神奈川フィルハーモニー管弦楽団 + 沼尻竜典

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    2024年2月16日 19時〜21時20分

    東京オペラシティ コンサートホール
    タケミツ メモリアル

    神奈川フィルハーモニー管弦楽団
    指揮 沼尻竜典
    ピアノ ニュウニュウ

    Edvard Grieg
     Piano Concerto in A minor, Op. 16

    Gustav Mahler
     Symphony No. 7 in E minor

    ウィーンに戻る?出発する?直前に
    何してる?ってところだが
    X(旧ツィッター)で
    マーラーの交響曲7番、と言うのを見て

    アポイントメントの後に
    急いで行けば間に合いそう・・・と
    ついついポチってしまった💦

    で、急いで行った。
    何せ、ウチは田舎なのである😅

    オペラシティのコンサート・ホールは
    以前も来た事がある。
    建築的には面白くて
    山小屋っぽく三角形の傾斜が
    上の方まであって
    音響的にも面白い・・・ような気がする。

    以前は平土間だったので
    音がかなり平坦に聴こえて来たので
    今回は上の方に逃げた。

    さて、最初はグリーグのピアノ協奏曲。
    若い中国のピアニストのニュウニュウは
    もちろん初聴き。

    日本のオーケストラは
    ともかく技術的には非常に高い。
    外国のオーケストラなんて
    別に聴かなくても良いじゃん、とか思うほど
    巧いのは巧い。

    個人的なただのシロウトの印象なので
    まともに取らないようにお願いするけれど

    メロディは続くのだが
    小節線が感じられないというか
    いわゆる「メトロム」と呼ばれるような
    キリッとした感じの切れ味に欠けている
    ような気がするんだけど

    それって、ホールの音響によるものだろうな、きっと。

    ピアノも、もちろんテクニックは素晴らしい。
    世界に出るソリストの技術は
    年々アップしているので
    若いピアニストが
    超絶技巧を
    しかも力強く披露してくれるのは面白い。

    けど、これもピアノの調律や
    ホールの音響によるのだろうが
    全体的に音が硬くて
    打楽器聴いてるみたいな気分。

    ただ、これ、好みの問題なので
    私がもっと若い頃は
    ガリガリ弾くピアニストが好きだったので
    それはそれで一つの個性だろうと思う。

    ガリガリ、超絶技巧で
    完璧に演奏するので
    カデンツァも、すごい音がするのだけれど
    今ひとつ、色彩が感じられない。
    あのカデンツァ、ピアニストによっては
    ひえ〜、オーケストラ要らん、と思わせる程の
    色彩感と音色の多様性を感じるのだが。

    オーケストラの音は素晴らしい。
    バランスやパートの強調も
    巧いなぁ、と感じるところも多いけれど
    色気とか、艶というのは
    あまり感じられない。

    いやいやいや
    考えてみれば
    グリーグのピアノ協奏曲の2楽章・3楽章って
    私は国立オペラ座のバレエで
    ずっと聴いていたので
    (バレエ「ペール・ギュント」を何回観たことやら)
    バレエの時には
    あれあれ状態になる事が多いとは言え
    ウィーン国立歌劇場管弦楽団で聴いていたわけで・・・

    しかし美しい曲だなぁ。
    第2楽章は、今まで書かれた
    最も美しいメロディの一つだと思う。
    最終楽章は、いまだに
    バレエでの精神病院シーンが
    自動的に頭の中で再生されちゃうんだけど。

    アンコールはなし。
    普通、ピアニストってアンコールするんじゃないの?
    ソロも聴いてみたかったんだけど残念。

    ステージ・マナーは良いし(お辞儀が長い)
    イケメンだし、スタイル良いし
    アイドルっぽい感じで
    キュートなアーティストではある。

    後半、大・大・大好きな
    マーラーの交響曲7番。
    あああ、知っていたら
    スコア持ち込みしたのに・・・

    でも日本のホールは
    客席が暗くなって
    読めないかも・・・

    テノール・ホルン素晴らしい。
    割りに重い感じの演奏だけど
    こんな難しい曲を
    実に巧く演奏する(って言うか、プロだもんね)

    最初から最後まで
    (あくまでも個人的シロウトの印象です!)
    ゲルマン的な重さと生真面目さが立って
    マーラーの持っている
    苦笑できるような皮肉さとか
    冷笑っぽいところは感じない。

    全体的に「イジワル」じゃない演奏?
    この曲を聴いていると
    時々、うわ、いけず、と思うし
    この曲、狂気という面から見ると
    かなりぶっ飛んでいると思うんだけど
    今日の演奏は非常に素直で美しい。

    って言うか
    最終楽章で思ったんだけど
    分断するところのゲネラル・パウぜがない。
    ブロックごとの演奏は
    エネルギッシュで良いんだけど
    その間の繋ぎにタメが全くなくて
    これが「あっさり感」の原因か?

    ホールの音響に慣れていないし
    久し振りのコンサートだから
    耳がおかしくなっている事は
    大いに自分でも認めるところなので

    営業妨害でも
    悪口でも
    ましてや批判や批評でもございません。
    あくまでも「個人メモ」なので
    怒らないでお許し下さい。

    ああ、でも
    ナマのオーケストラの音って良いなぁ。
    あと数日で
    また楽友協会の超貧民席で
    あの、長い残響での
    お風呂っぽい音響を楽しめると思うと

    14時間半+乗り継ぎの
    拷問としか思えない移動も
    何とか耐えられる・・・ような気がする私に
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    気分を害された皆さま
    どうぞお許し下さい🙇



    読売日本交響楽団 + 山田和樹

    0
      2024年2月9日 19時〜21時5分

      サントリー・ホール
      読売日本交響楽団
      指揮 山田和樹
      尺八 藤原道山
      琵琶 友吉鶴心

      バルトーク
      弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 BB114

      武満徹
      ノヴェンバー・ステップス

      ベートーヴェン
      交響曲 第2番 ニ長調 作品36

      日本滞在中に
      良き友人がご招待して下さって(感謝🙏)
      読売日本交響楽団の定期演奏会に行って来た。

      11月〜12月の不在時も
      ちょっと日本でコンサートに行って
      それについては個人メモは書かなかったのだが

      今日は、あまりに面白かったので
      個人的にメモを残したい欲望に勝てなかった。

      2009年のブザンソン優勝後に
      ヨーロッパを拠点に活躍している
      山田和樹は
      何故かウィーンに来てくれず
      一度だけ
      トーンキュンストラーを指揮したのを
      聴いただけで

      その意味では、まだ私にとっては
      未知の指揮者だし

      武満徹のノヴェンバー・ステップスなんて
      ウィーンに居たら
      一生、ナマで聴く機会はない(はずだ、たぶん)

      舞台の袖から
      走って出てくる山田和樹。
      調べてみたら45歳。
      この人も若くして賞を取って活躍しているので
      アンファン・テリブルの1人だったのだが
      みんな40歳代に突入中か。

      でも最近見ている40代の指揮者の中でも
      見た目も
      指揮の動きも
      抜群に「若い」印象を受ける。

      大編成でのバルトークは
      最初は弦のアンサンブルで
      会場が大きいだけに
      美しくは響くけれど
      バルトークっぽい硬さのない音楽という印象だったが

      第2楽章以降の
      激しいダンス振りが凄い。
      ジャンプする指揮者、久し振りに見た(笑)

      でも私のお目当ては
      武満徹である。
      ウィーン音楽大学(正式には音楽と表現芸術大学)の図書館で
      オーケストラ・スコアまで借り出して
      頭を抱えながら格闘?までした曲である。

      幕間の後に、山田和樹がマイクを持って舞台に出て
      小澤征爾の訃報を告知。
      ノヴェンバー・ステップスは
      小澤征爾が初演し
      その際のコンビネーションが
      ベートーベンの交響曲第2番だったとの事。

      悲しいニュースではあるけれど
      小澤征爾氏も、きっとみんなに
      この曲を聴いて楽しんで貰いたいと
      思っていらっしゃっただろう、という事で
      このコンサートは小澤征爾に捧げますという
      アナウンス。

      最初にマイクで出て来た際に
      何を言っているのだか、よくわからず
      本人も突然の訃報に
      パニックだったのかもしれない。

      というワケで
      待ちに待ったノヴェンバー・ステップス。

      うわ〜
      尺八と琵琶、譜面台がない、暗譜だ 😳

      しかし、本当に不思議な曲で
      西洋音楽の(しかもスペクトル楽派の前の印象派っぽい)響きに
      全く合わない尺八と琵琶の東洋音楽の響きを重ねて

      こういう場合って
      どこかで異質な2つの文化の融合を目指すと思うのだが
      全く融合していないために
      琵琶と尺八が入ってくると
      西洋のオーケストラ音楽の中に
      突然、異様な空間が登場する。

      オーケストラの中に
      琵琶と尺八が入るという部分はほとんどない。
      尺八だけが、多少、オーケストラと重なるが
      琵琶は、もともとメロディ楽器ではなく
      音量も少ないのでオーケストラとはほとんど被らない。
      (そこらへんの武満徹の作曲技法の巧さには唸る)

      尺八のプレイヤーは
      洋楽との共演に慣れていそうな感じで
      出てくる音も
      一部の息の音はともかくとして
      音質そのものは
      そのままオーケストラの一部として
      溶け合わそうと思ったら、違和感なく行けそう。

      琵琶が凄かった・・・

      叩きつける激しさと
      音の高さもわからないほどの
      雑音の絶妙な混ざり方は
      日本の音楽の
      自然の響きを取り入れた特殊さを表しているようで
      日本の民族的な音楽の好みとして
      擦弦楽器が平安時代に消えた理由も
      なんとなく想像がつくような気分になる。

      ご存知の通り
      この曲は弦楽器とハープが
      左右に分かれるのだが
      その音響も非常に面白い。
      こういうのはライブでの醍醐味であって
      録音じゃわからん。

      ついでに、琵琶と同じ撥弦楽器のハープの音が
      琵琶の音と対照的に扱われているのも興味深い。
      音響分析したら、むちゃくちゃ面白そうなテーマだ。
      どういう形で問題提起するかにもよるけれど
      ちょっと自分の中で考えてみたい。

      カデンツァで面白かったのが
      あの部分、武満はメモ的に残してはいるものの
      どういう順で演奏しても良い、という指示があり
      ある意味、即興演奏のキャラクターが強いのだが

      尺八の音に
      琵琶がきちんと合わせて来た(びっくり)

      琵琶も三味線と同じで
      たぶん、演奏中に弦が緩んでくる楽器・・・じゃないだろうか。
      (違ったらごめんなさい)
      だから、途中、一ヶ所だけ
      マイクロトナールの単位で音の齟齬があったのを
      次の瞬間、琵琶の奏者が訂正して
      尺八の音程にピッタリ寄り添って来た。

      きゃ〜、こういう即興でのプロの技って、すごく好き❤️

      カデンツァの後のオーケストラのパートって
      ワタクシ的には、本当に不思議なところで
      西洋と東洋は混ざらないのだ、という
      絶望的に放り出されたような気分になって
      ちょっと背中がゾクゾクする。

      そこに入ってくる尺八の音でのエンドだけど
      ライブで聴いても、ともかく不思議な曲だ、ワケわからん。

      演奏後の指揮者の固まっている時間が
      かなり長かった。
      感極まって固まっていたのか
      聴衆向けパーフォーマンスなのかは不明。
      (どうせ疑い深いですよ、ワタシは)

      舞台のオーケストラ配置を変えるかと思っていたら
      あらら
      そのままの配置で
      弦楽器が左右に分かれたままで
      しかも、管楽器が倍管の大編成。

      ホルンがダブルの凄い音で出て来た時には
      ギョッとしたけれど
      いや、これ、すごい。
      むちゃくちゃご機嫌なグルーブ感が爽快。

      左右の弦から出てくる音の移動感も面白い。
      (あれは指揮者の位置だと
       音響的焦点が当たってしまうのでは?)
      プレイヤーの数を変えて演奏させたり
      左右で交互に演奏させたり

      指揮者は
      むちゃくちゃ激しく
      指揮台の上で跳ねて踊ってるし

      大編成オーケストラの
      ボテッとした
      昭和の巨匠みたいな古臭い演奏にならず

      左右の音響効果を
      徹底的に計算し尽くして
      遊び心の爆発したロックンロールなベートーベン。

      ご存知の通り
      ベートーベン時代のコンサート・ホールの規模では
      ベートーベンの交響曲の音量は
      むちゃくちゃ凄かったので
      (まさに、今のロックの音量か
       場合によっては、それより音圧が高かった)
      本当は、今のサントリー・ホールのキャパシティからすれば
      音量としては
      オーケストラ・メンバーが1000人以上でないと実現できない。

      だから大規模で演奏するのは
      そう間違っているワケでもないし
      グスタフ・マーラーが倍管で
      めちゃくちゃ編曲したのも(まぁ、奇妙だけど)
      何となく理解は出来るのだ。

      しかしそれを逆手に取って
      あそこまで
      山田和樹が、嬉々として
      踊って煽って
      音響を自在にコントロールして
      ベートーベンの交響曲の
      別の面を
      新鮮味たっぷりで聴かせてくれるとは思わなかった。
      思いがけない驚きである。

      来週の読響のコンサートも行きたかったのだが
      残念ながら、他の用事があるので
      行けないのが
      ものすご〜〜〜く残念な私に
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      小澤征爾の訃報はショックだったけれど
      幕間にロビーで
      誰かが、小澤征爾が亡くなった、と話していて
      急いで調べたら本当だった。

      ウィーン国立オペラ座の音楽監督時代には
      モーツァルトの三大オペラを振ると言っていたのに実現せず
      結局、オイゲン・オネーギンあたりしか聴いていないし
      ほとんどオペラ座での指揮をしなかったので
      あまり記憶には残っていない。すみません。

      カテゴリーをどうするか迷ったのだが
      まさか小旅行にするワケにも行かず
      外来オーケストラのカテゴリーにしてあるので
      どうぞお許し下さい。

      良き友人のYさま、
      素晴らしい位置のチケットにご招待頂き
      本当に本当に本当にありがとうございます🙇

      クリーブランド管弦楽団 + フランツ・ヴェルザー=メスト

      0
        2023年10月18日 19時30分〜21時30分

        Wiener Konzerthaus - Großer Saal
        Cleveland Orchestra
        バリトン Simon Keenlyside
        指揮 Franz Welser-Möst

        Gustav Mahler (1860-1911)
        Sechs ausgewählte Lieder
         Frühlingsmorgen (Sechs frühe Lieder)
            (zwischen 1880 und 1887, wahrscheinlich 1882;
           Bearbeitung für Bariton und Orchester von Luciano Berio: 1987)
         Ablösung im Sommer (Fünf frühe Lieder)
            (vor 1890; Bearbeitung für Männerstimme und Orchester von Luciano Berio: 1986)
         Revelge (Des Knaben Wunderhorn) (1892)
         Urlicht (Des Knaben Wunderhorn) (1893)
         Rheinlegendchen (Des Knaben Wunderhorn) (1892)
         Hans und Grete (Sechs frühe Lieder)
           (zwischen 1880 und 1887; Bearbeitung für Bariton und Orchester von Luciano Berio: 1987)

        Gustav Mahler
         Symphonie Nr. 7 e-moll (1904-1905)

        コンツェルトハウスの今シーズンは
        フランツ・ヴェルザー=メストのチクルスがあって
        10月・2月・6月の3つのコンサートのパッケージ。

        ヴェルザー=メストの大ファンと言うワケでもないのだが
        このチクルス、私が、最初から持っていた
        クルレンツィス・チクルスの代案だったので
        それまで持っていた最高の席が入手できるはず
        ・・・という理由だけで買ってしまった。

        ご存知、フランツ・ヴェルザー=メストは
        ガンの治療のため
        指揮を下りるケースが重なったのだが
        10月のコンサートはそのまま行ない
        それから年末までは治療に専念し
        2月と6月のコンサートは通常通りに出来るだろうとの事。

        さて、最初のコンサートは
        オール・マーラー・プログラムで

        しかも前半がサイモン・キーンリサイドと
        マーラーの歌曲
        更に、そのマーラーの歌曲の
        オーケストレーションをしたのは
        ルチアーノ・ベリオ。

        極め付けは後半の交響曲7番。
        好きな交響曲を挙げろと言われたら
        たぶん、ワタクシ的には第一位 ♡

        マーラーの初期の歌曲は
        私も知らないものがちょこちょこあるけれど
        ベリオのオーケストレーションの見事さに唸る。
        声を潰さず
        透明感と繊細さを持つ室内管弦楽団的な響き。

        2番目に歌われた
        夏の歌い手交代って
        あれ?オーケストレーションってなかったっけ?

        交響曲3番第3楽章で使われているので
        なんだかリートの方も
        オーケストラ伴奏がありそうな感じだったが
        この曲、子供の不思議な角笛にはなかったんだわ。
        (魚に説教するパドヴァの聖アントニウスは
         交響曲2番の第3楽章に使われていて
         角笛もオーケストレーションされているけれど・・・)

        交響曲のオーケストレーションに倣っているのか
        全く違和感がない。
        声を聴かせるのが非常に難しそうな曲なのだが
        さすが、シンフォニアで
        マーラーを研究し尽くしたベリオの手腕は見事。

        Revelge は日本語の定訳では
        「死んだ鼓手」となっているが
        もともとは起床ラッパの事らしい。

        これは子供の不思議な角笛にあるんだけど
        ロシアとウクライナや
        今のガザ地区の状況を考えると
        なんかもう、他人事として聴いていられない気分。
        キーンリサイドの完璧なドイツ語のディクテーションに
        大袈裟にならない抑えた語りが切々と心に迫る。

        続けて Urlicht で
        あ〜、もう・・・
        オーケストラの響きが何て素晴らしい・・・
        このオーケストラ
        本当にアメリカのオーケストラとは思えない(すみません)
        何という繊細さ 😳
        音色の透明さ 😳
        もちろん、それにキーンリサイドの美声が
        オーケストラと溶け込んで
        至高の世界。

        ラインの伝説、好きです 😊
        素朴な語りの巧さがチャーミング。
        ヘンゼルとグレーテルって
        こんな曲があるのは知らなかった
        すみません不勉強で 😅

        後半の交響曲7番では
        舞台一杯に広がる大きなオーケストラ編成。

        第1楽章のテノール・ホルンの出だしの後
        39小節目あたりからのテンポが重くて
        後でスコア見たら
        Von hier an (unmerklich) drängend
        ここから気付かれない程度に急ぎ出す(意訳)
        と書いてあるから
        このどっしりした感じは正解なのか、面白い。

        全体的に驚くべきバランスの良さ。
        管楽器と弦楽器の
        複雑な絡み合いが
        全て聴衆の耳に届くって、すごい。

        すべてのパートがクリアで
        小さなモチーフが一つと欠けるところなく
        聴こえて来るって、どういう魔法?

        だからと言ってバラバラになる事もなく
        パートが有機的に絡まって全体となるという
        聴いていて新鮮だし
        スコア見てるような気分にもなる。
        (舞台の見える席なので
         スコアは持ち込んでません、念の為)

        コンツェルトハウス大ホールの
        デッドな音響も合っているのかもしれないが
        あれだけ大規模なオーケストラで
        かなりの音量で響かせても
        それでも各パートがきっちりと刻まれて
        聴覚に届くので
        ずっと客席で悶えまくっている(ヘンな客)

        ギターとマンドリンは
        それだけ演奏するプレイヤーが居て
        (おおお、贅沢なプレイヤーの使い方)
        舞台下手(しもて)の奥の方の
        目立たない位置に居て

        しかも、あの位置から
        マイクも使わず
        本当に聴こえて来るんですよ 😳
        この間のような
        マイクをバリバリ使って
        マンドリンとギターだけが響くような不自然さはない。

        だって、あの部分って
        マンドリンとギターのソロじゃないもん。
        オーケストラの醸し出す風景から
        チラッと顔を覗かせるところが
        チャーミングなので
        今回の音響の取り扱いの見事さには脱帽。

        いや、マーラーすごい。
        プログラムによれば
        この曲のリハーサルの時には
        作曲家は毎日スコアを持って帰って
        音響の訂正をしていたらしいが
        さもありなん、というか
        徹底的に構築された音響の世界。

        それだけに
        最終楽章の異様さは目立つんだけど(笑)
        それでも、曲にしっかり馴染んだ感じはする。

        ヴェルザー=メスト
        闘病中でも
        80分の曲を一気に演奏できる体力は
        改めてすごいと思う。

        しかも、あれだけの透明感と繊細感で
        大規模オーケストラだけど
        室内楽的で
        でもスケールの大きさは充分にあって
        いや〜、マーラーの音響を
        隅から隅まで堪能したわ ♡

        アメリカのオーケストラって
        演奏の直前まで
        舞台のプレイヤーが
        各自、勝手に、好きなところの
        音出しをしていて
        楽友協会だと、これがうるさいのだが
        コンツェルトハウスはボリュームが大きくて
        音響がデッドなので
        それ程、気にならないのも幸いだった。

        マーラーなんか聴きすぎて飽きてるかも
        ・・・と思ったけれど(すみません・・・)
        今日の演奏は本当に満喫した私に
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        ヨーロッパ連合ユース・オーケストラ + パッパーノ

        0
          2023年7月29日 20時〜22時20分

          Grafenegg - Wolkenturm

          European Union Youth Orchestra
          バイオリン Julia Fischer
          指揮 Sir Antonio Pappano

          Ludwig van Beethoven (1770-1827)
           Konzert für Violine und Orchester D-Dur op. 61 (1806)

          Richard Strauss (1864-1949)
           „Also sprach Zarathustra“ Tondichtung op. 30 (1896)

          カンカンの晴れで日中は30℃を越え
          オープン・エアの会場は
          芝生席に至るまで満杯。
          大型バスも、ウィーンからだけではなく
          低地オーストリア州の各所から来ているようで

          観客の年齢層が高い・・・

          イム・プルス・タンツだって
          60歳以上は割引があるので
          年配の観客も多いのだが
          若い時はスポーツやってました的な
          筋肉の年配が多いので
          クラシック観客層とはかなり違う。

          ヨーロッパ連合ユース・オーケストラ
          毎年、グラーフェネックをホームにして
          ヨーロッパ中に演奏旅行をする
          EU国籍を持つ16歳から26歳までのメンバーで
          構成されたオーケストラ。
          (もちろんオーディションあり。
           グスタフ・マーラー・ユース・オーケストラと同じような
           プロを目指す音楽家たちの
           オーケストラ内での訓練の場(とキャリア作り))

          常任はヴァリシー・ペトレンコ(のはず)だが
          今回の指揮は
          前半がアントニオ・パッパーノ
          後半(グラーフェネックでのコンサートは8月13日)は
          マンフレッド・ホーネックとなっている。

          弦の人数が多いので
          狭い間隔で舞台一杯に広がっていて
          指揮者の横の
          ソリストのスペースも小さく
          譜面台も、ちょっと大きく動いたら
          お互い同士、ぶつかってしまいそうだ。

          なのに、ベートーベンのバイオリン協奏曲の
          オーケストラの音
          抑えているわけでもないのに
          脅かすような音量になっておらず

          ユリア・フィッシャーのバイオリンのソロも
          澄んだ音で
          オーケストラに埋もれず
          はっきり、くっきりと
          美しい線で聴こえてくるのにビックリ。

          聴き慣れて
          ふん、またベートーベンか
          しかも苦手なバイオリンか
          ・・・と普通だったら思うところなのだが

          強い風に吹かれつつ
          久し振りに堪能する
          オーケストラのナマの音(感激 😂

          何故にベートーベンの
          しかも苦手なバイオリン協奏曲で
          ジンジン来ちゃうんだか・・・

          やっぱり需要と供給の関係(いや違う)
          7月、何もなくて飢え切ってたからなぁ。

          第1楽章終わった後
          客席は静かだったので
          あ、こりゃ良い・・・と思ったら
          結局、戸惑いながら拍手した観客が居たようで
          そのまま喝采(笑)

          私の座っている列は
          「天気が悪かったら、ホール内に席のある
           一番安いカテゴリー」なので
          たぶん、常連さん
          ないしはクラオタ老人(自分を含む)だと思うので
          誰も拍手しなかったけれど

          すぐ後ろの列以降は
          天気が悪かったらホールに席がないので
          グッとチケットの値段が下がる

          ・・・いや、だから、それって関係ないけど
          後ろからの拍手がなかなか盛大だった。

          楽章間拍手については
          クラシックのコンサートに頻繁に行かない人たちが
          クラシックのコンサートに来てくれてる
          と思うので、そこそこ、それなりに歓迎。
          (特にグラーフェネックは
           以前は楽章間拍手こそが
           グラーフェネック名物だったからね)

          第2楽章の美しさに、ジンジン痺れて
          ううう、やっぱりベートーベン、すごい・・・

          演奏後に
          緑の麻のジャケットを着たブッフビンダーが
          花束持って登場して
          ユリア・フィッシャーにキッス。

          主催者の役得ですね(笑)
          だけど
          その中から数本取って
          小さな花束にして
          パッパーノにも渡したので

          パッパーノが喜んじゃって 🤣

          ああああ、パッパーノ
          そのキュートさはヤバイ 😓

          後半はオーケストラが更に巨大化するが
          パッパーノの音の感覚が優れているのか
          野外音楽堂の音響が悪すぎるのか(笑)
          かなりクリアな濁らない音響で

          しかも、時々
          驚くほどに緻密な室内楽的演奏がある。

          もともとナラティブな曲ではあるのだが
          (Tondichtung って音による詩(語り)だから)
          このナラティブさって
          イム・プルス・タンツで鑑賞しているような
          ワケわからん外国語が話されているのと違い
          そこそこ、わかる言語で
          わかりやすく表現されているのが楽しい。

          まぁ、こういうのも受け手側の問題なんだろうけど。
          だってツァラトゥストラって
          私も以前は
          最初の部分を聴いたら終わり・・・(こらっ)
          とか思っていた時期もあったし。

          途中のワルツになる部分での
          オーケストラのメンバーの楽しそうな事 😀
          テツガクだの何だの
          小難しい事を考えなくても
          この部分って、確かに楽しいよね。

          最後の不協和音まで
          しっかり音を出して
          (なにせ野外音楽堂なので
           あまりにピアニッシモになり過ぎると
           コオロギの合唱にかき消される)
          いや〜、ひたすら楽しかった ♡

          この演奏が終わった時点で
          夜の10時過ぎだったんだけど
          幕間に指揮台の楽譜を
          スタッフが持って来たのが見えたので
          アンコールありだな・・・
          バラの騎士でもやるんだろうか
          (リヒャルト・シュトラウス繋がりで)
          と思ったら

          パッパーノが後ろを振り向いて
          「ヴェルディの「運命の力」序曲」
          とアナウンス(立派なドイツ語で)したのでビックリ。

          イタリア・オペラの序曲かいっ 😳

          このコンサートの後
          室内ホール Reitschule での
          Late Night Session があって
          パッパーノも駆り出されて
          インタビューに答えた時に

           僕はイタリア人で
           父はオペラのテノール歌手で
           僕自身も、モネ劇場や
           コヴェント・ガーデンの監督を
           20年もやって来ました。

           僕は大学を出ていないから
           ロシア文学を読むのが好きで
           そこに詳細に描き出される
           人物の心理を感じるのが好き。

           若いオーケストラのメンバーには
           この「感情」を学んで欲しい。
           オペラの序曲一つの中にも
           喜びや、運命に翻弄される人間の
           どうしようもない悲しみや、やるせなさがある。
           その感情を感じるインテリジェンスを
           若い音楽家たちに養って欲しい。

           (いつもながら意訳で文責なしです、悪しからず)

          音楽以外に何が好きですか?
          という質問に答えたパッパーノ

           食べることと飲むこと
           ワインはずっと赤が良いと思っていたが
           ここで好みが変わった。

           グリューナー・ヴェルトリーナー美味しいよね

          ・・・お〜い、キュート過ぎるだろ、パッパーノ ♡

          レイト・ナイト・セッションは
          夜中12時くらいまで続いて
          みんな、工夫を凝らしたプログラムだったけれど

          老婆心で一言、言っちゃうなら
          (誰も読まないと思うけど)

          内輪ウケの内輪ネタをするなら
          観客を入れたコンサートじゃなくて
          内輪のパーティでやって下さい 😮‍💨

          まぁ、会場はオープンなので
          詰まらなかったら出て来れば良いし
          面白かったら残っていれば良いので
          内輪ウケになった辺りで
          出て来た私に
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          もちろんウィーンに戻ったら
          真夜中過ぎの1時だったんだけど
          日付の関係上
          このブログ記事の日付は7月29日ということで・・・

          モントリオール交響楽団 + ラファエル・パヤーレ

          0
            2022年10月23日 19時30分〜21時50分

            Wiener Konzerthaus - Großer Saal

            Orchestre symphonique de Montréal
            ピアノ Bruce Liu
            指揮 Rafael Payare

            Samy Moussa (*1984)
             Elysium für Orchester (2021) (EA)

            Sergej Rachmaninoff (1873-1943)
             Rhapsodie über ein Thema von Paganini
             für Klavier und Orchester op. 43 (1934)

            アンコール
            Franz Liszt: Etude gis-moll S 140/3 »La Campanella«
            (Etudes d'exécution transcendante d'après Paganini)
            Frédéric Chopin: Nocturne cis-moll op. posth. BI 49

            Dmitri Schostakowitsch (1906-1975)
             Symphonie Nr. 10 e-moll op. 93 (1953)

            カナダのケベック州から
            モントリオール交響楽団の客演で
            今日と明日、コンツェルトハウスでコンサート。
            プログラムは違うので
            もし、今日が良かったら、明日も行こうかな・・・

            最初はカナダの作曲家(指揮者でもあるらしい)の
            サミー・ムーサのエリジウムという新作の
            オーストリア初演。

            ウィーン・フィルからの委嘱作品で
            ウィーン・フィルに捧げられ
            ウィーン・フィルが初演した、と書いてあるが
            ワタシ、ウィーン・フィルで聴いてないぞ。
            今日がオーストリア初演、という事は
            ウィーン・フィルは外国でこの曲の初演を行なったわけか・・・
            (ウィーン・フィルの連呼、うるさくてごめんなさい)

            いや、確かにウィーン・フィルの弦で演奏したら
            ものすごく映えるような気がする曲。
            現代音楽の潮流としては珍しく
            最初から3和音の長調のハーモニーの連続で
            ただ、転調は1音づつのシークエンスになっていて
            その転調ごとに、曲想の色が違う。

            そこに入ってくる金管の主題。
            プログラムに書いてあった通り
            ちょっとブルックナー風。
            その後は、基本の3和音を組み直して
            四角になったり三角になったり段になったり
            ルービック・キューブみたいに展開していく。

            あくまでも私の個人的な印象だけど
            まるで抽象画(モンドリアンあたり)を思い起こさせる。
            オーケストラ・ポルタメントは使っているけれど
            基本的に平均律使用だし
            ほとんど不協和音を使ってないし
            (たまに2度が入るけど、アクセントになってる)
            しかも中心になる3和音が長調で、すごく聴きやすい。
            こういう方向の現代音楽もアリか、と思うと
            ちょっと嬉しい。

            ピアニストのブルース・シャオユー・リウは
            2021年のショパン・コンクールの優勝者。
            ツィッターで盛り上がっていたので
            名前だけは聞いている。
            中国系カナダ人で25歳。

            特別に奇を衒う感じはゼロ。
            オレオレ感をほとんど感じさせず
            清潔さに満ちて素直な感じ。

            オーケストラとの連携も良いし
            ソロも、出しゃばった感じがしない。
            マジメに正統的に、スクスク育って来て
            育ちの良さを感じさせる。
            姿勢も美しいし
            指は長くて、よく動くし
            手の動きも端正で美しい。

            ラフマニノフの甘いメロディも
            甘さを前面に出すよりは
            ちょっとあっさりし過ぎなくらいに
            音楽的美しさを出して来る。

            アンコールに超絶技巧のカンパネラを弾いた後
            この上なく内性的で美しいショパンのノクターン。

            さて、後半はショスタコーヴィッチの交響曲10番。
            演奏回数は比較的多いから好きな曲なんだけど

            あ〜、う〜ん・・・

            もちろん主観的印象でしかないけれど
            これ、あくまでも個人メモなので
            営業妨害でも何でもないし
            私の主観が間違っていて
            専門の評論家の方と意見が全く違うのなんかは
            日常茶飯事だから
            これを読んでる方は
            私の言う事は、マジメに取らないようにして下さい。

            え〜っと
            元気が良いとか
            エネルギッシュとか言うのと
            演奏が乱暴、と言うのは違うと思う。

            遅いテンポはあくまでも遅めで
            速いテンポは極限まで速くして
            ピアニッシモとフォルティッシモのレンジを最大限にする
            ・・・くらいは
            どの指揮者でもやってる事なんだけど

            微妙なズレというか
            フレーズの最後のところがズルッとなって
            締まりがないというか

            フォルティッシモも
            ただただ、音量を上げているという印象で
            あれだけダイナミック・レンジを広げて
            テンポも揺らしているのに
            全体の音色が非常に単純で
            何だか、不思議な退屈感が・・・

            いや、ああいう「エネルギッシュ」な演奏が好きな人も
            きっと多いんだと思う。
            でも、各所にあるソロも(一つの楽器を除き)
            あまり聴き惚れる、という感じじゃなかったし
            全体的に乱暴な印象が強いので
            あまり美しくない。

            いや、きっと、ショスタコーヴィッチだから
            それで良いのかもしれないし
            それが指揮者の意図なのかもしれないから
            あまりシロウトが言うのも失礼なのだが。

            本当に演奏にズレがあったのか
            フレーズの最後に締まりがなかったのか
            正確に研究するつもりであれば
            録音を分析すれば白黒ははっきりするのだが
            そうではなかったとしたら
            そういう主観的印象を残す演奏だった。
            (で、それは何故?と問えば、また問題は拡大して
             どの変数を使うのか・・・あっ、もう止めておく、すみません)

            指揮者のラファエル・パヤーレって
            グスターボ・ドゥダメルと同じベネズエラ出身で
            確か、ウィーン・フィルのジャンプインで見た事があるが
            どうも、あんまり良い主観的印象がないから
            (ドゥダメルの方が良いような気がする)
            その偏見で聴いてしまったかもしれないので
            そうだったら、ごめんなさい。

            明日のマーラー5番だが
            やっぱり国立オペラ座の
            眠りの森の美女のチケットを購入しているので
            そちらに行こう・・・
            (コンツェルトハウスは直前割引とかないんだもん)

            ロシア音楽が続いているけれど
            ロシア音楽でも色々あるなぁ、という発見があって
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            ユートピア + クルレンツィス 2回目

            0
              2022年10月9日 19時30分〜21時45分

              Wiener Konzerthaus - Großer Saal

              Utopia
              指揮 Teodor Currentzis

              Igor Strawinski (1882-1971)
               L’oiseau de feu. Ballettsuite (Fassung von 1945)

              Maurice Ravel (1875-1937)
               Daphnis et Chloé. Fragments symphoniques, 2e série (1913)
               La Valse, Poème chorégraphique pour orchestre (1919-20)

              アンコール
              Maurice Ravel: Boléro

              金曜日のコンサートはチクルス外のもので
              今日のコンサートが
              コンツェルトハウスの提供する
              クルレンツィス・ツィクルスのコンサートになる。

              シーズン前に、このクルレンツィス・チクルスは
              一旦、全コンサートがキャンセルとなり
              (ムジカ・エテルナ反対運動のため?)
              この新しい寄せ集めオーケストラのユートピアと
              南西ドイツ放送交響楽団のコンサートで
              改めてコンサート回数の少ないチクルスを作成したもので

              私はクルレンツィス・チクルスが出来た時から持っているので
              舞台の見える貧民席(笑)

              入ったらコンツェルトハウス、大ホールの照明が違う。
              会場は薄暗く
              舞台の後ろには、ランプ?みたいな丸い照明がいくつか設置してあって
              まるで、太陽?ひまわり?が、後ろに並んでいるみたい。

              ギャラリーから小型録画機材で撮影していたので
              もしかしたら、このコンサートのDVDとか
              ビジネスに使うつもりかな・・・

              プログラムは金曜日と同じ。
              クルレンツィスは、普通の背広にネクタイ。
              デビューの頃のような
              頭髪に剃りもなくなって
              ごくごく普通の指揮者っぽい外見になった。

              クルレンツィス・チクルスは
              熱狂的なファンが多いかと思っていたら
              ギャラリーにもポツポツ、空いている席がある。
              (以前だったら考えられなかった、満席だったもん)

              最近、ドイツでは、クルレンツィスの締め出しが相次いでいて
              ムジカ・エテルナはロシアのP氏寄りの銀行から
              資金援助を受けている、という事で
              完全にヨーロッパ市場からは干されたけれど

              クルレンツィスは、そんな状況になりながらも
              自分の政治的立場を明らかにしていない、と言われて
              あちこちから締め出しされているのが現状のようだ。

              芸術と政治というのは微妙なテーマだし
              このブログで私の政治的立場を書きたくはないが
              きっとご自宅にはカラヤンやベームのCDやレコードは一枚もなく
              オペラ座でリヒャルト・シュトラウスのオペラは絶対に聴かないという
              政治的な意識の高い方々が
              クルレンツィスの新チクルスもキャンセルしたのであろう。

              さて、ストラヴィンスキーの火の鳥は
              立奏で、弦の数がムチャクチャ多いのにもかかわらず
              透明な響きを出していて
              あれだけのプレイヤーの数なのに
              あくまでも弦が空気に溶け込む軽さを出してくるのはすごい。

              解釈も、時々、クルレンツィスらしく
              ギョッとするようなアクセントや奏法が飛び出してくる。

              後半のダフニスとクロエは
              弦の響きが前半とガラッと変わり
              マットな絨毯のような響きの上に
              管楽器のモザイクが乗ってくる。

              ご存知、ダフニスとクロエの第2組曲は
              最後が全員の踊りで華やかに盛り上がるのだが
              圧倒的な音量での最後の最後に
              演奏直後の拍手が起こるかと思いきや

              聴衆が拍手せず
              下手(しもて)に半分、観客に向けて
              身体を傾けて終わった指揮者が
              そのまま固まってしまい
              オーケストラもついでに固まってしまい

              ハッと、あれ?これ終わり?と気がついた観客が
              そこで拍手をし出すという
              なんか、出来の悪いギャグ漫画みたいな状態となった(爆笑)

              最後のラ・ヴァルスは金曜日と同じく
              ともかく非常に不思議な演奏で
              弦と管のバランスの悪さ?というより
              たぶん、確信犯的なアンバランスをわざと強調して

              時に、オーケストラ・ポルタメントで
              まるで腐る直前の果物のような
              濃厚で背徳的な香りを醸し出すと思いきや
              次のフレーズでは
              ワルツじゃなくて行進曲かい、と言いたくなるような
              弾んだ四角四面のリズムを持ってくるし
              油断もスキもありゃしない。

              しかし、今回のプログラム構成だけど
              ともかく、最後でどっか〜ん、と盛り上がって終わる曲ばかり。

              元気で、鬼才で、エネルギーに溢れていて
              ともかく、何処を取ってもヘンテコなクルレンツィスは
              音楽も、何処を取ってもヘンテコで
              驚くんだけど
              同時に、有無を言わせない説得力はある。

              ただ、この人、静かに終わる曲とかで
              聴衆に感銘を与える事は出来るんだろうか?

              人気沸騰の頃のクルレンツィスは
              やりたい放題で、マイナーな曲も取り上げてはいたが
              名前を聞いただけで失神する(かもしれない)ような
              熱狂的ファンが居た頃は良かったけれど

              こういう、現在までの範疇を大いに逸脱して
              伝統も歴史も、場合によっては無視して
              自分の音楽的感性だけで魅了するような演奏で
              聴衆ウケを狙うのであれば
              最後にどっか〜ん盛り上がりというレパートリーしか
              選択肢はなくなってしまうのではないか。

              次の南西ドイツ放送交響楽団のプログラムも
              プロコフィエフのピアノ協奏曲2番
              ストラヴィンスキーの春の祭典と
              ラヴェルのボレロという内容だし
              来年6月のユートピアとの2回目の公演は
              マーラーの交響曲3番。

              まぁ、それはともかくとして
              アンコールが金曜日と同じ、ラヴェルのボレロ。
              さすがに今日は
              フルート・ソロのところで
              多少のざわつきはあったけれど
              拍手するようなアホはいなかった(良かった♡)

              で、このボレロ、
              何故に、あんなにしつこく響くのか、と思ったら
              弦のプレイヤーの人数の多さに合わせて
              かどうかは知らないが
              木管・金管がダブル編成になってるじゃないの。

              最初は聴こえるか聴こえないか、くらいの音量で始まるが
              ダブル編成なので
              最後の方の管楽器が一斉に演奏するところなんか
              ものすごい迫力で聴こえてくる(音量大き過ぎてうるさい位)

              全体のバランスとして
              当然ながら、弦もパーカッションも
              できるだけ大音響で鳴らすので

              オーケストラのメンバーが
              ものすごく気持ち良さそうに演奏してる(笑)

              クルレンツィスは、指揮っぽい動きはせず
              各ソロ・プレイヤーに任せているけれど
              最初から最後まで
              全くテンポの揺れがないのは、大したものだ。
              (あれは意外に難しい)

              2016年にウィーンでの鮮烈なデビューを聴いてから
              (最初の印象を読みたい方は こちら からどうぞ)
              ずっと追い掛けて来た指揮者なので

              政治的に潰されるか干されるか
              あるいは音楽的に嫌われるか飽きられるまで
              まだまだ追い掛けますよ、と言う私に
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              午前中はウィーン・フィルとヴェルザー=メストの
              2回目のコンサートにも行っていたのだが
              これは、オーストリア国営放送ラジオ1番で
              ライブ放送があったようで
              パルジファルとリヒャルト・シュトラウスの死と変容は こちら
              後半の満ち溢れるエネルギーのドボルジャークの交響曲8番は こちら
              (各サイト、入ったら Play ボタンをクリックして下さい)

              1週間は聴けるはずなので
              どうぞご自分の耳でお確かめ下さい。
              土曜日より、多少バランスが良くなって
              ドボルジャークの最後のオセオセの推進力が凄かったです。

              ユートピア + クルレンツィス 1回目

              0
                2022年10月7日 19時30分〜21時45分

                Wiener Konzerthaus - Großer Saal

                Utopia
                指揮 Teodor Currentzis

                Igor Strawinski (1882-1971)
                 L’oiseau de feu. Ballettsuite (Fassung von 1945)

                Maurice Ravel (1875-1937)
                 Daphnis et Chloé. Fragments symphoniques, 2e série (1913)
                 La Valse, Poème chorégraphique pour orchestre (1919-20)

                アンコール
                Maurice Ravel: Boléro

                ギリシャ出身とは言え
                ロシアで活躍して
                ペルンと言うシベリアの田舎の劇場から
                ものすごい早さで中央に躍り出て

                ペルンのオーケストラ・メンバーを
                サンクト・ペテルブルクに連れて来て
                ムジカ・エテルナというオーケストラを作り

                ヨーロッパ中、と言うより日本も含めて
                世界中の檜舞台で活躍・・・する途中で

                現在の状況になってしまい
                ムジカ・エテルナが経済的支援を受けている銀行が
                ロシアの銀行だと言うのが問題になり

                ヨーロッパではムジカ・エテルナは
                残念ながらコンサートに呼ばれないケースが増えてしまった。

                ついでにロシアに暮らしているクルレンツィスも
                干されそうになっていたのだが

                まだまだヨーロッパで集客力を持っているクルレンツィスだから
                そうそう、簡単に(音楽ビジネスの世界が)諦めるわけがない。

                そんなこんなで
                30ヶ国から122名の音楽家が集まり
                あちこちのコンサート・ホールから資金を集めて
                このユートピアと言う名前のオーケストラが発足。

                いわゆる「カリスマ指揮者のもとに集まる」と言う意味では
                アーノンクールのコンツェントゥス・ムジクスとか
                アバドのオーケストラ・モーツァルトあたりの系列に
                考えても良いのかもしれない。

                いつもの通り、全員、立奏(もちろんチェロは除く)
                今回がヨーロッパで初めての演奏旅行となり
                スポンサーとなったコンサート・ホールでの公演。

                これ、通常のオーケストラ、と言うよりは
                寄せ集めオーケストラ・・・だよね。
                でも、音の質が非常に揃っていて
                既に長期に渡って一緒に音楽しているオーケストラみたい。

                すごいなクルレンツィス
                これだけの寄せ集めで、こんなに均質な音を作るなんて・・・

                いや、それだけ
                オーケストラのメンバーが
                カリスマ指揮者を中心にまとまったって事か。

                最初のコンサートなので
                あまり冒険していないプログラムだという印象があった。
                音の色彩を全面に出して
                ストラヴィンスキーの火の鳥
                ラヴェルのダフニスとクロエ
                両方とも、いわゆるバレエ音楽だし
                ラ・ヴァルスも、バレエ音楽っぽい感じではある。

                火の鳥は、まぁ、こんなもんかな、という印象。
                そりゃ、音色の華やかな飛び交いざまはあるんだけど
                これは、もともとの曲がそうだし。

                クルレンツィスも
                普通の背広にネクタイで
                奇抜な格好をするワケではなく
                寄せ集めのオーケストラとしては
                驚くべき均一な音色で
                高い技術で描き出したって感じ。

                幕間を挟んで
                ダフニスとクロエも、似たような感じ。
                細かい部分の洗い出しが徹底的で
                スコアを手にして聴きたくなるような演奏。
                もちろん、色彩感もすごい。

                しかし驚きは
                最後のラ・ヴァルスだった。

                あの〜、それって何なんでしょうか。
                ワルツ・・・じゃないよね?
                ある意味、ほとんど暴力的で
                立奏の弦が中途半端な数じゃないので
                演奏の重心がものすごく低くて
                うなるような重さは
                ウィンナー・ワルツではあり得ない。

                オーケストラ・パートのバランスが
                私の知っている演奏とは全く違っていて
                ひどい言い方をしてしまえば
                ある意味、むちゃくちゃ狂っている。

                ストラヴィンスキーはもともとロシア的なゴツゴツ感のある曲だし
                ダフニスとクロエは、ヘンに手を入れられないから
                意外に普通の演奏じゃん、とか思っていたら
                ラ・ヴァルスでこれをやるとは・・・

                相変わらずクルレンツィスらしく
                賛否両論になるんだろうなぁ。

                聴いた印象としては
                こんな、ラ・ヴァルス、聴いた事ない
                って言うのは確かなんだけど

                それが好みと合うか、と問われれば
                ものすごく微妙で

                確かに、新しい、面白い、へ〜?と思わせる反面
                奇を衒いすぎ(まぁ、クルレンツィスいつもそう)で
                こんなのラ・ヴァルスじゃない、って感じもする。

                幕間の時に、舞台の裾から
                チラッと、例のメロディが聴こえて来たので
                アンコールで、まさかあの曲を?と思っていたら

                喝采の途中で
                サクソフォンは出てくるし
                小太鼓は出てくるし

                フルートのソロが始まった途端に
                何人かの客が大喜びで拍手始めて

                あ〜、ニューイヤー・コンサートの
                美しき青きドナウじゃないんだから(それだってどうかと思うが)
                途中での拍手は止めてくれ・・・

                このボレロが、一風変わっているという・・・
                まさかボレロで、と思われるだろうが
                (例のジョルジュ・プレートルの演奏はともかく)
                ソロのプレイヤーがやりたい放題という感じで
                指揮者は、オーケストラに完全に任せているので
                同じメロディの続き方にニュアンスが欠けていて
                あまりのしつこさに辟易。

                いや、しかし、このオーケストラのメンバーって
                舞台見ていると
                何て楽しそうに演奏してるの???
                木管のおじちゃんなんか
                まさにノリノリで
                周辺の奏者も巻き込んでダンスしてるし(立奏です)

                プロのオーケストラではあるのだが
                持っている「熱」は限りなくアマチュア・オーケストラに近い。

                あまりに楽しそうに演奏するもんだから
                聴いている方としては
                ドッチラケになるか、熱に当てられるかの
                二極に分かれてしまうのだが

                いや、ワタシは根性が腐っているので
                あまり人気が出てくると
                ついついハスに構えて
                (自分が貧乏で負け犬だから
                 ルサンチマンというか
                 悔し紛れというか)
                皮肉っぽく見てしまうので

                ドッチラケのウザい気分と
                オーケストラのプレイヤーの熱量を微笑ましく見てしまうのが
                複雑に混在する、という
                ある意味、ものすごく不思議な体験をする事になった。

                異端児クルレンツィスではあるけれど
                そのカリスマ性に取り込まれるプレイヤーも多いんだろうきっと。
                聴衆も熱狂的なファンが多いんだろうと思う。
                (いや、私だって、最初に聴いた時には
                 ひっくり返って、すごい、凄い、スゴイ、と喚いていた)

                一度、追いかけ出した指揮者だから
                (チクルス、ものすごく良い席を確保してるし)
                まぁ、地獄?か天国?の果てまで
                私の体力と気力と財力が続く限りは
                これから、どうなって行くか
                できるだけ、追いかけようと思っている私に
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                このプログラムでのコンサートは
                今日と日曜日と2回あって
                日曜日がチクルスなので、もう1度行く予定。

                実は今日はサンクト・ペルテンで
                シディ・ラルビ・シェルカウイの公演に行く予定だったのだが
                授業が18時15分まであったので(シャトルバスは17時発)
                泣く泣く諦めたのだ。
                大学生だから、本分は授業を受ける事にある(白々しい(笑))

                クリーブランド管弦楽団 + フランツ・ヴェルザー=メスト

                0
                  2022年9月14日 19時30分〜21時15分

                  Musikverein - Großer Saal

                  The Cleveland Orchestra
                  指揮 Franz Welser-Möst

                  Alban Berg (1885-1935)
                   Drei Stücke aus der „Lyrischen Suite“

                  Anton Bruckner (1824-1896)
                   Symphonie Nr. 9 d-Moll

                  楽友協会のシーズン・オープニングは
                  9月12日のドレスデン管弦楽団とティーレマンの
                  ベートーベンの交響曲8番と7番だったが
                  (すごいな、今シーズンは
                   クリスティアン・ティーレマン・チクルスがある)
                  ワタシはガランチャとベチャワを優先した。
                  ティーレマンのブルックナーは好きだが
                  ベートーベンは
                  少なくとも以前、全曲演奏を追い掛けた時に
                  あまりに大時代すぎて(以下省略)

                  シーズン2回目は
                  オーストリア出身の指揮者
                  フランツ・ヴェルザー=メストと
                  USAのクリーブランド管弦楽団。

                  ヴェルザー=メストは2002年から首席指揮者なので
                  今シーズンは21シーズン目となる。
                  一つのオーケストラに20年、大したものだ。
                  相性も良いんだろうなきっと。

                  だってクリーブランド管弦楽団って
                  何だか、ものすごくヨーロピアンな響きを持っている。
                  そりゃ、シロウトの独断と偏見なので
                  何をもって、ヨーロピアンの音と言うのか
                  何がアメリカの音で、何が日本の音なんて
                  どこをどう測って断定するのか、と言われれば
                  ぐうの音も出ないのだが
                  これは、個人的メモだから良いのである、うん。

                  アルバン・ベルクの
                  叙情組曲からの3楽章は
                  プログラムにベルクとハンナ・フックスの不倫事件が記載されていて
                  あ〜、もう、ホント、有名人って
                  死後も、プライベートな生活をどんどん暴露されて
                  かわいそう・・・まぁ、有名税だと思うしかないのか。

                  一部に12音技法を使っているが
                  ベルクの曲は、12音技法を使っても
                  何だか、ものすごく調性のあるように響く。

                  クリーブランドの弦のアンサンブル
                  音が透明で、何て繊細で美しいの♡
                  力で押している感じが全くなくて
                  メロディックなラインで滑らかに流れる印象。

                  アレグロ・ミステリオーソの細かい音型には
                  むちゃくちゃドキドキした。
                  こういうの、すごく好き、ものすごく好き。
                  演奏時間約20分の曲だが
                  だからこそかもしれないけれど(笑)
                  聴衆も静かに聴いている。

                  休憩を挟んで
                  ブルックナーの交響曲9番。

                  そうよ、これよ、これなのよ。
                  やっぱりブルックナーは
                  楽友協会で聴かなきゃダメ・・・と
                  言いたくなってしまう音響の素晴らしさ♡

                  豊かな音の洪水が
                  天井から降ってくる快感に加えて
                  ヴェルザー=メストらしい
                  細かい部分まで緻密に出してくる解像度の良さ。

                  この「音響のお風呂」状態って
                  楽友協会大ホールならではの至福で
                  恍惚感に満ちていて
                  おおおおお、これを幸せと言うのだ。

                  楽友協会大ホールというホールが
                  戦災で破壊されずに
                  残っていて良かった・・・
                  (ゲヴァントハウスは空爆で焼失したけど)

                  音の洪水に酔って
                  幸せ気分で帰宅途中
                  大雨になって、ずぶ濡れで自宅に着いた私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。


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                  クリーブランドとヴェルザー=メストは
                  明日も別プログラムで楽友協会でのコンサートだが
                  私は明日は違うところに行くので
                  2回目のコンサートは行きません、悪しからず。

                  ピッツバーグ交響管弦楽団 + マンフレッド・ホーネック 2日目

                  0
                    2022年8月21日 19時30分〜21時50分

                    Schloss Grafenegg / Auditorium

                    Pittsburgh Symphony Orchestra
                    チェロ Gautier Capuçon
                    指揮 Manfred Honeck

                    Antonín Dvořák (1841-1904)
                     Konzert für Violoncello und Orchester h-Moll op. 104 (1894/95)

                    Pjotr Iljitsch Tschaikowski (1840-1893)
                     Symphonie Nr. 5 e-Moll op. 64 (1888)

                    以前から思っていたし
                    このブログにも書いてたけど

                    マンフレッド・ホーネックって
                    (音楽的)ヘン○イだ。

                    ・・・ちなみに、これ、褒め言葉ですから。

                    見た目が普通で
                    指揮の時の服も普通で
                    指揮そのものも
                    伝統的にアカデミックな系統だから
                    誰かさんより目立たないけど

                    音楽聴いてみると
                    クルレンツィスと同じヘ○タイか
                    あるいは、もっとすごいヘンタ○かもしれない。

                    言ってみれば、隠れヘン○イ・・・

                    朝から曇り空で
                    太陽が出なければ急激に気温が下がる。
                    本日のコンサートも
                    オーディトリウム・ホール。
                    日曜日だからなのか
                    本日はスポンサーが付いて
                    招待客が多いからなのか
                    会場はほとんど満杯。
                    (あっ、もしかしたら
                     カプソン(弟)人気???)

                    ドボルジャークのチェロ協奏曲は
                    超有名な名曲だが
                    ・・・すみません、ワタシ、ちょっと苦手で💦

                    この曲を聴いていると
                    時代遅れのサムライ映画とか
                    大袈裟で涙頂戴な任侠映画とか

                    表現力のなさには自分でも呆れるけど
                    なんかこう、泥臭い大時代な香りが苦手。

                    チェリストがあらぬ方向を向いて
                    一人で陶酔しているのも(以下自粛)

                    いや、すごく良いんですよ
                    チェロは豊かに響くし
                    オーケストラ巧いし
                    ただ、曲が苦手なので・・・
                    (個人メモで批評でも何でもないので
                     こういう記述でも良いのだ、と開き直る)

                    さて、ホーネックのヘ○タイ大爆発のチャイコフスキー。

                    プログラムには
                    またもや、ホーネックの書いた解説が載っていて

                    この曲は一般的に
                    大袈裟でセンチメンタルな感情の爆発と言われていて
                    確かに、何も考えずに指揮してしまえば
                    そのヒステリックなところに囚われがちだが
                    実は違うのだよ・・・(完全な意訳)

                    というような事が書いてあって

                    そうか、いったい、どういう音楽を聴かせてくれるんだろう
                    とワクワクしていた。

                    プログラムに曰く
                    第一楽章は低弦が強調されるべきで
                    運命への完全な諦めで始まり
                    軽さと熱狂的なダンス音楽に
                    絶望の影と憧れが秘められ
                    最後は死の行進で終わる(意訳、文責なし)

                    確かに、最初の出だしは
                    え?そんなゆっくりなテンポで
                    しかも、何ですか、そのピアニッシモは?

                    ホールだったから良いようなものだが
                    野外音楽堂だったら
                    コオロギの合唱にかき消されて
                    その音、聴こえて来ないですよ。

                    いや、ホントにホールでのコンサートで良かった。

                    全体的に強弱のダイナミック・レンジが凄まじくて
                    しかも、テンポが動くわ動くわ
                    アゴーギクなんてもんじゃないだろ、それ。

                    途中で音楽が止まりそうになるし
                    ゲネラル・パウゼは長いし

                    そこまでテンポを変えて良いのか、と思うのだが
                    でも、音楽の緊張感は
                    不思議な事に途切れず、続いて行っている。

                    中間部の爆発振りが、これまた
                    おいおいおい
                    そこまで大袈裟にする?

                    プログラムに、大袈裟にしちゃイケナイとかって
                    書いてたの、貴方じゃなかったんですか?
                    と呆れてひっくり返る位のエモーションの爆発。

                    いや、でも
                    ホーネックが凄いのは

                    そこまで徹底的にやってるのに
                    それが、実に説得力があって
                    聴いている側の反論を許さないほどの
                    確信犯で、解釈の揺らぎがないのだ。

                    第2楽章の出だしも
                    極端に遅いテンポで
                    聴こえるか聴こえないかのピアニッシモ。
                    (よって、客席が静まってから指揮を始めたのだが
                     極限の音量でオーケストラが響いた途端に
                     飴をガサガサ出したり
                     すごい音で咳をし出した人が何人か・・・(怒))

                    しかしこの2楽章、すごいわ・・・
                    あの遅いテンポで
                    ホルンのメロディが
                    これまた信じられないほどのピアニッシモで
                    まるで遥か彼方から響いてくるよう・・・
                    (ホルンはチェロ協奏曲のソロの時も
                     首席が、ものすごく長いフレーズを
                     息継ぎなしに、完璧な美しさで演奏して
                     私は席で腰を抜かしていたが)

                    第3楽章のワルツの軽さから
                    アタッカで最終楽章へ。

                    ここらへんになってくると
                    妙なテンポやアゴーギク(に聴こえるも)
                    もう説得力充分で

                    大袈裟にならないどころか
                    感情の嵐に巻き込まれて翻弄されるのが
                    ちょっと気持ちヨイという
                    禁断の世界へ、片足を突っ込んでいる感じ。

                    実はホーネックとピッツバーグの
                    マーラーの交響曲の録音が好きで
                    (これも、かなりのヘ○タイ版である)
                    CDは持っているんだけど

                    このチャイコフスキーの交響曲5番も
                    録音があるようで、ちょっともう一度聴いて
                    あの禁忌の妖しい世界に浸りたい・・・
                    (たぶん、Spotify にありそう・・・)

                    アンコールの曲は
                    アナウンスなしで
                    聴いた事はあるような気がするものの
                    何だったかは、不明。
                    (最初は何となくシューベルトっぽく
                     2曲目はノリの良い、ジャズ和声も入ったポルカっぽい曲で
                     途中でクラリネットのソロ(インプロヴィゼーションかも?)が入る)

                    グラーフェネック音楽祭も
                    コンツェルトハウスみたいに
                    アンコールの曲目を
                    SMSで送ってくれるサービスがあると良いのに

                    と思いながら
                    雨の中をドライブして帰宅した私に
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                    しかし、ホーネックが
                    ピッツバーグ交響楽団の首席指揮者で良かった。

                    あれだけヘ○タイだと
                    伝統的に頑固なヨーロッパのオーケストラからは
                    かなり反発を喰らうかもしれない。

                    その意味では、アメリカのオーケストラという
                    音色の違う、変な捉われのないオーケストラで
                    ヘン○イ振りを存分に発揮できているのは喜ばしい。

                    ・・・ワタシ、ホントにこういう指揮者、好きなんです(笑)

                    ピッツバーグ交響管弦楽団 + マンフレッド・ホーネック 1日目

                    0
                      2022年8月20日 19時30分〜21時45分

                      Schloss Grafenegg / Auditorium

                      Pittsburgh Symphony Orchestra
                      ピアノ Hélène Grimaud
                      指揮 Manfred Honeck

                      Erwin Schulhoff (1894-1942)
                       Fünf Stücke für Streichquartett (1923)
                       Fassung für Streichorchester und Schlagzeug
                        „Alla Valse viennese“ Allegro
                        „Alla Serenata“ Allegretto con moto
                        „Alla Czeca“ Molto allegro
                        „Alla Tango milonga“ Andante
                        „Alla Tarantella“ Prestissimo con fuoco

                      Maurice Ravel (1875-1937)
                       Konzert für Klavier und Orchester G-Dur (1929-32)

                      Richard Strauss (1864-1949)
                       „Elektra“ Symphonische Suite für großes Orchester (1909/2016)
                       Arrangement: Manfred Honeck, orchestriert von Tomás Ille)

                      やはり天気が安定しておらず
                      本日のコンサートもオーディトリウム・ホール。
                      いや〜、ちょっと高いけど
                      雨天の時にホールに席のあるカテゴリーのチケットを
                      しかも、座席指定で購入しておいて良かった。

                      アメリカのオーケストラ、ピッツバーグ交響楽団の客演。
                      オーストリアの指揮者マンフレッド・ホーネックが
                      2008年から首席指揮者を務めている。

                      2日間にわたっての公演で
                      初日はナチスの犠牲になったエルヴィン・シュルホフ
                      ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調と
                      ホーネックが編曲したリヒャルト・シュトラウスの
                      オペラ「エレクトラ」からの組曲。

                      エルヴィン・シュルホフは
                      ドイツ系ユダヤ人の商人の息子としてプラハに生まれ
                      7歳の時にドボルジャークに紹介されて
                      その音楽的才能を誉められて
                      ピアニストとしての道を歩むように進言されたそうだ。

                      ただ、ナチスによるユダヤ人の迫害に際し
                      ソ連への亡命を予定して、国籍まで取ったものの
                      移住する直前にナチスに逮捕されて
                      48歳の若さで結核と栄養失調で亡くなった。

                      演奏される機会は非常に少ない。
                      私は、たまたま以前にラジオでの放送を聴いて
                      うおっ😳 と思ってCD買ったりしていたが
                      ナマでシュルホフを聴くのは初めて。

                      新ウィーン楽派と対照的な
                      プラハ楽派とも言える(とプログラムに記載)
                      調性を保ったままの近代音楽。
                      ジャズの影響もあり
                      複雑なリズムと、ぶっ飛んだ和声に
                      各国の民謡などの取り入れがある。

                      バルトークもそうだけど
                      いや、その前のドビュッシーなんかもそうなんだけど
                      ヨーロッパ近代音楽が
                      いわゆるアカデミックではない民謡や
                      ワールド・ミュージックに受けた影響って
                      大きいんだなぁ、と思う。
                      今だったら、ポップやロックの影響もありそうだが
                      アカデミックな現代音楽とは
                      分離しちゃってる感じがする。
                      (ちなみに、リゲティは
                       アフリカの音楽のリズムから影響を受けた旨
                       時々インタビューで話していた)

                      シュルホフの曲は
                      そういう土着のメロディの野生味に溢れて
                      エネルギッシュなリズムと和声で
                      アカデミック意識高い系とは違って
                      聴衆を音楽の虜にしそうな曲で
                      この作曲家の再評価を
                      聴衆としては激しく望むところ。

                      ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調、大好きな曲。
                      グリモーの強靭なピアノ・テクニックが素晴らしい。
                      オーケストラもノリが良くて
                      スカッと抜ける感じや
                      時々入るブルースやジャズは
                      やっぱりセンスが良いし
                      金管が抜群で、派手でくっきり。

                      第2楽章の長いピアノ・ソロは
                      リズムが不均等で
                      ワタクシの好みからすると
                      もっとあっさり演奏して欲しかったような気がするが
                      それだけ「音楽的」なのだろう、きっと。

                      偏見というか思い込みではあるんだけど
                      フランスのピアニストと
                      アメリカのオーケストラで
                      この曲を演奏って面白いコンビネーション(笑)

                      後半はリヒャルト・シュトラウスのオペラ
                      「エレクトラ」から
                      ホーネックが編曲して
                      チェコの作曲家と協力した作品。

                      プログラムにホーネック自身が
                      何故、リヒャルト・シュトラウスが
                      「バラの騎士」のような
                      オーケストラ組曲を作らなかったのだろう、と
                      疑問を呈した上で
                      理由として
                      オーケストラの規模の大きさ
                      ラディカルで複雑なトナリティと和声を挙げているが

                      ビジネス感覚に優れたリヒャルト・シュトラウスは
                      (あ〜、言いたい事はわかるよね?)
                      このオペラで組曲作っても
                      売れなかったのがわかっていたからだと思う・・・

                      バラの騎士のオーケストラ組曲はわかる。
                      だって、古典的なメロディに戻って
                      シンフォニックでありながら
                      親しみやすさが溢れていて
                      一般ピープルが聴いても楽しいんだもん。

                      でも、エレクトラって
                      いや、確かに、むちゃくちゃ尖った作品で
                      その意味ではドラマチックで
                      音楽的には、いや、音楽史的な観点からは
                      エポック・メイキングな作品だとは思うけど
                      音楽的に「聴きたい!」と切望する曲ではない。
                      ・・・私の感受性の問題だけど(すみません)

                      オペラとしてエレクトラに行く場合は
                      今度はどんな(クレイジーな)演出かな?
                      という興味が先に立つ。
                      だいたい、血まみれだし、舞台は、ひたすら、ばばっちいので
                      1回見て
                      クソミソに貶して終わり・・・と言うケースが多い。
                      (それに、最初から最後まで
                       舞台の上で強靭な声で
                       激しい感情をずっと歌い続ける
                       エレクトラ役のソプラノに感心したり
                       ちょい役オレストの美声に感激したり・・・って感じで)

                      あ、でも、これは私の音楽性の欠如によるもので
                      最も人生で影響を受けた音楽として
                      エレクトラを挙げたプロが居たからなぁ。
                      ・・・ちょっとアブナイ人かもしれない、とは思ったが(笑 ウソです)

                      前置きが長すぎる事は承知の上だが
                      だって、面白くないんだもん(ごめんなさい)
                      オーケストレーションやら
                      シンフォニックな側面は「凄い」とは思う。
                      けど、聴いてて楽しくない。
                      何回か聴いたら耳慣れするか、とは考えるのだが
                      でも、オペラのエレクトラも
                      何回鑑賞しても
                      未だに耳慣れしていない事を考えると
                      たぶん、私の能力じゃムリ。
                      (あと、これ聴いて
                       音楽に興味を持って
                       オペラ「エレクトラ」を聴きに行く人が
                       いるんだろうか?)

                      強靭なオーケストラの音色と
                      シンフォニックな響きの面白さだけは
                      ともかく満喫。

                      アンコールするよね?と思っていたら
                      ホーネックが観客の方を向いて
                      「ワルツとか、オーストリアっぽいものが続いたので
                       エリック・サティのジムノペディを」とアナウンス。
                      オーケストラ編曲で
                      雰囲気あって
                      チルアウトには非常に向いてる(笑)
                      まぁ、アナウンスは要らなかったかも(わはは)

                      それで終わりかと思いきや
                      大喝采に出て来たホーネックが
                      拍手も終わらないうちに
                      パーカッションに指示を出して

                      わ〜っはっはっは
                      何だったと思う?

                      もちろん、定番で
                      (特にここに来ている層の)観客が大いに喜ぶ
                      バラの騎士のワルツでした。
                      これはさすがに、アナウンスなしって言うか
                      アナウンスしたらドッチラケになる曲だしね。

                      明日の2日目も楽しみに
                      気分良くドライブして帰宅した私に
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