火の鳥・ペトルーシュカ・ストラヴィンスキームーブメント1回目(初演)

Volksoper / Wiener Staatsballett 2017年4月28日 19時〜21時45分

Der Feuervogel / Petruschka / Movements to Strawinsky

Petruschuka
振付 Eno Peci
音楽 Igor Strawinski, Petruschka, revidierte FAssung 1947
ドラマツルギー Eno Peci, Pavol Juráš
舞台、衣装、照明 Pavol Juráš
指揮 David Levi
教師 Davide Dato
その妻 Nina Tonoli
その子供 Raphael Grotrian
校長 Rebecca Horner
2人の生徒 Trevor Hayden, Arne Vandervelde
クラスの生徒たち Emilia Branowicz, Adele Fiocchi, Sveva Gargiulo,
Araia Rogers-Maman, Anna Shepelyeva, Céline Janou Weder
Francesco Costa, Marian Furnica, James Stephens, Andrey Teterin

Movements to Strawinsky
振付・舞台・衣装 András Lucács
音楽 Igor Strawinski
Pulcinella Suite (revidierte Fassung 1949):
Sinfonia, Serenata, Munuetto und Finale
Les Cinq Doigts : Largetto
Apollon musagète : Aposhéose
Suite Italienne (Fassung für Violoncello und Klavier) : Serenata
照明 Attila Szabó
指揮 David Levi
Alice Firenze - Masayu Kimoto
Nikisha Fogo - Greig Matthews
Ioanna Avraam - James Stephens
Erika Kováčová - Zsolt Török
Iliana Chivarova - Attila Bakó
Céline Janou Weder - Géraud Wielick

Der Feuervogel
振付 Andrey Kaydanovskiy
音楽 Igor Strawinski, Der Feuervogel (1910)
reduzierte Fassung von Hans Blümer
ドラマツルギー Richard Schmetterer
舞台と衣装 Karoline Hogl
照明 Vasil Lisichov
指揮 David Levi
イワン Masayu Kimoto
火の鳥 Davide Dato
ヴァシリッサ Rebecca Horner
カシェイ Mihail Sosnovschi
労働者 Richard Szabó, Zsolt Török, Géraud Wielick
掃除婦 Alice Firenze, Nikisha Fogo, Jakob Feyferlik, Greig Matthews
王女さまたち Emilia Baranowicz, Natalya Butchko, Iliana Chivarova,
Sveva Gargiulo, Erika Kováčová, Carolina Sangalli
Anna Shepelyava, Franziska Wallner-Hollinek
お客さま Attila Bakó, Alexis Forabosco, Trevor Hayden,
Igor Milos, Kamil Pavelka, Tristan Ridel,
Alexandru Tcacenco, Arne Vendervelde
ホットドッグ Andrés Garcia-Torres

Orchester der Volksoper Wien
Wiener Staatsballett

フォルクス・オーパーでの上演だが
歴としたウィーン国立バレエ団の出演で
出演どころか
振付も全部ウィーン国立バレエ団のダンサー。

普段、舞台でバレエを踊っているダンサーたちが
振付師として作品を作る ♡

ストラヴィンスキー三連発!!!

本日の初演まで
・・・オーケストラ大丈夫?と
ひそひそ陰で呟いていた私だが(すみません)

多少、荒技で、力で
えいっ、キメるところだけキメてしまえ、というのはあったけれど
そこそこ音楽にはなっていて、ちょっと感心した。

これから何回か上演があるので
その度に巧くなって行くか
緩くなって行くかは、これからのお楽しみ(根性悪)

3部作になっていて
最初はエノの「ペトルーシュカ」
・・・・の、とんでもない読み替え 😅

背広来たサラリーマン的なダヴィデ。
キュートな奥さまのニナ(トノリ)との子供が
プレゼントの箱を開けると、そこに人形が。

あぁ、この人形がペトルーシュカか、と思ったら
最初から最後まで、人形、全く関係なし(爆)

繰り広げられるのは、学級崩壊事件である。
う〜ん、これはやはり日本だったら
PTA のコワイ方々が何かクレームを挙げてきそう。

崩壊学級で弱々しいダヴィデ先生は暴力を受け
(ああああ、ダヴィデ、可愛い上にダンス巧いのに・・・)
途中で現れるド・サドの衣装を纏ったレベッカ校長先生。
ド迫力で、コワイぞ(笑)

どうも最後はダヴィデ先生は
妻のニナと子供を残して失踪してしまうらしいのだが
まぁ、よくわからん。
何回か観ているうちに、わかってくる(だろうか?う〜ん(悩))

生徒たちが元気で
・・・と言うよりはワイルドで
これが意外に魅力的。
(だってだって、ステファンとか私の初恋の君(に似たダンサー)とか居るし)
とんでもないアクロバットな振付もあって
フランチェスコあたりが
あの卓越した運動能力で、スゴイ事をやったりすると
客席で、きゃぁぁぁぁ、とついつい興奮してしまう。

・・・まぁ、ペトルーシュカとは何の関係もない(ような気がする)
でも、もしかしたら、何か深い意味があるのかもしれない。

次の作品は
舞台ではオジサンっぽい
でもものすごくキレのあるダンスを見せてくれる
アンドラッシュの振付で

うわわあああ
これは美しい ♡

ストーリーのないモダンなのだが
シンプルな白黒の舞台で
シンプルながら、装飾に工夫が凝らされた衣装。

滑らかな動きの連続が長いボーゲンで続き
品のあるパ・ド・ドゥが場を盛り上げる。

イジー・キリアーンとかフォーサイスとかの流れを汲む
正統派モダン。

しかもフォーメーションの美しさ
そのバリエーションの多様さで
観ているものを飽きさせない。

ともかくセンスが良い。
超一流のファッション雑誌を見ているような気分。

ストーリーもないし
(いや、あるのかもしれないが、よくわからん)
ただのモダンかよ、と思っていたら、とんでもない作品だった。

音楽はプルチネラから始まって
チェロとピアノの美しい曲など
ストラヴィンスキーの新古典時代の曲を使っていて
これまた美しく、舞台の美的感覚とピッタリ合う。

ダンサーとしてはワイルドな持ち味なのに
こんなに品の良いセンスのある振付をするんだ・・・
(って、失礼な事を書いているかもしれない・・・)

最後の作品は「火の鳥」なのだが

え???
最初に出てくるのが・・・ 鶏 🐔

いやさすがに鶏の着ぐるみで踊るのではなく
すぐに脱いで、そこから現れるのが木本クン。

ダヴィデとの絡みがあって
その後の舞台は、何故か工場になっていて
3D プリンターで作ったようなモデルさんたちが
ベルト・コンベアに乗って来て

イワン(木本クン)が
盲目のヴァシリッサ(レベッカ!)に恋をして
繰り広げられるパ・ド・ドゥが
ロマンティック・・・な筈なんだけど(沈黙)

アンドレイの恋の感覚って
よくわからんな(悩)

それとも、最愛のレベッカと絡ませるのに
自分以外のダンサーが踊るなら
あんまりロマンティックなラブシーンはさせない、という事?(まさか)
(註 レベッカとアンドレイはご夫婦です)

悪玉カシェイのミハイルは
サングラスかけて、出来損ないのマフィアみたいだし(笑)

悪玉がやっつけられて
みんなが崩れたレンガ?箱?の下敷きになって
倒れるシーンで
(ああああ、この作品、大道具係の人たち、大変だわ)

木本クンのイワンが
レベッカのヴァシリッサを探して駆け回るところがある。

木本クン!!!!
最近、突然、演技に目覚めましたか?????

リアルな迫力が出て来て、ちょっとビックリ。
やっぱりアレですかね
お父さんになると強いのかしら(ってワケわからんが)

で・・・
何で最後にホットドッグが出てくるの??? 😱

いや、最初の鶏の登場からして
え?ニワトリ??? と驚いたものの

あぁ、火の鳥って
もしかしたら、焼き鳥の事だったのかしら
・・・と思っていたのに

いくら焼き鳥の着ぐるみは難しいからと言って
何故にホットドッグ・・・(絶句)

まぁ、フォルクス・オーパーのドン・ジョバンニも
最後は全員がソーセージになる、という演出もあった事だし。
(これ観たいと思っていたのだが、今まで時間が合わなくて・・・)

アンドレイはキャラクター踊らせると
すごく良い味を出すダンサーなんだけど
なんか、ぶっ飛んだ芸術性の人なんだなぁ。

国立オペラ座のダンサー総出で
(しかもプリンシパルまで出るし、ソリスト山盛りだし)
バリエーション的には面白い舞台に仕上がっているので
これから、何回か追い掛けるつもりなので

今日観て、あれ?と思った部分も
これから、自分なりに解釈が出来るかもしれない。

ホットドッグの登場だけは
何回観ても、きっと理解できないだろうと
そこはかとなく予感している私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



相変わらずウィーンは寒くて、まるで冬なのだが
ザルツブルクとかミュンヒェンは、ほとんど零度で
山岳地帯は大雪まで降って
本当にそろそろ4月も終わりなんですか?(涙)

ウィーン交響楽団 + エンリケ・マッツォーラ

Musikverein Großer Saal 2017年4月26日 19時30分〜21時15分

Wiener Symphoniker
指揮 Enrique Mazzola

Felix Mendelssohn Bartholdy (1809-1847)
 Symphonie Nr. 4 A-Dur, op. 90 “Italienische”
Ottorino Respighi (1879-1936)
 Fontana di Roma
 Pini die Roma

最近、何故かウィーン交響楽団のコンサートに行く機会が多いのだが
同時にウィーン交響楽団のコンサート自体も多いわけで
今回はイタリア人指揮者エンリケ・マッツォーラを迎えてのプログラム。

エンリケ・マッツォーラは
2014年3月に同じくウィーン交響楽団を振っているのだが
調べてみたら、私はこの日は
オペラ座でバレエを鑑賞していたので
今回が初聴きとなる。

オペラなどを数多く振っていて
現代音楽にも積極的に取り組んでいる指揮者との事。

メンデルスゾーンのイタリアは
まぁ、ウィーン交響楽団なら
失礼な言い方だが
指揮者が誰であろうが完璧に演奏しそうな曲ではある。

明るい音色と、切れ味の良い音は
このオーケストラの特徴だし。
だから、素晴らしいのだけれど
別にものすごく感激する・・・というよりは
ちゃんと歌っているけれど
まぁ、普通の演奏だよね・・・と思って
会場を見渡していたら

ロジェの向こう側の1列目に座っている
おじいちゃまが
手を振り回して拍子を取っていて
指揮者より、そのおじいちゃまを見ている方が
何か楽しくて

あぁ、すごく楽しんでるんだわ、と
微笑ましく思っていたら

第1楽章終わったとたんに
大声でブラボーと叫んで拍手し出して

それに釣られた何人もが拍手し出して

まぁ、昔は楽章ごとに拍手していたらしいし
音楽を楽しんでくれたんだなぁ、というのは喜ばしいが
やっぱり集中力が途切れるのよ、音楽家も聴衆も。

続く楽章は、楽章ごとの拍手はなかったものの
いや、巧いですよオーケストラ。
だけど、だから何?という
まぁ、はっきり言えば
かなり凡庸な演奏(すみません)

なのに
またもや演奏が終わった後
腕振り回していたおじいちゃまが
大声でブラボー・コールを連発するので

他の聴衆、かなりシラケ気味。

VIP 席に座っていたので
もしかしたら指揮者の関係者だったのかしらん。
(お父さんとか?)
応援を頑張ったのだろうが
反って逆効果で・・・

まぁでもリズム感も音色も悪くない指揮者だから
レスピーギは期待できるかも・・・

・・・(沈黙)

ピアニッシモの音量を極限まで下げて
楽友協会の残響の豊かさの中で
非常に小さい響きを美しく響かせようという意図はわかる。

リハーサルの時には
そりゃ、世にも美しい音響が出た事でしょうよ、きっと。

しかし楽友協会に客が入ったら、話は違う。

前半のブラボーおじいちゃまは
後半では消えていたし
ついでに前半に居た楽友協会の支配人も消えていたが
(用事があったのかもしれないし、他の理由かもしれない)

椅子はすごい音で軋るわ
演奏中に立って動くアホはいるわ
後ろから小声のお喋りが聴こえてきたり
あまつさえ、スマホから
日本のお隣の国の言葉でアナウンスが聴こえて来たり
後ろでプシュという音が聴こえたので
振り返ってみたらペット・ボトルから何か飲んでるし

楽友協会というとんでもないホールは
そういう雑音を、すべて拾ってしまうのだ。

泉の方も、いや確かに演奏巧いけど
だから何?

更に松になったら
ボルゲーゼのあの高音での大音響で
まずは神経に障った後に

ジャニコロの松のあの最後の部分
音量絞って・・・は良いんだけど
その音量の中に
テープでのナイチンゲールに混ざって
上記のような雑音がたっぷり入っていると
・・・ちょっと泣きたいですワタシ。

アッピア街道は当然の事ながら
大音響で押して来て
トランペットはオルガンの前に立って
(良かった横でなくて・・・)

情緒より何よりも
あの席だと・・・ただ耳が痛い。

かなり世界中のあちこちで引き合いがある指揮者みたいだけど
職人的に巧くオーケストラを操っているのはわかるが
それ以外に、ピカッと光るようなものって
今回のコンサートで、私には聴こえなかったなぁ。

金管と木管は優秀。
クラリネットとフルートが抜群に良くて
管が巧いオーケストラだと
確かにこういう曲は引き立つのだが。

まぁ、私も風邪から完璧に立ち直っている訳ではないし
貧民席だと、どうしても入っている客層が
鉄壁のクラオタ以外の人も、かなりの確率で来るわけで
(マナーさえ守っていれば何も言いませんが)
ただ、それを考慮に入れたとしても
何か、う〜ん、普通の演奏というか凡庸というか

コンサートが良かったら
明日の2回目も行こうか、と考えてはいたのだが
止めておこう(金もないし(笑))と決心した私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。


フラヌイ + フローリアン・ベッシュ

Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2017年4月25日 19時30分〜20時50分

“Alles wieder gut” (初演)
Komposition/musikalische Bearbeitung :
Andrea Schett & Markus Kraler
舞台・ビデオ Jonas Dahlberg

Franz Schubert (1797-1828)
Die Vögel D 691
Heidenröslein D 257
Trok’ne Blumen (“Die schöne Müllerin” D 795 Nr. 18)

Gustav Mahler (1860-1911)
Die zwei blauen Augen (“Lieder eines fahrenden Gesellen”)

Robert Schumann (1810-1856)
Es file ein Reif (“Tragödie” op. 64 Nr. 3/2)

Gustav Mahler
Ging heut morgen übers Feld (“Lieder eines fahrenden Gesellen”)

Johannes Brahms (1833-1897)
Die Sonne scheint nicht mehr
(49 deutsche Volkslieder für eine Singstimme mit Klavierbegleitung WoO 33 Nr. 10)

Robert Schumann
In der Fremde (“Liederkreis” op. 39, Nr. 1)

Gustav Mahler
Wenn mein Schatz Hochzeit macht (“Lieder eines fahrenden Gesellen”)

Robert Schumann
Der arme Peter op. 53

Franz Schubert
Du bis die Ruh’ D 776

Johannes Brahms
Da unten im Tale
(49 deutsche Volkslieder für eine Singstimme mit Klavierbegleitung WoO 33 Nr. 6)

Franz Schubert
Abendstern D 806

Johannes Brahms
Über die Heide
(Sechs Lieder für eine tiefere Stimme mit Begleitung des Pianoforte op. 86 Nr. 4)

Franz Schubert
Litenai auf das Fest Allerseelen D 343

Gustav Mahler
Ich hab ein glühend’ Messer (“Lieder eines fahrenden Gesellen”)
Ich bin der Welt abhanden gekommen
(Fünf Lieder nach Texten von Friedrich Rückert Nr. 3)

Henry Purcell (1659-1695)
When I am laid (“Dido und Aeneas” Z. 626, 3. Akt)

Musikbanda Franui
クラリネット・バスクラリネット Johannes Eder
チューバ Andreas Fuetsch
ソプラノとアルト・サクソフォン、クラリネット Romed Hopfgartner
コントラバス、アコーディオン Markus Kraler
ハープ、ツィター、歌 Angelika Rainer
ハックブレット、歌 Bettina Rainer
トランペット、歌 Markus Rainer
トロンボーン、歌 Martin Senfter
バイオリン Nikolai Tunkowitsch
トランペット、歌、指揮 Andreas Schett

バスバリトン Florian Boesch

東チロルの山奥のインナフィールグラーテンという
本当の田舎町で
若い音楽家たちが集まって作った
不思議なバンド・フラヌイについては
何回かこのブログでも書いて来たけれど

この不思議なバンドについて
言葉で何か表現できるだけの力は
私にはない(断言)

現代音楽レーベルのコル・レーニョから出ている
マーラーの CD 聴いて
ひっくり返って腰を抜かしてから
ウィーンでコンサートがある時には
できるだけ行くようにしている。
(ついでに CD もブラームスもマーラーもシューベルトも買った)

何せこのグループ
他に本職を持っている人ばかりなので
(しかもインナフィールグラーテン出身だけど
 今やオーストリアやドイツに散らばっているという)
定期的なコンサートと言うのはないのである。

このフラヌイが
今回はバスバリトンのフローリアン・ベッシュとの共同プロジェクト。
今まで、自分たちで歌ったりはしていたけれど
歌手との共同作業は初めてのはず。

しかもベッシュのあの深くて強い声と
フラヌイの不思議な響きはとても合いそう。

コンサートは満杯状態。
うはははは、ウィーンにもフラヌイのファンは居る♡
(何となく嬉しい)

コンツェルトハウスのモーツァルト・ホールの
舞台の向こうにはビデオの投影があって
どこかの寝室が写っている。

プログラムは休憩なしで
リートとリートの間もアタッカ。
ベッシュ、ほとんど歌いっぱなし。

しかもあのむくつけきマッチョな大男が
時々、身体クネクネさせながら歌うのが・・・可愛らしい(爆笑)

思っていた通り
フラヌイの金管とベッシュのバスは、ものすごく合う。
バランス最高だし
ベッシュもひたすら楽しんで歌ってる。

耳慣れたシューベルトやマーラーが
ものすごく不思議な響きで入って来て
リートの連続も、とても自然。

しかも組み方が巧いので
様々な音楽が次々に
メロディに加えて音色のバラエティまで精密に計算されていて
あっという間の70分。

更に、後ろのビデオ投影の寝室が
微妙に微妙に、本当に微妙に変化していくのである。

横に置いてある椅子の形が変わったと思ったら
だんだん崩れて床に溶け込んで行くし
横の棚が、どんどん崩れていって床に溶けこんで
ナイト・テーブルがグニャっと崩壊して
ベッドの形が微妙に微妙に変化していって

コンサートが終わる頃には
ベッドもなくなって、何もない部屋になっているという。

しかも、これが本当にゆっくりと変わって行くので
音楽に耳が集中している間に
意識しないところで、あれ?という
画面が音楽への集中を妨げず
なのに、ちゃんと視覚芸術としても成り立っている。

フラヌイの響きの面白さというのは
クラシックなリートでありながら
例えば埋葬行進曲みたいな暗い色調のものが
暗いんだけど、何となく可笑しいという
なんとも生存本能的にゾクゾクしてしまうところにある。

はい、ワケのわからん事を書いているのは知ってます。
が、あの不思議な響きを、どう表現しろと言うのだ。

へぇ、そんなに不思議なのか?と
興味津々の皆さま。

コル・レーニョのサイトのフラヌイ紹介(英語)は こちら

私がひっくり返ったマーラーの CD も
何と無料で視聴できるので
(もちろん全部じゃないのでお気に召した方は
 有料ダウンロードか CD をお求め下さい)
ご興味のある方は ここ から聴いてみて下さい。

ただ、これ本当に不思議な曲なので
伝統的クラシックの盲目的信者の方には向きません(断言)

田舎のインナフィールグラーテンでも
当初は色々な嫌がらせなどがあったようだし
今でも拒否反応は強い。

が、拒否反応が強いもの、というのは
逆らい難く魅力的なのである。

ドイツ語のわかる方には
オーストリア国営放送が2013年(結成20年)に作った
25分の番組があるので、ぜひどうぞ。
(ビデオでは様々なフラヌイの音楽も聴けます)



別にフラヌイの回し者ではないのだけれど
クラシックでも、こんな世界があると言う
稀有な例だと思う。

5月のコンツェルトハウスの
Gemischter Satz という
様々な音楽ジャンルのお祭りにも参加するようなので
行こうかどうしようか迷っている私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。


ロンドン交響楽団 + フランソワ=グザヴィエ・ロト

Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年4月24日 19時30分〜21時55分

London Symphony Orchestra
ビオラ Antoine Tamestit
指揮 François-Xavier Roth

Claude Debussy (1862-1918)
 Prélude à l’après-midi d’un faune (1892-94)
Béla Bartók (1881-1945)
 Konzert für Viola und Orchester Sz 120 (1945)
  Rekonstruktion : Tibor Serly (1901-1978)
Anton Bruckner (1824-1896)
 Symphonie Nr. 4 Es-Dur “Romantische” (1873-74/78-80)

この人も、見た目だけを言うなら
どこかの中小企業の
目立たないけれど、実はデキる部長、に見えてしまう
フランソワ=グザヴィエ・ロト。

ご本人のウエブ・サイトから拝借
© François Sechet



このお写真も、どうみても指揮者というより
「ほう、今年の売り上げ業績は良いねぇ」
・・・と言っている経営者にしか見えない。
(↑ 誉めてます。私、こういうタイプ、好きなんです)

写真と同じく
ビジネス・スーツ姿にネクタイ締めて
ロンドン・シンフォニー・オーケストラの客演。

しかもプログラム盛り沢山というか・・・長いよ、これ。
最初に「牧神の午後への前奏曲」を持って来たのは
自分の音楽のルーツに加えて
名人フルーティストの紹介かな。

このフルートのソロが
何とも「風」を感じさせる素晴らしさ ♡
これは、優秀なフルート奏者が居て
初めて引き立つ曲だから
ウィーン交響楽団なんかは
首席フルート奏者が変わると、必ず演奏するのだが
フルートという楽器の息吹を
何とも情緒的に、しかも淡々と
美しい音色で聴かせてもらって満足。

さて次の曲は何とバルトークで
しかもビオラ協奏曲・・・なんて、初めて聴く。

バルトーク未完の絶筆で
ビオラ部分以外のオーケストラはほとんど楽譜がなく
ハンガリー出身のシェルイ・ティボールによって補筆されたもの。

ビオラのソロはアントワン・タメスティという
1979年パリ生まれのプレイヤーで

えええええええっ!!!!
何ですか、何なんですか、この音色は!!!!!

信じられない。
ビオラって音程不安定で
音があまり伸びず
何処に入っても埋もれて埋もれまくって
どんなに巧い奏者が弾いても
ど〜しようもない楽器(すみません)
・・・というイメージだったのだが

何という音色の美しさ ♡

しかもバイオリンみたいに神経に響く高音ではなく
チェロよりもっと優雅で慎み深い。

オーケストレーションの薄さもあるかもしれないが
ビオラの音が沈まない。
何とも澄んだ優雅な音で
バルトークっぽくない歌うメロディが客席に届いて来る。

悶絶・・・

いや実はビオラのソロって
コンサート以外の時に
時々、聴く事があるのだが
すごく巧い人でも
やっぱりバイオリンと比べると
不安定で地味で
まぁ、それを狙っての事だろうと思うから
それはそれで良いんだけど

コンサートでこういうビオラ聴いちゃうと
もともと、ビオラという楽器そのものが
不安定で地味な楽器だ、という事を忘れてしまうじゃないの。

こういう天才的なビオラって
この間のタベア・ツィンマーマンとか
大昔、ライブで聴いて椅子から転げ落ちそうになった
今井信子さんとか
コンサート・ホールで、こんなスゴイ演奏ばかり聴いたら
ビオラってバイオリンやチェロに負けない魅力的な楽器とか
ついつい思ってしまう危険性があるぞ。

私みたいなド・シロートの聴衆に
ここまで水準の高いビオラのソロを聴かせて
他のビオラ奏者はヘタクソ、とか誤解してしまったら
どうしてくれる?(関係ないが)

アンコールはバルトークの小曲を
コンサート・マスターとの重奏で演奏して
これも実にゴキゲン。
コンサート・マスターのバイオリンとタイマン張ってる
すごいビオラの音だった。

ドビュッシー、バルトークと続いて
後半がブルックナーの交響曲4番。
比較的短い曲ではあるけれど
それだって1時間以上はかかる。

舞台の上のオーケストラの並びが面白い。
上手(かみて)の奥にトロンボーン、チューバとトランペット。
第二バイオリンでその後ろにビオラ。
真ん中後ろに木管とホルンで
下手(しもて)には第一バイオリン、その横がチェロ。
下手(しもて)後ろにコントラバス。

いつも聴いているオーケストラ構成と全く違って
下手(しもて)のコントラバスと
上手(かみて)のトロンボーンが低い音で呼応する。

私の席はチクルスの人ばかりの貧民席なのだが
左右と後ろが女性ばかりで
この女性軍団、コンサートが始まっても
いつも平気で小声でお喋りしているので

最初の出だし
指揮者のロトはとんでもないピアニッシモで
弦がほとんど聴こえない状態で
(周囲は聴こえないので、まだ演奏が始まっていないと思って
 小声でお喋りを続けている)
突然ホルンのソロが入ったのでギョッとした。
(ついでに周囲の女性軍団もギョッとしていた)

舞台の配置を見た時に薄々想像はしていたけれど
徹底的に音響に拘って拘って拘ったブルックナー。

LSO って、聴くたびに思うのだが
弦のアンサンブルが完璧で見事で
しかも、あの大人数の弦になったら
厚みがあって、しかもアンサンブル完璧で
(ビオラのトゥッティのソロの部分の美しさ!!!)
惚れ惚れする音響の美しさ。

なのに・・・
まぁ、私の耳が悪いのだろうが

管が不安定で・・・(涙)

ホルンの裏返りは時々ある事だけど
このホルンの首席
巧いのかヘタクソなのか判断に迷う。

最初のソロの時に
あっ、音程下がってる 😱 と思ったのは
シロウト耳の私が悪いのかもしれないけれど
その後も
絶妙に素晴らしいピアニッシモを聴かせてくれたかと思ったら
次の瞬間、何それ?というひっくり返りをやるし

それでなくても、この4番は
ホルンが突出して巧くないとイケナイ曲なのだよ(偏見)

最初にキラ星のごとくのソロを吹いたフルートと
それに負けずにキラキラの音を出したオーボエは良かったけれど
クラリネットもトランペットも
え?みたいなところがあって
(はいはい、私の耳が悪いんです。
 決してオーケストラへの悪口ではございません)

弦が美しい音を出しているだけに
管が入るところで、ずっとドキドキしていたのは
心臓に悪い(謂れのない文句)

音量のレンジは最大限で
これはコンツェルトハウスだと聴き映えがする。
極限まで落としたピアニッシモの時に
かなり声付きの咳が客席から聞こえて来たのは仕方ないとして

後ろの年配女性が
時々、飴の包み紙シャカシャカ
ティッシュペーパーのビニールをシャカシャカした後
ピアニッシモの時に、すごい音で鼻を嚼んで
更に携帯電話を鳴らした時には殺意が湧いたが。

だってブルックナーのピアニッシモって
一番緊張する時じゃないですか。
その後に、またフォルテでモチーフが演奏される、という
緊張感に満ちた時に
学校の授業の終わりのような
キンコン・カンコンのベルが響いたんですよ、今日は!!!

徹底的に音響に拘った(だろうと思われる)のに
管の不安定さが、ちょっとそれを崩しかけ、という印象だったが

私の偏見である事は前提として
LSO の管の人って
別にブルックナー好き、という訳ではなさそう。

ウィーンのオーケストラだと
ブルックナー、大好き、好き好き好き ♡ という
金管奏者が山ほどいる(と聞いた事がある)ので
ブルックナーがプログラムに入ると
みんなが、やりたい、やりたい、と言うらしいのだが

LSO の管の人たちって
プログラムに乗ってるから演奏してます、という
かなり醒めた感じではあった。

そこら辺りが
やっぱりウィーンとロンドンの差ですかね(笑)

オーケストラ編成からして
ウィーンで聴き慣れたブルックナーとは
一味違った感じで
最近の若い指揮者がやるような
透明感のある重力のないブルックナーではなくて
低音がズンズン、すごく良い感じで響く
地に足のついた聴き応えのあるブルックナーだったのは確かだが。

長いコンサートだったけれど
最近、色々と新鮮なブルックナーを聴くチャンスがあって
ちょっと楽しくなった私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。


ウィーン交響楽団 + フィリップ・ジョルダン 2回目

Musikverein Großer Saal 2017年4月23日 19時30分〜21時15分

Wiener Symphoniker
指揮 Philippe Jordan

Ludwig van Beethoven (1770-1827)
 Symphonie Nr. 2 D-Dur, op. 36
 Symphonie Nr. 7 A-Dur, op. 92

売り切れベートーベン・コンサートの2回目。
楽友協会も笑いが止まらんだろう(邪推)

ウィーン・マラソンもあったし
今、何かの医学会議中で
会議事務局が大量にチケットを買っている可能性もあるし(邪推)

今回の風邪は、かなりしつこい。
もう1週間近くなるのに
まだ湿った咳が止まらず
咳する度に鼻を嚼まねばならず
(あぁ、ヨーロッパで良かった)
鼻を嚼むたびに、くっついた鼓膜が剥がれて
突然、周囲の音が聴こえたりする。

そんな事情で
どうも最初の2番は
鼓膜くっつき状態で聴いていたので
どうもよく聴こえていない(ような気がする)

弦があまりに滑らか過ぎて
いや、あの高速テンポで
よくあれだけの数の音符を演奏するな。
(少なくともあの部分の最初はちゃんと聴こえてた。
 後ろの方はちょっと手抜きがあったかもしれないが)

明るい音色のモダンなベートーベンで
古典的とか言うよりも
もっと滑らかで軽い感じの
う〜ん、例えて言えば
コマーシャル・ソングなんかに使っても違和感がないというか

いや、ベートーベンって
何かこう、悩んで哲学的に深くやらないと
コワイ批評家のオジサンたちが何か言いそうなのだが

当時のエンターテイメント音楽だもん、
別にそんな難しく考える事もないと思うんだけど。

ある意味、能天気、と言ったら叱られそうだが
モーツァルトやハイドンの系統を汲んで
底抜けに明るい楽しい音楽として聴ける印象。

これ、ちょうどベートーベンの難聴が進んで
本人、一番辛い時期だった時に作曲されたものだが
そんな逆境の中で
開き直りのハイテンションという

・・・どう考えてもヘンジンだよね(ボソッ)

幕間に思い切り鼻を嚼んだら
鼓膜が離れて、突然、耳が聴こえるようになったので
喜び勇んで7番に突入。

ぎょっ・・・ 😨

ジョルダンがニコニコしている・・・ 😱

いや別にだから、というワケではないのだが
ジョルダンって、ポスターでもパンフレットでも
指揮台に乗っていても
しかめっ面しかしていない(ような気がする)
特にポスターだのブローシャーだのの写真では
睨みつけるような顔しか掲載されていないので

え〜っ、この人
こんな爽やかな笑顔が出来るんかいっ!!!

何か見てはイケナイものを見てしまったような気分。
世にも恐ろしい指揮者ジョルダンの秘密とか(こらこらこらっ)

第1楽章と第2楽章をアタッカで繋げるのは
金曜日と同じ。
当然の事ながら、第2楽章のテンポも速めで
歌うというよりは、あっさり感の多い
すっきりしたモダンな音が出てくる。

第3楽章以降は
もう力任せに突っ走ったというか
タメも何もなく
インテンポに近いすごい速度で
走るわ走るわ・・・

スコア見るつもりで持って来ていたんだけど
見なくて良かった(絶対に置いていかれそう)
とんでもない推進力でグイグイ押して来て
アルコールか何かを
愉快な席で飲みまくってハイになった状態そのもの。

ジョルダンの気持ち良さそうな
滅多に見ない爽やか青年風の笑顔に
最初から最後までギョッとしながら
何か、アレアレアレと思っている間に終わっちゃいました(笑)

ジョルダンのベートーベン
新鮮に響くし面白いし
エンターテイメントの原点に立ち戻ったという印象で
すっきり爽やか
クソ面倒な事は置いておいて
みんなで熱狂して楽しもうじゃないの、という感じか。

6月21日と22日に
同じウィーン交響楽団とジョルダンで
ベートーベンの交響曲9番のコンサートがあるのだが
(幻想合唱曲も演奏される)
何となく想像がつくような
でも、ジョルダンの事だから
もしかしたら、またとんでもない事をやるかも

6月22日は他のコンサートに行く予定なので
1回しか聴けないけれど
ちょっとワクワクしている私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。


アルディッティ弦楽四重奏団

土曜日のダブル・ヘッダーです。
時系列に読みたい方は、1つ下の記事からご覧下さい。
下記は夜のコンサートの勝手な感想記です。

Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2017年4月22日 19時30分〜21時30分

Arditti Quartett
バイオリン Irvine Arditti, Ashot Sarkissjan
ビオラ Ralf Ehlers
チェロ Lucas Fels

Christian Ofenbauer (*1961)
 Fünfter Streichquartettsatz 2011 (2011)
Philippe Manoury (*1952)
 Fragmenti. Streichquartett Nr. 4 (2015) オーストリア初演
Christian Ofenbauer
 BruckStück IX / Vierter Streichquartettsatz 2010 (2010)
Hugues Dufourt (*1943)
 Le Supplice de Marsyas d’après Titien 初演

現代音楽は集中して Wien Modern で聴くのだが
例年、Wien Modern でしか聴けない
アルディッティ弦楽四重奏団のコンサートを見つけて
飛び上がって舞い上がって狂喜しながら買ったチケット。

しかもプログラムみたら
ユーグ・デュフールの初演曲がある!!!!(感涙)

更に、このコンサートのチケットを持っている人には
入場無料のプレトークがあって
そのプレトークには
アルディッティ弦楽四重奏団のメンバーに加えて
作曲家のユーグ・デュフールも来るという贅沢さ 😍

イソイソとプレトークのホールで
控え目に目立たない最後の列に座る私の横を
アルディッティさまご本人と、その他のメンバーが
通っていったりすると、もう心臓ドキドキ(アホですどうせ)

だけど何か異様に人が少なくて
係員が「すみません、前の方に座って下さい」
・・・うわあああ、前に座らされちゃったよ。
(しまった、化粧してくれば良かった・・・(自爆))

天気が悪かったのと
リング通り閉鎖の交通渋滞で遅れてくる人が多くて
(チェリストも遅れて来た)
結局は30人くらいは来て、そこそこ盛況にはなったけど。

プレトークの内容には言及しない。
司会があまりにちょっと酷過ぎて(以下省略)

さて、最初はオーストリアの作曲家の作品。
グラーツ生まれ、ケルンテン育ち
ウィーンの音楽大学でオルガンと作曲を専攻し
パリでブーレーズともコンタクトして
ウィーンのヴォティーフ教会のオルガニストだそうだ。

午後に暑苦しいロマン派作品を聴いた後
アルディッティ弦楽四重奏団が何を弾くかワクワク。

ピアニッシモのフラジョレット・・・
ずっとピアニッシモのフラジョレット・・・
音らしきモノは聴こえて来ずに
ずっと掠れた音が小さな音量で聴こえてくるだけ

なんだけど

何か大自然の真ん中に立って
ついでに目の前にはエジプトの大きなスフィンクスとか居て
風と砂が周辺でダンスしているイメージ。

ほんの時たま入る「音」が
灰色の世界に、微かな色彩を運んで来て
何とも心が落ち着くというか

まるで能の世界か
瞑想の世界か
ミニマムな掠れ音の中に世界が見えるというか
妄想の余地120%!!というワタシ好みの音響(のみ)の曲。

途中でプレイヤーがボウを振るというシーンもあり
ボウで切られた空気の音が入って来たりする。

しかしこういう曲はライブでないと聴けないわ。
これ CD にしたら
ラッヘンマンと同じで、ただの雑音だわよ(笑)

次の曲もオーストリア初演で
フランスの作曲家、フィリップ・マヌリの作品。

でこれはまた、如何にも弦楽四重奏の曲 ♡
激しい部分と、優しい部分が混在して
現代音楽とは言っても、割に伝統的な響きで

しかも時々、何かイタズラ心があって
めったやたらと可笑しい(何故かは聞かないでクダサイ)
これも聴き手の妄想喚起力を充分に刺激する曲。

こういうのは CD で聴いても聴き応えがありそう。

幕間の後は
もう一度、クリスティアン・オフェンバウアーの曲。
これもフラジョレットばかりなのだが
この人の曲、何故かメトロノーム的なテンポが聴こえて面白い。

最後がデュフールの初演曲。
チェコのクロムニェジージュ美術館に所蔵されている
皮を剥がれるマルシュアスという大きな絵画から
インスピレーションを得た作品だそうだ。

ただ、デュフール自身がプレトークで
内容を音楽にした、というより
その雰囲気を音楽に取り込んだ、という事らしいので
皮を剥がれるとか、そういう具体的なイメージには直結しない。

というより
何と言う色彩感 😵
目眩くような音の色の洪水。

もう何か、フラジョレットの曲と格が違うというか
(すみません、これは音楽様式が違うからどうしようもない)
さすがスペクトル楽派、と唸るような
オーバートーンを知り尽くした作曲技法にクラクラくる。

読者ご存知の通り
私はオーケストラの多彩な音が好きなので
室内楽は滅多に行かないのだが
4人の弦だけで出してしまう
このオーケストラにも負けない色彩感覚って

う〜ん、スゴイわアルディッティ・クワルテット。
もともと、現代音楽にハマるきっかけになったのが
このアンサンブルだったのだが
今聴いても、やっぱりスゴイ。

ちょっとこのティツィアーノ観に
クロムニェジージュまでドライブしたくなったぞ。
(そんなに遠くはない。
 チェリストは、わざわざ観に行ったとプレトークで言っていた)

スペクトル楽派の音楽って
ジェラール・グリゼーもトリスタン・ミュライユも大好きだし
ともかく、あの音響「だけ」の光の渦って
逆らい難く魅力的。

こういうコンサートに来ているのは
鉄壁の現代音楽オタクだけ・・・の筈なのだが
ただ、関係者の家族(の子供)とかいう観客も居て
演奏中に席を何回も何回も動かれて
その度に起こる微かな雑音だけが気になったけれど

そういう子供たちが
もしかしたら大人になったら
作曲家とか演奏家になるかもしれないので

あんまり怒らずニコニコ生きよう(笑)と
そこそこ良い気分で
満足して会場を出て来た私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。


ウィーン・フィル + サカリ・オラモ

Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年4月22日 15時30分〜17時30分

Wiener Philharmoniker
指揮 Sakari Oramo
バイオリン Janine Jansen
ソプラノ Anu Komsi

Peter Iljitsch Tschaikowsky (1840-1893)
 Konzert für Violine und Orchester D-Dur op. 35 (1878)
Rued Langgaard (1893-1953)
 Symphonie Nr. 2 “Vårbrud” (Frühlingserwachen) (1912-14)

コンツェルトハウスのチクルス
マイスター・ヴェルクの一環で
土曜日午後に1回だけのコンサート。
(5月10日の14時05分からオーストリア国営ラジオ1番にて放映。
 1回だけのコンサートでも放映権でモトはしっかり取るオーケストラ(笑))

チャイコフスキーのバイオリン協奏曲
しかも、この間聴いて、何か線の細い人だなぁ、と思った
ジャニーヌ・ジャンセンがソリスト。

・・・とあまり期待していなかったら
え? ジャンセンのバイオリンって、こんなに響きました?(驚愕)

しかしこの1楽章、何と言う演歌な演奏。
タメたっぷり思い入れたっぷり
あまりのロマンティックに、ちょっと気恥ずかしくなる位なのに
下品にならないのはバイオリニストの腕か。

ウィーン・フィルのコンサート・マスターは
ブルーメンシャインさんで
何か今日は、あまり見た事のないメンバー(トラとも言う)が多い。
割に大編成で演奏していたし
やっぱりウィーン・フィルの弦って
厚みと温かさと柔らかさがある。
(腐っても鯛・・・とは言わないが(こらっ))

イヤにロマンティックな演奏だったのだが
それでもソロ・バイオリンの音が、ものすごく伸びる。
決してワタシ好みの演奏という訳ではないのに
すごい説得力でガンガン押して来るので何か自然に納得してしまう。

アンコールがチャイコフスキーのメロディという事で
ウィーン・フィルの弦とバイオリン・ソロの絡み。
いや、あの忙しいウィーン・フィルが
よくぞ、こんな曲まで練習したものだ。

このアンコールが甘々の曲想ながら絶品で
上等の砂糖菓子を食べているような良い気分。

さて、後半の交響曲だが
ルーズ・ランゴーなんて作曲家、私は知らないぞ。

デンマークの作曲家で
有名なニールセンの影に隠れて
あまり演奏されなかった人らしい。
この曲もオーストリアでは初演である。

ふ〜ん、ウィーン・フィルがこんな新曲を演奏するのは珍しい。
どんな急進的な曲なんだろう、と思っていたら

リヒャルト・シュトラウスと
ワーグナーと、チャイコフスキーとを
全部混ぜ合わせて
コルンゴルト風の大規模オーケストラにしてみたけれど
失敗しました
・・・・・みたいな感じ(すみません)

う〜ん(悩)
これ、聴いてて面白いか?
確かに、美しいメロディに複雑なオーケストレーションで
分厚くて、ステキにチャーミングな曲ではあるのだが
だから何? というより
ワタクシ的には
あまり好きじゃないツェムリンスキーっぽいわ。

最終楽章にソプラノが入るのだが
すごいソプラノが来た。
スゴイというのは、よくわからないソプラノで
ともかく声がデカイし
声質がソプラノと言うよりメゾの厚みがあって
それが大声量で高音を歌うので

聴いている方がちょっと仰け反ってしまう。

う〜ん、オラモさん、とんでもない曲を持って来たな。
でもオラモさんってフィンランドの人だよね?
何故にデンマークの作曲家を?

北欧圏の作曲家、という意味なのかもしれないけれど
フィンランドって、言葉からして
スウェーデンとかデンマークとかノルウェーと違うじゃないの。

(それにフィンランドはシベリウスが・・・)

全部で40分弱の作品だったから
何か平凡だなぁ、とかは思いつつ
でも大編成オーケストラの
絶妙なオーケストレーションの響きは
充分に楽しませていただきました。

ヘンな現代音楽でワケわからんものでなくて良かった(笑)
(まぁ、そういうモノだったらウィーン・フィルは演奏しないかも)

サカリ・オラモという指揮者
どこかの中小企業の
一見地味だけど、本当はデキる課長さんという見た目で
(すみません、誉めてます)
指揮振りを見ていると、結構熱血漢 😃



明日はウィーン・マラソンというのに
(コンサート後はリング通りは閉鎖されていて
 周囲がものすごい交通渋滞だった)
風は強いし、雨も降るし
しかも寒くて
交響曲は「春の目覚め」というタイトルなのに
まだまだ春は遠い、とため息をつく私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



冗談じゃなく本当に寒いんです。
もちろん暖房ガンガン入れてます(涙)

ウィーン交響楽団 + フィリップ・ジョルダン 1回目

Musikverein Großer Saal 2017年4月21日 19時30分〜21時15分

Wiener Symphoniker
指揮 Philippe Jordan

Ludwig van Beethoven (1770-1827)
 Symphonie Nr. 2 D-Dur, op. 36
 Symphonie Nr. 7 A-Dur, op. 92

いやもう失礼な言い方なんだけど
不況に強いベートーベンというか
今回のウィーン交響楽団のチケットも売り切れ満員御礼。

ウィーン交響楽団は
来シーズンも、今度はコンツェルトハウスで
またもやベートーベン全曲チクルスを予定しているのだが
ベートーベンって人気なんですね(特に観光客に(笑))
7番はともかくとして
2番なんて、滅多に演奏されない曲なんだけど。

ジョルダンは
ウィーン交響楽団というモダン・オーケストラの音質を活かして
ピリオド奏法とかではなく
あくまでもモダンなベートーベンを目指しているようだ。

モダンでシンプルでスッキリしたベートーベンを目指すなら
リピート省略しても、とか思っちゃったけれど
リピートの省略はなし。

まだ完全に風邪は治らず
何がイヤかって、鼓膜が張り付いている感じで
音が聴こえ難いという、一番困る状態だから
私の脳内での音響処理が悪かったという可能性は大いにあるとして

あくまでも正統派で攻めてきた2番では
管がかなり目立って
その分、弦、特に第一バイオリンが
かなり痩せて聴こえてくる。

あの細かいパッセージを完璧に演奏してはいるので
音符の潰れは一切なくて
透明感はあるのだけれど
今ひとつ、弦の膨らみに欠けているような感じ。
(あくまでも主観です。耳がおかしかったせいかも)

その分、管がえらく巧くて、解像度抜群。
舞台は全然見えないけれど
どの楽器が演奏されているのか
見えなくても、しっかりわかる。

これ、スコア見ながら聴いてみたいな・・・

後半はのだめカンタービレ・・・じゃなかった
言わずと知れた7番。

この曲、えらく景気が良くて
ロックンロールかパンクかディスコ・ミュージックで(言い過ぎ)
音楽的内容が濃いとか言う曲じゃないと常々思っているのだが

こんなに聴き慣れてしまっている曲が
う〜ん、またもや、何故か新鮮に響くってど〜いう事?

で、ベートーベンってお茶目というか面白いというか
2番の出だしも、7番の出だしも
ほとんど同じじゃん!!!(爆笑)
(こじつけですけどね。でも最初に一発ドカンって・・・)

タメがなくて、リズムの不安定な揺れもなく
すごく調子よく、ノリにノッて
リピート全部ありの第1楽章の後に
アタッカで第2楽章。

ほおおおお、これ続けて演奏されると
第1楽章のリズムと違うのに
何故か一環して聴こえて来て
集中力も欠けないし、楽しいじゃないの。

第2楽章もセンチメンタルにならず
速めテンポでグイグイ攻めて来る。
文句なく楽しい。

この聴き慣れた7番なのに
メロディのボーゲンが、あっ、と思わされる箇所がいくつかある。

う〜ん、こういうモノを探してくる指揮者も凄いが
うっしっし、とニヤニヤしつつ(かどうかは知らんが)
こういうモノを楽譜に隠すベートーベンという
変人ナンバーワンのオジサンの凄さを
今さらながら思い知らされる。
(イケズ、根性悪、しかも天才(笑))

クラシック音楽が
「クラシック」という枕詞をつけられていない時代の
フリーのヒットメーカーが
ばっちり一般ウケを狙って書いた曲
・・・というと
何か高尚じゃなくて言葉が悪いんだけど

でもそれが本来の音楽のあり方だよね?

ウィーン交響楽団って多才だなぁ。
この間、ジャズっぽいインターナショナルな音楽を演奏したかと思えば
今回は古典をモダンで見事に演奏しちゃうし。
オーケストラの音色のバリエーションの多彩さというなら
今、このオーケストラがウィーンではベストかもしれない。

ベルリン・フィルのような
縦線ピッタリ揃ったスポーツカーみたいなガリガリではなくて
ちょっとウィーンらしい緩さ・・・というより
そこはかとなく匂う「優しさ」というのもあって
この雰囲気、やっぱり好きだわ。

早いところ、この風邪を完全に直さないと
音がヘンに聴こえて来ていたらイヤだしな、と
真剣に考えている私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



ベートーベンの交響曲チクルスって
何回も色々なオーケストラと指揮者で聴いて来たけれど
それでも飽きないのは何故だろうなぁ。
やっぱり、レベルの高いエンターテイメントだからだろうか(違うかも)

フィルハーモニックス 「愛と結婚について」

Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年4月20日 19時30分〜21時40分

“Liebesg’schichten und Heiratssachen”
Philharmonix in Love

Philharmonix
バイオリン Noah Bendix-Balgley, Sebastian Gürtler
ビオラ Thilo Fechner
チェロ Stephan Koncz
コントラバス Ödön Rácz
クラリネット Daniel Ottensamer
ピアノ Christoph Traxler

Johannes Brahms (1833-1897)
 Ungarischer Tanz Nr. 1 g-moll (1868) (Bearbeitung : Stephan Koncz)
Edvard Grieg (1843-1907)
 Romanza (Bearbeitung : Daniel Ottensamer)
José Feliciano (*1945)
 Feliz Navidad (Bearbeitung : Sebastian Gürtler)
Freddie Mercury (1946-1991)
 Bohemian Rhapsody (1975) (Bearbeitung : Sebastian Gürtler)
Henri Winiawski (1835-1880)
 Scherzo-tarantella g-moll op. 16 (1856) (Bearbeitung : Stephan Koncz)
Sebastian Gürtler (*1971)
 Tristans Tango (2013)
Erik Satie (1866-1925)
 Gnossienne Nr. 1 (1889/90) (Bearbeitung : Stephan Gürtler)
Stephan Koncz (*1984)
 Russische Ouvertüre nach Themen von Peter Iljitsch Tschaikowsky
Max Bruch (1838-1920)
 Kol Nidre. Adagio über hebräische Melodien op. 47 (1881)
  (Bearbeitung : Stephan Koncz)
Sebastian Gürtler
 Babarababa
Stephan Koncz
 A New Satiesfaction (feat. Première Gymnopédie)
Franz Liszt (1811-1886)
 Ungarische Rhapsodie Nr. 2 cis-moll S 244/2 (1846-51)
  (Bearbeitung : Matthias Fletzberger)
Artie Shaw (1919-2004)
 Swing (Bearbeitung : Daniel Ottensamer, Nobuo Watanabe)
Stephan Koncz
 Balkan Party

もともとは The Philharmonics という名で活動していたグループが
内部の分裂か喧嘩別れか
あるいは平和的解決なのか
ともかく内部関係者ではないので理由はわからないけれど
メンバー入れ替わりで
新しく Philharmonix という名称で再出発。

もともと室内楽はあまり聴かない私だが
一度行ってみたら
冗談音楽みたいで、えらく楽しかったので
すぐに今回のチケットを買った。

いやもう、正しく冗談音楽なのだが
それがまた、えらく高い水準でバッチリ決まる。
今回のテーマは
「愛と結婚」なのだが
きっと、前のグループの時に既に決まっていたタイトルで
多少なりとも辻褄合わせに苦労したんだろうなぁ。

「愛」は何とか辻褄合っていたが
(トリスタンとイゾルデのタンゴ!!!(爆笑))
結局、最後の最後まで「結婚」は出ませんでした。

新しくメンバーに加わった
第一バイオリンは、ベルリン・フィルのメンバーとの事だが
この人、えらくテクニカルでメカニックで
しかも音が大きくて
(最初、え?マイク?とか思ったくらい)
正確無比な音程で
目を剥く超絶技巧を、バリバリ演奏する。

いや、巧いわ、凄いわ。
さすがドイツ人、とか思ったのは
私の偏見によるものだろうが
でも確かにあのバイオリン奏法は
あまりウィーンでは聴く事がないような気がする。

クィーンの永遠の名作
ボヘミアン・ラプソディをバッハの平均律に乗せちゃったり
トリスタンとイゾルデをタンゴにしちゃったり
サティをポピュラー音楽に料理したり

いつもながらの
クラシック・ミックスで楽しませてくれる。

実はワタシ、このメンバーの中の
セバスティアン・ギュルトラーのファンで
すみません、ああいうメガネ男子に弱い、と言うのはあるが
あの芸達者なところと
(作曲、アレンジメント、ウィーン・リートなんでも来い)
何とも紙一重の不安定さが魅力的。

もちろん、個人的には存じ上げませんが
(ついでに存知あげたいという気も全くないが)
関係者各所から、時々、変人エピソードを聞くたびに
何となく悶えるのである。
あぁ、私も変人になりたい・・・けれど
ああいう天才だから、変人が似合うのである。

さて、コンツェルトハウスはえらく太っ腹で
このコンサート、全部をライブ・ストリーミングで
Youtube で配信している。

聴いてみたいわ、という方は
Youtube の Wiener Konzerthaus のチャンネルからどうぞ。
長いので、ここには嵌め込みません。

トリスタンとイゾルデのタンゴは、第一部の36分15秒くらいから。
セバスティアンの歌は第二部の説明が19分38秒くらいから。

プレイヤーも観客も
高い水準のジョークを
文句なしに楽しめるコンサートで
良い気分でコンサート・ホールを後にした私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



ウィーンは本日も雪がチラチラ。
明日の最低予想気温がマイナス1度と出ているのは
冗談だと思いたい・・・・

国立オペラ座 メデア 3回目

Wiener Staatsoper 2017年4月19日 19時30分〜21時45分

Aribert Reimann
MEDEA
Oper in vier Bildern
Auftragswerk der Wiener Staatsoper

指揮 Michael Boder
演出・舞台・照明 Marco Arturo Marelli
衣装 Dagmar Niefind

メデア Claudia Barainsky
クレウサ Stephanie Houtzeel
ゴーラ Monika Bohinec
クレオン Norbert Ernst
イアソン Adrian Eröd
ヘロルド Daichi Fujiki

Orchester der Wiener Staatsoper

イースター終わって、今4月の中旬だよね?
と疑問符が出てくるのは何故かと言うと

本日、ウィーンは吹雪でした ⛄️

車が雪でうっすら白くなる程度で
さすが都市部だから積もるという事はなかったものの
オーストリアの山岳地帯では
冬タイヤどころか、スノー・チェーンが必要な地方もあった。

自宅もオフィスも寒くて
昨日よりは回復したものの
まだ咳と鼻水、鼻づまり、その他症状たっぷりの状態で

自宅に帰っても寒いんだから
せめて国立オペラ座の暖房の効いている場所で
音楽聴きながらゆっくり寝よう
・・・と思っていた訳ではありません!!!

だいたい、何を血迷ったのか
買った席が47ユーロという
私にとっては貴賓席で
これは何と8つに分かれたカテゴリーの中で
上から6番目のカテゴリーなのである。

すみませんね、貧乏で(開き直り)
実は7番目のカテゴリーは舞台の3分の1から半分の視界がなくなり
最後の一番安いカテゴリー(10ユーロ台)は舞台は全く見えない。

ところが6番目のカテゴリーになったら
うはははははは ♡ 舞台がバッチリ、全部見える。
しかも音響も良いようだ。
(「ようだ」と書いたのは
 実は鼻づまりのために鼓膜がおかしくて
 あんまり音が聴こえないのだよ・・・ああ、悲しい)

3回目になるメデアだが
舞台がこれだけはっきりくっきり見えたのは初めてなので
舞台でいったい何が行なわれているのかが
初めて納得いった(こらこらこらっ)

キャストは先日と同じ。
突出する人も埋もれまくりの人もいなくて
歌手もオーケストラも、とてもバランスが良い。

タイトル・ロールのクラウディア・バラインスキーは
メデアの役柄に本当に合ってる、というより
正にメデアを体現していて
声量はあまりないのだが
美しく通るソプラノに、しっかりしたドイツ語のディクション。
見た目が小柄で愛くるしくて
イアソンに惚れてギリシャにやってきて
不遇に出会って不幸な感じが
いじらしく、可愛らしく演じられて

最後にイアソンを捨てて
独りで金羊毛皮を纏って去っていくところの
凛とした美しさも好き。

しかし、このアリベルト・ライマンの音楽
音楽と言って良いのか、よくわからんが
何となく耳にはサルヴァトーレ・シャリーノ風の響き。
(もっともシャリーノより、もっとリズムは見えるし
 特殊奏法はあまり使っていない)

どちらかと言えば
音響効果を巧く使った「演劇」って感じかなぁ。
オーケストラのプレイヤーも
メロディ演奏と言うよりは
フラグメント的な音型を、ほんの少し演奏して休んで
またフラグメントという
メロディを弾く事に慣れている人だったら
あれは意外に辛いかもしれない。

この作品、グリルパルツァーをもとにしているだけに
演劇的に見事な出来で
演出も暗喩的な舞台表現を充分に活用していて素晴らしい。

実は大昔にブルク劇場で
グリルパルツァーの「金羊毛皮」の演劇版を鑑賞した事がある。
ただ、この演出、50年代インテリアというか
何かイヤに日常的(しかも自分の子供の頃)で
それはもちろん、現代に通じるテーマなので
演出家に何も言う気はないけれど、ちょっと肩すかしだった。

このオペラの演出は
まるで SF 映画のような
現代でも未来でも、もちろんギリシャでもない
不思議な空間を作り出していて
衣装も美しいし
コルキス人とギリシャ人の区別もきちんとつく。
(子供がギリシャ化しているところは泣けた)

ともかく身につまされるオペラで
男性の野心の犠牲にされる女性の悲劇というか
国際結婚あるある的な(本当にあったらイヤだが)
愛に釣られて行っては見たけれど
異邦人は出てけ、みたいな偏見に囲まれて
という、まぁ、実際にはそんなにナイのだろうとは思うけれど
いかにもありそうな感じがミソ。

異国に暮らす者は苦労してるんですよ、と
全然苦労していないのに
ちょっと言ってみたくなるワタクシに
本日もどうぞ1クリックを
よろしくお恵み下さいませ。



さすがにもう3回観たら
それ以上は観る気にはなれないオペラだが
金羊毛皮を、またブルク劇場で
別の演出で上演するなら
久し振りに行っても良いかなぁ、と思ったのは事実。

国立オペラ座のトレイラーは下ですが
これ、タイトル・ロールが初演の時なので、今のキャストと違います。
バラインスキーの方が、もっとずっとキュートです ♡


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