トーンキュンストラー + ハンヌ・リントゥ

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    日曜日のアホなトリプル・ヘッダー。
    時系列に読みたい方は、11時の記録は こちら から。
    午後の記事をすっ飛ばして、夜のバレエ記事を読みたい方は こちら からどうぞ。

    Musikverein Großer Saal 2019年12月1日 15時30分〜17時30分

    Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
    指揮 Hannu Lintu
    バリトン Adrian Eröd

    Thomas Lercher (*1963)
     „Alle Tage“ Symphonie für Bariton und Orchester (2010-2015)

    Robert Schumann (1810-1856)
     Symphonie Nr. 4 d-Moll op. 120 (1841/1851/52)

    ウィーン・フィルのコンサートの後
    カフェでランチしてから
    久し振りにトーンキュンストラーの日曜日定期公演へ。

    入り口のところで
    ウィーンの現代音楽の超重鎮教授を見かけて
    あれ?と思ったのだが
    プログラムを見れば
    トーマス・ラルヒャーの作品が演奏されるからか。

    しかし、この教授、もう御歳も御歳なのに
    現代音楽のコンサートになると
    ほとんど何処でも見かけるというのは
    凄い人だな。
    だいたい、大御所になると
    自分と関係のない「仕事場」には行かなくなるものだが。

    プログラム買ったら、別刷りが入っていて
    当初予定のバリトンがキャンセルして
    アドリアン・エレードが歌う・・・・って、えっ?!

    代役バンザイとか言ってはいけないけれど
    久し振りにエレード聴けるんだわ。

    さて、そのラルヒャーの作品だが
    作品としては、非常に伝統的に聴こえる。

    インゲボルク・バッハマンの詩を使っていて
    文学的素養もなければ
    ドイツ語能力も劣るし
    だいたい、文学テキストの理解は
    日本語だって無理、という
    文学音痴の私に、内容がわかるはずがない(ごめんなさい)

    ただ、オーケストラは大編成で(舞台から溢れている)
    オーケストレーションも非常に厚く
    ついでだが、音量も半端じゃない上に
    その音量の強いところが
    ちょうど高い音域になっていて
    (ピッコロあたり)
    ・・・これは、かなり耳に痛い。

    音量が多くても、低音ならそれ程気にならないが
    高音域で、ずっとあの音量で演奏されていると
    ちょっと辛いな。

    代役ですぐに歌えるエレードも凄い。
    この人、絶対音感があるに違いない。
    美声でドイツ語もはっきり、くっきりなのだが

    歌そのものが非常に単調で
    何だか言ってみればフーゴ・ヴォルフのリートみたい。
    (ヴォルフのリートは歌声だけ見れば
     メロディ的なものは非常に少ない)
    言葉で聞かせるタイプの音楽だと思うんだけど
    オーケストラがピアニッシモになるところでの
    歌というより朗読は美しく聴こえてくるが
    高音でヒステリックに(すみません)喚くオーケストラが被さると
    歌ってはいるようだが
    何も聴こえて来ない。

    う〜ん
    こういう高尚な作品を鑑賞するには
    やはりインゲボルク・バッハマンの詩を読んで
    ・・・って、テキスト見てたけど

    大きな熊が星の瞳で、人間に追いやられて
    人間不信になって
    モミの木が最初で最後で
    天国から落ちてくるとか来ないとか

    何が起こるか、お前は自分の時間を知っている
    私の鳥よ、そのベールを取って霧の中を私のところに来ておくれ

    ・・・とか言われても
    戸惑うばかり(文学的素養及び才能が完璧に欠如している)

    やっぱり心理学、文献学、法律学を勉強して
    ハイデッガーで哲学の博士号を取った人とは
    もともとの頭の作りが違うのである(断定)

    自分の無能さをここで嘆いていても意味がないので
    これにて終了。

    後半はシューマンの交響曲4番。
    私はこれが聴きたくてチケットを買ったのである(たぶん)

    いや〜、名曲だわ。
    リントゥがまた、情熱的に、でも抑えるところは抑えて
    ロマンティックでありながら
    過剰なロマンを削ぎ取った演奏をする。
    オーケストラも張り切って演奏している(ように見える)

    実はこのコンサート、もう1回行く予定で
    チケットも押さえてあるのだが
    前半を聴きに行くか
    それとも、図書館閉じこもりで後半だけ行くか
    あるいはサボるか

    発表準備でアタアタしているのに
    情け容赦もなくラテン語の授業も進んでいくという
    ちょっともう
    本当はコンサートなんかで遊んでいる時間はない筈、という状況に

    焦りながらも
    ついついナマの音楽に飢えて
    せっせと通ってしまうアホなワタシに
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    トーンキュンストラー管弦楽団 + グスターボ・ヒメノ

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      Schloss Grafenegg Auditorium 2019年9月6日 19時〜21時

      Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
      ホルン Stefan Dohr
      指揮 Gustavo Gimeno

      Giuseppe Verdi (1813-1901)
       Ballettmusik sus der Oper «Macbeth» (1865)

      Richard Strauss (1864-1949)
       Konzert für Horn und Orchester Nr. 1 Es-Dur op. 11 (1882/83)

      Béla Bartók (1881-1945)
       «Der wunderbare Mandarin» Pantomime in einem Akt op. 19 (1917-24)
        (Konzertfassung von 1927)

      Richard Strauss
       «Till Eilenspiegels lustige Streiche» Tondichtung op. 28 (1894/95)

      天気は雨にはならず、多少は持ちそうだったので
      一応、冬のコートやら座布団やらをバッグに詰め込んで行ったけれど
      やはり、コンサートは屋内のホールになった。

      よしよし、しめた。
      こういうケースを想定して
      雨の時に屋内に席のある一番安いカテゴリーの席を抑えているのだ。
      (天気が良ければ端的に言っちゃえば芝生席10ユーロで充分である)

      昨日、ロイヤル・コンセルトヘボウを聴いた後での
      地元のオーケストラは聴き劣りがするんじゃないかと
      失礼な事を考えていたのだが

      おおお、オラが村のオーケストラも
      なかなかやるじゃないの(笑)

      もちろんオーケストラによる音色の違いはあるし
      飛び抜けたむちゃくちゃ名人が
      目立ちまくる超絶ソロを演奏した、とか言うのはないが
      (すみません)
      ヒメノの指揮が、かなり締まった筋肉質な感じで
      しかも、オーケストラの音量が充分に出ていて
      ここ数年、このオーケストラが
      それなりに自信をつけて来ているのがよくわかる。

      ヴェルディのマクベスに
      こんなダンス音楽あったのか。
      ヴェルディ避けまくっているから知らなかった。
      (イタリアのヴェリズモ・オペラは非常に苦手・・・)
      割にご機嫌な華やかな曲での幕開けは、ちょっとワクワクする。

      リヒャルト・シュトラウスのホルン協奏曲は
      まぁ、作曲家が10代の時の作品なので
      とても伝統的な感じがする。
      有名曲だから、時々演奏されるけれど
      私は聴き込んだ事はない。

      だが、ホルンのシュテファン・ドールが
      アンコールにオリヴィエ・メシアンの曲を演奏したのが
      この曲に唖然・・・

      ともかくホルンという楽器の出せるすべての音を使いました
      という感じの曲で
      モチーフのアンサーが、とんでもない弱音で
      木霊のように演奏されたり
      なんかもう、他の世界に飛んで行きそうで
      周囲の年配の方々が
      「なんじゃこれ?」とか小声で喋っているのも気にならない。

      このホルンのソロを聴いただけでも
      今日のコンサートに来た価値はあるというものだ。

      後半はバルトークの「中国の不思議な役人」と
      リヒャルト・シュトラウスの
      「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」という
      物語の音楽を2曲続けて演奏。

      中国の不思議な役人って
      いや、別に良いんだけど
      今日のコンサート、子供連れも結構居たのだが
      ああいうストーリー、子供向けじゃないだろ・・・

      とは言え、このストーリー知って聴いている人が
      何人いるのかはわからないが。

      ヒメノの筋肉質な感じの硬質な音楽作りは
      こういうメカニックに響く音楽ととても合っている。
      不気味さは充分に出ているし
      まぁ、エロチックなところはちょっと隠されていたけれど
      (全体的に非常に男性的な音楽作りでダイナミックさが目立つ)
      緊張感のある、すごくマッチョな演奏で
      聴衆にもすごくウケていた。

      ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずらは
      日本的な感覚から言えば
      どこをどう取ったら
      そういう「いたずら」が愉快と思えるのだ?という
      私には、ティル・オイレンシュピーゲルの不快ないたずら、としか思えない。

      で、これも不愉快ないたずらが続いた後に
      殺されちゃうわけで
      ティルが、絞め殺されてキューッと言うシーンまで
      かなりリアルに演奏されるんですけどね・・・

      まぁ、我々、草食民族の日本人と違って
      肉食民族のヨーロッパのおとぎ話や子供用の話って
      とんでもないものが多いから(偏見)
      (学生時代、ドイツ語専攻だった私が
       え〜っ、ドイツの子供って、こんなものを読まされるのか
       とひっくり返ったのが、マックスとモーリッツだったのだが
       同じような印象を持った学生は多いと思う)

      パートのクリアさや
      演奏の正確さは比べても仕方ないし
      えっ、ありゃりゃ、という箇所もなかったわけではないが
      全体的にとても雄弁な語りを見事に聴かせてくれたし
      読者ご存知の通り
      この曲、始めと最後に
      おとぎ話だよ、というシグナルがあるので
      その意味で、あまり直裁的に残酷に響かないのが救い。

      意外に地元のオーケストラもやるじゃん、と
      ちょっと良い気分になったコンサートで
      気持ち良く往復140キロのドライブも楽しんだ私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


      トーンキュンストラー管弦楽団 + ペーター・ルチツカ

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        Schloss Grafenegg Wolkenturm 2019年8月31日 19時15分〜21時25分

        Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
        ソプラノ Genia Kühmeier
        指揮 Peter Ruzicka

        Peter Ruzicka (*1948)
         «Furioso» für Orchester (2019)
          Uraufführung. Auftragswerk des Grafenegg Festivals

        Richard Strauss (1864-1949)
         «Vier letzte Lieder» für Sopran und Orchester AV 150 (1948)

        Johannes Brahms (1833-1897)
         Symphonie Nr. 4 e-Moll op. 98 (1884/85)

        夏の最後が近づいて来ていて
        最後の暑さで(来週週末はかなり涼しくなるらしい)
        日中は32℃。

        ただ、湿気が50%を切っているので
        あまりじっとりした感じはなくて
        多少早めに到着したグラーフェネックのお庭で
        樹の影のデッキ・チェアを確保して
        コンサート前にウトウトするのは最高の贅沢。

        さて、え〜っと、あの、その、う〜ん。
        音楽評論じゃなくて、批評でもなくて
        私の自分用のメモなので
        しかも私、音感も音楽性も耳も知識もないので
        とんでもない印象なのかもしれないから(前置き・言い訳)

        2日続きでバーミンガム市民交響楽団を聴いちゃったからなぁ・・・
        (あ〜、言いたい事は察して下さい)

        さて、今年のコンポーザー・イン・レジデンスの
        ペーター・ルチツカは
        指揮者とか音楽監督とかの活動は知らないが
        (かなりオーケストラを指揮していらしたようだが
         私は今まで指揮者としてのルチツカは舞台で見た事がない)
        作曲家としてなら、CDまで持っているくらいなので
        まぁ、私好みの作品を作曲する人ではある。

        だから、最初の初演曲が、ものすごく楽しみだった。
        弦の極限まで早いパッセージで始まり
        パーカッションがかなり強調されている。

        予想通りとは言え
        周囲の小声のお喋りが・・・(涙)

        気に入らなくても、何だコレ、と思っても全然構いませんが
        その感情を、演奏中に周囲の友人やら家族やらと
        口頭のコミュニケーションで共有するのはお願いだから止めて(涙)

        この曲だが
        ティーレマンがルチツカと現代音楽について語った際に
        現代に、何故、コンサート序曲がないか、という話になったのが
        契機だったと言う。

        コンサート序曲!!!!!

        先学期、メンデルスゾーンのコンサート序曲のプロゼミで
        序曲の分類やら、コンサート序曲の構成やらと
        じっくり向き合った私には、得意の分野ではないか。
        (かなり思い違いがあるが、そこらへんはまぁ・・・(笑))

        この「コンサート序曲」、演奏時間は15分ほどで
        最初の極限の早いパッセージ(弦楽奏者イジメ?)の部分の後
        リズムが変わって、調が変化した中間部に入り
        最後に、最初の部分の音型の変化型が中心になる。

        FMB(フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ)の
        コンサート序曲は
        ほとんどの場合はソナタ形式で作曲されているので
        (美しきメルジーネが純粋なソナタ形式ではない、というのは
         私の同僚が論文で書いた)
        私も、中間部の後の、変形モチーフが出て来た時に
        あ、ここが展開部かな?と注意して聴いていたのだが
        展開部にならずに終わってしまったので
        いわゆる3部のリート方式を使っているようだ。

        個人の感想用メモなので
        ヘンな事をごちゃごちゃ言ってますが
        すっ飛ばして無視して下さい。
        慢性中二病なので、ついついこういう事を書きたいのだ(恥)

        こういう曲、好きだわワタシ。
        スコアみたら面白いかも・・・

        今日のトーンキュンストラー・オーケストラ
        舞台に出て来た時に、えっ?という既視感があって
        あれ、もしかしたらオーケストラ間違えたかも?という気分になったのは

        今日のコンサート・マスター、借り物じゃないの!

        それも何故に、ブレゲンツの音楽祭での出稼ぎから戻った
        あのオーケストラのコンサート・マスターを借りてくるわけ?
        (別に個人的恨みとかはございませんが・・・
         あのオーケストラの第一バイ(以下省略))

        さては、リヒャルト・シュトラウスの曲中のバイオリン・ソロを
        オーケストラ・メンバー、誰も弾きたくなかったのか?(邪推)

        ゲニア・キューマイヤーのソプラノで
        最後の4つの歌。
        グラーフェネックの広大な庭園の
        夕暮れの雰囲気には、とても合っている。

        ルチツカの最初のコンサート序曲が
        ほとんど暴力的なエネルギーの爆発だった後

        歳取ったリヒャルト・シュトラウスが
        過去に戻って諦観に至って
        世間から離れて紡ぎ出した
        徹底的に時代に逆らった美しい曲が
        自然の空気に溶けていくのを感じる快感。

        野外音楽堂で音が散ってしまうとは言え
        こういう曲が大自然の空気の中に散っていく、というのは
        かなりオツなものだ。

        幕間の後はブラームスの交響曲4番で
        これも、そろそろ夏の終わり、という時期には合ってる(かも)
        演奏については、何も言わない(察して下さい)

        そりゃ、プロのオーケストラだから
        そこそこの演奏はちゃんとするし
        ブラームスの交響曲シリーズは
        以前のオロスコ=エストラーダの時にも録音したし
        その後の佐渡マエストロの時にも演奏して録音しているので
        オーケストラとしてはお手のものなのだろうが
        あ、これ以上書くと、気分を害する人もいそうなので
        止めておく。

        音楽性ゼロ、感受性ゼロのクラオタは
        こういう曲は頭に入っているので
        頭のチャンネル合わせれば
        少なくとも曲の輪郭くらいは出て来てしまうので

        ライブで聴くとなると
        頭の中よりも、ちょっと違うものを要求したくなっちゃうのだ。
        自分ながら嫌らしい性格である。

        ルチツカのオーケストラの立たせ方も何だかなぁ。
        あのプレイヤーだけを立たせるか?と
        私は驚いたもん。
        (だって、ソロが巧かったかと言うと
         いや、一応、ちゃんと演奏したが
         フレーズの解釈の点で私とは相容れないところが)
        しかも、カーテン・コール2回目で
        またもや同じプレイヤーを立たせて
        プレイヤーが戸惑ってるじゃないの。

        何かオーケストラ内部で政治的絡みでもあるのか、と
        (あいつはうまく立ててやらないといかん・・・とか)
        ついつい邪推してしまった(根性悪です、すみません)

        隣の年配カップルも、かなりのクラオタらしいが
        ちょっとしたミスのところで
        「ほら、ミスった」とか
        演奏中に、コソコソと小声で呟くのは止めて欲しかったわ。
        まぁ、それがクラオタの醍醐味なのかもしれないが(笑)

        太陽が落ちると少し気温も下がり
        夏の夕暮れの中で
        (コオロギの鳴き声はもう私の耳は慣れてしまい
         完璧に無視できるようになった (^^)v)
        リヒャルト・シュトラウスの最後の4つの歌と
        ブラームスの交響曲4番というプログラムの選択は
        雰囲気には、バッチリと合っていた。

        明日もまだ晴れて暑くなりそう。
        例年の国立オペラ座オープン・ハウスで
        バレエのレッスン見てからグラーフェネックに向かう予定の
        懲りない私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。


        トーンキュンストラー + ドミトリー・リス

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          Schloss Grafenegg Wolkenturm 2019年8月22日 19時30分〜21時30分

          Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
          バイオリン Baiba Skride
          指揮 Dmitry Liss

          Olga Viktorova (*1960)
           „Qinglong - Azure Dragon“ für Symphonieorchester (2012)

          Ludwig van Beethoven (1770-1827)
           Konzert für Viline und Orchester D-Dur op. 61 (1806)

          Dmitri Schostakowitsch (1906-1975)
           Symphonie Nr. 6 h-Moll op. 54 (1939)

          グラーフェネック夏の音楽祭
          これからせっせと木・金・土・日と通う予定で
          みんなから、グラーフェネックの近くに宿泊するの?と聞かれるが
          いえいえ、毎日ウィーンからドライブします。
          (環境には悪いのは承知なんですが・・・(・・;)

          お久し振りのトーンキュンストラー。
          指揮はロシア人のドミトリー・リス。
          ウラル交響楽団とかロシア・ナショナル管弦楽団とかで指揮しているらしい。
          1960年生まれなので、中堅指揮者と言う感じか。

          18時30分に到着して庭でデッキ・チェアに寝転んでいたら
          リハーサルしていて、ベートーベンとかショスタコーヴィッチが聞こえて来た。
          19時少し過ぎまでリハーサルして、19時30分からコンサート。

          最初の曲がウクライナ生まれの作曲家オルガ・ヴィクトローヴァの作品。
          この作曲家も指揮者と同じ歳。
          曲のテーマが、中国の青龍で
          プログラムの記載によれば、中国では
          東に青龍、北に黒亀、西が白虎で南が赤鳥なのだそうで
          青龍は7つの住処を持ち
          ツノ・背中・根っこ・家・心臓・尻尾・千歯扱
          ・・・と書いてあるのだが、よくわからん。

          でも、この曲、面白い。
          比較的わかりやすい一定のリズムで
          割にわかりやすいモチーフが演奏されて
          7つの部分に分かれているようなのだが
          曲想の変化が、やっぱりわかりやすい。

          ただ、一応これ、現代音楽なので
          あまりわかりやすい調性はなくて
          演奏始まったとたんに、あちこちから聞こえる小声でのお喋り(笑)
          途中で飽きてスマホ出してラインをチェックしたり
          自撮りしたりしている母と娘らしき二人連れが前にいたし
          まぁ、ベートーベン目当てとか
          今日はクラシックのコンサートよ、うっふん、という人には
          がっかりだったかもしれないのだが

          この曲、ゲーム音楽として聞いてみたら
          もっと面白く鑑賞できるのに(笑)
          ・・・と言ってしまったら、作曲家には非常に失礼に当たるだろうが
          ちょっと映画音楽っぽいし、ゲーム音楽としても使えそうで
          それだけ、視覚に訴える面白さがある。

          オーケストレーションもかなり厚みがあるし
          表情は豊かだし、テンポが速くてノリノリだし
          リズムもはっきり聴こえるので、退屈しないのである。

          作曲家も来ていて舞台に上がっていた。
          ウクライナの作曲家が中国のテーマというのも面白いが
          中国の音楽に特有のペンタトニックはほとんど使っていなくて
          (ほんの一部だけ出て来たが)
          プログラムによればトリトノスも使っていて
          アルカイックな雰囲気とか書かれていたが
          そこまで神秘的な感じは受けなかったなぁ。
          まぁ、好みの問題だが。

          バイオリニストのバイバ・スクリーデは
          よくオーストリアで演奏するので
          調べてみたら2010年10月が最初で
          (2008年以前は記事が消えたので、その前はわからない)
          今まで全部で7回聴いている。

          ワタクシ的には、あまり好きなバイオリニストではなくて
          泣き女というか、泣き節というか、そういうイメージが強かったけれど
          今回のベートーベンは
          比較的ベートーベンらしい(私見ですっ!)感じに聴こえて来た。

          ヘンなタメとか音の伸び縮みとかがなくなって
          無用なものを落としたシンプルな形になって来た、という印象。
          気負いがなくなった感じがする。
          以前に強く感じた「見ろ見ろ聴け聴け」感が落ちて
          音楽に素直な演奏になって来ているみたい。

          しかしこの曲の2楽章の
          オーケストラの弦楽器の音色の美しさには唸った。
          さすがオーストリアのオーケストラで
          ベートーベンは熟知している、という感じ。

          グラーフェネック名物の第一楽章終わっての拍手はあったけれど
          もう最近、こういうのは仕方ないと思っているので(笑)
          それはそれで良しとしよう。

          ショスタコーヴィッチの交響曲6番。
          これ、第1楽章が長くて陰鬱なのだが
          ロシアの指揮者なのに
          あまりねっとりするところがなくて
          比較的あっさりと、解像度の高い演奏になっている。

          ただ、さすがに、あのピアニッシモの中間部は
          大自然の中で、既に太陽は落ちて暗くなっている中で
          ああいう演奏を聴くと
          ちょっと、ゾッとするような闇に落ちる気分。
          ホルンのソロまでの数分間が
          まるでお化け屋敷のような感じで
          結構スリル満点だった。

          まぁ、正直言って
          ウィーンからガソリン代使って
          比較的高い(悪天候の時にはホールに席がある)チケットを買って
          わざわざ行くだけの価値があったかどうか、と聞かれると
          かなり微妙ではあるのだが。
          (ショスタコーヴィッチ、やっぱり木管が(以下省略))

          まぁでも、(多分)少ないリハーサル時間で
          あそこまで仕上げてくれれば
          やっぱりプロのオーケストラではある。

          という微妙な感想でお茶を濁す私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。


          トーンキュンストラー + ウルバンスキ

          0
            Musikverein Grosser Saal 2018年12月16日 15時30分〜17時40分

            Tonkuenstler-Orchester Niederoesterreich
            指揮 Krzystof Urbanski
            バイオリン Augustin Hadelich

            Michail Glinka (1804-1857)
             Ouvertuere zur Oper "Ruslan und Ludmilla" (1842)
            Jean Sibelius (1865-1957)
             Konzert fuer Violine und Orchester d-Moll op. 47
            Igor Strawinski (1882-1971)
             Suite aus dem Ballett "Der Feuervogel" (Fassung 1945)

            11時からのウィーン・フィル+リッカルド・ムーティは
            基本的には木曜日のコンサートから比べると
            かなりまとまって来た、というより
            こちらが耳慣れしたのか
            ゴツゴツした部分がなくなって
            美しさが際立って来た・・・ものの

            やっぱりティンパニ強すぎで、フィナーレのところのメロディが消えるし
            全体的にテンポが遅くて、第2楽章の失速に近いところもあって
            でもまぁ、美しい演奏であった事は間違いない。

            ちょっと贅沢してランチを外食で取ってから
            (しかもマックのハッピー・ミールではない!←普通はこれしか食べられない(笑))
            午後のトーンキュンストラー管弦楽団のコンサートへ。

            今回の指揮はクシシュトフ・ウルバンスキ。
            いや実は同じコンサート、昨日の夜もあって
            行こうかどうしようか散々迷ったのだが・・・
            まぁ、それはともかく(わははは、もう体力も気力も財力もない)

            グリンカのルスランとリュドミラ序曲から
            まぁ、元気一杯。
            もちろん暗譜で、動きにキレがあって指揮姿が美しい。

            うわああ、ウルバンスキって、こんなにイケメンでカッコよかったっけ?

            イケメンについては好みの問題だが
            スタイルの良さが抜群で
            メンズの男性モデルにしても問題ないんじゃないか(強く希望!)
            手足が長い上に
            ともかく腰から下の足が美しい。
            (あ〜、何を見てる?というクレームもあろうが
             私、もともとバレエ・ダンサー好きだし(関係ない))

            さて、シベリウスのバイオリン協奏曲に登場したのは
            アウグスティン・ハーデリッヒという若いバイオリニスト。
            顔色真っ白だし
            真っ白という事は、この人、子供の頃から
            一心不乱にバイオリンばっかり弾いていたタイプなんだろうか。
            最初のソロの音が、かなり神経質っぽく響いたのだが
            そこから出てくる、神経質な音、と言うより、比較的細い音が
            時々、キラッと光ってビックリする。

            テクニックは超絶でスゴイし
            オーケストラの演奏時も、身体を動かしたりして
            音楽に集中しているのは見えるけれど
            何だか不安定な印象があって(技術的にじゃなくて)
            崖っぷちで演奏しているようなドキドキ感がある。
            (悪い意味ではありません)

            ウルバンスキが指揮台の上で
            これはもう、安定性抜群で自信たっぷりに
            美しい踊りを披露している横で
            おどおどするような印象を与えるバイオリニストが
            超絶技巧で、ちょっと面白い不安定さで演奏すると
            まぁ、このコンビネーション、むちゃくちゃ面白いわ。

            このバイオリニストの個性って面白い。
            「聴け、聴け、俺さまの演奏を聴け」というタイプが多いなか
            この人、自分の中に深く入り込んでしまって
            端的に言っちゃえば
            演奏中は聴衆とか、たぶん、どうでも良いタイプかも。

            何一つひけらかそうとしない。
            まだ確立した安定性のある個性はないものの
            それだけに不安定さがスリリングな魅力を生み出していて
            これ、若手である強みだわ。
            ベテランで個性が確立してしまうと
            この面白さは出て来ない。

            アンコールにパガニーニのカプリースの超絶技巧を
            見事に完璧に弾きこなして
            呆気に取られた。
            すごい技巧の持ち主なのね。
            (シベリウスでは、あまりに技巧のひけらかしがなくて
             割にあっさり弾いていたので・・・)

            後半の「火の鳥」組曲。
            音楽を聴く・・・というより
            実はウルバンスキの腰から下ばっかり見てた(すみません)

            腰の括れから下の足の動きが
            本人は意識していないと思うんだけど
            ともかく美しいのである。

            ちゃんとタクトに合わせて
            45度に開いたり(このポジションの美しさ!)
            つま先でルルべしたり(すみません、それ以外の表現が浮かばない)
            上半身のタクトの動きも繊細で美しく
            キューも的確だし、左手の表現力が半端じゃないのだが
            それよりも足の動きが・・・あまりに美しすぎる。
            (すみません、オタク視点で・・・)

            民族音楽学実習でラバーン・ノテーションをトライしているのだが
            ついつい、この動きをラバーンで書いたら
            どうトランスクリプションするか、とか考えている私は
            やっぱり、どこかオカシイんですが
            (そんな事よりラバーンやるなら宿題をやれ!)

            火の鳥の色彩感や表現はエネルギッシュに表現されていたし
            グリンカみたいな力任せのフォルテではなく
            実に考え抜かれた音響を出していて

            だからね、トーンキュンストラーって良いオーケストラなんですよ。
            だって、オーケストラの実力そのものなんて
            一部の超のつくトップを除いては
            どこのオーケストラも、そんなに変わりはない(と思う)
            グローバル化でどんどん国際的になって来ているし
            オーケストラ・ポジションなんて
            空いている時のオーディションのタイミングもある。

            オーケストラ・ビルダーとしての首席指揮者の手腕もある。
            オロスコ=エストラーダの時代に
            技術力の底上げは充分にされていて
            昔とは比較にならない力を持っているオーケストラだから

            ウルバンスキの音楽に合わせて
            自由自在に表現していく。
            木管・金管(ホルン最高!)のソロも完璧だったし
            弦の色合いも、よく変化して
            火の鳥の持っている空気の重さから極限の軽さまで
            実に巧みに表現していた。

            まぁ、ワタクシはウルバンスキの足元に視線釘付けだったんだけど(^^ゞ

            今日は久し振りのトリプル・ヘッダーなので
            今、カフェ(クリスマス時期なので満杯だ・・・)に陣取って
            ウインドウス機で書いているが
            (私の愛用のマックブックはまだ修理中・・・(涙))
            これから、コンツェルトハウスで
            フランス放送交響楽団を聴いてくる
            懲りない私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            マックでコーヒー飲むなら
            BGM のないコーヒーハウスに入ろうと思ったら
            今日のカフェはライブ・ピアノが入ってる・・・
            いや、静かだったらノイズ・キャンセラーかけて
            いくつか課題の曲を聴こうと思っていたんだけど
            ホワイト・クリスマスとか演奏されていたら聴けないじゃん。
            (うわあああ、去年のポップ音楽入門講義を思い出してしまった・・・)

            トーンキュンストラー + アイヴァー・ボルトン

            0
              Musikverein Großer Saal 2018年11月18日 15時30分〜17時25分

              Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
              指揮 Ivor Bolton
              メゾソプラノ Eva Vogel

              Ludwig van Beethoven (1770-1827)
               Ouvertüre zum Ballett „Die Geschöpfe des Prometheus“ op. 43 (1801)

              Hector Berlioz (1803-1869)
               „Les nuits d’été“ Liederzyklus für Singstimme und Orchester op. 7 (1834/41)

              Ludwig van Beethoven
               Symphonie Nr. 7 A-Dur op. 92 (1811-12)

              キャッチフレーズはベートーベンの交響曲7番だけど
              驚いた事にベルリオーズのチクルス「夏の夜」!!!

              これ、ついこの間、ウィーン交響楽団と
              ハンプソンがコンサート70分前のキャンセルで
              アドリアン・エレードが歌った曲じゃないの・・・

              今シーズンはベルリオーズの「イタリアのハロルド」も聴く予定に入っているし
              来年はファウストの劫罰も聴ける(バンザイ)
              なんかベルリオーズって、今シーズン、流行なのか、と呟いたとたん
              「来年はベルリオーズの没後150年です」==> サイトは ここ
              と何人かの方からご指摘いただきました。
              いや〜、SNS って凄い。勉強になる。ありがたい。

              本当に没後150年を念頭に置いているかと言うと
              あまり、そうは思えないんだけど
              レリオは聴けるし、夏の夜は聴けるし、イタリアのハロルドも聴けるし
              ぶっ飛びベルリオーズの作品が聴けるのは嬉しい。

              指揮者のアイヴァー・ボルトンは
              ザルツブルクのモーツァルテウム管弦楽団の首席で
              ワタクシ的な印象は「バロックの大家」
              (もちろんバロックだけじゃないと思うけど)
              あまりウィーンの舞台で見る事はないけれど
              有名な指揮者である事はみんな知っている(と思う)

              ベートーベンのプロメテウスの創造物。
              うはは、元気な曲だが
              ・・・これで、本当にバレエ踊れると
              ベートーベンは思っていたんだろうか。
              というより、この曲、振付したバレエってあったっけ?
              交響曲9番は様々なバレエ団が振付してるけど・・・

              さて、ベルリオーズの「夏の夜」
              もう夏も過ぎて、ウィーンも急激に寒くなった時期なのだが
              この曲、夏の夜とか銘打っていながら
              あんまり夏の夜と関係ない(笑)

              メゾソプラノのエヴァ・フォーゲルって
              プログラムの記載だと、結構有名な人で
              あちこちでオペラやミサ曲で歌っているらしい。

              うおおおお
              声が重くて暗い。

              私の席が悪過ぎて、声だと前に飛ぶから
              その意味では、本当の実力が聴ける席ではないのだが
              もともとの声が低くて暗い色調なのかなぁ。

              この間のエレードの歌唱が
              えらく印象的だったので
              その記憶で聴いているというのもあるけれど
              フランス語全然わからないし
              (プログラムの歌詞を見ていても
               発音が不明瞭で、どこを歌っているのかわからない)
              最初の曲は少なくとも軽くリズミックな筈なのに
              かなりベッタリしたリリックな感じで歌われて
              メロディは出てくるけれど、リズムのキレがない。

              だから、全曲が同じような印象で聴こえてくる。
              この間は、もっと、各曲の特徴が聴こえて来たイメージなんだけど。
              (悪口ではございません。好みの問題です。)

              さて、後半はキャッチフレーズのベートーベン交響曲7番。
              いつも興味のある時だけ来る
              気難しそうなお爺ちゃんは
              前半で帰っちゃうし(笑)
              いや、そりゃ、今更、ベートーベンの7番なんて
              聴き飽きてますよね、あの年代は。

              でも、実は意外や意外に
              このベートーベンが良かったのだ。
              (まぁ、これも好みの問題ですが)

              ゆっくりしたテンポで
              この時代に珍しいな、と思っていたんだけど
              モダン奏法なのに、音に透明感があって
              各パートの解像度が抜群に良い。

              楽器とメロディの構成が
              手に取るように聴こえてくる(ような気がする)

              あくまでも古典的で端正で
              7番の演奏にありがちな、勢い任せの演奏になっていない。
              節度があって、ベートーベンの古典的構成の美を前面に出してくる。

              確かにアンサンブルとして
              もうちょっと細かい部分のクリアさがあれば
              と思ったところもあるけれど
              でも、このカッチリした古典的なベートーベン
              割に昨今では珍しい演奏かもしれない。

              途中のフーガのところなんか
              正にバロック的で聴き惚れてしまったわ。

              気持ち良く古典派ベートーベンを堪能した後に
              同じホールにまた向かった私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。


              トーンキュンストラー + 佐渡裕 映画と音楽

              0
                Wiener Konzerthaus Großer Saal 2018年10月10日 19時30分〜22時30分

                „West Side Story Film with Live Orchestra“
                Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
                指揮 Yutaka Sado

                バーンスタイン生誕100年という年なので
                バーンスタインの音楽を聴く機会が多いが
                バーンスタインの愛弟子だった佐渡裕の指揮で
                あの名画、ウエスト・サイド・ストーリーを
                ライブ・オーケストラの音楽で鑑賞する、という趣向。

                コンツェルトハウスでは「映画と音楽」というタイトルで
                往年の名画にライブ音楽、というシリーズをしていて
                これがなかなか意欲的なプログラム。

                加えて、ギャラリー(天井桟敷)の超貧民席の方が
                舞台の上の大型スクリーンがよく見える、と言う利点がある

                ・・・が、実は超貧民席が結構高い (^^;;

                ところで、ウエスト・サイド・ストーリーって
                もともとがミュージカルなので
                歌手はどうするんだろう?と思っていたら
                声だけは映画からそのまま使うとの事。

                えええええ????

                ホントに声だけ映画からそのまま使っていて
                それにライブのオーケストラ。

                うわあああああ
                この音声のデジタル処理って、どうやったんだろう。
                (音楽云々より、デジタル処理が気になる・・・)

                ロバート・ワイズ監督1961年制作のウエスト・サイド・ストーリー。
                自宅に DVD もあるし、何回も見たけれど
                久し振りに大スクリーンで見てみると
                やっぱりあの時代の冗長さも結構目立つ。
                今の時代なら、ストーリー運びとか、もっと早いだろうし
                映画そのものも、あの長さの映画って、当時の特色だなぁ。
                (マイフェア・レディとか、王様と私とか、ともかく全体的に今より長い)

                長いくせに、会って恋に堕ちるまでの時間が少ない。
                いや、一目惚れって、そんなモノかもしれないが
                (経験ないからわからん)
                普通は会って付き合って
                人生観とか価値観とかの情報交換をした上で
                お互いの長所・欠点を認め合ってから
                恋するものじゃないか、と思うのだが

                トニーとマリア、パーティで会った途端にキスしてるし
                トニーなんて、キスした後でマリアと言う名前を聞いて
                僕がキスした女性はマリア・・・とか歌ってるし

                慎み深い日本人と違って
                他の文化圏では、男女関係は
                犬とかと同じで、クンクンクンと匂いを嗅いで
                遺伝子的な適合性があったら合体(以下省略)

                ちょっと待て、言いたかったのはそうじゃない(汗)
                舞台一杯に広がった超大規模オーケストラ(エレキ・ギターとかもある)
                序曲は、まだともかくとして
                映画になったら、セリフや歌とどう合わせるんだろう?と思っていたら

                すごい!!!
                ほとんど完璧にシンクロナイズしている!!!!!

                バーンスタインの音楽を知り尽くしたマエストロ佐渡も
                映画に合わせ、画面(シーン)の長さに合わせ
                映画で歌っている歌声にぴったり合わせ、と
                指揮者的な自由な采配は
                音量以外には全くなかったと思うのだが

                さすがにオペラなども振っている指揮者だなぁ。
                しっかり合わせる職人芸がバッチリ活きた。

                音楽に何らかの欠点があると
                映画に集中できない筈なのだが
                最初から最後まで、ズレも何も感じさせず
                下の舞台に大規模オーケストラが鎮座しているのを意識せず
                ずっと映画に集中できた、って、実はスゴイ事なのでは・・・

                オペラ・グラス(実際は望遠鏡(笑))で指揮台を見たら
                小型スクリーンがあって
                映画そのものは背景で、縦線が流れる方式になっていたが
                オーケストラのメンバーにとっては
                指揮者の指示だけが唯一頼れるもの、という
                ちょっと大変な状況だったと推察できるのだが

                その意味では、教育的な事業にも携わっている
                佐渡さんの指示は、明確なんだろうなぁ。

                それにトーンキュンストラーって
                低地オーストリア州のオーケストラなので
                州のプロジェクトとか
                サンクト・ペルテンではバレエ(というかダンス?)音楽や
                以前はベルリンのコーミッシェ・オーパーの
                あの有名なアニメ「魔笛」でも演奏した経験があるし

                ただクラシックのコンサートだけじゃなくて
                かなり幅広いジャンルで
                時々、ヘンな事もさせられているオーケストラ、という意味では
                かなり器用なオーケストラだと思う。

                しかし、こうやってオーケストラ部分だけでもナマで聴いてみると
                バーンスタインの圧倒的な音楽表現に翻弄されるなぁ。
                しかも一辺倒のスタイルではなくて
                バーンスタインが、この作品の中で作曲している曲の
                多様性の凄まじい事と言ったら
                さすがに天才・・・

                この映画で好きなものは音楽だけじゃなくて
                ジェローム・ロビンスが担当している振り付けが
                もう、むちゃくちゃカッコいい ♡

                ジェローム・ロビンスと言えば
                ウィーン国立バレエ団のレパートリーの
                あのコミカルな The Concert があって
                その独創性と、観客を楽しませる力に圧倒されるが
                ウエスト・サイド・ストーリーの振付の見事なこと。

                ダンスと言うよりモダン・バレエ。
                ダンサーたちの動きも素晴らしい。

                この映画、移民問題、文化の相違の問題に
                人種の問題など、現代でもリアルなテーマを取り上げていて
                しかも、ロメオとジュリエットが下敷きにあるから
                人間社会の永遠の問題でもあるのだろうなぁ。
                (一目惚れだけは私には理解できません、悪しからず)

                長い映画である事は知っているから
                途中で休憩ないと辛いなぁ、と思っていたら
                1回休憩入って、それでも19時30分から22時30分。
                最後は、満杯の聴衆のあちこちから
                鼻を噛む音が聞こえた(笑)

                私は何回も映画を見ているし
                ラブ・ストーリーにウルウルする歳ではない。
                (いや、歳に関係ないか。現実主義者、というだけだな)

                でも、やっぱり名画だし
                裏方(音声のデジタル処理に指揮者のスクリーン作成)
                指揮者にオーケストラ、その他を含めて
                いや〜、よくやった・・・と、その意味で
                非常に感激した私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                トーンキュンストラー + キタエンコ

                0
                  Schloss Grafenegg Wolkenturm 2018年9月7日 19時〜21時30分

                  Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
                  ピアノ Yeol Eum Son
                  指揮 Dmitrij Kitajenko

                  Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
                   Konzert für Klavier und Orchester d-Moll KV 466 (1785)
                  Dmitri Schostakowitsch (1906-1975)
                   Symphonie Nr. 7 C-Dur op. 60 „Leningrader“ (1941)

                  グラーフェネックまでドライブして
                  車を降りようとしたら・・・・土砂降りの雨 ☔

                  だったら今日はオーディトリウムのホールでのコンサートだわ、と
                  荷物(コート、座布団などなど)を持たずに車から降りて
                  傘で会場に向かったのだが
                  野外音楽堂からはリハーサルの音が聴こえて来る。

                  あら、お気の毒、これからホールに全楽器移動かしら。

                  でも、いつまでたっても
                  会場はオーディトリウム、という告知がない・・・

                  18時45分に鳴り響く開場のベル。
                  (ベルというより、ベートーベン交響曲3番第3楽章のホルンだが・・・)
                  え???
                  確かに雨はかなり小降りにはなっているけれど
                  今日のコンサート、予定通り、野外音楽堂ですかっ!!! (o_o)

                  私と同じく、急いで車に荷物(コート、座布団等)を取りに
                  パーキングに急ぐ人もちらほら・・・

                  恐れていた通り
                  椅子の上は、まだ濡れているし
                  (仕方ないから、そのまま上に座布団敷きました・・・)
                  椅子の下には、小さな水溜りが出来ていて
                  バッグを置けない状態。

                  もちろん椅子の下にはビニールのレインコートは入っているけれど
                  レインコートの入っている袋がびしょびしょ。

                  この時点では、もう、小降りの雨も止んでいたのだが
                  ビニール・コートを出して着る人たちも多い。

                  最初はモーツァルトのピアノ協奏曲20番。
                  例の有名な短調の協奏曲で、私でも知っている。

                  ピアニストは韓国出身のソン・ヨルム。
                  小柄な身体だが、タッチは強い。
                  かと言って、男性的というわけでもなくて
                  とても良いバランス。

                  ・・・でも知っている曲でも
                  モーツァルトなので、瞬間的に自動的に爆睡しました。
                  ごめんなさい。

                  アンコールにモーツァルトのソナタ K545 の第一楽章(の一部)
                  これも、誰でも知っている曲だが

                  このピアニストのタッチが面白い。
                  スタインウェイのコンサート・グランドが
                  まるでピアノフォルテのように響く。
                  軽いタッチで、音の粒が揃っていて
                  面白い装飾音符の付け方。

                  さて、幕間の後はショスタコーヴィッチのレニングラード。

                  キタエンコはショスタコーヴィッチは得意だから
                  これは期待できる。

                  演奏そのものは非常に情熱的で力強くて
                  緊張感もずっと保たれていて面白かったのだが

                  あ〜、ブルックナーの5番より
                  しつこい曲がここにあった・・・

                  今まで、ショスタコーヴィッチの7番って
                  そんなにしつこいとは思っていなかったんだけど
                  久し振りにナマで聴いてみると
                  いや〜、もう、しつこい、しつこい(笑)

                  この曲、本当に爆発的な力を持つ。
                  キタエンコもオーケストラを最大限に鳴らせて
                  その迫力たるや、圧倒されて言葉がない。

                  わかったぞ、何が何でもこのコンサートを
                  野外音楽堂でやりたかった理由が(笑)
                  あのボリュームで、ホールで聴いたら
                  コンサート後に難聴になっていただろう、きっと。

                  その意味で野外音楽堂でのショスタコーヴィッチは
                  思い切り大きな音で
                  輝く金管のアンサンブルで
                  しつこく、しつこく、しつこく(笑)
                  ピアニッシモから、とんでもないフォルティッシモまで

                  それに最初から最後までの集中感や緊張感が素晴らしい。
                  キタエンコって良い指揮者だと思うし
                  見事に正確な技術で、ばっちり演奏したオーケストラも凄い。

                  全く手抜きしていないし
                  全員が力一杯演奏しているのがよくわかって
                  曲想や、曲に籠められたショスタコーヴィッチの感情が
                  ダイレクトに聴衆に伝わって来る。

                  う〜ん、名演・・・
                  ホールで演奏されるより良かったような気がする。
                  (ホールの貧民席はオーケストラの真上だし(笑))

                  最後まで雨は降らなかったし
                  比較的温暖な気温だったし
                  (オーケストラは温度の高低が激しいと大変だなぁ、と思うけれど)
                  野外音楽堂で、あれだけの力強さを
                  音を分散させる事なく演奏しきった指揮者とオーケストラに脱帽。

                  まぁ、確かに共産主義バンザイのプロパガンダみたいな曲だし
                  しつこさには、時々、げっそりもしたけれど(笑)

                  当時のソビエト連邦の社会状況なんかも
                  ちょっと音楽から窺える気がして
                  楽しかった私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  トーンキュンストラー + 佐渡裕

                  0
                    Schloss Grafenegg Auditorium 2018年8月25日 19時30分〜22時30分

                    Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
                    ソプラノ Patricia Petibon
                    メゾソプラノ Elisabeth Kulman
                    テノール Peter Kirk
                    チェロ Leonard Elschenbroich
                    司会 Christoph Wagner-Trenkwitz
                    指揮 Yutaka Sado

                    Leonard Bernstein (1918-1990)

                    Ouvertüre zur Operette „Candide“ (1956)

                    „On the Waterfront“ Symphonische Suite für Orchester (1955)

                    „Three Meditaions“ aus „Mass“ (1971)

                    Drei Tanzepisoden aus dem Musical „On the Town“ (1944)
                    Nr. 1 „The Great Lover Displays Himself“

                    „I can cook, too“ aus dem Musical „On the Town“

                    „Lucky to be me“ aus dem Musical „On the Town“

                    Drei Tanzepisoden aus dem Musical „On the Town“
                    Nr. 2 „Lonely Town“

                    „Oh happy we“ aus de Operette „Candide“

                    „I am easily assimilated (Old Lady’s Tango)“ aus der Operette „Candide“

                    „Glitter and be gay“ Arie der Cunegonde aus der Operette „Candide“

                    „Waltz“ aus dem Divertimento für Orchester (1980)

                    „Ohio“ aus dem Musical „Wonderful Town“ (1953)

                    Konzert Suite Nr. 1 für Sopran, Tenor und Orchester
                    aus dem Musical „West Side Story“ (1957/1992)
                    „Maria“, „One Hand, one Heart“, „Somewhere“, „Balcony Scene“

                    ハッピー・バースディ レオナード・バーンスタイン

                    ・・・とか言っても、私、個人的にバーンスタイン知らんし
                    私がウィーンに来てからだって
                    バーンスタイン指揮のコンサートってあった筈なんだけど
                    こちらに来てから15年くらいは
                    ともかく仕事・仕事・仕事でコンサートとか全然行ってなかったし(汗)

                    バーンスタインの愛弟子の佐渡裕氏にとっては
                    特別なコンサートなんだろうなぁ、感慨深いだろう。

                    ウエスト・サイド・ストーリーはワタシも好き。
                    バーンスタインの交響曲は、ナマで何回か聴いてはいるし
                    バーンスタインのミサだって
                    センパー・デポでとんでもない演出で観たし聴いた(面白かった)
                    キャンディードはフォルクス・オーパーでコンサート形式で聴いた。

                    ・・・とは言え、そう頻繁に演奏されるワケではない。

                    キャンディード序曲・・・いや、この曲知ってるけど
                    佐渡裕氏の指揮から出てくるオーケストラの音は
                    力一杯の大音量で
                    あ〜、こういう音だったら
                    室内のオーディトリウムじゃなくて
                    野外音楽堂で演奏されたら、絶対にウケたのに。

                    天候悪くてホールで残念と思ったのは初めてかもしれない。

                    クリストフ・ワーグナー=トレンクヴィッツが司会。
                    ともかく、この人、話が面白い(昔からいつも面白い)
                    バーンスタインの話を
                    バーンスタインはニューヨーカーで
                    それはベートーベンとかマーラーがウィーンっ子というのと同じ(爆笑)とか
                    オペラ座のプラーヴィーとのエピソード絡みで聞かせたり
                    プラーヴィー知ってる世代には楽しい話。
                    (観客が、ほとんど私以上のご年配なので・・・)

                    Mass のチェロのソロ弾いた若いチェリスト
                    レオナルト・エルシェンブロイヒのチェロの音が美しい・・・

                    後半、トレンクヴィッツの解説付きで
                    On the Town からの曲。

                    最初の I can cook, too はエリザベト・クルマン登場。
                    ミュージカルなのでマイク付きだが

                    あ〜〜〜〜〜
                    クルマンのメゾソプラノ、ご存知の通り
                    ものすごい美声なの。
                    クラシック的な発声法が生来のごとく自然に美声が出て
                    ビロードのような厚みのある温かい手触りの声が

                    ミュージカルに全然合ってないんですけどっ!!!!

                    マイク付けても、声があまりに美しすぎて
                    大音量のオーケストラにモロに埋もれてるし
                    喉開いて鼻に抜けるクラシック発声で、声が浮いてるし

                    ミュージカルのしかもアルトのパートって
                    私の独断・偏見で言っちゃえば
                    多少ハスキーな地声で、クラシックみたいに声を被せず
                    マイク通してガリガリ聴こえてくるような感じが好みなので
                    こんなにクラシックに歌われても・・・

                    こういう感じで
                    テノールのカークもソプラノのペティボンも歌ったら
                    ど、ど、ど、どうしよう・・・(不安)

                    ところが、やっぱりマイク付けて出てきたイギリスのテノール。
                    あらま、この人、ミュージカルでも違和感のない声だわ。
                    声量はどうなのかは不明だが(マイク付いてるから)
                    高音もしっかり出して、しかも英語の発音キレイだし。

                    次のキャンディードでは一番有名な曲(だろうと思う)のデュエット。
                    出て来たパトリシア・ペティボン
                    ・・・すごいカッコしてる。ヘンなメガネかけて
                    何だか最初から役にすっぽりハマっている上

                    ペティボン、マイク付けてない・・・
                    相手のテノールはマイク付き。

                    ちょっと待て、ペティボンってクラシックのソプラノだよね?
                    声量すごいだけじゃなくて
                    クラシックの発声から
                    ミュージカル的な地声っぽいアニメ声まで
                    すべての声の色を使い分けていて

                    しかも、声だけじゃなくて、全身で演技していて
                    テノールとの掛け合いもユーモラス。
                    テノールもミュージカル経験ありそうで
                    ノリノリで演技していて、掛け合い漫才みたい。

                    だから、と言ったら失礼なのだが
                    その後の、美声のクルマンのオールド・レディス・タンゴが
                    声が美しすぎてオーケストラに埋もれて浮きまくっている上に
                    オーケストラ独奏の時のクルマンの動きって
                    タンゴじゃなくて・・・ハワイのフラダンスっぽい・・・
                    いや、オールド・レディだから、それで良いんだろうか(疑)

                    え〜い、オペラやクラシック・リートとミュージカルって
                    演技もダンスも、発声法も違うんだよ〜〜〜(たぶん)
                    いくら大物でキャッチ・アイとは言え
                    ちょっとクルマン、浮きまくり。

                    しかもその後のクネゴンデのアリアで出てきたペティボンが
                    小物を使って、コンサート・マスターをしつこく弄くり回し

                    マイクなしで、しかもアニメ声で
                    更に、このアリア、クラシック的なソプラノ部分も多いのに
                    見事に声を自然に使い分けて

                    アリアで語り、表情(泣いて笑って)がスゴイし
                    声がまたスゴイし、あまりに見事なアリア。

                    コンサート・マスター、ソロの途中に
                    ペティボンに膝に乗られたり、抱きつかれたり
                    頭に王冠置かれたりでお疲れ様です(笑)

                    しかしすごいな、ペティボン・・・

                    ワンダフル・タウンの「オハイオ」でペティボンとクルマンのデュエット。
                    その後、お待ちかね、ウエスト・サイド・ストーリーからの名曲の数々。

                    テノールのカークのマリアが・・・巧かった。
                    これはリリック・テノールとしてはたまらん曲だろうが
                    切々と、熱い喜びを持って、高音まで神経に触らず歌い上げたのは見事。
                    短い曲だかソプラノの Somewhere は
                    ワタクシ的には最も名曲だと思っているので、胸がジーン・・・

                    アンコールで、やっぱりウエスト・サイド・ストーリーの
                    シンフォニック・ダンスだろう・・・と思っていたら
                    いやいや、しっかりキャンディードからの曲で
                    しかも、また歌手3人出てきて歌ってる。
                    (すごいサービス精神)

                    歌手がまだ舞台に居る状態で
                    テノールが足だけで踊りながら
                    指揮者に「ほら、あれをやりなよ」みたいな合図を送って
                    最後は、もちろんながら、マンボで終わり(笑)

                    マンボの間、テノールは踊りまくり
                    ペティボンも踊っている横で
                    クルマンが戸惑った様子で立っていたのが
                    かわいそうと言えばかわいそうだったんだけど。

                    トレンクヴィッツの解説が長めだったのも原因ながら
                    22時30分まで、たっぷりバーンスタインの
                    オペレッタやミュージカルを堪能させてもらって
                    ノリノリで実に面白かった。

                    こういうコンサートなら野外音楽堂の方が良かったかも。
                    とは言え、ここ数日は夏も終わりで
                    雨もパラパラ降って、気温も20℃切っていて
                    夏の後には、すぐに冬が来るヨーロッパ(笑)

                    佐渡裕氏が、ご自分とバーンスタインについて語ったビデオが
                    トーンキュンストラーの Youtube サイトにある。
                    (音声はドイツ語が被るので聞きにくいかも・・・)
                    ご興味ある方はどうぞ → ここ

                    トレンクヴィッツの解説の中で

                    バーンスタインは孤独だった
                    孤独すぎて、周囲に人がいないと耐えられないほどだった

                    というエピソードを聞いて
                    いつも大物と一緒の人懐っこいバーンスタイン像の後ろに
                    そういう救いようのない孤独があったんだなぁ、と
                    なんとなく、ストンと心に落ちた私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                    トーンキュンストラー + 佐渡裕/齋藤有香理

                    0
                      Schloss Grafenegg Wolkenturm 2018年8月17日 19時30分〜21時

                      Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
                      ソプラノ Anna Samuil
                      テノール Christian Elsner
                      バリトン Lucas Meachem
                      少年合唱 Wiener Sängerknaben
                      コーラス Wiener Singverein
                      指揮 Yutaka Sado
                      指揮 Yukari Saito

                      Benjamin Britten (1913-1976)
                      „War Requiem“ für Sopran, Tenor, Bariton, Chor, Knabenchor,
                      Ensemble und Orchester op. 66 (1961/62)

                      2018年グラーフェネック・フェスティバルのオープニングは
                      ブリテンの戦争レクイエム。

                      コンサート前の18時からライトシューレで
                      シューベルトの弦楽五重奏(D956) 2. Satz Adagio を
                      Atalante Quartett が演奏し
                      ブッフビンダーの挨拶
                      低地オーストリア州州知事のミクル・ライトナーのスピーチ
                      俳優のヨゼフ・ローレンツがウィルフレッド・オーエンの詩をドイツ語で朗読
                      その後、フランツ・フラニツキー、アンドレアス・コール
                      メルセデス・エッヘラーとマルレーネ・ストレールヴィッツでの
                      公開討論会という催物。

                      2018年は、第一次世界大戦終焉の1918年と
                      オーストリアがドイツ・ナチスに併合された1938年の記念の年だから。

                      ブッフビンダーが
                      音楽家として、平和のために何ができるか
                      音楽は感情と知識で演奏するものであって
                      感情だけでは良い音楽にならない
                      と、淡々と語ったのが非常に印象的。

                      フランツ・フラニツキーは1986年から1997年まで
                      オーストリア連邦の首相で、社会党の党首だった事もある。
                      私の記憶には非常に強く残っている人で
                      オーストリア自由党との確執や
                      ベルリンの壁崩壊後のオーストリアの舵取りを見事にした政治家だった。

                      アンドレアス・コールも国民党の政治家として長く活躍した人。
                      エッヘラーは緑の党でヨーロッパ議会議員の過去を持つ女優さんで
                      ストレールヴィッツはフェミニストの立場で著作や映画監督として活躍。

                      それぞれに、色々な立場の意見を述べて面白かったのだが
                      オーストリアの政治家として初めて
                      オーストリアのナチスだった過去と向き合わねばならない旨の発言をした
                      フラニツキーが、1918年から1938年までの間のオーストリアについて
                      あまりの経済的困窮状態で、1938年のナチスの併合を歓迎する他に
                      オーストリアが当時取る道はなかっただろう、と発言したのが印象的。

                      同時にエッヘラーからは
                      1920年代の女性事業家が書いた本の一部が提示された。
                      経済的な困窮は、何かが間違っているのではないか、という
                      非常に聡明な勇気のある発言を興味深く聞いた。

                      本当の討論になるためには
                      あまりに時間が足りなくて、かなり残念。

                      その後、本コンサートはブリテンの「戦争レクイエム」

                      実は、こういう作品があるのは知っていたのだが
                      ちょっと注意深く避けてまして(ごめんなさい)
                      まずは宗教曲だし
                      しかもレクイエムだし
                      (私はヴェルディのレクイエムがむちゃくちゃ苦手なのである)
                      その上、かなり長い曲で
                      比較的苦手なブリテンという
                      聴いておきたい、とか言う気が一切なかったんです(恥)

                      舞台一杯に詰め込まれた大編成オーケストラ
                      その後ろには100人以上のコーラス
                      下手(しもて)には、アンサンブル
                      そして、舞台下手(しもて)の観客席の横のところに
                      ウィーン少年合唱団。

                      手元のテキストが見えるように、という配慮か
                      今回は客席も比較的明るくなっている。

                      で・・・ちょっと思いがけなく感動してしまった。

                      大編成オーケストラは佐渡さんが指揮して
                      アンサンブルは齋藤有香理が指揮。
                      ウィーン少年合唱団のところには、別の指揮者が立つ。

                      齋藤有香理の指揮姿が美しい。
                      キビキビした動きで優雅で明確。
                      今回はアンサンブルだが
                      大編成オーケストラやウィーン少年合唱団との兼ね合い
                      アンサンブルで歌うバリトンとテノールとのバランスと絡みなど
                      見事に決めていて
                      これは、すごい指揮者が出て来たものだ。

                      ほとんど3箇所に分かれていて
                      しかもウィーン少年合唱団とは、かなりの距離があるので
                      指揮者同士の連携が巧く行かないとずれる可能性が大きいのだが
                      これが巧くハマっていて
                      あの長大な曲を最初から最後まで緊張感を持って聴かせたのは素晴らしい。

                      テノールは途中、ちょっと調子を崩したけれど
                      最後の、ほとんどアカペラのソロの時
                      上からヘリコプターの爆音が聞こえたのをものともせずに
                      正確な音程で歌ったのは・・・・うわああ、やっぱりプロってすごい。

                      バリトンが素晴らしかった。
                      英語のテキストのクリアさもさることながら
                      透明な美声で音楽の表情を
                      感情に溺れることなく歌って、ちょっと唸ったわ、私。

                      ウィーン楽友協会合唱団、今回は大人数で舞台に乗ったが
                      もともと巧いコーラスなのだが
                      今回も素晴らしい。
                      オーケストラに埋もれる事なく
                      ニュアンスを見事に出して
                      コーラスがこの曲を引っ張っていったような印象まで与える。

                      ブリテンらしい抑制の効いた音楽だが
                      音楽のニュアンスの多様さに圧倒される。

                      何となくエルガーのゲロンティアスの夢と雰囲気が似ていて
                      この上なくドラマチックなのに
                      レクイエムらしい慎ましさと敬虔さに満ち溢れていて

                      ・・・ちょっと涙出てきちゃった。

                      中に挟まるオーエンの詩が、これまた感動的、というより
                      考えさせられる内容が文学的に詰まっていて
                      特にオフェトリウムでのアブラハムの詩は
                      心をぐっさり刺す。

                      第一次大戦末期1918年に25歳の若さで
                      終戦の7日前に戦死したオーエンの
                      実体験に基づいた詩が
                      ブリテンのこの上なく繊細な音楽と一緒に歌われると
                      ヘンに感情的な叫びにならないだけに
                      ひときわ心を打つ。

                      喰わず嫌いしていてごめんなさい、と
                      本気で反省して
                      また機会があれば、ぜひ聴きたいと切望している私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



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