南西ドイツ放送交響楽団 + クルレンツィス

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    Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年6月25日 19時30分〜21時

    SWR Symphonieorchester
    指揮 Teodor Currentzis

    Dmitri Schostakowitsch (1906-1975)
     Symphonie Nr. 7 C-Dur, op. 60 „Leningrader“ (1941)

    私の、コンツェルトハウスのシーズン最後のコンサートは
    クルレンツィスと南西ドイツ放送交響楽団による
    ショスタコーヴィッチのレニングラード。

    18時30分から曲目解説がある、というので
    30℃を優に超える気温のなか
    (最高温度は37℃ちょっとだった)
    コンツェルトハウスにギリギリの時間に向かったら
    シェーンベルク・ホールに入りきらないお客さまたちが
    廊下に溢れている・・・

    最後の最後で、警察+消防署の許可を得たらしく
    あと27人、というところに、うまく滑り込んだ。

    メールで何回も「ご招待」が来ていたので
    ヒマな老人(註 私を含む)が大量に押しかけたのだろう。
    (外は暑いし、コンツェルトハウス、冷房?はないかもしれないけれど
     石造りの建物なので、多少は外より涼しい)

    解説そのものは、昔のビデオ・クリップを使ったもので
    短い時間だったが、かなり面白い内容だった。

    第1楽章の侵略のテーマが12小節続いて
    オーケストレーションがだんだん厚くなるのは
    ラヴェルのボレロを意識していたのではないか、とか

    このテーマはヒトラーが好んだレハールの
    マキシムへ行こうのテーマではないのか、とか

    12小節を、ショスタコーヴィッチが指定した速さで演奏すると
    全体の長さが 666.66 秒になるとか

    ・・・まぁ、学者の皆さまは、色々と深読みしますね(笑)

    歴史的にレニングラードでの初演は
    指揮者がオーケストラ・メンバーをほとんど脅迫するようにして
    人数を集めた、とかも、面白いエピソードだった。

    さて、舞台上に大規模オーケストラが
    隙間なく、びっしり座るコンツェルトハウスの大ホール。

    登場したクルレンツィスに盛大な拍手
    ・・・が終わらないうちに、振り下ろされる指揮棒。
    オーケストラがユニソノで奏でる第1テーマ。

    うおおおおお
    何だこのオーケストラ、弦がむちゃくちゃ強い。
    しなやかで強くてエネルギッシュでクリア。
    大音響でもビクともしないコンツェルトハウスの大ホールで
    最初から、素晴らしい音響の爆発。

    例の行進曲だが
    途中、木管が勢ぞろいするところで
    木管全員が起立。
    金管が入ってくると、今度は金管が起立。
    ホルンなんか、派手にベルアップしてる。

    だんだん盛り上がってくると
    今度は、きゃ〜っ、チェロを除いて
    弦が全員起立(チェロはさすがに起立はできない(笑))

    オーケストラ全員が立ったまま
    あの大音響でのクライマックスを演奏する
    ・・・・って

    このオーケストラ、ムジカ・エテルナじゃないよね?

    この「だんだん全員起立になっていく」というのは
    最終楽章の最後のところでも、派手にやった。

    演奏そのものは
    オーケストラがともかく力強くて
    しかも目一杯の音響を
    これ以上ないほどのクリアさで提示してくるので
    ド迫力である。
    (コンツェルトハウスのデッドな音響バンザイ)

    一転してピアノやピアニッシモになった時の
    あの哀愁に満ちた
    しかも、とことん細かいところまで
    拘って拘り抜いた透明感が、これまた凄い。

    テーマ的には比較的わかりやすい曲なので
    あれだけクリアに曲想を描き出されると
    それ以外の解釈はあり得ないような気がしてくるくらい
    説得力がある。

    ただ、説得力ありすぎて
    ちょっとポスターっぽいと言うか
    (ドイツ語では plakativ といううまい単語があるが訳せない)

    ほら、ソビエトの昔の、労働者バンザイのプロパガンダの
    枠線がはっきりしていて、原色使って
    グラデュエーションとかないポスターがあるじゃないですか。
    何となく、ああいう感じの印象を受けるのだ(あくまでも主観)

    作品の放つエネルギーが、ともかく凄い。
    しかも、作品の持つエネルギーを
    恥も外聞もなく(という感じで)見たか、聞いたか、これでもか!と
    ガンガン観客に伝えてくる指揮者とオーケストラの力量。

    レニングラードって、コンツェルトハウスで11回目の演奏との記載。
    確かに、何回かナマで聴いたことはあると思うのだが
    こんなに、枠線のしっかりした
    鉄鋼建築みたいな、戦車みたいな曲だったっけ。

    大音響のハ長調の3和音で華やかに終わった後
    間髪入れずブラボー叫んだ人がいて
    そのまま拍手になっちゃったけど
    あれだけ大音響を響かせたら
    その残響も、もっと長く楽しみたかったなぁ・・・(涙)

    終わった後のオーケストラのお辞儀も
    全員揃って、客席に頭を下げるって
    これ、ムジカ・エテルナ方式だよね?

    南西ドイツ放送交響楽団が
    クルレンツィスを首席に招いた際に
    クルレンツィスが、ムジカ・エテルナのようなオーケストラにするぞ、と言って
    そうして欲しい、とオーケストラ側から言われた、というのは
    どこかの新聞記事だか何だかで読んだけれど

    本当にこのオーケストラ
    だんだんムジカ・エテルナの大規模版みたいになって来てる。

    マナーだけではなくて
    音響も、クルレンツィス+ムジカ・エテルナと近くなって来ているような気がする。
    少なくとも、以前、同じオーケストラとクルレンツィスが演奏した時より
    格段に音もマナーも違って来ているのだが
    南西ドイツ放送交響楽団が、それで良い、と
    指揮者の影響のままに育って来るなら
    それはそれで、非常に面白い実験?になると思う。

    9月からの来シーズンのクルレンツィス・チクルスは
    同オーケストラとマーラーの9番、マーラー1番。
    その後はムジカ・エテルナとベートーベン交響曲全曲。

    ・・・その前にモーツァルトのダ・ポンテ3部作の
    コンサート方式の公演もあるが
    クルレンツィス・チクルスは、コジ・ファン・トゥッテ。

    チクルスに含まれていないのは
    9月5日のフィガロの結婚で
    これはグラーフェネックのアムステルダム・コンセルトヘボーと
    ソヒエフのコンサートとバッティング。

    9月7日はドン・ジョバンニで
    これもグラーフェネックでシャンゼリゼとヘレヴェッヘと同じ時間。

    う〜〜〜〜ん、モーツァルト苦手だし
    いや、そういう問題じゃないが
    コジ・ファン・トゥッテって長いし(だからそういう問題では・・・)

    悩みつつ、コンツェルトハウスのサイトでは
    一番安いチケットがちらほら出ていて
    (一番安いチケット=29ユーロである)
    ヘレヴェッヘとクルレンツィスの一騎打ち(私見)で
    さて、ワタクシ的にはどちらが勝ったでしょう?

    というより、実は両方のチケット買っちゃったので
    頭を抱えているところ、という
    見境のない、とことんアホな私に
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    モーツァルト苦手なので
    さすがにフィガロとコンセルトヘボーの対決では
    もともとチケットを持っているコンセルトヘボーの圧倒的勝利だが
    (しかもビオラのタベア・ツィンマーマンが出演する)
    シャンゼリゼ+ヘレヴェッヘはブルックナーの2番とブラームスのダブル・コンチェルト。
    いや、だから何だ、という話ではあるんだけど・・・
    (だんだん収容つかなくなって来た(汗))

    プラカティーフとかチラッとは思ったけれど
    やっぱり、クルレンツィスって
    色々な意味で「鬼才」ではある。好みは色々と別れるだろうが。

    トゥルーズ・キャピトル国立管弦楽団 + ソヒエフ

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      Musikverein Großer Saal 2019年6月15日 19時30分〜22時10分

      Orchestre National du Capitole de Toulouse
      指揮 Tugan Sokhiev
      ピアノ Nikolai Lugansky

      Alexander Borodin (1833-1887)
       Eine Steppenskizze aus Mittelasien

      Sergej Rachmaninow (1873-1943)
       Konzert für Klavier und Orchester Nr. 3 d-Moll, op. 30

      Peter Iljitsch Tschaikowskij (1840-1893)
       Symphonie Nr. 4 f-Moll, op. 36

      トゥルーズ・キャピトル国立管弦楽団と
      トゥーガン・ソヒエフの客演。
      ピアニストはニコライ・ルガンスキーで
      プログラムも、ばっちりロシアで統一。

      最初はボロディンの「中央アジアの草原にて」
      ああ、このオーケストラ、音が柔らかい。
      楽友協会だと、ちょっと焦点を結びにくい。

      ロシアの主題と東洋の主題なんだけど
      バイオリンの高音のミの音ばかりが気になる(こらこら)
      そこに不協和音も生じるテーマが入ってくる。
      テーマのサクソフォンが巧くて聴き惚れたわ。

      聴き込んだ曲ではないし
      滅多にウィーンで演奏されない曲なので、以下、省略。

      ラフマニノフのピアノ協奏曲3番は
      ・・・凄かった(断言)

      ピアノの強さとクリアさが半端じゃないのだが
      加えて、オーケストラとピアノのバランスが素晴らしい。

      オーケストラのトゥッティでもピアノが隠れてしまわないし
      (ルガンスキー、どれだけ強いんだよ?!)
      かと言って、力一杯弾いている、という印象がなくて
      ラフマニノフっぽい華やかな部分は
      とことん明るく、輝くような美しさ。

      正統派ロシアのヴィルトゥオーゾ ♡
      むちゃマッチョでダイナミックで、カッコいい。
      (そんな事しか言えないのかワタシは)
      キッチュになりがちな曲なのだけれど
      それを、きちんとクラシックの枠組みの中で弾くので
      下品にならず、ものすごく気持ちが良い。

      超貧民席なので
      ピアノ協奏曲になると
      ピアニストも指揮者も何にも見えないけれど
      きっと、イケメン2人に違いない(勝手に妄想)

      後半はチャイコフスキーの交響曲4番、名曲アワー。
      最初の金管の咆哮を
      じ〜っくりと聴かせて
      第1楽章のテンポが、かなり遅い。

      全体的に非常に重たい印象になっていて
      時々、思いがけないところでリタルダンドがかかったりする。

      最近の若手指揮者は、すっきりしたキレのある演奏をするかと思っていたら
      いたよ、ここにも例外が1人(笑)

      良い悪いの問題ではないけれど
      こんなに重量のある
      如何にも「ロシアですが、それが何か?」っていう音
      久し振りに聴いたような気がする。

      ところが面白い事に
      このオーケストラ、ロシアのオーケストラではなく
      フランスのオーケストラなので
      ソヒエフが、どんなに、重く暗く厚く
      ロシアっぽい表現をしても
      ロシアのオーケストラが時々聴かせる
      一種の「泥臭さ」みたいなものが全くない。

      チャイコフスキーの「ロシア」っぽい要素が
      実はチャイコフスキーは「ヨーロピアン」ですって感じで
      ものすごく面白いバランスになっている。

      しかし、あそこまで徹底的にロシアっぽく
      時にはタメタメのリタルダンドで演奏されると
      確かに、この第1楽章、かなり長く聴こえて
      ちょっとシツコイというか・・・

      でも、そのしつこさも
      第2楽章になると、あまり気にならなくなる。
      オーボエのソロが美しい。
      (国によるのかもしれないけれど
       ウィーンのオーケストラのオーボエって
       ちょっと控えめな音が多いので
       こういう、明るめの音を外国のオーケストラが出すと
       ちょっと羨ましい・・・)
      この楽章は、重々しくやっても、合っている感じがする。

      第3楽章では
      わっはっは、ソヒエフ、ほとんど振ってない。
      そりゃ、アインザッツさえ出せば
      確かに決まったテンポなので、みんな揃ってピチカートするわ。
      忙しく指揮者がリズムを取る必要は全くない。
      曲想の転換の時だけ、ちょっとだけ合図を出せばそれで済む。

      最終楽章は、音量を上げて、ド派手に打ち上げたけれど
      不思議な事に、楽友協会の音響でも「うるさい」とは思わない。

      チャイコフスキーのオーケストレーションがそうなっているのか
      オーケストラの音そのものが
      柔らかく丸いので神経に触らないのか
      ソヒエフが楽友協会の音響を知ってオーケストラをコントロールしているのか
      シロウトの私には判断がつかないが。

      派手にぶちかます曲だけに
      最後の残響を聴きたかったのだが
      今日は、すかさずブラボーを叫びたい人たちが多かったようで
      最後の音が鳴ったとたんのブラボー・コールと拍手は
      (ラフマニノフのピアノ協奏曲の時も)
      ちょっと残念ではあった。

      超弩級のロシア・プログラムでお腹一杯だったのだが
      なんとアンコールで
      チャイコフスキーの「くるみ割り人形」からロシアのダンス。

      22時になっていたので
      もうアンコールはないだろう、と
      ロジェの方に移動して
      舞台を見ながら拍手していたらアンコール出たのでびっくり。

      ただ、ロジェでこのオーケストラを聴くと
      やっぱり、楽友協会の音響って・・・お風呂ですね(爆笑)
      これも、フル・オーケストラで
      ばっちりロシア風味の音楽(ただしテンポは速めだった(笑))だけど
      このオーケストラの音そのものが
      とても柔らかい。

      最近、コンツェルトハウスでの音響に
      耳が慣れてしまったかもしれない・・・と
      ちょっと戦々恐々としている私に
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      同じオーケストラ、明日は違うプログラム。
      (でもやっぱりロシアで
       ムソルグスキーの「展覧会の絵」も演奏する。
       あ、オーケストレーションがラヴェルだから
       それこそ、ロシアとフランスの融合かな)

      ただ、私は行かない・・・というより
      二転・三転して、別のコンサートに行く事になってしまった。
      (詳細は気が向いたら、明日書きます(笑))

      タグの季節が違う・・・と思った方
      本日のウィーンは32℃まで上がって真夏でした。
      レインボー・パレードの参加者とか
      ほとんど裸に近かったです(笑)
      私もタンクトップですが(爆笑)

      ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団 + ヒメノ

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        Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年6月12日 19時30分〜21時55分

        Orchestre Philharmonique du Luxembourg
        ピアノ Yuja Wang
        指揮 Gustavo Gimeno

        Peter Iljitsch Tschaikowsky (1840-1893)
         Burja (Der Sturm)
          Symphonische Fantasie nach William Shakespeare op. 18

        Maurice Ravel (1875-1937)
         Konzert für die linke Hand für Klavier und Orchester D-Dur (1929/30)

        Dmitri Schostakowitsch (1906-1975)
         Konzert für Klavier und Orchester Nr. 2 F-Dur op. 102 (1957)

        Maurice Ravel
         Daphnis et Chloé. Fragments symphoniques, deuxième série (1913)

        冬のコートを着て震えていた5月が過ぎたとたん
        毎日30℃という真夏が来てしまい
        本当に最近、ここには「冬」と「夏」しかなくなった(涙)

        さて、コンツェルトハウスの
        インターナショナル・オーケストラのチクルス
        今シーズンの最終公演は
        ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団とグスターボ・ヒメノ。

        チケットが売れて
        オーケストラの後ろのオルガン・バルコンにまで
        観客が居るのは
        たぶん、オーケストラのせいでも
        ヒメノのせいでもなく

        ひとえにピアニストのユジャ・ワンのお陰ではあろう。
        (すみません、オーケストラの皆様と指揮者のヒメノさん・・・)

        プログラムだが、これもまた変わった構成。
        最初にチャイコフスキーでど〜んと盛り上げるかと思ったら
        あまり知られていないシェークスピアの「嵐」で

        ・・・ううう、はっきり言ってしまえば

         地味

        なんかこう、華やかさがないというか
        真面目にしっかり演奏はしているんだけど(以下自粛)

        さて、ユジャ・ワン登場。
        会場全員、目が点。

        金色のラメの、とんでもないミニスカート(膝上20センチくらい)
        背中は腰のあたりまで、全部空いてるし
        胸のキワキワのところからドレスは始まっているけれど
        胸と胸の間の中央は、またもやざっくりと空いている。

        13センチの金色のピンヒールを履かれたおみ足が美しい。
        いや、見た目について何も言っちゃいけないんだったっけ(汗)
        でも、あれ、絶対、ユジャ・ワンはアピール目的でやってるわ。

        ラヴェルのピアノ協奏曲・・・わ〜い、と思ったら
        有名なト長調の方じゃなくて、左手かよっ!!!!

        左手、暗過ぎて、あんまり好きじゃない(すみません)
        一応長調なんだけど、最初の低音の出だしから
        何だかやっぱり暗いし
        そりゃ、左手だけで、あのヴィルトゥオーゾ性って凄いんだけど
        ユジャ・ワン、両手あるんだから
        別に左手だけで弾かんでも(いや、すみません)

        ご存知、この曲は戦争で右手を失った
        パウル・ヴィットゲンシュタインの依頼による作曲だが
        その際に独占演奏権も取得したため
        (いったい幾ら払ったんだ?って
         まぁ、ヴィットゲンシュタイン家って大金持ちだし・・・)
        パウル・ヴィットゲンシュタインがピアノのパートを書き換えて
        ラヴェルと大げんかになったとの事。

        手紙のやり取りで
        パウルが「演奏者は作曲者の奴隷か?」と怒ったら
        ラヴェルから「演奏者は作曲者の奴隷だ!」という返事が来たらしい。

        あ〜、すごいな芸術家のプライドの壮絶な争い。
        ハイドンやモーツァルトなんかの時代だったら
        たいして問題になっていなかったような気がするが。

        さて、後半はショスタコーヴィッチのピアノ協奏曲2番に
        またユジャ・ワンが登場。

        舞台にユジャ・ワンが出てきたとたんに
        ざわめく客席(笑)

        後半は眩い青の・・・ミニスカートのボディコン・ワンピ。

        さすがに靴は前半と同じ金色13センチのピンヒールだが
        またこの青いボディコン・ミニも
        背中は、ばっちり見える(笑)

        ショスタコーヴィッチの演奏が始まったとたんに
        あっ! と気がついた。

        前半のラヴェルのピアノ協奏曲
        万が一、ト長調の方を演奏していたら
        印象として、このショスタコーヴィッチの2番と
        かなり被ってしまったのではないか・・・
        (だから左手を演奏したのだろう、と勝手に納得)

        ショスタコーヴィッチのピアノ協奏曲2番は
        ショスタコーヴィッチにしては明るい曲だし
        リズム感がゴキゲンで
        ちょっとプロコフィエフ的なところもあって
        ユジャ・ワンの卓越したリズム感覚が見事に活きる。

        第2楽章の、ほとんどキッチュに近い美しさには息を飲む。
        そうだよね、ショスタコーヴィッチって
        映画音楽も作曲していたんだわ。
        (交響曲しか聴かないという偏った趣味なので忘れてた)

        いや〜、この曲、記憶があるから初聴きではないと思うのだが
        すごくチャーミングな私好みの曲だし
        ドレスの選択はともかくとして(私はおじんだから嬉しいが)
        ユジャ・ワンの鉄壁の技術と運動神経
        リズム感と音楽性は、こういうリズミックな曲には合っていて
        ほとんどサーカスでありながら
        流れるような、音楽としてのクオリティを聴かせてくれるのは見事。

        盛大なブラボー・コールで登場したユジャ・ワン
        お辞儀する時には満面の笑顔だが
        お疲れかなぁ(だって1コンサートで2曲の協奏曲!)と思ったら

        まずはグルックの曲のアンコール。
        (皆さまよくご存知のヤツです)

        拍手し続けていたら
        またもや、ピアノの前に座って

        弾きだしたのがモーツァルトのトルコ行進曲。
        客席から笑いが漏れたが

        いや、ワタシは知っている・・・
        これ、ユジャ・ワンがそのままオリジナルで弾くわけがない。

        ・・・案の定で(爆笑)

        超絶技巧にジャズ和声が入った、とんでもない曲。
        (編曲したのはアルカディ・ボロドスとユジャ・ワン)
        わ〜っはっはっはっは、これこそサーカス。

        盛大な拍手にブラボー・コール。
        さすがにこれでアンコールは終わりか、と思ったら

        また登場したユジャ・ワン
        指揮者の方をチラッと見て、良い?みたいな表情してから
        メンデルスゾーンの無言歌 (op. 67/2)
        このピアニストの体力って、どうなってるの。
        ウケたら、いつまでも弾いていたいタイプか、すごいな。

        いやもう、ここら辺で
        本日のコンサートの主役はユジャ・ワン、あなたです!
        という感じが圧倒的になってしまった。
        そのままお帰りになる観客の方もちらほら。

        ピアノを移動させて
        最後にラヴェルのダフニスとクロエ組曲2番。

        オーケストラは可もなく不可もなく・・・ってところ(おお、偉そう)
        普通に上手に演奏するけれど
        特別に光る、という個性もあまりないし
        職業的にプロフェッショナルとしての水準の演奏だなって感じ。

        ヒメノの指揮にはキレがある。
        (この間の誰かの指揮と何という違い(笑))
        くっきり、はっきりとオーケストラを率いるし
        ヘンな思い入れのあるタメがなくて
        ちょっとあっさりし過ぎ、みたいな部分はあるけれど
        とても現代的で無駄のない、すっきりした音楽を作る。

        だけど、オーケストラが、やっぱり地味。
        悪いオーケストラではないけれど
        目立って巧いソロもないし
        どこを取っても「平均値」という感じがする。

        以前、クリヴィヌとヒメノで聴いた事があるが
        やっぱりフランス風の音の軽さと
        鉄壁の技術とは行かない緩さがあったようだ。

        目立つミスをした訳ではないし
        それなりのプロの演奏にはなっていたし
        ヒメノの指揮はモダンでスッキリしているけれど

        それだけに
        ユジャ・ワンばかり目立ってしまったのは
        まぁ、この小国の(失礼)オーケストラの運命かもしれない。

        2017年1月20日の記載に
        何でこのオーケストラの名称、フランス語の記載なんだろう?と書いたが
        やっぱり今回もドイツ語名称ではなく
        フランス語の名前で登場。

        何かドイツ語に対して反感?でもあるのかしら
        ・・・とアホらしい事を考えてしまった私に
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        パリ管弦楽団 + ダニエル・ハーディング

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          Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年5月27日 19時30分〜21時10分

          Orchestre de Paris
          Wiener Singakademie (Einstudierung Heinz Ferlesch)
          Schülerinnen und Schüler der Opernschule der Wiener Staatsoper
          (Einstudierung Johannes Mertl)
          ソプラノ Emma Bell
          テノール Andrew Staples
          バリトン Christian Gerhaher
          指揮 Daniel Harding

          Benjamin Britten (1913-1976)

          War Requiem op. 66 (1962)
          Requiem aeternam / Dies Irae / Offertorium
          Sanctus / Agnus Dei / Libera me

          国立オペラ座では「海賊」の千秋楽で
          冒険的なキャスト(今までなかったバリエーション)で
          興味はあったのだが

          パリ管弦楽団+ハーディングで
          ブリテンの「戦争レクイエム」
          しかも、バリトンにゲルハーヘルが登場するとなったら
          これを逃したら一生の不覚(大げさ・・・)

          発売初日をマークしておいて
          超貧民席のベストの位置を確保していながら
          オペラ・グラスを忘れて
          オーケストラもコーラスも豆粒にしか見えないのは悔しい(笑)

          まぁ、でも、音響はベストの席ですし・・・

          正直言えば「戦争レクイエム」に関しては
          私は初心者である。

          だいたい宗教曲が苦手で(妄想の余地がない)
          ラテン語からは逃げまくっているし
          辛気臭いレクイエムを疲れている夕方に聞くのも気が滅入るし
          ヴェルディのレクイエムみたいに
          聴いている方の体力をすべて奪ってしまうような曲もあるし

          ノンポリで政治的関心ゼロだし
          戦争嫌いだし(好きな人はいないと思うが)
          平和な時代に育っているし

          何故にわざわざ「戦争レクイエム」を聴かねばならんのだ。

          と思っていた私は
          2学期前の音楽史IVで
          この曲の成立の背景、音楽的構成等を授業で聞いて
          俄然、聴きたい、という気が出て来た。

          レクイエムではあるのだけれど
          途中にソロで歌われるオーエンの詩が・・・

          あああああ、もう、もう、もう
          悲惨で心理的で、比喩がすごくて
          直裁的な部分もあって
          第一次世界大戦の兵士たちの惨めさを
          ウエットにならず、徹底的に描き出している。

          そしてブリテンの音楽の持つ力!!!!
          徹底的に繊細な音色で
          圧倒的なオーケストラとコーラスの力。

          私自身はキリスト教カトリックの文化土壌で育っていないので
          ラテン語のミサ式典は知識として持っているだけなので
          (音楽史で超叩き込まれます(笑))
          レクイエムそのものについては
          そんなに感情揺さぶり状態にはならないのだが

          オーエンの詩!!!!
          オーエンの詩!!!!!
          オーエンの詩!!!!!!

          これが、テノールとバリトンで歌われると
          もう、もう、もう・・・堪らないです。
          これで涙しない人はいない、と確信する程に
          深く、心の底まで、グッサリと刺さってくる。

          テノールのアンドリュー・ステープルスって
          ノーマークだったが
          むちゃくちゃ巧いじゃないの (O_O)
          声の透明感、英語の発音の美しさ、音楽性
          どれ取っても二重丸で
          この人がオーエンの詩を歌うと
          繊細な針のように、心の奥底に、ひっそりと入り込んで来る。

          更にクリスティアン・ゲルハーヘル!!!
          リートでは、その実力は充分に知っているが
          「言葉とその表現」に最も重点を置く歌い方が
          英語でも活かされていて
          美声なのに、絶対に張り上げず
          大げさになり過ぎず
          ドイツ・リートのような抑制を効かせて

          それがまた、ハーディングの禁欲的なまでに透明なオーケストラと
          むちゃくちゃ合ってしまうのだ(驚愕)

          オルガンの前(オーケストラの上)から歌っていたソプラノは
          ちょっといただけない(すみません)
          あまりに声が強過ぎてドラマチックになり過ぎていて
          これ、ヴェルディのレクイエムじゃないから(怒)
          声そのものの美しさにも欠けているから
          ドラマチックなオペラは良いだろうが
          宗教曲向きの声ではない(断定)

          児童合唱団はオペラ座からレンタルしたようだが
          さすがに舞台の上には乗らず
          (舞台はオーケストラとコーラスで満員御礼状態で
           オルガン・バルコンにもコーラスが乗っていた)
          舞台袖から歌っていたが

          これがまた、空間音響設定として見事な効果を生み出した。
          いや、ハーディング、スゴイわ。
          もともと、徹底的な拘りを持って
          細部まで突き詰めて
          時々、突き詰め過ぎて
          スケールの小さな室内楽になってしまう印象があるが
          今回のブリテンは
          それが繊細さとオーケストラの複雑な色の響きになって
          実にもって見事な音楽的処理だったと思う。

          聴いていて愉快になる曲でもないし
          授業や仕事が終わった後に気晴らしになる曲でもないし
          暗いし、あんまり希望ないし(あるかもしれない)
          オーエンの詩は、もうグサグサに突き刺さってくるし
          (私、アブラハムの話が一番グッサリ来ます・・・)

          何だかワケわからないまま
          何故に最後に涙が出てくるのか、自分でも理解できない。
          ここ数週間、個人的に大変な状況にあって
          (註 絶対に聞かないで下さい。たぶん、思っている以上にシリアスです)
          普通の人間なら耐えられないかも、というような時でも
          絶対に涙を出さなかった私が
          (だいたい泣かないですよ、ワタシ(笑)、オバサンだから)

          こういう音楽を聴いてしまうと
          涙が出てくるのは、本当に謎だ。
          (だからと言って、涙が出て来たからカタルシスか、というと
           別にそうでもないような気がする)

          わざわざ苦手だった曲を聴きに行って
          でも本当に良かった、と感じ入っている私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          ただ、これをまた何回も聴きたい・・・とは
          あまり思わんなぁ。
          刺激が大きいだけに、数年に1回で充分。

          ノンポリと言いつつ
          最近、ツィッターでは
          オーストリアの政治ウォッチャーと化している。
          だって、政治家って、ホントにアホだ、というのが
          如実に見えて面白いんだもん。
          (選挙権持ってないのに、実は他人事じゃないんだけどさ)
          ご興味ある向きは @happachan0810 です。

          サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団 + パッパーノ

          0
            Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年5月16日 19時30分〜21時50分

            Orchestra dell’Accademia Nazionale di Santa Cecilia - Roma
            バイオリン Lisa Batiashvili
            指揮 Sir Antonio Pappano

            Modest Mussorgski (1839-1881)
             Ivanova noch’na Lïsoy gore „Eine Nacht auf dem kahlen Berge“ (1867)
            Béla Bartók (1881-1945)
             Konzert für Violine und Orchester Nr. 1 Sz 36 (1907/08)
            Nikolai Rimski-Korsakow (1844-1908)
             Scheherazade. Suite symphonique op. 35 (1888)

            パッパーノとサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団の客演2日目。
            プログラムが地味?なのか
            天井桟敷の貧民席の前の方に、結構な空き席が目立つ。
            (後ろの超貧民席はクラオタで満杯だが(笑))
            ベルがなってオーケストラが入り始めると
            大規模な民族移動が起こるのは、どこでも同じ。

            ムソルグスキーの「禿げ山の夜」は
            ・・・まぁ、そんな感じか。
            もともと元気なオーケストラだし・・・

            バルトークは、ちらっとプログラムを見た時に
            オーケストラのための協奏曲かと見間違えたのだが
            バイオリン協奏曲1番だった。

            プログラムの記述によれば
            バルトークが恋に浮かれて作曲し
            完成したら失恋して、引き出しの中に仕舞い込んで
            死後かなり経った1958年に出版したものらしい。

            恋??????
            どこが???????

            美しいメロディ・ラインの曲なのだが
            恋の情熱とか、何にも感じませんが。
            これで恋していた状態、というのなら
            バルトークとはお友達にはなれない(偏見)

            バティアシュヴィリは、いつもの通り
            美女でスタイル良くて
            ゴールド・ベージュのロング・ドレスも上品で
            見た目を言ったらイケナイらしいが
            しかし昨今、バイオリニストというのは
            舞台の見た目が美しいと
            プロモーションがし易いのではないか、と
            つくづく思うわ。

            バイオリンの音は透明で
            低音の力強さもなかなかなのだが
            何せ、どう考えても「恋」になっていない曲で

            「恋」どころか、徹底的に根暗な曲だし
            たぶん初めて聴く曲なので、何も言えない。

            アンコールやるかな?と観客がずっと拍手していたら
            ドボルジャークの交響曲9番、第2楽章。
            ご存知「家路」なんだけど
            そのイングリッシュ・ホルンをバイオリン・ソロで演奏。

            いいのか、これ。
            オーケストラのオーボエ奏者にケンカ売ってる
            ・・・ワケじゃないよね?!

            意外や意外に、バイオリンの音が哀愁を帯びて
            ニュアンスも深く
            そうか、これ、イングリッシュ・ホルンじゃなくて
            バイオリンでもイケそうじゃない、と思った事は秘密(言ってるけど)

            前半終わって、割に地味だなぁ、と言う感想は
            周囲の年配のおばちゃまたちが
            「もっと楽しいコンサートだと思ったのに」とか
            友人同士で呟いていた事からも正当化される(だろう、きっと)

            後半がリムスキー・コルサコフのシェヘラザード。

            シェヘラザード????

            前半、確かバイオリン協奏曲を演奏してたよね?
            それって、もしかしたら

            前半のソロのバイオリニストにケンカ売ってる??(邪推)

            ・・・・・たぶん、誰も何も考えていない(笑)

            このシェヘラザードが絶品だった!!!! ❤

            パッパーノの指揮って
            アインザッツが時々不明確で甘いので
            オーケストラの音楽も
            あまり、キリッとしたところはないのだが

            その分、音楽を語らせたら、こんなに雄弁な指揮者は珍しい。

            ちょっと偉そうな感じのコンサート・マスターは
            昨日、メガネを忘れて出て来た、という
            ちょっと(偉ぶっている割には)おっちょこちょい、というのはバレているが
            シェヘラザードのソロがむちゃくちゃ巧い。

            バイオリンの音色(良いバイオリン使ってるなぁ・・・)も
            その深いニュアンスも抜群で
            シェヘラザードが非常に人間臭い。
            でも、その人間キャラが、決して甘いだけではなくて
            自分の運命を受け入れて最善を尽くす誠実さとか
            聡明でありながら、時には女の子のように華奢になったり

            ええ、聴いてる方の妄想です、わかってます。
            でも、その妄想の起爆剤になるソロって
            滅多に聴けるものではないの。

            この曲、あちこちで木管や金管のソロが入るのだが
            そのソロのプレイヤーたちが

            「私、好きなように演奏するから
             指揮者は私の事はほっておいてね」
             (妄想ですが、意外に当たっているのではないかと・・・)

            で、またそのソロが見事に歌うんですよ。
            でしゃばりのイヤミはなくて
            本当に歌ってるの。
            しかも、むちゃくちゃ楽しそうに歌ってるの。

            大げさに演奏しているワケではないのに
            シェヘラザードの語る物語が目の前に浮かんでくる。
            勇壮な話や、プリンスとの恋物語が
            この上なくドラマチックに語られて
            いやもう、聴いていて楽しいのなんの。

            (ついつい余計な事を書いてしまうと
             この千夜一夜物語って、有名な話の他は
             と〜んでもないエロ話が多く
             すごくえっちなので
             若かりし頃の私は、岩波文庫で
             発行されている全巻をウハウハ悶えつつ読んだ事がある。
             今は完訳全13巻で出ているようだ。
             昔はもっと一冊が薄くて、もっと巻数が多かったような記憶。
             時々、駄作もあるけれど、ともかく面白いです)

            演奏時間45分くらいだったと思うが
            もう楽しくて楽しくて
            時間の経つのもあっという間で
            しかも、この「語り」が終わってしまうのが残念で
            もっと、もっと、聴いていたい、と思わせる演奏。

            パッパーノって徹底的にオペラの指揮者なんだろうなぁ。
            音楽を歌わせて、語らせて
            その美しさと情熱を観客に届けようとするタイプ。

            金管奏者が何人か舞台に登場したので
            あっ、これはアンコールを演奏するな・・・と待っていたら

            アミルカレ・ポンキエッリの「ラ・ジョコンダ」からのダンス音楽 \(^^)/

            わっはっはっはっは
            ウィーンの超コンサバな年配の聴衆にウケる曲を
            よくご存知で(笑)

            サービス精神バリバリの
            歌うオーケストラと指揮者
            ますますファンになってしまった私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            コンサート後に
            バティアシュヴィリとパッパーノのサイン会があったようだが
            パッパーノだけサインもらって
            バティアシュヴィリを無視するワケにもいかないので
            サイン会には参加せず、さっさと帰って来ました(笑)
            しかし、これだけビッグネームになっても
            サイン会やるのか、パッパーノは!!!(驚愕)←やっぱりサービス精神

            サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団 + パッパーノ

            0
              Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年5月15日 19時30分〜21時

              Orchestra dell’Accademia Nazionale di Santa Cecilia - Roma
              指揮 Sir Antonio Pappano

              Gustav Mahler (1860-1911)
               Symphonie Nr. 6 a-moll (1903/04)

              このオーケストラもパッパーノも好きなんだけど
              この長いオーケストラの名称は
              正直、勘弁して欲しい(笑)

              2008年秋からのこのブログでも
              ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団と書いてあったり
              サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団と書いてあったりする。
              (↑自分が悪い事を人のせいにしようとする老害)

              2013年4月8日に、同じオーケストラと指揮者で
              同じ曲を、ただ、楽友協会で聴いた時に興奮ぶりは
              当時の記事でわかるし、記憶力ゼロなのに、いまだに記憶に鮮明だ。

              コンツェルトハウスでの演奏なので
              今回は音量にリミットを掛ける必要もない。
              もう、ガンガン演奏して下さい!!!(笑)

              オーケストラ登場でメンバーが揃った後に
              コンサート・マスターが出て来て挨拶する方式のオーケストラだが
              コンマス出て来て、お辞儀して、座ってから
              慌てて、また立って舞台裏に駆け込んだ。
              メガネを忘れたらしい。

              客席から失笑が出たけど
              なんか、そういう人間的なミスって
              ちょっと微笑ましくてチャーミング(笑)

              主観的な印象ではあるのだが
              このオーケストラ、音が明るい。

              出だしから
              とっても元気が良くて
              悲劇とか、暗い予兆とか
              そういう不吉なものはすべて取っ払い

              マーラーのこの交響曲で
              ほらほら、ワーグナーだ、ヴェルディだ、プッチーニもあるよ
              という(あくまでも主観です!)
              サービス精神溢れた
              ドラマチックなオペラを見せてもらった感じがする。

              金管の強調が激しく
              第1楽章でも、金管のモチーフが
              隠されているものが、すべて前に出てくる感じで
              その分、モチーフ的な統一性が聴こえて面白い。
              (ただ、もう、これでもか、これでもか、という繰り返しなので
               多少、しつこいというか、濃い、という感じはある)

              金管はガンガン鳴らすくせに
              カウベルの扱いが、全楽章を通して、とてもエレガント。
              あ〜、それ、オーストリア・アルプスじゃなくて
              やっぱりオペラの舞台のサンタンジェロ城とか・・・

              頭の中が、トスカと化してきたり
              マーラーの行進曲がアイーダの行進曲と重なったり
              これは独断と偏見に満ちた
              正しい鑑賞方法ではない、というのは
              理性ではわかるけれど
              いったん走り出した妄想は暴走するばかり。

              第2楽章の歌い方は
              まさにイターリアンで(だから偏見+妄想)
              甘いメロディのところの歌わせ方が
              ばっちりプッチーニになっている(だから偏見+妄想)

              コンツェルトハウスは、比較的、年配のクラオタが多いので
              今日はかなり客席が静かで
              第2楽章で、咳をこらえていたご年配の方々が
              咳したり、小声で喋ったりしていて
              会場がまだザワザワしているのに
              容赦なく指揮棒を振り下ろすパッパーノ。

              楽章間の時間をほとんど取らなくても
              演奏時間は90分だから
              あまりゆっくり幕間を取ると
              年配のお客さまがトイレに行きたくなるかも
              ・・・とパッパーノが考えていたかどうかは不明。

              全体のテンポも、比較的速めで押したんだけど
              まさか、オーケストラ・メンバーもトイレに行きたくなるだろう
              ・・・とパッパーノが考えていたかどうかは不明。

              元気の溢れる明るい音色のマーラーは
              時々、キッチュなくらい甘くなる
              美しいメロディの断片と共に
              どこが悲劇?という感じではあるのだが

              ただ、時々、ゾッとするような不安感とか
              突然、足もとに底のない穴があいたようなフレーズはあった。

              今の精神状態で
              暗くて恐ろしいマーラーの6番とか聴いちゃったら
              タイヘンな事になりそうなので(ならないか(笑))
              このローマのシンフォニー・オーケストラが
              勢いの良い(時々勢い良すぎてあれっ?というところも(笑))
              元気で明るいヴェルディ・プッチーニ風味のある演奏を
              (註 あくまでも主観的印象です!)
              コンツェルトハウスの大ホールで
              金管・木管、ハンマー含むパーカッションや
              腹の底に響いてくる低弦含めて
              目一杯の音量で演奏してくれたのは
              とても楽しかった。

              ハンマーはオルガン・バルコンに設置して
              最終楽章の2回の時だけ
              パーカッショニストが上に登り
              寸分違わぬ見事なタイミングで
              どしん!というハンマーの音を響かせたのは
              聴覚だけではなく、視覚的にも感激した。

              マーラーの6番を「楽しんで」は本来はイケナイのだろうが
              でも、それがオーケストラやパッパーノの持ち味で(主観)
              妄想を爆走させながら、90分を満喫した私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              5月とは思えないほどに気温が低く(最高気温10度以下)
              雨は降るし、寒いし暗い(涙)

              サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団とパッパーノは
              明日はムソルグスキー、バルトーク、リムスキー=コルサコフの名曲アワー。
              できれば、このオーケストラとパッパーノで
              レスピーギとか聴けたら、本当は最高なんだけど(笑)

              マリイインスキー管弦楽団 + ゲルギエフ

              0
                Musikverein Großer Saal 2019年5月14日 19時30分〜21時20分

                Mariinsky Orchester
                ソプラノ Anna Netrebko
                指揮 Valery Gergiev

                Giuseppe Verdi (1813-1901)
                 Ouvertüre zur Oper „Nabucco“
                 La luce langue. Arie der Lady Macbeth aus der Oper „Macbeth“
                 Sinfonia aus der Oper „Aida“
                 Ritorna vincitor! Arie der Aida aus der Oper „Aida“
                 Triumphmarsch aus der Oper „Aida“

                *** Pause ***

                Giuseppe Verdi
                 Ouvertüre zur Oper „La forza del destino“
                 Pace, pace, mio Dio. Arie der Leonora aus der Oper „La forza del destino“

                Igor Strawinsky (1882-1971)
                 Suite aus dem Ballett „Der Feuervogel“ (Fassung 1919)

                何故にマリイインスキー・オーケストラのコンサートが
                売り切れなのか謎だったのだが

                あ〜、アンナ・ネトレプコが歌うからか(納得)

                私はたまたま年間チクルスの一環で持っていたのだが
                一般発売の際のチケット代は、結構高かったらしい。

                ネトレプコ・ファンの方には夜道でグッサリ刺されるかもしれないが
                私がネトレプコすごい、と思ったのは
                記録が消えたので定かではないが
                2007年のオペラ座の「マノン」で
                ナマ足+黒のキャミソールで
                男性ならずとも鼻血ドバ、という演目だけで・・・
                (当時はスタイル抜群のキャピキャピ・ギャルだった)

                ネトレプコは相変わらず
                「世の中の女性で私が一番色っぽい」というオーラを放ちながら
                黒のレースのロング・ドレスで舞台に登場。

                マクベスのアリアは、低音が多いので
                もともと持っているロシア的な、暗い、太い声の低音が響いて
                いや、そりゃ、暗い曲だからそれで良いし
                声は出てる(もともと声量がスゴイから)けど
                別にこんな暗い曲、ソプラノらしからぬ暗い太い声で聞かんでも・・・

                アイーダはちょっと良くなって
                まぁ、声は出てる、というより、もともと声がデカイ。
                だいたいオペラ苦手なので
                更にそこからアリアをぶった切って歌われても
                どうもよくわからないのだが
                でも、だいたい、イタリア語には聞こえない(ような気がする)
                モニョモニョという言葉らしきものに
                ものすご〜〜く強い声がくっついてくる感じ。

                後半は「運命の力」からのアリア。
                しっかりドレスは変えて
                肩から腕、胸の谷間までバッチリ見える
                黒のラウンド・スカートのロング・ドレス。
                (花嫁さんが着るようなパニエ入りのドレスの黒いもの、という感じ)

                あれっ? 最初のハープ伴奏でのソロの高音、かなり上擦ってるけど・・・
                (ハープ奏者が一生懸命、これよ、これ、って
                 音量を上げて聴かせるようにしていたようだが
                 いや、歌手なんて、陶酔して歌っていたら聴きませんよ、伴奏なんて(笑))

                ただ、途中からは音程も合って(ほっ)
                ピアニッシモの高音を
                よくぞまぁ、息が続くものだと唖然とさせるほどに伸ばして
                大きな強靭な声でドラマチックに歌い上げた。

                ・・・全部で3曲、時間にして、約12分ほど(たぶん)
                それでホールを満杯にするんだから
                ネトレプコ人気もたいしたものだ。

                確かに魅力的な歌手ではあるんだよなぁ。
                多少お歳は召したし、スタイルもお変わりになられたが
                美人だし、チャーミングだし
                放つオーラの強さはまだまだ健在。

                さてしかし、ネトレプコ目当てで行った訳ではない私は
                合間に演奏されるヴェルディの序曲と間奏曲の見事さに
                実は唸っていた。

                このオーケストラ、こうやってオペラを演奏すると
                やっぱりオペラ付きのオーケストラだ、という事がよくわかる。
                その音が鳴るだけで
                オペラ座の木の香りというか
                これから楽しい楽しいオペラが始まる、というワクワク感とか

                交響曲とかほどに精密さを要求されない
                すごく良い意味での、ちょっとした緩さとか
                とても良い感じで音から聴こえて来て
                楽友協会がオペラ座と化している。

                ゲルギエフは爪楊枝を持って
                爪楊枝の動きは全く知覚できず
                周囲の指のブルブルがすごいけれど
                オーケストラは、まるで独自の生き物のように
                ブルブルでも間違いない音楽を繰り広げている。

                ロシアとは言え
                サンクト・ペテルブルクという
                ヨーロッパの文化を満喫しながら発展した
                洗練された貴族の味に
                オペラのオーケストラ曲が息づいて

                コンサート・マスターのソロなんて
                うああああ、こういうのが
                オペラにおけるコンサート・マスター・ソロなのよ、と
                ついつい、今のどこかの超有名なオーケストラの
                まだ公表されていないみたいだけど
                次のコンサート・マスター候補の
                オペラ座(バレエ)での硬いソロと比べてしまう。
                (すみません、そりゃ、他のコンマスがやれば
                 こういう音になるんですが
                 最近、あのオケも人員不足のようで・・・むにゃむにゃ)

                前半最後のアイーダの勝利の行進なんかも
                変にコンサートっぽい交響詩断片にならず
                あくまでもオペラの中の付随音楽というキャラクターに留まったのは
                もう見事としか言いようがない。

                さて、帝政ロシア風味の、とことん洗練されたヴェルディの後
                私が楽しみにしていたのは
                ストラヴィンスキーの「火の鳥」組曲。

                ヴェルディの後にストラヴィンスキーってプログラムの組み方
                オーケストラのメンバーから
                私たち、何でも完璧に演奏できますけど、それが何か?
                とか言われている感じだわ(笑)

                で、この「火の鳥」の素晴らしかった事と言ったら!!!!(感涙)
                もう、何て巧いオーケストラ!!!!!

                技術だけじゃなくて
                ロシアの色が存分にあって
                音のバランス、オーケストラの音色、リズム感
                木管のソロ(出しゃばらず、でも存在感バリバリ)

                最後の部分の前の、弦のトゥッティのピアニッシモの美しさに打たれて
                客席で悶絶していたのは私ですが
                全身、鳥肌たつような音色。
                もう、あんなに繊細で美しいピアニッシモ、初めて聴いた。
                (いつもザワザワの聴衆も息を呑んで静まり返っていた・・・)

                録音してスペクトグラムで倍音と周波数の分析をしたい
                ・・・と思うのが、本来は正しい大学生のあり方だろうが

                あんな美しい音響に全身浸かってしまったら
                理論だの学術だの音楽心理学だのは
                どこかにすっ飛んで行ってしまって

                ただ、ただ、客席で腰を抜かして、
                嬉々として恍惚の人と化すだけである。

                こんな素晴らしい「火の鳥」を演奏できるオーケストラ
                いったい、マリイインスキーとゲルギエフ以外、どこにある?
                さすがロシアの超一流オペラ座付きオーケストラ。
                (「火の鳥」だって、もともとはバレエだ!)

                マリイインスキーとゲルギエフは
                ありがたい事に比較的こちらでも聴く機会が多いのだが
                以前のグラーフェネックのチャイコフスキーのバレエも素晴らしかったし
                今回の「火の鳥」も唖然とするほどの素晴らしさだったし

                ゲルギエフの爪楊枝付きの指揮は
                私のシロウト目で見ても
                アインザッツが全然わからないのだが
                (音楽的に興奮するほど、指のブルブルが激しくなる)
                これだけの音をオーケストラから出せるというのは
                やっぱり凄いわ、と
                改めてゲルギエフのファンになった私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                ヘルシンキ・フィルハーモニー交響楽団 + マルッキ

                0
                  Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年4月10日 19時30分〜21時50分

                  Helsinki Philharmonic Orchestra
                  バイオリン Pekka Kuusisto
                  指揮 Susanna Mälkki

                  Lotta Wennäkoski (*1970)
                   Flounce (2017) EA

                  Peter Iljitsch Tschaikowsky (1840-1893)
                   Konzert für Violine und Orchester D-Dur op. 35 (1878)

                  Jean Sibelius (1865-1957)
                   Symphonie Nr. 2 D-Dur op. 43 (1901-02)

                  重なる時は重なるというか(笑)
                  今週はシベリウス・ウィークとでも言う感じ。

                  ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団の
                  オーケストラ・トラックがコンツェルトハウスの前にどん!
                  ツィッターでは挙げたけれど
                  まだ見ていない方のために出しておこう。



                  上の周波数かな?と思うところが
                  人の名前?作品の名前?
                  フィンランド語なのでよくわからないけれど
                  全部アルファベットになっている。

                  最近、女性指揮者も増えては来ているが
                  それでもまだ数は少ない。
                  その中で、私はスサンナ・マルッキは非常に好きな指揮者の1人。
                  (以前はよく現代音楽を振っていたので(笑))

                  最初の曲はフィンランドの女性作曲家が
                  ロンドンのプロムスのラスト・ナイトのために作曲した
                  5分ほどの小曲だが

                  現代音楽には珍しいリズミック(もちろん変拍子(笑))な
                  軽快で、むちゃカッコいい曲で、景気良くてチャーミング。
                  作曲家の意図とは違う受け取り方かもしれないけれど
                  マルッキのキレの良い指揮の動きと合っていて
                  すごく楽しい曲だった (^^)v

                  チャイコフスキーのバイオリン協奏曲のソリストの
                  ペッカ・クーシスト
                  あ〜、黒のTシャツの上に黒のシャツを前をはだけて着て
                  よれよれ(に見える)の黒のズボンで
                  ブロンドの髪の毛がチョンマゲ・・・(絶句)

                  本人の顔本のシンボルにもチョンマゲ髪になっているので
                  ご興味ある方はどうぞ(笑)
                  いや、驚いた。なんだかとてもフリーダムな人なのね?

                  音が細めで、時々、あれっ?という部分があって
                  不思議な解釈をするバイオリニストで
                  しかも技術的にちょっと弱いのでは?と思っていたら

                  演奏後に本人舞台の上から客席に向かって
                  ものすごく通る美声で
                  完璧な英語で
                  ドイツ語できないので、フィンランド語より英語の方が
                  みなさんには良いですよね?ってアナウンスを始めてしまい
                  左腕の故障があった事を開示。
                  (んな事、今、言われても・・・(笑))
                  アンコールに弾いたフィンランドの民謡は秀抜。
                  軽やかでリズミックで、ちょっと泥くさい部分も残してチャーミング。

                  一見、どうみても不良中年にしか見えないのだが
                  (列車にこの人が座っていたら、私は隣の席は避けるよ、きっと)
                  アナウンスのユーモアに満ちた美しい英語に惚れたわ。

                  後半がシベリウスの交響曲2番。
                  よりによって、2日前に聴いたばかり(笑)
                  コンツェルトハウスの方が音響的には良いんじゃないか、と
                  密かに期待していたのだが

                  あああああっ
                  ホルンが魔の位置にある。
                  (ギャラリーだけの現象かもしれないのだが
                   舞台下手(しもて)の後ろにホルンが並ぶと
                   ホルンの音が何故かものすごく大きく聴こえてくるのだ。
                   よって在ウィーンのオーケストラは
                   あの位置にホルンは絶対に置かない)

                  マルッキの指揮はキレが良いだけに
                  メロディよりも、もっとリズムが前面に出て来て
                  時々、曲が飛び跳ねているような印象を残す。

                  シベリウスの交響曲はこのオーケストラが
                  ほとんど初演しているので
                  その意味、地元の(ほとんど唯一の)大作曲家の作品という事で
                  頑張って演奏しているのだが
                  正直、技術的な面だけ言えば日フィルの方が・・・(以下省略)

                  読者の皆さまは
                  あ〜、またシロウトが的外れな事を言ってるわ、と思って下さい。

                  聴き慣れているはずの交響曲なんだけどなぁ。
                  シベリウスってナマでの演奏回数が少ないし
                  (ちなみにコンツェルトハウスでは今まで17回演奏されたそうだ。
                   たった17回ですよ?! 
                   チャイコフスキーのバイオリン協奏曲は124回だ!)
                  その意味で、どうしても録音で聴く回数の方が多いから
                  ナマで聴いた時のバランスが
                  耳逆らいしてしまうんだろうか。

                  アンコールに、これまた予想通り
                  シベリウスの「悲しきワルツ」(爆笑)

                  まぁ、オーケストラ・マネージメントは
                  他のホールのプログラムチェックとかまではしないだろう。
                  そこまでマーケティングできるオーケストラは
                  たぶん、私の知っている限りではない、と思う。
                  (だってしょっちゅう同じ曲が同じ時期にぶつかるんだもん)

                  珍しい体験ではあったけれど
                  なかなか面白い体験でもあった(詳細省略(笑))

                  マルッキのキレの良い明確な指揮が魅力的。
                  また現代音楽を振りにウィーンにも来てくれないかなぁ、と
                  密かに期待している私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                  コレギウム1704 + ヴァツラフ・ルクス マタイ受難曲

                  0
                    Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年4月7日 18時〜21時30分

                    Collegium 1704
                    Collegium Vocale 1704
                    テノール(エファンゲリスト) Eric Stoklossa
                    バス(イエズス)Jan Martiník
                    指揮 Václav Luks

                    Johann Sebastian Bach (1685-1750)
                     Matthäuspassion BWV 244

                    音楽ファンのこの時期の季節ものと言えば
                    ワーグナーのパルジファルである事は重々承知だが
                    オペラ座のパルジファルのチケットは
                    超貧民の私には、高すぎて買えない(汗)

                    この時期のもう一つの季節モノは
                    言わずと知れたバッハの受難曲。
                    その年によって、ヨハネだったりマタイだったりするけれど
                    今年はマタイ受難曲をコンツェルトハウスで鑑賞する事にした。

                    下らない話で有名だと思うんだけど
                    受難曲はドイツ語で Passion と書くのだが
                    ヨハネ受難曲を、ヨハネの情熱、と訳した人が、昔はいた。

                    閑話休題。

                    コレギウム1704というグループは私は初聴きだが
                    プラハの古楽器オーケストラとコーラスで
                    ドイツとも関係が強いらしい。
                    (まぁ、1700年代って、プラハはドイツ語圏ではあったのだ)

                    途中で会ったお達者倶楽部の大学の同僚が
                    僕の若い頃は大編成オーケストラと大編成コーラスだったので
                    古楽器オーケストラが楽しみ、と言っていたけれど

                    オーケストラ35名+指揮者
                    コーラス28名
                    エファンゲリストとイエズス以外のソロは
                    すべてコーラス・メンバーでカバーという
                    バッハの初演時とほとんど変わりない人数での編成。

                    コンツェルトハウスの大ホールだと
                    聴き映えがしないんじゃないか、と思っていたら
                    これがとんでもないアンサンブルだった。

                    いやもう、巧いの ♡

                    昔、楽友協会のコンツェントゥス・ムジクスと
                    アーノンクールでのマタイ受難曲聴いた事があるけれど
                    あの時のコンツェントゥス・ムジクスの
                    不安定感(まぁ、それはそれで良かったんだけど)と違って
                    古楽器なのに、ばっちり安定感があって
                    大ホールなのに、澄んだ音できっちりと響く。
                    各楽器のソロも抜群に巧い。

                    そして、エファンゲリストのエリック・ストクロッサ(と読むのか
                    それともシュトクロッサかしら)
                    ドイツ語圏には珍しいハイテノール。
                    時々、カウンター・テノールかと思わせる程の音色で
                    高音のピアニッシモを歌わせると、背筋がゾクゾクする甘い声。

                    以前聴いた、若い頃のミヒャエル・シャーデのような
                    表現力の幅はないけれど
                    実に甘いハイテノールで
                    しかもドイツ語のディクションが非常に美しい。
                    (もともとドレスデン聖十字架合唱団メンバー)

                    語り手として最初から最後まで
                    一点の乱れもなく
                    どの音域も透明感のある甘いテノールで歌いきって
                    過不足なく語ってくれて
                    むちゃくちゃ魅力的。

                    イエズス役のテノールも
                    淡々と美しい声で、イエズスらしい威厳があって素晴らしい。

                    普通はソリストを呼んでくる他の役
                    アルトやバス、テノール、ユダやピラトゥス役は
                    コーラスのメンバーが舞台の前に降りて来て歌うのだが
                    これがまた、コーラス・メンバーとは思えない巧さ。

                    ばっちりプロのメンバーのコーラスだから
                    この人数でコンツェルトハウスで歌っても
                    音量的にも音楽的にも、全く問題はないのか。

                    コーラスの歌詞のドイツ語のクリアさは
                    今一つだったけれど
                    不満と言えばそれだけ。

                    休憩1回含めて、3時間30分の
                    密度の濃い時間。

                    午前中にモダン・オーケストラの
                    あまりに元気過ぎるベートーベンに
                    ちょっと辟易していた耳には
                    小編成の受難曲の、端正で淡々として
                    なのに、深いところで深いエモーションが見え隠れする
                    古楽器オーケストラの音色が心地良い。

                    というより、バッハのマタイ受難曲って
                    やっぱりスゴイ(まぁ、今更なんですが・・・f^_^;)
                    旋律の美しさ、現代的なドラマツルギー
                    複雑な和声の絡みに
                    様々な楽器の特性を活かした、それぞれのソロ曲の伴奏。

                    宗教曲は苦手なのだが
                    (ミサ曲とか、どうしても好きになれない)
                    こと受難曲に関しては
                    プロテスタントのオペラ・・・としか私には思えない。
                    (誤解があるのは承知です、ごめんなさい)

                    イエス・キリストの受難の様を
                    系列的に描いていくところがストーリーを追えて面白いし
                    その間のピラトスやユダ、ユダヤ人の反応とかが
                    音楽的に(すごいドラマチック!)描かれると同時に
                    プロテスタントらしいコラールが
                    美しくその間に響いて来て
                    もう胸が一杯になってしまう。
                    (私はキリスト教信者ではございません。念の為。
                     ただし基本的に多神教(節操がない、とも言う)なので
                     キリストもありかとは思っている)

                    バッハの凄さというのは
                    本当に音楽的に、しっかり研究した人でないと
                    わからないのだろうが

                    音楽ド・シロートの私でも
                    感激しちゃうくらいで
                    だいたい、1729年初演って
                    今から300年近く前の
                    平賀源内とかが生まれた頃の曲に
                    全く時代の違う我々が感激できちゃうというのもスゴイ。

                    楽友協会でのマタイ受難曲は
                    4月9日火曜日にヴィーナー・アカデミーとハーゼルベックで演奏される。
                    (17時45分からの曲目解説は私が尊敬する教授が担当する・・・)
                    けれど、この日は実は他の予定が入っていて・・・(汗)

                    季節モノなので、1回聴いたら来年までナシという位が
                    ちょうど良いと思う(言い訳)

                    何だか自分でも思いがけない程感激して
                    涙と鼻水が途中で出て来て
                    バッグからティッシュ・ペーパーを取り出すタイミングに
                    えらく苦労した私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    コンツェルトハウスって
                    超貧民席だと、このクラスのパーフォーマンスが
                    20ユーロ以下で聴けちゃうというのもありがたい。
                    (天井桟敷は音響抜群で、席を選べば舞台もある程度は見える)

                    ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 + ゲルギエフ

                    0
                      Musikverein Großer Saal 2019年3月31日 19時30分〜21時40分

                      Münchner Philharmoniker
                      指揮 Valery Gergiev

                      Wolfgang Rihm (*1952)
                       „Transitus III“ für Orchester (Österreichische Erstaufführung)
                      Anton Bruckner (1824-1896)
                       Symphonie Nr. 4 Es-Dur, „Romantische“ Fassung 1877-1880

                      夜はミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団とゲルギエフの
                      2回目のコンサート。

                      昨日のコンサートは売り切れだったのに
                      今日のコンサート、何故にこんなに空席が????

                      クラヲタのウィーンっ子にしてみたら
                      現代音楽のリームは聴きたくないし
                      (だいたい年配は一部を除いて現代音楽はキライである)
                      おらが国のブルックナーを
                      近いとはいえ、バイエルンのオーケストラが
                      ロシアの指揮者と演奏するなんて・・・・・って言う事かしら(憶測)

                      さてヴォルフガング・リームの新曲は
                      ミュンヘン・フィルの委嘱作品で
                      ついこの間3月22日にミュンヘンのガイスタイクのホールで
                      同じメンバーで初演されたばかりの出来立てホヤホヤの曲。

                      プログラムには
                      いつもプログラムを(小難しく書く)クローネス氏が
                      張り切って7ページにわたって曲目解説を書いている。

                      舞台見えないからわからないけれど
                      解説によれば、木管とトランペット、トロンボーンにパーカッションは
                      通常のオーケストラの3倍の人数で
                      ホルンは4本、バスチューバ、ハープ
                      弦楽器の奏者の数も多くなっているらしい。
                      (舞台見えないから、本当のところは不明)

                      その後に作品解説が3ページ
                      まるでトーンザッツの授業のような
                      専門用語をずらずら並べて続くんだけど
                      読んでもわからない(自爆)

                      ともかくこの耳で聴くしかない。

                      大規模オーケストラとは思えない
                      比較的薄い音響構築で
                      出だしだけ聴くと
                      なんかちょっとブーレーズの初期作品みたい。

                      でも、音楽がどんどん発展して行く。
                      発展して行くのだが
                      音響そのもののスリム感はそのまま保持されていて
                      しつこさがない。

                      2度、トリトノスの4度、7度などの不協和音の中に
                      ちゃんと協和音も入って来て
                      複雑な和声の構成なのに
                      ちゃんと「音楽」に聴こえてくる。

                      しかもダイナミックやテンポの変化が絶妙で
                      現代音楽にありがちな
                      冷たいまでの素っ気なさというのがなくて
                      微妙に感情の琴線に触れてくるのだ。

                      つたない言葉で無理やり表現しようとすれば
                      「有機的」というのがピッタリ来る。
                      音楽が生きて蠢めいている感じがする。

                      リーム面白いじゃん!
                      いや、以前からリーム時々聴いていたけれど
                      やっぱりすごい作曲家だと思う。
                      30分弱の1楽章構成の曲だけど
                      聴き惚れている間にあっと言う間に時間が経った印象。

                      後半はブルックナーの4番。
                      ブルックナーの交響曲の中では
                      最も演奏頻度が高い。

                      最初のソロのホルンが
                      ものすご〜いピアニッシモで出て来て
                      あまりのピアニッシモに音が擦れて
                      (裏返った訳ではない)
                      ちょっとギョッとして

                      こんな感じなら
                      おらが村のブルックナー先生は
                      やっぱりオーストリアのオーケストラの方が良いじゃないの
                      ・・・とか不遜な事を考えつつ聴いていたら

                      指揮者もオーケストラも見えないんだけど
                      第1楽章で、結構、内声がズレるところがあって
                      時々、気持ち悪い・・・

                      ゲルギエフの爪楊枝+指と腕ブルブル指揮からは
                      どうみても
                      出だしはオーケストラ・メンバーの自主性を最大限に尊重します
                      って感じで

                      自主性を尊重されてもオーケストラは困るだけだろうが
                      そこらへん、一流オーケストラは
                      そうか、任せてくれるのか
                      では、各自で勝手にやってしまおう

                      ・・・と思うかどうかはシロウトの私にはわからないが

                      第1楽章の後半からズレは全くなくなって
                      最後のフォルティッシモのホルンのソロなんか
                      も〜、聴き惚れちゃったわ。

                      曲が進むにつれ
                      ブルックナーの場合は
                      演奏している方も、聴いている方も
                      だんだん、神がかってくるのだが(笑)

                      ゲルギエフ、ロシア的なウエットさも充分に残しつつ
                      持ち前のドラマツルギーでブルックナーを構築して来るので
                      まるで絵巻物を見ているような気分になってくる。

                      バイエルン王家とハプスブルクは親戚だから
                      (関係ないか・・・)
                      文化的にも近いのもあるかもしれないけれど
                      如何にもドイツのオーケストラ
                      でも、オーストリアに近いバイエルンなので
                      北ドイツのような四角四面のマジメさが先に立つ事もなく
                      ちょっと緩い感じのところが
                      ブルックナーのオーケストラの和声にピッタリあって

                      ブルックナーの4番って
                      やっぱり、やっぱり、やっぱり
                      ワーグナーだわ・・・じゃなかった
                      劇的で神々しくて、でもドラマチック。

                      ゲルギエフって、どういう指揮者なんだか
                      今ひとつ掴めないところもあるんだけど
                      ともかく音楽をオーケストラで語らせたら
                      自然に嫌味なくドラマチックにしちゃう人なのね。

                      ジモッティが少なかったので
                      楽章間拍手とかあるかと思っていたら
                      第1楽章の後に1人だけ1回叩いた人がいただけで
                      その後は、客席も比較的静かに
                      (咳は時々入ったし、私の超貧民席エリアでは
                       演奏中に席から立って前に行ったり、席に戻ったりの人はいたけれど)
                      全員が集中して、クライマックスまで一気という感じ。

                      終わった後の拍手も
                      ちゃんと指揮者が力を抜くまでみんな待っていた。
                      というより、聴衆全員が
                      天国に飛んでいたかもしれない(笑)

                      少なくとも、私は天国に飛びました。
                      この世ならぬ美しい楽園で
                      筋肉隆々の天使と戯れていたような気がする。
                      (どういう妄想?!)

                      いや〜、ぐったり疲れていたけれど
                      このコンサート、来て良かった ♡

                      週末、宿題もせず
                      遊びまくった私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                      今日は天気が良くて太陽燦々で暑いくらいで
                      日中の気持ちの良さと行ったら、これも天国でした (^^)v

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