療法士さんの病欠で
午後のセラピーがキャンセルになった木曜日。
昼食後に、張り切って向かったのは
アルヌルフ・ライナー美術館。
入場料は8ユーロだが
ガイド・ライセンス持って行って
タダで潜り込む厚かましいワタシ・・・
アルヌルフ・ライナーは
上書き絵画で有名になった
バーデン生まれの画家で
かなりのアンファン・テリブルだった。
ライナーの作品も展示があるけれど
4月5日まで、エミーリオ・ヴェドヴァの特別展が開催されていて
これが圧倒的・・・
音楽に限らず、美術でも
現代芸術は、本当に面白い。
以前も書いたかもしれないけれど
もちろん、伝統的な芸術は素晴らしい。
時を経て残ったものには
それなりの価値もあるし
芸術が大衆化する前は(悪い意味じゃないです)
鑑賞者を楽しませるという目的で作られたものが多い。
近代以降の芸術は
「わからない人は見なくて(聴かなくて)良いです」
という、ある意味、鼻持ちならない芸術家の矜持で
ワケのわからん芸術が
パトロンならぬ政府の補助金によって促成され
一部の「ワタクシ、インテリですので、大衆と違うのよ」
のような意識のある、選別された(と思い込んでいる)観客が
ありがたがって、それを鑑賞するという
不思議な図式が誕生している
・・・とか断定的に書いちゃうと
いや、それ、違う、というご意見もあるだろうし
皆さまの反感を買うのは充分にわかっておりますが
すみません、何を言いたいかというと
現代芸術は、鑑賞者の積極的な関与によって
はじめて作品の意味が成立するんじゃないか、とか
厚かましいワタクシは思ってしまうわけです。
芸術家が聞いたら
ふざけんな!と激怒されて
殴られそうだけど・・・
今回の展覧会では、大きい作品も数多く出展されていて
絵を見たい人は このサイトで
右の方の IMAGES をクリックすると
ルーム5ヶ所の絵が見られるようになっている。
で、これらの絵って
どう見たって、最初の一瞥だと
殴り書きにしか見えないじゃないですか。
ルームを一緒に撮影しているので
真正面から見た絵画が5番目のルームの写真にしかないのが残念。
殴り書きなんですよ、いわゆる「現代芸術の抽象画」なんですけど
時間の余裕もあったし
チラ見で通り過ぎるんじゃなくて
じっくり一つ一つを鑑賞してみたら
これが面白いというか
もちろん、色の使い方とか、筆の方向とか
技術的に、鑑賞者の視線を持って行く力も凄いのだが
あのね、空に浮かぶ雲を見ながら
あっ、あれはアイスクリームだ、とか
龍が飛んでいる、とか
妄想に浸った事はありませんか?
そういうのが好きな人には共感してもらえると思うのだが
じっくり時間をかけて観ていると
何だか不思議な世界が、そこに突如として出現するワケです。
ちょっとした筆遣いで
絵の中に歪んだ異空間が出現していたり
不思議な生物が蠢いていたり
過去と現在が、時空間の中で自由に行き来していて
ただの(失礼!)抽象画が
突如として、ナラティブな世界を表出してしまうのだ。
当該の作者に言わせたら
俺の絵を、そういう妄想で勝手に解釈するな
と怒られそうだけど
ヴェドヴァはもう亡くなっているから文句は言えまい(こらっ)
それをやり出したら
もう面白くて面白くて、止められない。
ずっと観ていると
一回、あ、これかな?と思ったところが
他の要素と絡まり合うと、別の様相を見せて来たりする。
妄想爆発 💥
空の雲を鑑賞するようなやり方で
現代芸術を鑑賞して良いのか、という非難もあるだろうが
感受性とことんゼロに近いし
芸術性は一切ないし
美術史もやってないし
絵画の基本的な事もわかってない
ただの、ド・シロートのワタシが
楽しく鑑賞しても良いじゃない(開き直り)
ウィーンの美術史美術館や
ベルベデーレのオーストリア絵画館などに行くと
どうしても、まずは職業意識が先にたってしまい
絵画を楽しむとか言うよりは
「お勉強」みたいな気分になってしまうので
その意味では、こういう現代美術を
何の縛りもなく
妄想爆発状態で見るのは、実に愉快な時間。
ウィーン在住の皆さま
バーデン線の終着駅ヨゼフ広場に面していて
しかも、建物は昔の女性用浴場で(名残はかなりある)
美しい建物だし
ヴェドヴァの絵画、本当に面白いので
時間があれば、ぜひどうぞ(まわし者ではございません)
夜の文化生活は、まだ当分戻って来そうにないけれど
せめて美術館が開いていてくれるのは有り難い、と
(ネタが出来た、とかいうワケでは・・・・)
つくづく思いつつ
文化の香り高いブログを書こうとして
思い切り、滑りまくった私に
どうぞ本日も生暖かい1クリックをお恵み下さい。