イワン雷帝 映画と音楽 ウィーン放送交響楽団

Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年6月23日 18時30分〜22時30分

ORF Radio-Symhonieorchester Wien
Wiener Singakademie
メゾソプラノ Marina Prudenskaya
バス Aleander Vingradov
アルト Dietlinde Gattinger, Christa Schwarz, Andrea Zimmermann
指揮 Frank Strobel

Sergej Eisenstein (1898-1948)
“Iwan der Schreckliche I/II” (UdSSR 1944/1958)
Sergej Prokofjew (1891-1953)
Musik zu “Iwan der Schreckliche” op. 116 (1942-45/61/2016)

コンツェルトハウスの大ホールでの「映画と音楽」シリーズは
今回はセルゲイ・エイゼンシュタインの最後の作品
「イワン雷帝」の一部(103分)と二部(88分)に
オーケストラとソリストとコーラスを付けちゃうという
まぁ、贅沢というか長丁場というか(笑)

映画に造詣が全くない私でも
エイゼンシュタインの名前(だけ)は知っている。
戦艦ポチョムキンとか言う作品があるのも知っているし
(見た事はない(恥))
イワン雷帝という映画があるのも知っていた。
(見た事はなかった(恥))

開始時間が18時30分と言う事で
仕事していたら諦めるところだが
いやもう、リタイアしちゃったからね。
(ちょっとだけ仕事してるが)

最貧民席でも20ユーロを超えるチケットだけど
舞台には大規模オーケストラがずらり真っ黒の衣装で揃って
大規模コーラスが、またずらり真っ黒の衣装で揃って
大スクリーンの映画にはドイツ語の字幕もしっかり出てくる。

映画のテクニカルな事はま〜ったくわからないけれど
(モンタージュ技法とか、そういう事については完璧無知)
顔の大写しアップがかなり多くて
第二部では、まるで歌舞伎のメイクみたいなイワン皇帝が
ミエを切ったりしていて
なんか歌舞伎に似てるなぁ、と思ったら
エイゼンシュタインは歌舞伎のファンだったそうで(爆笑)

最初の話は
イワンが皇帝になって
貴族の反発にもめげず、民衆を味方につけて
あちこちを征服して行くのだが
最愛の妻を毒殺され
いじけて田舎に引っ込んだら
大衆からモスクワに呼び戻されるという

まぁ、スターリンのプロパガンダ映画と思えば
当時のソビエト連邦の感覚だと
こういう、民衆を味方につけて云々はウケるだろうなぁ。

でも映像がキレイ、というより
カメラワークが面白い。
陰謀している貴族の顔のアップや
それに対するイワン皇帝のアップが
その時の感情を、ものすごい印象で伝えて来るし
白黒ではあるのだけれど(第二部は一部カラーもある)
衣装やセットがものすごく凝っていて美しい。

イワン皇帝の人物像も、かなり複雑な表現になっていて
主人公なのに悪人だか優れた政治家だか、よくわからん。
第二部では子供時代に他の貴族から
母親を殺されて、貴族を信用してはいけない、と言われた追想が出てくるし
第一部の終わりから第二部にかけて
たった一人で、誰も信頼できず
友情に飢えた、孤立した人間像も現れてくる。

イワン雷帝を演じた俳優さんは
主人公なのに、全然イケメンじゃなくて
ヒゲをはやしたりして、ますますヘンで
クルプスキーの方が、ずっとイケメンだったし
妃のアナスタシアは、すごい美人。

第二部で
皇帝の地位を狙うエフロシニアの息子のウラジミールに
ツァーの衣装を着せ
エフロシニアの刺客は、イワンだと思ってウラジミールを殺してしまう。
その後に吐くイワンのセリフが
「殺人は無罪。この刺客が殺したのは、ただのツァーという名前だ。
 ただのビーバーの毛皮を纏った象徴だったのだ」
・・・って、何だかむちゃくちゃ深いんですけど。

みんなから嫌われている事を自覚して
なら、本当に The terrible (der schreckliche) になってやる、と
開き直るシーンも印象的。

一部カラーで撮っている部分の色彩は
白黒でずっと見ていた目には、ギラギラしてすごい。
本当に歌舞伎の世界だわ。

この頃の俳優さんの「目」のちからも圧倒的。
信じられないクローズ・アップをしているから
ますます凄い印象を与える。

音楽はプロコフィエフ作曲で
イワン雷帝のテーマが繰り返し現れ
教会のシーンでは、コーラスのミサ曲が印象的。

しかしまぁ、名画を鑑賞して
ナマの迫力たっぷりな演奏を聴いて、というのは
実に贅沢な時間だなぁ。

来シーズンは
オーストリアのローベルト・ラントの無声映画
ロッテ・ライニガーのアシュメッドの冒険
ムルナウのタルチュフにトーンキュンストラーというのは食指を唆るし
カリガリ博士の監督のロベルト・ヴィーネの「薔薇の騎士」も行きたい。
アベル・ガンスの「私は弾劾する」なんていうのもある。

まだまだお楽しみはいくらでもあるなぁ、と
ウハウハしている単純な私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



マルカンドレ・アムラン ピアノ・リサイタル

Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2017年6月22日 19時30分〜21時30分

ピアノ Marc-André Hamelin

Joseph Haydn (1732-1809)
 Sonate C-Dur Hob. XVI/48 (ca. 1789)
Samuel Feinberg (1890-1962)
 Sonate Nr. 2 op. 2 (1915)
 Sonate Nr. 1 op. 1 (1915)
Ludwig van Beethoven (1770-1827)
 Sonate f-moll op. 57 “Appassionata”
Franz Liszt (1811-1886)
 Nuages gris S 199 (1881)
 Sonate h-moll S 178 (1852-53)

マルカンドレ・アムランというカナダ出身のピアニストは
日本ではかなり有名らしいが
こちらではマスコミに大々的に取り上げられる事もなく
比較的知られていない。

・・・というより
日本で大騒ぎされたのは
昨年のショパン・コンクールで2位になった
シャルル・リシャール・アムランだったのかしら。

まぁ、別にどうでも良いけど(笑+開き直り)

ミーハーな私は
日本でそんなに人気なのか、と
普段行かないピアノ・リサイタルに足を運んだ。

ハイドンのピアノ・ソナタ。
第一楽章は技術的には簡単な感じだが
これを徹底的に音に拘って、丁寧に丁寧に弾いているのを聴くと

今、ポピュラー・ピアノで BGM で演奏されるような曲が
100年後には、こんなに
「楽譜に忠実で神経質そうに音の一つ一つに拘って」
弾かれるようになるんだろうか、という妄想がふつふつと湧いて来る。

第二楽章は結構な超絶技巧で、すごい速さで
楽しく弾いてくれたから
あぁ、当時もピアノ(いやピアノはなかっただろうが)が巧い人が
きっと、ほら見ろ、ほら聴け、うっしっし、すごいだろ
・・・とは言わなかっただろうが
そういう感じで弾いていたのかなぁ。

次の曲の作曲家、サムイル・フェインベルクって
勉強不足で知らなかったが
ロシア(当時はソビエト連邦)のピアニストで作曲家だそうで

この初期のピアノ・ソナタ
ロマン派の香りがして超絶技巧で
ピアノの音の重なりがちょっとスクリャービン風で
さっきのハイドンと全く違った響き。

こういうロマン派の音楽の方が
このピアニストには合っているような気がする。
すごく活き活きした美しいピアノの和声がホールに響いて来る。

ベートーベンの「熱情」ソナタだけど
実はこの間、ウィーンで行われた
ベートーベン・ピアノ・コンクールの課題曲で
インターネットの配信があったので
結構、それで聴いてて、ちょっと今、食傷気味で・・・
(すみません)

でも私が楽しみにしていたのは
後半のフランツ・リストである。

最初の Nuages Gris は5分ほどの作品。
ご存知の通り、晩年のピアノ・スケッチ。

・・・これ、とんでもない曲じゃん (・_・;

ほとんど無調で、まるで現代曲。
あまりにぶっ飛びすぎ。
これ、ホントに1881年の作品???

こういう曲を聴いてしまうと
リストって、作曲家として天才だったんだなぁ、と
しみじみ思う。
ド派手な曲はよく演奏されるけれど
(愛の夢3番とか(笑))
実はリストの巡礼の年なんか、私、ものすごく好き。

さてぶっ飛んだ曲に続けてロ短調ソナタに突入。
ロ短調ソナタは、ああいう出だしなので違和感はない。

で、これが、これが、これが・・・
すごくすご〜く良かったのだ(感涙)

実に不思議な曲で
感情任せの超絶技巧の部分があるかと思うと
それこそ、クルタークのお得意とする
「一音に世界を見る」という部分もあって

こういう曲って
ある程度、人生を味わって来た年配の方が
楽しめるような気がする(独断です)

アムランのピアノは決して乱暴にならない。
(ピアニストによっては時々、叩きつけるような印象になる)
体幹がほとんど動かず
柔らかい肘と手首だけで
とんでもない色彩をホール全体に弾けさせる。

ペダルは多様するけれど
音がクリアで、音響に色彩感があって
派手な「聴かせる」部分では
乱暴ではないのに激しく
歌う部分は充分に歌わせて
低音の一音・一音が深くて静寂を漂わせている。

酸いも甘いも嚙み分けた・・・って感じ。
ああいう「味」は
やっぱりある程度の年齢にならないと
(弾いている方も聴いている方も)
出て来ないような気がする。

あまりピアノ・リサイタルに行かない私は
このリストのソナタも、多分、ナマでは初聴きだと思うが
CD とかで聴くのと全く印象が違う。

小ホールで親密な空間で
緊張感持って集中して聴くって気持ち良いなぁ。
(まぁ、あの静寂の中でプログラム捲ったり(響くんですこれが)
 身体の位置を変えて(足を組むとか・・・そのタイミングでやるか?(怒))
 椅子をギシギシというのも多少はあったけれど
 楽友協会に比べたら、遥かにマシ)

実は今日は、ちょっとタイヘンな事があって
(仕事の話ではありません(笑))
ちょっと凹んでいたのだけれど
このロ短調ソナタで
精神的落ち込みからは即立ち直った
単純な私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



コンサート終わった後も、まだ33℃。
湿気が30%くらいなので、そんなに感じないが。

それよりも最近、ウィーン市の道路事情が最悪で
まだ休みが始まっていないのに道路工事が始まったりしているので
交通渋滞が半端じゃなくスゴイ。
本日、会社に行くのに、普通は30分のところを1時間半かかったわよ(怒)

ウィーン交響楽団 + フィリップ・ジョルダン

Musikverein Großer Saal 2017年6月21日 19時30分〜21時30分

Wiener Symphoniker
Singeverein der Gesellschaft der Musikfreunde in Wien
指揮 Philippe Jordan
ピアノ Jean-Yves Thibaudet
ソプラノ Anja Kampe
アルト Daniela Sindram
テノール Burkhard Fritz
バス René Pape

Ludwig van Beethoven (1770-1827)
 Frantasie für Klavier, Chor und Orchester c-Moll, op. 80
  “Chorfantasie”
 Symphonie Nr. 9 d-Moll, op. 125

ウィーン交響楽団とフィリップ・ジョルダンは
今シーズン、ベートーベンの交響曲を演奏して来て
(来シーズンはコンツェルトハウスでまたチクルスをするらしい)
今シーズンの最後は、もちろん交響曲9番
・・・だけだと短すぎるので(笑)合唱幻想曲のオマケ付き。

コンサートは本日と明日で
本当は2回目の方が良くなっているとは思うんだけど
明日はちょっとミーハーになる予定なので(秘密です)

その代わり、歌手の声がちゃんと聴こえるように
今回は清水の舞台から飛び降りるつもりで
(最近、飛び降り過ぎ・・・(冷汗)(^^;;
バルコン・ロジェの45ユーロの席を買った。

どうせ舞台は何も見えないけれど
歌手の声はまっすぐ飛んでくるから音響は良いはず。

合唱幻想曲って、確かこの間、聴いたばっかりだよね。
同じオーケストラでブフビンダーの指揮振りで・・・
(6月3日のコンツェルトハウス。おヒマな方はこちら

オーケストラのメンバー、みんな忙しいから
リハーサルに時間を取られないようにしたのかしら?(邪推)

ジャン=イヴ・ティボーデのピアノは
ブフビンダーの構成のクリアな如何にもゲルマン的な演奏と比べると
構成とかよりは
もっと音の色とか、深みとかが前に出て来ていて
最初のソロの時に
うわあああ、あんなペダルを多用しても音が濁らない
と驚いていたら、和音が重なる部分になったら

このピアノ、ほとんどオーケストラじゃん !(◎_◎;)
すごい色彩感と多重な手触りがあって
いや失礼ながら、もうオーケストラ要らん(ごめん)

音の響きが良い席だったので
ピアノの高音でのトリルが響き過ぎて
ちょっと神経をガリガリやられたけれど
それだけティボーデのピアノの存在感が半端じゃないのである。

オーケストラとコーラスとの一体感が
イマイチだったのは、私の耳がおかしいのだろうが
ピアノの音色があまりに際立っていた、というのもあるかも。

前の2列目に居たカップルは休憩時間の後に戻って来なかったが
まさか、合唱幻想曲を、交響曲9番と思って帰ったんじゃないだろうな。
確かに合唱幻想曲ってメロディ的には、9番の最終楽章に似てるし
まぁ、でもそれは余計なお世話(笑)

さて、メインのベートーベンの交響曲9番。
大規模なオーケストラとコーラス、ソリストが必要なので
演奏される機会は少ないけれど
ちょっと仕事のトラウマで、この曲、冷静に聴けなかった時期もあった。

今日は仕事じゃないけれど
朝から、結構、イヤな事もあって
クサクサしていたので、多分、この曲を聴く体調じゃなかったかもしれない。
(ちょっと睡眠不足もあって・・・仕事じゃありませんが。
 ついでにラブラブの色っぽい話も全くありません)

やっぱり、こういう名曲になると
自分のイメージが決まってしまっているし
本日はいつもの超貧民席ではないので
オーケストラの音の聴こえ方も違う。

舞台から離れている分
音のまとまりは良いのだけれど
パートのクリアさは犠牲になっていて
印象として、中心になる核がグラグラしているような印象。
(はい、これ、個人の好みです)

名曲を演奏して
聴衆にそこそこ印象付けようと思ったら
かなり変わった事をする以外に現代では方法がないわけで

ジョルダンは、テンポだけは超高速で取ったところはあるけれど
(ホルンのソロ、お疲れさまです。かなりギリギリだった)
それ以外の部分は、かなり正統派の奇を衒わない演奏だったと思う。

だからちょっと拍子抜けするほど
ルーチンワークに聴こえて来てしまったりする(すみません)
すごく細かい部分まで真剣に演奏しているのはわかるけれど
いまひとつ、こちらを揺さぶるだけの熱に欠けている
・・・と思っていたら

最終楽章で起きた・・・というか
ルネ・パーぺのバスのソロが鳥肌モノで
あんな声量で(しかもオーケストラとのバランスを崩さず)
あの美声で「おお、友よ」と語りかけて来られたら悶絶する。

テノールのブルクハルト・フリッツが
ものすごく良くて仰け反った。
声は出るし神経触らないし、怒鳴ってないし
どこにも無理がかかっていない。

この人、ヘルデン・テノールだ、と思ったら
やっぱりバイロイトで歌っていた人で
私も2011年3月9日のオペラ座の「ナクソス島のアリアドネ」で
テノール役(バッカス)で聴いて、絶賛していたわ(笑)

ソプラノが多少叫び声になってしまうのは仕方ないけれど
それでも叫びにならないように抑えていたし
この4人が一緒に歌うところが、まぁ、見事で聴き惚れる。

楽友協会の合唱団は優秀だし
いつもの通り素晴らしかったんだけど
ちょっと・・・ごめん、今回は大味だなぁ、という印象。
でも、最後になってオーケストラもノリノリになって来ていたし
拍手のタイミングがちょっと早すぎたのは残念だけど
私の心理状態や体調の関係もあって
あんまり感激しなかったのは、まぁ、仕方がない。
そういう時もある。

ただ、ソリストの4人は、本当に素晴らしかったので
満足している私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい(手抜き記事ですが・・・)



オーストリアは猛暑で
連日30度を越えているけれど
みんな、それにふさわしい、すごい格好(半裸とも言う)で歩いているので
私もタンクトップでうろついております(笑)

ウィーン・ピアノ・トリオとマーク・パドモア

Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2017年6月20日 19時30分〜21時50分

Wiener Klaviertrio
バイオリン David McCaroll
チェロ Matthias Gredler
ピアノ Stefan Mendl

テノール Mark Padmore

Richard Rodney Bennetto (1936-2012)
 Tom O’Bedlam’s Song
Franz Schubert (1797-1828)
 Harfenspieler I D 478 “Wer sich der Einsamkeit ergibt” (1816/22)
 Harfenspieler III D 480 “Wer nie sein Brot mit Tränen aß” (1816/22)
 Harfenspieler II D 479 “An die Türen will ich schleichen” (1816/22)
Thomas Larcher (“1963)
 A Padmore Cycle.
  Lieder (Fassung für Tenor und Klaviertrio) (2010-11/2017)
Franz Schubert
 Herbst D 945 (1828)
 Auf dem Strom D 943 (1828)
Ludwig van Beethoven (1770-1827)
 Klaviertrio B-Dur op. 97 “Erzherzog Trio” (1811)

日中の気温が30℃を越えた真夏日の夕方
隣の大ホールではルドルフ・ブフビンダーのピアノ・リサイタル。

もちろんチケットは持っていたし
ブフビンダーは好きなので
普通だったら、隣のホールの室内楽には行かないのだが

ええええええっ?!
何故にこんな目立たないところに
テノールのマーク・パドモアの名前が・・・ (*_*)

目がテンになって慌ててチケットを購入。
だって、マーク・パドモアって
滅多にウィーンに来ないし歌ってくれないし

今回のコンサート、貧民席含めて
結構、席が空いていた、というのは、どういう事なんだろ?
同じテノールでもヨナスなんとか(商人)という
チケットが全く手に入らない人もいるのに(関係ないか)
オペラとかで華々しく歌わないからかな。

パドモアのナマの声は
2011年6月9日に初めて聴いて、えらくショックを受け
その後、2014年11月27日にリサイタル聴いて
もちろん、CD のマタイ受難曲も即購入してある。
実際に聴く機会がないのは本当に残念だが。

今回のコンサートは、現代音楽もテーマになっていて
最初はリチャード・ロドニー・ベネットの歌(英語)
1600年頃の無名の詩人の歌詞で
精神的な患いを持っている乞食の語りかけという内容。

伴奏は(珍しい事に)チェロのみ。
最初から激しいチェロに
声量最大限のテノールが入って来て
僕が食物や餌や飲み物や服を乞うて歌っている時に
どうぞ逃げないでおくれ
哀れなトムは貴女がたに何もしないから
というのがリフレインで入ってくる。

どんなに声量が大きくなっても
英語のテキストのクリアさに影響がなく
はっきりと聞こえる上に
リフレインの静かな語りかけが
この上なく甘くて優しくて

ああ、もう、本当にホロッとしちゃうんですけど
しかも現代音楽で・・・

チェロの響きが、また豊かで
小さいホールの良さって、本当に素晴らしい。
こういう曲って、大ホールで聴いたら台無しだと思う。

シューベルトの「竪琴弾きの歌」は有名だけど
ものすご〜く久し振りにナマで聴いたような気分。
聴いてみれば歌詞もメロディも頭の中に入ってはいるのだが
(子供の頃に聴いたものって、本当に忘れない、不思議な感じ)

英語で現代曲を歌っていたパドモアが
突然、完璧なドイツ語で歌い出すと
イメージが全く違ってビックリする。

しかしこの人のテキストって
何てクリアで美しいのだろう。
ドイツ語の発音の一つ一つが実に見事で美しく
それが音楽として成り立っていて
しかも正統派ドイツ・リートの抑制が効いていて
端正で理性的で、感情任せにならないのに
時折のぞかせる、その限りない甘い優しさって何なんですか。

クール・ビューティで理性的でインテリジェンスを感じさせるのに
それが冷たくならず
信じられない程の温かみと人間の体温が伝わってきて
抑えられた悲しみが大袈裟にならず
心の深いところに、しっとりと届く。

マーク・パドモアの声の質はハイ・テノールなのだが
本当にこの人、何という美声なんだろう。
低い部分もテノールの色のまま
高音になると、何とも言えない甘さが加わって
体感的にジンジンして来てしまう。

・・・こういう声を女殺しと言うんじゃないか(違!)

しっとりして哀愁を帯びたシューベルトの後は
オーストリアの作曲家、トーマス・ラルヒャーが
オーストリアの詩人 ハンス・アッシェンヴァルトと
アロイス・ホルシュニックのテキストに作曲したもの。
(詩人は二人とも 1959年生まれ)
パドモアの声と芸術性を視野に入れていて
今回が初演になる。

ピアノ・トリオとテノールの組み合わせで
テキストは非常にフラグメンタルだけど

うわあああ、こういう音響、好きですワタシ (*^^*)
Sprechstimme と
ピアノの弦を叩いたところが
ぴったりと音響的に一致する部分には
鳥肌がたった。

アトナールとトナールの組み合わせが絶妙で
テキスト(ドイツ語)の内容は
ものすごく抽象的なんだけど
単語の一つ一つが「立って」いて
音響のバリエーションが豊かで
演奏時間25分が、あっという間だった。

ピアノの弦のいくつかを
持続的に鳴らしてたけど
あれはどうやったんだろう?

途中で弦に貼ったテープを剥がすというのもあったけれど
残念ながら、これはさすがに音が小さ過ぎて
隣の年配ご婦人お二人が
大きな音を立ててプログラムのページを捲っていた音に
かき消されました(涙)

最後にシューベルトの「秋」と
ピアノ三重奏の伴奏での「流れの上で」
これがまた何ともロマンチックで
でもロマンチックになり過ぎない抑制があって

あぁ、もう、このパドモアの歌って
ツンデレからツンツンにはなるわ
デレデレにもなるわ
相反する要素を全て含めていて
インテリジェンス溢れているのに甘くて切ない ♡

前半のマーク・パドモアがお目当てで来たので
後半のベートーベンのピアノ三重奏曲「大公」なんて
何の期待もしていなかったのだが

実はこれがむちゃくちゃ面白かった(笑)

すご〜くマジメでシリアスで神経質そうで
ちょっとおちょくったら、怒らせると恐そうな男性3人が
恐るべきマジメさで演奏するのだが

室内楽って、こんなに楽しかったっけ?
というよりは
ベートーベンの室内楽って
こんなにぶっ飛んでるんかいっ?!

オーケストラとバレエの追っかけをしている身としては
室内楽まで手が回らないし
室内楽って、オーケストラのような色彩感もないし、と思っていたけれど

やっぱり音楽ってナマで聴かないとわからないですね。
だってもう、何だかこのぶっ飛びベートーベン
異様に可笑しいんですもん(ちょっと違うかもしれない)

交響曲では整合性に命をかけているベートーベンが
室内楽で、むちゃくちゃ遊んでいるのがわかる。
おい、それやるか?みたいな部分が次から次に出てくるし
ここでいっちょう、観客を驚かせたれ、としか思えないフレーズがあるし
(第3楽章からアタッカの第4楽章。隣の老婦人は思わず笑ってた)

とことんマジメに見える男性3人が
それぞれに視線と体の動きでコンタクトしながら
ひたすらマジメに演奏しているのが、また楽しくて
いや、演奏している方々は、そりゃシリアスに演奏しているのはわかるけれど
見ている側としては、そのシリアスさが
まるで演劇のような感じになっていて、目が釘付け (・_・

前半終わった後で帰らなくて良かった。
室内楽のファンじゃないのに
室内楽って、こんなに楽しいのか、と
ちょっとビックリしてしまった。

とは言え
これ以上のコンサートに行くだけの
お金も時間も体力もないので
室内楽にハマるのは避けなければ、と
今の時点では決心している私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。


ペレアスとメリザンド 国立オペラ座(初演)

Wiener Staatsoper 2017年6月18日 19時〜22時20分

Claude Debussy
PELLÉAS ET MÉLISANDE
Drame Lyrique in fünf Akten / Text vom Maurice Maeterlinck
指揮 Alain Antinoglu
演出・舞台・照明 Marco Arturo Marelli
衣装 Dagmar Niefind

アルケル Franz-Josef Selig
ジュヌヴィエーヴ Bernada Fink
ペレアス Adrian Eröd
ゴロー Simon Keenlyside
メリザンド Olga Bezsmertna
イニョルド Maria Nazarova
医師 Marcus Pelz
ベレアスの父 Andreas Bettinger
Orchester der Wiener Staatsoper
Chor der Wiener Staatsoper
Bühnenorchester der Wiener Staatsoper

今シーズンの新作となるドビュッシーのペレアスとメリザンド。
いや、あの、その、オペラ苦手で普通なら行かないんだけど
たまたま日曜日の夜、ぽっかり空いていたし
(あっ、午前中はウィーン・フィルの3回目に行っていましたが
 さすがに3回目になると書く事がなくなるので止めました。悪しからず)

実はこのオペラ
2009年の1月22日と25日にウィーン劇場で
ウィーン放送交響楽団+ビリーのプロダクションで
ナタリー・デッセイがメリザンドを歌った時に鑑賞している。

ご存知ワーグナーのアンチテーゼとして
愛の告白は一言、ジュテームだけ(しかもオーケストラ伴奏なし)
というのが何となく気に入って
(別にワーグナー嫌いじゃありませんが
 愛してる、愛してる、愛してる、というのがイヤなので
 ご存知の通り、これでもか、というイタリア・オペラも苦手です)
どうせ1回だけなら良い席を買っちゃえ

とは言っても、天井桟敷の立ち見席の前の49ユーロですが f^_^;)

オペラの場合は私がバレエで愛用している
ロジェ(ボックス)の後ろは音響が悪いので避ける方が良い。
舞台がある程度見えるのを期待するなら
このカテゴリー以下では買わない方が良い。
(これを無駄遣いに対する自己正当化と言う)

さて、舞台は黒を色調にした暗い舞台なのだが
何と、舞台の3分の2がプールになっていて
本当に水が張ってある。

これで何日か続けて上演するならわかるけど
(水は汚れそうだが)
毎日違う演目で上演しているのに
このプロダクションがかかる度に
舞台の上にプール、というか湖というか水溜りを作るわけか(ため息)

ウィーン劇場の上演の時には
小さいプール・・・というより
風呂桶みたいなもので作っていた記憶があるが。

さすが国立オペラ座(予算が潤沢?)

で、このプロダクション、すごく良い (^ ^)
演出も舞台も歌手もオーケストラも素晴らしい。

手放しで褒めてしまうと、それ以上、書く事がなくなるんだけど
みんなフランス語が美しく
(とは言え、私はフランス語は解しないので正確なところはわからん)
音量のバランスが見事に取れていて
一部の歌手が声量で飛び出したりする事がない。

アルケルの深いバスは魅力的だし
キーンリサイドの DV 男のゴローは
ちょっとナヨナヨっぽく優男の
エレードのペレアスとの対比が際立つ。

イニョルドを演じたマリア・ナザロヴァに感嘆。
声もキュートで可愛いけれど
それより何より、あの演技力は何なんですか!!!
どう見ても少年としか思えない動きで
最初から最後までの存在感がすごい。

最後にお父さん(ゴロー)の自殺を止めるシーンがあるのだが
あそこまで演技が出来ると、この場面が非常に活きる。
何とこの歌手、最後に花束もらった時にも
まるで小さな男の子がやるように舞台でジャンプしてた。

エレードのペレアスが、えらくカッコいい。
エレードって色々な役を歌っている器用な歌手だが
私のイメージは
ウエルテルのあの嫉妬深い、ねっとりした冷血男アルベールなんだけど
今回は反対に嫉妬されて、(暴力的な)兄にグサッとやられてしまう役。

恋心を抑えてメリザンドと寄り添うのが
本当にサマになっていて、ちょっとドキドキする。

それを察したキーンリサイド演じるゴローが
どんどん自暴自棄の暴力的になって行くのが
またこれ、キーンリサイドに合ってるんですよ。

キャスト見た時には
え?キーンリサイドもエレードも
どちらかと言えばハイ・バリトンの声質なのに
同時に舞台に乗せちゃって大丈夫かしら、と思っていたのだが
二人とも対比的な兄弟を見事に演じ分けていた。

ペレアスはテノールの音域もあるのだけれど
エレードが、またこれを、この上なくチャーミングに歌ってしまうの。

メリザンド役のオルガ・ベッツメルトナって
どこかで聴いたか見た記憶があるので探ってみたら
2012年のヌレエフ・ガラの時のリヒャルト・シュトラウスの
最後の4つの歌を歌っていて
引き続き、2014年のバレエの同演目で歌い続け
ナクソス島のアリアドネでエコーを歌っていた歌手だった。

ちょっと体格は立派とは言え
目立つ程ではないし
後半はどちらにせよ、お腹が大きいから目立たないし
声は透き通ってキレイで
あの長い髪のカツラで、かなり魅力的なメリザンドだった。

・・・けど、このプロダクション
こぞって男性役の歌手が素晴らし過ぎる(笑)

話はメーテルリンクの禁断の愛なんだけど
ワーグナーのアンチ・テーゼとか言われつつ
オーケストラなしのジュテームの後
ジュテーム・オゥシと返した後に

何だよ、延々とプッチーニばりのラブシーンが続くじゃないの (-_-)

そこでイチャイチャとラブシーンをしているから
ゴローに見つけられて殺されちゃうんだわ。自業自得(すみません)

それに、ご老人のアルケルが
老人になると、時々若い肌を感じたい時があるのだよ
このキスは気持ち良いかい

・・・って、何なんだ、このエロ老人は!!!

ゴローが弟虐めで、沼のとんでもないところに連れていくシーンなんか
本当にあっという間の数分なのに
わざわざ舞台装置を作っているのも大変だなぁ・・・

舞台3分の1が水溜り(プール)で
最初から最後まで象徴的にボートが出てきて
(ボートとして使ったり、ベッドになったりする便利モノ)
演出的には、とてもまとまっている。

エレードとキーンリサイドは
何回もずぶ濡れになっているけど(お疲れさまです)

ウィーン国立オペラ座管弦楽団って
あんなフランスの響きも出せるんですね、ってちょっと驚いた。
あくまでも透明で繊細な色彩を持って
歌手の声を潰さず、そっと寄り添う印象。

もっともこのオペラ
フランス語をそのまま音楽にしたような曲なので
美しいメロディで大いに盛り上がる、というものではなくて
あぁ、これ、フランス語がわかったら
半分以上演劇になって、面白いだろうなぁ、とつくづく思う。

そんな繊細な音楽の時に
前半(約2時間)ずっと
ヒソヒソ声で話していた観客が居て
(ヒソヒソ声は非常によく聞こえるのである)

ドビュッシーであれやられると
神経をノコギリで切り裂かれるような拷問だったが
幕間に誰かが係員にご注進になったのか
後半(約1時間)はヒソヒソ声はなくなったので

集中して聴けたのは実は幕間の後だけだったという
ちょっと悔しい私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



このプロダクション、本当にものすごく良いので
チャンスがあれば、あと数回、観ても良いと真剣に考えてます。


ラ・マンチャの男 フォルクス・オーパー

土曜日のダブル・ヘッダー。
時系列に読みたい方は こちら からどうぞ。

下は夜の部です。

Volksoper 2017年6月17日 19時30分〜21時15分

Der Mann von La Mancha
Musical in zwei Akten
Buch von Dale Wassermann
Gesangstexte von Joe Darion
Deutsche Fassung von Robert Gilbert
Musik von Mitch Leigh

指揮 Lorenz C. Aichner
演出 Olivier Tambosi
舞台・衣装 Friedrich Despalmes
振付 Stephan Brauer

ドン・キホーテ(セルバンテス) Robert Meyer
サンチョ(弟子) Boris Pfeifer
アルドンザ Patricia Nessy
居酒屋(管理人) Christian Graf
神父 Christian Drescher
カラスコ博士(男爵) Christian Dolezal
アントニア Martina Dorak
床屋・アンセルモ Jeffrey Treganza
家政婦 Wolfgang Gratschmaier
マリア Susanne Litschauer
囚人 Lorna Dawson, Josephine Niesen, Oliver Liebl, Thomas Huber
Roman Martin, Jakob Semotan, Maximilian Klokow
ギタリスト Jonathan Bolívar
裁判官の声 Peter Matić
Orchester der Volksoper Wien
Komparserie der Volksoper Wien

今回29回目の上演となる
ミュージカル「ラ・マンチャの男」だが

ごめんなさい!!!!
私、映画も知らないし
ドン・キホーテと言ったら、バレエしか知らないので
(それも問題だと思うが)

あの、フォルクス・オーパーの総裁の
ローベルト・マイヤーが主演と聞いただけで
爆笑・コミカルもののミュージカルだとばかり思っていました(汗)

いやいや、行ってみたら
最初から最後までマジにシリアスで
人生訓たっぷりの、う〜ん、ある意味、ちょっとクサイくらいの
時々、かなり気恥ずかしいというか

でも、最後まで鑑賞すると
それはそれなりに、かなり感激してしまう
良い出来のプロダクションだった。

劇中劇で、さらにその中に幻想の部分という
3段組みの構成になっていて
筋書きはかなり面倒なので省略する(すみません)

上演前から舞台は観客席のギリギリまで作られていて
舞台の上で、黒い囚人服の男女が
ジェラルミンの箱の上に腰掛けたり
タトゥを入れた逞しい腕で腕立て伏せしていたり
拳法の型をやったりしていて

最初から筋肉隆々を見られて、何かちょっと嬉しい(笑)
(別に筋肉オタクではありません)

で、オーケストラ・ピットがないけど
プログラムにはオーケストラと書いてある???

携帯電話とか撮影禁止とかのアナウンスもなく
突然、すごい音がして会場が突然暗くなり
舞台の上手(かみて)から
でっかい階段が降りてきて
そこに登場する
フォルクス・オーパー支配人のローベルト・マイヤー
いや、セルバンテスと、その弟子。

舞台は「監獄の中」なので
インテリジェンス溢れる小男のセルバンテスを
強面の筋肉隆々の、荒々しいお兄さまたちが虐める。

この喧嘩の場面がかなり長くて参った。
平和を愛する大和撫子の私は、こういうシーンは苦手なのだ。
(色々とツッコミもあるだろうが勝手に却下)

で、手下の持っていた箱から
メイク道具、つけ髭とか甲冑とか出してきて
そこから始まるドン・キホーテの話。

居酒屋のアルドンザをドルシネア姫と見て
愛の告白・・・・が
ド・シリアスで
しかもマイヤー、もともと俳優さんなので
演技力は抜群なんだけど

ああいうオジサンに熱い目で見られても・・・
ちょっと恥ずかしいというか、困惑すると言うか
いや、演技ですよ、演技。
だけどヘンにリアルで(汗汗汗)

しかし、このメンバー
全員、歌うは踊るは、すごい活躍。
最初から筋肉隆々のダンサー体型の出演者ばかりだったので
期待は大きかったけれど
その期待を裏切らない素晴らしいダンスの振付。

もちろん、喧嘩のシーンや
アルドンザのレ○プのシーンなどの振付も素晴らしい。
日本のチャンバラ映画の殺陣と同じように
しっかりと振付してあって、それがピッタリとハマるので
リアルに見えるけれど、動きとしての美が完成されている(脱帽)

しかも、この舞台、ものすごい角度で傾斜してるんですよ?
あそこで、あのバランスで、あのダンスが出来るって、ちょっと絶句。

鏡を見て、ドン・キホーテから正気に戻った
アロンソ・キハーナは死の床につくのだが
そこにアルドンザが現れて
私の事をドルシネアと言って愛してくれたじゃない、と詰め寄るが
アロンソ・キハーナは正気に戻ったので
ドン・キホーテの頃の事は思い出せない。

で、最後にセルバンテスに戻った主人公は
異端裁判に呼び出されていく、という

かなり、いや、もろにシリアスな悲劇で
人生訓たっぷりのお話で
まさか、こんなク○マジメなミュージカルとは知らなかった。

・・・でも、実はかなり夢中になって観ちゃった (^ ^)
ミュージカルだからマイク付きだけど
さすがにフォルクス・オーパーで、音量のバランスが的確。
後ろに入ったオーケストラとの連携も見事だし
音楽がチャーミングだし
それに、ダンスがすごく巧い ♡

アルドンザを演じた歌手が
ものすごく若くてキレイという訳じゃないのに
動きは美しいし、声は出るし
演技がものすごく巧くて、どんどん引き込まれてしまう。

従者(サンチョ・パンサ)を演じた歌手も
キャラクター作りが巧い。
悲劇でシリアスになるところを
その明るさで救っていて好感が持てる。

ローベルト・マイヤーは
もともとブルク劇場の俳優さんだから
そりゃ巧い。歌も歌えるし、声も出るし
コミカルなところも、シリアスなところも巧い。
ほら、僕、スゴイでしょ、というところは多少鼻につかないでもないが
まぁ、俳優なんて、目立ってナンボの世界だから
この人の持ち味だしね(笑)

あ、オーケストラですが
舞台の向こう側で演奏してました(笑)

ドイツ語のセリフが中心で
演劇っぽい作品ではあるけれど
音楽的にも、舞台としても、かなり水準が高い。

休憩のない一幕モノで
最初はちょっとだらけた部分もなかった訳ではないが
後半になるほどに緊張感が高まって非常に良い感じ。

来シーズンの上演はないので
6月の残り公演3回で終わりになるので
観たい方は急いでどうぞ。

多少フォルクス・オーパーの回し者っぽくなっている私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。


ウィーン・フィル + マリス・ヤンソンス2回目

Musikverein Großer Saal 2017年6月17日 15時30分〜17時30分

Wiener Philharmoniker
指揮 Mariss Jansons

Antonín Dvořák (1841-1904)
 Symphonie Nr. 8 G-Dur, op. 88
Richard Strauss (1864-1949)
 Tod und Verklärung. Tondichtung für großes Orchester, op. 24
Igor Strawinsky (1882-1971)
 Suite aus dem Ballett “Der Feuervogel” Fassung 1919

ウィーン・フィルの土曜日定期。
気候が良くなって天気が良ければキャンセルの人も多く出て
いつもは見ないメンバーばかりが周囲を埋め尽くす事になるが
もちろん、それでも、いつも必ず来る常連客はいる(笑)

本日は左右の照明がしっかりついていたから
何かの収録をしているんだろうなぁ。

ドボルジャークの交響曲8番。
昨日よりまとまった印象になって
歌うわ歌うわ
ここまでねっとりと歌わせると
かなりウエットな印象になって

ウィーン・フィルの美しい音色も
美しいんだけど、いつもの優雅さというよりは
素直で純朴で、多少田舎臭い(良い意味で)音色になって
気取ったところがなくなって
ツンデレというより、デレデレになっていて
ウィーン・フィルって、こんなに純朴にチャーミングだったっけ?(笑)

後半最初のリヒャルト・シュトラウスの「死と変容」
席を逃げたいとは思ったものの
本日も満席で、後ろの方も全く空いていなかったので
そのままいつもの超貧民席にいたのだが
昨日よりうるさくない。

耳慣れしたか?
それとも風邪でも引いて鼓膜が何かなってるとか?

まぁ、確かにオーケストラを極限まで鳴らすので
ここまで出すなら
いっその事、コンツェルトハウスでコンサートした方が
あちらの貧民席の方が楽しかったかもしれない、と思ったが。

それでも今回の「死と変容」は
ちゃんと死んでるし(色っぽい死に方だけど(笑))
死んだ後も艶っぽく変容してるし
・・・すべて私の妄想です。すみません。

「火の鳥」は名演だった(断言)
いや、もう、文句なしに素晴らしい。
あの色使いと言い、背景の見せ方と良い
火の鳥や王女さま、カシェイの扱いから
最後の子守唄のホルン・ソロの美しい事。

昨日のカシェイの最初の
ユニゾンにならなかった部分も
(多分、譜面の読み間違い?)
今日は見事に揃ったユニゾンで
さすがプロ・・・というか
あれが直ってなかったら問題だけど(爆笑)

さて、明日、もう一回、このコンサートが聴けると思うと
特に最後の火の鳥の
あの演奏中の酔うような色彩感に浸れると思うと
かなり幸せ気分になってしまう私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



本日のウィーンはレインボー・パレートで
🌈というのは、こちらでは同性愛の象徴で
半裸のカッコいいモデルみたいな男性二人が地下鉄に乗っていて
いや、もう色っぽくて素敵 ♡
周囲からも「カッコイイ」と囁きが上がっておりました。

ついでだけど、今日の観客のマナーは非常に良かった。
隣の若いカップルが時々、小声で喋っていたけれど
全体的に無駄な咳払いとかが少なくて集中して聴けたのは嬉しい。

ウィーン・フィル + マリス・ヤンソンス1回目

Musikverein Großer Saal 2017年6月16日 19時30分〜21時30分

Wiener Philharmoniker
指揮 Mariss Jansons

Antonín Dvořák (1841-1904)
 Symphonie Nr. 8 G-Dur, op. 88
Richard Strauss (1864-1949)
 Tod und Verklärung. Tondichtung für großes Orchester, op. 24
Igor Strawinsky (1882-1971)
 Suite aus dem Ballett “Der Feuervogel” Fassung 1919

2日間ナイト・ライフはお休みしてから
ウィーン・フィルとヤンソンスのコンサートを
今日と明日、明後日、続けて(同じプログラムで)3連発(笑)
ついでだが、会場も席も同じ最貧民席 (^ ^)

ドヴォルザークの交響曲8番
リヒャルト・シュトラウスの「死と変容」
ストラヴィンスキーの「火の鳥組曲」
って、かなり珍しい組み合わせだと思う。

ドヴォルザークの交響曲8番は
やっぱり巧く歌わせるなぁ、というのはあったけれど
まだ何となくバタバタしている印象。

ウィーン・フィル向きの曲、という訳ではないのだが
ヤンソンスの表現は、ここではとことん明るくて
あのメロディ一杯の曲を、とことん歌わせようとしている。
明日、明後日はもっと良くなりそうな予感。

さて、リヒャルト・シュトラウスの「死と変容」だが
前から何回も言っている通り、私の苦手な曲の一つ。

できれば何もシリアスな事は考えずに
現実逃避の手段として音楽を聴きたい私には
こんなリアルな死の表現、ったく何という曲なんだ(勝手な好み)

しかもこういう曲ならウィーン・フィルはお手の物である。
指揮者なしでも悠々と演奏しちゃうだろう、この方々は。

ええ、もう、笑っちゃう程、巧いしアンサンブル鉄壁。
で、ヤンソンス、オーケストラ鳴らし過ぎ!!!

盛り上がるところで、あまりの音量に
耳を押さえたくなった(本気)

自分の手持ちのバイエルン放送交響楽団のホールが
デッドな音響だからと言って
ウィーン・フィルで、楽友協会ホールで
あの音量はちょっと止めて欲しい(本気)

ヤンソンスの表情を見ていると
邪推だけど、どうも、何か、ほとんど恍惚の世界に飛んでいる。

よって、出てくる音が
これ、死、だよね? なのに
ものすごい恍惚感があって
イヤに色っぽくて
まぁ、そりゃ、アレだってタナトスの一つだけど
・・・とか、
とんでもない妄想に浸ってしまったのは
私が欲求不満である、という事ではございません(断言)

こんな耳の潰れそうな音量で
火の鳥はどうなっちゃうんだろう、と心配していたが
こちらは無理やり鳴らすのではなく
きちんと楽友協会ホールに嵌った音量。

熱心な読者はご存知の通り
こと「火の鳥」に関しては
最近、フォルクス・オーパーで
ずっとアンドレイ振付の、とんでもないバレエを観ていたので
音楽聴いたら、あの場面が目の前に妄想で出現するんだろうなぁ
と覚悟はしていたのだが

うわっはっは
すみません、フォルクス・オーパーのオーケストラには
すごく失礼ですが(指揮者が悪い、というのは散々聞いた)
全く違う音楽にしか聴こえて来ません(ごめんなさい)

柔らかいのに芯の通った低弦の厚みのある響きに
火の鳥が舞う部分になると
アンドレイのあの間の抜けた(ごめん!)イヴァンと
ダヴィデやグレイグの、赤い上着を着た火の鳥じゃなくて

ロシアの、あのロシア正教の
キンキラキンの黄金と原色に飾られた
王朝の、輝くような色彩がホール一杯に
あちこちで煌めいて、砕けて、原色を撒き散らしながら
飛び散って行く。

これはやっぱりフォーキン振付の「火の鳥」で
バレエ・リュスでしかあり得ないだろう。

弾むようなリズム感
くっきりした原色を撒き散らす音色が
鋭いエッジで空気を引き裂いて
音量もバランスも、すごく良い。

・・・ただカシェイのところの最初で
ひえええええ、楽器の調子が悪かったんですか?
という
知っている聴衆がひっくり返るような
見事な吹き間違えが・・・
(バルコンの2列目・3列目の人たちが
 こぞって席を立って、舞台を覗き込んでた(笑))

まぁ、コンサートあるあるネタなので
全体がそれでダメになったワケじゃないし
最初の間違いの後の
フィナーレの出だしのホルンのソロは
柔らかい素晴らしい音で見事だった。

明日のコンサートでは
どの曲も、もっと良くなっている筈なので
楽しみだが
リヒャルト・シュトラウスだけは
どこかに逃げたい・・・
(でも、きっと満席だろう(涙))

明日と明後日、リヒャルト・シュトラウスの時だけでも
どこか舞台から遠い席に逃げられないか
真剣に悩んでいる私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



コンサート終わって出たら土砂降りの雨。
まぁ、すぐに止んだけど
このシーズン、日中が暑いと夕方豪雨になります。

ウィーン放送交響楽団 + コルネリウス・マイスター

Musikverein Großer Saal  2017年6月13日 19時30分〜21時30分

ORF Radio-Symphonieorchester Wien
指揮 Cornelius Meister
ソプラノ Anne Schwanewilms

Antonín Dvořák (1841-1904)
 Holoubek (Die Waldtaube) Symphonische Dichtung, op. 110
Alban Berg (1885-1935)
 Der Wein. Konzertarie mit Orchester
Joseph Haydn (1732-1809)
 Symphonie f-Moll, Hob. I:49 “La passione”
Béla Bartók (1881-1945)
 Kossuth. Symphonische Dichtung, Sz 21

すごく久し振りな気がするウィーン放送交響楽団。
プログラムもユニークで
ドボルザークとアルバン・ベルクにハイドンとバルトークで
しかも比較的知られていない曲ばっかり。

舞台が拡張されていて
すごい数の椅子があるんだけど
これってどの曲用なのかしら・・・と思っていたら
ドボルザークもアルバン・ベルクもバルトークも
大規模オーケストラだった。

前も後ろも長い黒の衣装で出てきた
コルネリウス・マイスターが
おもむろにマイクを持って
突然、客席に向かって話し出したので
一体なに? !?(・_・;?

あるところに女性が居ました。
若い愛人が出来たので、夫に毒を盛って殺し
若い愛人と結婚したのですが
自分が殺した夫の墓にある樹に
鳩が巣を作って
鳩の鳴き声に責められて
自分も自殺してしまいます。

交響詩「野鳩」のストーリーの説明か。
ただ、ここ楽友協会なので
ドイツ語を理解しない観光客が多いと思うんだけど(笑)
それに、ドイツ語をわかる人でプログラム買った人は
プログラムに解説がある(プログラム高いので買わない人は多い)

しかしまぁ、なんという悲惨なストーリーなんだ。
だいたい、若い愛人が出来たのが女性で
殺されるのが男性って・・・絶句。
しかも、野鳩の鳴き声で良心の呵責に悩まされて
自殺しちゃうって

それ、全世界の男性の願望じゃないの?
若い愛人と再婚してウハウハしている女性が
警察にバレてヤバそうという状況でない限り
自殺なんかしないわよ
・・・・というのは、まぁさておいて

音楽的には「交響詩」だから
埋葬行進曲から始まって
野鳩の鳴き声のオーケストラによる描写が見事。
心理劇的なドラマチックな要素がたっぷりなんだけど
ドボルザークらしいメロディックな部分も楽しくて
オーケストレーションがまた楽しい。

この曲、バイオリンとチェロだけの部分があって
そこにビオラが入ってくるところで
うわああああ
普段、ビオラなんて、あってもなくても(すみません!^^;
とか思っていたのに
ビオラが入るだけで、こんなに音が違うのか、と
目からウロコの体験。

自殺してしまった女性はさておいて
アルバン・ベルクの演奏会用アリア「ぶどう酒」
(とウィキには書いてあった。ぶどう酒と言うのはワインの事である(笑))
作曲年代としてはヴォツェックの後
ルルにかかる頃の後期の円熟した作品で

オーケストラ編成がデカイ(笑)

アルバン・ベルクの曲って
無用にオーケストラ編成は大きいのに
出て来る音響はあくまでもスリムで

しかも音響オタクには身悶えする程に素晴らしい。
12音技法を使ってはいるのだけれど
ベルクのバイオリン協奏曲でもそうなんだけど
なんか無調に聴こえて来ないというのは不思議。

ソプラノのアンネ・シュヴァーネヴィルムスは
楽譜を持って登場。
指揮者のマイスターはほとんどを暗譜で振るが
さすがにこの曲はスコアを手元に残している。

・・・で、ドイツ語っぽいモノが聴こえて来たのは
手元のテキストの最初の2行だけで
その後、全く全く「言語」っぽいモノが聴こえて来ない。

この曲、詩としては3篇みたいなんだけど
途中で止まらず、アタッカで続けられるというのはあるにしても
普通だったら、どこか何かの単語さえ聞こえてくれば
あっ、ここだ、とわかる筈なのだが・・・

それに、指揮者のマイスター
ソプラノにキュー出してる (O_O)
ソプラノも必死に指揮者を見てる (¬_¬)

そりゃ、12音技法だし、結構複雑だし
続けて歌うわけじゃないから出だしが大変なのはわかるけれど
見ている方としては、ドキドキしっぱなしで
出は大丈夫か、とか、ついつい考えてしまう(余計なお世話)

ドイツ語は全くわからないし
(何かごにょごにょ言っているのはわかる)
声は澄んで美しいのだが
オーケストラの中の一つの楽器みたいな感じで
演奏会用アリアというよりは
全体的にソプラノ付き交響詩みたいに聴こえた。

それよりも何よりも
指揮者のキューとソプラノの出は
あれで合っていたのか・・・
(いやプロだから当然合っているに違いないけれど)
なんかちょっと危うい感じがしてドキドキしつつ
まぁ、でも、あれで、
本当に出を間違えたり、途中で何かカットしたりしても
聴いてる聴衆、誰もわからんよなぁ、とか
失礼な事を思ってしまったのは、ごめんなさい。

後半の1曲目はハイドンで
これは編成が小さい(同じ大規模オーケストラだったら笑ったけど)
ノン・ビブラートだけど
短調を基調にしたドラマチックな曲。

出てくる音が貴族的というか
う〜ん、やっぱりウィーンのオーケストラだよね。
ウィーン放送交響楽団も、しっかりとウィーンの古典はモノにしている。
ハイドンを聴くと
本当にこの頃って
音楽って純粋に楽しみのためだけに消費されたんだなぁ、とわかる。
ともかく文句なしに聴いていて楽しいのだ。

最後はバルトークの交響詩「コシュート」
ご存知の通り、ハプスブルクに立ち向かった
ハンガリーの英雄を讃えた交響詩。

オーストリアのハプスブルクを
こてんぱんにやっつけているけど
こういう曲、オーストリアで演奏しちゃっても良いんでしょうか?(笑)

これは本当に大規模オーケストラ。
舞台がほとんど見えない席だけど
チェロだけで10本あるみたいだし
ホルンは4本が2列で、堂々と8本ある。

最初のトロンボーン(かな?)のコシュートのテーマの提示から始まり
時々、バンダも使って
さすがの大規模オーケストラの音響と立体感で
すごくドラマチック。

・・・というより
ウィーン放送交響楽団って、むちゃ優秀。
しっかり揃ったアンサンブルで
正確無比なのに、音に輝きがある。

音響オタクの指揮者マイスターが
しっかりとオーケストラをコントロールしているのもあるのだろう。
ほんと、マイスターって良い意味で職人的。

最初から最後まで名人の芸を満喫。
こういうのこそ、ナマで聴いてナンボの世界。

バルトークの曲とは言え
リスト音楽院を卒業した22歳の時の初期作品。
愛国心に燃えた若い情熱的な作品で
残念ながら悲劇で終わるんだけど
ストーリーが見えて、聴いていて面白い。
(オーストリア国歌のおちょくりもある(笑))

しかしまぁ、こんなマイナーな作品ばかり
それも、あの高いレベルで
これだけ様式の違う曲を一晩で演奏してしまうなんて
ちょっと笑っちゃうくらい優秀なオーケストラ。

よく知っている曲を聴くのも楽しいけれど
知らない曲を聴くのも楽しいな、と
思わせるコンサートに至極満足な私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。


白鳥の湖 今シーズン8回目(千秋楽)

Wiener Staatsballett/Wiener Staatsoper 2017年6月12日 19時〜22時20分

SCHWANENSEE
Balett in vier Akten
振付 Rudolf Nurejew nach Marius Petipa und Lew Iwanow
音楽 Peter Iljitsch Tschaikowski
舞台・衣装 Luisa Spinatelli
照明 Marion Hewlett
指揮 Alexander Ingram

ジークフリート王子 Masayu Kimoto *
オデット・オディール Maria Yakovleva
ロットバルト Alexandru Tcacenco
王子の母 Erika Kováčová
王子の友人たち Ioanna Avraam, Nikisha Fogo
Richard Szabó, Dumitru Taran
王子の教育係 Jaimy van Overeem
侍従長 Gabor Oberegger
第一幕
ワルツ Iliana Chivarova, Adele Fiocchi, Laura Nistor, Franziska Wallner-Hollinek
Leonardo Basílio, Martin Dempc, Alexis Forabosco, James Stephens
Elena Bottaro, Natalya Butchko, Zsófia Laczkó, Suzan Opperman,
Alaia Rogers-Maman, Anna Shepelyeva, Rikako Shibamoto,
Iulia Tcaciuc, Céline Janou Weder
Francesco Costa, Marian Furnica, Trevor Hayden, Scott McKenzie,
Tristan Ridel. Zsolt Török, Arne Vandervelde, Géraud Wielick
女王の付き添い Abigail Baker, Marie Breuilles, Vanessza Csonka
Katharina Miffek, Andrea Némethová, Carolina Sangalli
第二幕・第四幕
大きな白鳥 Adele Fiocchi, Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko, Laura Nistor
小さな白鳥 Ioanna Avraam, Elena Bottaro, Natascha Mair, Rikako Shibamoto
白鳥 Abigail Baker, Emilia Baranowicz, Marie Breuilles, Natalya Butschko,
Iliana Chivarova, Aoi Choji, Vanessza Csonka,
Maria Giula Fioriti, Sveva Gargiulo, Erina Kováčová,
Zsófia Laczkó, Katharina Miffek, Andrea Némethová,
Suzan Opperman, Marina Pena, Xi Qu, Joana Reinprecht,
Alaia Rogers-Maman, Caroline Sangalli, Isabella Severi-Hager,
Iulia Tcaciuc, Chiara Uderzo
Franziska Wallner-Hollinek, Céline Janou Weder
第三幕
貴族の娘たち Elena Bottaro, Adele Fiocchi, Laura Nistor
Suzan Opperman, Xi Qu, Alaia Rogers-Maman
スペインのダンス Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko
Kamil Pavelka, James Stephens
ナポリのダンス Natascha Mair, Richard Szabó
Abigail Baker, Natalya Butchko, Sveva Garciulo, Joana Reinprecht
Isabella Severi-Hager, Rikako Shibamoto
ポーランドのダンス Franziska Wallner-Hollinek, Marcin Dempc
Emilia Baranowicz, Andrea Némethová, Céline Janou Weder
Marat Davletshin, Trevor Hayden, Greig Matthews
ハンガリーのダンス Nikisha Fogo, Géraud Wielick
Marie Breuilles, Vanessza Csonka, Zsófia Laczkó, Katharina Miffek,
Marina Pena, Carolina Sangalli, Iulia Tcaciuc, Chiara Uderzo
Attila Bakó, Leonardo Basílio, Francesco Costa, Marian Furnica,
Igor Milos, Tristan Ridel, Zsolt Török, Jaimy van Overeem

白鳥の湖、今シーズンの最終公演は
オペラ座脇の大スクリーンでのライブと
インターネットでのライブ配信まであって

ジークフリート王子のデビューで
木本全優クンが登場!!!!!

予てから、あの日本人離れした優雅なスタイルと
確実なテクニックに裏打ちされた上品な優美さで
王子さま役のダンス・ノーブルを踊ったら
どんなに素適だろう・・・と夢想していたので
ファンの私としては、非常に嬉しい 😆

で・・・
期待を裏切らない出来・・・というより
期待を遥かに上回った (o^^o)
何というノーブルさ!!!!

木本クンの身体のラインが
ため息が出るほどに美しいのだ。
あのスタイルの良さというのは
天性のものもあるだろうけれど
身体のバランスが、ほとんど理想的で
(ヘンなところに余計な筋肉とかが付いていない)

また、その美しい身体のラインの見せ方が
信じられないくらい魅力的。

身体的特徴をあげつらうのは
非常に失礼な事と充分に承知の上で
バレエ・ダンサーの才能というのは
見た目の美しさ、という残酷な側面もあるので
はっきり言っちゃえば

木本クンは決してイケメンではない(ああああっ、ごめんなさい!)
ごめん!!!
でも、木本クンって
マスクだけ見たら
どこかの田舎の純朴そうな男の子にしか見えない。

だけど、私は木本クンを最初に舞台で観た時
目が吸い寄せられた。

スタイルの良さが半端じゃないのだ。
長い手足、胴と四肢のバランス、筋肉の付き方
全てがもともとのバレエの発祥地とされる
ヨーロッパのどのダンサーに比べても
全く引けを取らない・・・どころか
あんなに身体のバランスの良いダンサーは
ヨーロッパだって滅多にお目にかかれない。

加えて、その優雅さと言ったら・・・
一つ一つのパが丁寧で、荒々しくならず
どんな高いジャンプからもフワッと着地して
長い手足で掴む空間が大きくて
どこを取っても「優美」というのはああいう事を言うのか、と
これ、本当に日本人ダンサー?とひっくり返っていたのである。

そんな持って生まれた資質が
ダンス・ノーブルのダンサーに
ジークフリート王子を踊らせてみたら
その優美さが更に際立って
正に悶絶もの。

最初のソロから
落ち着いた確実なパで
ジャンプは高いし(しかも足が美しい!!!!)
レオナルドやヤコブだと
ちょっと不安定で、あっ、とか思うところや
ドタン、とすごい足音で降りるところを
確実な安定感で余裕たっぷりにこなす。

ドン・キホーテのバジルのようなコミカルな役とは違って
ジークフリート王子は、物憂げな上品さと
激情に身を焼くところ、絶望やアホな自分への怒りを
しっかりと演技する必要があるのだが

木本クン、最近、本当に演技できるようになって来た。

しかもダンス・ノーブルってナニの人が多くて
時々、優雅だけどナヨナヨ、というケースが多いんだけど

木本クンのジークフリート王子は何とも凛々しいのである。
凛々しいのに爽やかで、ヘンな男臭さもなくて
これこそ理想の(おとぎ話の)王子さまではないか。

ダンサーがどんどん成長して行くって凄い。

第1幕前半でのパ・ド・サンク。
イオアンナとニキーシャの軽い事と言ったら
二人とも、本当に空を飛ぶイメージで
リッチーのキレのあるジャンプに
ドミトルもしっかり喰らい付いていて
上品で優雅な木本クンとの絡みにも萌える。

オデット役のマーシャは
可憐で、テクニックは凄いのにそれを一つも感じさせず
木本クンとのパ・ド・ドゥも息がぴったり合って素晴らしい。

しかもマーシャって
細かい部分の演技がものすごく巧い。
ちょっとした仕草、視線で、感情をリアルに表現してくる。

木本クンのマーシャのリフト、見事だったなぁ。
マーシャの素晴らしいバランス感覚も手伝って
微動だにしない長い長いリフト・・・ いやもう呆気に取られてしまう。

マーシャのオデットは
演技力と、細かい部分まで行き届いた動き。
どうみても、本当に白鳥になっているんだもん。
しかもマーシャ、巧いのに
ちゃんとパートナーシップがあって
自分だけ見ろ見ろがなくて
凛とした、でもその中に儚さを秘めるオデット。

木本クンのジークフリート王子も
ほら、僕、カッコいいでしょ、見て、見て、見て
・・というのが、全然なくて
美しいのに何とも奥ゆかしいところが
ある意味、強烈なオーラがない、というところにも繋がるかもしれない。

でも、そのヘンなオーラのなさが
また上品なんですけどね(笑)

優美・優雅に加えて
邪心のない素直さ、爽やかさ
マーシャとの絡みが正に一編の詩のような
純粋な美を観客までストレートに届けてくる。

マーシャのオディールは
華やかで
子供のくせに親の威光を纏って
ブイブイ言わせているような小悪魔的な魅力。

フェッテも、何回ダブル入れてくるの?と驚く。
安定した細い芯が通っていて
観ていて安心感に裏打ちされたワクワク感がある。

第2幕の、あの超絶技巧のジークフリートのソロも
ため息ものの美しさで優雅に舞きった。
う〜ん、今思ったんだけど
木本クンのあの優雅さというのは
ダンスとかバレエというより
日本人的感覚に照らすと「舞」に近いかもしれない。

最後のシーンのオデットとのパ・ド・ドゥも見事だったが
本当に最後の
ジークフリート王子が湖に飲み込まれて
悶える時の、あの紺色の布とスモークから見える
上半身の動きの美しさに身悶えしていたのはワタクシです。

世界での日本人の活躍を
結構、大袈裟に報道するのが
日本のマスコミだと思っていたのだが

ウィーンで、ダンス・ノーブルの最も典型的なジークフリート王子を
しかも世界で最も難しいヌレエフ版で
更には、ライブ・ストリーミングで
オペラ座の横のスクリーンと世界中に配布された日に
日本人の男性ダンサーが踊ったって

・・・何でどこの日本のマスコミも取り上げないんでしょうね?

木本クンの真摯で真面目でノーブルなダンスなのに
彼の持っている欲のなさというか(笑)
その奥ゆかしさが、また良いんだけど (^^)

ともあれ、これにて今シーズンの「白鳥の湖」は千秋楽。
千秋楽にふさわしい、見応えのある舞台だった。

ついでに言っておくけれど
(しかも失礼なコメントだけど)
今日のオーケストラ、実に良かったです。
ミスなし、ソロも巧いし
第2幕のディヴェルティスマンで
ちょっとしたリズムのズレにヒヤッとした以外は
今までの白鳥の音楽は何だったの?という張り切り方(笑)

最近、頭の中で
ずっと「白鳥の湖」のメロディが鳴っている私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



・・・これにてやっと
各回のダンサーの名前を全部書き出すという
楽しい修行(?)から逃れられる(爆笑)
皆さま、本当にお疲れさま ♡

calendar
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< June 2017 >>
sponsored links
★コンタクト・メイル★
メイルはこちらへ
ブログランキングに1クリックお願いします
selected entries
categories
archives
recent comment
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM