ヴィットーリオ・グリゴーロ リサイタル @ 国立オペラ座

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    2024年3月12日 20時〜22時20分

    Wiener Staatsoper
    テノール Vittorio Grigolo
    ピアノ Mzia Bachtouridze

    Vincenzo Bellini
     Dolente immagine di fille mia
     Vanne, o rosa fortunata
     Malinconia, ninfa gentile
     Per pietà, bell’idol mio

    Giacomo Puccini
     Foglio d’album (Instrumental)

    Gioachino Rossini
     La danza (aus: Soirées musicales)

    Giacomo Puccini
     Intermezzo (aus: Manon Lescaut) (Instrumental)

    Giuseppe Verdi
     Ah sì, ben dite … tutto parea sorridere (aus: Il Corsaro)

    *** Pause

    Francesco Paolo Tosti
     Chanson de l’adieu
     Pour un baiser
     A Vucchella
     Ideale
     L’ultima canzone

    Gija Kantscheli
     Fünf Miniaturen (Instrumental)

    Stanislao Gastaldon
     Musica Proibita

    Pietro Mascagni
     Intermezzo (aus: Cavalleria Rusticana) (Instrumental)

    Ruggero Leoncavallo
     Mattinata

    Manuel Ponce
     Intermezzo Nr. 1 (Instrumental)

    Vincenzo D’Annibale
     O paese d’ o sole

    国立オペラ座で行われる歌手のリサイタル。
    今宵はテノールのヴィットーリオ・グリゴーロ。

    グリゴーロと言えば
    やりたい放題、オーケストラ困惑
    指揮者混乱、共演者驚愕のカヴァラドッシ
    記憶に新しい。

    いや〜、この人
    正に我々が偏見で思い浮かべる
    アホのイタリア人のテノールを体現してる(爆笑)

    もちろん
    深慮遠謀の結果としての
    セルフ・マーケティング・ストラテジーかもしれないが(え?)

    ピアノと譜面台だけの舞台に出て来たグリゴーロ。
    まずは舞台の端から端まで
    両腕を大きく広げて歩きまわり
    投げキッスでのご挨拶。

    大いに誇張された演技で
    (あ〜、オペラ歌手あるある)
    舞台上を自由に動きまくり

    時々、譜面台の楽譜を見て
    ついでにピアニストの方を向いたり
    声量ある艶やかなテノールを聴かせてくれて

    拍手が出ると大喜びで
    ピアニストに駆け寄って
    嫌がるピアニストに手を差し出して握手。

    なお、歌った後に汗をかくらしく
    両手で自分の顔の左右を拭った上に
    時々、観客席に投げキッスした後の手である。

    その手で握手したまま
    ついでにピアニストの手の甲にキッスして

    曲が進むと
    更に、ピアニストを掴んだ手でそのまま立たせ
    手の甲にキッスしたまま
    舞台の前まで連れ出して
    自分と一緒に拍手を浴びるように誘導。

    これを1曲ごとにやる・・・

    ピアニスト困惑 😕

    って言うか
    嫌がってるんだけど 😆
    (一度は立つのを拒否したが
     無理やり連れ出された)

    途中で
    インストルメンタル(この場合はピアノのソロ)が入るのは
    歌手の声を休ませるための必要な処置だが

    間違えて舞台の袖に引っ込んでしまい
    またもやピアニスト困惑。
    舞台袖で誰かに言われたらしく
    走って登場。

    後半になると
    ますます、そのアホっぷりに磨きがかかり
    どこにインストルメンタルが入るのか
    本人もわからなくなって
    ピアニストに聞いたり

    歌っている途中のピアノの間奏のところで
    ピアニストを指して
    観客に拍手を要求したり
    (ピアニスト、ますます困惑)

    アリアの声は実に見事で
    発声がしっかりしているんだろうなぁ。
    頭蓋骨をしっかり開けるので
    髪の毛が後ろに引っ込むのも散見される。

    しかも、オーケストラ伴奏ではないので
    弱音を見事に使って
    ダイナミック・レンジの幅が広い。

    私は大音響の高音より
    囁くような弱音に惹かれる傾向があるのだが
    もともと持っている声の質も良いので
    弱音も、きちんとベルカントを維持しながら
    しっかり聴かせるのは大したものだ。

    いちいちピアニストのところに行って
    手を握ったまま立って
    自分と一緒に挨拶させるのが続くので
    ピアニストも開き直った(笑)

    楽譜を見ながらの歌唱だが
    時々、舞台で前奏の時に踊ったり
    (さすがにオペラの演技に慣れているだけあって
     身体の動きは素晴らしい)
    楽譜を持って
    舞台の端から端まで移動したり

    腰を落として
    最前列のお客さま(金持ちの年配ばかり)に
    媚を売ったり

    左右のロジェの方を向いて歌ったり

    自由自在
    やりたい放題

    ・・・に、しっかり伴奏を付けるピアニストの凄さ。

    後半でも、まだ歌う曲があるのに
    引っ込んでしまって
    ピアニスト困惑(爆笑)

    舞台袖に誰もいなかったらしく
    ピアニストが舞台袖を向いて、手を振って
    「来い、来い!」と呼んでいた。

    出て来たグリゴーロは
    自分で頭に指でクルクルして
    「ボクちゃん、アホですよね」って
    いや、うん、そうだね、アホだね。

    最後はプロンプター・ボックスの間際に
    片膝ついてお辞儀(プロポーズの格好)
    プロンプター・ボックス、誰もいないですけど。

    この人、もしかしたら
    普段のオペラでも
    プロンプターに世話になりっぱなし?

    途中で床に落ちた楽譜を
    時々、足で蹴っ飛ばしていたのだが

    全曲終わった後に
    その楽譜を拾って

    何故か英語らしきもので
    話を始めた。

    話す声、全く聞こえません!!!!
    ベルカントの歌声との
    あまりの違いに愕然。

    (ソプラノでもよくあるけれど
     テノールでもあるのか。
     バリトンやバスは
     話し声も美声の人が多いのだが)

    ごにゃごにゃ、あまり上手でない(ように聞こえる)
    訛りの多い英語だったので
    内容はよくわからなかったのだが(私の英語力不足)
    18歳の時に初めてオペラ座に来て
    ロシア人の何とかさんの云々・・・(意味不明)

    で、その拾った楽譜で歌ったのだが
    (メロディに聴き覚えはあるけど
     無教養なのでよくわからん)

    歌い終わった後に
    楽譜を引き裂いて
    最前列のお客さまに配った・・・けど

    その楽譜、ずっと床にあって
    しかもグリゴーロが時々、靴で蹴っ飛ばしてたよね。
    バイキンが・・・💦

    22時を過ぎて
    「お腹すいた〜」って振りもしていたし
    オペラ座の客席の照明もついたのだが
    そこでもう一曲
    オーソレミオを歌い出した。

    ・・・のは良いんだけど
    これももう恣意的に歌うので
    ピアニストがマジに大変。

    しかもサビの前にピアニストのところに行って
    歌うのを止めて
    ピアニストがゲネラル・パウゼを作って
    次のサビの指示を
    口の形でグリゴーロにしているのに
    別のところを歌い出す有様(ピアニスト本当に大変)

    途中で歌を止めて
    終わった・・・って振りをするので
    あれ?おかしいな、そこで終わるんかい?
    と観客困惑。

    だけどまぁ、グリゴーロだからそれもあり?と
    拍手をしたら
    ピアニストを座らせて
    最後のサビを歌い出すという・・・

    なんかもう、最初から最後まで
    カオスでしっちゃかめっちゃかで
    やりたい放題のグリゴーロなのであった。

    あそこまで徹底して自由にやられてしまうと
    それはそれで
    ものすごく魅力的ではある。

    でも周囲は大変だろうな
    こういう人とオトモダチにはなりたくないけれど
    舞台で楽しむには
    エンターテインメント要素が素晴らしいので
    また舞台で
    あの奔放なテノールを聴きたくなって来た私に
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    動物農場(アニマル・ファーム) @ 国立オペラ座

    0
      2024年3月7日 19時〜21時30分

Wiener Staatsoper
      Alexander Raskatov
      ANIMAL FARM
      Text: Ian Burton & Alexander Raskov
      nach George Orwell
      Oper in zwei Akten, neun Szenen & einem Epilog

      指揮 Alexander Soddy
      演出 Damiano Michieletto
      舞台 Paolo Fantin
      衣装 Klaus Bruns
      照明 Alessandro Carletti
      振付 Thomas Wilhelm
      ドラマツルギー Wout van Tongeren, Luc Joosten
      コーラス指導 Martin Schebesta & Davorin Mori

      メージャー爺さん Gennady Bezzubenkov
      ナポレオン Wolfgang Bankl
      スノーボール Michael Gniffke
      スクィーラー Andrei Popov
      ボクサー Stefan Astakhov
      ベンジャミン/若い俳優 Karl Laquit
      ミニムス Artem Krutko
      クローバー Margaret Plummer
      ミュリエル Isabel Signoret
      ブラッキー Elena Vassilieva
      モリー Holly Black
      ミスター・ジョーンズ Daniel Jenz
      ミセス・ジョーンズ Aurora Marthens
      ピルキントン Clemens Unterreiner

      コーラスのソロ
      Zechan Bahk, Michael Mensah,
      Siegmar Aigner, Benedikt Berndonner

      Orchester der Wiener Staatsoper
      Projektchor Animal Farm & Chorakademie der Wiener Staatsoper
      Jugendchor der Opernschule der Wiener Staatsoper
      Kompaserie der Wiener Staatsoper

      Co-Production/Co-commission of
      Dutch National Opera, Amsterdam
      Wiener Staatsoper
      Theatro Massimo Palermo
      Finnish National Opera & Ballet, Helsinki

      国立オペラ座の新プロダクション、アニマル・ファーム。
      シーズン開始前には
      一部の好事家用のゲテモノだろう、と
      巷で囁かれていたのに

      ゲネプロの前あたりから
      「ものすごく良いらしい」という噂があって
      初演後は
      行った人がみんな「素晴らしい」と
      声を揃えて言っている不思議なプログラム。

      この日しか空いてないし
      2ヶ月前の発売日は
      どうせガラガラで直前に割引が出るかも
      と思っていたら大変な事になっていた。

      そういう時には
      1日前の立見席狙いなのだが
      とある事情で立見席争奪戦に参加できないので
      普段、ぜ〜ったい(強調)買わない
      お高〜い(強調)席を買って行って来た。

      結論:行って良かった 😅

      作曲家アレクサンドル・ラスターコフは71歳。
      ロシアの作曲家だが、現在はドイツ在住。
      プログラム解説によれば
      これまでもソビエト連邦政府に対する
      批判的な作品を書いていたらしい。

      ジョージ・オーウェルの「動物農場」は
      モロにスターリン時代の話だから
      非常にわかりやすいストーリー。

      演出も歌手もオーケストラも抜群だが
      鑑賞した人が全員、口を揃えて言ったのは

      音楽が素晴らしい 😀

      いわゆる「現代音楽」で
      このコメントを「全員」から聞くのも珍しい。

      無調・・・ではあるのだが
      各登場人物(と言うか「動物」か(笑))の
      動物としての特色(鳴き声など)と
      物語の中でのキャラクターが
      音楽の中に無理なく、しっかり表現されていて
      いや、すごい
      これ聴いてると
      登場人物(登場動物)のキャラが音楽だけでもわかる。

      舞台とマスクも素晴らしい。
      最初はマスクで登場する動物たちは
      叛逆が成功してジョーンズを追放した後に
      マスクを取っていって
      スノーボール殺害後の後半では
      マスクは付けていないのに
      キャラクターのイメージがそのまま残るのはすごい。

      太々しいナポレオンのバンクルは
      役にピッタリだし
      スクィーラーの甲高いファルセットでの
      メリスマたっぷりのお追従の歌唱は
      背筋が凍るほどにリアル。

      モリーの色っぽさの振付には
      ああいう色っぽい女が嫌いな私には
      虫唾が走る素晴らしさだし
      クローバーやミュリエルも良いけれど
      アヒルの合唱や鶏が
      むちゃくちゃキュート。
      (最初はデコイを持って登場するが
       後半では女子学生の制服で勢揃いする。
       それでもアヒルに見えるし
       スターリンに追従する子供の集団にも見える)

      1年前のアムステルダムでの初演時の
      メイキング画像があるので貼って置く。
      最初の5分はメイクと舞台。
      2つ目は曲そのものについて
      作曲家が語っている。





      いやこれ、もう1回観たい・・・
      けど、3月10日の最終公演の日には
      チェコフィルが・・・

      ちなみにセリフは英語。
      手元のディスプレイをドイツ語にすると
      混乱するので
      英語にして見ていたのだが

      歌うの大変なんだろうな・・・
      英語? え〜っと、むにゃむにゃ
      と言う状態だったので
      (歌手は素晴らしい。
       ディクションは改善の余地はあるとは言え
       あれ以上は無理だろう)
      手元のディスプレイは英語を強くお勧めする。
      日本語のディスプレイはない。

      アイロニーと残虐さと
      コミカルなところが重なって
      おとぎ話的な現実感のなさが
      だんだん異様にリアルになっていく。

      スターリン時代を皮肉ったストーリーではあるけれど
      ある意味、現代に通じるところがある。

      と言うより
      人間って、こういうシチュエーションになると
      (フランス革命しかり、ロシアの帝国崩御しかり)
      権力を欲する独裁者を許してしまう、というのが
      自然な社会学的方向性なのかもしれない・・・

      では、それを防ぐには
      どうしたら良いのか・・・と考え出すと

      憲法の存在意義の微妙な話になってくるので
      それは日本国民(私を含む)各自が
      考える課題だなぁ、と
      改めて深く思った私に
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      政治について書くつもりは一切ないが
      政治について語るのは、イケナイ子供、と言う
      不思議な教育土台の上で育った
      我々のようなジェネレーションの後に
      同じような繰り返しのない事を祈る。

      ドン・パスクワーレ @ 国立オペラ座

      0
        2024年2月23日 19時30分〜22時05分

        Wiener Staatsoper

        Gaetano Donizetti
        DON PASQUALE
        Text: Giovanni Ruffini & Gaetano Donizetti
        Drama Buffo in drei Akten

        指揮 Francesco Ivan Ciampa
        演出 Irina Brook
        舞台 Noëlle Ginefri-Corbel
        衣装 Sylvie Martin-Hyszka
        照明 Arnaud Jung
        振付 Martin Buczko
        コーラス指導 Martin Schebesta

        ドン・パスクワーレ Misha Kiria
        エルネスト Xabier Anduaga **
        マラテスタ Michael Arivony
        ノリーナ Rosa Feola
        公証人 Hans Peter Kammerer
        執事 Eduard Wesener
        女中 Waltraud Barton

        Orchester der Wiener Staatsoper
        Chor der Wiener Staatsoper
        Bühnenorchester der Wiener Staatsoper
        Komparserie der Wiener Staatsoper
        トランペット・ソロ Bernhard Pronebner

        ** ウィーン国立オペラ座デビュー

        実は昨日のウィーン・フィルとヴェルザー=メストの
        マーラー交響曲9番が
        まだ消化しきれていなくて
        個人メモを書くのに戸惑っている状態 😣
        (追記 一応、書いてみた・・・ → ここ

        まぁ、それはともかくとして・・・

        金曜日の夕方は
        別の予定を入れていたのに
        直前に変更になってしまい

        慌てて夜のカレンダーを見たら
        ウィーン・フィルとヴェルザー=メストは
        高いチケットしかなく
        (それに土曜日・日曜日定期と同じプログラム)

        フォルクス・オーパーの
        ウエスト・サイド・ストーリーは売り切れ。

        国立オペラ座のドン・パスクワーレは
        何回も観ているのだが
        まぁ、ここは立見席が安いから
        え〜い、行っちゃえ、という
        やけっぱち状態ではあったのだが

        行ってみたら
        ものすごく楽しかった(笑)

        今回は50回目の上演。
        出演する歌手は初聴きの人ばかりだし
        指揮者もたぶん初めて聴く人じゃないかなぁ。
        という事は
        特別なスーパー・スターはいない・・・はず。
        (私が知らないだけかもしれない)

        ところが・・・

        タイトル・ロールのミーシャ・キリアが
        圧倒的に魅力的 💘

        演出上の役柄で
        ハゲにメガネ、というのも
        私の好みに直撃(ハゲとメガネがすごく好き)
        しかも体格が良くてお腹が出てる!(デブ専)

        ・・・というのもあるけれど 😆

        コミカルな演技が
        サービス精神に満ち溢れていて
        多少、大袈裟なくらいに
        観客ウケ狙い・・・と言うよりは
        楽しませてやろうという気概があって

        たぶん、本人も
        こういうコミカルな役が好きなんじゃないだろうか。

        若いバリトンなので
        最初の登場の時に
        ちょっと声が若い?と思ったけれど
        いやいやいや
        深い、ものすごく声量のあるバリトンで
        その声量の使い方が巧み。

        ドン・パスクワーレって
        オペラの中で、他のアリアと被って
        入って来るところが多いのだが
        その被り方が、むちゃくちゃ巧いのだ。

        オレさま感はないのだけれど
        入りの絶妙なタイミングと
        アクセントや声量の使い方で
        嫌味のない自己主張のバランス感の良さ💘

        マラテスタとの二重唱の途中で
        突然、他のアリアを歌い出して
        こらっ、これはドン・パスクワーレだっ!
        とマラテスタに注意されるシーンは爆笑モノ。

        ドン・パスクワーレのキャラクターの魅力だけでも
        この舞台、ものすごく楽しい。

        この人、ファルスタッフが得意だそうで
        ドルカマーラも歌うようだが
        いや〜、聴いてみたい!!!!

        エルネスト役は
        まぁ、役どころがそういう役なので
        ほとんど個性という個性はない
        情けない無能でアホな甥っ子だけど
        声は素晴らしい。

        ちょい声量あり過ぎで
        最初のアリアでは、ほとんどうるさい領域だったが

        落ち着いて来てからは
        ハイCも張りのある美声で
        しっかり伸ばして
        うお〜、素晴らしい、と唸る声。

        マラテスタは
        ドン・パスクワーレのコミカルさに比べて
        どうしてもキャラ的には劣るけれど
        うまくパスクワーレの補助役に徹して
        ヘンな自己主張がなくて、嫌味のない役作り。

        ノリーナはイタリア語のディクションがクリアで
        発声が自然なので
        無理やり出した声量ではなく
        声の質が良いために舞台に通る素晴らしいソプラノ。
        技巧的なアジリタも
        音程も声のキレも完璧。
        見た目も美しく、スタイルも良くて魅力的。

        歌手のクオリティが揃っていて
        誰かが突出する事がなく
        その中でタイトル・ロールが
        コミカルな演技で
        タイトル・ロールという存在感を出していたという
        ものすご〜〜〜〜く素晴らしい舞台だった。

        オペラ初心者の私は
        行く公演を選ぶ時に
        どうしても出演者に
        話題になっているスーパー・スターが
        いるかどうかを見てしまうのだが
        (ミーハーなので)

        ノーマークの歌手が揃った公演で
        (本当は有名な歌手が居たのかもしれない💦)
        ここまで水準の高い
        サービス精神盛り盛りの公演を
        楽しませて貰えるとは
        思ってもみなかった。

        ストーリーとしては
        役立たずのエルネストの恋人が
        (こういうパラサイトの無能男
         私は大っ嫌いだが)
        偽医者と結託して
        老人に詐欺を仕掛けた上
        年配をバカにしまくるという
        ポリティカル・コレクトニスから言えば
        とんでもない話だし

        演出上も
        最後に年配の女性が
        パスクワーレの上に
        色気たっぷりで、ガバッと乗っかるという
        悪夢のような気持ち悪さがあるんだけど
        (異様に生々しくて生理的に嫌悪感)

        ドン・パスクワーレのコミカルなキャラで
        徹底的に喜劇的側面を楽しむ事が出来たので

        色々なものを
        毛嫌いしたり
        偏見や思い込みで行かないとかではなく
        雑食性を活かして
        何でも行ってみるものだなぁ、と
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        ナクソス島のアリアドネ @ 国立オペラ座

        0
          2024年1月27日 19時30分〜22時10分

          Wiener Staatsoper

          Richard Strauss
          ARIADNE AUF NAXOS
          Text von Hugo von Hofmannsthal
          Oper in einem Akt nebst einem Vorspiel

          指揮 Michael Boder
          演出 Sven-Eric Bechtolf
          舞台 Rolf Glittenberg
          衣装 Marianne Glittenberg
          照明 Jürgen Hoffmann

          侍従長 Hans Peter Kammerer
          音楽教師 Adrian Eröd
          作曲家 Tara Erraught
          テノール・バッカス Daniel Frank
          軍人 Oleg Zalytskiy
          ダンス教師 Thomas Ebenstein
          カツラ師 Won Cheol Song
          従僕 Marcus Pelz
          ツェルビネッタ Sarah Aristidou
          プリマドンナ・アリアドネ Krassimira Stoyanova
          ハーレキン Clement Unterreiner
          スカラムーチョ Carlos Osuna
          トラファルディン Ilja Kazakov
          ブリゲーラ Hiroshi Amako
          ナヤーデ Maria Nazarova
          ドリヤーデ Christina Bock
          エコー Jenni Hietala

          Orchester der Wiener Staatsoper

          この間のツェルビネッタに
          ちょっと不満だったので
          私の席の音響が悪かったのか
          私の体調が悪かったのか
          歌手の調子が悪かったのか

          ともかくも
          もう一度聴いてみよう、と向かったオペラ座。

          アリスティドウは
          見た目非常にキュートで
          衣装も似合うし
          役には合っている。

          やっぱり声量はあまりないけれど
          後半のアリアは
          この間より、ずっと良くなっていた
          ・・・と主観的には思う。

          ばったり会った知り合いと
          この演出になってから
          アリアドネは良い歌手が揃って
          後半が楽しく聴けるようになったけど
          ツェルビネッタは難しいね
          という話になって

          だからこそ
          ツェルビネッタのアリアの時に
          観客の注意を
          わざと逸らすような演出になってるわけで・・・

          グルベローヴァ亡き後
          ダニエラ・ファリーがよく歌っていたが
          最近、ファリーも聴く機会がないし
          ダムラウで聴きたいと切望中なれど
          今までキャンセルとかで聴いた事がない 😭

          2016年以降はヒラ・ファヒマが歌っていて
          アジリタの技術や声量には
          ちょいあれかなぁ、と思うけど
          悪くはなかった記憶がある。
          セレナ・サエンスは1回だけだったが
          かなり良い印象は残っている。

          アリスティドウだって
          高音の素晴らしさには感嘆するし
          アジリタも素晴らしい。
          (この間より格段に良くなっていた)

          要は期待値の問題ですね、きっと。
          アリスティドウのガポポがあまりに素晴らしかったので
          ついつい期待を上げ過ぎた、という事だろう。

          以前はカーテン・コールの時には
          ツェルビネッタ役に熱狂的な拍手があったものだが
          この演出に変わってから
          一番拍手が大きいのはアリアドネになった。

          って言うか
          国立オペラ座、本当にすごい歌手を
          アリアドネに持って来るんだもん。

          ストヤノヴァのアリアドネ
          ダニエル・フランクのバッカスは
          かなり最高の組み合わせ。

          最後のあのワーグナー張りの
          美声張り上げ大会、しかも
          しつこい繰り返し付きのシーンが
          まさにワーグナーと化していて

          ちょっと満腹(笑)
          当分、アリアドネと
          ワーグナーは聴きたくない・・・
          (すみません、もともとワーグナー苦手
           ついでにオペラも苦手)

          しかしダムラウのツェルビネッタは
          一度、本当に聴いてみたいなぁ、と
          叶わぬ希望に身を焦がす私に
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          ナクソス島のアリアドネ @ 国立オペラ座

          0
            2024年1月21日 19時30分〜22時10分

            Wiener Staatsoper

            Richard Strauss
            ARIADNE AUF NAXOS
            Text von Hugo von Hofmannsthal
            Oper in einem Akt nebst einem Vorspiel

            指揮 Michael Boder
            演出 Sven-Eric Bechtolf
            舞台 Rolf Glittenberg
            衣装 Marianne Glittenberg
            照明 Jürgen Hoffmann

            侍従長 Hans Peter Kammerer
            音楽教師 Adrian Eröd *
            作曲家 Tara Erraught *
            テノール・バッカス Daniel Frank *
            軍人 Oleg Zalytskiy
            ダンス教師 Nobert Ernst
            カツラ師 Won Cheol Song
            従僕 Marcus Pelz
            ツェルビネッタ Sarah Aristidou *
            プリマドンナ・アリアドネ Krassimira Stoyanova
            ハーレキン Clement Unterreiner
            スカラムーチョ Carlos Osuna
            トラファルディン Ilja Kazakov
            ブリゲーラ Hiroshi Amako
            ナヤーデ Maria Nazarova
            ドリヤーデ Christina Bock *
            エコー Jenni Hietala *

            Orchester der Wiener Staatsoper

            * ロール・デビュー

            この日は
            アリベルト・ライマンのオペラ
            「メデア」の再演の予定だったのだ。

            2010年に観て、えらく感激し
            2017年には、何とか2回鑑賞する事が出来た後
            ゼミで取り上げられて
            私のクラスメイトが
            メデアとクレウサのアリアにおける
            音楽的な取り扱いの区別について発表したりしたので
            研究所図書館にスコアはあるし
            めちゃくちゃ楽しみにしていたのに

            メデアを歌う予定の歌手が
            「重要な家族的理由により」キャンセル。

            日本だったら
            公私混同するな、とかガタガタ言いそうな理由だが
            こちらは家族が第一。
            子供が産まれたから、と
            当日夜のコンサートを突然キャンセルして
            本国に帰っちゃったソリストも居たしね。
            (もちろんプログラムは変更になったが
             観客は、帰るのは当然だ、と言う認識で
             子供が産まれておめでとうの雰囲気が漂っていた)

            今シーズンの演目には
            ナクソス島のアリアドネはなかった。
            このプロダクション
            2012年に初日で
            2013年・14年・16年・17年・18年・19年と
            連続でプログラムに入った後
            2022年の11月に33回目で終わっている。

            メデアの代わりに
            ヴェルディとかプッチーニとかを打ち込んで来たら
            さすがに私の怒りは収まらなかっただろうが
            まぁ、アリアドネなら許すか・・・仕方ない・・・

            この間、リゲティのル・グラン・マカーブルで
            圧倒的なゲポポを演じた
            サラ・アリスティドウが
            ツェルビネッタにキャスティングされていて
            エレードが音楽教師役
            ・・・しかもエレード、この役初めて?!

            エレードの音楽教師の
            ドイツ語のディクションのクリアさには
            目を見張る。

            もともと、声量たっぷりの素晴らしい声に
            徹底的にクリアなドイツ語を聴かせる人なんだけど
            最初のシーンの侍従長より
            ドイツ語がクリアなんだもん。

            残響の長いホールであればある程
            子音が失われるので
            ドイツ語を明確に観客に届けるには
            それなりの発声、特に子音の扱いが難しいのだが
            音響を知り尽くしたエレードの歌唱は
            圧倒的で文句のつけようがない。

            侍従長は最初のシーンこそ
            響き過ぎでモニャ状態の時もあったが
            短時間で音響を把握したらしく
            次のシーンでは
            (まぁ、前に椅子を置いてだから
             声の響き方は違うけれど)
            はっきり、くっきり聞こえて来て
            さすがプロ。

            カンメラーの侍従長は
            後半のオペラの時も
            テノールが突然横で歌う時に
            かなり派手にひっくり返っていたのは
            ワタクシ的好みとしては最高でチャーミング。
            (故マティッチはいつもやっていたが
             他の俳優さんで、ひっくり返らない人も居る)

            他の歌手も、みんな声量あって
            (コメディ・デラルテのメンバー含む)
            ストヤノヴァのソプラノも
            フランクのテノールも
            しっかり、最初の部から
            その存在をアピールしている。

            が・・・

            アリスティドウのツェルビネッタが・・・

            最初の一声で
            あれ?この人、こんなに声量なかったっけ?

            いや、コロラチューラだから
            声量はマストではない、と言うのはわかるけれど
            歌っている場面での存在感がない。
            って言うか
            私の耳がおかしいのか?と疑ったほどに
            客席に声が届いて来ない。

            でも、まぁ、ツェルビネッタは
            後半部分がキモだから・・・

            前半がキモになる作曲家の
            タラ・エロートはアイルランド出身で
            私は初聴き。

            ルッキズム、と言う非難は
            敢えて受けるとすれば
            体型がミスター残念(誰だかわかるよね?)とそっくりで
            ちょっと驚いた。

            でもズボン役としては悪くないし
            太っている、という程でもなく
            堂々とした体躯を生かした
            素晴らしい声量と美声で
            第一部を圧倒した。
            (ツェルビネッタとの掛け合いがあるじゃないですか。
             声量から言えば、完全にエロートが勝っていて
             比べものにならなかった)

            オペラ部分では
            やはりストヤノヴァが最高 😄
            最初は、本当に悲劇の主人公アリアドネになり切って
            低音までしっかり響かせる見事な歌唱。

            以前はニュルンドでも観たけれど
            ストヤノヴァとニュルンド、どちらも最高。

            それにストヤノヴァの演技が巧い。
            アリアドネから、素のソプラノに戻る部分の
            切り替えの巧さや、コミカルな演技にも嫌味がない。

            ちょい役のダンス・マスター
            私の大好きなノルベルト・エルンストの登場。
            この人のダンス・マスター
            本当に細かい部分の表現まで磨き上げてあって
            コミカルな動きや演技も的確で
            まさにハマり役としか思えない。

            後半のツェルビネッタだが
            例のアリアは
            まぁ、高音は出る・・・
            あの高音の持続音を
            素晴らしい声量と美声で
            ガッツリと出したのは凄いと思う。

            ・・・けど
            正直言っちゃうと
            あの高音が出る・・・だけ、って感じ。

            ツェルビネッタとしての存在感とか
            役にリアリティを持たせるだけの歌唱力には欠ける。

            まぁ、自分で歌えないものに
            文句つけるな、とは思うんだけど
            (しかも、あの役を歌える人は
             世界だって数人しかいないと思う)

            周囲の他の歌手があまりに素晴らしかっただけに
            ツェルビネッタだけが
            ちょっと浮いてしまったような印象がある。

            オーケストラも音を抑えて
            何とか声を聴けるように頑張ってはいたんだけど。

            後半の妖精3人のうち
            エコーを歌った歌手がとても良かった。
            まだ研修生らしいが
            これから伸びると思うので楽しみ。

            尼子さんのブリゲッタは
            コミカルですごく良かったけれど
            演技に気を取られたのか
            時々、発声が粗くなるのが気になった。
            (すみません、文句たれで)

            ウンターライナーのハーレキンは魅力的。
            声も出るし
            ワイルドな雰囲気が、ちょいワルっぽい役作りで
            この歌手も、色々な役をこなす才能のある人だ。

            バッカス役のダニエル・フランクは
            昨年11月に
            国立オペラ座デビューの
            ジークムントで聴いて魅了されたが

            強い声で
            ワーグナーばりの、あのアリアが見事。
            ストヤノヴァの声とのバランスも素晴らしく
            バッカス役としては
            理想的な歌手の1人だと思う。

            突然の代替えプログラムだった割には
            良い歌手を揃えて
            手慣れた演目を
            完璧に上演した、と言う感じ。
            (まぁ、ツェルビネッタだけは
             ちょい不満だったけど
             我々の年代って
             グルベローヴァのツェルビネッタを
             ナマで聴いて育っちゃった世代だし・・・)

            久し振りに聴いた演目だけど
            もともと好きなオペラではあるし
            衣装も舞台もキレイで
            ストーリーもわかりやすい演出だし
            代替え公演で
            これを選んだのは
            良いアイデアだった、と

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            ドン・ジョバンニ @ 国立オペラ座(通算5回目)

            0
              2024年1月14日 18時30分〜21時50分

              Wiener Staatsoper

              Wolfgang Amadeus Mozart DON GIOVANNI
              Text Lorenzo Da Ponte
              Dramma giocoso in zwei Akten

              指揮 Philippe Jordan
              演出 Barrie Kosky
              舞台・衣装 Katrin Lea Tag
              照明 Franck Evin
              ドラマツルギー Sergio Morabito / Nikolaus Steinitzer

              ドン・ジョバンニ Christian Van Horn **
              騎士団管区長 Antonio Di Matteo *
              ドンナ・アンナ Slávka Zámečníková
              ドン・オッターヴィオ Bogdan Volkov *
              ドンナ・エルヴィーラ Federica Lombardi
              レポレッロ Peter Kellner
              ツェルリーナ Patricia Nolz
              マゼット Martin Häßler

              Orchester der Wiener Staatsoper
              Chor der Wiener Staatsoper
              Bühnenorchester der Wiener Staatsoper
              Komparserie der Wiener Staatsoper
              Artistinnen & Artisten der Ape Connection

              ** ウィーン国立オペラ座デビュー
              * ロール・デビュー

              楽友協会のソワレは
              ピアノ・コンサートだったので
              ぽっかり空いた日曜日の夜に
              たぶん
              オーストリアで最も安い文化生活に足を運ぶワタシ(笑)

              実は年末・年始のオルロフスキー役の
              パトリシア・ノルツが
              ツェルリーナ役を歌う、というので
              行こう、と決心したのだが

              結果、行って良かった 😁

              まさかのまさかで
              あんなに良い公演だったとは
              嬉しい驚き。

              キャスト表はいつもの通り買ったものの
              老眼鏡を忘れてしまい
              そのままバッグに入れていたら
              現れた指揮者は

              フィリップ・ジョルダン 😳

              ・・・よく会いますね(笑)

              前のジョルダンの時もそうだったと言う
              微かな記憶はあるのだが
              モーツァルトの音楽が
              いやにワイルドなのである。

              尖っているところが目立つし
              強弱のダイナミックも
              時々、不自然なほどに付けてくる。

              前にも書いたけれど
              レチタティーヴォが、ほとんどセリフで
              ジョルダンの弾くチェンバロが
              ほんの少しの音を入れる程度なので
              ほとんど地声に近いところも多い。

              私が狙っていたノルツのツェルリーナも抜群だが
              他の歌手が
              よくぞここまで、って言う程に出揃った。

              レポレッロ役の声も通るし
              ドン・ジョバンニの堂々たる悪役の存在感と
              その迫力に満ちた音量のある美声に聴き惚れてしまう。
              半裸の衣装でも
              別に胸の辺りの筋肉がすごい、と言うワケでもないのに
              何故か、ものすごく合っているのは
              声と立ち振る舞いの存在感が
              衣装に負けていないからだろう。

              ドンナ・アンナのスラーヴァ・ザメチニコヴァは
              以前にも聴いて、すごい、と驚いた歌手だが
              今回も以前に増して凄い(語彙の貧弱さはお許し下さい)

              加えて、ドンナ・アルヴィーラ役の
              フレデリカ・ロンバルディも抜群で
              声の良さや声量と同時に
              やはり舞台でのキュートな存在がたまらん。

              ドン・オッターヴィオのボグダン・ヴォルコフは
              ともかく可愛い。
              リリックな甘い声もだけれど
              見た目、むちゃくちゃ「お坊ちゃま」で
              プニプニでモフモフしたくなるタイプ。
              (すみません)
              他の歌手と比べると
              声量はイマイチだが
              リリック・テノールだから、あれで良いのである。
              切々と歌い上げるアリアのキュートさに萌えまくる。

              まるで、どこかの不毛な惑星のような
              岩だらけの暗い舞台だけど
              衣装も、出演者の動きも含めて
              全体の演出がまとまっていて
              最初のナニコレ・ドッキリ・ショックがなくなれば
              (私は5回目だから最初のショックは乗り越えている)
              非常に統一感の取れた演出と言えるだろう。

              ワイルドな音楽作りに
              ワイルドな舞台と衣装と
              暴力的な人物が繰り広げる暴力劇。

              モーツァルトとは思えないわ(すみません)
              モーツァルト風SFと言うか西部劇と言うか
              ピカレスク・ドラマで心理サスペンス。

              当時のモラルによる勧善懲悪の世界から
              完全に逸脱していて
              少なくとも
              登場人物は全員、共依存関係にあるだろう。

              ドン・ジョバンニとレッポレロの共依存
              ドンナ・アンナは強度のエディプス・コンプレックス
              エルヴィーラもジョバンニへの執着は鬼気迫るものがある。
              ちゃっかりしているのはツェルリーナだけ(笑)← こいつもかなりの悪女。

              この舞台だと
              ドン・ジョバンニが
              善人の仮面をつけた
              偽善だらけの社会の犠牲になった人物
              と言う捉え方も出来るような気がする。

              社会的考察はともかくとして
              歌手の揃い方、音楽のワイルドさ
              何とも気味の悪い終わり方も加わって
              実に見応えのある作品だった。

              こんな素晴らしい3時間ちょっと(休憩1回あり)が
              5ユーロで鑑賞できちゃう(+キャスト表1ユーロ)って
              やっぱりウィーンって良い都市だなぁ、と
              つくづく思ってしまう私に
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              キャストは変わっているけれど
              どんな感じの舞台かな?と思われた方
              初演時の動画を貼っておきます。


              西部の娘 @ 国立オペラ座2回目

              0
                2024年1月10日 19時〜21時50分

                Wiener Staatsoper

                Giacomo Puccini
                LA FANCIULLA DEL WEST
                Text: Carlo Yangarini & Guelfo Civinini
                Oper in drei Akten

                指揮 Carlo Rizzi
                演出・舞台・照明 Marco Arturo Marelli
                衣装 Dagmar Niefind
                コーラス指導 Thomas Lang

                ミニー Malin Byström
                ジャック・ランス Claudio Sgura
                ディック・ジョンソン(ラメレス) Yonghoon Lee
                ニック Carlos Osuna
                アシュビー Dan Paul Dumitrescu
                ソノーラ Attila Mokus
                トリン Thomas Ebenstein
                シド Stephano Park
                ベッロ Jack Lee
                ハリー Andrea Giovannini
                ジョー Katleho Mokhoabane
                ハッピー Clemens Unterreiner
                ラーキンズ/ビリー・ジャックラビット Ilja Kazakov
                ウオークル Daria Sushkova
                ジェイク・ウォーレス/ホセ・カストロ Nikita Ivasechko
                郵便配達人 Agustín Gómez

                Orchester der Wiener Staatsoper
                Chor der Wiener Staatsoper
                Bühnenorchester der Wiener Staatsoper
                Extrachor der Wiener Staatsoper

                キャストの変更はなし。
                結構、直前までランス役にフロンターリの名前があったので
                本当に歌うのだろうか、と思っていたら
                全公演、駆けつけたクラウディオ・スグーラになった。

                朝の気温がマイナス7度(体感温度マイナス11度)で
                日中でもマイナス3度、体感温度でマイナス7度とか
                久し振りに、冬らしい冬になって
                さすがの私も、とうとう自宅に暖房入れた。
                エネルギー費用の高騰で、かなり辛いのだが・・・

                今学期は、すべてのゼミから降りたので
                勉強すべき事はあるのだが
                全然その気にならず

                図書館に居ても
                自分のPCでコミックとか読んでいると
                周囲の顰蹙をかいそうなので
                (意外に臆病なのワタシ)

                仕方なく授業の後、帰宅して
                ずっと腹一杯の食事をして
                日本からのスイーツを絶え間なく食しつつ
                コミック読んでいる自堕落な私を
                神さま、どうぞお許し下さい。

                夜になると、夜行性動物のように
                また市内に出没する。

                でも、何故かわからないけれど
                ともかく眠い。むちゃくちゃ眠い。
                立見席じゃないから
                かなり頑張らないと
                意識が遠くなりそうになる・・・

                上演の印象はほとんど変わらない。
                この間より、ちょっと視線が下になったので
                最初のモブシーンの時に
                2階と3階に
                同じような衣装(労働着)の男性が
                わさわさ居るのが見えるが

                あれはコーラス?
                でも下のコーラスと距離があるから
                俳優さんたちかもしれない。
                スタッフの豪華な無駄遣いにしか見えない。
                (だいたい、あの暗い薄汚れた倉庫に
                 わざわざ2階とか3階を作る意味はあったのだろうか?)

                演出はこの間書いた通りで
                むさい労働者階級の男性が
                暗い舞台に大人数で登場し
                誰が何処で歌っているのかは
                よほど目と耳が良いか
                最高級の席でなければわからないだろう。
                (出だしのウォーレスは舞台袖から歌っていたと思う)

                そんな中で
                第2幕のミニーの真っ赤な派手派手衣装が
                なんかもう、「場違い」ってこれかな、と思わせる程
                全体の舞台から浮きまくっている。
                まぁ、それだけ好きな人を振り向かせようとする
                女ごころの表現なのだろうから
                それは演出家の意図だろう。

                最後の気球シーンだが
                気球はほとんど動かず
                舞台が下がって行く、と言うのは
                なかなか賢い仕掛け。

                同時にランスがピストルを持って
                その意図に気がついたニックが
                撃ったらダメ、とランスに銃を向けるのだが
                ランスが撃たれても
                その時には、気球もランスに撃たれているんだから
                あまり意味がないような気がする。
                (どうせ理屈っぽいですワタシ)

                その後、ランスが自分にピストルを向けるところは
                今日はあまりに短くて
                こめかみに向けた、と思った途端に
                カーテンが降りてしまったので
                もしかしたらランスは自殺したのかも・・・
                (理由に全然納得がいかないけど)

                トゥーランドットではリュウは死んじゃうけど
                そこそこハッピー・エンドで
                でも最後のシーンで
                トゥーランドットとカラフが
                王座から逃げ出しちゃう、と言う演出だったので

                この西部の娘も
                ランスが最後に2人を撃ってしまう
                と言う悲劇でも良かったような気がする。
                その場合には
                きっと終演後に盛大なブーが飛び交ったのだろうなぁ。
                (その方が楽しい、とは口が裂けても言えないけど)

                プッチーニの音楽は
                他の甘々プッチーニに比べると
                確かに緊迫した締まった音楽になっているので
                アントン・ウェーベルンが絶賛した、と言うのも
                よくわかるんだけど

                この演目は
                ともかく、これで鑑賞は終了。
                まぁ、でも一度は観て良かった
                (マウントが取れるから?😆)と言う
                卑怯な根性の私に
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                西部の娘 @ 国立オペラ座1回目

                0
                  2024年1月7日 19時〜21時45分

                  Wiener Staatsoper

                  Giacomo Puccini
                  LA FANCIULLA DEL WEST
                  Text: Carlo Yangarini & Guelfo Civinini
                  Oper in drei Akten

                  指揮 Carlo Rizzi **
                  演出・舞台・照明 Marco Arturo Marelli
                  衣装 Dagmar Niefind
                  コーラス指導 Thomas Lang

                  ミニー Malin Byström *
                  ジャック・ランス Roberto Frontali —> Claudio Sgura
                  ディック・ジョンソン(ラメレス) Yonghoon Lee *
                  ニック Carlos Osuna
                  アシュビー Dan Paul Dumitrescu *
                  ソノーラ Attila Mokus *
                  トリン Thomas Ebenstein
                  シド Stephano Park *
                  ベッロ Jack Lee *
                  ハリー Andrea Giovannini *
                  ジョー Katleho Mokhoabane *
                  ハッピー Clemens Unterreiner
                  ラーキンズ/ビリー・ジャックラビット Ilja Kazakov *
                  ウオークル Daria Sushkova *
                  ジェイク・ウォーレス/ホセ・カストロ Nikita Ivasechko *
                  郵便配達人 Agustín Gómez *

                  Orchester der Wiener Staatsoper
                  Chor der Wiener Staatsoper
                  Bühnenorchester der Wiener Staatsoper
                  Extrachor der Wiener Staatsoper

                  ** 国立オペラ座デビュー
                  * ロール・デビュー

                  2013年10月にプレミエだったプロダクションの再演。
                  (プレミエ時はフランツ・ヴェルザー=メストの指揮で
                   ニーナ・シュテメ、トマース・コニエチュニー、ヨナス・カウフマン
                   2014年と2016年は、コニエチュニーとホセ・クーラ、指揮者も違う。
                   2017年にも4回公演。指揮はアルミリアート、
                   最後のみフランチェスコ・ローサ。
                   歌手も変わっているが、面倒なので書きません、悪しからず)

                  2017年以降の再演で17回目の上演になるので
                  ロール・デビューの歌手が多い。
                  指揮者は国立オペラ座デビューである。

                  ところで、開演の10分前にメールが入って来て
                  「本日の公演でランス役のフロンターリがキャンセル。
                   ジャンプ・インはクラウディオ・スグーラになりました」

                  もちろん、開演前にマイクを持って登場したのは劇場責任者。

                   フロンターリが突然キャンセルし
                   スグーラは730キロメートルの距離を
                   8時間かかって車で移動し

                   車の中でスコアを読み直し
                   演出家とビデオ会話を行なって
                   18時10分にウィーンに到着しました。

                   充分に声も温まっていて
                   演出も頭の中に完璧に入っているので
                   本日は舞台で演技もお見せ出来ます。
                   (註 急な代役の場合は口パクで歌だけの場合が多い)

                  多少、話を盛っている可能性もあるので
                  こういうのは話半分で聞いておくとしても
                  急な代役依頼で飛んで来て
                  (何故、飛行機じゃなかったんだろう?
                   環境保護とか言うけど
                   飛行機と車じゃそんなに変わらないような気がするが)
                  本当に移動中に演出まで叩き込んだのは間違いなさそう。

                  (本人のインスタグラムに開演直前の写真がポスティングされてる)

                  さて、その代役だが・・・
                  ぎゃ〜っ! すごい美声のバリトン❤️

                  もちろん声量はたっぷりだけど
                  それ以上に美声で
                  発声に無理がなくて朗々と響く声の質が素晴らしい。

                  ミニーは昨年、新演出サロメを歌った
                  マリン・ビストレーム。
                  この人も見た目が美しく、アップに耐え
                  しかも良く伸びる曇りのないソプラノ。

                  前半(第1幕)では
                  高音が抜けずに詰まっていて
                  うわ、ちょっとキツそうと思ったけれど
                  後半では、きちんと抜けて良い感じ。

                  ディック・ジョンソン(ラメレス)を歌った
                  ヨンフン・リーは
                  相変わらず力任せ。
                  喉の強さだけで歌ってる感じがする。
                  (以前聴いたのは2023年の「道化師」)
                  でも、このテノールの劇的表現力はすごい。

                  私も、この演目を知らず
                  急いでウィキで調べてから来たんだけど
                  最初のシーン(倉庫の中のバーみたい)に
                  ともかくモブが多過ぎて

                  何処で、誰が、何を歌っているのか
                  さっぱりわからん・・・

                  男性ばかりの中で
                  そりゃ、ビストレームの声は目立つ。
                  女声と言うなら
                  後半、第2幕で出てくるウオークル役の
                  ダリア・スシュコヴァのメゾも素晴らしかった。
                  役どころがああいう役なので
                  せっかく良い(と思われる)スタイルを
                  デブデブにされていたのはかわいそうだったが(笑)

                  ところで、ウィキにも
                  初演は成功したものの
                  その後、人気が出なかったのは

                  不協和音の多用と
                  口ずさめるメロディの不在
                  オペラの舞台の「西部劇」で
                  あまりにリアル?だから

                  とか書いてあったけれど

                  確かに、パルジファルと似た編成の大規模オーケストラが
                  最初から、どっか〜ん、と不協和音(クラスターっぽい)を
                  ガンガン演奏するので、ちょっと、いや、かなりビックリする。

                  リアル・・・というよりは
                  あまり美しくない倉庫のバーで
                  衣装も汚れた鉱夫たちのものだし
                  顔とか手も汚れていて

                  第2幕のミニーの部屋も
                  大昔の台所に大昔の机やベッドで
                  (50年代ですかね。終戦直後の感じ)
                  美しいとは言い難いし

                  第3幕は、またもや倉庫のあるシーンで
                  線路が敷いてある上手(かみて)に絞首刑の小屋。

                  全体的に舞台は暗いし
                  衣装は(第2幕のミニーの真っ赤な衣装を除く)ばばっちい。

                  でもでも、それ言ったら
                  あの貧乏くさい、ラ・ボエームなんかもそうだし

                  少なくとも
                  我々が見慣れた「西部劇」っぽい舞台ではないと思う。

                  第1幕では
                  誰が歌っているのか
                  まったくわからないモブシーンが延々と続き

                  ランスの口説くシーンの後
                  ジョンソンが入って来て
                  ジョンソンとミニーが恋に堕ちる?

                  第2幕では
                  ジョンソンを家に招いて
                  真っ赤な衣装に真っ赤な靴
                  真っ赤なストールで
                  オシャレに余念のないミニーが可愛いけれど

                  ジョンソンがキスを迫るところで
                  プッチーニの書いた音楽が

                  うはははは 😂
                  ダメだ私・・・
                  あまりにドラマチックで大袈裟過ぎて
                  ついつい笑ってしまう・・・

                  たかがキッスで
                  そんな表現するんですか。
                  1910年って、そういう時代だったんですね、きっと 🤭

                  ドラマチックな音楽ではあるのだが
                  確かに、アリアらしいアリアはほとんどない。
                  最後のシーンのラメレスの
                  ミニーには僕が死んだ事を言わないでくれ
                  というところ
                  プッチーニらしい、もっとメロディックなアリアを
                  期待してしまうのだが。
                  (いや、美しいメロディなんですけどね。
                   何となく、それまでのプッチーニに似た感じで・・・)

                  ところで、筋書きによると
                  最後、ラメレスが絞首刑になるところを
                  馬に乗ったミニーが到着」とあるので
                  どうやって舞台に登場するんだろう?と
                  ワクワクしていたら
                  絞首刑の台のある建物の裏から
                  突然現れたので驚いた。

                  え?
                  だったら
                  「二人は馬に乗ってカリフォルニアを後にする」
                  とウィキに書いてあるのは
                  演出上、どうやって処理するの?と思っていたら

                  後ろから気球が降りて来て
                  それに乗って、2人は去って行く。

                  気球のカゴの高さがかなりあって
                  あれ、どうやって乗るんだろう?
                  (私の腰の位置より高い)
                  と思ったら
                  2人とも、身体が柔らかいのか
                  楽々と脚を上げて、乗り込んじゃった 😳

                  キャストのオーディションの時に
                  この気球のカゴに乗れるか、というのも
                  課題になってるんじゃないだろうか・・・

                  さて、気球に乗った2人を
                  下からピストルを持って見上げるランス・・・

                  ありゃりゃ、ここらへんで
                  演出家の自己主張が強くなって
                  もしかしたら
                  ランスは、この2人を撃つんじゃないか

                  ドキドキ

                  と思ってワクワクしながら
                  舞台で銃声が響く事を覚悟していたら

                  あれ?
                  ランスがピストルを自分のこめかみに当てちゃったよ?
                  しかも、モブだから誰だか区別がつかないが
                  もう1人がピストル構えて
                  舞台の上手(かみて)からランスを狙っている。

                  きゃ〜、もしかしたら
                  ランスが自殺する?
                  全然、意味わからん。
                  自殺する理由、全くないじゃん。
                  (悪人を見逃した良心の呵責?
                   いや、恋物語だもん、それはないよね。
                   それにランスって奥さん居るじゃん(そういう設定))

                  幕が降りるまで
                  銃声が響いて、ランスがいつ倒れるのか
                  ドキドキしながら待ってたんだけど
                  ピストル構えて
                  他の人に狙われたまま
                  ランスも、もう1人も
                  凍りついた姿勢のままで幕。

                  謎だ、謎・・・

                  という訳で
                  よくわからなかったので
                  もう一度、鑑賞しに行きます。

                  これだけオペラ座に行っていると
                  オペラの楽しさに目覚めた、と思われるかもしれないが

                  この時期
                  コンサートは
                  どこのオーケストラも
                  やるとすれば
                  ニューイヤー・コンサートと称して
                  シュトラウス・ファミリーばっかり演奏しているので
                  行きたいと思わないのだ。
                  (嫌いじゃないけど
                   シュトラウス・ファミリーの曲を
                   ずっと聴いていると胸焼けする)

                  早くコンサート生活が始まって欲しいのだが
                  最初のコンサートが
                  えらい事になっているので
                  (そのうち書きます・・・(涙))
                  ちょっとオタオタしている私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。

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                  この演目のチケットを買っちゃったのは
                  30%割引に釣られてしまったからで
                  プッチーニ・ファンになった、とか言う事ではない(きっぱり)

                  ところで、久し振りに自分の過去のブログを読み返していて
                  生意気ネタのカテゴリーで書いた
                  10年以上前の独り言の呟きが
                  いまだに変わっていなくて
                  ああ、ワタシ、人間として
                  まったく成長していない、と反省することしきり・・・

                  国立オペラ座 こうもり 3回目(最後)

                  0
                    2024年1月6日 19時〜22時50分

                    Wiener Staatsoper

                    Johann Strauß
                    DIE FLEDERMAUS
                    Text: Richard Genée & Karl Haffner
                    Komische Operette in drei Akten

                    指揮 Simone Young
                    演出 Otto Schenk
                    舞台 Günther Schneider-Siemssen
                    衣装 Milena Canonero
                    振付 Gerlinde Dill
                    コーラス指導 Martin Schebesta

                    ガブリエル・アイゼンシュタイン Johannes Martin Kränzle
                    ロザリンデ Camilla Nylund
                    フランク Wolfgang Bankl
                    オルロフスキー Patricia Nolz
                    アルフレード Hiroshi Amako
                    ファルケ博士 Martin Hässler
                    ドクター・ブリント Norbert Ernst
                    アデーレ Ilia Staple
                    イーダ Ileana Tonca
                    フロッシュ Johannes Silberschneider
                    イワン Jaroslaw Pehal
                    2幕 雷鳴と稲妻 Ensemble & Corps de Ballet

                    Orchester der Wiener Staatsoper
                    Chor der Wiener Staatsoper
                    Wiener Staatsballett
                    Jugendkompanie der Ballettakademie der Wiener Staatsoper
                    Komparserie der Wiener Staatsoper

                    今日の公演は
                    立見席争奪戦に参加して
                    平土間立見席最前列を確保 🤗

                    何と、またもやアデーレ役が変わっている。
                    3回見て、3人のアデーレを聴くなんて
                    初めての体験である。

                    リンツ出身、34歳のソプラノの
                    イリア・シュタープルは
                    来シーズンからオペラ座のアンサンブルのメンバーになる。

                    パトリシア・ノルツもそうだけど
                    オーストリア出身の歌手の活躍は
                    在住人としては嬉しい 😀

                    平土間からの舞台への視線は
                    ギャラリーからとは違うので
                    また違う面白味がある。
                    (昨年は全部、平土間立見席から見た)

                    尼子広志のアルフレードがキュート。
                    表情がコロコロ変わるし
                    身体が柔らかくて、動きもコミカル。
                    声もリリックで
                    ちゃんと飛んでるし
                    ネモリーノとか歌うと合うかも。

                    アイゼンシュタインのクレンツレは
                    見た目も大柄で太ってないし
                    声量はむちゃくちゃあるので
                    最初の登場が非常に印象的。

                    初聴きアデーレは
                    スタイル良くて
                    それだけにマスクが、ちょい年上に見えちゃうけど
                    (アデーレの年齢って
                     役どころから言うなら、せいぜいが16〜18歳だ)
                    ちゃんと演技も出来るし
                    これからアンサンブルで伸びて行くかもしれない。

                    コロラチューラに関しては
                    我々の年代だと
                    グルベローヴァで育って来ちゃってるし
                    ダムラウなんかも聴いてるからなぁ・・・
                    ファリーもセンセーショナルなデビューをしたが
                    その後は、あまり聴いてないし・・・

                    ファルケ博士のヘスラーは
                    声は出る上に
                    ドイツ語のディクションが非常にクリアで
                    派手な役でアピールするタイプではないと思うけれど
                    どんな役でもこなす、器用なバリトンだと思う。
                    (アンサンブルのメンバーで
                     かなりの数の役を歌っている)

                    ニュルンドは、相変わらず綺麗な人だ。
                    大柄なのに、大柄に感じさせず
                    声も澄んでいて美しくて、とても魅力的。

                    オルロフスキーのノルツは
                    ともかく素晴らしい❤️
                    このプロダクションの中では
                    際立っている声量と美声で
                    ついつい
                    次の出演演目に行きたくなっているところ。

                    話し声はともかくとして
                    歌う時の胸からの声(低音域〜中音域)の
                    身体全体の共鳴に聴き惚れてしまう。

                    ああいうのは
                    もちろん訓練もあるだろうが
                    持って生まれた骨格とか身体つきに
                    よるところが大きいだろうから
                    本当に声楽って、才能、というより
                    生まれつきの身体で決まる部分が多い。

                    3回鑑賞したので
                    いつものギャグとか
                    全部知ってるから
                    会場に響く笑い声と一緒に笑えないのは
                    ちょっと残念だが

                    巧く出来ている話だし
                    現代社会問題とか女性の自立とか
                    面倒な事に一切かかわりないから
                    何も考えずに鑑賞できる演出ではある。

                    で、考え出すと
                    アイゼンシュタインが最後に
                    ロザリンデに許しを乞う、という事は
                    ロザリンデが財産持ちである、という前提が可能。

                    アイゼンシュタインは

                     警官に暴言を吐く(その結果、逮捕される)
                     女中のアデーレにセクハラを繰り返す
                     弁護士の選択も正しく出来ない
                     美しい女性には見境なく手を出そうとする
                     (しかも自分の魅力でなく
                      財産(この場合は高価な時計)を餌にする)
                     シャンパンを讃えておきながら
                     最後は、全てシャンパンが悪い、と
                     価値観を変えて罪をなすりつける

                    ・・・最悪の男性と言えよう(きっぱり)

                    アルフレードにしたって
                    ロザリンデが既婚になったとたんに
                    コナを掛けてくるのは
                    結婚という責任は負わず
                    既婚者と気楽な浮気をしたい
                    って言う人でしょ?

                    現代情勢に合わせるなら
                    さっさとガブリエルと離婚して
                    財産で悠々自適な1人暮らしをして
                    アルフレードを愛人、ないしはヒモとして養って
                    時々、お家で歌わせたらよろしい。

                    もっとも、そんな演出されたら
                    私もイヤだし
                    ウィーンの観客が暴動を起こすだろう(笑)

                    これにて、年末・年始の「こうもり」は終わり。
                    国立歌劇場管弦楽団も
                    年に1回のオペレッタから
                    またオペラに戻る毎日になる。

                    オペラ鑑賞が
                    ウィーンでは一番安い事に気がついて
                    (映画だって美術館だって、オペラの立見より高い。
                     まぁ、ガイドの資格で美術館はほとんど無料で入れるけど)

                    でも、やっぱり、コンサートをメインに
                    空いている日は、一番安いエンターテインメントに
                    今年もせっせと通う予定の私に
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                    第2幕オルロフスキーのパーティだが
                    会場に時計(アナログ式)があって
                    最初の夕食の時には
                    22時20分くらいを示していた。

                    で、いつ動かすんだろう?と思っていたら
                    雷鳴と稲妻のバレエ・シーンで
                    私がオペラ・グラスでダンサーを見ている間に
                    6時5分前になっていた(しまった、見逃した)
                    時計が6回なる時に
                    すごい速さで5分前から6時に動いていたのはご愛嬌。

                    国立オペラ座 こうもり 2回目

                    0
                      2024年1月3日 19時〜22時50分

                      Wiener Staatsoper

                      Johann Strauß
                      DIE FLEDERMAUS
                      Text: Richard Genée & Karl Haffner
                      Komische Operette in drei Akten

                      指揮 Simone Young
                      演出 Otto Schenk
                      舞台 Günther Schneider-Siemssen
                      衣装 Milena Canonero
                      振付 Gerlinde Dill
                      コーラス指導 Martin Schebesta

                      ガブリエル・アイゼンシュタイン Johannes Martin Kränzle
                      ロザリンデ Camilla Nylund
                      フランク Wolfgang Bankl
                      オルロフスキー Patricia Nolz
                      アルフレード Hiroshi Amako
                      ファルケ博士 Martin Hässler
                      ドクター・ブリント Norbert Ernst
                      アデーレ Maria Nazarova
                      イーダ Ileana Tonca
                      フロッシュ Johannes Silberschneider
                      イワン Jaroslaw Pehal
                      2幕 雷鳴と稲妻 Ensemble & Corps de Ballet

                      Orchester der Wiener Staatsoper
                      Chor der Wiener Staatsoper
                      Wiener Staatsballett
                      Jugendkompanie der Ballettakademie der Wiener Staatsoper
                      Komparserie der Wiener Staatsoper

                      この「こうもり」も行く予定はなかったのだが
                      (よって、立見席争奪戦には不参加)
                      争奪戦が既に終わった後に
                      のんびりとサイトを覗いてみたら

                      ギャラリー・ハーフ・ミドルの1列目が
                      何と、まだ空いていたので
                      思わずポチってしまった次第。

                      不満の残った12月31日の公演の時に
                      2回目(1月1日)とか
                      3回目(本日1月3日)になれば
                      音楽的にも落ち着くから
                      良くなってるかも、と考えてはいたので
                      指揮者の悪口を訂正する良い機会になるかもしれない。

                      怒涛の仕事が終わったので
                      午前中に掃除・洗濯を済ませ
                      友人とベトナム料理のランチして
                      美術館で、心ゆくまで名画を鑑賞してから
                      国立オペラ座でオペレッタ鑑賞なんて
                      何と優雅で貴族的な日(あ、いや掃除・洗濯は別だが💦)

                      オペラ座でキャスト表を買ったら
                      中に挟まっている白い紙・・・

                      あっ、誰がキャンセルして
                      誰がジャンプ・インしたんだろう?

                      レグラ・ミューレマン(アデーレ役)が降板。
                      アンサンブルのメンバーの
                      マリア・ナザロヴァがジャンプ・イン。

                      音楽的には、非常にまとまって来た。
                      やはり3回目くらいが最も良い時かもしれない。
                      序曲から、丁寧な紡ぎ方をしていて
                      オーケストラのパートのバランスも良いし
                      この間のような不自然なタメもあまり目立たない。

                      ナザロヴァは今までも、かなりの役で聴いて来たが
                      ちょい役や脇役が多かった。
                      バレエの「愛の歌」ではソプラノを歌っていて
                      昨年1月4日の「こうもり」でも
                      やはりジャンプ・インでアデーレ。

                      体格は、まぁ、ちょっとふっくら気味だが
                      それ言ったらニュルンドもそうなので(ごめんなさい)
                      バランス的には悪くない。

                      おふざけのたっぷり入ったアデーレで
                      キュートだけど
                      見方によってはわざとらしさの目立つ
                      あざといアデーレ・・・かもしれない。

                      でも、まぁ、意図的にキュートにしよう、と
                      頑張っているのは、よ〜くわかる。

                      ナザロヴァはコロラチューラというより
                      スプレットの声なので
                      大丈夫かな、と最初のシーンで思ったが

                      アジリタの技術はしっかりあるから
                      アデーレ役も充分に歌える。

                      第2幕の Mein Herr Marquis のアリアが
                      かなり癖があって
                      恣意的なテヌートが多く
                      スタンダードなお行儀良いアリアの歌い方ではなかったのに
                      それにピッタリ付けたオーケストラには驚いた。

                      シモーネ・ヤングを見直したわ・・・
                      やっぱり、オペラも、数多く振っているだけの事はある。

                      アイゼンシュタインの品のなさにも
                      私が慣れて来たのかもしれないが
                      最初の登場の時から、かなり声量があって存在感がある。

                      それに、背が高いバリトンなので
                      やはり大柄なニュルンドと並んでも
                      違和感がない、というのは
                      舞台上の「絵」としては、かなりの長所。

                      尼子広志のテノールもリリックだけど
                      かなり良い感じに響いて来る。
                      セリフ回しは
                      如何にも「学びました」という美しいドイツ語だが
                      アルフレードは、もともとイタリア人っていう役だから
                      違和感はない。

                      加えて、尼子の演技がコミカルで
                      役にハマりきって
                      捨て身の演技をぶちかまして来るのが
                      かなりの快感。

                      立見席争奪戦の後の残り席だったにしては
                      立ち場所としては、かなり良い場所で
                      オーケストラの音も
                      歌手の声も
                      バッチリ聴こえて来たのは良いのだが

                      後ろの立見のカップル2人が
                      盛大に風邪をひいていて
                      ずっと湿った咳をしていて
                      鼻をズルズルさせているので
                      風邪をうつされそうで・・・
                      (もちろん、即、マスクを着用)

                      あと、会場にどの位響いたかはわからないが
                      暖房?のか、音響機材?なのか
                      時々、低周波のブーン、という音が入る。
                      20秒〜30秒で、いったん止むのだが
                      また少し経つとブーン・・・

                      コンツェルトハウスのギャラリーの脇の席でも
                      時々、聞こえる事があるけれど
                      あの機械のブーンは
                      できればコンサート会場やオペラ劇場では
                      避けるべき音だと思う(怒)

                      ・・・あんまり文句ばっかり垂れる
                      老婦人には、なりたくないんだけどね(笑)

                      今回の公演は
                      音楽的なまとまりに加えて
                      歌手のバランスの良さが大きかった。

                      だって、シャンパンの歌とか
                      持ち回りで歌うところで
                      声量の差が大きいと不自然なんだもん。

                      声量マックスのバンクルと
                      きちんと対峙するニュルンドも
                      アイゼンシュタインのクレンツレも
                      堂々としていて良かったし
                      ジャンプ・インのナザロヴァも声量はある。

                      この間も書いたけれど
                      セリフ部分の声量は足りていないのに
                      歌い出すと
                      芯の通った、強靭な美声で圧倒的な
                      パトリシア・ノルツのオルロフスキーが素晴らしい。
                      今まで聴いたオルロフスキーの中でも
                      ベストに入ると思う。
                      (喋る声は、まぁ、仕方ない。発声法が違うから。
                       でも、あれ、訓練で良くなるような気がする)

                      パトリシア・ノルツは
                      今までもオペラ座でかなり聴いていて
                      記憶に残っているのが
                      皇帝ティートの慈悲のアンニオ役。
                      自分の個人メモを読み返しても
                      すごく良かった・・・と書いてある。

                      私の推しのメゾは
                      オペラ座に何人か居るんだけど(ボヒネックとか)
                      ノルツも絶対の推し❤️
                      既にケルビーノなんかも歌っているし
                      (ヘンな新演出だったので、あまり存在感はなかったが)
                      これからもどんどん伸びそうなメゾなので
                      注目株だな、うん。

                      雷鳴と稲妻のシーンでは
                      バレエ・ダンサーが登場するのだが
                      うわあああ
                      シフティング・シンメトリーズで踊っているダンサーが
                      何人か居るじゃないの 😳

                      昨日、激しいダンスを舞台で踊って
                      今日は、「こうもり」でワルツやポルカを踊らされ
                      明日、明後日と2日続けて
                      またマネンやフォーサイスを踊るなんて・・・

                      ダンサーも大変・・・というか
                      国立バレエ団って、ブラック企業?

                      ダンサーも歌手もオーケストラも
                      事故にあったり、病気にならないよう

                      ついでに私も
                      今年も元気でコンサート・ホールや
                      劇場通いが出来るよう

                      祈っている私に
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