってみたら(時給?笑)
        そんなにむちゃくちゃ高い、というワケではないかもしれない。
        それ言ったら、ブルックナー1曲とかの楽友協会の方が
        分割りにしたらお高いわ(すみません、ケチで f^_^;)

        国立オペラ座 椿姫

        0
          Wiener Staatsoper 2019年2月1日 19時30分〜22時

          Giuseppe Verdi
          LA TRAVIATA
          Melodramma in drei Akten
          Text von Francesco Maria Piave

          指揮 Marco Armiliato
          演出 Jean-François Sivadier
          舞台 Alexandre de Dardel
          衣装 Virgine Gervaise
          マスク Cécile Kretschmar
          照明 Philippe Berthomé
          振付 Boris Nebyla

          ヴィオレッタ・ヴァレリー Ekaterina Siurina
          フローラ・ベルヴォア Zoryana Kushpler
          アニーナ Donna Ellen
          アルフレード・ジェルモン Saimir Pirgu
          ジョルジョ・ジェルモン Ludovic Tézier
          ガストン Carlos Osuna
          ドゥフォール男爵 Sorin Coliban
          ドビニー侯爵 Clemens Unterreiner
          グランヴィル医師 Ayk Martirossian
          ジュゼッペ Dritan Luca
          使者 Hiro Ijichi
          フローラの召使い Roman Lauder
          助手 Christoph Nechvatal

          「オペラ行かない?」のお誘いに乗って
          いつも売り切れの、かの名作オペラ「椿姫」に行って来た。

          実はこの新演出、興味があったんですよ。
          2011年のシーズン開幕に
          ナタリ・デッセイ出演という事で
          本当にナタリ・デッセイ用に作られた演出だったらしい。

          デッセイは2011年の新シーズン開幕に7回出演して
          その後はウィーンのオペラには出演していない。

          というわけで
          ナタリ・デッセイのための演出を
          ナタリ・デッセイが歌ったトレイラーがあるので
          どうぞご覧下さいませ。



          青を基調にした、倉庫のような舞台で
          舞台装置はほとんどなし。
          衣装も、最初のヴィオレッタの衣装だけ
          青でペチコートが赤という衣装だが
          男性歌手の衣装は普通の背広でコートだし
          バロック風の椅子とかもなくて(倉庫の椅子はある)
          華やかな1850年代の貴族社会+娼婦の妖しげなエロスの世界とは
          舞台装置も衣装も、かなり程遠いところにある。

          かてて加えて、バレエ・ファンであれば
          椿姫と言えば、ジョン・ノイマイヤーか
          あるいは、こちらの絵柄が頭にデフォとして入っているわけで・・・
          ⇩ 1分7秒のところからご覧下さい。
          (音楽はリストだけど、ストーリーは椿姫)



          そりゃ、ヴェルディの「椿姫」と言えば
          クラシック・ファンとかじゃなくても
          音楽はむちゃくちゃ有名だし、アリアはみんな知ってるし
          もちろんストーリーも有名。

          デッセイの回の後、様々な歌手と指揮者が取っ替え引っ替え上演して
          今回で61回目の上演になるけれど

          これだけ舞台が簡素だと
          あとは、音楽の素晴らしさと
          出演者の魅力でしか見せられない。

          バレエじゃないから、オペラだから
          見た目よりは声が出る方が優先されるのは、よ〜くわかる。

          しかも私の歌の先生が言っていたが
          このヴィオレッタの役は
          最初のスープレットと、後半のドラマチックを
          1人の歌手が歌わねばならないため
          ものすご〜〜〜〜〜〜い才能と、自由自在な声と
          むちゃくちゃ体力が必要な役のナンバー・ワンなのだそうで

          あ〜、はい、もう、言いたい事は察して下さい。

          序曲の時から
          下手(しもて)にヴィオレッタが召使いと座り
          上手(かみて)にアルフレッドが立っている。

          あ〜、ヴィオレッタのソプラノ
          あれだけエラ張っていて、顔がむちゃくちゃ大きくて
          しかも顔が首と肩にめり込んでいるスタイルって
          声の共鳴には良いんだろうなあ・・・羨ましい。

          なのに、最初のアリアであんまり声が飛んで来ない。
          一瞬、席が悪いのか
          歳のせいで耳が遠くなったのか・・・

          アルフレードも、ヴィオレッタを熱烈に恋する青年というよりは
          妖しげな趣味(ナントカ専)の中年にしか(あっ、すみませんっ汗)

          主人公2人とも、ともかく、頑張ってはいる。
          ものすご〜〜〜く頑張ってる。
          必死に声を張り上げているのがわかるし
          後半のドラマチック部分は、かなり良い感じになっていて

          まぁ、時々あるような
          お母さんと息子のラブシーンとか言う
          気恥ずかしい絵にはなっていなかった。
          (ちょっと妖しげなカップルではあったが)

          だけど、ワタシ、公衆の面前でのラブラブ行為には
          非常な偏見を持っているので
          (心理的に言えば、本当は自分がやりたい!)
          なんかもう、あちこちでガバッと抱きついたりキスしたりって
          恥ずかしくて見ていられない。
          (これが、私がオペラを苦手とする大きな要因である。
           バレエは良いの。出てくるダンサーたちがあまりに美しいので
           現実の世界とは思えないから(笑))

          唯一、ピカッと輝いていたのがお父さんジェルモンで
          堂々とした上品なマント姿で
          (しかもよく見ればそんなに歳取ってなくてハンサム ♡)
          何とも滑らかで美しくて
          切々と語りかけるジェルモン・・・

          うわあああ、この歌手だけ、格が違うわ・・・
          と思ってキャスト表見たらリュドヴィク・テジエであった。
          多少、体躯がたっぷり目になったけれど
          声は飛んでくるし、美しいし、優しくてジェルモンお父さんばっちりだった。

          実はオーケストラが非常に良かったので驚いた。
          (いや、驚いてはいけない、天下のウィーン・フィルである(汗))
          いつもバレエしか観ていないので
          オペラになると、こんな繊細な美しい音を出すのかこの人たちは
          ・・・大変に失礼な発言ではあるが、どうぞお許し下さい。
          オーケストラの音だけ聴いていても良かったかもしれない。

          途中に出てくる短いバレエのシーン。
          男性バレエ・ダンサー3人だったのだが
          主役級を踊ったダンサーは
          フォルクス・オーパー所属のサムエル君ではないか。
          (なんでそんなところだけ見てるんだ、ワタシは)

          最後のヴィオレッタの死のシーン
          ご存知、ここだけ「セリフ」が入るのだが
          (これ、大変だと思うぞ。歌声の時の声帯の位置から
           話し声の位置に戻すって至難の技。
           セリフはほとんど聞こえなかった(けれど、それは理解できる))
          そのまま、ルルベで立って、ソプラノが舞台の前の方に移動して来て

          一瞬、私は
          あ、これって、ヴィオレッタが突然元気になって
          そのまま生きてアルフレードとハッピー・エンドか

          ・・・と妄想してしまいました。
          (ソプラノ女史、なかなかご立派な体型ですし)

          舞台の前の方でルルベから美しく(これは見事)
          舞台の上に倒れこんで照明が落ちて幕。
          ちっ、ハッピー・エンドじゃなかったのか。
          (そういう演出、あっても良いような気がするが
           それやったら、ただのパロディになってしまふ・・・)

          観客のマナーに関しては
          ちょっと色々と言いたい事はあるんだけど
          あまり悪口を書くと
          自分の品性が疑われてしまうので止めておく。
          できれば上演中のお喋りとイビキは避けて欲しいとは思う(笑)

          椿姫と言えば、やっぱり音楽は素晴らしいので
          ああいう、骨格だけ、みたいな舞台装置と衣装は
          ちょっと残念ではある(しかも舞台暗いし)

          でも、良き友人と
          情け容赦なく歌手のコキおろしをしながら
          鑑賞した椿姫、非常に楽しかった。
          こういう機会がないと
          なかなかこう言う演目に行かないし・・・

          むちゃくちゃ現代演出にしてしまうのだったら
          フォルクス・オーパーでやっていた
          ピエロ・バージョンがむちゃくちゃ良くて
          (最後に抱き合って歌うシーンが抱き合わない)
          あれは、できればもう一度観てみたいものだ、と
          本気で思った私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。


          アンドレア・シェニエ

          0
            Wiener Staatsoper 2019年1月6日 19時〜21時50分

            Umberto Giordano
            ANDREA CHÉNIER
            Dramma istorico in vier Akten
            Text von Luigi Illica
            指揮 Frédéric Chaslin
            演出 Otto Schenk
            舞台 Rolf Glittenberg
            衣装 Milena Canonero

            Andrea Chénier : Gregory Kunde*
            Carlo Géraud : Luca Salsi*
            Maddalena di Coigny : Tatiana Serjan*
            Bersi : Virginie Verrez*
            Gräfin di Coigny : Lydia Rathkolb*
            Madelon : Zoryana Kushpler
            Roucher : Boaz Daniel
            Pietro Fléville : Igor Onishchenko*
            Fouquier Tinville : Alexandru Moisiuc
            Mathieu : Wolfgang Bankl
            Der Abbé : Benedikt Kobel
            Ein „Incroyable“ : Thomas Ebenstein
            Ein Haushofmeister : Markus Pelz
            Dumas : Markus Pelz
            Schmidt : Markus Pelz

            Orchester der Wiener Staatsoper
            Chor der Wiener Staatsoper
            Bühnenchor der Wiener Staatsoper
            Opernschule der Wiener Staatsoper
            Komparserie der Wiener Staatsoper

            何でまた新年早々からイタリア・オペラを観に行ったかと言うと
            特別25%割引・・・というのに釣られた(だけ)

            オペラだと、ロジェの後ろの音響が最悪なので
            ギャラリー(天井桟敷)に逃げるのだが
            更にそこで舞台がそこそこ見える席で
            割引有効で32ユーロなら
            まぁ、普段見ないイタリア・オペラも時々は良いかも・・・

            ・・・・しまった。
            これ、ヴェリズモ・オペラであった(←ものすご〜〜〜く苦手)

            有名なオペラだし
            オペラ座のスタンダード・ナンバーで
            今日で112回目の公演なので
            プログラムも昔のフォーマットでコンパクトで
            いつもの大判プログラムより1ユーロ安い。
            (まぁ、バラの騎士とかよりはプログラムは新しい、念の為)

            キャスト表みたら
            何ですか、この星*の数は!!!
            (*はその役の国立オペラ座でのデビューである)
            主要人物が全員、今日が初舞台ですか。

            で、初舞台なのに全員、中年(あるいはそれ以降)???!!!

            普段、バレエの舞台で
            若くてピチピチの見た目良き男女の美しい動きを堪能しているので

            あ〜、はい、すみません、それ以上は言いません。
            オペラとバレエでは、その性格が違うのだから
            舞台に中年の恰幅の良い男女が登場するのがオペラである(たぶん)

            舞台そのものは、ほとんど装置がなくて
            小物(と言っても荷馬車とか机とかソファ)と
            後ろの幕の変化で対処。

            登場人物がえらく多い。

            最初のパーティのシーンの前の
            ジェラルドの独白(アリアとも言うらしい)で
            うわ〜〜〜、すごい声量。

            バリトンの深い見事な声が
            天井桟敷にバンバン飛んで来て
            自分の身分に対しての恨み辛みのグチグチが
            情熱的に、劇的に、激情的に、熱苦しく
            すごいエネルギーで歌われる。
            (すみません、もうここで、ワタクシ、疲れ始めている有様で・・・)

            パーティの場面の登場人物が異様に多く
            全員が、パリの革命直前の貴族の衣装をお召しになっていて
            あ〜、舞台装置に使う予算を
            衣装に使い切ったな・・・(邪推です、邪推)

            演出はオットー・シェンクなので
            非常に伝統的で、奇を衒ったところや
            ヘンな読み替えは一切ない。

            伝統的演出に基づいて
            歌手のアリアは、しっかり仁王立ちで
            教科書通りの姿勢で
            手を広げて歌う。

            マッダレーナが、やっぱり恰幅の良いおばさまで
            まぁ、スタイルと年はともかくとして
            低音が暗い・・・
            もしかしたら、これはロシア人か、と思ったら大当たりだった。

            ネトレプコもそうだけど
            何故にロシア人ソプラノの低音って暗いんだろう・・・と
            予々不思議に思っていたのだが
            私の歌の先生の話では
            もともとスラブ系言語の発音がそういうものだとか(ほんとか?)
            ↑例証がないので本当かどうかは不明。

            アンドレア・シェニエ役が
            また恰幅のよいおじさんで
            あ〜、もう、出てくる人物が
            みんな恰幅が良い。

            最後の方でアンドレア・シェニエとマッダレーナが
            ガバッと抱きつくシーン(何回もある)など
            遠目に見ても、肉と肉がぶつかり合っての大迫力。

            すみません、イタリア・オペラをバカにしているわけでも
            優秀な歌手の方を貶めているわけでもございません。
            お許しくださいまし・・・

            30分後(1幕後)で休憩1回。
            第2幕はシェニエとルーシェの密会で
            シェニエが
            「知らない女性が僕に手紙をくれる。
             私はやっと愛を知ったのだ。」とか歌い出すのだが
            どうも、そこらへんがよくわからん。

            ラブレターもらって恋に陥ちるって
            これは平安時代の話なのか?(激しい勘違い)

            その手紙の作者マッダレーナと会って
            突然激しい恋の炎に捉えられる2人

            ・・・ここらへんから、もう私にはワケわからん展開になる。

            恰幅が良い男性2人が剣を振るって
            ジェラールが倒れるところなんかは
            かなり巧く演技していて
            やっぱりオペラ歌手だなぁ・・・と
            ヘンなところに感銘を受けたが。

            ここでまた休憩
            (休憩2回だから、第3幕と第4幕は続けて演奏する)

            ジェラールのアジ演説で
            給料とか宝石とか、なけなしの金を出す市井の女性たちと
            息子を戦争で失って、最後の息子を
            「若いけれど立派に死ねます」と差し出す母親。
            う〜っ、これは戦時中を思い起こさせる。
            ヴェリズモ・オペラだから、リアルなのだ、きっと。
            詩人と貴族の娘のワケわからん恋愛はあまりリアルに見えないのに
            こういうところだけ、ヘンにリアル。

            ジェラールの苦悶のアリア。
            この演目、アリアというか、ソロが多いな。
            アリアというには、あまり完美なメロディとかはなくて
            まるでバラードを聴いているような気分だが。

            現れたマッダレーナに
            憧れていた、と告白するジェラール。

            マッダレーナが、もう私は身体がボロボロで
            私の身を犠牲にしてシェニエを救えるのであれば
            どうぞご自由に、と言うのに対して

            「おお、何と崇高な愛!」と感激して
            シェニエを救うのに全力を尽くします、と誓うジェラール。

            もう半分死んでいるようなものです、と儚げに言うマッダレーナの
            たくましい体つき(あっ、すみません!)

            このロシアのソプラノ、最初は太い暗い声でビックリしたけれど
            ここら辺の「儚げ」な声は、消え入りそうな細いソプラノ。
            うはははは、これは意外に聴かせるじゃないの。

            最終シーンでは
            シェニエのアリアが聴かせどころの上に
            マッダレーナが、自分が死刑囚の身代わりになると言って
            2人で高音張り上げて(張り合ってる(笑))
            愛は勝つ・・・みたいな長々としたデュエット。

            ありがたい事に、死刑台への馬車に
            2人で意気揚々と(そうしか見えない)乗り込むところで終わるので
            死ぬ、死ぬ、死ぬ的な長いアリアがなくて助かった。

            2人でガバッと抱きついて
            愛のアリアを延々と歌うところはあったけれど
            2人とも、比較的中年っぽいし
            2人とも恰幅が良いので
            お母さんと息子とかにならずに
            割にカップルとしては絵になってたし
            高音の張り上げもすごかった。

            イタリア・オペラだから、というのではなくて
            やっぱりヴェリズモ・オペラって、苦手だわ。
            リアルかと思うと
            こんなのあり得ないだろ、という恋愛沙汰が入ってくるし
            ジェラールも、もうちょっと悪役に徹して
            スカルピアみたいになれば良いのに
            身体を差し出すマッダレーナにほだされてしまうし

            まぁ、他の男の命を救うために
            私を抱いて良いのよ、とか言われても萎える男性はいるかも。

            いやいやいや
            これ、オペラだから・・・

            でも、やっぱりオペラだったら
            私はヴェリズモじゃなくて
            夢の世界の方が良い(好みの問題です)

            ヴェルディもプッチーニも実は苦手なのだが
            (ヴェルディの場合はイタリア万歳もテンコ盛りだし)
            ベッリーニとかドニゼッティ
            ロッシーニも楽しくて好き・・・という事は
            やっぱりヴェリズモが苦手なんだわ、ワタシ。

            当分、ヴェリズモ・オペラは
            いくら傑作と言われようが
            避けておこう、と心から思った
            ゲイジュツのわからない私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            この演目、先シーズンはカウフマンが歌ったので
            チケットが取れなかったのだが
            今シーズンは何故かチケットがかなり余っている様子。
            恰幅の良いテノール氏、かなり声は飛んで来るし美声だし
            ジェラールの深いバスが(多少暑苦しいとは言え)私は気に入った。
            (でももう行きません、たぶん・・・(笑))

            ヨハネス・マリア・シュタウド Die Weiden

            0
              Wiener Staatsoper 2018年12月20日 19時〜22時

              DIE WEIDEN
              Johannes Maria Staud - Durs Grünbein
              Oper in sechs Bildern, vier Passagen, einem Prolog,
              einem Vorspiel und einem Zwischenspiel

              指揮 Ingo Metzmacher
              演出、ドラマツルギー、アドバイザー Andrea Moses, Thomas Wieck, Moritz Lobeck
              舞台 Jan Pappelbaum
              衣装 Kathrin Plath
              照明 Bernd Purkrabek
              ライブ・エレクトロニック SWR Experimentalstudio
              (Michael Acker, Sven Kestel, ビデオ Arian Andiel)

              レア Rachel Frenkel
              ペーター Tomasz Konieczny
              エドガー Thomas Ebenstein
              キティ Andrea Carroll
              テレビのレポーター Sylvie Rohrer
              クラッハマイヤー Udo Samel
              レアの母親 Monika Bohinec
              レアの父親 Jörg Schneider
              ペーターの母親 Donna Ellen
              ペーターの父親 Alexandru Moisiuc
              デマゴーグ・森の番人 Wolfgang Bankl
              フリッツィ Katrina Galka
              フランツィ Jeni Houser
              避難民 Vitan Bozinovski
              水死体 Selina Ströbele
              カメラマン Gregor Buchhaus
              舞台上のハルモニウム Thomas Lausmann

              Orchester der Wiener Staatsoper
              Chor der Wiener Staatsoper
              Bühnenorchester der Wiener Staatsoper
              Komparserie der Wiener Staatsoper

              国立オペラ座の委嘱作品、ヨハネス・マリア・シュタウドの新作オペラ
              Die Weiden 訳せば「牧場」の
              最後の上演に何とか間に合って行って来た。

              プレミエ(初演)を観た同僚や
              その後に行った同僚が
              口を揃えて「微妙」と言っていた割には
              絶対に1回は観ておくべき、と強調していて
              それ以上になると、口を噤んでしまったのだが

              実際、鑑賞してみると
              ああ、うん、まぁ、確かに・・・(笑)

              リブレットは、牧場・・・というより
              この場合は河畔の沼地みたいなところだと思うのだが
              都会出身の女性と
              牧場ないしは沼地出身の男性のラブ・ストーリー(最後は破綻)に
              沼地出身の人たちの
              よそもの排斥主義とか
              デマゴーグによる排他的愛国心の煽りとか
              「故郷」概念に疑問を呈したり(これ、最近、流行なのかもしれない)
              異郷の人間との交流をどうするか、とか

              沼地で人間が鯉に変わっていく、という
              不条理劇を装いながら
              何故か、内容そのものは
              観ていて、ちょっと辟易するくらいに現実性を帯びている。

              デマゴーグ登場に加えて
              学識者の教授のスピーチ等を
              テレビ局が女性アナウンサーとカメラで追いかけたり
              その女性アナウンサーが
              沼地での川の氾濫のレポート中継とか

              人間が鯉に変わっていくという場面では
              舞台全員(コーラス)が鯉の仮面を被ったり
              人物の声がライブ・エレクトロニクスで水に溺れるようなエコーが入ったり

              非現実の世界と、現実世界が
              絶え間なく交流していくような感じで
              不条理劇というよりは
              現実批判をしようとすると
              あまりに直裁的になってしまうし
              かと言って、現実批判を風刺するのは難しいので
              不条理にしちゃえ、みたいな感じなのかなぁ。

              作曲家のシュタウドとリブレット作家の
              短いインタビューのクリップが国立オペラ座のサイトにあるが
              シュタウド曰く
              オペラだから、やっぱり次に何が起こるのか
              ワクワクしながら観るというのが正しい、というのには納得した。
              確かに、次に何が登場するのか
              さっぱりわからん。
              ついでにストーリーも全く意味不明だけど(笑)

              音楽はよく考えられていて面白い。
              多様なスタイル(スイング等もあり)を自由自在に使って
              飽きさせない。
              セリフもかなり多い。
              (出演者も歌手だけじゃなくて、俳優さんも居る。
               水死体役は最初から最後まで死体である(笑))

              場面転換の際に降りる幕に投影されるビデオが
              とても良く出来ていたと思う。
              (最初はたぶんニューヨークか何かの都会の景色が
               ズームされていくビデオで始まって
               「牧場」の場面になると、様々な川を下ったりする)

              バレエと違ってオペラの場合
              音響の関係上、私はロジェ(ボックス)は避けるのだが
              (ボックスはクソ高い1列目なら良いが、後ろは悲惨な音響)
              今回は・・・ううう、ロジェの一番安い席を買っておけば良かった。
              だって、途中で退場する人も多く
              休憩の後、ロジェみたら、空になってるロジェまであった・・・

              天井桟敷ギャラリー(それだって40ユーロ以上!)の席は
              舞台はだいたい見えるし
              音もはっきりくっきり飛んでくる。

              歌手陣はものすごく優秀。
              それぞれの存在感もバッチリある。
              ラブラブ・カップル(最後は両方とも破綻)が2組登場するのだが
              女性歌手も男性歌手も、それぞれの役柄をしっかり把握していたし
              脇役ながら、それぞれの父親・母親の歌と演技も巧い。
              (キャラクターが比較的、類型的なものだったけれど
               それだけに役柄の対比がしっかり見えた)

              やっぱり高い席はそれだけの事はある・・・

              ^^; いやいや、年の最後に贅沢に慣れてしまってどうする?
              と思いつつも
              最後の贅沢を満喫した(内容はともかくとして)私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。


              ナクソス島のアリアドネ

              0
                Wiener Staatsoper 2018年9月10日 19時30分〜22時

                ARIADNE AUF NAXOS
                Oper in einem Akt nebst einem Vorspiel
                Musik : Richard Strauss
                Text : Hugo von Hofmannsthal

                指揮 Patrick Lange
                演出 Sven-Eric Bechtolf
                舞台 Rolf Glittenberg
                衣装 Marianne Glittenberg
                照明 Jürgen Hoffmann

                プロローグの登場人物
                執事 Peter Matić
                音楽教師 Jochen Schmeckenbecher
                作曲家 Sophie Koch
                テノール Herbert Lippert
                兵士 Oleg Zalytskiy
                ダンス教師 Thomas Ebenstein
                カツラ職人 Won Cheol Song
                召使い Marcus Pelz
                ツェルビネッタ Hila Fahima
                プリマドンナ Adrianne Pieczonka
                ハーレキン Rafael Fingerlos
                スカラムーチョ Jinxu Xiahou
                トラファルディン Wolfgang Bankl
                ブリゲッラ Pavel Kolgatin

                オペラの登場人物
                アリアドネ Adrianna Pieczonka
                バッカス Herbert Lippert
                ナヤーデ Maria Nazarova
                ドリアーデ Svetlina Stoyanova
                エコー Olga Bezsmertna
                ツェルビネッタ Hila Fahima
                ハーレキン Rafael Fingerlos
                スカラムーチョ Jinxu Xiahou
                トラファルディン Wolfgang Bankl
                ブリゲッラ Pavel Kolgatin

                Orchester der Wiener Staatsoper

                シーズン開始になったら
                普段の私なら
                楽友協会の超貧民席にどっしり座って
                音の洪水に、心の中で歓喜の叫び声をあげながら
                溺れているところ・・・の筈なのだが

                何故か今シーズンはオペラ座のオペラで幕開けとなった(わはは)
                さして理由はないのだけれど
                というより、後で楽友協会でボストン来てるじゃん、と気がついた時には
                早々と(6月に!)アリアドネのチケットを買っていたのである。

                前置きが長いけれど
                バレエはお気に入りの席が、根性で早起きすれば
                かなりお得なお値段で入手できるのだが
                こと、オペラになると話が違ってくる・・・

                舞台が見えない席でも別に構わないのだが
                バレエで愛用の席は、音響がむちゃくちゃ悪くて
                オペラの時に、あの貧民席を買うと
                後で欲求不満の度合いが半端じゃないのは経験済み。

                たまたま、久し振りにアリアドネ観たいな〜とサイトに入った時に
                34ユーロで、舞台全部見えて、音響効果抜群そうな席があったのだ。
                (滅多に空いていない。ラッキーだった (^^)v)

                当初の予定では
                バッカスをステファン・グールド
                ツェルビネッタをダニエラ・ファリーが歌う予定だったのだが
                直前になってキャンセル情報が入り
                ヘルベルト・リッペルトとフィラ・ファヒマがジャンプ・イン。

                この演出のナクソス島のアリアドネ
                2012年にシュトゥットガルト版をザルツブルク音楽祭で観て
                その後、オペラ座で7回観てるわ・・・(あっはっはっは・・・f^_^;)
                よって、今回は8回目。オペラ座の上演回数は今日で25回目。

                演出も舞台もよく知っている・・・筈なんだけど
                実はこの演出、舞台上で見るところが多過ぎる。

                序幕で作曲家とツェルビネッタが恋仲になり
                オペラの後に舞台上で大々的にキッスして終わるのだが

                ナクソス島のアリアドネ上演の間中
                後ろの「観客席」で座っている俳優さんたちの動きが面白いのだ。

                演出上、最初のコメディ・デラルテのソネットは
                作曲家が書いた曲になっていて
                (作曲家が歌手に向かって指揮をしている)

                ツェルビネッタの歌も一部楽譜を渡して歌ってもらっているという
                オペラ・セリアとコメディの対立というよりは
                その2つが混合するというシーンをいくつか演出している。

                背景の俳優さんたち(プロローグの執事を含む)が
                後ろから歌手が登場すると驚いてひっくり返ったり

                ツェルビネッタを探している男性4人組に
                席から立って「お〜い、あっちだ、あっち、気がつかんのかいっ!」と
                方向を示したり(気がつかないので怒って座る)

                途中で召使いが飲み物を運んで来て
                美しい女性に囲まれた「ご主人」がレディに飲み物を渡して
                自分も取った後に
                執事が1杯飲み干して、ついでに2杯目も飲んでしまい
                召使いが呆れ返って戻る時に
                作曲家が「僕にも飲み物ちょうだい」とやって冷たく断られたり

                アリアドネが悲しみと嘆きを歌っている途中で
                居眠りしていたり

                ツェルビネッタの歌のエコーを(3人は後ろの席に座っている)
                最初は音楽教師が、よしよし、よくやったと後ろを振り返って褒めるのだが
                2回目になると「もう良い、うるさい、やり過ぎだ、止めろ」と怒り
                エコーがふてくされてしまったり

                ともかく本筋と全く関係のないところで
                むちゃくちゃ遊んでいる。

                だから、この演出は、舞台が見える席の方が楽しい。
                (というより、どこを観ていたら良いのか戸惑うかもしれないけれど)
                望むらくは舞台の奥まで見える席だが
                (ギャラリーだと高過ぎて完全に奥までは見えない)
                それは私のような貧民には高過ぎて手が出ない(自爆)

                さて演出についてはこの位にして
                この演目で執事と言ったら
                もうペーター・マティッチ以外に考えられないわ。
                当年81歳、まだまだお元気で声も通るし
                あの、イヤミたっぷりの鼻高々な執事のプロローグでの演技もさることながら
                オペラでの観客席での数々のコミカルな演技がたまらないです(笑)

                音楽教師役のシュメッケンベッヒャーは、何回か聴いた事があるが
                この人、本当に声量あるし
                ドイツ語がクリアで、執事との掛け合いが見事で
                (執事は語りだから、歌のドイツ語がクリアでないとヘンな事になる)
                演技は巧いし、音楽教師の役にぴったりで惚れそうになる。

                作曲家を歌ったソフィー・コッシュも何回か聴いた。
                この人も声量あって、見た目が美しく、男装の麗人という感じで
                作曲家の役にぴったり。
                惜しむらくは、ドイツ語があまりクリアじゃないんだけど
                それでも、以前よりは、ずっとドイツ語のディクテーションがはっきりして来た。
                スマートな身体で動きも軽やかなので
                若々しい新人の作曲家役に本当に合う。

                ダンス教師も割に良かったけれど
                もうちょっと愛される洒落っ気が欲しい。
                演出通りに、出入りする時にちょっと踊ったりしているんだけど
                その動きが「ダンス教師」には見えないぎこちなさで(笑)

                ツェルビネッタのファヒマはスタイル良いし美人だし
                2016年に同じくツェルビネッタを歌った時には
                ドイツ語がクリアで素晴らしい、と思ったけれど

                う〜ん、この歌手陣に入っちゃうと
                声量のなさが劇的に目立つ。

                コロラチューラだから別に驚くような声量はなくて良いんだけど
                36人のオーケストラにぼろ負けしてるし
                コメディ・デラルテの歌手と絡むと声が聴こえなくなる事がある。

                例のツェルビネッタのアリア
                2016年も下降音階のアジリタが不明確、と書いているが
                その弱点は克服されていない。
                (巧く誤魔化す技術は身についているからよしとしよう)
                音程は正確で、あれだけちゃんと歌えるというのは
                感嘆すべき事なのだろうが

                声に表情がなくて
                目一杯の感じが伝わって来て
                聴いていて、あまりに単調で疲れるんですよ。

                あ〜、すみません
                ワタクシ、ツェルビネッタはグルベローヴァで聴いていた世代ですから。

                今回の公演で、群を抜いて巧かったのは
                ピエツォンカのアリアドネ!!!!

                他の歌手のレベルから見たら(聴いたら)、一人だけ格が違うって感じ。
                最初のアリアドネのアリアからして
                全く無理していない発声で
                3人の妖精が声を目一杯張り上げていたのに対して
                余裕綽々の弱音が、オペラ座の隅々までクリアに響き渡る。

                ソプラノの声質なのに、ちゃんと低音も美しく響いて
                ドイツ語はあくまでもクリアで無理がなくて

                しかもその表現の豊かな事!!!!
                声の表情が多彩で
                絶望したアリアドネから、バッカスと出会っての変貌まで
                実にリアルに美しく歌い上げる。

                ソプラノ体型っぽくはあるんだけど(極端ではない)
                それでも舞台を動く身体の軽さは充分あるし
                プロローグの時の演技もとても巧かったし
                顔の表情も豊かで
                決して、ものすごい美人とは言えないのに
                ものすごく魅力的なアリアドネで(しかも見た目も・・・演技が巧い!)

                だいたいアリアドネのオペラ部分って
                ワーグナーのパロディっぽくて
                時々眠くなるんだけど
                今回の公演では、ピエツォンカのアリアドネがあまりに魅力的で
                眠くなるどころの騒ぎじゃなかった(何のこっちゃ?)

                リッペルトは何回もこの役を歌っていて
                確かにこのテノール、ワーグナーっぽいテノールで
                張り上げて張り上げて張り上げての連続で大変なので
                あれだけ、ちゃんと高音をあの声量で歌ってくれれば満足。
                (私が聴いた中ではヨハン・ボータがベストだった。
                 ステファン・グールド、聴きたかったなぁ・・・)

                小編成オーケストラは
                ダナイローヴァとシュトイデ、ソロはシュトイデが奏でていた。
                途中でビオラのソロがあるんだけど
                これが鳥肌立つほどの美しさ・・・

                やっぱりリヒャルト・シュトラウスは
                オペラ座オーケストラは巧い。
                ちょっと鳥肌立つほどうまい。
                (バレエの時と何という違い・・・とは言いませんが←言ってるけど)

                いやしかし、ピエツォンカ、本当に素晴らしい。
                掛け値なく素晴らしい。
                アリアドネって役が、あんなに魅力的に見えるなんて・・・

                というわけで
                ゆっくりながら、やっとシーズン開始が嬉しい私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                大学は10月から始まるし
                もう歳だし、年金生活でお金ないし(苦笑)
                あまりめちゃくちゃナイト・ライフは入れないようにしているけれど
                それでもプログラム見ちゃうと後先考えずにチケット買っちゃうので
                連日連夜とは言わないけれど、それに近いものが(以下省略)

                カプリッチオ 国立オペラ座

                0
                  Wiener Staatsoper 2018年5月20日 19時〜21時30分

                  Richard Strauss
                  CAPRICCIO
                  Konversationsstück für Musik
                  Text von Richard Strauss und Clemens Krauss

                  指揮 Michael Boder
                  演出・舞台・照明 Marco Arturo Marelli
                  衣装 Dagmar Niefind
                  振付 Lukas Gaudernak

                  伯爵夫人 Anna Gabler
                  伯爵 Morten Frank Larsen
                  フラマン Michael Schade
                  オリヴィエ Adrian Eröd
                  ラ・ロッシュ Wolfgang Bankl
                  クレロン Angelika Kirchschlager
                  ムッシュ・トープ Peter Jelosits
                  イタリアの女性歌手 Daniela Fally
                  イタリアの男性歌手 Pavel Kolgatin
                  若い女性ダンサー Natalie Salazar
                  若い男性ダンサー Samuel Colombet
                  執事 Marcus Pelz
                  召使い Franz Gruber, Michael Wilder, Martin Müller, Hermann Thyringer
                  Wataru Sano, Oleg Zalytskiy, Burkhard Höft, Jens Musger
                  Orchester der Wiener Staatsoper
                  Wiener Staatsballett
                  トリオ バイオリン Daniel Froschauer チェロ Raphael Flieder
                  チェンバロ Kristin Okerlund

                  2日続けてのオペラ座でのオペラ鑑賞となったが
                  私が40年以上愛し続ける(笑)オペラ、カプリッチオ。
                  今シーズンも何回か上演されるのだが
                  残念ながら、他のものと重なってしまって
                  今回は今日の公演だけ。

                  オペラ座の無料の雑誌の中で
                  ミヒャエル・シャーデのインタビューがあったけれど
                  そこで、この演出の初演が2008年で、10年前、と言うのを読んで

                  ひええええええ
                  確かに10年前だわ・・・

                  このブログの前が消えてしまって記録がないのだが
                  2008年10月2日に5回目を鑑賞していて
                  全部数えると、今回が13回目。
                  オペラ座での上演回数が今回で16回だから
                  まぁ、ほとんど観て来た(皆勤賞ではないが(笑))事になる。

                  キャストはほとんど変わっていない。
                  オペラ座でのマドレーヌ役は、ずっとフレミングが歌って来て
                  今シーズンはミュンヒェン出身のアンナ・ガーブラーに変わった。

                  伯爵はマルクス・アイヒェが予定されていたのだが
                  病気でのキャンセルで、モルテン・フランク・ラルセンがジャンプ・イン。
                  (プログラムに別刷りの紙が入っていたので、本当に直前だったんだと思う)

                  さて、マドレーヌ役だが
                  う〜ん・・・・・・ (ーー;)

                  いや、この役、ともかく難しいので
                  一応、ドイツ語は比較的クリアに発音していて
                  音程も合っている、というだけで
                  満足すべきなのかもしれないけれど

                  華がない・・・

                  貴族の伯爵令嬢で
                  しかも若い未亡人で
                  作曲家と詩人に熱烈に片思いされている超美人
                  ・・・という役柄なんだけど

                  顔が怖くて、いつも睨まれているような感じ、というのはともかく
                  声の艶が今一つなくて
                  最後のモノローグ、いや、確かにものすごく大変なのはわかるけれど

                  ほとんど息切れしていて
                  1ワードごとに息継ぎしていたり、フレーズが切れたり
                  マジメにドイツ語の完璧な発音を目指して
                  一生懸命に歌っているのはわかる。
                  わかるんだけど、それがあまりに真剣で余裕がなくて
                  聴いていて
                  うわああああ、頑張ってるな、というのがミエミエで
                  ちょっと手に汗を握ってしまったりする。

                  ジャンプ・インしたラルセンは
                  ワタクシ的にイケメン・ナンバーワンの筈が
                  何ですか、そのメイクは・・・というメイクで
                  イケメンが完全に隠されてしまって
                  ワケのわからんコミカルなおじさんになっていたのが
                  実に残念(個人の好みですが)
                  以前にも歌っていた事があるし
                  コミカルな演技も
                  クレロン口説きもなかなかキマっていて
                  同時に、自分を色男と思っている
                  徹底的にスベった貴族のカンチガイお坊ちゃまの感じは良く出ていた。

                  シャーデとエロードは
                  ずっと歌いこんで来た常連メンバーなので
                  まぁ、この2人は、現時点では最高のフラマンとオリヴィエだろう。

                  キルヒシュラーガーのクレロンも
                  ツンケンのプライドの高さと
                  伯爵を手玉に取ろうとするズル賢さと
                  色気たっぷりの、実にイヤな女優を演じていて
                  この歌手も、10年経っても、全然変わらんな(笑)

                  ただ、今回、何がビックリして感激したかと言って

                  バンクルが歌ったラ・ロッシュ!!!!!!

                  もともとバンクルの声量って、ものすごいものがあって
                  他を圧倒するのだけれど

                  10年前にバンクルのラ・ロッシュを聴いた時には
                  まだ声が若くて
                  老練な劇場支配人の貫禄に追いついていなかったのが

                  今回は、ラ・ロッシュそのもの!!!
                  理想的なラ・ロッシュって、これじゃないか、という位
                  全体の中で圧倒的な存在感。

                  私の大好きなラ・ロッシュの
                  ものすごく長いモノローグの見事さと言ったら
                  ソプラノ歌手でなくても感激して泣きたくなる程で

                  いやもう、こんなラ・ロッシュを舞台で聴けるなんて
                  ああああ、生きてて良かった・・・(感涙)

                  10年待って声が熟した感じ。
                  圧倒的な声量に加えて、ラ・ロッシュの老獪さが滲み出ていて
                  あ〜、ラ・ロッシュ、本当に好き!!! ♡
                  若造の作曲家や詩人なんか、束になっても
                  この魅力にはかなわないわ(偏見)

                  間奏曲のホルンのソロも抜群。
                  最後のホルンのソロも抜群。

                  もちろん最初の室内楽部分も妙なる美しさ。
                  舞台上のトリオも実に素晴らしい。

                  同時にミヒャエル・ボーダーの指揮がものすごく巧かった。
                  この作品、8重唱とか
                  イタリア歌手のアリアの後に
                  被せて始まるというものすごく難しい部分とか
                  気を抜いていてちょっとでもズレると
                  完璧に音楽崩壊になる恐ろしい作品なのだが

                  ズレそうになっても
                  慌てず騒がず、巧くオーケストラを操ったのは大したものだ。

                  伯爵令嬢マドレーヌに色気がなかったのは残念だが
                  (その意味では、フレミングはドイツ語は酷かったけれど
                   貴族令嬢、しかも若い未亡人という雰囲気と
                   ムンムンする色気はあった)
                  キャストはしっかりしているし
                  音楽的にもしっかりまとまっていて
                  久し振りのカプリッチオ、堪能した。

                  2時間30分休憩なしというのは
                  トイレの近い女性(特に私みたいな年配女性)には
                  ちょっと辛いんだけど

                  ラ・ロッシュが圧倒的だし
                  (退場時のウンチクと、退場のシーンの演出がニクい程、キマっている。
                   大昔に一度だけ装置が動かなかった事はあったけれど
                   今日はタイミングまでバッチリだった)
                  オーケストラ、こういう曲だと張り切って
                  艶っぽい音色でバッチリ聴かせてくれるし
                  主要歌手はドイツ語もクリアで
                  聴いていて、本当に楽しい。

                  字幕は日本語もあって
                  まぁ、8重唱の時は字幕に全部出すのは無理だけど
                  (ドイツ語だって一部しか出てない)
                  ちゃんとストーリーもわかる、という話なので
                  このインテリな、オペラを廻るメタフィジカルなオペラ
                  絶対にオススメ。

                  難しいと思われる演出も
                  舞台も実に巧く作ってあるので
                  時間さえ合えば、何回でも観たいのだが

                  5月24日も27日も
                  夜は別の予定が入っているし

                  来シーズンはカプリッチオの上演はないので
                  また、当分の間、観られないと思うと
                  ものすごく残念なような
                  もうこれ以上観なくても良いだろう、と思う気持ちと
                  複雑に絡み合っている私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                  ドン・パスクワーレ

                  0
                    Wiener Staatsoper 2018年5月19日 19時30分〜22時

                    Gaetano Donizetti
                    DON PASQUALE
                    Dramma buffo in drei Akten
                    Text von Giovanni Ruffini und Gaetano Donizetti

                    指揮 Frédéric Chaslin
                    演出 Irina Brook
                    舞台 Noëlle Ginefri-Corbel
                    衣装 Sylvie Martin-Hyszka
                    照明 Arnaud Jung
                    振付 Martin Buczko

                    ドン・パスクワーレ Roberto De Candia
                    エルネスト Antonio Siragusa
                    マラテスタ Adam Plachetka
                    ノリーナ Danielle de Niese
                    公証人 Wolfram Igor Derntl
                    バトラー Eduard Wesener, Tobias Huemer
                    家政婦 Waltraud Barton

                    Orchester der Wiener Staatsoper
                    Chor der Wiener Staatsoper
                    Bühnenorchester der Wiener Staatsoper
                    トランペット Gerhard Berndl

                    滅多にオペラには行かない私だが
                    友人もウィーンに来た事だし
                    ドン・パスクワーレなら愉快な筈だし
                    舞台半分見えないけれど、まぁ、それ程高くない席もあったので
                    久し振りにバレエ以外の演目でオペラ座に行った。

                    オーケストラ・ピットを見たら
                    管楽器が、いつもと反対側の上手(かみて)に居て
                    安い席なので、下手(しもて)は見えないが
                    どうも下手(しもて)には弦楽器があったらしい。

                    さてドニゼッティのドン・パスクワーレ。
                    序曲の時から舞台は開いていて
                    舞台上にはバーのレイアウト。

                    ドン・パスクワーレのロベルト・ディ・カンディアは
                    日本でも歌っているようだ。
                    プロフィールの写真に載っているよりも
                    若々しくて
                    (いや、本当はあの役、70歳だから若くてはいけないのだが)
                    コミカルな演技がとても巧い。

                    バリトンの声はよく通って
                    あまり低めではないので
                    本来はこういう年寄り役向きではないのかもしれないが
                    さりげない演技が巧くて、よく役にハマっていた。

                    ノリーナのダニエル・デ・ニース
                    オーストラリア出身のエキゾチックな容姿のソプラノ歌手。

                    まぁ、この人が魅力的 ♡
                    コロコロ変わる表情と、軽い動きとフットワークで
                    修道院出の清らかな乙女が
                    悪女に豹変するのが、これまたキュート。

                    悪妻になったノリーナの後半部分は
                    舞台装置は変わっていないのだが
                    椅子や床や、バーのカウンターの上の置物とか
                    全部、ショッキング・ピンクになっている。

                    バーカウンターのショッキング・ピンクの馬の置物、可愛い(笑)
                    いったい何処で、ああいう悪趣味な・・・
                    いや、ちょっと変わった小物を見つけてくるんだろ。

                    エルネスト役のシラグーサも、ちゃんと声は出ているし
                    高音が一部弱いところはあっても
                    見た目もイケメンだし、役に合ってるし
                    演技も出来るし、ちゃんと声も出ていて素晴らしい。

                    まぁ、こういう演目だから
                    演出が極端にコミカルで
                    類型的に漫画っぽくて
                    良い意味でも悪い意味でも
                    場末の芝居小屋・・・みたいな安っぽい感じがするのは否めないが

                    でもこのドン・パスクワーレって
                    そこまで極端に芝居小屋っぽい演出にしないと
                    ストーリーがあまりに残酷すぎるというのはある。
                    (70歳老人に詐欺を働く話だからな・・・)

                    でもイタリア語の早口言葉の応酬みたいな
                    楽しいデュエットもあったし
                    ドニゼッティってやっぱり面白い。

                    たまに、こういうオペラ・ブッフォを観に行くのも
                    悪くないな、と思っている私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                    チェネレントラ 国立オペラ座

                    0
                      Wiener Staatsoper 2018年2月16日 19時〜22時15分

                      LA CENERENTOLA
                      Dramma Giocoso in zwei Akten
                      Musik von Gioachino Rossini
                      Text Jacobo Ferretti

                      指揮 Jean-Christophe Spinosi
                      演出 Sven-Eric Bechtolf
                      舞台 Rolf Glittenberg
                      衣装 Marianne Glittenberg
                      照明 Jürgen Hoffmann

                      ラミーロ王子 Maxim Mironov
                      ダンディーニ Alesso Arduini
                      ドン・マニフィコ Paolo Rumetz
                      アンジェリーナ(チェレネントラ) Isabel Leonard*
                      クロリンダ Ileana Tonca*
                      ティスペ Margaret Plummer*
                      アリドーロ Luca Pisaroni*

                      Orchester der Wiener Staatsoper
                      Chor der Wiener Staatsoper
                      Bühnenorchester der Wiener Staatsoper

                      滅多にオペラには行かない私だが
                      先日のシャイーとミラノ・スカラ座フィルハーモニーの
                      コンサートの後で
                      めちゃくちゃロッシーニとか聴きたくなったら

                      私の友人から

                      2月にチェレネントラでピサローニが歌いますよ

                      ・・・という悪魔の囁き(笑)

                      一般発売は既に始まってしまった後で
                      私の手が出る価格帯のチケットなんか残ってないだろうと
                      試しにサイトを見てみたら

                      キャンセルチケット(手数料2ユーロ加算)で1枚だけ
                      ミドル・クラスの価格帯のチケットがあって

                      あ〜、これは神さまが私に恵んで下さったチャンスかも
                      (ただの贅沢の言い訳)

                      2015年に既に鑑賞している演出だから
                      舞台見えない席でも良かったのだが
                      そういう貧民席は空いていなかったのである。

                      オペラ座の貧民席も
                      バレエなら、ここ!という決定版があるのだけれど
                      バレエ決定版の超貧民席は、実は音響は最悪。
                      よって、オペラに行く時には、その席は絶対に避けるべし。

                      という事で贅沢決定 (^^)v
                      舞台も見えるし、音は良いし、いやもう楽しい楽しい。

                      2015年と指揮者もキャストも総替え。
                      後でキャスト表を見たら
                      何と、あのスピノジが指揮台に立っていた。

                      いや〜、歌手は揃ってるし音楽はゴキゲンだし
                      演出も面白いし、文句なく楽しいオペラ。

                      ラミーロ王子のミロノフが意外に良くてビックリ。
                      細め体型だから、メガネ男子がばっちり合っていて
                      無理のない高音が非常に良く通る。
                      声量はそんなにないけれど、あそこまで高音を出してくれたら大満足。
                      しかも身体が軽いだけに、動きも美しいし演技も巧い。

                      タイトル・ロールのイザベル・レナードが、これまた抜群。
                      地味な役柄だけど、時々、むちゃ弾けてキュート。
                      素晴らしいスタイルで、舞台上での動きも美しい。

                      ラミーロ役のミロノフとの姿のバランスが良くて
                      本当に一目惚れカップル(=地味同士(笑))に見える。

                      今回、ウィーンのオペラ座での役デビューになるピサローニ。
                      脇役ではあるのだが
                      うううう、何て存在感があって絵になる歌手なんだ。

                      出てくるだけで、そこにオーラが輝いている。
                      しかも、あの美声・・・(うっとり)

                      だいたい、あの、絨毯をそのまま背広にしました、みたいな
                      すごい洋服を、あんなにカッコよく着こなすなんて
                      この人、モデルの才能もあるんじゃないだろうか。

                      歌うシーンが少なくて、かなり残念なんだけど
                      あの姿で歌い出すと、まぁ、何と魅力的 ♡

                      歌詞の訳は、ばっちり日本語で出てくるので
                      何を歌っているのかその場でわかるから
                      ストーリーも自然に入って来て
                      オペラの楽しみってこれなんだなぁ、とつくづく思う。

                      ところでこの演出
                      車会社の社長御曹司の話にはなっているけれど

                      「あの女性を絶対に探すんだ」というアリアで
                      後ろに地図が広げられて
                      それが行ったり来たり回転したりするのだが

                      オペラ・グラスで、その地図をよく見ると

                      あれ?

                      もちろんイタリア語なので私にはわからないが(教養ゼロ)
                      「ボンゴレの海」とか「ニンニク島」とか書いてある・・・
                      で、そんなイタリア語の中に
                      唐突に「ジャズ・カフェ」とかあるのはいったい何?

                      キャストは全く違うけれど
                      どういう演出か、ちょっと見たい、と思われる方がいらっしゃれば
                      国立オペラ座のクリップを是非どうぞ。



                      久し振りのオペラもなかなか楽しいじゃないか
                      と思いつつ
                      オペラまでハマったら
                      生存率が急激に下がる。
                      (だいたい引退してから、
                       オフィスに1日中居て一銭も使わないのと違って
                       日中外出していると時間潰しにコーヒーハウスとか
                       ともかく、むちゃくちゃ費用がかかるのだ。やれやれ)

                      でもやっぱりコミカルなオペラ
                      しかもラブストーリーで
                      それが絵としても成立する舞台って良いよね〜と
                      感激している私に
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